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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】通信制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/851 20220101AFI20231010BHJP
【FI】
H04L45/851
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023540662
(86)(22)【出願日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2023024524
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2023033234
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 隆紀
(72)【発明者】
【氏名】石井 正美
(72)【発明者】
【氏名】堀込 亮平
(72)【発明者】
【氏名】小沢 洋二郎
(72)【発明者】
【氏名】志村(川出) 祐子
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0345404(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0058284(US,A1)
【文献】坪田 弘樹,SDN/NFV時代のWAN新常識 Part1 SD-WANが企業WANを変える ネットワークの民主化が始まる,テレコミュニケーション 第33巻 第2号 Telecommunication,日本,株式会社リックテレコム,2016年01月25日,第33巻,pp.11-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/851
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末を収容する通信制御装置と、前記端末に対して接続サービスを提供するネットワークシステムと、を有する通信制御システムであって、
前記ネットワークシステムは、
固定通信網と移動体通信網の両方を介して前記通信制御装置と接続され、
外部のネットワークと接続され、
前記端末を前記外部のネットワークへアクセスさせ、
前記固定通信網と前記移動体通信網の輻輳の度合いを取得し、
前記輻輳の度合いを前記通信制御装置に通知し、
前記通信制御装置は、
前記端末と前記固定通信網との間の通信を中継する第1の通信部と、
前記端末と前記移動体通信網との間の通信を中継する第2の通信部と、
前記ネットワークシステムによって通知された前記輻輳の度合いを基に、前記固定通信網及び前記移動体通信網のいずれかを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された通信網を用いて、前記端末に通信を実行させる通信制御部と、
を有することを特徴とする通信制御システム。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記端末から送信されたパケットを、トンネリングすることなく前記固定通信網又は前記移動体通信網に送信する
ことを特徴とする請求項に記載の通信制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御方法、通信制御プログラム及び通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信網に輻輳が発生していることを検知した場合、制御対象のユーザに対して帯域制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-236482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、通信サービスの質を維持しつつ輻輳を回避することが難しいという問題がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、帯域制御の対象となったユーザへ提供される通信サービスの質が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、通信制御装置は、収容する端末と固定通信網との間の通信を中継する第1の通信部と、前記端末と移動体通信網との間の通信を中継する第2の通信部と、前記固定通信網及び前記移動体通信網の少なくともいずれかの輻輳の度合いを取得する取得部と、前記輻輳の度合いを基に、前記固定通信網及び前記移動体通信網のいずれかを選択する選択部と、前記選択部によって選択された通信網を用いて、前記端末に通信を実行させる通信制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通信サービスの質を維持しつつ輻輳を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ネットワーク全体の構成を示す図である。
図2図2は、CPE(Customer Premises Equipment)の構成例を示す図である。
図3図3は、CPEの処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、CPEの処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、通信制御プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。
図6図6は、SD-WANのネットワークの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本願に係る通信制御装置、通信制御方法、通信制御プログラム及び通信制御システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0009】
[第1の実施形態]
まず、図1を用いて、通信制御装置を含むネットワーク全体の構成を説明する。図1は、ネットワーク全体の構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、ネットワークは、ISP(Internet Service Provider)網N1、固定通信網N2及び移動体通信網N3を含む。固定通信網N2及び移動体通信網N3は、ISP網N1と接続される。
【0011】
ISP網N1は、ISPによって提供されるネットワークである。例えば、ISPは、ISP網N1を使って接続サービスを提供する。接続サービスによれば、ユーザの端末は、クラウド等の外部のネットワークへアクセスすることができる。
【0012】
固定通信網N2は、回線事業者によって提供されるネットワークである。固定通信網N2は、光ファイバケーブル等を用いた有線通信ネットワークである。回線事業者は、固定通信網N2を使って光回線を提供することができる。
【0013】
移動体通信網N3は、回線事業者によって提供されるネットワークである。移動体通信網N3は、電波を用いた無線通信ネットワークである。回線事業者は、移動体通信網N3を使って5G、4G、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信回線を提供することができる。
【0014】
また、ユーザの各拠点には、CPE(Customer Premises Equipment)が配置される。CPEには、1つ以上の端末が接続される。なお、CPEは通信制御装置の一例である。各拠点では、CPEによってユーザネットワークが構成される。
【0015】
図1の例では、拠点AにはCPE10aが配置される。CPE10aには、端末21a、端末22a、及び端末23aが接続される。また、拠点BにはCPE10bが配置される。CPE10bには、端末21b、端末22b、及び端末23bが接続される。
【0016】
以下の説明では、CPE10a及びCPE10bを区別せずにCPE10と呼ぶ場合がある。CPE10は、固定通信網N2と移動体通信網N3の両方に接続される。なお、ネットワークに含まれるCPEの数、及びCPEに接続される端末の数は図示のものに限られない。
【0017】
CPE10に接続される端末は、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末及びスマートフォン等である。CPE10に接続される端末は、複合機、ウェアラブル端末及びセンサ等のIoT機器であってもよい。CPE10と端末は、有線又は無線で接続される。
【0018】
図2は、CPEの構成例を示す図である。図2に示すように、CPE10は、有線通信部11、無線通信部12、記憶部13及び制御部14を有する。CPE10は、端末を収容する。図1の例では、CPE10aは、端末21a、端末22a及び端末23aを収容する。以下の説明において、「端末」は、CPE10に収容される端末を意味するものとする。
【0019】
有線通信部11は、有線通信を行うためのモジュールである。有線通信部11は、複数のイーサネット(登録商標)ポートを有する。イーサネットポートには、端末又は固定通信網N2側の終端装置(例えば、ONU(Optical Network Unit))に接続される。なお、有線通信部11は、ONUとしての機能を含んでいてもよい。
【0020】
無線通信部12は、無線通信を行うためのモジュールである。無線通信部12は、電波の送受信を行うためのアンテナを含む。無線通信部12は、移動体通信網N3の基地局との間で無線通信を行う。また、無線通信部12は、CPE10に無線接続される端末との間で無線通信を行う。
【0021】
CPE10は、ルータとして機能する。これにより、CPE10は、収容する端末と外部のネットワークとの間の通信を中継することができる。有線通信部11は、収容する端末と固定通信網N2との間の通信を中継する。また、無線通信部12は、端末と移動体通信網N3との間の通信を中継する。
【0022】
なお、端末が固定通信網N2及び移動体通信網N3のいずれとの間で通信を行うかと、端末がCPE10と有線で接続されるか無線で接続されるかは無関係である。
【0023】
有線通信部11によりCPE10と有線で接続される端末は、有線通信部11を介して固定通信網N2との間で通信を行ってもよいし、無線通信部12を介して移動体通信網N3との間で通信を行ってもよい。また、無線通信部12によりCPE10と無線で接続される端末は、有線通信部11を介して固定通信網N2との間で通信を行ってもよいし、無線通信部12を介して移動体通信網N3との間で通信を行ってもよい。
【0024】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。
【0025】
記憶部13は、CPE10で実行されるOS(Operating System)及び各種プログラムを記憶する。記憶部13は、変換テーブル131、及び優先通信網情報132を記憶する。
【0026】
変換テーブル131は、CPE10に接続された端末と、拠点外部の装置との間でアドレス変換を行うためのテーブルである。変換テーブル131は、NAT(Network Address Translation)テーブル、又はNAPT(Network Address Port Translation)テーブルである。
【0027】
優先通信網情報132は、固定通信網N2と移動体通信網N3のいずれが優先的に使用されるかを示す情報である。また、優先通信網情報132は、固定通信網N2と移動体通信網N3のそれぞれにおける輻輳の度合いを含んでいてもよい。
【0028】
制御部14は、CPE10全体を制御する。制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。
【0029】
また、制御部14は、各種の処理手順を規定したプログラム及び制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部14は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0030】
例えば、制御部14は、通信制御部141、取得部142及び選択部143を有する。
【0031】
通信制御部141は、有線通信部11及び無線通信部12を制御することにより、端末に通信を実行させる。例えば、通信制御部141は、端末から送信されたパケットを固定通信網N2又は移動体通信網N3に送信する。
【0032】
取得部142は、固定通信網N2及び移動体通信網N3の少なくともいずれかの輻輳の度合いを取得する。取得部142は、取得した輻輳の度合いを、優先通信網情報132に書き込む。
【0033】
選択部143は、輻輳の度合いを基に、固定通信網N2及び移動体通信網N3のいずれかを選択する。選択部143によって選択された通信網は、優先通信網である。なお、通信制御部141は、優先通信網を用いて、端末に通信を実行させる。
【0034】
例えば、選択部143は、端末から固定通信網N2へのパケットの送信が失敗した場合、移動体通信網N3を選択する。
【0035】
また、例えば、選択部143は、固定通信網N2及び移動体通信網N3のうち、輻輳の度合いが小さい方の通信網を選択する。
【0036】
選択部143は、固定通信網N2及び移動体通信網N3のいずれを選択したかを示す情報を、優先通信網情報132に書き込む。通信制御部141は、優先通信網情報132を参照することで、優先通信網が固定通信網N2及び移動体通信網N3のいずれであるかを確認することができる。
【0037】
以下、フローチャートを用いて、CPE10による通信制御の方法を説明する。例として、パケットの送信を試みる方法と、事前に輻輳の度合いを取得する方法を説明する。CPE10は、下記の方法のいずれかを実施してもよいし、両方を実施してもよい。
【0038】
[パケットの送信を試みる方法]
図3を用いて、パケットの送信を試みる方法を説明する。図3は、CPEの処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、まず、通信制御部141は、端末からパケットを受け付ける(ステップS101)。なお、このとき優先通信網情報132には、固定通信網N2が優先通信網として示されているものとする。
【0040】
通信制御部141は、固定通信網N2を介して、ISP網N1にパケットを送信する(ステップS102)。
【0041】
ここで、取得部142は、パケットの送信が成功したか否かを判定する(ステップS103)。取得部142は、判定結果を輻輳の度合いとして取得することができる。
【0042】
取得部142は、固定通信網N2を介して送信されたパケットの送信が失敗した場合、固定通信網N2の輻輳の度合いが大きい(閾値以上)とみなす。一方、取得部142は、固定通信網N2を介して送信されたパケットの送信が成功した場合、固定通信網N2の輻輳の度合いが小さい(閾値未満)とみなす。
【0043】
取得部142は、例えば固定通信網N2を介して送信されたパケットに対して、ISP網N1まで送信されなかったことを示すエラーが返された場合に、パケットの送信が失敗したと判定する。また、取得部142は、例えば固定通信網N2を介して送信されたパケットに対して一定時間応答がなかった場合(タイムアウトが発生した場合)に、パケットの送信が失敗したと判定してもよい。
【0044】
取得部142によってパケットの送信が成功したと判定された場合(ステップS103、Yes)、CPE10は処理を終了する。
【0045】
取得部142によってパケットの送信が失敗したと判定された場合(ステップS103、No)、通信制御部141は、移動体通信網N3を介して、ISP網N1にパケットを送信する(ステップS104)。
【0046】
また、ステップS104では、事前に選択部143が移動体通信網N3を選択し、優先通信網が移動体通信網N3であることを優先通信網情報132に書き込む。
【0047】
[事前に輻輳の度合いを取得する方法]
図4を用いて、事前に輻輳の度合いを取得する方法を説明する。図4は、CPEの処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
図4に示すように、取得部142は、固定通信網N2の輻輳の度合いを取得する(ステップS201)。また、取得部142は、移動体通信網N3の輻輳の度合いを取得する(ステップS202)。
【0049】
例えば、取得部142は、固定通信網N2及び移動体通信網N3のネットワークフローを監視する監視装置から、各通信網の輻輳の度合いを取得する。
【0050】
また、取得部142は、固定通信網N2及び移動体通信網N3のそれぞれを介して特定の宛先にPingを送信し、Ping値を基に輻輳の度合いを取得する。例えば、取得部142は、Ping値が大きいほど輻輳の度合いが大きいとみなす。
【0051】
選択部143は、輻輳の度合いが小さい方の通信網を優先通信網として選択する(ステップS203)。選択部143は、選択した通信網を優先通信網として優先通信網情報132に書き込む。
【0052】
[第1の実施形態の効果]
これまで説明してきたように、CPE10は、有線通信部11、無線通信部12、通信制御部141、取得部142及び選択部143を有する。有線通信部11は、収容する端末と固定通信網N2との間の通信を中継する。無線通信部12は、端末と移動体通信網N3との間の通信を中継する。取得部142は、固定通信網N2及び移動体通信網N3の少なくともいずれかの輻輳の度合いを取得する。選択部143は、輻輳の度合いを基に、固定通信網N2及び移動体通信網N3のいずれかを選択する。通信制御部141は、選択部143によって選択された通信網を用いて、端末に通信を実行させる。
【0053】
これにより、CPE10は、輻輳を考慮して固定通信網N2及び移動体通信網N3を切り替えて通信を行うことができる。その結果、CPE10は、通信サービスの質を維持しつつ輻輳を回避することができる。
【0054】
通信制御部141は、端末から送信されたパケットを固定通信網N2に送信する。選択部143は、パケットの送信が失敗した場合、移動体通信網N3を選択する。これにより、CPE10は輻輳の状況に合わせて効率良く通信を行うことができる。
【0055】
取得部142は、固定通信網N2及び移動体通信網N3の両方の輻輳の度合いを取得する。選択部143は、固定通信網N2及び移動体通信網N3のうち、輻輳の度合いが小さい方の通信網を選択する。これにより、事前に優先通信網が選択されるため、CPE10はスムーズに通信を行うことができる。
【0056】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。なお、プログラムは、CPUだけでなく、GPU等の他のプロセッサによって実行されてもよい。
【0057】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0058】
[プログラム]
一実施形態として、CPE10は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の情報処理を実行する通信制御プログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記の通信制御プログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置をCPE10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータが含まれる。また、その他にも、情報処理装置には、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等のスレート端末等がその範疇に含まれる。
【0059】
図5は、通信制御プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0060】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0061】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS(Operating System)1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、CPE10の各処理を規定するプログラムは、コンピュータにより実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、CPE10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020は、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した実施形態の処理を実行する。
【0063】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0064】
[SD-WANとの対比]
従来、ネットワークをソフトウェアで制御するSDN(Software Defined Networking)をWAN(Wide Area Network)に適用するSD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)と呼ばれる技術が知られている。SD-WANによれば、拠点間接続及びクラウド接続等における柔軟なネットワーク構成及びトラフィックコントロールが実現される(参考文献:Software-Defined Network Service(https://www.ntt.com/business/services/network/vpn/sd-networks.html))。
【0065】
一方で、SD-WANでは、上記の実施形態を実現することは困難である。このことを、図6を用いて説明する。図6は、SD-WANのネットワークの構成を示す図である。
【0066】
図6に示すように、SD-WANが実施される場合、各拠点にはSDN機器が設置される。拠点Aには、SDN機器60aが設置される。また、拠点Bには、SDN機器60bが設置される。
【0067】
SDN機器60a及びSDN機器60bとサービス提供ネットワーク80との間は、VPN(Virtual Private Network)によって接続される。サービス提供ネットワーク80は、拠点間又は拠点とクラウドとの間を接続する接続サービスを提供するために、サービス提供者によって用いられるネットワークである。
【0068】
VPNトンネル70aは、固定通信網N2の上に構築される仮想的な回線であり、SDN機器60aとサービス提供ネットワーク80とを接続する。VPNトンネル70bは、固定通信網N2の上に構築される仮想的な回線であり、SDN機器60bとサービス提供ネットワーク80とを接続する。VPNトンネル70a及びVPNトンネル70bにより、VPNが実現される。
【0069】
また、SD-WANには、端末がサービス提供ネットワーク80を介さずにクラウド等に接続するブレイクアウト機能が含まれる場合がある。例えば、ブレイクアウト機能が使用される場合、SDN機器60aは、固定通信網N2及びISP網N1を介してクラウドに接続する。
【0070】
ここで、SDN機器60a及びSDN機器60bには、固定通信網N2と移動体通信網N3との両方にパケットを送信する機能を有していない。このため、SDN機器60a及びSDN機器60bは、固定通信網N2と移動体通信網N3のいずれかを選択して、選択した通信網を用いて端末に通信を実行させることはできない。
【0071】
例えば、SDN機器60a及びSDN機器60aは、収容する端末と固定通信網N2との間の通信を中継するものの、収容する端末と移動体通信網N3との間の通信を中継しない。
【0072】
そもそも、サービス提供ネットワーク80を用いるサービス提供者は、VPNを介した接続サービスを提供しているに過ぎない。このため、サービス提供ネットワーク80からは、ISP網N1、固定通信網N2及び移動体通信網N3の輻輳の状況を取得することはできない。
【0073】
また、上記の実施形態では、ISP網N1をSD(Software-Defined)化することで、SD-WANと同様の機能を包含した接続サービスの提供が可能になる。例えば、SD化されたISP網N1(以下、アンダーレイネットワークシステム)は、VPN及びブレイクアウト機能に加え、ソフトウェアによるネットワーク品質の制御、管理ポータルの提供、DPI(Deep Packet Inspection)等によるセキュリティ機能を提供することができる。ネットワーク品質の制御には、ギャランティ型とベストエフォート型との間での接続形態の切り替え、帯域変更等が含まれる。
【0074】
また、アンダーレイネットワークシステムは、ISP網N1、固定通信網N2、及び移動体通信網N3の輻輳の度合いを取得することができる。アンダーレイネットワークシステムは、図4を用いて説明した方法と同様の方法で、各網の輻輳の度合いを取得することができる。
【0075】
また、アンダーレイネットワークシステムは、取得した輻輳の度合い、又は優先通信網をCPE10に通知する。CPE10の通信制御部141は、アンダーレイネットワークシステムから通知された情報を基に、通信網を選択することができる。
【0076】
すなわち、アンダーレイネットワークシステムは、固定通信網N2と移動体通信網N3の輻輳の度合いを取得する。CPE10の選択部143は、アンダーレイネットワークシステムによって取得された輻輳の度合いを基に、固定通信網N2及び移動体通信網N3のいずれかを選択する。
【0077】
各拠点とアンダーレイネットワークシステムとの間ではVPNが用いられる必要がない。このため、通信制御部141は、端末から送信されたパケットを、トンネリングすることなく固定通信網N2又は移動体通信網N3に送信する。
【0078】
CPE10は、トンネリング等VPNに関する機能を一切備えていなくてもよい。この場合、通信制御部141は、端末から送信されたパケットを、常に(決して)トンネリングすることなく固定通信網N2又は移動体通信網N3に送信する。
【符号の説明】
【0079】
N1 ISP網
N2 固定通信網
N3 移動体通信網
10、10a、10b CPE
11 有線通信部
12 無線通信部
13 記憶部
14 制御部
131 変換テーブル
132 優先通信網情報
141 通信制御部
142 取得部
143 選択部
【要約】
CPE(10)は、有線通信部(11)、無線通信部(12)、通信制御部(141)、取得部(142)及び選択部(143)を有する。有線通信部(11)は、収容する端末と固定通信網との間の通信を中継する。無線通信部(12)は、端末と移動体通信網との間の通信を中継する。取得部(142)は、固定通信網及び移動体通信網の少なくともいずれかの輻輳の度合いを取得する。選択部(143)は、輻輳の度合いを基に、固定通信網及び移動体通信網のいずれかを選択する。通信制御部(141)は、選択部(143)によって選択された通信網を用いて、端末に通信を実行させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6