(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20231010BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/00 732
A61B1/00 735
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2022510031
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2021011029
(87)【国際公開番号】W WO2021193337
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2020056093
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(73)【特許権者】
【識別番号】502109050
【氏名又は名称】ファイバーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】瀧ヶ平 将人
(72)【発明者】
【氏名】松田 雄大
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-005446(JP,A)
【文献】特開平07-234365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージファイバと、
撮像素子と、
第1レンズ光学系と第2レンズ光学系とを有し、前記イメージファイバと前記撮像素子との間に配置され、前記イメージファイバで伝送された被写体像を前記撮像素子に再結像させる再結像光学系と、
前記第1レンズ光学系を保持する第1鏡筒と、
前記第2レンズ光学系を保持する第2鏡筒と、
前記第2鏡筒と前記撮像素子との相対位置を固定し、前記第1鏡筒を相対移動可能に収容する筐体部と、
前記第1鏡筒と前記第2鏡筒との間に配置され、前記第1鏡筒を前記イメージファイバに向かって付勢する付勢部材と、
前記第1レンズ光学系と前記第2レンズ光学系との間に配置された絞りと、
を備え、
前記第1レンズ光学系は、前記イメージファイバから入射した光を平行光に変換するように構成され、
前記第2レンズ光学系は、前記平行光を前記撮像素子に集光するように構成され、
前記絞りは、円筒状に形成され、その外周面には、前記第1鏡筒の内側に螺合可能な雄ねじが形成されると共に、前記第1レンズ光学系と対向する端面と反対側を向く端面には、ねじ回しを可能とするすり割りが形成されている、
内視鏡。
【請求項2】
前記イメージファイバは、前記筐体部に対して着脱可能に装着されたファイバホルダに保持されている
、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記ファイバホルダは、前記筐体部の内部に挿抜可能に挿入された挿入部を有し、
前記第1鏡筒は、前記付勢部材の付勢によって、前記挿入部に押し付けられている
、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記筐体部は、前記挿入部の挿入孔が形成された壁部を有し、
前記挿入部は、前記壁部よりも内側の前記第1鏡筒の収容空間まで突出している
、
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記絞りの開口径は、前記第1レンズ光学系の有効径の1/1.1以上1/1.3以下に設定されている
、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第1鏡筒と前記第2鏡筒との配列方向における前記絞りの長さは、
1.1mm以上3.8mm以下である
、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関する。
本願は、2020年3月26日に日本に出願された特願2020-056093号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、対物レンズ部で作られた被写体像を内視鏡操作部まで伝送するイメージガイド(イメージファイバ)と、その被写体像を固体撮像素子に再結像させる内視鏡操作部内に配置された再結像光学系と、を備えた内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような内視鏡では、製造誤差などでイメージファイバの長さがばらつくと、イメージファイバの端面がレンズの焦点位置からずれてしまい、撮像素子上で所望の結像が得られないという問題がある。この問題に対処するため、上記従来技術では、イメージファイバと撮像素子とを光学的に結合するレンズ系に、両側テレセントリック光学系を使用している。両側テレセントリック光学系は、前側レンズ群と後側レンズ群との間の焦点位置に開口の小さな絞りを置き、光軸と主光線が平行とみなせるように構成された光学系である。
この光学系は、レンズに対してイメージファイバの端面位置がずれても、安定した結像を得ることができるという利点がある。ただし、特許文献1には、明確な記載がないが、前記効果を十分に得るためには、絞りの開口径をレンズの有効径の1/5~1/10以下にする必要がある。このため、通常のレンズ系と比較して撮像素子で取得される被写体像が暗くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、イメージファイバの端面が再結像光学系の焦点位置からずれることを防止し、撮像素子上で安定した結像を得ることができる内視鏡の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る内視鏡は、イメージファイバと、撮像素子と、第1レンズ光学系と第2レンズ光学系とを有し、前記イメージファイバと前記撮像素子との間に配置され、前記イメージファイバで伝送された被写体像を前記撮像素子に再結像させる再結像光学系と、前記第1レンズ光学系を保持する第1鏡筒と、
前記第2レンズ光学系を保持する第2鏡筒と、前記第2鏡筒と前記撮像素子との相対位置を固定し、前記第1鏡筒を相対移動可能に収容する筐体部と、前記第1鏡筒と前記第2鏡筒との間に配置され、前記第1鏡筒を前記イメージファイバに向かって付勢する付勢部材と、前記第1レンズ光学系と前記第2レンズ光学系との間に配置された絞りと、を備える。前記第1レンズ光学系は、前記イメージファイバから入射した光を平行光に変換するように構成され、前記第2レンズ光学系は、前記平行光を前記撮像素子に集光するように構成されている。前記絞りが前記第1鏡筒に固定されている。
この構成によれば、製造上のイメージファイバの長さのばらつきは、付勢部材を介した第1レンズ光学系と第2レンズ光学系の距離の変動により吸収されるため、イメージファイバの端面は常に第1レンズ光学系の被写界深度内に配置される。第1レンズ光学系と第2レンズ光学系との間はほぼ平行光であるため、第1レンズ光学系と第2レンズ光学系との距離が変わっても、テレセントリック系と同様に、撮像素子上で安定した結像を得ることができる。また、再結像光学系は、非テレセントリック系で済むため、レンズの枚数も少なく、全長もコンパクトにすることができる。
さらに、第1レンズ光学系と第2レンズ光学系との間に、絞りが配置され、絞りが第1鏡筒に固定されているため、第2レンズ光学系に入射する必要のない不要な光をカットしつつ、第2レンズ光学系に入射する必要のある光を残すことが可能となる。
【0007】
上記内視鏡において、前記イメージファイバは、前記筐体部に対して着脱可能に装着されたファイバホルダに保持されていてもよい。
【0008】
上記内視鏡において、前記ファイバホルダは、前記筐体部の内部に挿抜可能に挿入された挿入部を有し、前記第1鏡筒は、前記付勢部材の付勢によって、前記挿入部に押し付けられていてもよい。
【0009】
上記内視鏡において、前記筐体部は、前記挿入部の挿入孔が形成された壁部を有し、前記挿入部は、前記壁部よりも内側の前記第1鏡筒の収容空間まで突出していてもよい。
【0010】
上記内視鏡において、前記絞りの開口径は、前記第1レンズ光学系の有効径の1/1.1以上1/1.3以下に設定されていてもよい。
【0011】
上記内視鏡において、前記第1鏡筒と前記第2鏡筒との配列方向における絞りの長さは、1.1mm以上3.8mm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の一態様によれば、イメージファイバの端面が再結像光学系との焦点位置からずれることを防止し、撮像素子上で安定した結像を得ることができる内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る保護キャップを装着した内視鏡の斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る保護キャップを外した内視鏡斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る内視鏡の断面構成図である。
【
図4】一実施形態に係る内視鏡の内部を拡大した断面構成図である。
【
図5】一実施形態に係る再結像光学系の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、眼科用電子内視鏡を例示する。
【0015】
先ず、内視鏡1の全体の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る保護キャップ2を装着した内視鏡1の斜視図である。
図2は、一実施形態に係る保護キャップ2を外した内視鏡1の斜視図である。
図3は、一実施形態に係る内視鏡1の断面構成図である。
これらの図に示すように、内視鏡1は、内視鏡操作部10と、内視鏡操作部10から前方に延びる挿入観察部20と、挿入観察部20を覆う着脱可能な保護キャップ2と、を備えている。
【0016】
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する場合がある。X軸方向は、挿入観察部20が延びる長手方向であり、Y軸方向及びZ軸方向は、それぞれX軸方向と直交する2軸直交方向(挿入観察部20の短手方向とも言う)である。
【0017】
挿入観察部20が延びる長手方向において、「前」とは、挿入観察部20でいうと先端21側(+X側)であり、「後」とは、挿入観察部20でいうと先端21と反対側(-X側、すなわち挿入観察部20の基端(根本)側)である。
【0018】
保護キャップ2は、
図1に示すように、内視鏡操作部10に装着される装着部3と、装着部3から前方に延び、挿入観察部20を覆う先端収容部4と、を備えている。装着部3は、内視鏡操作部10の外周を囲う略円筒状に形成されている。先端収容部4は、挿入観察部20の外周及び先端21を囲う略有底筒状に形成されている。
【0019】
装着部3の外周には、Z軸方向に開口する係合孔5と、複数の連通孔6と、が形成されている。係合孔5に対し、
図2及び
図3に示す内視鏡操作部10の前側に形成され、Z軸方向に突出する係合突起12が係合することで、保護キャップ2が内視鏡操作部10に着脱可能に装着される。連通孔6は、保護キャップ2を装着したままで内視鏡操作部10及び挿入観察部20の滅菌が可能となる。つまり、連通孔6から保護キャップ2の内部に、滅菌ガスが流入できるように構成されている。
【0020】
挿入観察部20は、
図2及び
図3に示すように、X軸方向に延びる細長い針状に形成されている。挿入観察部20の先端21には、対物レンズが設けられている。挿入観察部20は、対物レンズを介して取得した被写体像を内視鏡操作部10まで伝送するイメージファイバ22(光ファイバ)と、先端21から前方に照明光を照射する照明用ファイバ23(光ファイバ)と、を備えている。
【0021】
イメージファイバ22は、図示しない硬質外筒(ステンレス鋼管など)の内部に配設されている。照明用ファイバ23も、イメージファイバ22と同様に、硬質外筒の内部に配設されている。照明用ファイバ23の他端は、内視鏡操作部10の外表面の皮下部を通り、図示しない照明装置(光源)と接続されている。なお、照明用ファイバ23の代わりに、小型の照明装置(LEDなど)を、挿入観察部20の先端21に設けてもよい。
【0022】
内視鏡操作部10は、
図2に示すように、X軸方向の前側に把持部11を備える略ペン状(前側に円錐部を有する略円柱状とも言う)に形成されている。内視鏡操作部10の内部には、
図3に示すように、CCDやCMOSなどの撮像素子30と、イメージファイバ22で伝送された被写体像を撮像素子30に再結像させる再結像光学系40と、が設けられている。
【0023】
撮像素子30は、再結像した被写体像を電子画像データに変換する。電子画像データは、
図2に示すように、内視鏡操作部10から後方に延びるケーブル13を介して図示しない画像処理装置に伝送される。画像処理装置は、電子画像データをモニターに表示したり、記憶媒体に記憶したりする。
【0024】
次に、
図4及び
図5を追加参照して、内視鏡1の内部構成について詳しく説明する。
【0025】
図4は、一実施形態に係る内視鏡1の内部を拡大した断面構成図である。
図5は、一実施形態に係る再結像光学系40の構成図である。
これらの図に示すように、イメージファイバ22と撮像素子30との間には、イメージファイバ22で伝送された被写体像を撮像素子30に再結像させる再結像光学系40が設けられている。
【0026】
再結像光学系40は、
図5に示すように、イメージファイバ22の端面22aから入射した光を平行光に変換する第1レンズ光学系40Aと、当該平行光を撮像素子30に集光させる第2レンズ光学系40Bと、を有している。第1レンズ光学系40Aは、イメージファイバ22側(前側)に配置されている。また、第2レンズ光学系40Bは、第1レンズ光学系40Aの後側(撮像素子30側)に配置されている。
【0027】
第1レンズ光学系40Aは、光軸方向(X軸方向)において、イメージファイバ22側から、第1レンズ41、第2レンズ42、第3レンズ43の順に並んだレンズ群によって形成されている。第1レンズ41は、平凸レンズであり、主にイメージファイバ22の端面22aから入射した光を平行光に変換する機能を有する。第2レンズ42は、両凸レンズであり、色による屈折率差が小さい特徴がある。第3レンズ43は、凹メニスカスレンズであり、本実施形態では、出射される光を平行にしている。また、凸レンズである第2レンズ42と凹メニスカスレンズである第3レンズ43は、球面収差の発生する向きが逆のため、
図5に示すように組み合わせることで、球面収差を抑えることが可能となる。また、第2レンズ42は色による屈折率差が小さく、逆に第3レンズ43は色による屈折率差が大きい。このように屈折率の異なるレンズを組み合わせることで軸上色収差の補正が可能となる。
【0028】
第2レンズ光学系40Bは、光軸方向(X軸方向)において、イメージファイバ22側から、第4レンズ44、第5レンズ45、第6レンズ46、第7レンズ47の順に並んだレンズ群によって形成されている。第4レンズ44は、平凸レンズであり、本実施形態では、平行に入射した光を集光する機能を有する。第5レンズ45は、両凸レンズであり、第2レンズ42と同様、色による屈折率差が小さい特徴がある。第6レンズ46は、平凹レンズであり、前記同様、両凸レンズである第5レンズ45と組み合わせることで球面収差と軸上色収差の補正をしている。第7レンズ47は、IRカットフィルタであり、撮像素子30への可視領域外である赤外光の入射を防ぐ機能を有する。
【0029】
図4に示すように、第1レンズ光学系40Aは、第1鏡筒70に保持されている。第1鏡筒70の内周面は、前側に向かうに従って2段階で縮径しており、第1段差部71と、第2段差部72と、を有する。第1段差部71には、第1レンズ光学系40Aが配置されている。第1鏡筒70の内周面の第1段差部71より前側は、第1レンズ光学系40Aの外径よりも僅かに縮径しており、第1レンズ光学系40Aの外周縁とX軸方向で対向している。
【0030】
第1段差部71の後側には、第2段差部72が設けられている。第2段差部72には、絞り100が螺合している。絞り100は、円筒状に形成され、その外周面には雄ねじが形成されている。絞り100には、ねじ回し可能とするすり割り101が形成されている。絞り100の内周面は、第1レンズ光学系40Aの外径よりも僅かに縮径している。絞り100は、第2段差部72の内周面に形成された雌ねじと螺合することにより、第1鏡筒70に固定されている。すなわち、絞り100は、第1鏡筒70から一定の位置に配置されている。これにより、絞り100と第1レンズ光学系40Aとの相対位置が変化しないように構成されている。
【0031】
次に、絞り100の位置について説明する。
第1レンズ光学系40Aから出射される光は平行光であるが、波長によって光路が若干異なる。これらの波長に応じた光路は、第1レンズ光学系40Aから所定の距離だけ離れた位置で重なる(この位置を以下、重なり位置と称する)。この重なり位置に絞り100が配置されている。第1レンズ光学系40Aによって重なり位置は定まるため、重なり位置に絞り100が位置するように、絞り100を第1鏡筒70に固定することにより、第2レンズ光学系40Bに入射する必要のない不要な光をカットしつつ、第2レンズ光学系40Bに入射する必要のある光を残すことが可能となる。
【0032】
絞り100の開口径は、第1レンズ光学系40Aの有効径の1/1.1以上1/1.3以下に設定されていてもよい。特に、絞り100の開口径は限定されないが、第1レンズ光学系40Aから出射される光の光路を遮らない最小絞り内径として、1/1.1以上であることが好ましい。また、加工可能な最大絞り内径として、絞り100の開口径は、第1レンズ光学系40Aの有効径の1/1.3であることが好ましい。
第1鏡筒70と第2鏡筒80との配列方向(X軸方向)における絞り100の長さLは、1.1mm以上3.8mm以下であってもよい。特に、絞り100の長さLは、限定されないが、製造上、作製可能な長さとして、絞り100の長さLを1.1mm以上とすることが好ましい。また、絞りの長さLが長すぎると、第1レンズ光学系40Aの後段に配置された第2レンズ光学系40Bに干渉してしまうため、絞り100の長さLは、3.8mm以下であることが好ましい。
【0033】
また、
図4に示すように、第2レンズ光学系40Bは、第2鏡筒80に保持されている。第2鏡筒80の内周面は、後側に向かうに従って1段階で縮径した段差部81を有する。段差部81には、第2レンズ光学系40Bが配置されている。なお、第6レンズ46と第7レンズ47との間には、リング状のスペーサ82が配置されている。第2鏡筒80の内周面の段差部81より後側は、第2レンズ光学系40Bの外径よりも僅かに縮径しており、第2レンズ光学系40Bの外周縁とX軸方向で対向している。
【0034】
第1鏡筒70及び第2鏡筒80は、内視鏡操作部10の筐体部50に収容されている。内視鏡操作部10は、
図3に示すように、筐体部50と、筐体部50に対して着脱可能に装着されたファイバホルダ60と、を有する。筐体部50は、再結像光学系40や撮像素子30など保持する内視鏡1の本体部である。ファイバホルダ60は、挿入観察部20(イメージファイバ22及び照明用ファイバ23)などを保持する内視鏡1の交換部品である。
【0035】
ファイバホルダ60は、ポリカーボネートなどから形成された有底筒状の硬質カバー61と、シリコーンゴムなどから形成され、硬質カバー61の外面の少なくとも一部を覆う弾性カバー62と、を有する。硬質カバー61の前側底部には、筐体部50に向かって後側に突出した円柱状の挿入部61aが形成されている。イメージファイバ22は、挿入部61aの中心軸を通るように配設されている。
図4に示すように、イメージファイバ22の端面22aは、挿入部61aの先端と面一になるように、端面加工(研磨等)されている。
【0036】
筐体部50は、壁部51aを有する第1筒体51と、第1筒体51の後側に嵌合した第2筒体52と、第2筒体52の後側に嵌合した第3筒体53と、を有する。壁部51aには、挿入部61aがX軸方向で挿入される挿入孔51bが形成されている。第1筒体51の外周面には、図示しない突起部が形成され、該突起部にファイバホルダ60の接続片54が係合している。ファイバホルダ60は、第1筒体51の外周面に接続片54を介してバヨネット接続されている。
【0037】
図4に示すように、第1筒体51は、上述した第1鏡筒70をX軸方向に移動自在に収容している。第1筒体51の前側には、上述した壁部51aが設けられ、第1筒体51の後側には、第2筒体52が嵌入している。第2筒体52には、止めねじ84を介して第2鏡筒80が固定されている。第2鏡筒80は、第2筒体52から前方に突出し、第1筒体51の内側に挿入されている。
【0038】
第2筒体52の後側には、第3筒体53が嵌入している。第3筒体53には、撮像素子30が固定されている。第2筒体52に第3筒体53が嵌入することによって、第2鏡筒80と撮像素子30との相対位置が固定されている。第1鏡筒70は、第1筒体51に収容され、第2鏡筒80に対してX軸方向に相対移動可能に構成されている。
【0039】
図4に示すように、第1鏡筒70と第2鏡筒80との間には、付勢部材90が配置されている。本実施形態の付勢部材90は、第1鏡筒70をイメージファイバ22に向かって付勢するコイルばねである。第2鏡筒80の前端部の外周面には、付勢部材90のばね受け83が形成されている。なお、付勢部材90は、コイルばねと同様に光路を邪魔せずに弾性力を有するものであれば、例えばゴムリングのような弾性部材であってもよい。
【0040】
第1鏡筒70の前側は、付勢部材90の付勢によって、ファイバホルダ60(硬質カバー61)の挿入部61aの先端に押し付けられている。挿入部61aは、第1筒体51の壁部51aよりも内側の空間(第1鏡筒70の収容空間)まで突出している。つまり、第1鏡筒70は、付勢部材90の付勢によって挿入部61aとは接触するが、壁部51aとは非接触である。
【0041】
上記構成の内視鏡1によれば、付勢部材90の付勢によって、第1鏡筒70が挿入部61aに押し付けられ、イメージファイバ22の端面22aと第1レンズ光学系40Aとの相対位置関係が固定される。このため、製造上のイメージファイバ22の長さのばらつき(イメージファイバ22の端面22a(挿入部61aの先端)の加工などによるX軸方向の位置のばらつき)は、付勢部材90を介した第1レンズ光学系40Aと第2レンズ光学系40Bの距離の変動により吸収される。したがって、イメージファイバ22の端面22aは常に第1レンズ光学系40Aの被写界深度内に配置される。第1レンズ光学系40Aと第2レンズ光学系40Bとの間はほぼ平行光であるため、第1レンズ光学系40Aと第2レンズ光学系40Bとの距離が変わっても、テレセントリック系と同様に、撮像素子30上で安定した結像を得ることができる。また、再結像光学系40は、非テレセントリック系で済むため、レンズの枚数も少なく、全長もコンパクトにすることができる。
【0042】
このように、上述した本実施形態によれば、イメージファイバ22と、撮像素子30と、イメージファイバ22と撮像素子30との間に配置され、イメージファイバ22で伝送された被写体像を撮像素子30に再結像させる再結像光学系40と、を備え、再結像光学系40は、イメージファイバ22から入射した光を平行光に変換する第1レンズ光学系40Aと、当該平行光を撮像素子30に集光させる第2レンズ光学系40Bと、を有しており、第1レンズ光学系40Aを保持する第1鏡筒70と、第2レンズ光学系40Bを保持する第2鏡筒80と、第2鏡筒80と撮像素子30との相対位置を固定し、第1鏡筒70を相対移動可能に収容する筐体部50と、第1鏡筒70と第2鏡筒80との間に配置され、第1鏡筒70をイメージファイバ22に向かって付勢する付勢部材90と、を備える、という構成を採用することによって、イメージファイバ22の端面22aが再結像光学系40との焦点位置からずれることを防止し、撮像素子30上で安定した結像を得ることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、第1レンズ光学系40Aと第2レンズ光学系40Bとの間に、絞り100が配置されている。この構成によれば、重なり位置に絞り100が位置するように、絞り100を第1鏡筒70に固定することにより、第2レンズ光学系40Bに入射する必要のない不要な光(不要なところで反射した光やレンズ外縁を通る光)をカットしつつ、第2レンズ光学系40Bに入射する必要のある光を残すことが可能となる。これにより、本実施形態に係る内視鏡は、鮮明な画像を得ることができる。
絞りの開口径は、第1レンズ光学系40Aの有効径の1/1.1以上1/1.3以下に設定されているので、絞り100の開口が大きく、テレセントリック系と比較して明るい像が得られる。
【0044】
また、本実施形態では、イメージファイバ22は、
図3に示すように、筐体部50に対して着脱可能に装着されたファイバホルダ60に保持されている。この構成によれば、ファイバホルダ60の交換部品ごとにイメージファイバ22の長さのばらつきがあったとしても、このばらつきを、付勢部材90を介した第1レンズ光学系40Aと第2レンズ光学系40Bの距離の変動により吸収することができる。
【0045】
また、本実施形態では、ファイバホルダ60は、筐体部50の内部に挿抜可能に挿入された挿入部61aを有し、第1鏡筒70は、
図4に示すように、付勢部材90の付勢によって、挿入部61aに押し付けられている。この構成によれば、イメージファイバ22を保持するファイバホルダ60自体に第1鏡筒70が押し付けられるため、イメージファイバ22の端面22aが第1レンズ光学系40Aの焦点位置からずれることを防止できる。
【0046】
また、本実施形態では、筐体部50は、挿入部61aの挿入孔51bが形成された壁部51aを有し、挿入部61aは、壁部51aよりも内側の第1鏡筒70の収容空間まで突出している。この構成によれば、第1鏡筒70が壁部51aに押し付けられることなく、挿入部61aのみに押し付けられるため、イメージファイバ22の端面22aが確実に第1レンズ光学系40Aの被写界深度内に配置される。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0048】
1…内視鏡、22…イメージファイバ、22a…端面、30…撮像素子、40…再結像光学系、40A…第1レンズ光学系、40B…第2レンズ光学系、50…筐体部、51a…壁部、51b…挿入孔、60…ファイバホルダ、61a…挿入部、70…第1鏡筒、80…第2鏡筒、90…付勢部材