(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】情報出力装置、情報出力方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20231010BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2022118743
(22)【出願日】2022-07-26
(62)【分割の表示】P 2022014099の分割
【原出願日】2021-09-30
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】川名 弘志
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-9060(JP,A)
【文献】特開2020-166760(JP,A)
【文献】特開2008-105591(JP,A)
【文献】特開2021-39504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0025434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0316510(US,A1)
【文献】DJI Maintenance Program Enjoy Safe, Reliable Flight[online],インターネットアーカイブ,2021年02月10日,URL<https://web.archive.org/web/20210210193107/https://enterprise.dji.com/enterprise-maintenance>,検索日[2021年12月20日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人移動装置を購入したときからの購入後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの点検後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの累積運行量又は前記無人移動装置の用途を示す情報を特定する特定部と、
前記無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための前記購入後経過時間、前記点検後経過時間、前記累積運行量又は前記用途の条件を記憶する記憶部と、
前記無人移動装置が運行する運行予約を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記運行予約を受け付けたことに基づいて、前記特定部が特定した前記情報が前記条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える、情報出力装置。
【請求項2】
前記無人移動装置を識別する機体識別情報を取得する取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記取得部が取得した前記機体識別情報に関連付けられた前記無人移動装置の機種、前記無人移動装置の用途、前記無人移動装置の運行地域又は前記無人移動装置に含まれている部品を示す情報である部品情報を前記無人移動装置の属性として特定し、
前記特定部が特定した前記属性に対応する点検閾値を選択する選択部と、
前記取得部が取得した前記累積運行量が点検閾値より大きいか否かに基づいて、前記無人移動装置のユーザが加入している保険の保険料を決定する料金決定部と、をさらに備える、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記無人移動装置を識別する機体識別情報を取得する取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記取得部が取得した前記機体識別情報に関連付けられた前記無人移動装置の機種、前記無人移動装置の用途、前記無人移動装置の運行地域又は前記無人移動装置に含まれている部品を示す情報である部品情報を前記無人移動装置の属性として特定し、
前記特定部が特定した前記属性に対応する点検閾値を選択し、前記記憶部に記憶されている複数の点検閾値のうち、前記特定部が特定した前記無人移動装置の機種を示す前記属性に対応する点検閾値を選択する選択部をさらに備え、
前記判定部は、前記購入後経過時間、前記点検後経過時間又は前記累積運行量が当該点検閾値以下であるか否かに基づいて、前記無人移動装置の点検の要否を判定する、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記無人移動装置を識別する機体識別情報を取得する取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記取得部が取得した前記機体識別情報に関連付けられた前記無人移動装置の機種、前記無人移動装置の用途、前記無人移動装置の運行地域又は前記無人移動装置に含まれている部品を示す情報である部品情報を前記無人移動装置の属性として特定し、
前記特定部が特定した前記属性に対応する点検閾値を選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記点検閾値よりも前記累積運行量が大きいと前記判定部が判定した場合に、前記無人移動装置の運行を禁止する運行制限部と、をさらに備える、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する、
無人移動装置を購入したときからの購入後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの点検後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの累積運行量又は前記無人移動装置の用途を示す情報を特定するステップと、
前記無人移動装置が運行する運行予約を受け付けるステップと、
前記無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための前記購入後経過時間、前記点検後経過時間、前記累積運行量又は前記用途の条件を記憶する記憶部を参照して、前記運行予約を受け付けたことに基づいて、特定した前記情報が前記条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記情報が前記条件を満たすか否かの判定結果を出力するステップと、
を備える、情報出力方法。
【請求項6】
コンピュータに、
無人移動装置を購入したときからの購入後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの点検後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの累積運行量又は前記無人移動装置の用途を示す情報を特定するステップと、
前記無人移動装置が運行する運行予約を受け付けるステップと、
前記無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための前記購入後経過時間、前記点検後経過時間、前記累積運行量又は前記用途の条件を記憶する記憶部を参照して、前記運行予約を受け付けたことに基づいて、特定した前記情報が前記条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記情報が前記条件を満たすか否かの判定結果を出力するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中又は水中を移動する無人移動装置を管理する情報出力装置、情報出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン等の無人移動装置を安全に使用するために、無人移動装置の故障や異常に対して修理及びメンテナンスが行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人移動装置が安全に移動できる状態を維持するために、無人移動装置を定期的に点検することが広く行われている。特許文献1に記載された方法では、無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置が満たしているか否かを判断することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置が満たしているか否かをユーザが把握することができるようにする情報出力装置、情報出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報出力装置は、無人移動装置を購入したときからの購入後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの点検後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの累積運行量又は前記無人移動装置の用途を示す情報を特定する特定部と、前記無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための前記購入後経過時間、前記点検後経過時間、前記累積運行量又は前記用途の条件を記憶する記憶部と、前記無人移動装置が運行する運行予約を受け付ける受付部と、前記受付部が前記運行予約を受け付けたことに基づいて、前記特定部が特定した前記情報が前記条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
前記情報出力装置は、前記無人移動装置を識別する機体識別情報を取得する取得部をさらに備え、前記特定部は、前記取得部が取得した前記機体識別情報に関連付けられた前記無人移動装置の機種、前記無人移動装置の用途、前記無人移動装置の運行地域又は前記無人移動装置に含まれている部品を示す情報である部品情報を前記無人移動装置の属性として特定し、前記特定部が特定した前記属性に対応する点検閾値を選択する選択部と、前記取得部が取得した前記累積運行量が点検閾値より大きいか否かに基づいて、前記無人移動装置のユーザが加入している保険の保険料を決定する料金決定部と、をさらに備えてもよい。
【0008】
前記情報出力装置は、前記無人移動装置を識別する機体識別情報を取得する取得部をさらに備え、前記特定部は、前記取得部が取得した前記機体識別情報に関連付けられた前記無人移動装置の機種、前記無人移動装置の用途、前記無人移動装置の運行地域又は前記無人移動装置に含まれている部品を示す情報である部品情報を前記無人移動装置の属性として特定し、前記特定部が特定した前記属性に対応する点検閾値を選択し、前記記憶部に記憶されている複数の点検閾値のうち、前記特定部が特定した前記無人移動装置の機種を示す前記属性に対応する点検閾値を選択する選択部をさらに備え、前記判定部は、前記購入後経過時間、前記点検後経過時間又は前記累積運行量が当該点検閾値以下であるか否かに基づいて、前記無人移動装置の点検の要否を判定してもよい。
【0009】
前記情報出力装置は、前記無人移動装置を識別する機体識別情報を取得する取得部をさらに備え、前記特定部は、前記取得部が取得した前記機体識別情報に関連付けられた前記無人移動装置の機種、前記無人移動装置の用途、前記無人移動装置の運行地域又は前記無人移動装置に含まれている部品を示す情報である部品情報を前記無人移動装置の属性として特定し、前記特定部が特定した前記属性に対応する点検閾値を選択する選択部と、前記選択部が選択した前記点検閾値よりも前記累積運行量が大きいと前記判定部が判定した場合に、前記無人移動装置の運行を禁止する運行制限部と、をさらに備えてもよい。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
本発明の第2の態様の情報出力方法は、コンピュータが実行する、無人移動装置を購入したときからの購入後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの点検後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの累積運行量又は前記無人移動装置の用途を示す情報を特定するステップと、前記無人移動装置が運行する運行予約を受け付けるステップと、前記無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための前記購入後経過時間、前記点検後経過時間、前記累積運行量又は前記用途の条件を記憶する記憶部を参照して、前記運行予約を受け付けたことに基づいて、特定した前記情報が前記条件を満たすか否かを判定するステップと、前記情報が前記条件を満たすか否かの判定結果を出力するステップと、
を備える。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、無人移動装置を購入したときからの購入後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの点検後経過時間、前記無人移動装置を前回点検したときからの累積運行量又は前記無人移動装置の用途を示す情報を特定するステップと、前記無人移動装置が運行する運行予約を受け付けるステップと、前記無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための前記購入後経過時間、前記点検後経過時間、前記累積運行量又は前記用途の条件を記憶する記憶部を参照して、前記運行予約を受け付けたことに基づいて、特定した前記情報が前記条件を満たすか否かを判定するステップと、前記情報が前記条件を満たすか否かの判定結果を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無人移動装置のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置が満たしているか否かをユーザが把握することができるようにするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る情報出力システムSの概要を示す。
【
図5】情報出力装置による点検要否の判定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】情報出力装置による無人移動装置の選択の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報出力システムの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る情報出力システムSの概要を示す。情報出力システムSは、無人移動装置100と、ユーザ端末200と、情報出力装置300とを備える。
【0019】
無人移動装置100は、例えば、飛行ドローンである。無人移動装置100は、水中用又は陸上用のドローンであってもよい。無人移動装置100は、例えばLTE又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信回線を介してユーザ端末200から受信した操作データ又は運行スケジュールデータに基づいて移動する。運行スケジュールデータは、無人移動装置100が移動するべき位置と時刻とを示すデータである。
【0020】
ユーザ端末200は、例えばタブレットである。ユーザ端末200は、例えば、無人移動装置100の所有者の端末であるが、無人移動装置100をメンテナンスする作業者の端末であってもよい。ユーザ端末200は、無線通信回線を介して、無人移動装置100を動作させるための操作データ又は運行スケジュールデータを送信する。
【0021】
情報出力装置300は、無人移動装置100が適切な頻度で点検されているか否かを判定する装置であり、例えばサーバである。情報出力装置300は、ネットワークを介して、無人移動装置100及びユーザ端末200と通信する。情報出力装置300は、例えば、無人移動装置100の累積運行量を、無人移動装置100又は無人移動装置100に含まれている部品に関連付けられた点検閾値と比較することにより、無人移動装置100の点検の要否を判定する。累積運行量は、無人移動装置100の使用が開始されてからの運行距離又は運行時間の累積値である。
【0022】
点検は、例えば、無人移動装置100の製造者、無人移動装置100に含まれる部品の製造者若しくは保険会社により推奨された時期、又は法律若しくは条令等により予め義務付けられた時期に実施される。点検閾値は、点検を要する時期に関する判定をするための基準値であり、点検の要否を判定するために用いられる。点検閾値は、例えば、無人移動装置100が運行した時間又は距離の累積値である累積運行量、無人移動装置100に搭載された部品の累積使用時間、無人移動装置100が運行した運行回数、無人移動装置100又は無人移動装置100に搭載された部品の性能の劣化度合い(バッテリの蓄電時間)等の基準値である。
【0023】
情報出力装置300は、点検の要否を判定した結果をユーザ端末200に通知する。ユーザ端末200を使用するユーザは、通知された点検の要否を確認することで、点検が必要な状態であるにもかかわらず無人移動装置100を操作してしまうことを防げる。ユーザ端末200は、点検が不要であるという結果を情報出力装置300から受信したことを条件として、操作データ又は運行スケジュールデータを無人移動装置100に送信できるように構成されていてもよい。
【0024】
以下、
図1を参照しながら情報出力システムSの処理の流れについて説明する。ユーザが、ユーザ端末200において無人移動装置100を使用する予約をする操作をした場合、ユーザ端末200は、運行予約データを情報出力装置300に送信する(
図1における(1))。運行予約データには、例えば、ユーザが使用する無人移動装置100を識別するための機体識別情報(以下、「機体ID」という。)が含まれている。運行予約データには、ユーザが無人移動装置100を使用する日時を示すデータ、用途を示すデータ又は使用する地域を示すデータ等が含まれていてもよい。
【0025】
情報出力装置300は、ユーザ端末200から取得した運行予約データに含まれている機体IDに関連付けて記憶している無人移動装置100の種別を特定する(
図1における(2))。情報出力装置300は、無人移動装置100の種別に対応する点検閾値を示す点検テーブルを参照することにより、特定した機体の種別に対応する点検閾値を選択する(
図1における(3))。
【0026】
情報出力装置300は、機体IDと、無人移動装置100の前回までの運行による運行量の累積値である累積運行量とを関連付けて記憶している。情報出力装置300は、無人移動装置100の累積運行量が、無人移動装置100の機体の種別に対応する点検閾値よりも大きいか否かを判定する。情報出力装置300は、判定結果をユーザ端末200へ出力する(
図1における(4))。
【0027】
点検が不要であることを判定結果が示している場合、ユーザ端末200は、ユーザの操作に対応する操作データを無人移動装置100に送信する(
図1における(5))。無人移動装置100は、運行中又は運行が終了した後に、機体IDとともに運行量を情報出力装置300に送信する(
図1における(6))。情報出力装置300は、記憶している累積運行量に受信した運行量を加算することにより累積運行量を更新し、次に運行予約データを受信した際に、更新した累積運行量を使用する。
【0028】
なお、ユーザ端末200は、ユーザが無人移動装置100を目視で点検した結果、又は無人移動装置100を撮像して生成された撮像画像をユーザから受け付けて、目視点検結果又は撮像画像を情報出力装置300に送信してもよい。この場合、情報出力装置300は、目視点検結果又は撮像画像にさらに基づいて点検の要否を判定してもよい。
【0029】
[情報出力装置の構成]
図2は、情報出力装置300の構成を示す。情報出力装置300は、通信部31、記憶部32及び制御部33を備える。制御部33は、取得部331、特定部332、受付部333、判定部334、出力部335及び生成部336を備える。
【0030】
通信部31は、ネットワークを介して、無人移動装置100及びユーザ端末200と通信するためのインターフェースである。記憶部32は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。記憶部32は、例えば、ユーザ端末200を識別する端末識別情報(以下、「端末ID」という)と、機体IDとを関連付けたユーザテーブルを記憶する。
【0031】
また、記憶部32は、複数の機体IDのそれぞれと、複数の装置情報とを関連付けた装置テーブルを記憶している。装置情報は、無人移動装置100の機種、無人移動装置100が運行する用途、又は、無人移動装置に含まれている部品を示す情報(以下、「部品情報」という)を含む。無人移動装置100の用途は、例えば、物品の搬送又は監視である。用途は、無人移動装置100が市街地上空を移動することがあるか否かを示す情報を含んでもよい。部品情報は、例えば、無人移動装置100に搭載されているモータ又はバッテリの型式番号である。
【0032】
また、記憶部32は、機体IDと、無人移動装置100の運行履歴とを関連付けた運行履歴情報を記憶している。運行履歴は、例えば累積運行距離、累積運行時間、累積運行回数、製造時期からの経過期間、購入時期からの経過期間、1回あたりの最大運行距離、1回あたりの最大運行時間、指定された速度が出なかった回数、又はいずれかの部品の異常が検出された回数等を含む。
【0033】
「累積運行距離」は、無人移動装置100の使用が開始されてからの運行距離の累積値である。「累積運行時間」は、無人移動装置100の使用が開始されてからの運行時間の累積値である。「運行回数」は、無人移動装置100の使用が開始されてから運行に使用された回数である。「製造時期からの経過期間」は、無人移動装置100が製造された日から現時点までの期間である。「購入時期からの経過期間」は、無人移動装置100が購入された日から現時点までの期間である。
【0034】
「1回あたりの最大運行距離」は、過去の運行において最も長い距離を運行した際の運行距離である。「1回当たりの最大運行時間」は、過去の運行において最も長い時間を運行した際の運行時間である。「指定された速度が出なかった回数」は、例えばユーザ端末200が指定した速度で移動することができなかった回数である。「いずれかの部品の異常が検出された回数」は、過去の運行において部品の異常が検出された回数である。
【0035】
さらに、記憶部32は、無人移動装置100の機種と点検閾値とを関連付けた点検テーブルを記憶している。
図3は、点検テーブルの例を示す。
図3の点検テーブルでは、機種の種別と、点検の要否の判定に用いられる複数の判定項目それぞれの点検閾値とが関連付けられている。判定項目は、運行履歴情報に含まれる運行履歴に対応している。一例として、運行履歴情報に含まれる各種のデータが示す値が、当該データに対応する点検閾値よりも大きい場合に、点検が必要であると判断される。
【0036】
ところで、用途によって、要求される安全性が異なることが想定されるため、
図3に示す点検テーブルにおいては、用途と機種の組み合わせごとに異なる点検閾値が関連付けられている。例えば、用途αは飛行中に画像を撮影する監視用途であり、用途βは物品を運搬する用途である。このような場合、用途βにおいては用途αよりも高い安全性が求められるため、用途αよりも早い時点で点検が必要であると判定されるように点検閾値が設定されている。
【0037】
また、無人移動装置100が運行する地域によって、要求される安全性が異なることも想定されるため、
図3に示す点検テーブルにおいては、運行地域と機種の組み合わせごとに異なる点検閾値が関連付けられている。例えば、運行地域Xは市街地以外の地域であり、運行地域Yは市街地である。このような場合、運行地域Yにおいては運行地域Xよりも高い安全性が求められるため、運行地域Xよりも早い時点で点検が必要であると判定されるように点検閾値が設定されている。
【0038】
なお、
図3に示す点検テーブルにおいては、機種ごとに点検閾値が示されているが、部品ごとに点検閾値が含まれていてもよい。また、部品と用途の組み合わせ、部品と運行地域の組み合わせ、又は機種と用途と運行地域の組み合わせ等のように、各種の条件に対応する点検閾値が含まれていてもよい。また、点検テーブルに含まれる判定項目は任意であり、
図3に示す点検テーブルのうち一部の判定項目のみが含まれていてもよく、他の判定項目が含まれていてもよい。
【0039】
さらに、
図3に示す点検テーブルにおいては、全ての機種、用途及び運行地域に関連付けて、全ての判定項目に対応する点検閾値が含まれているが、機種、用途及び運行地域によっては、点検要否の判定に用いられない判定項目が含まれていてもよい。一例として、撮像画像を用いる監視の用途において使用され、他の用途において使用されない判定項目として、無人移動装置100から送信される撮像画像の質が含まれていてもよい。
【0040】
なお、記憶部32には、無人移動装置100のユーザが加入している保険が適用されるための条件が記憶されていてもよい。無人移動装置100のユーザが加入している保険が適用されるための条件は、例えば、無人移動装置100の購入時もしくは前回点検時からの経過時間、無人移動装置100の購入時もしくは前回点検時等からの累積運行量、無人移動装置100が運行する運行地域、又は無人移動装置100が運行する用途等である。
【0041】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部33は、記憶部32が記憶しているプログラムを実行することにより、取得部331、特定部332、受付部333、判定部334、出力部335及び生成部336として機能する。
【0042】
取得部331は、通信部31を介して、複数の無人移動装置100から各種の情報を取得する。取得部331は、無人移動装置100を識別するための機体IDと、この無人移動装置が運行した運行量を示す情報とを無人移動装置100から取得する。取得部331は、機体IDに関連付けて記憶部32に記憶された累積運行量に、無人移動装置100から取得した運行量を加算することにより累積運行量を更新する。
【0043】
取得部331は、無人移動装置100が運行を開始してからの継続運行時間、継続運行距離、運行速度及び無人移動装置100に搭載されたバッテリの状態(残量、電気消費率)を含む運行状態情報と、機体IDとを運行中の無人移動装置100から取得してもよい。
【0044】
取得部331は、無人移動装置100が異常を検出したときに、無人移動装置100において異常を検出したことを示すエラー情報と、機体IDとを無人移動装置100から取得してもよい。無人移動装置100の異常は、例えば、無人移動装置100が搭載している部品の故障である。取得部331は、取得したエラー情報と、エラー情報を取得した日時と、機体IDとを関連付けて、エラー履歴情報として記憶部32に記憶させる。
【0045】
特定部332は、記憶部32に記憶されている装置テーブルを参照して、取得部331が取得した機体IDに関連付けて記憶されている装置情報を特定する。特定部332は、特定した装置情報を判定部334へ出力する。特定部332は、特定した装置情報が示す機種、用途又は部品情報を判定部334へ出力してもよい。
【0046】
受付部333は、通信部31を介して、ユーザ端末200から各種の入力情報を受け付ける。受付部333は、例えば、無人移動装置100が運行する日時及び運行ルートを含む運行予約データを受け付ける。運行予約データは、無人移動装置100の用途及び運行地域を含んでもよい。運行予約データは、運行ルート上の複数の位置において無人移動装置100が移動する速度、上昇速度又は高度を位置ごとに指定する情報を含んでもよい。受付部333は、例えば端末IDとともに運行予約データを受け付ける。受付部333は、端末IDに代えて、又は端末IDとともにユーザ識別情報を受け付けてもよい。受付部333は、運行予約データに代えて、又は運行予約データとともに、点検の要否を判定する指示を受け付けてもよい。
【0047】
また、受付部333は、ユーザによる無人移動装置100の目視点検結果、又はユーザが無人移動装置100を撮影して生成された機体撮像画像又は機体撮影映像(以下、「機体撮像画像等」という。)を入力情報としてユーザ端末200から受け付けてもよい。目視点検結果は、例えば、機体ID、点検日時、点検時に交換された部品の情報又はユーザのコメントを含む。機体撮像画像等は、例えば、無人移動装置100の故障が疑われる箇所がユーザにより撮像された画像である。受付部333は、運行予約データ、目視点検結果又は機体撮像画像等を判定部334へ出力する。
【0048】
判定部334は、無人移動装置100の点検の要否を判定する。判定部334は、ユーザ端末200から運行予約データを受付部333が受け付けた場合、又は点検要否を判定する指示を受付部333が受け付けた場合に、点検をする対象となる無人移動装置100に関連付けられた点検閾値と、無人移動装置100の運行履歴が示す値とを比較することにより、点検の要否を判定する。判定部334は、例えば、点検テーブルに含まれている点検閾値よりも取得部331が取得した累積運行量が大きいか否かを判定することにより、点検の要否を判定する。
【0049】
判定部334は、記憶部32に記憶されている複数の点検閾値のうち、特定部332が特定した装置情報が示す機種又は用途に対応する点検閾値を用いて判定する。例えば、判定部334は、特定部332が特定した装置情報に無人移動装置100の機種を示す情報が含まれている場合に、装置情報に含まれる無人移動装置100の機種に点検テーブルにおいて対応する点検閾値を選択する。
【0050】
判定部334は、無人移動装置100の用途(物品の運搬、監視等)又は無人移動装置100が運行する地域(市街地、山間部等)のいずれか一つ以上の情報を含む運行予約データを受付部333が受け付けた場合に、装置情報に含まれる無人移動装置100の機種と、受付部333が受け付けた用途又は運行地域とに点検テーブルにおいて対応する点検閾値を選択してもよい。判定部334は、特定部332が特定した装置情報に無人移動装置100に搭載された部品情報が含まれている場合に、部品情報が示す部品の点検の要否を判定するために用いられる点検閾値を選択してもよい。
【0051】
判定部334は、運行予約データが、用途αで機種Aの無人移動装置100(機体IDが0001)が用いられることを示している場合、機体IDが0001の無人移動装置100の運行履歴情報が示している一以上の項目の値と、点検データにおいて用途α及び機種Aの組み合わせに関連付けられた、運行履歴情報が示している一以上の項目に対応する判定項目の点検閾値とを比較する。
【0052】
一例として、判定部334は、累積運行量の一つである累積運行距離と、点検データにおいて用途α及び機種Aの組み合わせに対応する累積運行距離の点検閾値とを比較する。判定部334は、運行履歴情報が示している累積運行距離の値が点検閾値以上である場合に点検が必要であると判定し、運行履歴情報が示している累積運行距離の値が点検閾値未満である場合に点検が必要でないと判定する。判定部334は、点検閾値よりも累積運行量が大きいか否かを判定した第1判定結果を出力部335に通知する。
【0053】
判定部334は、無人移動装置100の異常が検出された履歴を示すエラー履歴情報に基づいて、異常が検出された頻度が所定の頻度閾値より大きいか否かを判定した第2判定結果を出力部335に通知してもよい。この場合、判定部334は、記憶部32に記憶されているエラー履歴情報が示す異常の検出頻度が、所定の頻度閾値よりも大きいか否かを判定する。頻度閾値は、例えば無人移動装置100に点検又は修理が必要な目安を示す値として定められた値であり、点検テーブルの点検閾値である。判定部334は、無人移動装置100において異常が検出された頻度が頻度閾値より大きいか否かを判定した第2判定結果を出力部335に通知する。
【0054】
一例として、判定部334は、記憶部32に記憶されているエラー履歴情報を参照して、無人移動装置100に搭載されたいずれかの部品の異常を示すエラー情報を、取得部331が、点検テーブルにおける判定項目「いずれかの部品の異常が検出された回数(回)」に対応する点検閾値「1」回以上取得したか否かを判定する。
【0055】
判定部334は、例えば、受付部333がユーザ端末200から運行予約データを受け付けた時点で点検の要否を判定するが、判定部334が判定をするタイミングは任意である。判定部334は、無人移動装置100が運行を開始してからの運行量を無人移動装置100から取得部331が取得した時点で、点検閾値よりも取得した累積運行量が大きいか否かを判定してもよい。また、判定部334は、無人移動装置100の運行が終了するたびに判定してもよい。また、判定部334は、停止中の無人移動装置100について所定時間ごとに判定してもよい。所定時間は、例えば、無人移動装置100のユーザにより予め設定された時間である。
【0056】
なお、判定部334は、同一の用途、機種、判定項目の組み合わせに対して、複数の点検閾値を用いて複数の判定をしてもよい。例えば、判定部334は、点検が適切に実施されていないことをユーザに警告するための警告点検閾値と、無人移動装置100の運行を禁止するための禁止点検閾値とを用いて判定してもよい。
【0057】
また、判定部334は、受付部333が運行予約データを受け付けたことに基づいて、無人移動装置100のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置100が満たすか否かを判定してもよい。例えば、判定部334は、無人移動装置100を購入したときからの経過時間が所定値以下であることが、保険が適用されるための条件である場合には、無人移動装置100を購入してからの経過時間がこの条件を満たすか否かを判定する。所定値は、例えばユーザが保険に加入する際の契約によって定められる値である。
【0058】
判定部334は、無人移動装置100を前回点検したときからの経過時間が基準時間以下であること、又は無人移動装置100を前回点検したときからの累積運行量が基準量以下であることが、保険が適用されるための条件である場合には、経過時間が基準時間以下であるか、又は累積運行量が基準量以下であるかを判定する。基準時間又は基準量は、例えば、ユーザが保険に加入する際の契約によって定められる。
【0059】
判定部334は、運行予約に含まれる用途が農薬の散布であることが、保険が適用されるための条件である場合には、受付部333が受け付けた運行予約に含まれる用途が農薬の散布であるか否かを判定する。判定部334は、無人移動装置100のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置100が満たすか否かを判定した第3判定結果を出力部335に通知する。
【0060】
さらに、判定部334は、受付部333が受け付けた入力情報が、無人移動装置100が故障していることを示す情報であるか否かを判定してもよい。より詳しくは、判定部334は、受付部333が受け付けた入力情報をテキストマイニングしてキーワードを抽出する。判定部334は、文字列を入力データとし、この文字列が、無人移動装置100が故障していることを示す情報であるか否かを分類した分類結果を出力データとする学習済みの機械学習モデルに入力する。判定部334は、機械学習モデルが出力した分類結果に基づいて、受付部333が受け付けた入力情報が、無人移動装置100が故障していることを示す情報であるか否かを判定する。
【0061】
判定部334は、取得部331が取得した機体撮像画像等が、無人移動装置100が故障していることを示しているか否かを判定してもよい。判定部334は、無人移動装置100を撮像した撮像画像を入力データとし、無人移動装置100が故障しているか否かを分類した分類結果を出力データとする学習済みの機械学習モデルに入力する。判定部334は、機械学習モデルが出力した分類結果に基づいて、取得部331が取得した機体撮像画像等が、無人移動装置100が故障していることを示しているか否かを判定する。
【0062】
出力部335は、通信部31を介して、ユーザ端末200に各種のデータを送信する。出力部335は、例えば、判定部334の判定結果を出力する。本明細書の例では、出力部335は、判定部334が選択した点検閾値よりも、無人移動装置100から取得した累積運行量が大きいか否かを判定した第1判定結果を出力する。出力部335は、無人移動装置100において異常が検出された頻度が頻度閾値より大きいか否かを判定した第2判定結果を出力してもよい。
【0063】
出力部335は、取得部331が取得した機体IDに対応するユーザ端末200を特定する。出力部335は、特定したユーザ端末200に対し、第1判定結果又は第2判定結果の少なくともいずれかを出力する。このようにして、出力部335は、無人移動装置100において異常が検出されるリスクが比較的高いことをユーザが把握できるようにすることができる。
【0064】
出力部335は、特定したユーザ端末200に対し、無人移動装置100のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置100が満たしているか否かの第3判定結果を、出力してもよい。出力部335は、取得部331が取得した機体IDに対応するユーザ端末200に対し、無人移動装置100のユーザが加入している保険が適用されるための条件を無人移動装置100が満たしているか否かの第3判定結果を出力する。このようにして、出力部335は、運行予定の無人移動装置100が保険の適用を受けられるかをユーザが把握できるようにすることができる。
【0065】
図4は、出力部335の構成を示す。出力部335は、運行制限部71、料金設定部72及び通知部73を備える。運行制限部71は、受付部333が受け付けた運行予約データに対応する運行スケジュールデータを、この運行予約データとともに取得部331が取得した端末IDに対応するユーザが所有する無人移動装置100へ送信する。運行制限部71は、判定部334が無人移動装置100の点検が必要であると判定した場合(例えば、累積運行量が点検閾値よりも大きいと判定部334が判定した場合)に、この無人移動装置100の運行を禁止する。このとき、運行制限部71は、この無人移動装置100に対し、運行スケジュールデータを送信しない。運行制限部71は、無人移動装置100の運行を禁止した後、この無人移動装置100の点検が実施されるまで、この無人移動装置100へ運行スケジュールデータを送信しない。
【0066】
一方、運行制限部71は、判定部334が無人移動装置100の点検が必要でないと判定した場合(例えば、累積運行量が点検閾値以下であると判定部334が判定した場合)に、この無人移動装置100の運行を許可する。このとき、運行制限部71は、この無人移動装置100に対し、運行スケジュールデータを送信する。この運行スケジュールデータに基づいて、無人移動装置100による運行が行われる。
【0067】
運行制限部71は、無人移動装置100の機種、用途又は運行地域のいずれかに関連付けて点検テーブルに含まれている複数の点検閾値に対応する全ての判定において無人移動装置100が運行するための条件を満たしたと判定部334が判定したことを条件として、無人移動装置100の運行を許可してもよい。一方、運行制限部71は、機種、用途又は運行地域のいずれかに関連付けて点検テーブルに含まれている複数の点検閾値のうち、いずれかの点検閾値を無人移動装置100が満たしていないと判定部334が判定した場合、無人移動装置100の運行を禁止する。
【0068】
料金設定部72は、無人移動装置100のユーザが加入している保険の保険料を決定し、決定した保険料を出力する。無人移動装置100の累積運行量が大きいにもかかわらず事故又は故障の発生回数が低い場合、ユーザが無人移動装置100を運行させることにより、異常が発生するリスクが低いと推定することができる。このため、料金設定部72は、取得部331が取得した累積運行量が点検閾値より大きい場合に、無人移動装置100のユーザが加入している保険の保険料を下げる。料金設定部72は、取得部331が取得した累積運行量が点検閾値より大きく、かつ、記憶部32に記憶されているエラー履歴情報において無人移動装置100からエラー情報を取得した頻度が頻度閾値より低いことが示されている場合に、保険料を下げてもよい。料金設定部72は、決定した保険料をユーザに通知する。
【0069】
一方、料金設定部72は、取得部331が取得した累積運行量が点検閾値より小さく、かつ、記憶部32に記憶されているエラー履歴情報において無人移動装置100からエラー情報を取得した頻度が頻度閾値より高いことが示されている場合に、無人移動装置100が運行する運行環境において異常が検出されるリスクは比較的高いと推定し、保険料を上げる。このようにして、料金設定部72は、無人移動装置100の点検を実施した頻度と異常が検出された頻度とに応じて、適切な保険料を設定することができる。
【0070】
通知部73は、取得部331が取得した機体IDに対応するユーザ端末200を特定する。通知部73は、第1判定結果、第2判定結果又は第3判定結果のいずれか一つ以上をユーザ端末200に通知する。
【0071】
通知部73は、運行制限部71と異なる点検閾値に基づいて判定部334が判定した判定結果をユーザ端末200に通知してもよい。例えば、点検が適切に実施されていないことをユーザに警告するための警告点検閾値と、無人移動装置100の運行を禁止するための禁止点検閾値とを判定部334がそれぞれ選択した場合に、通知部73は、判定部334が選択した警告点検閾値よりも累積運行量が大きいか否かを判定した第1判定結果をユーザ端末200に通知してもよい。一方、運行制限部71は、判定部334が選択した禁止点検閾値よりも累積運行量が大きい場合に、無人移動装置100の運行を禁止し、累積運行量が禁止点検閾値以下である場合に、無人移動装置100の運行を許可してもよい。禁止点検閾値は、例えば、警告点検閾値よりも大きい値である。
【0072】
[点検テーブルの生成]
生成部336は、
図3に示したように、無人移動装置100の機種と点検閾値とを関連付けた点検テーブルを生成する。一例として、生成部336は、複数の無人移動装置100において過去に発生した故障に関する統計情報に基づいて、無人移動装置100の機種と点検閾値とを関連付けた点検テーブルを生成する。点検テーブルを生成するために、生成部336は、複数の無人移動装置100において過去に故障が発生した事例と、それぞれの無人移動装置100において点検が実施されていた頻度と、それぞれの無人移動装置100の機種とを含む情報を、複数の無人移動装置100の運行を管理する外部装置(不図示)から取得する。
【0073】
生成部336は、取得した情報を統計的に解析することにより、どの程度の頻度で無人移動装置100の点検を実施することにより故障が抑制可能であるかを機種ごとに特定する。生成部336は、特定した頻度で無人移動装置100の点検を実施するための点検閾値を機種ごとに設定する。生成部336は、無人移動装置100が運行する用途、又は無人移動装置100が運行する地域に関連付けられた点検閾値を含む点検テーブルを生成してもよい。
【0074】
生成部336は、学習済みの機械学習モデルを用いて点検閾値を設定してもよい。生成部336は、過去に異常の検出又は故障等が発生した無人移動装置100を含む同じ機種及び同じ用途の多数の無人移動装置100を、それぞれの無人移動装置100の点検のために利用された点検閾値ごとにグループ分けし、それぞれのグループごとに異常の検出又は故障の発生等が生じる頻度を算出する。生成部336は、算出した異常の検出等の頻度と、点検閾値とを関連付けた学習データを機械学習モデルに学習させることにより学習済みの機械学習モデルを生成する。生成部336は、学習済みの機械学習モデルに事業上の収益性を確保する等の観点から許容可能な異常の検出の頻度を入力データとして入力し、機械学習モデルが出力データとして出力した点検閾値を取得する。
【0075】
[次に運行する無人移動装置100の選択]
出力部335は、取得部331が複数の無人移動装置100からそれぞれ取得した機体ID及び累積運行量に基づいて、複数の無人移動装置100のうち次に運行する無人移動装置100を判定部334が選択した結果を出力してもよい。例えば、判定部334は、一人のユーザが所有する複数の無人移動装置100において累積運行量の偏りが生じないように、取得部331が取得した累積運行量が最も小さい無人移動装置100を選択する。
【0076】
判定部334は、バッテリの劣化状態に基づいて、バッテリの劣化が最も少ない無人移動装置100を選択してもよい。例えば、出力部335は、取得部331が複数の無人移動装置100からそれぞれ取得したバッテリの劣化状態を示す情報により無人移動装置100を推定する。
【0077】
また、判定部334は、運行中の複数の無人移動装置100から取得部331が取得した運行状態情報に含まれる無人移動装置100が運行を開始してからの継続運行時間、継続運行距離、運行速度及び無人移動装置100に搭載されたバッテリの状態(残量、電気消費率)に基づいて、複数の無人移動装置のバッテリの劣化状態をそれぞれ特定してもよい。例えば、判定部334は、継続運行時間又は継続運行距離に対してバッテリ残量が減少する割合を特定し、特定した割合に基づいて、バッテリの劣化状態をそれぞれ特定する。判定部334は、特定したバッテリの劣化が最も少ない無人移動装置100を選択してもよい。
【0078】
また、判定部334は、次の飛行について受付部333が受け付けた運行予約が示す運行ルート又は用途等に応じて、異なる無人移動装置100を選択してもよい。例えば、判定部334は、次の飛行について受付部333が受け付けた運行予約が示す運行ルートが市街地を通る場合に、記憶部32が記憶しているエラー履歴情報において無人移動装置100からエラー情報を取得した頻度が最も低いことが示されている無人移動装置100を選択してもよい。一方、判定部334は、次の飛行について受付部333が受け付けた運行予約に含まれる運行ルートが市街地を通らない場合に、累積運行量が最も小さい無人移動装置100を選択してもよい。
【0079】
[故障内容を示す情報の送信]
出力部335は、受付部333が受け付けた入力情報又は取得部331が取得した機体撮像画像等が、無人移動装置100が故障していることを示していると判定部334が判定した場合に、機体撮像画像等を所定の連絡先に送信してもよい。所定の連絡先は、例えば、無人移動装置100を修理する事業者が管理する外部端末(不図示)である。このようにして、出力部335は、無人移動装置100の故障について無人移動装置100を修理する事業者に無人移動装置100の診断又は修理を依頼することができる。
【0080】
[点検要否の判定処理の流れ]
図5は、情報出力装置300による点検要否の判定の処理手順を示すフローチャートである。
図5の処理手順は、例えば、無人移動装置100が運行する運行予約を受付部333が受け付けたときに開始する。
【0081】
まず、取得部331は、無人移動装置100を識別する機体IDと運行予約データとをユーザ端末200から取得する。取得部331は、記憶部32に記憶されている運行履歴情報を参照して、取得した機体IDに関連付けて記憶されている累積運行量を特定する(S11)。特定部332は、記憶部32に記憶されている装置テーブルを参照して、取得部331が取得した機体IDに関連付けて記憶されている装置情報を特定する(S12)。判定部334は、無人移動装置100の点検を要する時期に関する複数の点検閾値のうち、特定部332が特定した装置情報に対応する点検閾値を選択する(S13)。
【0082】
判定部334は、選択した点検閾値よりも取得部331が取得した新たな累積運行量が大きいか否かを判定する(S14)。運行制限部71は、判定部334が選択した点検閾値よりも累積運行量が大きいと判定部334が判定した場合に(S14のYES)、無人移動装置100の運行を禁止し(S15)、処理を終了する。一方、運行制限部71は、S14の判定において累積運行量が点検閾値以下であると判定部334が判定した場合に(S14のNO)、無人移動装置100の運行を許可する(S16)。
【0083】
図6は、情報出力装置300による無人移動装置100の選択の処理手順を示すフローチャートである。
図6の処理手順は、例えば、無人移動装置100の次回の運行予約を受付部333が受け付けたときに開始する。
【0084】
まず、取得部331は、記憶部32に記憶されているユーザテーブルを参照して、運行予約を示す情報とともに取得部331が取得した端末IDに関連付けて記憶されている複数の機体IDを取得する。取得部331は、記憶部32に記憶されている運行履歴情報を参照して、取得した複数の機体IDに対応する複数の累積運行量をそれぞれ特定する(S21)。
【0085】
判定部334は、取得部331が取得した複数の機体IDに対応する複数の無人移動装置100のうち、取得した累積運行量が最も小さい無人移動装置100を次に運行する無人移動装置として選択する(S22)。通知部73は、取得部331が取得した端末IDに対応するユーザ端末200に対し、判定部334が選択した無人移動装置100を通知し(S23)、処理を終了する。
【0086】
[本発明による効果]
判定部334は、ユーザにより指定された無人移動装置100の機種、無人移動装置100の用途又は部品情報に基づいて選択した点検閾値よりも、無人移動装置100の累積運行量が高いか否かを判定し、出力部335が判定結果をユーザ端末200に出力する。このようにして、情報出力装置300は、無人移動装置100の点検が適切な時期に実施されているか否かをユーザが把握することができるようにすることができる。
【0087】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0089】
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
71 運行制限部
72 料金設定部
73 通知部
100 無人移動装置
200 ユーザ端末
300 情報出力装置
331 取得部
332 特定部
333 受付部
334 判定部
335 出力部
336 生成部