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特許7362923内側歯部を有する被加工物をバリ取りする方法および装置
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  • 特許-内側歯部を有する被加工物をバリ取りする方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】内側歯部を有する被加工物をバリ取りする方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 19/10 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B23F19/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022529422
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 DE2020100973
(87)【国際公開番号】W WO2021098915
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】102019131266.3
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト ズィーベンリスト
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-094919(JP,A)
【文献】実公昭62-036570(JP,Y2)
【文献】特開2011-131345(JP,A)
【文献】特開2017-100269(JP,A)
【文献】特表2016-508453(JP,A)
【文献】特表2017-520416(JP,A)
【文献】特開昭60-207701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 19/00 - 19/12
B23F 5/00
B23P 15/14
B23C 3/12
B23D 79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側歯部付き被加工物(2)をバリ取りするための方法であって、以下の:
-ホブピーリングによって作成された内側歯部(3)を伴う、対称軸(S)を有する被加工物(2)を提供するステップと、
-第1のカッティングプレート(12)および第2のカッティングプレート(13)を有するバリ取り工具(1)を提供するステップであって、前記カッティングプレート(12、13)が、前記バリ取り工具(1)の中心軸(M)に対して反対側にある、提供するステップと、
-第1の回転方向に前記被加工物(2)を回転させるステップであって、前記内側歯部(3)の歯面(7)が、回転しない前記バリ取り工具(1)を用いて、前記第1のカッティングプレート(12)によってバリ取りされ、前記バリ取り工具(1)の前記中心軸(M)が、前記被加工物(2)の前記対称軸(S)に平行であるように配置されている、回転させるステップと、
-前記対称軸(S)と前記中心軸(M)との間の平行性を維持しながら、前記カッティングプレート(12、13)のいずれも前記被加工物(2)に接触しないように、前記バリ取り工具(1)を前記被加工物(2)に対してずらすステップと、
-前記被加工物(2)の前記回転方向を反転させるステップと、
-前記対称軸(S)と前記中心軸(M)との間の平行性を維持しながら、前記バリ取り工具(1)を前記被加工物(2)に対してさらにずらし、回転しない前記バリ取り工具(1)を用いて、前記第2のカッティングプレート(13)によって前記内側歯部(3)の歯面(6)をバリ取りするステップと、を有する、方法。
【請求項2】
前記被加工物(2)の端面をバリ取りすることが、前記第1のカッティングプレート(12)と前記第2のカッティングプレート(13)との両方によって実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被加工物(2)のバリ取りをする間、前記バリ取り工具(1)のシャフト(9)が、前記内側歯部(3)によって囲まれた前記被加工物(2)の空洞内に配置されたままであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
内側歯部付き被加工物(2)をバリ取りするための工具(1)であって、T字形ベース成形体を有し、
前記T字形ベース成形体が、中心軸(M)を画定するシャフト(9)と前記シャフト(9)を横切って位置合わせされた、T字形のクロスバーを構成するカッティングプレート保持部(10)とによって形成され、前記中心軸(M)を通る平面に対して互いに鏡面対称になるように2枚のカッティングプレート(12、13)が前記カッティングプレート保持部(10)に固定され、
前記カッティングプレート(12、13)の刃先(15、16)が前記シャフト(9)に面している、工具(1)。
【請求項5】
前記刃先(15、16)の間に165°以上178°以下の角度(2×α)が形成されていることを特徴とする、請求項に記載の工具(1)。
【請求項6】
前記カッティングプレート(12、13)が割出し可能なインサートとして構成されていることを特徴とする、請求項またはに記載の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側歯部を有する被加工物をバリ取りするための方法に関する。本発明はさらに、そのような方法を実行するのに好適なバリ取り工具に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物の歯部は、例えばホブピーリングによって効率的に作成することができる。これに関連して、例として、公開公報である独国特許出願公開第102014008475号(A1)、欧州特許第2537615号(A1)および国際公開第2015/036098号(A2)を参照されたい。最後に言及した公開公報は、特にホブピーリング中の冷却を扱っている。
【0003】
ホブピーリングは、被加工物に面取りを作成するのにも基本的に好適である。対応する機械加工方法の詳細は、独国特許出願公開第102017204891号(A1)および独国特許出願公開第102014218082号(A1)に開示されている。
【0004】
他の機械加工プロセスと同様に、ホブピーリングは、被加工物にバリを生じさせる場合があり、これは後続の機械加工ステップで除去する必要がある。バリ取り用の装置の可能な構成に関しては、公開公報である独国特許第3608458号(C1)、独国特許出願公開第10309116号(A1)および独国特許出願公開第102014010824号(A1)を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ホブピーリングによって作成された内側歯部を有する被加工物のバリ取りを、特に合理的かつ信頼できるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する内側歯部付き被加工物をバリ取りするための方法により達成される。さらに、本目的は、請求項5に記載の特徴を備えた装置によって達成される。装置、すなわちバリ取り工具に関連して以下に説明する本発明の構成および利点もまた、必要な変更を加えてバリ取りプロセスに適用し、逆もまた同様である。
【0007】
バリ取りプロセスは、以下の:
-ホブピーリングによって作成された内側歯部を伴う、対称軸を有する被加工物を提供するステップと、
-少なくとも第1のカッティングプレートおよび第2のカッティングプレートを有するバリ取り工具を提供するステップであって、カッティングプレートが、バリ取り工具の中心軸の反対側にある、提供するステップと、
-第1の回転方向に被加工物を回転させるステップであって、内側歯部の歯面が、このプロセス中に回転しないバリ取り工具を用いて、第1のカッティングプレートによってバリ取りされ、バリ取り工具の中心軸が、被加工物の対称軸に平行であるように配置されている、回転させるステップと、
-対称軸と中心軸との間の平行性を維持しながら、カッティングプレートのいずれも被加工物に接触しないように、バリ取り工具を被加工物に対してずらすステップと、
-被加工物の回転方向を反転させるステップと、
-対称軸と中心軸との間の平行性を維持しながら、バリ取り工具を被加工物に対してさらにずらし、このプロセス中に回転しないバリ取り工具を用いて、第2のカッティングプレートによって内側歯部の歯面をバリ取りするステップと、を含む。
【0008】
「対称軸」(常に被加工物に関連している)および「中心軸」(常にバリ取り工具に関連している)という用語は、言語的な区別を目的としてのみ選択されており、一方における被加工物の対称性と他方における工具との違いに関するいかなる情報も意味しない。
【0009】
内側歯部に加えて、被加工物は任意選択で外側歯部を有する。環状被加工物全体の外周面でのそのような歯部の製造および可能なバリ取りは、任意の従来の方法で実施することができ、バリ取り工具はこの場合、使用されない。
【0010】
好ましい方法では、第1のカッティングプレートと第2のカッティングプレートの両方が、被加工物の内側歯部の端面をバリ取りする。両方のカッティングプレートの形状は、好ましくは同一である。カッティングプレートは、例えば、慣例的に炭化物でできている。これに関連して、例として、公開公報である独国実用新案第202011050704号(U1)を参照されたい。
【0011】
バリ取りに使用される被加工物は、中心軸に沿って位置合わせされたシャフトと、シャフトを横切って配置されたカッティングプレート保持部とによって形成された、T字形ベース成形体を有する。Tのクロスバーを構成するカッティングプレート保持部には、中心軸に対して互いに反対側にある2枚のカッティングプレートが固定されており、バリ取りのために設けられたカッティングプレートの刃先がシャフトに面している。
【0012】
2枚のカッティングプレートを用いて連続して実施される方法を通して、バリ取り工具のシャフトは、好ましくは、内側歯部によって囲まれた被加工物の空洞内に配置されたままである。
【0013】
連続するバリ取り作業中に被加工物と噛み合うカッティングプレートの刃先は、1つの同一の直線にほぼ沿って位置合わせされている。例えば、165°以上178°以下の角度が刃先の間に形成されている。刃先の間に形成されるより小さなまたはより大きな角度、特に180°の角度も可能である。カッティングプレートは、例えば、バリ取り工具のベース本体にはんだ付け、クランプ、またはねじ止めされる割出し可能なインサートである。
【0014】
ホブピーリングのアイドルストロークは、第1のカッティングプレートを用いて内側歯部付き被加工物を機械加工することと、第2のカッティングプレートを用いて被加工物を機械加工することとの間に実行することができる。全体として、ホブピーリングには、最初に荒加工として、次に仕上げとして、複数のパスを伴い得る。
【0015】
旋盤工具に代わる用途に応じたバリ取り工具において、複数のカッティングプレートがカッターポイントの周囲に同じ周方向に配置されているという、独国特許第19624342号(C1)に記載されているような一般的なフライス盤とは対照的に、カッティングプレートは、反対の周方向に方向付けされている。これは、バリ取り工具を見たときに、例えば、両方のカッティングプレートの上部が見えることを意味する。特に、両方のカッティングプレートの上面は共通の平面にある。カッティングプレートのうちの一方は、例えば、内側歯部のすべての左側の歯面をバリ取りするために使用されるが、他方のカッティングプレートは、右側の歯面をバリ取りするために特別に設けられている。バリ取り工具を用いてその対となる側面のバリ取りをした後に、典型的な用途では、内側歯部の機械加工のための追加の操作は必要ない。
【0016】
要約すると、被加工物、すなわち内側歯部付きギアは、被加工物が最初に第1の回転方向に回転される状態で、2つのカッティングプレートを有する非回転バリ取り工具を用いてバリ取りされ、被加工物の内側歯部の歯面は、第1のカッティングプレートによってバリ取りされ、内側歯部の他の歯面は、被加工物が反対方向に回転されるその後の機械加工段階において第2のカッティングプレートによってバリ取りされる。
【0017】
以下では、本発明の例示的な実施形態が、図面によって、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】内側歯部付き被加工物の断面図である。
図2】バリ取り工具を用いて実行される第1のバリ取りプロセス中の被加工物を示す図である。
図3】バリ取り工具を用いて実行される第2のバリ取りプロセス中の被加工物を示す図である。
図4】内側歯部付き被加工物の斜視図である。
図5】被加工物の内側歯部の歯を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および図4に単独で示されている被加工物2は、図2および図3に示されている方法で、バリ取り工具1(略して工具とも呼ぶ)を用いて機械加工される。
【0020】
機械加工プロセスの開始点は、図1に示す状態で被加工物2を提供することであり、この状態では、被加工物2の内側歯部、すなわち3で指定されたギアがすでに存在している。内側歯部3は、それ自体が知られている方法でホブピーリングによって事前に作成されたものである。また、被加工物2は外側歯部4を有し、図を参照して説明した方法では機械加工されていない。
【0021】
この場合、内側歯部3は、らせん状の歯として構成されており、その個々の歯は、5で指定されている。各歯5は、2つの側面6、7、すなわち歯面を有し、これらはS1、S2で指定されたギア2の端面に隣接している。ホブピーリング中に、被加工物2は、第1の端面S1から第2の端面S2の方向に機械加工されたものである。ホブピーリングには、複数のパスでの荒削りと、それに続く1~2回のパスでの仕上げが含まれる。機械加工方向BRは、図1に矢印で示されている。工具出口WA、すなわち第2の端面S2で、ホブピーリングは、歯面6、7のエッジ8および17で指定された歯ベースにバリをもたらす。
【0022】
歯5をバリ取りするために使用される工具1は、図2図3および図5に示されるT字形として説明され、シャフト9およびそれに隣接したTクロスピース10を有しており、Tクロスピース10は、カッティングプレート保持部として機能する。シャフト9とカッティングプレート保持部10との間にはくびれ11が見られ得る。シャフト9は、図2および図3に示される配置において、Sで指定された被加工物2の対称軸に、平行に位置合わせされた中心軸Mを有する。これらの配置において、シャフト9は、内側歯部3によって囲まれた空洞内に位置する。図示されていないシャフト9のホルダから見ると、工具1を用いて機械加工される被加工物2の端面S2は、したがってその裏側を表す。
【0023】
2つのカッティングプレート12、13、すなわち割出し可能なインサートが、ねじ14で工具1のTクロスピース10に取り付けられている。中心軸Mを通る平面に関して、カッティングプレート12、13は、互いに鏡面対称になるように構成されている。その対称性はまた、すべてのクランプ部品にも適用される。各カッティングプレート12、13は、本方法で使用される刃先15、16を有する。図5に示すように、各刃先15、16と中心軸Mに平行な直線との間に角度αが形成されている。例示的な実施形態では、角度αは、87.2°に対応する。したがって、この場合、174.4°の角度(2×α)が、被加工物2の端面を機械加工するために設けられた2つの刃先15、16の間に形成されている。
【0024】
被加工物2をバリ取りする際、図2に示すように、カッティングプレート12の刃先15が最初に使用される。被加工物2は反時計回りに回転する。工具1は回転しない。このプロセスは、主に歯面7に位置するバリを取り除く。
【0025】
このステップの完了後、ホブピーリングのアイドルストロークが実行されるが、これは図には示されていない。次に、工具1は、図3に示される位置に移動され、ここで、Tクロスピース9の向きに対する工具1の角度方向は変化しない。図示されている例示的な実施形態では、これは、カッティングプレート12が中心軸Mの上方に不変に位置し、カッティングプレート13が中心軸Mの下方に不変に位置することを意味する。もちろん、空間における軸M、Sの向きは任意であり、軸M、Sは、バリ取り中、常に互いに平行になるように位置合わせされる。図示されている被加工物2および工具1の配置の代替として、例えば、軸M、Sの垂直方向の位置合わせが可能である。
【0026】
図3に示す状態では、被加工物2が時計回りに回転し、主に歯面6のバリが除去されている。通常、ブラッシングなど、被加工物2のバリ取りのためのさらなる機械加工ステップは必要ない。従来のバリ取りプロセスと比較して、これは特に合理的であると同時に効率的な機械加工を保証する。
【符号の説明】
【0027】
1 バリ取り工具
2 内側歯部を有する被加工物
3 内側歯部
4 外側歯部
5 歯
6 歯面
7 歯面
8 エッジ
9 シャフト
10 Tクロスピース、カッティングプレート保持部
11 くびれ
12 カッティングプレート
13 カッティングプレート
14 ねじ
15 刃先
16 刃先
17 歯ベース
α 角度
BR 機械加工方向
M 中心軸
S 対称軸
S1 端面
S2 端面
WA 工具出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6