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特許7362912一酸化炭素及びメタンのデュアル測定による燃焼分析器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】一酸化炭素及びメタンのデュアル測定による燃焼分析器
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/46 20060101AFI20231010BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20231010BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20231010BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G01N25/46
F23N5/00 J
F23N5/24 106Z
G01N27/409 100
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022519986
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020052189
(87)【国際公開番号】W WO2021067093
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】16/587,805
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シュク,パベル
(72)【発明者】
【氏名】マクガイア,チャド・エム
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0028360(US,A1)
【文献】特表2017-504745(JP,A)
【文献】特表2010-519544(JP,A)
【文献】特開2013-238390(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01962088(EP,A1)
【文献】特表2018-519519(JP,A)
【文献】特開平04-147048(JP,A)
【文献】特開平11-326258(JP,A)
【文献】特開平11-141865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00~25/72
F23N 1/02~ 1/06
F23N 3/00~ 5/00
F23N 5/18
F23N 5/24
G01N 27/00~27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼プロセス中の酸素を検出し、酸素濃度を示す第1のセンサ信号を生成するように構成された酸素センサと、
600℃の温度で動作してメタン濃度を示す第2のセンサ信号を提供し、300℃で動作して一酸化炭素濃度を示す第3のセンサ信号を選択的に提供するように構成された一酸化炭素-メタンデュアルセンサと、を備えた燃焼分析器であって、
前記第1のセンサ信号に基づいて、前記酸素濃度を決定し、前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサ信号及び前記酸素濃度に基づいて、一酸化炭素濃度出力及びメタン濃度出力を生成するように構成され、
制御部が、前記センサ信号に基づいて制御信号を生成し、及び
前記制御信号は、前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサを300℃にし、前記酸素濃度が所定の閾値未満であるときに一酸化炭素較正アルゴリズムを適用するように構成され、前記一酸化炭素較正アルゴリズムは、前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサの温度を変化させることを含む、燃焼分析器。
【請求項2】
前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサが、熱量測定触媒式の一酸化炭素センサを含む請求項1に記載の燃焼分析器。
【請求項3】
前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサが、起動時に600℃で動作する請求項1に記載の燃焼分析器。
【請求項4】
前記制御信号が、前記燃焼プロセスへの燃料又は空気の流れを調整するように構成される請求項に記載の燃焼分析器。
【請求項5】
前記制御信号が、アラートを生成するように構成される請求項に記載の燃焼分析器。
【請求項6】
前記閾値が、10.0%~20.0%の酸素濃度の範囲を含む請求項に記載の燃焼分析器。
【請求項7】
一酸化炭素-メタンデュアルセンサを600℃に加熱すること、
酸素センサを使用して燃焼プロセス中の酸素濃度を決定すること、
前記酸素濃度を所定の閾値と比較すること、
前記酸素濃度が前記閾値未満の場合、前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサが前記燃焼プロセス中の一酸化炭素を検出し、一酸化炭素の濃度を示すセンサ信号を生成するように構成された一酸化炭素較正アルゴリズムを適用すること、
前記酸素濃度が前記閾値以上の場合、前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサが前記燃焼プロセス中のメタンを検出し、メタンの濃度を示すセンサ信号を生成するように構成されたメタン較正アルゴリズムを適用すること、及び
前記センサ信号に基づいて制御信号を生成すること、
を含む燃焼プロセスの制御を改善する方法。
【請求項8】
前記閾値が、10.0%の酸素濃度である請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記閾値が、20.0%の酸素濃度である請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記制御信号が、アラートを作動させるように構成される請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記制御信号が、前記燃焼プロセスへの空気の流れを調整するように構成される請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御信号が、前記燃焼プロセスへの燃料の流れを調整するように構成される請求項に記載の方法。
【請求項13】
燃焼プロセス中の酸素を検出し、酸素濃度を示す第1のセンサ信号を生成するように構成された酸素センサと、
600℃の温度で作動してメタン濃度を示す第2のセンサ信号を提供し、300℃で作動して一酸化炭素濃度を示す第3のセンサ信号を選択的に提供するように構成された一酸化炭素-メタンデュアルセンサと、を備えた燃焼分析器であって、
前記第1のセンサ信号に基づいて、前記酸素濃度を決定し、一酸化炭素-メタンデュアルセンサ信号及び前記酸素濃度に基づいて、一酸化炭素濃度出力及びメタン濃度出力を生成するように構成され、
制御部が、前記センサ信号に基づいて制御信号を生成し、及び
前記制御信号は、前記酸素濃度が所定の閾値以上であるときに、メタン較正アルゴリズムを適用するように構成され、前記メタン較正アルゴリズムは、前記一酸化炭素-メタンデュアルセンサの温度を変化させることを含む、燃焼分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
プロセス産業は、1つ以上の燃焼プロセスを含むエネルギー源に依存することが多い。このような燃焼プロセスには、蒸気を発生させるため、又は原料液を加熱するための炉又はボイラーの運転が含まれる。燃焼は、比較的に低コストのエネルギーを提供するが、燃焼効率を最大化することが求められる。さらに、煙突から出る産業プロセスからの燃焼ガスは規制されることが多く、危険なガスの量は、最小限に抑えられなければならないことが多い。したがって、燃焼プロセス管理産業の1つの目標は、既存の炉及びボイラーの燃焼効率を最大化することであり、これにより、温室効果ガス及び他の規制ガスの生産を本質的に削減させる。燃焼効率は、このような燃焼プロセスから生じる排気又は燃焼ガス中の酸素の理想的なレベルを維持することによって最適化することができる。
【0002】
燃焼プロセスの監視、最適化及び制御には、一般的にin-situ(その場)又はin-process(プロセス中)の分析器が使用される。一般的には、これらの分析器は、比較的に高温に加熱され、炉又はボイラーの燃焼ゾーンの真上又は近くで作動するセンサを用いる。既知のプロセス燃焼分析器は、一般的には、燃焼ガス流に直接挿入されるプローブの端部に配置された酸化ジルコニウムセンサを用いる。排気ガス又は燃焼ガスは、センサに流入し、センサの近くで拡散する。センサは、ガス中に存在する酸素の量に関する電気信号を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃焼プロセス中の酸素、一酸化炭素及びメタンの濃度を同時に検出するように構成された燃焼分析器を提供する。燃焼分析器は、燃焼プロセス中の酸素を検出し、燃焼プロセス中の酸素濃度を示す第1のセンサ信号を生成するように構成された酸素センサを含む。さらに、燃焼分析器は、約600℃で動作し、メタン濃度を示す第2のセンサ信号を提供し、約300℃で一酸化炭素濃度を示す第3のセンサ信号を選択的に提供するように構成された一酸化炭素-メタンデュアルセンサを含む。最後に、燃焼分析器は、センサ信号を受信し、酸素濃度を決定し、一酸化炭素-メタンデュアルセンサの信号及び酸素濃度に基づいて、一酸化炭素濃度出力及びメタン濃度出力を生成するように構成された制御部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の実施形態が特に適用可能なin-situの燃焼分析器の概略図である。
図2】本発明の実施形態が特に適用可能な燃焼分析器の概略斜視図である。
図3】燃焼分析器の一例を示す概略ブロック図である。
図4】一酸化炭素及びメタンデュアル熱量測定センサの感度に対する温度の影響のグラフ表示である。
図5】燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフ表示である。
図6】燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフ表示である。
図7】燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフ表示である。
図8】本発明の一実施形態による燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフ表示である。
図9】本発明の一実施形態による燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフ表示である。
図10】本発明の一実施形態による燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフ表示である。
図11】本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示すグラフ表示である。
図12】本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示すグラフ表示である。
図13】燃焼プロセスの監視及び制御のための方法の一例を示すフローチャートである。
図14】燃焼分析器の一例を示す簡略化されたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
ジルコニアベースの電気化学式酸素センサは、酸素を測定するための産業的用途に広く使用される。電気化学式酸素センサは、高温、例えば、約600℃~800℃で動作し、燃焼後に残留する過剰酸素を測定する。基準電極上に固定された分圧での酸素濃度差に対するセンサの応答は、例えば、空気を用いて、ネルンストの式(下記式1)を用いて計算することができる。
【数1】

ここで、Cは基準側/プロセス側の温度変化と酸素プローブ内の熱接合とに関する定数であり、Rは汎用ガス定数であり、Tはプロセス温度(K)であり、Fはファラデー定数である。
【0006】
電気化学ジルコニア酸素センサは堅牢で、燃焼環境で何年も動作することができる。完全燃焼では、酸素と燃料とが理想的な比率で結合し、主に二酸化炭素と水を生成し、二酸化硫黄や窒素酸化物のような燃料の不純物及び窒素の酸化に由来する微量の他のガスが含まれる。しかし、実際の燃焼においては、燃料と空気の均一性、燃料のエネルギー密度、燃料と空気の流量にばらつきがあるため、この論理空燃比(stoichiometric)の最高効率を達成することは非常に困難である。一般的な燃焼ガスの過剰酸素濃度は、ガスバーナーで約2%~3%、ボイラー及びオイルバーナーで約2%~6%である。最も効率的な燃焼は、一般的に酸素濃度0.75%~2.0%の間で生じるが、燃焼プロセスにおいて酸素の検出及び制御だけで達成し維持することは非常に困難である。ボイラー又は燃焼器の壁の他の部分に漏れがあると、さらに酸素が侵入し、酸素濃度の測定が損なわれ、燃焼制御が混乱する。
【0007】
酸素測定だけでもある程度の燃焼制御が可能であるが、燃焼分析器で追加的に採用する一酸化炭素の同時計測により、燃焼効率と安定性とを向上させることができる。一酸化炭素は、炭化水素燃料の燃焼が十分な酸素と混合されていない場合、又は燃焼バーナーが故障又は誤作動している場合に、燃焼プロセスで生成される。したがって、一酸化炭素の濃度は、不完全燃焼又は燃料過多燃焼の指標として使用することができる。微量以上の一酸化炭素濃度の存在は、バーナーの故障を示す診断として使用することができる。一方、約100ppm~200ppm(百万分率)程度の微量に近い一酸化炭素濃度で、僅かに空気が過剰な状態での運転は、燃焼条件が最も効率の良い論理空燃比点(stoichiometric point)であることを示すであろう。
【0008】
燃焼開始時、又はバーナーの故障時や噴出時には、燃焼プロセスに設置された通常の火炎センサの応答時間よりも速く、燃焼器に爆発性混合物で満たされる可能性がある。これは潜在的に爆発の結果を招き、怪我、生命の喪失、資本や営業収益の損失を引き起こす可能性がある。不完全なガス混合と燃焼ガスの層状化は、始動時に危険な状態を引き起こす可能性がある。燃焼過程におけるメタンの存在と濃度は、危険な状態が存在し得ることを示す診断として使用することができる。特に、メタン濃度が高いままである場合、点火が行われなかったことを示す。この状態を検出して回避するには、メタンセンサが必要となる。
【0009】
酸素及び一酸化炭素に加えてメタンを測定することができる燃焼分析器は、燃焼プロセスの制御及び診断のための追加の安全機能を提供する。電気化学的ジルコニア技術に基づく酸素センサを備えた利用可能な燃焼分析器は、ネルンストの式 (上記式1) に従って、センサ出力が酸素濃度に対数的に依存し、燃焼プロセス中の残留過剰酸素を測定する。理論空燃比点付近の燃焼過程で生成される一酸化炭素は、燃焼分析器に使用される触媒式の熱量測定一酸化炭素センサによって定性的に測定され、燃焼プロセス中の一酸化炭素のブレークスルーを示すことになる。既知の燃焼分析器は、メタンに対して感度がないか(例えば、熱量測定センサ)、又は一酸化炭素及びメタンに対して等しい感度があり、困難で厳しい燃焼環境において高い信頼性がない(例えば、混合電位センサ)。
【0010】
酸素、一酸化炭素及びメタンを同時に測定することができる燃焼分析器が必要である。このような燃焼分析器が本明細書において提供される。一例では、最適化された熱量測定触媒センサが、酸素測定を提供する酸素センサによって分離された一酸化炭素及びメタンの同時測定を提供する燃焼分析器に採用される。
【0011】
燃焼ガス中の酸素濃度1.0%~6.0%での燃焼プロセス規制では、一酸化炭素が最初にブレークスルーして不完全燃焼となる。メタン又は炭化水素は、点火前の約20.0%の酸素濃度を有する燃料-空気混合物においてのみ存在する。換言すれば、メタンの存在は、燃料/空気の組み合わせが点火されていないことを示し、したがって、燃焼プロセスにおいて爆発性ガスが蓄積される危険性を示す。
【0012】
一例では、最適化された熱量測定触媒センサ(上述)は、ppmの一酸化炭素濃度と、パーセントのメタン濃度とに感度があり、約1000ppmの一酸化炭素(0ppm以上~1000ppm未満の一酸化炭素の範囲)及び約5.0%のメタン(0%以上~5.0%以下のメタンの範囲)で較正される。別の例では、ソフトウェアで実行される較正アルゴリズムを使用して、10.0%未満の酸素濃度(0%以上~10.0%未満の酸素濃度の範囲)の燃焼制御モードにおける一酸化炭素濃度、及び約20.0%の酸素濃度(10.0%以上~20.0%未満の酸素濃度の範囲)のメタン濃度を計算し、表示することができる。
【0013】
図1は、本発明の実施形態が特に適用可能なin-situプロセス燃焼分析器の概略図である。燃焼分析器10は、市販の燃焼分析器、例えば、ミネソタ州シャコーピーのローズマウント社(エマソン社)から入手可能なモデルOCX8800燃焼分析器を用いて実施することが可能である。分析器10は、設備6の構成要素と通信するように構成された通信モジュール8(例えば、送信器)を含むことができる。一例では、送信器8は、例えばBluetooth(登録商標)プロトコルを介して無線で通信する。別の例では、通信モジュール8は、有線ループ(図示せず)を介して通信する。別の例では、通信モジュール8は、フィールドコミュニケータ、パーソナルコンピュータ、コントロールセンター、ハンドヘルドデバイス、又は種々のユーザインターフェースなどのリモートデバイス(図1には示されていない)と通信するが、これらに限定されない。別の例では、通信モジュールは、4-20mA HART通信プロトコル、又はFOUNDATIONフィールドバスデジタル通信プロトコルに従って通信する。一例では、分析器10は、最大1427℃までのプロセス温度範囲を有する。
【0014】
分析器10は、一例では、煙突又は煙道14内に実質的に配置され、バーナー16で発生する燃焼プロセスに関連する酸素、一酸化炭素及び/又はメタン濃度を測定するサンプリング管12を含む。一例では、分析器10は、煙道又は煙突に動作可能に結合されたダクトに取り付けられる。一例では、バーナー16は、空気源又は酸素源18及び燃焼燃料源20に動作可能に結合される。各供給源18及び20は、燃焼プロセスを制御するためにバーナー16に制御可能に結合することができる。分析器10は、燃焼プロセス中の酸素、一酸化炭素及び/又はメタンの量を測定し、酸素、一酸化炭素及び/又はメタン濃度の指標を燃焼制御部22に提供する。1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができる制御部22は、閉ループ燃焼制御を提供するために弁24及び26の一方又は両方を制御する。一例では、制御部22は、燃焼プロセス中の酸素、一酸化炭素及び/又はメタンの過不足の指標が、燃焼室に供給される酸素又は燃料の量の変化をもたらすように、自動的に動作する。別の例では、制御部22は、測定された濃度の指標を様々なユーザインターフェースに提供する。別の例では、制御部22は、燃焼プロセス (又は設備6) の状態の指標を提供するアラーム又はアラートを起動するか、又はアクションが取られるべきであるという指標を提供する。
【0015】
設備6はまた、分析器10に動作可能に接続されたガスアセンブリ28を含むことができる。一例では、ガスアセンブリ28は、較正動作中に較正ガス(例えば、既知の濃度を有するガス)を分析器10に供給する。一例では、ガスアセンブリ28は、3つの較正(又はテスト)ガスを分析器10供給することができる。一例では、3つのガスは、低酸素テストガス、高酸素テストガス及び一酸化炭素テストガスである。別の例では、ガスアセンブリ28は、メタンテストガスを分析器10に供給することができる。別の例では、ガスアセンブリ28は、分析器10に空気を供給するように構成された空気源、例えば、基準空気(例えば、較正及び測定の目的で)又は機器空気(例えば、エダクタ用空気及び/又は希釈空気)を含むことができる。ガスアセンブリ28は、分析器10にテストガス及び空気の流れを供給し制御するように構成された多数のソレノイド及び流量計を含むことができる。
【0016】
図2は、本発明の実施形態が特に適用可能な燃焼分析器の一例を示す斜視図である。分析器100は、本明細書ではハウジング102と総称される電子機器ハウジング102-1及びセンサハウジング102-2と、サンプリング管104と、保護カバー116を備えた電子機器106とを含む。サンプリング管104は、開口110が配置された遠位端108を有する。サンプリング管は、例えば、金属合金(例えば、ニッケルクロム合金及び/又はインコネル600)、鋼(例えば、316ステンレス鋼)、セラミック、及び高温プロセス環境に適した様々な他の材料から構成されてもよいが、これらに限定されるものではない。開口部110は、燃焼ガスがサンプリング管104を通って、酸素、一酸化炭素及び/又はメタンの濃度測定が行われるセンサ112に向かうことを可能とする。
【0017】
ハウジング102は、電子機器106を収容する大きさのチャンバ114を有する。ハウジング102は、センサ112を収容する大きさのチャンバ115を有する。さらに、ハウジング102は、密閉シールを形成するためにカバー116の雄ねじ131を受け入れて嵌合するように適合された雌ねじ130を含むことができる。他の例では、カバー116は、他の締結具(ボルト等)を介して、又は様々な他の結合技術、例えば、溶接を介してハウジング102に結合されることができる。さらに、ハウジング102は、電子機器106とチャンバ115内に配置された測定セル又はセンサ112との間の電気的相互接続を可能にする開口部132(例えば、ボア)をその中に含むことができる。
【0018】
センサ112は、一例では、酸素センサと、酸素、一酸化炭素及び/又はメタンを感知して測定値を提供するように構成された一酸化炭素-メタンデュアルセンサとを含む。一例では、センサ112は、酸素、一酸化炭素及び/又はメタンを同時に検知及び/又は測定するように構成される。別の例では、センサ112は、ジルコニア固体電解質に基づく電気化学的酸素センサと、一酸化炭素及び/又はメタンを測定するように構成された一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定触媒センサとを含む。幾つかの例において、熱量測定触媒センサで使用される触媒は、貴金属、例えば、白金又は金属酸化物、例えば、ホプカライト、又は燃焼プロセス中のガスの検出及び測定に適した任意の他の触媒を含むことができる。別の例では、センサ112は、1つ以上の抵抗温度検出器を含むことができる。別の例では、センサ112は、一酸化炭素-メタンデュアルセンサ及び/又は酸素センサの動作温度を監視するように構成された1つ以上の温度検出器を含むことができる。
【0019】
この実施形態では、サンプリング管104は、煙道14などの煙道内に延びるように構成される。プローブ104は、フランジ120に隣接する近位端118を含む。フランジ120は、送信器100を煙道の側壁に取り付けるか、又は別の方法で固定するために使用される。そのように取り付けられると、分析器100は、フランジ120の煙道壁への結合によって完全に支持することができる。
【0020】
電子機器106は、ヒータ制御及び信号調整を提供し、その結果、燃焼ガス酸素濃度を表すmA信号が得られる。好ましくは、電子機器106は、プログラム的なステップを実行することができる制御部/マイクロプロセッサも含む。電子機器106はまた、測定回路(例えば、測定セル)、通信回路(例えば、送信器)、電源、抵抗温度検出器(RTD)、温度センサ、及び任意の他の適切な電気的構成要素を含むが、これらに限定されない様々な他の構成要素を含むことができる。電子機器106はまた、情報(例えば、ガス濃度測定)を表示し、オペレータとのインタラクションを可能にするように構成されたローカルオペレータインタフェース134を含むことができる。インターフェース134は、いくつかのインタラクション機能、例えば、ロックアウト機能、タッチスクリーン、状態インジケータ、選択キー(例えば、メニューとのインタラクションのために)、及び他の任意の適切な機能を含むことができる。
【0021】
一例では、燃焼分析器100は、例えば、ミネソタ州シャコーピーのローズマウント社 (エマソン社) から入手可能なモデルOCX8800燃焼分析器などの市販の燃焼分析器を用いて実施することができる。OCX8800燃焼分析器は、抽出型分析器であり、in-situ酸素プローブと同様に燃焼器ダクトの壁面に設置される。分析器は、圧縮空気のエダクタを駆動し、ベンチュリ効果によってプロセス流体(例えば、燃焼ガス)を吸引する。燃焼ガスは、外部及び内部フィルターを備えたサンプリング管から吸引され、酸素センサ及び一酸化炭素-メタンデュアルセンサに送られ、これによって、対象ガスの濃度を測定することができる。
【0022】
図3は、燃焼分析器の一例を示す概略ブロック図である。燃焼分析器150は、センサハウジング151を含む。センサハウジング151内には、酸素センサ及び一酸化炭素-メタンデュアルセンサとして示されるセンサ152がある。センサ152は、本明細書に記載されているものと同様である(例えば、112)。センサハウジング151内には、エダクタ182もある。分析器150は、さらに電子機器ハウジング156を含む。電子機器ハウジング156内には、マイクロプロセッサからなることができる制御部158と、測定回路(例えば、測定セル)及び/又は通信回路(例えば、送信器)からなることができる回路160と、電源162とがある。また、電子機器ハウジング156内には、テストガスソレノイド164及び空気供給ソレノイド166がある。
【0023】
分析器150は、さらにガスアセンブリ168を含む。ガスアセンブリ168は、低酸素テストガス源170と、高酸素テストガス源172と、一酸化炭素テストガス源174と、空気供給源176とを含む。これらの供給源は、測定、較正及び他の機能のためにガスの流れを分析器150に提供するように構成される。他の例では、分析器150は、追加のテストガス源を含むことができ、及び/又は、上記のガス源の組み合わせは、較正及び他の機能のために、分析器150の構成要素(例えば、センサ152)にメタンの流れを提供するように構成されたメタンテストガス源を含む、他のテストガスの流れを提供するように構成することができる。分析器150は、さらに空気供給流量計178及びテストガス流量計180を含む。これらの流量計は、分析器150の構成要素への空気及びテストガスの流れを監視及び制御するように構成される。分析器150はまた、ガス濃度測定が分析器150によって行われるように、燃焼ガスがセンサ152に流れるように構成された(例えば、遠位端に配置された開口部を介して)サンプリング管154を含む。
【0024】
分析器150は、サンプリング管154がプロセス流に曝されるように、ダクト又は煙道/煙突の壁に取り付けられる。コンプレッサを介して空気動力が供給され、空気供給源176を介して空気が供給されるエダクタ182は、サンプルがセンサ152を通過するセンサハウジングの前で、プロセス排気ガスのサンプルを、プローブを通じてチャンバに連続的に引き込む。次に、サンプルは、エダクタ182を通して引き込まれ、エダクタ空気と混合され、排気を通じて出てプロセスに戻る。制御部158及び回路160は、センサ152から生成されたセンサ信号を受信し、分析し、サンプル内のガスの濃度を示すデジタル出力信号に変換する。制御部158は、例えば、センサ152によって検出されたガスの濃度に基づいて、較正動作を開始し、停止動作を開始し、燃焼プロセスへの空気及びガスの流れを調整し、アラート/アラームを発生し、測定された濃度を示す表面表示を生成し、及び様々な他の動作を行うことができる。テストガス170、172及び174は、制御部158からの制御信号に基づいて、ソレノイド164によってオン及びオフすることができる。センサ152へのテストガスの流れは、テストガス流量計180によって調整される。一例では、流量計180は、ハウジング151と156との間に配置される。空気供給源176は、制御部158からの制御信号に基づいて、空気供給ソレノイド166によってオン及びオフすることができる。一例では、空気供給源176は、センサ152が所望の動作温度(例えば、ヒータによって所望の温度に加熱される)になるまでオンにされない。これにより、結露の原因となる冷たいセンサに引き込まれる、サンプリングされたプロセス燃焼ガスの量を最小限に抑えられる。空気供給源176は、エデュケータ空気と、基準空気と、希釈空気とに分離される。希釈空気は、プロセス中の酸素濃度に関係なく、あらゆる可燃性ガスを完全に酸化させるのに十分な酸素があることを保証するために、センサ152に供給される。
【0025】
燃焼分析器10、100及び150は、酸素、一酸化炭素及び/又はメタンを同時に測定する。熱量測定触媒式の一酸化炭素センサ(例えば、センサ112)におけるメタンの低い燃焼速度は、センサをより高温で動作させることにより向上させることができる。燃焼分析器に採用される標準的な熱量測定触媒式の一酸化炭素センサは、通常300℃で作動する。この温度は、メタンに対して交差感度を持たず、一酸化炭素の感度に最適化されており、一酸化炭素の信頼性と再現性のある測定を実現するが、メタンの測定を行うことはできない。一例では、燃焼分析器(例えば、10、100及び/又は150)は、制御部(後述)を介して、一酸化炭素-メタンデュアルセンサ(例えば、センサ112)の温度を上昇させる。一例では、温度は400℃まで上昇される。別の例では、温度は600℃まで上昇される。別の例では、温度は400℃~600℃の範囲内にある温度まで上昇される。別の例では、酸素センサは、700°Fの温度で動作する。別の例では、酸素センサは、700°Fを超える温度で動作する。
【0026】
センサの温度を上げると、触媒表面で部分的にメタンが酸化され、一酸化炭素とメタンとの両方を同時に測定することができる。一般に、反応(例えば、触媒表面のメタン/一酸化炭素の酸化)における放出熱は、燃焼分析器の電子機器に採用される抵抗温度検出器(RTD)によって測定される。
【0027】
デュアルセンサの温度を上げると、メタン濃度の測定が可能となる一方で、一酸化炭素に対する燃焼分析器の感度が若干低下する。これは、触媒表面の外側(例えば、ステンレス製のセンサブロック上)で一酸化炭素が高温で燃焼し続け、放射による熱損失が原因で起こる。
【0028】
燃焼分析器10、100及び150は全て、それらの様々なセンサの動作温度の調整及び制御(例えば、センサブロックの加熱又は熱の低減)を提供し、及び/又は他の方法で支援するように構成された1つ以上のヒータ及び/又は他の熱供給構成要素も含むことができる。一例では、ヒータ及び/又は他の熱供給構成要素は、例えば、制御信号に基づいて、センサの動作温度を調節することができる。一例では、燃焼分析器10、100及び150は、配線、熱スイッチ、ヒータロッド、絶縁体、ヒータクランプ、熱電対、及び任意の他の適切な構成要素及び/又は装置を含むが、これらに限定されないヒータストラットアセンブリを含むことができる。別の例では、分析器10、100及び150は、バンドヒータを含むことができる。別の例では、分析器10、100及び150は、セラミックファイバーヒータを含むことができる。別の例では、分析器10、100及び150は、分析器10、100及び150の様々なセンサ及び/又は他の装置及び/又は構成要素の動作温度を維持及び調整するのに適した任意の他の適切な装置及び/又は構成要素を含むことができる。
【0029】
図4は、一酸化炭素及びメタンデュアル熱量測定センサの感度に対する温度の影響を示すグラフである。一般に、図4は、デュアルセンサの温度が上昇するにつれて、一酸化炭素に対する感度が低下し、メタンに対する感度が上昇することを示す。図から理解されるように、300℃では、デュアルセンサは、一酸化炭素の検出に最適化されており、感度 (オームで測定) の読み取り値は、実際の一酸化炭素の濃度をほぼ表している。温度が400℃に上昇すると、デュアルセンサは、メタンに対してかなり敏感になるが、一酸化炭素に対する感度は低くなる。図4に示すように、デュアルセンサの温度が600℃に向かって上昇し続けると、メタンに対する感度が増加し、より選択的にメタンの割合(例えば、図4に示すように1.0%、0.5%、0.25%、0.1%)を検出することが可能になる。一酸化炭素に対する感度は低下し続けているが、メタンに対する感度が最適化される600℃でも、一酸化炭素の読み取り可能な測定値が利用可能である。
【0030】
しかし、燃焼分析器は、一酸化炭素を確実に再現性よく測定することができ、いかなる誤差も、後述する較正方法によって説明することができる。
【0031】
図5図7は、燃焼分析器を使用したガス濃度測定をグラフ化したものである。図5は、従来技術による燃焼分析器の一酸化炭素測定を示す。具体的には、図5は、300℃で作動する触媒一酸化炭素センサの応答を示し、具体的には、0~1000ppmの一酸化炭素の範囲に対する触媒一酸化炭素センサのステップ応答を示す。前述したように、300℃で動作する標準的な熱量測定触媒式の一酸化炭素センサは、一酸化炭素の信頼性の高い測定値を生成する。図5から理解されるように、センサの応答性は、約100% (プラス又はマイナス10ppm) である。換言すると、プロセス環境が特定のppm (例えば、100ppm)の一酸化炭素濃度を含む場合、センサは、実際の濃度 (プラス又はマイナス10ppm) に対応する読み取り値を生成していることになる。しかし、この動作温度では、センサは、メタンの存在を検出することも、メタンの濃度を測定することもできない。
【0032】
図6は、燃焼分析器の一酸化炭素測定を示す。具体的には、図6は、400℃に加熱された触媒一酸化炭素センサが300℃で較正された場合に、センサの感度に何が起こるかを示す。上述のように、センサの温度を上昇させることによって、メタンの検出及び測定が可能になる。しかし、温度が上昇すると、一酸化炭素に対する感度が低下する。このことから理解されるように、センサの読み取り値は、実際の一酸化炭素の値の約73%である。例えば、一酸化炭素の濃度が1000ppmの場合、センサの読み取り値は、約730ppmである。感度の低下は望ましくないが、図7に示し、以下にさらに詳細に説明するように、較正動作によって補正することができる。
【0033】
図7は、本発明の一実施形態による燃焼分析器の一酸化炭素測定を示す。具体的には、図7は、400℃に加熱して較正した触媒一酸化炭素センサのセンサ読み取り値を示す。図7から理解されるように、センサの読み取り値は、実際の一酸化炭素の濃度プラス又はマイナス10ppmに対応しており、これらの読み取り値は、信頼性と再現性とがある。例えば、400℃の較正の後、一酸化炭素の濃度が1000ppmである場合、センサの読み値は、約1000ppmに戻り、繰り返し且つ一貫してそのようになる。
【0034】
図8図10は、本発明の一実施形態による燃焼分析器を使用したガス濃度測定のグラフである。具体的には、図8図10は、一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定センサの読み取り値を示す。前述のように、センサを400℃に加熱して較正することにより、センサは、メタンの存在を検出し、メタンの濃度を測定することができる。図8図10から理解されるように、センサの応答は、信頼性が高く、再現性がある。
【0035】
図8は、本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示す。具体的には、図8は、400℃に加熱して較正した一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定センサのメタン濃度測定を示す。図8から理解されるように、センサの応答は、ppmの一酸化炭素で表される0%から最大5.0%のメタン濃度に及ぶ。センサの応答はまた、良好な直線性(図8の右上のグラフ)を示し、したがって、2点較正のみを必要とし、約5.0%のスパンであり、信頼性の高い約プラス又はマイナス0.2%~0.3%のメタン検出オプションが得られる。2点較正は、センサの出力が適度に線形であることが分かっている場合(すなわち、x軸の値の変化がy軸の値の変化に比例する場合、及び/又は出力が入力に正比例する場合)に可能である。線形性により、複雑なカーブフィッティング(例えば、回帰分析)を行う必要がなく、2つの基準点のみで直線を描くことができる。2点較正は、基本的に出力を再スケーリングし、傾きとオフセットとの両方の誤差を補正することができる。2点較正の式の一例は、下記式2のとおりである。
【数2】
【0036】
図9は、本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示す。具体的には、図9は、一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定センサの応答を示す。図9から理解されるように、センサは、400℃の温度で、90%の応答に対して30秒の範囲内の応答時間で、触媒表面のメタン酸化が検出可能であり、安全な燃焼制御のための確実で効率的なメタン検出を可能とする。
【0037】
図10は、本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示す。具体的には、図10は、400℃に加熱された一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定センサの応答の再現性を示す。図10から理解されるように、センサの読み取り値は、メタンの実際の濃度、例えば、5.0%プラス又はマイナス0.1%に対応し、時間の経過とともに0%~5.0%のメタンの範囲に曝され、信頼性が高く再現性がある。
【0038】
図11は、本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示すグラフである。図11から理解されるように、一酸化炭素-メタンデュアルセンサからのメタンに関する測定値は、デュアルセンサが600℃に加熱された場合、線形である。メタン濃度が増加すると、読み取り値 (オーム) は比例して増加する。線形性は、センサの2点較正を可能にする。
【0039】
図12は、本発明の実施形態による燃焼分析器のメタン測定を示すグラフである。図12から理解されるように、種々のメタン濃度での一連の試験にわたって600℃に加熱された一酸化炭素-メタンデュアルセンサを使用すると、デュアルセンサの測定は、良好な再現性を有し、再現性がある。
【0040】
燃焼中には、2つの主要な動作シナリオがある。第1に、始動時に燃料に点火する場合である。オペレータは、論理空燃比点に向かって酸素レベルを下げ、一酸化炭素を測定して制御することにより、安全性を確保し、効率(空気と燃料との効率的な混合)を向上させる。第2の動作シナリオは、始動時に点火せず、酸素レベルが高いままである場合である。メタンが測定され、レベルが高いままであれば、点火されなかったことを示す。メタンの存在を検出するために、燃焼分析器の電子回路(例えば、プロセッサ/制御部)において、較正アルゴリズム(図5図12に示され、以下に説明される)が採用され、これによって、センサを400℃に加熱し、センサを較正して読み取り値を補正するか、又はセンサが既に400℃である場合は、読み取り値を補正してメタンの濃度を測定する。一例では、燃焼分析器のメタンセンサは、メタンが存在することを検出し、制御部(後述)は、アラート又はアラームを作動させてオペレータに通知することができ、これによって、メタンの存在及び点火されなかった可能性についてオペレータに警告する。
【0041】
燃焼分析器は、例えば1000ppmの一酸化炭素と、例えば5.0%のメタンとで較正される(図5図10に示すように)。この較正は、較正ガスアセンブリ(例えば、28)を使用して行うことができ、これにより、較正ガス (既知の濃度を有する) を燃焼分析器に曝すことができる。燃焼分析器は、較正ガスの存在を検出し、これらのガスの濃度を示す信号を生成する。分析器によって検出された濃度のいかなる誤差も、例えば、2点較正法(ここで、基準測定は、例えば、既知の正確な応答を有する基準センサと共に使用することができる) を用いて補正することができ、特に、誤差が再現可能で信頼することができ、センサの応答が良好な線形性(図5図12に示すように)を示す場合に補正することが可能である。この較正動作により、信頼性の高いppmの一酸化炭素の範囲、及びメタンのパーセンテージの検出が可能になる。
【0042】
一例では、その後、センサは400℃の高温で動作される。別の例では、センサは600℃の高温で動作され、別の例では、センサは400℃~600℃の範囲の温度で動作される。燃焼分析器が10.0%未満の酸素測定値を検出した場合、一酸化炭素較正アルゴリズムが使用され、一酸化炭素のパーセンテージが検出される。燃焼分析器が20.0%を超える酸素測定値を検出した場合、メタンのパーセンテージを検出するためにメタン較正アルゴリズムが使用される。ある例では、燃焼分析器は、1.0%を超えるメタン濃度の検出時にアラート又はアラームを送信する。その後、オペレータは、燃料の流れを止め、危険な点火や爆発のシナリオを回避する。ある例では、1.0%を超える濃度のメタンが検出されると、燃焼分析器は、例えば、燃料又は空気の流れを遮断する制御信号を送ることによって、燃料の流れを自動的に停止する(例えば、図1に記載されているように)。他の例では、濃度閾値は、上述したものとは異なることができる。別の例では、濃度閾値は、ユーザが選択可能である。
【0043】
図13は、燃焼プロセスの監視及び制御のための方法の一例を示すフローチャートである。方法200は、ブロック205で開始し、本明細書で説明する燃焼分析器(例えば、10及び100)のような、酸素、一酸化炭素及びメタンの濃度を同時に測定することができる燃焼分析器が燃焼プロセス流に配置され、一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定センサが、任意に上昇された温度に設定される。一例では、上昇された温度は400℃である。別の例では、上昇された温度は600℃である。別の例では、上昇された温度は400℃~600℃の範囲内にある。このプロセスの開始時にデュアル温度センサの温度を上昇させる必要はない。一例では、温度は、さらに後述するように、ある閾値以上の酸素濃度が検出された場合にのみ上昇される。一例では、プロセスの開始時に温度が300℃のままであり、分析器は、一酸化炭素検出用に最適化される。
【0044】
方法200は、ブロック210に進み、燃焼プロセスが開始され、点火シーケンスが開始される。
【0045】
方法200は、ブロック215に進み、燃焼分析器が、燃焼プロセス中の酸素濃度を測定する。ブロック210における酸素濃度の検出は、例えば、燃焼流中の酸素の存在を検知してセンサ信号(例えば、ミリボルト信号)を生成する、燃焼分析器の構成要素内に電気的に結合された酸素センサによって行うことができる。次いで、センサ信号は、センサに電気的に結合された測定回路に供給され、ここで、センサ信号の1つ以上の特性が測定され(例えば、センサ信号の電気的特性の変化)、次いで、酸素の濃度を示すデータが制御部(例えば、マイクロプロセッサ)に提供される。
【0046】
方法200は、ブロック220に進み、燃焼分析器が、酸素濃度がある閾値以上であるか否かを決定する。一例では、閾値は20.0%の酸素である。別の例では、閾値は20.9%の酸素である。ブロック220における酸素濃度が閾値以上の場合、方法200は、ブロック225に進み、燃焼分析器は燃焼が開始されていない(すなわち、点火が起こらなかった)と決定する。上述したように、点火の失敗は、爆発性/可燃性混合物(例えば、空気及び燃料)の蓄積を引き起こし、危険な状況をもたらす可能性がある。
【0047】
この危険な状況を防止するために、方法200は、ブロック230に進み、燃焼分析器が、燃焼プロセス流中のメタン濃度を検出する。メタンの検出は、一例では、図8図12に記載されたメタン較正アルゴリズムを適用することによって行われる。オプションとして、ブロック230で、一酸化炭素-メタンデュアルセンサを高温に加熱する(ブロック205で以前に行われていない場合)。上昇した温度は、例えば、400℃、600℃、又は400℃~600℃の範囲内とすることができる。方法200は、ブロック235に進み、燃焼分析器が、メタン濃度が閾値を超えているか否かを決定する。一例では、閾値は1.0%のメタン濃度である。別の例では、閾値は5.0%のメタン濃度である。別の例では、閾値は1.0%~5.0%のメタン濃度の範囲内である。
【0048】
ブロック235において、メタン濃度が閾値を超えると判定された場合、方法200は、ブロック240に進み、燃焼分析器が信号を送信する。一例では、信号は、燃料及び空気の流れを停止し(例えば、弁24及び26を閉じることによって)、及び/又は設備を停止することによって、燃焼プロセスを自動的に停止し、点火を防止するように構成された制御信号241である。別の例では、燃焼分析器は、燃焼プロセスが停止されるべきであること、及び危険な状況が存在することを視覚的又は聴覚的に示すアラート及び/又はアラーム信号242を送信する。一例では、アラート/アラームは、燃焼分析器に電気的又は通信的に結合された光などの視覚的なアラート/アラームとすることができるが、これらに限定されない。別の例では、アラート/アラームは、燃焼分析器に電気的又は通信的に結合されたノイズ(例えば、クラクション又はサイレン)を発する装置のような可聴アラート/アラームとすることができるが、これらに限定されない。この信号は、ユーザインターフェース上に指標を表示するように構成された表示信号243とすることができる。ユーザインターフェースは、分析器又は設備に結合されたローカルインターフェース、ハンドヘルドデバイス、又は制御室内のコンピュータのようなリモートデバイスであってもよい。この信号は、燃焼設備の状態を示すように構成された任意の他の種類の信号244とすることができ、例えば、テキストメッセージアラート、電子メール、電話、又は任意の他の適切な技術であるが、これらに限定されない。方法200は、ブロック275で終了し、燃焼プロセスが停止され、燃焼プロセス流におけるガス/燃料の安全な濃度が検出されるまで再点火が行われない。
【0049】
ブロック235において、メタン濃度が閾値を超えていないと判定された場合、方法200は、ブロック245に進み、燃焼分析器がメタン濃度の検出を継続する。
【0050】
ブロック220に戻り、酸素濃度が閾値を超えていないと判定された場合、方法200は、ブロック250に進み、酸素濃度が閾値未満であるか否かが決定される。一例では、閾値は10.0%の酸素濃度である。ブロック250において、酸素濃度が閾値未満であると決定された場合、方法200は、ブロック255に進み、燃焼分析器が、燃焼が開始されたと決定する(例えば、点火が行われた)。方法200は、ブロック260に進み、燃焼分析器が、燃焼プロセス流中の一酸化炭素の濃度を検出する。一例では、検出は、図5図7に記載された一酸化炭素較正アルゴリズムを適用することによって行われる。任意に、ブロック260において、例えば、ブロック205で温度が上昇した場合、一酸化炭素-メタンデュアルセンサの温度が低下される。一例では、デュアルセンサの温度は300℃に設定され、別の例では、デュアルセンサの温度は400℃~600℃の範囲内である。
【0051】
この方法は、ブロック265に進み、燃焼分析器が、一酸化炭素の濃度を維持するように燃焼プロセスを制御する。一例では、濃度は100ppmである。別の例では、濃度は200ppmである。別の例では、濃度は100ppm~200ppmの間である。燃焼分析器は、燃焼プロセスが終了(例えば、シャットダウン)するまで、一酸化炭素の濃度を維持するように燃焼プロセスの制御を継続する。
【0052】
ブロック220に戻り、ブロック250において、燃焼分析器によって酸素濃度が閾値以上ではないと決定され、閾値未満ではないと決定された場合、方法は、ブロック270に進み、燃焼分析器が酸素濃度の検出を継続する。
【0053】
方法200は、説明の便宜上、特定の順序で説明されているが、方法200のステップが様々な順序で完了することができ、この例示による特定の順序が意図されていないことを、当業者が理解されるであろうことに留意されたい。
【0054】
図14は、燃焼分析器の一例を示す簡略化されたブロック図である。燃焼分析器300は、電源302、制御部304、測定回路306、センサ308、通信回路310、及びその他312を含む。電源302は、燃焼分析器及びその構成要素 (矢印「全て」で示されるように) に電力を供給するように構成される。
【0055】
電源302は、交換可能なバッテリ又は充電可能なバッテリなどのローカル電源とすることができるが、これらに限定されるものではない。電源302は、外部電源、例えば、コンセントを介してプラグインされる(又は別の方法で接続される)電源コード(又は他の配線)を備える電気回路であってもよい。センサ308は、燃焼プロセス中のガスの存在を検出し、それらのガスの濃度を示す信号を生成するように構成されたセンサ、及び/又はセンサの温度(例えば、一酸化炭素-メタンデュアルセンサの動作温度)を監視するように構成された温度センサ(例えば、抵抗温度検出器)など、種々のセンサを含むことが可能である。センサ308は、酸素センサ及び一酸化炭素-メタンデュアルセンサ(上述のように、例えば、センサ112)を含むことができる。センサ308は、ジルコニア固体電解質に基づく電気化学酸素センサと、一酸化炭素及び/又はメタンを同時に測定するように構成された一酸化炭素-メタンデュアル熱量測定触媒センサと、を含むこともできる。
【0056】
センサ308からのセンサ信号は、測定回路306に送信され、センサ208によって検知された燃焼プロセス中に存在するガスの濃度が、信号に基づいて測定される。次いで、制御部304は、測定された濃度に基づいて、様々な制御信号を生成することができる。一例では、制御信号は、アラーム又はアラートを作動させるように構成することができる。別の例では、制御信号は、例えば、図1で上述したように弁を調整(例えば、開閉)することによって、燃焼プロセスへの空気及び燃料の流れを調整するように構成することができる。別の例では、制御信号は、燃焼プロセスを停止するように構成することができる。別の例では、制御信号は、センサ308の動作温度を調整(例えば、上昇又は低下)するように構成することができる。温度は、一例では、300℃~600℃の範囲内とすることができる。
【0057】
別の例では、制御信号は、通信回路310を介して、検出されたガス及び決定された濃度を表示するための出力を送信するように構成することができる。この出力は、照明、ディスプレイ画面、ハンドヘルドデバイス、又は遠隔インターフェース、例えば、制御室内のコンピュータを含む多数のユーザインターフェースに表示することができる。通信回路310は、例えば、無線ネットワーク又はBluetooth(登録商標)プロトコルへの接続を介して、無線で通信するように構成することができる。通信回路310は、対応するユーザインターフェース又は他の視覚/可聴デバイス(例えば、点滅灯、ホーン又はサイレン)に接続された有線ループを介して通信するように構成することができる。通信回路310は、送信機を含むことができる。通信回路310は、燃焼分析器の構成要素が互いに通信できるように構成することができる。通信回路310は、外部通信が燃焼分析器の構成要素(例えば、オペレータ又は制御システム、例えば、制御室内のコンピュータからの通信)と通信できるように構成することができる。通信回路は、燃焼分析器の構成部品が、燃焼設備の他の構成部品(例えば、図1で述べたような弁)又は外部装置(例えば、ユーザインターフェース)と通信することが可能なように構成することができる。
【0058】
その他312は、燃焼プロセス中のガス濃度を感知、検出及び/又は測定するように構成された、燃焼分析器において有用なその他の任意の適切な装置又は構成要素を含むことができる。その他312は、例えば、センサ308の調整及び制御(例えば、センサブロックの加熱又は熱の低減)を提供する、及び/又は他の方法で支援するように構成された1つ以上のヒータ及び/又は他の熱供給構成要素を含むことができる。一例では、ヒータ及び/又は他の熱供給構成要素は、例えば、制御部304からの制御信号に基づいて、センサ308の動作温度を調整することができる。一例では、その他312は、配線、熱スイッチ、ヒータロッド、絶縁体、ヒータクランプ、熱電対、及び任意の他の適切な構成要素及び/又は装置を含むが、これらに限定されないヒータストラットアセンブリを含むことができる。別の例では、その他312は、バンドヒータを含むことができる。別の例では、その他312は、セラミックファイバーヒータを含むことができる。別の例では、その他312は、センサ308及び/又は分析器300の他の要素の動作温度を維持及び調整するのに適した任意の他の適切な装置及び/又は構成要素を含むことができる。
【0059】
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。例えば、システム及び装置の構成要素は、統合又は分離することができる。さらに、本明細書に開示されるシステム及び装置の動作は、より多くの、より少ない、又は他の構成要素によって行うことができ、記載される方法は、より多くの、より少ない、又は他のステップを含むことができる。さらに、ステップは、任意の適切な順序で実行することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14