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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20231010BHJP
   G05B 19/4068 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/4068
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022176546
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2021145220の分割
【原出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2022190093
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 誠吾
(72)【発明者】
【氏名】藤田 政利
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-81906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/18 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して所定の作業を行う作業ロボットを含む作業システムに用いられる情報提供装置であって、
前記作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と該構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録して記憶する記憶部と、
前記構造体の情報と該構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で前記作業システムの動作を実現する動作プログラムと、
前記処理モデルをコマンドとして入力する処理リストを入力可能な処理リスト入力欄を表示する表示部と、を備え
前記処理リストは、前記動作プログラムにより実行されるほか、前記作業システムを製造したのち当該作業システムでも実行ジョブとして利用可能である、
情報提供装置。
【請求項2】
前記処理リスト入力欄は、移動処理における目標座標の入力欄を含む、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記処理モデルの動作条件を入力する動作条件リスト入力欄を表示する、請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記動作条件リスト入力欄は、移動処理における速度または加速度、前記ワークを採取する際の把持力または吸引力のうち、少なくともいずれか1つを入力可能である、請求項に記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、情報提供装置、情報提供方法及びプログラムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対して作業を行う製造システムの構築方法としては、メインフレームと制御装置を備えた本体装置と、作業要素実行装置を準備し、本体装置のメインフレームに作業要素実行装置を組み付け、制御装置にこの作業要素実行装置を統括して制御するための設定を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構築方法では、汎用性の高い製造システムを構築可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-56002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、特定のワークに対して特定の作業を行う作業ロボットを1以上備えた作業システムを構築しようとした場合、技術者は、作業に適合する作業ロボットを選定し、この作業ロボットを購入し、ティーチングペンダントなどを用いて位置合わせなどを行ったのち、現場ティーチングにより作業ロボットの動作を設定する必要があった。このように、作業システムを構築することは、技術者の高いティーチングスキルを要するものであった。また、作業ロボットは、作業範囲や作業内容が限られることもあるので、技術者は、作業ロボットを購入してシステムを組んでみなければ作業を実行できるか否かを把握できない場合があった。作業システムを組んだのち、作業を実行するのに支障があることが判明した場合、技術者は、更なる変更などを要することから、作業システムを構築することは、容易ではなかった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、作業システムの構築をより容易に実現することができる情報提供装置及び情報提供方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の情報提供装置は、
ワークに対して所定の作業を行う作業ロボットを含む作業システムに用いられる情報提供装置であって、
前記作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と該構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録して記憶する記憶部と、
前記構造体の情報と該構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で前記作業システムの動作を実現する動作プログラムと、
前記記憶部に記憶された2以上の前記構造体の情報及び該構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得し、前記記憶部から前記選択情報に含まれる前記構造体の情報及び前記処理モデルの情報を読み出し、前記動作プログラムにより2以上の前記構造体を接続した状態で前記処理モデルの処理を仮想空間上で実現し、該実現した処理結果を出力させる制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この情報提供装置は、作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と、構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録している。また、この情報提供装置は、構造体の情報と構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で作業システムの動作を実現する動作プログラムを有している。そして、この情報提供装置は、2以上の構造体の情報及び構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得し、選択情報に含まれる構造体の情報及び処理モデルの情報を読み出し、動作プログラムにより2以上の構造体を接続した状態で処理モデルの処理を仮想空間上で実現し、実現した処理結果を出力する。顧客又は製造者である作業者は、実際に作業システムを構築することなく、出力された処理結果に基づいて複数の構造体を組み合わせた場合にどのように処理が実行されるかを仮想空間上で確認することができる。したがって、この情報提供装置では、作業システムの構築をより容易に実現することができる。ここで、「構造体」には、例えば、作業ロボットの一部又は全部のほか、作業ロボットに装着される部材、作業ロボットの周辺に配置される部材などが含まれる。また、「処理結果」には、例えば、構造体の動作や撮像画像の状態、画像処理での判定結果などが含まれ、具体的には、作業ロボット(構造体)同士の干渉の有無、ワークの採取、保持、移動が可能か否か、ワークの落下の有無、撮像画像の画質、画像処理の精度などのうち1以上が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エコシステム10の一例を示す概略説明図。
図2】作業システム50の一例を示す斜視図。
図3】記憶部23に記憶された情報の説明図。
図4】情報提供処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図5】情報提供画面60の説明図。
図6】処理条件入力画面72の説明図。
図7】システムを構成していく過程での画像表示欄67の説明図。
図8】仮想空間上での作業システム50の正常でない動作を示す説明図。
図9】仮想空間上での作業システム50の正常動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示する情報提供装置20の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、情報提供装置20を備えるエコシステム10の概略説明図である。図2は、ワークWに対して所定の処理を行う作業システム50の一例を示す斜視図である。図3は、記憶部23に記憶された装置データベース(DB)31、周辺装置DB32、アプリDB33の説明図である。エコシステム10は、図1に示すように、LAN12に接続された複数の設計パソコン(PC)13と、LAN12に接続された情報提供装置20とを備えている。設計PC13は、図2に示す作業システム50に組み込まれる構造体、例えば、作業ロボットとしての配列装置52やその周辺に装着する周辺装置の設計などを行うコンピュータである。
【0011】
情報提供装置20は、ワークWに対して所定の作業を行う作業ロボットを含む作業システムに関する情報を取り扱うサーバとして構成されている。情報提供装置20は、例えば、作業システム50の受注を行ったり、配列装置52に装着される周辺装置の受注納入を行うものである。この情報提供装置20は、インターネットなどのネットワーク11を介して店舗PC40(情報処理装置)へデータを送信したり、店舗PC40から情報を受信する。この情報提供装置20は、装置全体の制御を司る制御装置21と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する記憶部23と、各種情報を表示する表示部24と、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置25と、設計PC13など外部機器と通信を行う通信部26とを備えている。制御装置21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されている。通信部26は、外部機器との通信を行うネットワークインターフェイスである。
【0012】
ここで、作業システム50について説明する。この作業システム50は、図2に示すように、処理対象の物品(ワークW)に対して所定の処理を行う作業ロボットとしての配列装置52を備えている。作業システム50は、ワークWを配列するパレットなどの配置部材18を搬送する搬送装置51と、1以上の配列装置52と、ワークWを供給する供給装置54と、装置の制御を行う制御装置52aとを備える。ここでは、この作業システム50がワークWを供給位置から配置部材18へ移動させる作業を行うことを一例として説明する。作業対象のワークWとしては、特に限定されないが、例えば、機械部品、電気部品、電子部品、化学部品など各種の部品のほか、食品、バイオ、生物関連の物品などが挙げられる。また、所定の作業としては、例えば、供給位置から目的位置まで採取、移動、配置する移動作業や、部品を組み付ける組付け作業、加工を施す加工作業、粘性材料を塗布する塗布作業、加熱する加熱作業、化学的及び/又は物理的な所定処理を行う処理作業及び検査を行う検査作業などが挙げられる。配列装置52は、多関節アームロボットとして構成されており、基台53と、アーム部材55と、エンドエフェクタ56と、台座部57とを備えている。基台53は、隣接する装置(配列装置52など)と接続される接続部を有する直方体型の部材であり、その上部にアーム部材55や、他の装置(搬送装置51や供給装置54)などが配設される。アーム部材55は第1アーム部材55aと第2アーム部材55bと第3支持部55cとを有している。エンドエフェクタ56は、アーム部材55の先端に取り外し可能に配設されている。このエンドエフェクタ56の下面側には、ワークWを把持して採取する採取部材58と、処理対象の認識に用いる撮像装置59とが配設されている。なお、採取部材58は、負圧によりワークWを採取する吸着ノズルとしてもよい。この作業システム50によれば、ワークWに対する処理作業を自動化することができる。
【0013】
情報提供装置20の記憶部23には、図1、3に示すように、装置DB31や周辺装置DB32、アプリDB33、動作プログラム34などが記憶されている。装置DB31は、情報提供装置20が取り扱う各種装置の情報を含むデータベースである。この装置DB31には、装置の識別情報(ID)、その装置の用途情報、装置の外形などの構造的なデータを含む装置構造データ、その装置に対応付けられた処理モデルの情報、その装置の基本スペックを含む処理能力データ、その装置に接続可能なものの情報を含む装着対象情報、その装置の価格に関する価格データなどが含まれる。作業システム50には、構造体としての装置(主装置)と周辺装置とが含まれており、例えば、主装置としては作業ロボットとしての配列装置52及び基台53が挙げられ、周辺装置としては搬送装置51、供給装置54、エンドエフェクタ56及び撮像装置59などが挙げられる。装置の用途とは、その装置が有する機能を大まかに抽出可能な情報を含み、例えば、「配置」、「移動」、「移送」、「固定」、「採取」、「方向変更」などが含まれる。装置構造データには、構造体データや可動部位データ、接続部位データなどが含まれる。構造体データは、装置を構成する部位毎の構造体を形状やサイズ、材質などにより特定するデータである。この構造体データには、更に、形状データ、構造条件データ及び材質データなどが含まれるものとしてもよい。形状データは、例えば、3次元CADデータとしてもよい。構造条件データには、例えば、構造体の強度やヤング率、重量、導電性や絶縁性などの情報が含まれるものとしてもよい。材質データには、例えば、構成されている材質の情報、例えば、樹脂、金属、セラミックなどの情報を含むものとしてもよい。例えば、配列装置52において、構造体データには、第1アーム部材55aの骨格や第2アーム部材55bの骨格、両者を接続する接続部材などの形状、構造条件、材質などの情報が含まれる。可動部位データには、例えば、エンドエフェクタ56の回動軸、第1アーム部材55aの回動軸、第2アーム部材55bの回動軸などの位置や方向、可動範囲の情報、第3支持部55cの回転軸(垂直軸)の位置や方向、可動範囲の情報などが含まれる。この可動部位データによって、例えば、アーム部材55の可動範囲や可動方向などが規定される。接続部位データには、例えば、台座部57の固定部位や、エンドエフェクタ56の接続部位、採取部材58の接続部位、撮像装置59の接続部位の規格、位置及び大きさなどの情報が含まれる。この接続部位データによって、例えば、接続可能な配列装置52や、エンドエフェクタ56に装着可能な採取部材58や撮像装置59などが規定される。処理モデルの情報には、例えば、ワークWを用いた移動処理、採取処理、配置処理、方向変換処理、組込処理、撮像処理及び画像処理のうち1以上の情報が含まれる。この処理モデルは、構造体が実行する処理に関連して規定されるものであり、例えば、装置において、搬送装置51には「移送処理」、配列装置52には「移動処理、採取処理、配置処理」などが関連として対応付けられる。また、周辺装置において、採取部材58には「採取処理」、撮像装置59には「撮像処理」、制御装置52aには「画像処理」などが関連として対応付けられる。また、各処理モデルの中にも、例えば、「撮像処理」には、静止画撮像、動画撮像、連続撮像など、複数の処理概念が含まれることがあり、それぞれに応じた処理条件などが設定される。処理能力データには、例えば、その装置における、処理可能なワークWの大きさや質量、装置の動作速度、加速度、ワークに付与可能な圧力(加圧、負圧)、荷重、使用可能な電流、電圧、エネルギー量などが含まれる。装着対象情報には、その装置に接続可能な他の装置及び/又はその装置に接続可能な周辺装置に関する情報、例えば装置IDや周辺装置IDなどが含まれる。この装着対象情報は、上記接続部位データに基づいて設定される。この装置DB31に含まれる情報により、その装置の大きさ、形状、可動範囲、処理内容などが規定される。
【0014】
周辺装置DB32には、周辺装置の識別情報(ID)、その周辺装置の用途情報、周辺装置の外形などの構造的なデータを含む部材構造データ、その周辺装置に対応付けられた処理モデルの情報、その周辺装置の基本スペックを含む処理能力データ、その周辺装置が接続可能な装置及び/又はその周辺装置が接続可能な他の周辺装置に関する情報を含む装着対象情報、その周辺装置の価格に関する価格データなどが含まれる。この周辺装置DB32に含まれる情報は、上述した装置DB31と同様であるものとして、その詳細な説明を省略する。この周辺装置DB32に含まれる情報により、その周辺装置の大きさ、形状、可動範囲、処理内容などが規定される。アプリDB33は、装置や周辺装置に用いられる処理モデルを含む制御ソフトウエア(アプリ)の情報を含むデータベースである。このアプリDB33には、例えば、アプリの識別情報(ID)、そのアプリの用途情報、そのアプリが利用可能な装置及び/又は周辺装置に関する情報を含む適用対象情報、そのアプリに対応付けられた処理モデルの情報、その周辺装置の価格に関する価格データなどが含まれる。アプリは、特定の装置や周辺装置などの構造体に用いられるものであり、構造体と共に、あるいは構造体とは別に作製、販売される。このようなアプリとして、具体的には、特定の撮像装置59に用いられる撮像処理の制御内容などが挙げられる。また、アプリは、作業システム50に用いられる装置や周辺装置などの構造体のトレーサビリティツール、画像処理データ作成ツールや分析ツール等としてもよい。このアプリDB33に含まれるアプリを構造体に適用することによって、特定のワークWなどに対するその構造体の制御などが好適化される。
【0015】
動作プログラム34は、構造体の情報とこの構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で作業システムの動作(構造体の動作)を実現するプログラムである。動作プログラム34は、構造体を処理モデルの処理で動作させるいわゆるシミュレーションプログラムである。この動作プログラム34は、装置に周辺装置が装着された状態や、装置と装置とが接続された状態、更にはこれらの組み合わせなどにおいて、装置DB31と周辺装置DB32とに含まれる情報を取得してその動作を実行し、実行した結果を、例えば動画として表示出力する。このとき、動作プログラム34は、構造物及び処理モデルに適用する処理条件を適用し構造体における処理モデルの処理を仮想空間上で実現させる。
【0016】
店舗PC40は、図1に示すように、エコシステム10を運営する企業などが運営する店舗15に配設されている。この店舗PC40は、作業システム50の導入を検討する顧客などへ作業システム50の情報を提供する。店舗15には、例えば、作業システム50の技術を理解した説明員などが配置されており、この説明員により店舗PC40が操作される。店舗PC40は、情報処理装置として構成されており、CPU42などを含む制御装置41と、記憶部43と、表示部44と、入力装置45と、通信部46とを備える。なお、制御装置41や記憶部43、表示部44、入力装置45及び通信部46は、情報提供装置20で説明したものと同様のものとしてもよい。この店舗PC40は、ネットワーク11及び通信部46を介して情報提供装置20とデータのやりとりを行う。
【0017】
次に、本実施形態のエコシステム10の動作、特に、作業ロボットによる自動化に関する情報を顧客に提供する動作について説明する。ここでは、主として、店舗PC40から取得した情報に基づいて情報提供装置20が実行する処理について説明する。また、情報提供装置20が、作業システム50(図2参照)を構築する場合の処理について具体例として説明する。図4は、情報提供装置20のCPU22が実行する情報提供処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部23に記憶され、店舗15の作業者(説明員)による開始指示を受けて実行される。このルーチンを開始すると、制御装置21のCPU22は、情報提供画面60を店舗PC40へ出力する(ステップS100)。
【0018】
図5は、店舗PC40の表示部44に表示される情報提供画面60の一例を示す説明図である。情報提供画面60には、カーソル61、用途入力欄62、装置入力欄63、周辺装置入力欄64、アプリ入力欄65、ワーク入力欄66、画像表示欄67などが配置されている。カーソル61は、画面上に配置された入力欄に対して作業者が選択及び入力指示するものであり、入力装置45の操作により画面上を移動する。用途入力欄62は、これから構築しようとするシステムの用途を特定する情報を入力する欄である。用途入力欄62に用途が入力されると、装置DB31や周辺装置DB32に基づいて、その用途に適合する装置や周辺装置が優先的に表示される。なお、用途入力欄62や、その他入力欄では、プルダウンメニューにより選択項目が表示される。この情報提供画面60では、特定の項目が入力されると、それに応じて選択項目が増加したり減少したり変化する。例えば、装置が特定されると、その装置に接続可能な他の装置は選択可能に表示され、接続できない装置は選択不可になる。また、ワークのサイズや質量が入力されると、それを取り扱えない装置や周辺装置は選択不可になる。選択不可の態様としては、例えば、選択項目から削除されるものとしてもよいし、選択不可の態様で表示されるものとしてもよい。このような表示制御は、情報提供装置20から出力される情報に基づいて行われ、制御装置21により実現されてもよいし、制御装置41により実現してもよい。装置入力欄63は、所望の装置を選択入力する欄である。この装置入力欄63では、装置が選択されると、その装置に対応付けられた処理モデルが表示可能となり、その装置の画像が入力欄の隣の領域に表示される。周辺装置入力欄64は、装置に装着する周辺装置を入力する欄である。この周辺装置入力欄64においても、周辺装置が選択されると、それに対応付けられた処理モデルが表示可能となり、その周辺装置の画像が入力欄の隣の領域に表示される。アプリ入力欄65は、装置及び周辺装置などの構造体に適用するアプリを選択入力する欄である。このアプリ入力欄65では、アプリが選択されると、それに対応付けられた処理モデルが表示可能となり、その処理内容の詳細が入力欄の隣の領域に表示される。ワーク入力欄66は、取り扱うワークに関する情報を入力する欄であり、例えば、そのワークの種別や、機械的強度などの物性、質量、サイズ、形状などが入力可能である。画像表示欄67は、選択された装置や周辺装置が接続、装着された状態で表示される欄である。この画像表示欄67には、作業システム50の画像や動画が表示される。また、情報提供画面60には、仕様書出力キー68、仮想処理実行キー69、処理条件入力キー70、中止キー71などが配置されている。仕様書出力キー68は、仕様書を出力するときに押下(クリック)されるキーである。仮想処理実行キー69は、動作プログラム34による作業システム50の動作を画像表示欄67上で表示させるときに押下されるキーである。処理条件入力キー70は、動作プログラム34で実行する処理条件を入力する際に押下されるキーである。中止キー71は、現在の処理を中止する際に押下されるキーである。処理条件入力キー70が押下されると、CPU22は処理条件入力画面72を表示部44に表示させる。
【0019】
図6は、店舗PC40の表示部44に表示される処理条件入力画面72の説明図である。この処理条件入力画面72は、処理条件入力キー70が押下されると情報提供画面60の上に重ねて表示される。処理条件入力画面72には、処理リスト入力欄73、動作条件リスト入力欄74及び決定キー75が配置されている。処理リスト入力欄73は、作業システム50が処理する処理モデルをコマンドとしてリスト形式で入力する欄である。この処理リスト入力欄73には、処理モデルの入力欄と、移動処理における目標座標の入力欄とが含まれる。この処理リストは、動作プログラム34により実行されるほか、作業システム50を製造したのち、この作業システム50でも実行ジョブとしてそのまま利用可能に構成されている。図6に示したリストは、採取部材58を、A位置に移動したのちA位置より低いB位置(採取位置)へ移動し、そこで採取処理を行い、B位置より高いC位置へ移動する、との処理が規定されている。動作条件リスト入力欄74は、処理モデルの動作条件を入力する欄であり、例えば、移動処理における速度や加速度、ワークWを採取する際の把持力や吸引力などを入力可能である。決定キー75は、処理リスト入力欄73や動作条件リスト入力欄74への入力が終了した際に押下されるキーである。作業者は、この情報提供画面60や処理条件入力画面72に対して各種必要な入力を行う。
【0020】
S100のあと、CPU22は、システムの用途が入力されたか否かを用途入力欄62への入力内容に基づいて判定する(S110)。システム用途が入力されたときには、CPU22は、入力された用途に適合する構造体や処理モデル、アプリを抽出する(S120)。CPU22は、構造体や処理モデル、アプリの抽出を装置DB31、周辺装置DB32及びアプリDB33を利用して行う。また、CPU22は、この抽出した情報を情報提供画面60の表示制御に利用する。S120のあと、またはS110で入力がないとき、CPU22は、装置及びそれに関連する処理モデルが選択されたか否かを店舗PC40から選択情報を取得したか否かに基づいて判定し(S130)、装置及び処理モデルが選択されていないときには、そのまま待機する。店舗PC40は、装置入力欄63の入力内容を選択情報として情報提供装置20へ送信する。一方、S130で装置が選択されたときには、CPU22は、装置が複数選択されたか否かを判定する(S140)。装置が複数選択されていないとき、即ち装置が1台選択されているときには、CPU22は、その装置に関連する処理モデルを抽出し(S150)、選択された装置に接続可能な他の装置、周辺装置を抽出する(S160)。このとき、CPU22は、接続不可である装置や周辺装置を選択不可に設定する。一方、S140で装置が複数選択されたときには、先に選択されたものに対して接続部位などで接続を行う(S170)。なお、処理の図示を省略したが、CPU22は、アプリが選択されたか否かを判定し、アプリが選択されたときには、そのアプリを装置又は周辺部材に適用するものとしてもよい。
【0021】
S160又はS170のあと、CPU22は、処理条件入力キー70が押下されて処理条件入力画面72において処理条件が入力されたか否かを処理条件を含む処理条件情報を店舗PC40から取得したか否かに基づいて判定し(S180)、処理条件が入力されたときには、処理リストにその内容を登録する(S190)。S190のあと、又はS180で処理条件が入力されていないとき、CPU22は、周辺装置が選択されたか否かを周辺装置入力欄64の入力内容に基づいて判定し(S200)、周辺装置が選択されたときには、装置などの接続部位に対して装着、接続又は固定などを行う(S210)。なお、処理の図示を省略したが、CPU22は、アプリが選択されたか否かを判定し、アプリが選択されたときには、そのアプリを装置又は周辺装置に適用するものとしてもよい。
【0022】
S210のあと、又はS200で周辺装置が選択されなかったときには、CPU22は、現在構築されている作業システム50が動作可能な状態であるか、即ち、上述の各種データが正しく選択又は入力されたか否かを判定する(S220)。例えば、CPU22は、動作条件が入力されていない場合や、処理を実行する周辺装置が選択されていない場合など、不備がある場合に作業システム50が動作可能でないものと判定する。作業システム50が動作可能でないと判断された場合、仮想処理実行キー69を選択不可状態(例えばグレー表示)として押下できないようにしてもよい。また、CPU22は、作業システム50が動作可能な状態であるときに仮想処理実行キー69が押下されたか否かに基づいてS220の判定を行う。S220で否定判定されたとき、例えば作業システム50が動作可能でないとき、又は動作可能であっても作業システム50を変更するときには、CPU22は、S110以降の処理を実行する。即ち、仮想空間上で作業システム50の動作処理を実行させることができない場合、作業者は現在構築されている作業システム50を修正する。また、CPU22は、装置が新たに選択されればそれを接続させ、周辺装置が新たに選択されればそれを接続させ、処理条件が入力されればそれを処理リストに登録する。
【0023】
図7は、システムを構成していく過程での画像表示欄67の説明図であり、図7Aが配列装置52を選択した図、図7Bが複数の配列装置52を接続した図、図7Cが搬送装置51を選択した図、図7Dが供給装置54を配設し作業システム50を構築した図である。作業者が装置を選択すると、画像表示欄67にその選択内容が反映される。また、記憶部43には、各装置の接続部位の情報が記憶されているから、CPU22は、この情報を用い、その接続部位同士を接続した状態の装置を画像表示欄67に表示する。このとき、接続部位で接続可能なものが選択可能に情報提供画面60に表示されるから、作業者は装置の選択が容易である。
【0024】
さて、S220で装置が動作可能な状態で動作入力されたときには、CPU22は、仮想空間上での作業システム50の動作処理を実行させる(S230)。CPU22は、選択されている構造体及びそれに関連する処理モデルにおいて、登録された処理条件を適用して仮想空間上で作業システム50を動作させ、その動作結果を動画として画像表示欄67に出力させる。このとき、CPU22は、設定された処理条件の速度、加速度でワークWを移動させた際に、把持力やワークWの質量などに応じて移動中にワークWの落下や把持位置のずれが生じるか否かなども含む計算を行う。また、CPU22は、装置を動作させた際に、その構造体が他の構造体と干渉(接触)するか否かについても計算する。更に、CPU22は、設定された処理リストを実行した際に、処理にかかる時間なども計算する。S230のあと、CPU22は、作業システム50が正常に動作したか否かを上記計算結果に基づいて判定する(S240)。即ち、CPU22は、仮想空間上において、作業システム50によって実行されるべき所定の作業が正常に行なわれた否かを判定する。正常に動作できなかったときには、CPU22は、動作不良である旨作業者に報知し(S250)、S110以降の処理を実行する。動作不良を確認した作業者は、例えば、S130で装置を変更したり、S200で周辺装置を変更したりして、現在構築されている作業システム50を修正する。
【0025】
図8は、仮想空間上での作業システム50の正常でない動作を示す説明図であり、図8AがワークWを採取する図、図8BがワークWを移動する図、図8CがワークWを配置する図である。図9は、仮想空間上での作業システム50の正常動作を示す説明図であり、図9AがワークWを採取する図、図9BがワークWを移動する図、図9CがワークWを配置する図である。図8に示すように、配列装置52がワークWを移動する際に、把持力が足りない場合などは、ワークWが採取部材58から落下することがありうる。これを確認した作業者は、把持力の高い採取部材58に差し替えて再度動作させる。図9に示すように、把持力の高い採取部材58を利用すると、このワークWの採取、移動、配置処理において、正常に動作することが確認できる。また、このエコシステム10においては、作業システム50が正常に動作できることが確認できた場合においても、例えば、トータルの処理時間についても検討することが可能であり、最適な装置環境を、実機を用意することなく検証することができる。また、仮想空間上での作業システム50の動作確認においては、例えば、想定される他種のワークWへの品種切り替え時の作業について検討することも可能であり、ワークを配列させる配置部材18を変更した結果なども検証することができる。更に、エコシステム10では、例えば、供給装置54のワークWの供給条件などを最適化するアプリを組み込んだ状態で、仮想空間上での作業システム50の動作確認を行うことにより、処理時間の短縮など効率化の効果の検証も行うことができる。
【0026】
一方、S240で作業システムが正常に動作したときには、現在登録されている処理リスト及び作業システム50の装置構成などを保存する(S260)。続いて、CPU22は、設計仕様書の出力依頼を入力したか否かを仕様書出力キー68の押下の有無に基づいて判定する(S270)。設計仕様書の出力依頼を入力したときには、CPU22は、S260で保存した作業システム50の構成に基づいて、設計仕様の情報を含む設計仕様情報を店舗PC40に出力させる(S280)。店舗PC40は、設計仕様情報に含まれる設計仕様書を印刷出力するものとしてもよい。そして、CPU22は、情報提供の終了が入力されたか否かを情報提供画面60の入力に基づいて判定し(S290)、終了が入力されていないときには、S110以降の処理を実行する。一方、S290で情報提供の終了が入力されたときには、このルーチンを終了する。なお、設計仕様書の出力ののち、作業システム50が発注されたときには、CPU22は、製造した作業システム50に対し、保存してある処理リストを実行ジョブとして出力するものとしてもよい。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の記憶部23が本開示の記憶部に相当し、CPU22が制御部に相当し、配列装置52が作業ロボットに相当する。なお、本実施形態では、情報提供装置20の動作を説明することにより本開示の制御方法の一例も明らかにしている。
【0028】
以上説明した本実施形態の情報提供装置20では、作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と、構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録している。また、この情報提供装置20は、構造体の情報と構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で作業システムの動作を実現する動作プログラム34を有している。そして、この情報提供装置20は、2以上の構造体の情報及び構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得し、選択情報に含まれる構造体の情報及び処理モデルの情報を読み出し、動作プログラムにより2以上の構造体を接続した状態で処理モデルの処理を仮想空間上で実現し、実現した処理結果を出力する。顧客又は製造者である作業者は、実際に作業システムを構築することなく、出力された処理結果に基づいて複数の構造体を組み合わせた場合にどのように処理が実行されるかを仮想空間上で確認することができる。したがって、この情報提供装置20では、作業システムの構築をより容易に実現することができる。
【0029】
また、制御装置21は、選択された構造体と処理モデルとを組み合わせた作業システムを仮想空間上に構築し、構築された作業システムを動作プログラムにより仮想空間上で動作させ、作業システムによる動作が正常に実行されたか否かを判定し、判定結果を出力する。この情報提供装置20では、仮想空間上での作業システム50が正常に実行されるかの判定結果を用いることによって、作業システム50の構築をより容易に実現することができる。また、制御装置21は、仮想空間上における作業システム50の動作が正常に行われた場合、構造体の情報と処理モデルの情報とに基づいて作業システム50の設計仕様情報を出力する。この情報提供装置20では、仮想空間上の作業システム50が正しく動作可能であるときには、作業システム50を構築することができることから、そのまま設計仕様書を自動で作成することができる。更に、制御装置21は、処理結果を出力したのち、仕様出力情報を取得すると処理結果の記構造体の情報と前記処理モデルの情報とに基づいて設計仕様情報を出力するものとしてもよい。この情報提供装置20では、仮想空間上の作業システム50が顧客の意図に沿うものであると確認できた場合、作業システム50を構築するのに必要な情報が揃うことから、そのまま設計仕様書を自動で作成することができる。
【0030】
また、情報提供装置20では、構造体の情報には、他の構造体と接続する接続部位の情報が含まれ、制御装置21は、選択情報を取得したあと、接続部位の情報に基づいて構造体に接続可能な他の構造体の情報を出力する。この情報提供装置20では、接続可能な構造体を選択しやすい。また、制御装置21は、接続可能でない他の構造体を選択不能とするため、接続可能な構造体を選択しやすい。更に、制御装置21は、構造物及び処理モデルに適用する処理条件を含む処理条件情報を取得し、取得した処理条件を適用し2以上の構造体を接続した状態で処理モデルの処理を仮想空間上で実現させる。この情報提供装置20では、処理条件に基づいた処理が仮想空間上に実現されるため、処理条件を変更するなどして様々な処理状態を確認することができる。更にまた、作業システム50は、処理モデルの情報をリスト化した処理リストをそのまま適用して実際の処理を実行するものであり、制御装置21は、処理結果を出力したのち、発注情報を取得するとこの処理結果の処理モデルのリストを作業システム50に組み込む実行ジョブとして出力する。この情報提供装置20では、仮想空間上で確認した処理モデルを実際の作業システム50にそのまま組み込むことが可能であり、新たに作業システム50を制御するプログラムを作成する必要がないため、作業システム50の構築を更に容易に実現することができる。
【0031】
また、構造体には、作業ロボット、供給装置、搬送装置、撮像装置、エンドエフェクタ及びそれらの部位のうち1以上を含むため、この情報提供装置20では、上記各々の構造体について、仮想空間上で処理状態などを確認することができる。更に、構造体の情報には、形状データ、構造条件データ及び材質データのうち1以上を含むため、情報提供装置20では、形状、構造条件及び材料が規定されることにより、そのデータの内容に応じた構造体を仮想空間に実現することができる。更にまた、処理モデルには、ワークWを用いた移動処理、採取処理、配置処理、方向変換処理、組込処理、撮像処理及び画像処理のうち1以上を含むため、情報提供装置20では、仮想空間においてこれらの処理について確認することができる。
【0032】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、制御装置21は、動作プログラム34により、仮想空間上で作業システム50の動作を実現し、処理結果を動画で出力すると共に、正常に実行されたか否かの判定結果を出力するものとしたが、処理結果を動画でのみ出力するものとしてもよいし、判定結果のみを出力するものとしてもよい。このいずれの情報提供装置によっても、作業システムの構築をより容易に行うことができる。
【0034】
上述した実施形態では、情報提供装置20は、動作プログラム34の処理結果を出力したのち、店舗PC40から仕様出力情報を取得すると設計仕様情報を出力するものとしたが、これを省略してもよい。また、上述した実施形態では、仮想空間上における作業システム50の動作が正常に行われた場合、構造体の情報と処理モデルの情報とに基づいて作業システム50の設計仕様情報を出力するものとしたが、この設計仕様情報の出力を省略してもよい。このいずれの情報提供装置によっても、作業システムの構築をより容易に行うことはできる。
【0035】
上述した実施形態では、制御装置21は、構造体の選択情報を取得したあと、接続部位の情報に基づいて構造体に接続可能な他の構造体を選択可能に出力するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。また、上述した実施形態では、接続可能ではない構造体を選択不可状態とするものとしたが、この処理を省略してもよい。制御装置21は、選択情報を店舗PC40から取得するたび、新たに選択された構造体が選択済みの構造体と接続可能かを判定すればよい。
【0036】
上述した実施形態では、作業システム50は、動作プログラム34で実行される処理リストをそのまま適用して実際の処理を実行可能であるものとしたが、特にこれに限定されず、作業システム50は、動作プログラム34の処理リストとは別に新たに作成した実行ジョブを実行するものとしてもよい。この情報提供装置によっても、作業システムの構築をより容易に行うことはできる。なお、処理リストを動作プログラム34とワーク作業システム50とで実行可能に構築した方が、作業システムの構築がより容易であるため好ましい。
【0037】
上述した実施形態では、本開示を動作プログラム34による動作処理を実行する情報提供装置20として説明したが、特にこれに限定されず、情報提供方法としてもよいし、情報提供プログラムとしてもよい。特に、本開示を情報提供装置20として実現するのみでなく、クラウド上で実現するものとしてもよい。また、上述した実施形態では、情報提供装置20のCPU22が動作プログラムを実行することにより構造体による処理を仮想空間上で実現させるものとしたが、これに限定されず、店舗PC40のCPU42が動作プログラムを実行することにより構造体による処理を仮想空間上で実現させるものとしてもよい。例えば、店舗PC40が情報提供装置として機能するものとしてもよい。
【0038】
ここで、本開示の情報提供装置において、前記制御部は、前記選択された構造体と処理モデルとを組み合わせた前記作業システムを前記仮想空間上に構築し、該構築された前記作業システムを前記動作プログラムにより前記仮想空間上で動作させ、該作業システムによる動作が正常に実行されたか否かを判定し、該判定結果を出力するものとしてもよい。この情報提供装置では、仮想空間上での作業システムが正常に実行されるかの判定結果を用いることによって、作業システムの構築をより容易に実現することができる。
【0039】
あるいは、本開示の情報提供装置は、
ワークに対して所定の作業を行う作業ロボットを含む作業システムに用いられる情報提供装置であって、
前記作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と該構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録して記憶する記憶部と、
前記構造体の情報と該構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で前記作業システムの動作を実現する動作プログラムと、
前記記憶部に記憶された2以上の前記構造体の情報及び該構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得し、前記選択された構造体及び処理モデルを組み合わせた前記作業システムを前記仮想空間上に構築し、該構築された前記作業システムを前記動作プログラムにより前記仮想空間上で動作させ、該作業システムによる動作が正常に実行されたか否かを判定し、該判定結果を出力する制御部と、
を備えたものとしてもよい。
【0040】
この情報提供装置では、2以上の構造体の情報及びこの構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得し、選択された構造体及び処理モデルを組み合わせた作業システムを仮想空間上に構築し、構築された作業システムを動作プログラムにより仮想空間上で動作させ、作業システムによる動作が正常に実行されたか否かの判定結果を出力する。この情報提供装置では、仮想空間上での作業システムが正常に実行されるかの判定結果を用いることによって、作業システムの構築をより容易に実現することができる。
【0041】
作業システムによる動作を判定する態様の本開示の情報提供装置において、前記制御部は、前記仮想空間上における前記作業システムの動作が正常に行われた場合、前記構造体の情報と前記処理モデルの情報とに基づいて該作業システムの設計仕様情報を出力するものとしてもよい。この情報提供装置では、仮想空間上の作業システムが正しく動作可能であるときには、作業システムを構築することができることから、そのまま設計仕様情報を自動で作成することができる。
【0042】
本開示の情報提供装置において、前記制御部は、前記処理結果を出力したのち、仕様出力情報を取得すると該処理結果の前記構造体の情報と前記処理モデルの情報とに基づいて設計仕様情報を出力するものとしてもよい。この情報提供装置では、仮想空間上の作業システムが顧客の意図に沿うものであると確認できた場合、作業システムを構築するのに必要な情報が揃うことから、そのまま設計仕様情報を自動で作成することができる。
【0043】
本開示の情報提供装置において、前記構造体の情報には、他の構造体と接続する接続部位の情報が含まれ、前記制御部は、前記選択情報を取得したあと、前記接続部位の情報に基づいて前記構造体に接続可能な他の構造体の情報を出力するものとしてもよい。この情報提供装置では、接続可能な構造体を選択しやすい。この情報提供装置において、前記制御部は、前記接続可能な他の構造体の情報を出力するに際して、接続可能である他の構造体を選択可能とするものとしてもよい。また、前記制御部は、前記接続可能な他の構造体の情報を出力するに際して、接続可能でない他の構造体を選択不能とするものとしてもよい。あるいは、前記制御部は、1つの前記構造体が選択されたのち、該選択された構造体に接続可能な前記構造体を前記接続部位の情報に基づいて選択可能に出力するものとしてもよい。この情報提供装置では、接続可能な構造体を選択しやすい。
【0044】
本開示の情報提供装置において、前記制御部は、前記構造物及び前記処理モデルに適用する処理条件を含む処理条件情報を取得し、取得した処理条件を適用し2以上の前記構造体を接続した状態で前記処理モデルの処理を仮想空間上で実現させるものとしてもよい。この情報提供装置では、処理条件に基づいた処理が仮想空間上に実現されるため、処理条件を変更するなどして様々な処理状態を確認することができる。ここで「処理条件」には、例えば、処理に用いる物理量などが含まれ、具体的には、大きさ、質量、速度、加速度、圧力、電流、電圧、エネルギー、時間などが含まれる。
【0045】
本開示の情報提供装置において、前記作業システムは、前記処理モデルの情報をそのまま適用して実際の処理を実行するものであり、前記制御部は、前記処理結果を出力したのち、発注情報を取得すると該処理結果の前記処理モデルのリストを作業システムに組み込む実行ジョブとして出力するものとしてもよい。この情報提供装置では、仮想空間上で確認した処理モデルを実際の作業システムにそのまま組み込むことが可能であり、新たに作業システムを制御するプログラムを作成する必要がないため、作業システムの構築を更に容易に実現することができる。
【0046】
本開示の情報提供装置において、前記構造体には、前記作業ロボット、供給装置、搬送装置、撮像装置、前記ワークに対して処理を実行するエンドエフェクタ及びそれらの部位のうち1以上を含むものとしてもよい。この情報提供装置では、上記各々の構造体について、仮想空間上で処理状態などを確認することができる。
【0047】
本開示の情報提供装置において、前記構造体の情報には、形状データ、構造条件データ及び材質データのうち1以上を含むものとしてもよい。この情報提供装置では、形状、構造条件及び材料が規定されることにより、そのデータの内容に応じた構造体を仮想空間に実現することができる。
【0048】
本開示の情報提供装置において、前記処理モデルには、前記ワークを用いた移動処理、採取処理、配置処理、方向変換処理、組込処理、撮像処理及び画像処理のうち1以上を含むものとしてもよい。この情報提供装置では、仮想空間においてこれらの処理について確認することができる。
【0049】
本開示の情報提供方法は、
ワークに対して所定の作業を行う作業ロボットを含む作業システムに用いられる情報提供方法であって、
前記作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と該構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録して有し、前記構造体の情報と該構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で前記作業システムの動作を実現する動作プログラムが存在し、(a)2以上の前記構造体の情報及び該構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得するステップと、
(b)前記選択情報に含まれる前記構造体の情報及び前記処理モデルの情報を読み出し、前記動作プログラムにより2以上の前記構造体を接続した状態で前記処理モデルの処理を仮想空間上で実現するステップと、
(c)前記実現した処理結果を出力するステップと、
を含むものである。
【0050】
この情報提供方法では、上述した情報提供装置と同様に、顧客又は製造者である作業者は、実際に作業システムを構築することなく、出力された処理結果に基づいて複数の構造体を組み合わせた場合にどのように処理が実行されるかを仮想空間上で確認することができる。したがって、この情報提供装置では、作業システムの構築をより容易に実現することができる。なお、この情報提供方法において、上述した情報提供装置の態様を採用してもよいし、上述した情報提供装置の機能を発現するステップを含むものとしてもよい。
【0051】
あるいは、本開示の情報提供方法は、
ワークに対して所定の作業を行う作業ロボットを含む作業システムに用いられる情報提供方法であって、
前記作業ロボットに関連する2以上の構造体の情報と該構造体に関連する1以上の処理モデルの情報とを登録して有し、前記構造体の情報と該構造体に関連する処理モデルの情報とを用いて仮想空間上で前記作業システムの動作を実現する動作プログラムが存在し、(a)2以上の前記構造体の情報及び該構造体に関連する処理モデルを選択した選択情報を取得するステップと、
(b)前記選択された構造体及び処理モデルを組み合わせた前記作業システムを前記仮想空間上に構築するステップと、
(c)前記構築された前記作業システムを前記動作プログラムにより前記仮想空間上で動作させ、該作業システムによる動作が正常に実行されたか否かを判定するステップと、
(d)前記判定した結果を出力するステップと、
を含むものとしてもよい。
【0052】
この情報提供方法では、上述した情報提供装置と同様に、仮想空間上での作業システムが正常に実行されるかの判定結果を用いることによって、作業システムの構築をより容易に実現することができる。なお、この情報提供方法において、上述した情報提供装置の態様を採用してもよいし、上述した情報提供装置の機能を発現するステップを含むものとしてもよい。
【0053】
本開示のプログラムは、上述した情報提供方法の各ステップを1以上のコンピュータが実行するものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した情報提供方法の各ステップが実行されるため、この方法と同様の作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本明細書で開示する情報提供装置、情報提供方法及びそのプログラムは、ワークに対して所定作業を実行する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 エコシステム、11 ネットワーク、12 LAN、13 設計PC、15 店舗、18 配置部材、20 情報提供装置、21 制御装置、22 CPU、23 記憶部、24 表示部、25 入力装置、26 通信部、31 装置DB、32 周辺装置DB、33 アプリDB、34 動作プログラム、40 店舗PC、41 制御装置、42 CPU、43 記憶部、44 表示部、45 入力装置、46 通信部、50 作業システム、51 搬送装置、52 配列装置、52a 制御装置、53 基台、54 供給装置、55 アーム部材、55a 第1アーム部材、55b 第2アーム部材、55c 第3支持部、56 エンドエフェクタ、57 台座部、58 採取部材、59 撮像装置、60 情報提供画面、61 カーソル、62 用途入力欄、63 装置入力欄、64 周辺装置入力欄、65 アプリ入力欄、66 ワーク入力欄、67 画像表示欄、68 仕様書出力キー、69 仮想処理実行キー、70 処理条件入力キー、71 中止キー、72 処理条件入力画面、73 処理リスト入力欄、74 動作条件リスト入力欄、75 決定キー、W ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9