IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特許7362914負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器
<>
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図1
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図2
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図3
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図4
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図5
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図6
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図7
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図8
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図9
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図10
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図11
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図12
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図13
  • 特許-負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/04 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
H01F29/04 502K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022522422
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2020019190
(87)【国際公開番号】W WO2021229736
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 直紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真一郎
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-067706(JP,A)
【文献】特開昭59-060826(JP,A)
【文献】特開平07-312316(JP,A)
【文献】特公昭59-000926(JP,B2)
【文献】特開平11-238635(JP,A)
【文献】実公昭41-020171(JP,Y1)
【文献】実公昭35-006027(JP,Y1)
【文献】特公昭61-045844(JP,B2)
【文献】実開平04-085546(JP,U)
【文献】国際公開第2006/067936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/04
H01H 5/06-5/12、9/00、9/12、33/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力により回転する偏心アームと、
前記偏心アームにより第1端部が押圧されて回転する駆動アームと、
前記駆動アームの回転軸を挟んで前記第1端部の反対側を第2端部としたとき、前記駆動アームの前記第2端部により操作部押圧されて蓄勢されるトグルバネ機構と、
前記トグルバネ機構の開放動作に連動して切換開閉器を駆動するゼネバ機構と、を有し、
前記トグルバネ機構は、バネ部材および切換アームを有し、
前記バネ部材は、第1ジョイントにおいて取付部材にヒンジ結合され、
前記バネ部材および前記切換アームは、第2ジョイントにおいて相互にヒンジ結合され、
前記切換アームは、第3ジョイントにおいて前記取付部材にヒンジ結合され、
前記操作部は、前記第2ジョイントに配置され、
前記ゼネバ機構は、前記トグルバネ機構の開放動作により回転するゼネバドライバと、前記ゼネバドライバの回転により従動回転して前記切換開閉器を駆動するゼネバと、を有し、
前記切換アームは、前記ゼネバドライバを押圧して回転させる切換アーム押圧部を有し、
前記切換アーム押圧部は、前記切換開閉器の切換動作が完了した状態で、前記ゼネバドライバを押圧し、
前記操作部は、前記トグルバネ機構の開放動作により前記駆動アームの前記第2端部から離れ、
前記駆動アームの前記第2端部は、前記偏心アームの回転継続により再び前記操作部に当接し、前記切換開閉器の切換動作が完了する位置まで前記操作部を押圧可能であり、
前記駆動アームは、前記偏心アームの回転軸を挟んで両側に配置された第1駆動アームおよび第2駆動アームを有する、
負荷時タップ切換器の蓄勢機構。
【請求項2】
前記第1駆動アームは、前記偏心アームと当接する円弧状の第1当接部を有し、
前記第2駆動アームは、前記偏心アームと当接する円弧状の第2当接部を有し、
前記第1当接部の円弧中心点と、前記偏心アームの回転中心点と、前記第2当接部の円弧中心点とが、同一直線上に配置される、
請求項1に記載の負荷時タップ切換器の蓄勢機構。
【請求項3】
記切換アーム押圧部は、前記第2ジョイントを挟んで前記第3ジョイントの反対側に配置される、
請求項に記載の負荷時タップ切換器の蓄勢機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器の蓄勢機構と、前記切換開閉器と、タップ選択器と、を有する、
負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷時タップ切換器は、変圧器運転中(負荷時)にタップを切り換える装置である。一般に、負荷時タップ切換器は、タップ選択器と、切換開閉器と、を有する。タップ選択器は、変圧器タップ巻線において運転するタップを選択する。切換開閉器は、選択されたタップに回路を切り換える。切換開閉器の蓄勢機構は、タップ切り換えを瞬時に行う。蓄勢機構には、駆動負荷の抑制が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5971674号公報
【文献】特許第5744180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、駆動負荷を抑制することができる負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の負荷時タップ切換器の蓄勢機構は、偏心アームと、駆動アームと、トグルバネ機構と、ゼネバ機構と、を持つ。偏心アームは、外力により回動する。駆動アームは、偏心アームにより第1端部が押圧されて回転する。駆動アームの回転軸を挟んで第1端部の反対側を第2端部とする。トグルバネ機構は、駆動アームの第2端部により操作部押圧されて蓄勢される。ゼネバ機構は、トグルバネ機構の開放動作に連動して切換開閉器を駆動する。トグルバネ機構は、バネ部材および切換アームを有する。バネ部材は、第1ジョイントにおいて取付部材にヒンジ結合される。バネ部材および切換アームは、第2ジョイントにおいて相互にヒンジ結合される。切換アームは、第3ジョイントにおいて取付部材にヒンジ結合される。操作部は、第2ジョイントに配置される。ゼネバ機構は、ゼネバドライバと、ゼネバと、を有する。ゼネバドライバは、トグルバネ機構の開放動作により回転する。ゼネバは、ゼネバドライバの回転により従動回転して切換開閉器を駆動する。切換アームは、ゼネバドライバを押圧して回転させる切換アーム押圧部を有する。切換アーム押圧部は、切換開閉器の切換動作が完了した状態で、ゼネバドライバを押圧する。操作部は、トグルバネ機構の開放動作により駆動アームの第2端部から離れる。駆動アームの第2端部は、偏心アームの回転継続により再び操作部に当接する。駆動アームの第2端部は、切換開閉器の切換動作が完了する位置まで操作部を押圧可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の負荷時タップ切換器の斜視図。
図2】負荷時タップ切換器の円筒容器を除いた状態の斜視図。
図3】駆動機構の上方からの斜視図。
図4】切換開閉器の下方からの斜視図。
図5】実施形態の蓄勢機構の側面断面図。
図6】蓄勢機構の下方からの斜視図。
図7】蓄勢機構の上方からの斜視図。
図8】切換アームの上方からの斜視図。
図9】蓄勢機構の第1状態の平面図。
図10】蓄勢機構の第2状態の平面図。
図11】蓄勢機構の第3状態の平面図。
図12】蓄勢機構の第4状態の平面図。
図13】蓄勢機構の第5状態の平面図。
図14】蓄勢機構の第6状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の負荷時タップ切換器の蓄勢機構および負荷時タップ切換器を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の負荷時タップ切換器の斜視図である。図2は、負荷時タップ切換器の円筒容器を除いた状態の斜視図である。負荷時タップ切換器1は、運転状態において変圧器の巻数比(変圧比)を変えることで電圧を調整する装置である。負荷時タップ切換器1は、タップ選択器2と、駆動機構5と、切換開閉器10と、を有する。
【0008】
タップ選択器2は、変圧器タップ巻線において運転するタップを選択する選択動作を実施する。タップ選択器2は、非通電タップを予め次のタップに進めておく。
切換開閉器10は、選択されたタップに回路を切り換える切換動作を実施する。切換開閉器10は、選択されている通電タップと、非通電タップとを切り換える。切換開閉器10は、円筒容器10aの内部に配置されて絶縁油に浸漬されている。
駆動機構5は、電動操作装置(不図示)から駆動軸6を介して伝達される駆動力により、タップ選択器2および切換開閉器10を駆動する。
【0009】
図3は、駆動機構の上方からの斜視図である。駆動軸6は、ギヤ列7を介して、伝達シャフト8に連結される。伝達シャフト8は、切換開閉器10の円筒容器10aの底板10bを貫通して、切換開閉器10に接続される。
【0010】
図4は、切換開閉器の下方からの斜視図である。切換開閉器10は、図1に示される円筒容器10aの内部に配置される。切換開閉器10は、通電経路を切り換える遮断機構と、遮断機構を駆動する蓄勢機構20と、を有する。遮断機構は、切換ユニット12と、カムユニット15と、を有する。切換ユニット12は、3相交流の各相について形成される。各相の切換ユニット12は、主取付板11の上方に配置される。カムユニット15は、各相の切換ユニット12の中央に配置される。カムユニット15は、所定角度だけ正逆回転して、各相の切換ユニット12を同時に切り換える。カムユニット15は、円筒容器10aの中心軸に沿って配置されるカムユニットシャフト14(図5参照)を有する。
【0011】
蓄勢機構20は、主取付板11と底部取付板21との間に配置される。蓄勢機構20は、図3に示される伝達シャフト8を介して伝達される駆動力により、トグルバネ機構50mを蓄勢する。蓄勢機構20は、トグルバネ機構50mの開放動作により、カムユニットシャフト14を俊敏に所定角度だけ正逆回転させる。
【0012】
蓄勢機構20について詳細に説明する。
図5は、図4のV-V線における、実施形態の蓄勢機構の側面断面図である。図5には、偏心アームローラ34を切換アームシャフト61に接近させた状態が記載されている。
【0013】
本願において、直交座標系のZ方向、X方向およびY方向が以下のように定義される。Z方向は、カムユニットシャフト14と同軸状に配置される切換アームシャフト61の中心軸に沿う方向である。例えば、Z方向は上下方向であり、+Z方向は上方向である。X方向は、切換アームシャフト61の中心軸と偏心アームシャフト31の中心軸とを含む平面内で、Z方向に垂直な方向である。+X方向は、カムユニットシャフト14の中心軸から偏心アームシャフト31の中心軸への方向である。Y方向は、Z方向およびX方向に直交する方向である。例えば、X方向およびY方向は水平方向である。Z方向の周方向がθ方向と定義される。+θ方向は、+Z方向に進む右ネジの回転方向である。
【0014】
図6は、蓄勢機構の下方からの斜視図である。図7は、蓄勢機構の上方からの斜視図である。図6および図7では、図5に示される各取付板(主取付板11、中間取付板25および底部取付板21)の記載が省略されている。図6および図7に示されるように、蓄勢機構20は、偏心アーム30と、駆動アーム40と、トグルバネ機構50mと、ゼネバ機構70mと、を有する。
【0015】
偏心アーム30は、図6および図7に示されるように、Z方向から見て略卵形状である。偏心アーム30の側面は、駆動アーム40と当接するカム面32である。カム面32のZ方向の両端部には、カム面32から突出する突出部33が形成される。突出部33は、カム面32からの駆動アーム40の脱落を防止する。
【0016】
Z方向から見て、偏心アーム30の長軸方向の第1端部の近くに、偏心アームシャフト31が挿通されている。偏心アームシャフト31の中心軸は、Z方向と平行である。偏心アーム30は、偏心アームシャフト31に固定される。図5に示されるように、偏心アームシャフト31は、主取付板11および底部取付板21により回転可能に支持される。偏心アームシャフト31は、図3に示される伝達シャフト8に接続される。
【0017】
偏心アーム30は、長軸方向の第2端部の近くに、偏心アームローラ34を有する。偏心アームローラ34の中心軸は、Z方向と平行である。偏心アームローラ34は、中心軸の周りを回転可能である。偏心アームローラ34の外周面は、偏心アーム30のカム面32の一部を形成する。
【0018】
駆動アーム40は、偏心アームシャフト31および切換アームシャフト61を挟んでY方向の両側に配置された第1駆動アーム40aおよび第2駆動アーム40bを有する。偏心アームシャフト31の-Y方向に第1駆動アーム40aが配置され、+Y方向に第2駆動アーム40bが配置される。第1駆動アーム40aおよび第2駆動アーム40bは、偏心アームシャフト31の中心軸および切換アームシャフト61の中心軸を含むXZ面を対称面として、面対称に形成される。以下には、第1駆動アーム40aが例として説明される。
【0019】
第1駆動アーム40aは、Z方向を厚さ方向とする平板状に形成される。第1駆動アーム40aは、X方向に沿って伸びる。第1駆動アーム40aは、X方向の中央部に配置された駆動アームシャフト41の周りを回動可能である。駆動アームシャフト41の中心軸は、Z方向と平行である。駆動アームシャフト41は、切換アームシャフト61のY方向に配置される。駆動アームシャフト41のZ方向の両端部は、図5に示される中間取付板25および底部取付板21に固定される。
【0020】
第1駆動アーム40aの+X方向の端部は、偏心アーム30に向かって屈曲する。偏心アーム30に向かう第1駆動アーム40aの側面は、偏心アーム30のカム面32と当接する第1当接部43aである。第1当接部43aは、Z方向から見て円弧状である。同様に、第2駆動アーム40bは、偏心アーム30と当接する円弧状の第2当接部43bを有する。図10に示されるように、第1当接部43aの円弧中心点44aと、偏心アーム30の回転中心点30cと、第2当接部43bの円弧中心点44bとは、同一直線L上に配置される。
【0021】
図6に示されるように、第1駆動アーム40aの-X方向の端部は、トグルバネ機構50mの操作部65に向かって屈曲する。操作部65に向かう第1駆動アーム40aの側面は、操作部65を押圧する駆動アーム押圧部45である。
【0022】
トグルバネ機構50mは、図6に示されるように、トグルバネとして機能するバネ部材50と、トグルレバーとして機能する切換アーム60と、を有する。
バネ部材50は、例えばコイルバネである。図5に示されるように、バネ部材50の中心軸は、XY面と平行に配置される。バネ部材50の軸方向の両端部には、第1バネホルダ52aおよび第2バネホルダ52bが配置される。
【0023】
第1バネホルダ52aは、バネ部材50の-X方向の端部に配置される。第1バネホルダ52aは、第1バネホルダシャフト51aの周りを回転可能である。第1バネホルダシャフト51aの中心軸は、Z方向と平行である。第1バネホルダシャフト51aのZ方向の両端部は、主取付板11および底部取付板21に固定される。バネ部材50は、第1バネホルダシャフト51aの中心軸の位置である第1ジョイント91において、主取付板11および底部取付板21にヒンジ結合される。
【0024】
第2バネホルダ52bは、バネ部材50の+X方向の端部に配置される。第2バネホルダ52bは、第2バネホルダシャフト51bの周りを回転可能である。第2バネホルダシャフト51bの中心軸は、Z方向と平行である。第2バネホルダシャフト51bのZ方向の両端部は、切換アーム60に固定される。バネ部材50および切換アーム60は、第2バネホルダシャフト51bの中心軸の位置である第2ジョイント92において、相互にヒンジ結合される。
【0025】
図8は、切換アームの上方からの斜視図である。切換アーム60は、筒部62と、主アーム部64と、副アーム部63と、を有する。
筒部62は、円筒状に形成される。筒部62の内側には、図5に示される切換アームシャフト61が配置される。切換アームシャフト61の中心軸は、Z方向と平行である。切換アームシャフト61の中心軸は、切換開閉器10(図4参照)のカムユニットシャフト14の中心軸と同軸状である。切換アームシャフト61の中心軸と、第1バネホルダシャフト51aの中心軸と、偏心アームシャフト31の中心軸とは、同一平面内に配置される。切換アームシャフト61の+Z方向の端部には、フランジ部が形成される。切換アームシャフト61のZ方向の両端部は、中間取付板25および底部取付板21に固定される。切換アーム60は、切換アームシャフト61の周りを回転可能である。切換アーム60は、切換アームシャフト61の中心軸の位置である第3ジョイント93において、中間取付板25および底部取付板21にヒンジ結合される。
【0026】
主アーム部64および副アーム部63は、筒部62のZ方向の両端部から-X方向に伸びる。図8に示されるように、主アーム部64は、Z方向から見て、筒部62を頂点とする二等辺三角形状である。二等辺三角形の底辺に相当する部分における主アーム部64のZ方向の厚さは、二等辺三角形の中央部に比べて厚い。これらの構成が、切換アーム60の慣性モーメントを大きくする。
【0027】
主アーム部64の中央部にはガイド部材66が配置される。図5に示されるように、ガイド部材66は円筒状に形成され、主アーム部64に固定される。第2バネホルダシャフト51bのZ方向の両端部は、ガイド部材66および副アーム部63に固定される。主アーム部64の-Z面に沿って、転がり軸受67が配置される。転がり軸受67の内輪は、ガイド部材66の外周に固定される。転がり軸受67の外輪は、駆動アーム40と当接する。ガイド部材66および転がり軸受67は、駆動アーム40により押圧される操作部65である。操作部65は、第2バネホルダシャフト51bの中心軸と同軸状に、第2ジョイント92に配置される。
【0028】
図8に示されるように、主アーム部64は、ゼネバドライバ70を押圧する切換アーム押圧部68を有する。切換アーム押圧部68は、主アーム部64の-X方向の端部に配置される。切換アーム押圧部68は、主アーム部64の+Z面から+Z方向に突出する。一対の切換アーム押圧部68a,68bが、Y方向に離れて配置される。一対の切換アーム押圧部68a,68bは、主アーム部64の二等辺三角形の底辺の両端部に配置される。一対の切換アーム押圧部68a,68bは、-Y方向に配置される第1切換アーム押圧部68aおよび+Y方向に配置される第2切換アーム押圧部68bである。図5に示されるように、切換アーム押圧部68は、第2ジョイント92を挟んで第3ジョイント93の反対側に配置される。
【0029】
ゼネバ機構70mは、図7に示されるように、ゼネバドライバ70と、ゼネバ80と、を有する。
ゼネバドライバ70は、Z方向から見て、X方向を長軸方向とする略楕円形状である。ゼネバドライバ70の中央部に、ドライバシャフト71が配置される。ゼネバドライバ70は、ドライバシャフト71の周りを回転可能である。ドライバシャフト71の中心軸は、Z方向と平行である。図5に示されるように、ドライバシャフト71のZ方向の両端部は、主取付板11および中間取付板25に固定される。
【0030】
ゼネバドライバ70は、-X方向の端部に第1ドライバローラ72を有する。第1ドライバローラ72の中心軸は、Z方向と平行である。第1ドライバローラ72は、中心軸の周りを回転可能である。第1ドライバローラ72の外周面は、切換アーム60の切換アーム押圧部68と当接する。
ゼネバドライバ70は、+X方向の端部に第2ドライバローラ74を有する。第2ドライバローラ74の中心軸は、Z方向と平行である。第2ドライバローラ74は、中心軸の周りを回転可能である。
【0031】
ゼネバドライバ70は、+X方向の端部に一対の平板76を有する。一対の平板76は、ゼネバドライバ70のZ方向の両端部に配置される。ゼネバドライバ70は、一対の平板76の間にドライバ側ストッパ78を有する。ドライバ側ストッパ78の外周は、Z方向から見て、ドライバシャフト71を中心とする円弧状である。
【0032】
ゼネバ80は、Z方向を厚さ方向とする平板状に形成される。ゼネバ80は、切換開閉器10(図4参照)のカムユニットシャフト14に固定される。図5に示されるように、カムユニットシャフト14の中心軸は、Z方向と平行である。カムユニットシャフト14は、主取付板11および切換アームシャフト61により回転可能に支持される。カムユニットシャフト14の中心軸と、ドライバシャフト71の中心軸と、第1バネホルダシャフト51aの中心軸とは、同一平面内に配置される。
【0033】
図7に示されるように、ゼネバ80は、Z方向から見て略U字状に形成される。ゼネバ80は、外周からカムユニットシャフト14に向かって切り欠かれたスロット82を有する。スロット82の内側に、ゼネバドライバ70の第2ドライバローラ74が入り込む。
ゼネバ80は、ゼネバ側ストッパ88を有する。ゼネバ側ストッパ88は、スロット82の両側におけるゼネバ80の外周に形成される。ゼネバ側ストッパ88は、外周からカムユニットシャフト14に向かって窪む円弧状に形成される。
【0034】
蓄勢機構20の動作について説明する。
図9は、蓄勢機構の第1状態の平面図である。偏心アーム30は、偏心アームシャフト31の+Y方向に偏心アームローラ34が配置される位置に回転している。偏心アームローラ34の外周面に、第2駆動アーム40bの第2当接部43bが当接している。偏心アームシャフト31の-Y方向のカム面32に、第1駆動アーム40aの第1当接部43aが当接している。トグルバネ機構50mの第1バネホルダシャフト51aの中心軸および切換アームシャフト61の中心軸を含む面を中立面Sとする。トグルバネ機構50mの第2ジョイント92は、中立面Sの-Y方向に配置されている。
【0035】
図10は、蓄勢機構の第2状態の平面図である。図9に示される第1状態から、偏心アーム30が-θ方向に回転する。偏心アームシャフト31の中心軸から、カム面32と第1駆動アーム40aとの当接点までの距離が増加する。偏心アーム30が第1駆動アーム40aを押圧し、第1駆動アーム40aが-θ方向に回動する。第1駆動アーム40aの駆動アーム押圧部45は、トグルバネ機構50mの操作部65を+Y方向に押圧する。第2ジョイント92は中立面Sに接近する。第2ジョイント92と第1ジョイント91との間の距離が短くなり、バネ部材50が圧縮されてバネ力が蓄勢される。トグルバネ機構50mでは、第2ジョイント92を小さな力で押圧しても、バネ部材50に大きな力が作用する。トグルバネ機構50mにより、蓄勢機構20の駆動負荷が抑制される。
【0036】
図11は、蓄勢機構の第3状態の平面図である。図10に示される第2状態から、偏心アーム30が-θ方向に回転する。偏心アーム30のカム面32に代わり、偏心アームローラ34が第1駆動アーム40aを押圧する。駆動アーム押圧部45が操作部65を押圧する。第2ジョイント92が中立面Sに到達し、バネ部材50が最大限に蓄勢される。図11に示される第3状態までに、図2に示される駆動機構5は、タップ選択器2の選択動作を完了させる。
図11に示されるように、第2ジョイント92が中立面Sを越えると、バネ部材50に蓄勢されたバネ力が開放されて、トグルバネ機構50mの開放動作が開始される。
【0037】
図12は、蓄勢機構の第4状態の平面図である。図11に示される第3状態から、バネ部材50が伸長して、第2ジョイント92が俊敏に+Y方向に移動する。操作部65は第1駆動アーム40aから離れる。第2ジョイント92においてヒンジ接続された切換アーム60が、第3ジョイント93を中心に-θ方向に回動する。切換アーム60の慣性モーメントが大きいので、開放動作が一気に進行するとともに、開放動作中の回動速度の変動が抑制される。切換アーム60の第1切換アーム押圧部68aが、ゼネバドライバ70の第1ドライバローラ72を+Y方向に押圧する。第1ドライバローラ72の回転により、第1切換アーム押圧部68aとの摩擦が抑制される。ゼネバドライバ70が-θ方向に回転する。ゼネバドライバ70の第2ドライバローラ74が、ゼネバ80のスロット82に入り込む。第2ドライバローラ74は、スロット82の側面を押す。第2ドライバローラ74の回転により、スロット82との摩擦が抑制される。ゼネバ80が+θ方向に回転する。カムユニットシャフト14が回転して、切換開閉器10(図4参照)のタップ切り換えが俊敏に行われる。第1切換アーム押圧部68aは、第2ジョイント92を挟んで第3ジョイント93の反対側に配置される。第1切換アーム押圧部68aの移動距離が長いので、カムユニットシャフト14の回転角度の設計自由度が大きい。
【0038】
図13は、蓄勢機構の第5状態の平面図である。図12に示される第4状態から、トグルバネ機構50mの開放動作により、第2ジョイント92が+Y方向に移動する。切換アーム60、ゼネバドライバ70およびゼネバ80が連動して回転する。
【0039】
図14は、蓄勢機構の第6状態の平面図である。図13に示される第5状態から、トグルバネ機構50mの開放動作により、第2ジョイント92が+Y方向に移動する。ゼネバドライバ70およびゼネバ80が連動して回転する。ゼネバドライバ70のドライバ側ストッパ78が、ゼネバ80のゼネバ側ストッパ88に当接する。ゼネバドライバ70およびゼネバ80の回転が停止する。カムユニットシャフト14の回転が停止して、切換開閉器10のタップ切り換えが完了する。切換アーム60の回動が停止して、第2ジョイント92の+Y方向への移動が停止する。バネ部材50は、圧縮された状態で伸長を停止する。第1切換アーム押圧部68aは、切換開閉器10の切換動作が完了した状態で、第1ドライバローラ72を+Y方向に押圧する。これにより、切換開閉器10は、タップ切り換えが完了した状態に保持される。
【0040】
図13に示される第5状態から、図14に示される第6状態にかけて、偏心アーム30が-θ方向に回転する。第1駆動アーム40aが-θ方向に回動して、再び操作部65に当接する。操作部65は第2駆動アーム40bに当接する。第2駆動アーム40bが-θ方向に回動して、偏心アーム30に当接する。図14に示される第6状態において、偏心アーム30は、偏心アームシャフト31の-Y方向に偏心アームローラ34が配置される位置に回転している。第1状態から第6状態にかけて、偏心アーム30は-θ方向に180°回転する。
次に切換開閉器10のタップ切り換えを実施する場合に、蓄勢機構20は、第6状態から第1状態にかけて逆の動作をする。偏心アーム30は+θ方向に180°回転する。
【0041】
図1に示されるように、蓄勢機構20を含む切換開閉器10は、円筒容器10aの内部に配置されて、絶縁油に浸漬されている。絶縁油の粘度上昇や、切換開閉器10への異物混入などの、異常事態が想定される。これらの異常事態では、第3状態(図11参照)から第6状態(図14参照)にかけてのトグルバネ機構50mの開放動作が途中で停止する可能性がある。この場合には、切換開閉器10のタップ切り換えが途中で停止する。
【0042】
前述されたように、トグルバネ機構50mの開放動作において、第2ジョイント92が俊敏に+Y方向に移動する。このとき、操作部65は第1駆動アーム40aから離れる。トグルバネ機構50mの開放動作が途中で停止すると、第2ジョイント92の+Y方向への移動が停止する。この場合でも、図11に示される第3状態から、偏心アーム30は回転を続ける。第1駆動アーム40aが-θ方向に回動して、再び操作部65に当接する。第1駆動アーム40aは、図14に示される第6状態において切換開閉器10の切換動作が完了するまで、操作部65を+Y方向に押し続ける。これにより、蓄勢機構20は、トグルバネ機構50mの開放動作が途中で停止した場合でも、切換開閉器10の切換動作を強制的に完了させる。
【0043】
以上に詳述されたように、実施形態の負荷時タップ切換器1の蓄勢機構20は、駆動アーム40と、トグルバネ機構50mと、ゼネバ機構70mと、を持つ。駆動アーム40は、外力により回転する。トグルバネ機構50mは、駆動アーム40により操作部65を押圧されて蓄勢される。ゼネバ機構70mは、トグルバネ機構50mの開放動作に連動して切換開閉器10を駆動する。駆動アーム40は、切換開閉器10の切換動作が完了する位置まで操作部65を押圧可能である。
【0044】
駆動アーム40は、トグルバネ機構50mの開放動作が途中で停止しても、切換開閉器10の切換動作が完了する位置まで操作部65を押圧可能である。駆動アーム40は、切換開閉器10の切換動作を強制的に完了させる。直列に接続された駆動アーム40、トグルバネ機構50mおよびゼネバ機構70mにより、蓄勢および開放動作と切換開閉器10の強制的な切換動作とが連続して実施される。これにより、蓄勢機構20の駆動負荷を効率的に利用して、切換開閉器10の強制的な切換動作が実現される。したがって、蓄勢機構20の駆動負荷が抑制される。蓄勢機構20の構成部品が少ないので、蓄勢機構20が小型化および低コスト化される。
【0045】
ゼネバ機構70mは、ゼネバドライバ70と、ゼネバ80と、を有する。ゼネバドライバ70は、トグルバネ機構50mの開放動作により回転する。ゼネバ80は、ゼネバドライバ70の回転により従動回転して切換開閉器10を駆動する。
この構造により、切換開閉器10のカムユニットシャフト14が所定角度だけ回転して、タップ切り換えが実行される。
【0046】
トグルバネ機構50mは、バネ部材50および切換アーム60を有する。バネ部材50は、第1ジョイント91において主取付板11および底部取付板21にヒンジ結合される。バネ部材50および切換アーム60は、第2ジョイント92において相互にヒンジ結合される。切換アーム60は、第3ジョイント93において中間取付板25および底部取付板21にヒンジ結合される。操作部65は、第2ジョイント92に配置される。
【0047】
トグルバネ機構50mでは、第2ジョイント92の操作部65を小さな力で押圧しても、バネ部材50に大きな力が作用する。したがって、蓄勢機構20の駆動負荷が抑制される。
【0048】
蓄勢機構20は、外力により回転して駆動アーム40を押圧する偏心アーム30をさらに有する。駆動アーム40は、偏心アーム30の回転軸を挟んで両側に配置された第1駆動アーム40aおよび第2駆動アーム40bを有する。
【0049】
偏心アーム30の回転方向を反転させることにより、操作部65を押圧する駆動アーム40が切り換わり、操作部65の移動方向が反転する。これにより、切換開閉器10のカムユニットシャフト14の回転方向が反転する。これに伴って、カムユニット15のステップ回転角を最大120°まで設定可能であり、設計自由度が向上する。カムユニットシャフト14の回転方向が反転するので、カムユニット15のカム溝と切換ユニット12の被駆動部とが1対1に対応する。これにより、切換開閉器10の切換シーケンスのばらつきが低減され、切換シーケンスの検査工数が削減される。
【0050】
第1駆動アーム40aは、偏心アーム30と当接する円弧状の第1当接部43aを有する。第2駆動アーム40bは、偏心アーム30と当接する円弧状の第2当接部43bを有する。第1当接部43aの円弧中心点44aと、偏心アーム30の回転中心点30cと、前記第2当接部の円弧中心点44bとが、同一直線L上に配置される。
これにより、偏心アーム30の回転方向によらずに、蓄勢機構20が同様に動作する。
【0051】
切換アーム60は、ゼネバドライバ70を押圧して回転させる切換アーム押圧部68を有する。切換アーム押圧部68は、第2ジョイント92を挟んで第3ジョイント93の反対側に配置される。
第1切換アーム押圧部68aの移動距離が長くなるので、ゼネバドライバ70およびゼネバ80の回転角度が増加する。これにより、カムユニットシャフト14の回転角度の設計自由度が向上する。
【0052】
切換アーム60は、ゼネバドライバ70を押圧して回転させる切換アーム押圧部68を有する。切換アーム押圧部68は、切換開閉器10の切換動作が完了した状態で、ゼネバドライバ70を押圧する。
これにより、切換開閉器10は、タップ切り換えが完了した状態に保持される。
【0053】
負荷時タップ切換器1は、前述された蓄勢機構20と、切換開閉器10と、タップ選択器2と、を有する。
これにより、蓄勢機構20の駆動負荷を抑制した負荷時タップ切換器1が提供される。
【0054】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、切換開閉器10の切換動作が完了する位置まで操作部65を押圧可能な駆動アーム40を持つ。これにより、蓄勢機構20の駆動負荷を抑制することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
L…直線、1…負荷時タップ切換器、2…タップ選択器、10…切換開閉器、11…主取付板(取付部材)、20…蓄勢機構、21…底部取付板(取付部材)、25…中間取付板(取付部材)、30…偏心アーム、30c…回転中心点、40…駆動アーム、40a…第1駆動アーム、40b…第2駆動アーム、43a…第1当接部、43b…第2当接部、44a…円弧中心点、44b…円弧中心点、50m…トグルバネ機構、50…バネ部材、60…切換アーム、65…操作部、68…押圧部、70m…ゼネバ機構、70…ゼネバドライバ、80…ゼネバ、91…第1ジョイント、92…第2ジョイント、93…第3ジョイント。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14