(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】工具及び工具の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23B 27/14 20060101AFI20231010BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20231010BHJP
B23B 27/20 20060101ALI20231010BHJP
B23P 15/34 20060101ALI20231010BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20231010BHJP
G01B 5/28 20060101ALI20231010BHJP
G01B 5/20 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B23B27/14 C
B23C5/10 B
B23B27/20
B23P15/34
B23K26/364
G01B5/28 102
G01B5/20 C
(21)【出願番号】P 2022531807
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2021022524
(87)【国際公開番号】W WO2021261316
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/024463
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/024464
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/024465
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503212652
【氏名又は名称】住友電工ハードメタル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 倫太朗
(72)【発明者】
【氏名】原田 高志
(72)【発明者】
【氏名】久木野 暁
(72)【発明者】
【氏名】東 泰助
(72)【発明者】
【氏名】渡部 直樹
(72)【発明者】
【氏名】背川 真有香
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226733(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039005(WO,A1)
【文献】特開2014-009999(JP,A)
【文献】特開2017-119333(JP,A)
【文献】特開2007-313636(JP,A)
【文献】特開2018-197177(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116524(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0032725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27B27/00-27/24
B23B51/00-51/14
B23C 5/00- 5/28
B23P15/34
B23K26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を備える工具であって、
前記先端部は、表面を有し、
前記表面の少なくとも一部は、複数の突出部と、隣り合う2つの前記突出部の端が互いに接触することにより形成される第1凹部と、前記第1凹部とは別の第2凹部とを含み、
前記第2凹部は、前記突出部内又は隣り合う2つの前記突出部に跨がるように形成されて
おり、
前記突出部の高さは、0.05μm以上20μm以下であり、
平面視において、前記突出部のうちの1つは、全周にわたって他の前記突出部に接している、工具。
【請求項2】
前記第2凹部の深さは、0.5μm以上20μm以下である、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記第2凹部の長手方向における長さは、前記第2凹部の深さに前記第2凹部の側面の傾斜角度の正弦の2倍を乗じた値以上100μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の工具。
【請求項4】
前記第2凹部の側面の傾斜角度は、0°を超えて45°以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具。
【請求項5】
前記表面における前記第2凹部の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の工具。
【請求項6】
前記工具は、ワークの表面粗さ又は形状を測定するための測定工具である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の工具。
【請求項7】
前記工具は、ワークを加工するための加工工具である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の工具。
【請求項8】
前記表面は、部分球面を含み、
前記工具は、前記部分球面の中心を通る回転軸回りに回転されることによりワークの加工を行う、請求項7に記載の工具。
【請求項9】
前記第2凹部の幅方向は、前記回転軸回りの周方向に沿っている、請求項8に記載の工具。
【請求項10】
前記表面は、溝と、前記溝及び前記部分球面の稜線に形成された切れ刃とを含む、請求項
8及び請求項9のいずれか1項に記載の工具。
【請求項11】
前記工具は、ワークの切削を行うための切削工具であり、
前記表面は、すくい面と、前記すくい面に連なる逃げ面と、前記すくい面及び前記逃げ面の稜線に形成された切れ刃とを含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の工具。
【請求項12】
前記突出部における前記表面の算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下である、請求項7から請求項
11のいずれか1項に記載の工具。
【請求項13】
前記突出部及び前記第1凹部が形成されている前記表面の部分におけるスキューネスパラメータは、0未満である、請求項7から請求項
12のいずれか1項に記載の工具。
【請求項14】
前記先端部は、ナノ多結晶ダイヤモンドにより形成されている、請求項1から請求項
13のいずれか1項に記載の工具。
【請求項15】
前記ナノ多結晶ダイヤモンドは、長周期型周期表の13族又は15族に属する原子を含む、請求項
14に記載の工具。
【請求項16】
前記先端部は、バインダレス立方晶窒化硼素により形成されている、請求項1から請求項
13のいずれか1項に記載の工具。
【請求項17】
先端部を準備する工程と、
レーザを照射することにより、前記先端部の表面の少なくとも一部に、複数の突出部を形成する工程とを備え、
隣り合う2つの前記突出部の端が接することにより、前記先端部の表面の一部に、第1凹部が形成され、
レーザを照射することにより、前記突出部内又は隣り合う2つの前記突出部に跨がるように第2凹部を形成する工程をさらに備え
、
前記突出部の高さは、0.05μm以上20μm以下であり、
平面視において、前記突出部のうちの1つは、全周にわたって他の前記突出部に接している、工具の製造方法。
【請求項18】
レーザを照射することにより、前記先端部の前記表面に、すくい面及び前記すくい面に連なる逃げ面を形成する工程をさらに備える、請求項
17に記載の工具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工具及び工具の製造方法に関する。
本出願は、2020年6月22日に出願した国際出願であるPCT/JP2020/024463、PCT/JP2020/024464及びPCT/JP2020/024465に基づく優先権を主張する。当該出願に記載された全ての記載内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017-119333号公報)には、ボールエンドミルが記載されている。特許文献1のボールエンドミルは、本体部と、刃部とを有している。刃部は、本体部の先端に取り付けられている。刃部は、ダイヤモンド粒子及び結合材を含むダイヤモンド焼結体により形成されている。刃部は、半球形状を有している。刃部の表面は、凹部と、凸部とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の工具は、先端部を備えている。先端部は、表面を有する。表面の少なくとも一部は、複数の突出部と、隣り合う2つの突出部の端が互いに接触することにより形成される第1凹部と、第1凹部とは別の第2凹部とを含む。第2凹部は、突出部内又は隣り合う2つの突出部に跨がるように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、ボールエンドミル100の側面図である。
【
図3】
図3は、ボールエンドミル100における部分球面21aの模式的な平面図である。
【
図5】
図5は、ボールエンドミル100の製造方法を示す工程図である。
【
図6】
図6は、ボールエンドミル200における部分球面21aの模式的な平面図である。
【
図8】
図8は、ボールエンドミル200の製造方法を示す工程図である。
【
図9】
図9は、ボールエンドミル200Aの先端部20近傍の拡大側面図である。
【
図11】
図11は、切削インサート300の先端部20における断面図である。
【
図12】
図12は、切削インサート300の製造方法を示す工程図である。
【
図13】
図13は、ラジアスエンドミル400の側面図である。
【
図15】
図15は、ボールエンドミル600における部分球面21aの模式的な平面図である。
【
図17】
図17は、第2凹部24の長手方向に直交する断面における測定対象部分の模式的な断面曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
本発明者らが見出した知見によると、特許文献1に記載のボールエンドミルは、ワークとの接触性に関して、改善の余地がある。
【0007】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、ワークとの接触性が改善された工具を提供する。
【0008】
[本開示の効果]
本開示の工具によると、ワークとの接触性を改善することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を、列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る工具は、先端部を備えている。先端部は、表面を有する。表面の少なくとも一部は、複数の突出部と、隣り合う2つの突出部の端が互いに接触することにより形成される第1凹部と、第1凹部とは別の第2凹部とを含む。第2凹部は、突出部内又は隣り合う2つの突出部に跨がるように形成されている。上記(1)の工具によると、ワークとの接触性を改善できる。
【0011】
(2)上記(1)の工具では、第2凹部の深さが、0.5μm以上20μm以下であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)の工具では、第2凹部の長手方向における長さが、第2凹部の深さに第2凹部の側面の傾斜角度の正弦の2倍を乗じた値以上100μm以下であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)の工具では、第2凹部の側面の傾斜角度が、0°を超えて45°以下であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)の工具では、表面における第2凹部の面積割合が、3パーセント以上80パーセント以下であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0015】
(6)上記(1)から(5)の工具は、ワークの表面粗さ又は形状を測定するための測定工具であってもよい。
【0016】
(7)上記(1)から(5)の工具は、ワークを加工するための加工工具であってもよい。
【0017】
(8)上記(7)の工具では、表面が部分球面を含んでいてもよい。工具は、部分球面の中心を通る回転軸回りに回転されることによりワークの加工を行ってもよい。
【0018】
(9)上記(8)の工具では、第2凹部の幅方向が、回転軸回りの周方向に沿っていてもよい。
【0019】
(10)上記(7)から(9)の工具では、表面が、溝と、溝及び部分球面の稜線に形成された切れ刃とを含んでいてもよい。
【0020】
(11)上記(1)から(5)の工具は、ワークの切削を行うための切削工具であってもよい。表面は、すくい面と、すくい面に連なる逃げ面と、すくい面及び逃げ面の稜線に形成された切れ刃とを含んでいてもよい。
【0021】
(12)上記(7)から(11)の工具では、突出部の高さが、0.05μm以上20μm以下であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0022】
(13)上記(7)から(12)の工具では、突出部における表面の算術平均高さが、0.05μm以上5μm以下であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0023】
(14)上記(7)から(13)の工具では、突出部及び第1凹部が形成されている表面の部分におけるスキューネスパラメータが、0未満であってもよい。この場合には、工具寿命をさらに改善することができる。
【0024】
(15)上記(1)から(14)の工具では、先端部が、ナノ多結晶ダイヤモンドにより形成されていてもよい。
【0025】
(16)上記(15)の工具では、ナノ多結晶ダイヤモンドが、長周期型周期表の13族又は15族に属する原子を含んでいてもよい。
【0026】
(17)上記(1)から(14)の工具では、先端部が、バインダレス立方晶窒化硼素により形成されていてもよい。
【0027】
(18)本開示の一態様に係る工具の製造方法は、ナノ多結晶ダイヤモンドにより形成された先端部を準備する工程と、レーザを照射することにより、先端部の表面の少なくとも一部に、複数の突出部を形成する工程とを備えている。隣り合う2つの突出部の端が接することにより、先端部の表面の一部に、第1凹部が形成される。工具の製造方法は、レーザを照射することにより、突出部内又は隣り合う2つの突出部に跨がるように第2凹部を形成する工程をさらに備えている。
【0028】
(19)上記(18)の工具の製造方法において、レーザを照射することにより、先端部の表面に、すくい面及びすくい面に連なる逃げ面を形成する工程をさらに備えていてもよい。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0030】
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態に係る工具の構成を説明する。第1実施形態に係る工具は、ワークに対する切削加工を行うための切削工具である。より具体的には、第1実施形態に係る工具は、ボールエンドミル100である。このワークは、例えば、超硬合金製である。
【0031】
図1は、ボールエンドミル100の側面図である。
図2は、
図1の領域IIにおける拡大図である。
図1及び
図2に示されるように、ボールエンドミル100は、回転軸Aを有している。ボールエンドミル100は、回転軸A回りに回転されることにより、ワークに対する加工を行う。ボールエンドミル100は、本体部10と、先端部20とを有している。
【0032】
本体部10は、例えば、超硬合金により形成されている。本体部10は、回転軸Aに沿う方向において、第1端10aと、第2端10bとを有している。第2端10bは、第1端10aの反対側の端である。本体部10は、シャンク11と、ネック12とを有している。シャンク11は第1端10a側にあり、ネック12は第2端10b側にある。
【0033】
シャンク11は、回転軸Aに沿って延在している。シャンク11は、回転軸Aに沿う方向において、第1端11aと、第2端11bとを有している。第1端11aは、第1端10aに一致している。第2端11bは、第1端11aの反対側の端である。シャンク11は、回転軸Aに直交する断面視において、円形形状である。
【0034】
ネック12は、回転軸Aに沿って、第2端11bから延在している。ネック12は、回転軸Aに沿う方向において、第1端12aと、第2端12bとを有している。第1端12aは、シャンク11側の端である。第2端12bは、第1端12aの反対側の端であり、第2端10bに一致している。ネック12は、回転軸Aに直交する断面視において、円形形状である。回転軸Aに直交する断面視において、ネック12の断面積は、シャンク11の断面積よりも小さい。
【0035】
先端部20は、例えばろう付けにより、本体部10に取り付けられている。より具体的には、先端部20は、接続層13を介して、第2端10bに取り付けられている。接続層13は、ろう材である。
【0036】
先端部20は、ナノ多結晶ダイヤモンドにより形成されている。ナノ多結晶ダイヤモンドは、複数のダイヤモンド結晶粒を含んでいる。ナノ多結晶ダイヤモンドの残部には、グラファイト及び不可避不純物が含まれていてもよいが、バインダは含まれていない。すなわち、ナノ多結晶ダイヤモンド中において、複数のダイヤモンド結晶粒の各々は、互いに直接結合されている。不可避不純物の量は、少ないほど好ましいが、全体の質量に対して数パーセント含まれることがある。
【0037】
ナノ多結晶ダイヤモンド中において、ダイヤモンド結晶粒の平均粒径は、1μm未満である。ナノ多結晶ダイヤモンド中において、ダイヤモンド結晶粒の平均粒径は、10nm以上500nm以下であることが好ましい。ナノ多結晶ダイヤモンド中において、ダイヤモンド結晶粒の平均粒径は、100nm以上500nm以下であってもよく、100nm以上300nm以下であってもよい。
【0038】
ナノ多結晶ダイヤモンド中におけるダイヤモンド結晶粒の平均粒径は、先端部20の表面を精密研磨した上で、例えば、日本電子社製JSM-7800F等の電子顕微鏡を用いて、粒界が見える観察条件を設定し、反射電子顕微鏡像を取得し、画像解析することにより、測定することができる。
【0039】
ナノ多結晶ダイヤモンドには、長周期型周期表の13族又は15族に属する原子が含まれていることが好ましい。長周期型周期表の13族に属する原子は、例えば、硼素原子である。長周期型周期表の15族に属する原子は、例えば、窒素原子である。ナノ多結晶ダイヤモンドは、長周期型周期表の13族又は15族に属する原子が添加されていることにより、導電性が付与される。
【0040】
先端部20は、バインダレス立方晶窒化硼素により形成されていてもよい。バインダレス立方晶窒化硼素は、複数の立方晶窒化硼素結晶粒を含んでいる。バインダレス立方晶窒化硼素の残部には、他の結晶構造を有する窒化硼素(ウルツ鉱型窒化硼素、六方晶窒化硼素)及び不可避不純物が含まれていてもよいが、バインダは含まれていない。すなわち、バインダレス立方晶窒化硼素中において、複数の立方晶窒化硼素結晶粒の各々は、互いに直接結合されている。また、他の結晶構造を有する窒化硼素(ウルツ鉱型窒化硼素、六方晶窒化硼素)及び不可避不純物の量は少ないほど好ましいが、全体の質量に対して数パーセント含まれることがある。
【0041】
バインダレス立方晶窒化硼素中において、立方晶窒化硼素結晶粒の平均粒径は、1μm未満である。バインダレス立方晶窒化硼素中において、立方晶窒化硼素結晶粒の平均粒径は、10nm以上500nm以下であることが好ましい。バインダレス立方晶窒化硼素中において、立方晶窒化硼素結晶粒の平均粒径は、100nm以上500nm以下であってもよく、100nm以上300nm以下であってもよい。なお、立方晶窒化硼素結晶粒の平均粒径は、ダイヤモンド結晶粒の平均粒径と同様の方法により測定される。
【0042】
先端部20は、表面21を有している。先端部20は、半球形状を有している。すなわち、表面21には、部分球面21aが含まれている。先端部20を構成している半球の直径を、直径Rとする。ボールエンドミル100によりワークの加工が行われている際、表面21(部分球面21a)は、ワークに接触する。
【0043】
表面21は、溝21bを含んでいる。表面21は、溝21bにおいて窪んでいる。溝21bは、表面21の中央部付近から、放射状に延在している。溝21bと部分球面21aとの稜線は、切れ刃21cになっている。部分球面21aは、逃げ面になっている。切れ刃21cに連なっている溝21bの表面は、すくい面になっている。
【0044】
図3は、ボールエンドミル100における部分球面21aの模式的な平面図である。
図4は、
図3のIV-IVにおける断面図である。
図3及び
図4に示されるように、部分球面21aには、複数の突出部22が形成されている
。
【0045】
図3の例では、突出部22は、平面視において(部分球面21aに直交する方向から見て)、六角形形状を有しているが、突出部22の平面形状は、これに限られない。突出部22は、例えば、部分球面21aの全面にわたって形成されている。突出部22は、部分球面21aの一部のみに形成されていてもよい。
【0046】
部分球面21aには、第1凹部23が形成されている。第1凹部23は、隣り合う2つの突出部22の端が接することにより、形成されている。部分球面21aは、第1凹部23において、窪んでいる。
【0047】
突出部22は、高さHを有している。高さHは、突出部22の先端と第1凹部23の底との間の距離である。高さHは、好ましくは、0.05μm以上20μm以下である。
【0048】
突出部22における部分球面21aの算術平均高さ(Sa)は、好ましくは、0.05μm以上5μm以下である。突出部22における部分球面21aの算術平均高さは、JIS規格(JIS B 0681-2:2018)にしたがって測定される。
【0049】
突出部22及び第1凹部23が形成されている部分における部分球面21aのスキューネス(Ssk)は、0未満(負の値)であることが好ましい。突出部22及び第1凹部23が形成されている部分における部分球面21aのスキューネスは、JIS規格(JIS B 0681-2:2018)にしたがって測定される。
【0050】
以下に、ボールエンドミル100の製造方法を説明する。
図5は、ボールエンドミル100の製造方法を示す工程図である。
図5に示されるように、準備工程S1と、接合工程S2と、突出部形成工程S3とを有している。
【0051】
準備工程S1においては、本体部10及び先端部20を構成する部材が準備される。なお、準備工程S1において準備される先端部20の表面21(部分球面21a)には、突出部22及び第1凹部23が形成されていない。接合工程S2においては、例えば、ろう付けにより、本体部10と先端部20との接合が行われる。
【0052】
突出部形成工程S3においては、突出部22が形成される。突出部22は、レーザを表面21(部分球面21a)に照射することにより形成される。第1凹部23は、隣り合う2つの突出部22の端が互いに接することにより形成されるため、突出部形成工程S3において突出部22が形成されることにより、第1凹部23も形成される。
【0053】
以下に、ボールエンドミル100の効果を説明する。
ボールエンドミル100においては、2つの突出部22の端が接することにより第1凹部23が形成されている。そのため、ワークの加工を行う際に、ワークから発生する切屑等が第1凹部23に拘束されがたく、表面21に溶着が生じにくい。その結果、ワークを加工する際の接触抵抗が低減され、工具寿命が改善されることになる。
【0054】
高さHを0.05μm以上20μm以下とすることにより、ワークから発生する切屑等が第1凹部23にさらに拘束されがたくなる結果、ワークを加工する際の接触抵抗がさらに低減されるとともに、工具寿命をさらに改善される。
【0055】
突出部22及び第1凹部23が形成されている部分における部分球面21aのスキューネスが0未満である場合、ワークから発生する切屑等が第1凹部23にさらに拘束されがたくなる結果、ワークを加工する際の接触抵抗がさらに低減されるとともに、工具寿命をさらに改善される。
【0056】
突出部22における部分球面21aの算術平均高さが小さくなるほど、突出部22に溶着が発生しにくくなる。そのため、突出部22における算術平均高さを0.05μm以上5μm以下とすることにより、ワークを加工する際の接触抵抗がさらに低減されるとともに、工具寿命をさらに改善される。
【0057】
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態に係る工具の構成を説明する。第2実施形態に係る工具は、ワークに対する加工を行うための加工工具である。より具体的には、第2実施形態に係る工具は、ボールエンドミル200である。ここでは、ボールエンドミル100の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0058】
ボールエンドミル200は、本体部10と、先端部20を有している。本体部10は、シャンク11と、ネック12とを有している。先端部20は、表面21を有している。表面21は、部分球面21aを含んでいる。部分球面21aには、突出部22及び第1凹部23が形成されている。これらの点に関して、ボールエンドミル200の構成は、ボールエンドミル100の構成と共通している。
【0059】
図6は、ボールエンドミル200における部分球面21aの模式的な平面図である。
図7は、
図6のVII-VIIにおける断面図である。部分球面21aには、
図6及び
図7に示されるように、第2凹部24がさらに形成されている。これらの点に関して、ボールエンドミル200の構成は、ボールエンドミル100の構成と異なっている。
【0060】
第2凹部24は、第1凹部23とは別の凹部である。第2凹部24において、部分球面21aは、窪んでいる。第2凹部24は、例えば、突出部22内に形成されている。第2凹部24の深さを、深さDとする。深さDは、1.0μm以上である。深さDは、例えば20μm以下である。
【0061】
平面視における第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。平面視における第2凹部24の円相当径は、平面視における第2凹部24の面積をπ/4で除した値の平方根である。表面21における第2凹部24の面積比率は、3パーセント以上80パーセント以下であることが好ましい。表面21における第2凹部24の面積比率は、第2凹部24が形成されている表面21の面積を突出部22及び第1凹部23が形成されている表面21の面積で除した値である。
【0062】
以下に、ボールエンドミル200の製造方法を説明する。ここでは、ボールエンドミル100の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0063】
図8は、ボールエンドミル200の製造方法を示す工程図である。
図8に示されるように、ボールエンドミル200の製造方法は、準備工程S1と、接合工程S2と、突出部形成工程S3とを有している。この点に関して、ボールエンドミル200の製造方法は、ボールエンドミル100の製造方法と
共通している。
【0064】
ボールエンドミル200の製造方法は、第2凹部形成工程S4をさらに有している。この点に関して、ボールエンドミル200の製造方法は、ボールエンドミル100の製造方法と異なっている。
【0065】
第2凹部形成工程S4においては、第2凹部24の形成が行われる。第2凹部24の形成においては、第1に、金属粉末が、表面21(部分球面21a)に配置される。この金属粉末には、ダイヤモンドと親和性の高い金属(例えば、鉄、コバルト、ニッケル)が選択される。
【0066】
第2に、表面21を加熱することにより、上記の金属粉末と先端部20中に含まれているダイヤモンドとを反応させる。その結果、上記の金属粉末が付着していた部分の表面21からダイヤモンドが除去され、第2凹部24が形成される。
【0067】
上記の第2凹部24の形成方法から明らかなように、第2凹部24の円相当径は上記の配置する金属粉末の粒径を調整することにより変更可能であり、第2凹部24の面積比率は上記の配置する金属粉末の量を調整することにより変更可能である。なお、第2凹部24の形成方法は、上記の例に限られない。第2凹部24は、例えば表面21(部分球面21a)に対してレーザを照射することにより形成されてもよい。
【0068】
以下に、ボールエンドミル200の効果を説明する。ここでは、ボールエンドミル100の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0069】
ボールエンドミル200においては、第2凹部24及び切れ刃21cが同時に切れ刃として作用する。この大小合わせた切れ刃により、あたかも研削による加工のような切削効果がもたらされることになる。そのため、ボールエンドミル200によると、ワークの加工精度を改善することができる。
【0070】
また、深さDが1.0μm未満である場合、ワークから発生する切屑等が第2凹部24に詰まってしまい、溶着の起点になりやすい。その結果、ワークを加工する際の接触抵抗が増加してしまい、表面21(部分球面21a)の摩耗が進行しやすい。このように、深さDが1.0μm以上の第2凹部24を有するボールエンドミル200によると、工具寿命を確保しながら、ワークの加工精度を改善することができる。
【0071】
平面視における第2凹部24の円相当径が過大であると、第2凹部24が切れ刃として作用しにくくなる。また、平面視における第2凹部24の円相当径が過小であると、第2凹部24に切屑等が詰まりやすくなる。そのため、平面視における第2凹部24の円相当径を0.5μm以上50μm以下とすることにより、工具寿命をさらに改善することができる。
【0072】
第2凹部24の面積割合が過小である場合、切れ刃として機能する第2凹部24の数が少ない。他方で、第2凹部24の面積割合が過大である場合、切れ刃として機能する第2凹部24の割合が減少するとともに、切れ刃(第2凹部24)1つあたりの負荷が高くなり、表面21(部分球面21a)の摩耗が進行しやすくなる。そのため、第2凹部24の面積割合を3パーセント以上80パーセント以下とすることにより、工具寿命をさらに改善することができる。
【0073】
<第1切削試験>
表面21のスキューネス、突出部22の高さ(高さH)、突出部22における算術平均高さ、第2凹部24の深さ(深さD)、平面視における第2凹部24の円相当径及び第2凹部24の面積割合の影響を確認するために、第1切削試験を行った。以下に、この切削試験について説明を行う。
【0074】
第1切削試験においては、ボールエンドミル200として、サンプル1-1~サンプル1-11が用いられた。サンプル1-1~サンプル1-11においては、表1に示されるように、表面21のスキューネス、高さH、突出部22における算術平均高さ、深さD、平面視における第2凹部24の円相当径及び第2凹部24の面積割合が変化された。サンプル1-1~サンプル1-11においては、直径Rが1.0mmとされた。なお、サンプル1-1~サンプル1-11においては、先端部20がナノ多結晶ダイヤモンドにより形成された。
【0075】
【0076】
第1切削試験は、ボールエンドミル200の回転数を30000回転/分、工具送り速度を400mm/分、切り込み量が0.005mm、切り込み幅が0.002mmとの条件により行われた。第1切削試験は、クーラントを供給することなくドライ加工により行われた。第1切削試験のワークには、住友電気工業株式会社製超硬合金AF1が用いられた。第1切削試験において、サンプル1-1~サンプル1-11の工具寿命は、加工面におけるワークの算術平均粗さが0.05μm以上となった時点までの切削距離により評価された。第1切削試験の結果が、表2に示されている。
【0077】
【0078】
サンプル1-1~サンプル1-6の工具寿命は、サンプル1-7の工具寿命を上回っていた。サンプル1-1~サンプル1-6の表面21におけるスキューネスは、0未満であった。サンプル1-7の表面21におけるスキューネスは、正の値であった。この比較から、表面21におけるスキューネスを0未満とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0079】
サンプル1-1~サンプル1-6の工具寿命は、サンプル1-8の工具寿命を上回っていた。サンプル1-1~サンプル1-6の高さHは、0.05μm以上20μm以下の範囲内にあった。サンプル1-8の高さHは、0.05μm以上20μm以下の範囲内になかった。サンプル1-1~サンプル1-6の突出部22における算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下の範囲内にあった。サンプル1-8の突出部22における算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下の範囲内になかった。
【0080】
この比較から、高さHを0.05μm以上20μm以下の範囲内とすること及び突出部22における算術平均高さを0.05μm以上5μm以下の範囲内とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0081】
サンプル1-1~サンプル1-6の工具寿命は、サンプル1-9の工具寿命を上回っていた、サンプル1-1~サンプル1-6の深さDは、1.0μm以上であった。サンプル1-9の深さDは、1.0μm未満であった。この比較から、深さDを1.0μm以上とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0082】
サンプル1-1~サンプル1-6の工具寿命は、サンプル1-10の工具寿命を上回っていた。また、サンプル1-1~サンプル1-6の第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下の範囲内にあった。サンプル1-10の第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下の範囲内になかった。この比較から、第2凹部24の円相当径を0.5μm以上50μm以下とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0083】
サンプル1-1~サンプル1-6の工具寿命は、サンプル1-11の工具寿命を上回っていた。また、サンプル1-1~サンプル1-6の表面21における第2凹部24の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下の範囲内にあった。サンプル1-11の表面21における第2凹部24の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下の範囲内になかった。この比較から、表面21における第2凹部24の面積割合を3パーセント以上80パーセント以下とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0084】
<第2切削試験>
表面21のスキューネス、突出部22の高さ(高さH)、突出部22における算術平均高さ、第2凹部24の深さ(深さD)、平面視における第2凹部24の円相当径及び第2凹部24の面積割合の影響を確認するために、第2切削試験を行った。以下に、この第2切削試験について説明を行う。
【0085】
第2切削試験においては、ボールエンドミル200として、サンプル2-1~サンプル2-11が用いられた。サンプル2-1~サンプル2-11において、表3に示されるように、表面21のスキューネス、高さH、突出部22における算術平均高さ、深さD、平面視における第2凹部24の円相当径及び第2凹部24の面積割合が変化された。サンプル2-1~サンプル2-11においては、直径Rが3.0mmとされた。なお、サンプル2-1~サンプル2-11は、先端部20が長周期型周期表の13族又は15族に属する原子を含むナノ多結晶ダイヤモンドにより形成された。
【0086】
【0087】
第2切削試験は、ボールエンドミル200の回転数を10000回転/分、工具送り速度を100mm/分、切り込み量が0.015mm、切り込み幅が0.02mmとの条件により行われた。第2切削試験は、水溶性クーラントを供給しながら行われた。第2切削試験のワークには、石英ガラスが用いられた。第2切削試験において、サンプル2-1~サンプル2-11の工具寿命は、逃げ面(部分球面21a)における摩耗量が50μm以上になった時点までの切削距離により評価された。第2切削試験の結果は、表4に示されている。
【0088】
【0089】
サンプル2-1~サンプル2-6の工具寿命は、サンプル2-7の工具寿命を上回っていた。サンプル2-1~サンプル2-6の表面21におけるスキューネスは、0未満であった。サンプル2-7の表面21におけるスキューネスは、正の値であった。この比較から、表面21におけるスキューネスを0未満とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0090】
サンプル2-1~サンプル2-6の工具寿命は、サンプル2-8の工具寿命を上回っていた。サンプル2-1~サンプル2-6の高さHは、0.05μm以上20μm以下の範囲内にあった。サンプル2-8の高さHは、0.05μm以上20μm以下の範囲内になかった。サンプル2-1~サンプル2-6の突出部22における算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下の範囲内にあった。サンプル2-8の突出部22における算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下の範囲内になかった。
【0091】
この比較から、高さHを0.05μm以上20μm以下の範囲内とすること及び突出部22における算術平均高さを0.05μm以上5μm以下の範囲内とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0092】
サンプル2-1~サンプル2-6の工具寿命は、サンプル2-9の工具寿命を上回っていた、サンプル2-1~サンプル2-6の深さDは、1.0μm以上であった。サンプル2-9の深さDは、1.0μm未満であった。この比較から、深さDを1.0μm以上とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0093】
サンプル2-1~サンプル2-6の工具寿命は、サンプル2-10の工具寿命を上回っていた。サンプル2-1~サンプル2-6の第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下の範囲内にあった。サンプル2-10の第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下の範囲内になかった。この比較から、第2凹部24の円相当径を0.5μm以上50μm以下とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0094】
サンプル2-1~サンプル2-6の工具寿命は、サンプル2-11の工具寿命を上回っていた。また、サンプル2-1~サンプル2-6の表面21における第2凹部24の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下の範囲内にあった。サンプル2-11の表面21における第2凹部24の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下の範囲内になかった。この比較から、表面21における第2凹部24の面積割合を3パーセント以上80パーセント以下とすることによりボールエンドミル200の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0095】
<変形例>
以下に、ボールエンドミル200の変形例(以下においては、「ボールエンドミル200A」とする)の構成を説明する。ここでは、ボールエンドミル200の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0096】
図9は、ボールエンドミル200Aの先端部20近傍の拡大側面図である。
図9に示されるように、ボールエンドミル200Aの表面21には、溝21b及び切れ刃21cが形成されていない。しかしながら、上記のとおり、第2凹部24が微少な切れ刃として作用するため、ボールエンドミル200Aは、切れ刃21cを有さずとも、ワークに対する加工を行うことができる。
【0097】
(第3実施形態)
以下に、第3実施形態に係る工具の構成を説明する。第3実施形態に係る工具は、ワークに対する切削加工を行うための切削工具である。より具体的には、第3実施形態に係る工具は、切削インサート300である。
【0098】
図10は、切削インサート300の斜視図である。
図11は、切削インサート300の先端部20における断面図である。
図10及び
図11に示されるように、切削インサート300は、基体30と、先端部20とを有している。
【0099】
基体30は、第1面30aと、第2面30bと、側面30cとを有している。第2面30bは、第1面30aの反対面である。側面30cは、第1面30a及び第2面30bに連なっている。基体30は、取り付け部31を有している。取り付け部31は、第1面30aに直交する方向から見て、基体30の角部に位置している。
【0100】
取り付け部31に位置する第1面30aと第2面30bとの間の距離は、取り付け部31以外に位置する第1面30aと第2面30bとの間の距離よりも小さくなっている。すなわち、基体30の第1面30a側には、取り付け部31において、段差が形成されている。基体30は、例えば、超硬合金により形成されている。
【0101】
先端部20は、取り付け部31に、ろう付け等により取り付けられている。先端部20の表面21は、すくい面21dと、逃げ面21eと、切れ刃21fとを有している。すくい面21dは、逃げ面21eに連なっている。すくい面21dは、逃げ面21eとは反対側において、第1面30aに連なっている。逃げ面21eは、すくい面21dとは反対側において、側面30cに連なっている。切れ刃21fは、すくい面21dと逃げ面21eとの稜線に形成されている。
【0102】
すくい面21dは、第1部分21daと、第2部分21dbとを有している。第1部分21daは、逃げ面21eに連なっているすくい面21dの部分である。第2部分21dbは、切れ刃21fとの間で第1部分21daを挟み込んでいる部分である。
【0103】
第1部分21daは、第2部分21dbに対して負角をなすように、第2部分21dbに対して傾斜している。第1部分21daが第2部分21dbに対して負角をなしている場合とは、第2部分21dbが上方を向いており、かつ逃げ面21eが左方を向いている際に、第1部分21daが第2部分21dbに対して反時計回りに回転している場合をいう。このことを別の観点から言えば、第1部分21daは、ネガランドになっている。
【0104】
突出部22及び第1凹部23は、すくい面21d及び逃げ面21eに形成されている。より具体的には、突出部22及び第1凹部23は、第1部分21da及び逃げ面21eに形成されている。すくい面21d(第1部分21da)及び逃げ面21eには、第2凹部24がさらに形成されていてもよい。
【0105】
以下に、切削インサート300の製造方法を説明する。
図12は、切削インサート300の製造方法を示す工程図である。
図12に示されるように、切削インサート300の製造方法は、準備工程S1と、接合工程S2と、面形成工程S5と、突出部形成工程S3とを有している。切削インサート300の製造方法は、第2凹部形成工程S4をさらに有していてもよい。
【0106】
準備工程S1においては、基体30及び先端部20を構成する部材が準備される。準備工程S1において準備される先端部20の表面21には、突出部22及び第1凹部23が形成されていない。接合工程S2においては、例えば、ろう付けにより、基体30と先端部20との接合が行われる。
【0107】
面形成工程S5においては、表面21に、すくい面21d及び逃げ面21eが形成される。すくい面21dの形成及び逃げ面21eの形成は、例えば、表面21にレーザを照射することにより行われる。面形成工程S5においては、すくい面21d及び逃げ面21eが形成される結果、切れ刃21fも形成される。突出部形成工程S3及び第2凹部形成工程S4は、上記のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0108】
以下に、切削インサート300の効果を説明する。
切削インサート300によりワークの加工が行われている際、ワークから発生する切屑等が第1凹部23に拘束されにくいため、表面21に溶着が生じにくい。その結果、ワークの加工を行う際の接触抵抗を低減でき、ひいては、工具寿命を改善することができる。
【0109】
また、切削インサート300によりワークの加工が行われている際、切れ刃21fがワークを切削するのみならず、逃げ面21eに形成された第2凹部24が微少な切れ刃として作用し、ワークを研削するため、被加工面の加工品位(被加工面の面粗度)が改善される。このように、切削インサート300によると、ワークに対する加工の精度を改善することができる。
【0110】
<切削試験>
表面21のスキューネス、突出部22の高さ(高さH)、突出部22における算術平均高さ、第2凹部24の深さ(深さD)、平面視における第2凹部24の円相当径及び第2凹部24の面積割合の影響を確認するために、切削試験を行った。以下に、この切削試験について説明を行う。
【0111】
切削試験においては、切削インサート300として、サンプル3-1~サンプル3-11が用いられた。サンプル3-1~サンプル3-11において、表5に示されるように、表面21のスキューネス、高さH、突出部22における算術平均高さ、深さD、平面視における第2凹部24の円相当径及び第2凹部24の面積割合が変化された。なお、サンプル3-1~サンプル3-11は、先端部20がバインダレス立方晶窒化硼素により形成された。
【0112】
【0113】
切削試験においては、サンプル3-1~サンプル3-9を用いて、チタン-6アルミニウム-4バナジウム合金製の丸棒形状のワークに対して、旋削加工が行われた。切削試験は、切削速度250m/分、送り量0.2mm/回転、切り込み量0.5mmとの条件により行われた。切削試験においては、クーラントが7MPaの圧力で供給された。サンプル3-1~サンプル3-11の工具寿命は、逃げ面21eにおける摩耗量が150μm以上となった時点までの切削距離により評価された。切削試験の結果は、表6に示されている。
【0114】
【0115】
サンプル3-1~サンプル3-6の工具寿命は、サンプル3-7の工具寿命を上回っていた。サンプル3-1~サンプル3-6の表面21におけるスキューネスは、0未満であった。他方で、サンプル3-7の表面21におけるスキューネスは、正の値であった。この比較から、表面21におけるスキューネスを0未満とすることにより切削インサート300の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0116】
サンプル3-1~サンプル3-6の工具寿命は、サンプル3-8の工具寿命を上回っていた。サンプル3-1~サンプル3-6の高さHは、0.05μm以上20μm以下の範囲内にあった。サンプル3-8の高さHは、0.05μm以上20μm以下の範囲内になかった。サンプル3-1~サンプル3-6の突出部22における算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下の範囲内にあった。サンプル3-8の突出部22における算術平均高さは、0.05μm以上5μm以下の範囲内になかった。
【0117】
この比較から、高さHを0.05μm以上20μm以下の範囲内とすること及び突出部22における算術平均高さを0.05μm以上5μm以下の範囲内とすることにより切削インサート300の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0118】
サンプル3-1~サンプル3-6の工具寿命は、サンプル3-9の工具寿命を上回っていた。サンプル3-1~サンプル3-6の深さDは、1.0μm以上であった。サンプル3-9の深さDは、1.0μm未満であった。この比較から、深さDを1.0μm以上とすることにより切削インサート300の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0119】
サンプル3-1~サンプル3-6の工具寿命は、サンプル3-10の工具寿命を上回っていた。サンプル3-1~サンプル3-6の第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下の範囲内にあった。また、サンプル3-10の第2凹部24の円相当径は、0.5μm以上50μm以下の範囲内になかった。この比較から、第2凹部24の円相当径を0.5μm以上50μm以下とすることにより切削インサート300の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0120】
サンプル3-1~サンプル3-6の工具寿命は、サンプル3-11の工具寿命を上回っていた。また、サンプル3-1~サンプル3-6の表面21における第2凹部24の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下の範囲内にあった。他方で、サンプル3-11の表面21における第2凹部24の面積割合は、3パーセント以上80パーセント以下の範囲内になかった。この比較から、表面21における第2凹部24の面積割合を3パーセント以上80パーセント以下とすることにより切削インサート300の工具寿命が改善されることが、実験的に明らかにされた。
【0121】
<変形例>
上記の第3実施形態の内容は、切削インサート300以外の切削工具にも適用することができる。
図13は、ラジアスエンドミル400の側面図である。上記の第3実施形態の内容は、例えば、
図13に示されるようなラジアスエンドミル400に適用することができる。より具体的には、ラジアスエンドミル400の先端部20に形成された逃げ面及びすくい面に突出部22及び第1凹部23が形成される。
【0122】
(第4実施形態)
以下に、第4実施形態に係る工具の構成を説明する。第4実施形態に係る工具は、ワークの表面粗さ又は形状を測定するための測定工具である。より具体的には、第4実施形態に係る工具は、スタイラス500である。
【0123】
図14は、スタイラス500の側面図である。
図14に示されるように、スタイラス500は、先端部20を有している。スタイラス500は、表面21がワークの表面に接触するようにワーク上において走査される。これにより、ワークの表面粗さ又は形状が測定される。表面21には、突出部22及び第1凹部23が形成されている。表面21には、第2凹部24がさらに形成されてもよい。なお、スタイラス500の中心軸を、中心軸A1とする。
【0124】
以下に、スタイラス500の効果を説明する。
表面21には突出部22及び第1凹部23が形成されているため、スタイラス500を走査する際のワークの表面と表面21との間の接触抵抗を減少させることができる。
【0125】
(第5実施形態)
以下に、第5実施形態に係る工具の構成を説明する。第5実施形態に係る工具は、ボールエンドミル600である。ここでは、ボールエンドミル200の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0126】
図15は、ボールエンドミル600における部分球面21aの模式的な平面図である。
図16は、
図15のXVI-XVIにおける断面図である。
図15及び
図16に示されるように、ボールエンドミル600では、第2凹部24が、平面視において、細長い形状になっている。より具体的には、ボールエンドミル600では、第2凹部24の長手方向における長さが、第2凹部24の幅方向における幅よりも大きくなっている。第2凹部24の幅方向は、第2凹部24の長手方向に直交する方向である。すなわち、第2凹部24の長手方向における長さは、2×深さD×sinθ(角度θについては、後述する)以上になっている。ボールエンドミル600では、第2凹部24が、突出部22内又は隣り合う2つの突出部22に跨るように形成されている。
【0127】
ボールエンドミル600では、平面視における第2凹部24の長手方向における長さを長さLとする。長さLは、100μm以下であることが好ましい。ボールエンドミル600では、第2凹部24の深さである深さD(
図17参照)が、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。ボールエンドミル600では、第2凹部24の側面の傾斜角度を、角度θ(
図17参照)とする。角度θは、0°を超えて45°以下であることが好ましい。ボールエンドミルでは、第2凹部24の面積割合が、3パーセント以上80パーセント以下であることが好ましい。
【0128】
深さD、角度θ及び長さLは、以下の方法により測定される。第1に、非接触式の表面形状測定機(Bruker Alicon社製のInfinite Focus G5)を用いて、第2凹部24が形成されている表面21(部分球面21a)の部分(以下「測定対象部分」とする)の形状を示す三次元データが取得される。この三次元データから、第2凹部24の長手方向に直交する断面における測定対象部分の断面曲線が算出される。断面曲線の測定長は、50μm以上とされる。断面曲線の傾斜、うねり等の補正は、JIS B 0651:2001に準じて行われる。測定対象部分が円形である場合は、デカルト真円表示に変換される。断面曲線は、第2凹部24の長手方向において2μmの間隔を空けて50箇所以上で算出される。
【0129】
第2に、算出された第2凹部24の長手方向に直交する1つの断面における測定対象部分の断面曲線から、位置P1、位置P2及び位置P3が特定される。位置P1において、上記の断面曲線は、極小値になる。位置P2及び位置P3において、上記の断面曲線は、極大値になる。位置P2及び位置P3は、上記の断面曲線が極大値となる位置のうちの最も位置P1に近い位置である。
【0130】
図17は、第2凹部24の長手方向に直交する断面における測定対象部分の模式的な断面曲線である。
図17に示されるように、位置P1と位置P2とを結んだ直線を直線LI1とし、位置P1と位置P3とを結んだ直線を直線LI2とする。直線LI1と直線LI2とがなしている角度を0.5倍が、角度θとなる。位置P2と位置P1との間の高さの差である距離DIS1及び位置P3と位置P2との間の高さの差である距離DIS2の平均値が、深さDとなる。上記の測定を他の断面についても行うことにより、各断面について深さDが得られる。
【0131】
各断面についての深さDの平均値を、深さDavgとする。深さDが深さDavgの±20パーセントの範囲内になること及び位置P1が±2×D×sinθの範囲内にあることを満たす断面の間の距離の最大値が、長さLとなる。なお、長さLは、表面視野から明らかに観察可能である場合は、表面観察視野から長さLを測定してもよい。
【0132】
第2凹部24の面積は、2×深さD×sinθ×長さLであると見做すことができる。そのため、第2凹部24の面積割合は、この式に基づいて算出される第2凹部24の面積の合計を突出部22及び第1凹部23が形成されている表面21の面積で除することにより得られる。
【0133】
第2凹部24の幅方向は、回転軸A回りの周方向に沿っていることが好ましい。このことを別の観点から言えば、第2凹部24の長手方向は、回転軸A回りの周方向に直交していることが好ましい。なお、回転軸Aは、部分球面21aの中心を通っている。
【0134】
以下に、ボールエンドミル600の製造方法を説明する。
ボールエンドミル600の製造方法は、ボールエンドミル200の製造方法と同様に、準備工程S1と、接合工程S2と、突出部形成工程S3と、第2凹部形成工程S4とを有している。但し、ボールエンドミル600の製造方法では、第2凹部形成工程S4において部分球面21aにレーザが照射されることにより、第2凹部24が形成される。ボールエンドミル600の製造方法では、上記のレーザ加工の加工条件を変更することにより、深さD、角度θ及び長さLが適宜調整される。
【0135】
以下に、ボールエンドミル600の効果を説明する。
ボールエンドミル600では、第2凹部24を通ってクーラント又はボールエンドミル600を回転させた際に流れる空気がワークとの接触部に流れ込みやすくなるため、冷却効果が高まり、工具寿命が改善される。また、ボールエンドミル600では、ワークとの接触により発生した摩耗粉が第2凹部24を通ってワークとの接触部から排出されやすいため、当該摩耗粉による二次的摩耗が生じにくくなり、工具寿命が改善される。
【0136】
長さLが2×深さD×sinθ以上100μm以下である場合、第2凹部24がクーラント等の流路及び摩耗粉の排出経路として機能しやすくなるため、工具寿命をさらに改善することができる。また、角度θが0°を超えて45°以下である場合、第2凹部24の側面の傾斜が急峻になるため、第2凹部24を通過する際にクーラント等の流速が上昇しやすい。そのため、この場合には、冷却効果をさらに高めることができ、工具寿命がさらに改善される。
【0137】
第2凹部24の面積割合が3パーセント以上80パーセント以下である場合、部分球面21aにおける応力集中箇所が過剰となることを抑制できるため、工具寿命を改善することができる。
【0138】
<切削試験>
ボールエンドミル600の効果を確認するために、切削試験が行われた。この切削試験では、ボールエンドミル600のサンプルとして、サンプル4-1からサンプル4-11が用いられた。切削試験は、ボールエンドミル600の回転数を10000回転/分、工具送り速度を100mm/分、切り込み量が0.015mm、切り込み幅が0.02mmとの条件により行われた。切削試験は、水溶性クーラントを供給しながら行われた。切削試験のワークには、10mm×10mmの石英ガラス板が用いられた。切削試験では、各サンプルの工具寿命が逃げ面摩耗が50μmに達するまでの切削距離により評価された。
【0139】
サンプル4-1からサンプル4-11では、先端部20がナノ多結晶ダイヤモンドにより形成された。サンプル4-1からサンプル4-11では、表7に示されるように、深さD、角度θ、長さL、第2凹部24の面積割合及び硼素の添加の有無が変化された。深さDが0.5μm以上20μm以下であることを、条件Aとする。角度θが0°を超えて45°以下であることを、条件Bとする。長さLが2×深さD×sinθ以上100μm以下であることを、条件Cとする。上記のとおり、2×深さD×sinθは、第2凹部24の幅に対応している。第2凹部24の面積割合が3パーセント以上80パーセント以下であることを、条件Dとする。サンプル4-1からサンプル4-11では、第2凹部24の幅方向が、回転軸A回りの周方向に沿うように形成された。サンプル4-1からサンプル4-11では、表面21におけるスキューネスが0未満とされ、高さHが0.05μm以上20μm以下の範囲内とされ、表面21における算術平均高さが0.05μm以上5μm以下の範囲内とされた。
【0140】
【0141】
サンプル4-1からサンプル4-7では、条件Aが満たされていた。他方で、サンプル4-8では、条件Aが満たされていなかった。サンプル4-1からサンプル4-7の工具寿命は、サンプル4-8の工具寿命よりも優れていた。この比較から、条件Aが満たされることにより工具寿命が改善されることが、実験的にも明らかになった。
【0142】
サンプル4-1からサンプル4-7では、条件Bが満たされていた。他方で、サンプル4-9では、条件Bが満たされていなかった。サンプル4-1からサンプル4-7の工具寿命は、サンプル4-9の工具寿命よりも優れていた。この比較から、条件Bが満たされることにより工具寿命が改善されることが、実験的にも明らかになった。
【0143】
サンプル4-1からサンプル4-7では、条件Cが満たされていた。他方で、サンプル4-10では、条件Cが満たされていなかった。サンプル4-1からサンプル4-7の工具寿命は、サンプル4-10の工具寿命よりも優れていた。この比較から、条件Cが満たされることにより工具寿命が改善されることが、実験的にも明らかになった。
【0144】
サンプル4-1からサンプル4-7では、条件Dが満たされていた。他方で、サンプル4-11では、条件Dが満たされていなかった。サンプル4-1からサンプル4-7の工具寿命は、サンプル4-11の工具寿命よりも優れていた。この比較から、条件Dが満たされることにより工具寿命が改善されることが、実験的にも明らかになった。
【0145】
(第6実施形態)
以下に、第6実施形態に係る工具を説明する。第6実施形態に係る工具は、切削インサート700である。ここでは、切削インサート300の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0146】
切削インサート700では、表面21に、ボールエンドミル600と同様の第2凹部24が形成されている。好ましくは、切削インサート700では、第2凹部24が、すくい面21d及び逃げ面21eの少なくともいずれかに形成されている。切削インサート700では、好ましくは、第2凹部24の幅方向が、切れ刃21fの延在方向に沿っている。切削インサート700によると、ボールエンドミル600と同様に、工具寿命が改善されることになる。
【0147】
(第7実施形態)
以下に、第7実施形態に係る工具を説明する。第7実施形態に係る工具は、スタイラス800である。ここでは、スタイラス500の構成と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0148】
スタイラス800では、表面21に、ボールエンドミル600と同様の第2凹部24が形成されている。スタイラス800では、好ましくは、第2凹部24の幅方向が、中心軸A1回りの周方向に沿っている。スタイラス800によると、ワークとの接触により発生した摩耗粉が第2凹部24を通って接触部から排出されやすくなり、当該摩耗粉に起因した二次摩耗が生じにくくなるため、工具寿命が改善されることになる。
【0149】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0150】
10 本体部、10a 第1端、10b 第2端、11 シャンク、11a 第1端、11b 第2端、12 ネック、12a 第1端、12b 第2端、13 接続層、20 先端部、21 表面、21a 部分球面、21b 溝、21c 切れ刃、21d すくい面、21da 第1部分、21db 第2部分、21e 逃げ面、21f 切れ刃、22 突出部、23 第1凹部、24 第2凹部、30 基体、30a 第1面、30b 第2面、30c 側面、31 取り付け部、100 ボールエンドミル、200,200A ボールエンドミル、300 切削インサート、400 ラジアスエンドミル、500 スタイラス、600 ボールエンドミル、700 切削インサート、800 スタイラス、A 回転軸、A1 中心軸、D 深さ、L 長さ、LI1 直線、LI2 直線、H 高さ、R 直径、S1 準備工程、S2 接合工程、S3 突出部形成工程、S4 第2凹部形成工程、S5 面形成工程、DIS1,DIS2 距離、P1,P2,P3 位置、θ 角度。