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特許7363107発想支援装置、発想支援システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】発想支援装置、発想支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/903 20190101AFI20231011BHJP
   G06F 16/9032 20190101ALI20231011BHJP
【FI】
G06F16/903
G06F16/9032
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2019104145
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020197957
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加世田 匠
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-134369(JP,A)
【文献】特表2017-504861(JP,A)
【文献】特開2013-045226(JP,A)
【文献】特開平11-073420(JP,A)
【文献】特開2018-190077(JP,A)
【文献】特開平11-122401(JP,A)
【文献】特開2017-201437(JP,A)
【文献】特開2014-164310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 40/00-40/58
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得手段は、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記生成手段は、複数の前記意味ベクトルを組み合わせる演算処理により前記結果ベクトルを得る
ことを特徴とする発想支援システム。
【請求項2】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記生成手段は、方向の差分が所定の基準以上である前記意味ベクトルを組み合わせて前記結果ベクトルを生成する
ことを特徴とする発想支援システム。
【請求項3】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記演算処理には、前記意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援システム。
【請求項4】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援システム。
【請求項5】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援システム。
【請求項6】
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得手段は、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記演算処理は、前記複数の意味ベクトルの方向を各々変化させる演算を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項7】
前記出力手段は、前記複数の意味ベクトルからそれぞれ得られた複数の前記結果ベクトルに応じた前記出力データを各々出力することを特徴とする請求項記載の発想支援システム。
【請求項8】
前記生成手段は、前記演算処理を2段階以上行い、2段階目以降の前記演算処理において組み合わせる前記意味ベクトルの一部、前段階以前の前記演算処理で得られた前記結果ベクトルを含めることを特徴とする請求項記載の発想支援システム。
【請求項9】
前記生成手段は、前記演算処理において前記複数の意味ベクトルに重み付けを行うことを特徴とする請求項記載の発想支援システム。
【請求項10】
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記出力手段は、さらに、抽出された前記複数のオブジェクトのうちいずれかと意味ベクトルの方向が同じオブジェクトを前記出力データに含めることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項11】
前記出力手段は、画像データ、テキストデータ若しくは音声データ、又はこれらのうち少なくとも2種類のデータ種別の組み合わせデータのオブジェクトを示す前記出力データを出力することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項12】
前記入力されるデータには、画像データ、テキストデータ及び音声データのうち少なくとも1種類のデータ種別のデータが含まれることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項13】
前記出力データは、前記入力されるデータと同一のデータ種別であることを特徴とする請求項12記載の発想支援システム。
【請求項14】
前記入力されるデータに画像データ、テキストデータ及び音声データのうち2種類以上のデータ種別のデータが含まれる場合、前記出力手段は、当該2種類以上のデータ種別のうちいずれか1種類のデータ種別の出力データを出力することを特徴とする請求項12記載の発想支援システム。
【請求項15】
前記抽出手段は、前記入力されるデータに含まれる前記画像データからオブジェクトを認識して区分けする画像認識手段を有することを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項16】
前記画像データには、撮影画像、絵画、図面、画像化された文字のうち少なくともいずれか含まれることを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項17】
前記取得手段は、前記画像データに含まれる前記画像化された文字をテキストデータに変換した内容に基づいて前記意味ベクトルを取得することを特徴とする請求項16記載の発想支援システム。
【請求項18】
前記抽出手段は、前記入力されるデータに含まれる前記音声データをテキストデータに変換して得られた文字からオブジェクトを抽出することを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項19】
前記抽出手段は、前記音声データにおける発声された言葉を識別してテキストデータに変換する音声認識手段を含むことを特徴とする請求項18記載の発想支援システム。
【請求項20】
前記テキストデータのオブジェクトには、名詞、動詞、形容詞のうち少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項12~14、17~19のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項21】
前記生成手段は、前記テキストデータのオブジェクトのうち、名詞を優先して前記出力データに含めることを特徴とする請求項20記載の発想支援システム。
【請求項22】
前記テキストデータは、文書、文章、句、単語及び文字のうちいずれかであることを特徴とする請求項12~14、17~21のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項23】
前記入力されるデータは、複数のデータを含み、
前記生成手段は、異なる前記データから得られたオブジェクトに基づいて前記出力データを生成する
ことを特徴とする請求項12~22のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項24】
前記生成手段は、前記複数のデータのうち第1のデータから抽出されたオブジェクトを示す前記意味ベクトルに対して行った演算により得られた結果ベクトルに応じた内容により、前記複数のデータのうち前記第1のデータと異なる第2のデータから抽出されたオブジェクトを置き換えて前記出力データを生成することを特徴とする請求項23記載の発想支援システム。
【請求項25】
オブジェクトと当該オブジェクトに応じた意味ベクトルの値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記取得手段は、抽出されたオブジェクトの意味を示す前記意味ベクトルを前記記憶手段の記憶内容から取得する
ことを特徴とする請求項1~24のいずれか一項に記載の発想支援システム。
【請求項26】
前記意味ベクトルの値を所定の機械学習アルゴリズムに基づいて算出する算出手段を備えることを特徴とする請求項25記載の発想支援システム。
【請求項27】
前記生成手段は、前記意味ベクトルに対して行った演算により得られた結果ベクトルの値に最も方向が近いオブジェクトを前記記憶手段の記憶内容から特定して、前記出力データに含めることを特徴とする請求項25又は26記載の発想支援システム。
【請求項28】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得手段は、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記生成手段は、複数の前記意味ベクトルを組み合わせる演算処理により前記結果ベクトルを得る
ることを特徴とする発想支援装置。
【請求項29】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記生成手段は、方向の差分が所定の基準以上である前記意味ベクトルを組み合わせて前記結果ベクトルを生成する
ことを特徴とする発想支援装置。
【請求項30】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記演算処理には、前記意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援装置。
【請求項31】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援装置。
【請求項32】
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援装置。
【請求項33】
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ
前記抽出ステップでは、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得ステップでは、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記生成ステップでは、複数の前記意味ベクトルを組み合わせる演算処理により前記結果ベクトルを得る
ことを特徴とするプログラム。
【請求項34】
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ
前記抽出ステップは、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記生成ステップは、方向の差分が所定の基準以上である前記意味ベクトルを組み合わせて前記結果ベクトルを生成する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項35】
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ
前記演算処理には、前記意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項36】
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項37】
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発想支援装置、発想支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子計算機を用いて大量のデータを処理して法則性を抽出したり、大量のデータに基づいて学習を行って当該学習の結果に基づきパターン認識や最適解の選択を行ったりする技術(人工知能、AI)がある。ディープラーニングを含むニューラルネットワークを始めとした各種学習アルゴリズムの改良及び高速化に応じて、より幅広い分野でこれらの技術が利用可能となっている。
【0003】
テキスト処理に係る技術の中には、単語を精度よく分類する技術がある。単語を多次元ベクトルで表現して類似性及び対応関係を定量的に評価する技術として、Word2vecが知られている。この技術もまた、ニューラルネットワークを用いた学習技術を利用している。このWord2vecは、さらに、因果関係に係る質問文に対する複数の単語の対応関係に基づいて、適切な回答文を生成する技術などにも応用される(特許文献1)。
【0004】
一方で、上記の技術による単純労働及び定型業務に係る機械化の進展に伴い、人間にはより創造的な役割が求められるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-020893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、全ての人が何らかの新規な具体的発想に想到することを得意とするわけではなく、着眼点を得るのにすら多くの時間を要したり、そもそも着眼点にたどり着けなかったりする場合が往々にして生じるという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、ユーザーに発想の着眼点を提供する発想支援装置、発想支援システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得手段は、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記生成手段は、複数の前記意味ベクトルを組み合わせる演算処理により前記結果ベクトルを得る
ことを特徴とする発想支援システムである。
また、請求項2記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記生成手段は、方向の差分が所定の基準以上である前記意味ベクトルを組み合わせて前記結果ベクトルを生成する
ことを特徴とする発想支援システムである。
また、請求項3記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記演算処理には、前記意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援システムである。
また、請求項4記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援システムである。
また、請求項5記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援システムである。
【0009】
また、請求項記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得手段は、複数の前記オブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記演算処理は、前記複数の意味ベクトルの方向を各々変化させる演算を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の発想支援システムにおいて、
前記出力手段は、前記複数の意味ベクトルからそれぞれ得られた複数の前記結果ベクトルに応じた前記出力データを各々出力することを特徴とする。
【0012】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の発想支援システムにおいて、
前記生成手段は、前記演算処理を2段階以上行い、2段階目以降の前記演算処理において組み合わせる前記意味ベクトルの一部、前段階以前の前記演算処理で得られた前記結果ベクトルを含めることを特徴とする。
【0013】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の発想支援システムにおいて、
前記生成手段は、前記演算処理において前記複数の意味ベクトルに重み付けを行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項10記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記出力手段は、さらに、抽出された前記複数のオブジェクトのうちいずれかと意味ベクトルの方向が同じオブジェクトを前記出力データに含めることを特徴とする。
【0019】
また、請求項11記載の発明は、請求項1~10のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記出力手段は、画像データ、テキストデータ若しくは音声データ、又はこれらのうち少なくとも2種類のデータ種別の組み合わせデータのオブジェクトを示す前記出力データ
を出力することを特徴とする。
【0020】
また、請求項12記載の発明は、請求項1~11のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記入力されるデータには、画像データ、テキストデータ及び音声データのうち少なくとも1種類のデータ種別のデータが含まれることを特徴とする。
【0021】
また、請求項13記載の発明は、請求項12記載の発想支援システムにおいて、
前記出力データは、前記入力されるデータと同一のデータ種別であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項14記載の発明は、請求項12記載の発想支援システムにおいて、
前記入力されるデータに画像データ、テキストデータ及び音声データのうち2種類以上のデータ種別のデータが含まれる場合、前記出力手段は、当該2種類以上のデータ種別のうちいずれか1種類のデータ種別の出力データを出力することを特徴とする。
【0023】
また、請求項15記載の発明は、請求項12~14のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記抽出手段は、前記入力されるデータに含まれる前記画像データからオブジェクトを認識して区分けする画像認識手段を有することを特徴とする。
【0024】
また、請求項16記載の発明は、請求項12~15のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記画像データには、撮影画像、絵画、図面、画像化された文字のうち少なくともいずれか含まれることを特徴とする。
【0025】
また、請求項17記載の発明は、請求項16記載の発想支援システムにおいて、
前記取得手段は、前記画像データに含まれる前記画像化された文字をテキストデータに変換した内容に基づいて前記意味ベクトルを取得することを特徴とする。
【0026】
また、請求項18記載の発明は、請求項12~14のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記抽出手段は、前記入力されるデータに含まれる前記音声データをテキストデータに変換して得られた文字からオブジェクトを抽出することを特徴とする。
【0027】
また、請求項19記載の発明は、請求項18記載の発想支援システムにおいて、
前記抽出手段は、前記音声データにおける発声された言葉を識別してテキストデータに変換する音声認識手段を含むことを特徴とする。
【0028】
また、請求項20記載の発明は、請求項12~14、17~19のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記テキストデータのオブジェクトには、名詞、動詞、形容詞のうち少なくともいずれかが含まれることを特徴とする。
【0029】
また、請求項21記載の発明は、請求項20記載の発想支援システムにおいて、
前記生成手段は、前記テキストデータのオブジェクトのうち、名詞を優先して前記出力データに含めることを特徴とする。
【0030】
また、請求項22記載の発明は、請求項12~14、17~21のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記テキストデータは、文書、文章、句、単語及び文字のうちいずれかであることを特徴とする。
【0031】
また、請求項23記載の発明は、請求項12~22のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
前記入力されるデータは、複数のデータを含み、
前記生成手段は、異なる前記データから得られたオブジェクトに基づいて前記出力データを生成する
ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項24記載の発明は、請求項23記載の発想支援システムにおいて、
前記生成手段は、前記複数のデータのうち第1のデータから抽出されたオブジェクトを示す前記意味ベクトルに対して行った演算により得られた結果ベクトルに応じた内容により、前記複数のデータのうち前記第1のデータと異なる第2のデータから抽出されたオブジェクトを置き換えて前記出力データを生成することを特徴とする。
【0033】
また、請求項25記載の発明は、請求項1~24のいずれか一項に記載の発想支援システムにおいて、
オブジェクトと当該オブジェクトに応じた意味ベクトルの値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記取得手段は、抽出されたオブジェクトの意味を示す前記意味ベクトルを前記記憶手段の記憶内容から取得する
ことを特徴とする。
【0034】
また、請求項26記載の発明は、請求項25記載の発想支援システムにおいて、
前記意味ベクトルの値を所定の機械学習アルゴリズムに基づいて算出する算出手段を備えることを特徴とする。
【0035】
また、請求項27記載の発明は、請求項25又は26記載の発想支援システムにおいて、
前記生成手段は、前記意味ベクトルに対して行った演算により得られた結果ベクトルの値に最も方向が近いオブジェクトを前記記憶手段の記憶内容から特定して、前記出力データに含めることを特徴とする。
【0036】
また、請求項28記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得手段は、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記生成手段は、複数の前記意味ベクトルを組み合わせる演算処理により前記結果ベクトルを得る
ることを特徴とする発想支援装置である。
また、請求項29記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記抽出手段は、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記生成手段は、方向の差分が所定の基準以上である前記意味ベクトルを組み合わせて前記結果ベクトルを生成する
ことを特徴とする発想支援装置である。
また、請求項30記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記演算処理には、前記意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援装置である。
また、請求項31記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援装置である。
また、請求項32記載の発明は、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出手段と、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、
を備え、
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる
ことを特徴とする発想支援装置である。
【0037】
また、請求項33記載の発明は、
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味
ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ
前記抽出ステップでは、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記取得ステップでは、前記複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、
前記生成ステップでは、複数の前記意味ベクトルを組み合わせる演算処理により前記結果ベクトルを得る
ことを特徴とするプログラムである。
また、請求項34記載の発明は、
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ、
前記抽出ステップは、一又は複数の前記データから全体で複数のオブジェクトを抽出し、
前記生成ステップは、方向の差分が所定の基準以上である前記意味ベクトルを組み合わせて前記結果ベクトルを生成する
ことを特徴とするプログラムである。
また、請求項35記載の発明は、
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ、
前記演算処理には、前記意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる
ことを特徴とするプログラムである。
また、請求項36記載の発明は、
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ、
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる
ことを特徴とするプログラムである。
また、請求項37記載の発明は、
コンピューターに、
入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記オブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得ステップと、
取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成ステップと、
生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力ステップと、
を実行させ、
前記演算処理には、前記意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが前記所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる
ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0038】
本発明に従うと、ユーザーに発想の着眼点を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本実施形態の発想支援システムの機能構成を示すブロック図である。
図2】出力データの生成処理例1について説明する図である。
図3】出力データの生成処理例2について説明する図である。
図4】出力データの生成処理例3について説明する図である。
図5】多次元ベクトルの各成分量を図示した例である。
図6】意味ベクトルの変換及び組み合わせの例を示す模式図である。
図7】入出力される画像データの一例を示す図である。
図8】アイデア生成制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の発想支援システム1の機能構成を示すブロック図である。
この発想支援システム1は、サーバー装置10(発想支援装置)と、データベース装置20と、端末装置30とを含む。
【0041】
サーバー装置10は、制御部11(抽出手段、取得手段、生成手段、画像認識手段、音声認識手段、算出手段)と、記憶部12と、通信部13などを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを有し、各種演算処理を行って、サーバー装置10の動作を統括制御するプロセッサーである。
【0042】
記憶部12は、制御部11が実行するプログラム及び設定データを記憶する。また、記憶部12は、端末装置30から入力された各種データ及びその処理データを一時記憶する。記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーを有する。また、記憶部12は、一時的に大きなデータを記憶して高速処理するためのRAMなどを有していてもよい。プログラムには、文章解析、画像認識、音声認識及び後述のアイデア生成制御処理に係るプログラムが含まれる。また、プログラムには、データベース装置20に記録保持されている多数のオブジェクト(テキストオブジェクト、画像オブジェクト、音声オブジェクトなど)及びそれらの識別データの更新処理が含まれていてもよい。
【0043】
通信部13は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)といった所定の通信規格に従って外部機器との間でのデータの送受信を制御する。通信部13は、ネットワークを介して外部機器と接続されている。通信部13は、USB(Universal Serial Bus)などを介して外部機器(周辺機器など)と直接通信が可能な端子を有していてもよい。
【0044】
データベース装置20は、テキスト、画像、音声などで表現された多数の各オブジェクトとその識別データを対応付けて記憶保持する記憶部21(記憶手段)を有する。識別データには、後述の意味ベクトルの値が含まれる。また、対応する(例えば、同一の意味の)用語、画像オブジェクト及び音声データは、可能な限り対応付けられている。すなわち、認識された画像オブジェクトをテキスト(単語など)に変換可能であり、また、テキスト表示された内容を画像オブジェクトに変換することもできる。また、データベース装置20は、記憶部21の読み書きを制御する制御部及び外部機器との通信を制御する通信部を有していてよい。
【0045】
端末装置30は、ユーザーからの入力受付及びユーザーへの出力を行う。端末装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、操作受付部34と、表示部35などを備える。制御部31は、CPU及びRAMなどを有し、端末装置30の動作を統括制御するプロセッサーである。記憶部32は、不揮発性メモリーなどを有し、各種プログラム及びデータを記憶する。通信部33は、所定の通信規格に従って外部機器との間でのデータの送受信を制御する。
【0046】
操作受付部34は、外部(ユーザーなど)からの入力操作を受け付けて、入力信号として制御部31に出力する。操作受付部34は、特には限られないが、例えば、キーボード、マウス、表示部35の表示画面に重ねて設けられるタッチセンサーなどを有する。表示部35は、表示画面を有し、制御部31の制御命令に応じた内容の表示を当該表示画面に行わせる。表示画面としては、特には限られないが、例えば、液晶表示画面(LCD)である。また、表示部35には、特定の状態を示すLEDランプ(Light Emitting Diode)などが含まれていてもよい。
【0047】
次に、意味ベクトルについて説明する。
意味ベクトルは、種々の単語、用語、画像、音の内容などの各オブジェクトの意味を多次元ベクトルの方向で示したものであり、意味の類似性が距離(角度差。例えば、コサイン類似度)により表される。また、意味ベクトル間での演算を行うことができる。例えば、意味ベクトルA、Bの関係(A-B)と、意味ベクトルC、Dの関係(C-D)が等しい場合には、A-B=C-Dとなる。次元数(所定数の次元)は、任意に定められ得るが、機械学習が利用される場合には、多くの次元、例えば、100~1000次元などであってもよい。また、各軸方向の特性は、言語的に表現される必要はない。
【0048】
発想支援システム1では、予め十分な量の文章及び図面などに基づいて、多くのオブジェクトの意味ベクトルが算出、保持されている。また、発想支援システム1では、可能な範囲で言語化されたテキストオブジェクトや音声オブジェクトに対応する画像オブジェクトがデータベース装置20に保持されている。すなわち、上述のように言語化されたオブジェクトに基づいて対応する画像オブジェクトを取得することができ、また、画像オブジェクトを識別、認識して言語表現によるテキストオブジェクトなどに変換することができる。
【0049】
発想支援システム1では、さらに、入力されたデータ(文など)に基づいて、機械学習により意味ベクトルが更新されてもよい(算出手段としての動作)。あるいは、意味ベクトルの更新は、所定の命令に基づいて学習用データが与えられた場合に限定されてもよい。機械学習に係る学習アルゴリズムは、特には限定されない。word2vecで通常用いられるContinuous Skip-gramモデル又はCBOW(Continuous Bag-of-Words)モデルであってもよいし、他のモデルであってもよい。また、ニューラルネットワークの階層が2階層に限られなくてもよいし、ニューラルネットワーク以外の学習アルゴリズムが用いられてもよい。
【0050】
入力データは、任意の形態のものであってもよいが、ここでは、意味ベクトルに係る処理がテキスト又は画像で行われるので、テキストデータ及び画像データに限定されてもよく、また、テキストデータに容易に変換可能な音声データが含まれてもよい。また、入力データは、複数の種別のデータ(データ種別)の組み合わせであってもよい。
【0051】
文章や画像などのデータには、多くの場合、複数のオブジェクト(文章などのテキストではテキストオブジェクト、画像では画像オブジェクト)を含んでおり、オブジェクトごとに意味を有し、また、当該意味に応じた意味ベクトルが定まる。ここでは、入力されるデータは、複数のテキストオブジェクトや画像オブジェクトなどに分解されたのち、各々及び/又はその一部の組み合わせなどを抽出する。抽出されたオブジェクトに対し、それぞれ学習済みデータから意味ベクトルが取得される。
【0052】
本実施形態の発想支援システム1では、分解した複数のオブジェクト、特に、複数のデータが入力された場合に、異なる入力データから得られたオブジェクトのうち、少なくとも一部ずつの意味ベクトルに基づいて、入力データとは異なる内容を示す意味ベクトル(結果ベクトル)を生成して、当該結果ベクトルに対応するオブジェクトを出力データとして出力する。複数の出力データ(オブジェクト)が組み合わされて、又は一若しくは複数の出力データ(オブジェクト)及び入力データ内に含まれるオブジェクトが組み合わされて、提示データを生成、出力する。このとき、結果ベクトルの生成では、得られた意味ベクトルに対して所定の演算処理を行って、最終的に得られる意味ベクトル(結果ベクトル)の方向を元の意味ベクトルの方向から変化させることで、入力データの内容から発散させる。
【0053】
図2図4は、本実施形態の発想支援システム1における出力データの生成処理例について説明する図である。
【0054】
(第1の処理例)
図2には、異なる意味ベクトルを組み合わせて出力データを生成する場合の処理例を示す。ここでは、2枚の画像データ(画像データ1、画像データ2)を用いて出力データ、さらに提示データを得る場合について示す。画像データ1及び画像データ2からは、それぞれ所定の画像認識技術により画像の輪郭などが検出され、その形状及び内部構成、配置などにより、機械学習から得られているデータベース、すなわち、記憶部21の記憶内容に基づいて内容が認識される。認識された内容に応じて適宜輪郭に沿ってオブジェクトを認識して画像が区分けされることで、各画像オブジェクトが抽出される(画像認識手段、抽出手段としての動作、抽出ステップ)。ここでいうオブジェクトは、物又は形態として分割可能な最小単位に限られない。また、抽出された複数のオブジェクトには、ある単位オブジェクトと、当該単位オブジェクトを含む複数の単位オブジェクトが組み合わされたオブジェクト(一部合成画像)が混在していてよい。例えば、時計の「枠」、「文字盤」、「時針」、「分針」、「秒針」といった各単位オブジェクトと、これらが全て含まれた「指針式時計」のオブジェクトとが混在していてよい。画像データとしては、例えば、撮影画像(絵画、図面やテキスト表示の撮影データも含む)、描画データ(CGなど)、図面(ベクトルデータ、ドットデータを含む)、テキストの画像(ビットマップなど)などが含まれる。一の画像データ内にこれらのうち複数が含まれていてもよいし、その他のものが含まれてもよい。テキストの画像は、各文字がテキストデータに変換されて、得られた文字(文字列)により内容が認識される。
【0055】
各オブジェクトについて、内容に対応する意味ベクトルがそれぞれ取得される(取得手段としての動作、取得ステップ)。得られた意味ベクトルは、適宜(ここでは6個のオブジェクトのうち一部である4個(複数)が)所定の演算処理により2つずつ組み合わされて他のベクトル方向の意味ベクトル(結果ベクトル)に変換(変化)される(生成手段としての動作、生成ステップ)。ここでは、異なる画像データに属していた意味ベクトルを複数組み合わせてベクトルの合成(演算処理)が行われる。具体的には、各ベクトルの成分に応じた四則演算(例えば、加算又は減算)が行われる。四則演算の対象となる意味ベクトルには、それぞれ重み付けがなされてもよい。ここでは、意味ベクトル2(重みがa1)と意味ベクトル4(重みがa2)との四則演算により意味ベクトルAが求められ、意味ベクトル3(重みがd1)と意味ベクトル6(重みがd2)との四則演算により意味ベクトルDが求められる。意味ベクトル2、4の組み合わせ、及び意味ベクトル3、6の組み合わせは、それぞれ、意味ベクトルの方向が離れたもの(所定の基準以上のもの)同士、特に、各オブジェクト間で最も距離が遠いもの同士でなされてもよい。意味ベクトル間の距離は、例えば、両意味ベクトルのコサイン類似度などが用いられてよい。
【0056】
意味ベクトルの演算処理について説明する。上述のように、演算処理は、元の一又は複数の意味ベクトルを他の結果ベクトルに変換する処理である。複数の意味ベクトルから単一の結果ベクトルに変換する場合、結果ベクトルが複数の意味ベクトルのいずれからも方向を大きく変化させるような演算を行うことができる。
【0057】
また、演算処理は、意味ベクトルの値が大きい(大きさが所定の大きさ以上の)成分を維持又は変化を抑えながら他の成分を変更させる(すなわち、大きさが所定の大きさ以上の成分量の変化率が、大きさが所定の大きさ未満の成分量の変化率よりも小さい)ものであってもよい。例えば、各成分量の大きさが大きい順に所定個(例えば1つ)の成分量を維持又は変化を抑えながら、あるいは、成分量の大きさが所定の基準値以上のものを維持又は変化を抑えながら、他の成分量を大きく変化させて、変換前の意味ベクトルと変換後の結果ベクトルが直交するように当該結果ベクトルの各成分の値が定められてもよい。また、反対に、意味ベクトルの値の大きさが基準値以上、又は成分量の大きさが大きい順に所定番目までの成分量を大きく変化させて(所定の大きさ以上の成分量の変化率が所定の大きさ未満の成分量の変化率よりも大きい)、全体として意味ベクトルの方向から大きく離れた結果ベクトルを求めてもよい。
【0058】
入力データには、3枚以上の画像データが含まれてもよく、提示データでは、これら3枚以上の画像データを元とするオブジェクトが組み合わされてもよい。この場合、組み合わせ内のあるオブジェクトが元の画像で背景部分であり、他のオブジェクトが前景であるように組み合わせが選択されてもよい。
【0059】
求められた結果ベクトルである意味ベクトルA及び意味ベクトルDに対し、データベース装置20の記憶内容においてそれぞれ最も方向(距離)が近いオブジェクトa、オブジェクトdが出力データとして得られる(出力手段としての動作、出力ステップ)。意味ベクトルの方向が変換されていないもの(ここでは、意味ベクトル1及び意味ベクトル5)は、そのまま元のオブジェクト(それぞれオブジェクト1、オブジェクト5)に戻されてよい。ここでは、オブジェクトa及びオブジェクトdは、画像オブジェクトとして取得されている。
【0060】
いずれも画像オブジェクトであるオブジェクトaとオブジェクト1とが組み合わされた画像データ3が提示データとして出力され、また、オブジェクトdとオブジェクト6とが組み合わされた画像データ4が提示データとして出力される。結果ベクトルから得られた画像オブジェクト(出力データ)は、変換前のオブジェクトのうちいずれかの配置位置と同一の位置又は平均位置(基準位置)に配置されてよい。形状が異なるものについては、そのまま異なる形状のものが用いられてよい。変換前とはサイズが異なる画像オブジェクトについては、当該変換前の画像オブジェクトと同程度のサイズに調整されてよい。すなわち、ここでは、提示データは、入力データと同一のデータ種別で出力される。結果ベクトルにより示される概念を画像で示すのが難しい場合、例えば、抽象的なものや無形のテキストオブジェクトが得られた場合には、画像データを合成する代わりに他の画像にテキストを添えた提示データが出力されてもよい。
【0061】
また、ここでは、各オブジェクトを各提示データに対して排他的に分配することとして説明しているが、例えば、コンセプト上必須、前提となるオブジェクトがある場合などには、当該オブジェクトを共通に各提示データ(ここでは、画像データ3及び画像データ4)に含ませるようにしてもよい。また、必須又は前提となるオブジェクトに係る意味ベクトルを他方向に変換しないこととしてもよい。
【0062】
(第2の処理例)
図3には、単一の意味ベクトルから意味ベクトルの方向を変化させて出力データを生成する場合の処理例を示す。ここでは、テキストデータと画像データとの組み合わせにより出力データを生成するパターンの例を示す。テキストデータは、例えば、文書、文章、句、単語、文字などであり、これらから単語(熟語などでは複数の単語を含んでよい)及び/又は文字(ここでは、文字には数字、記号などを含む)などを検出してそれぞれ意味が得られるようなオブジェクトとして抽出される(抽出手段)。テキストデータと画像データのそれぞれについて、オブジェクトが抽出されて、対応する意味ベクトル1~6が得られる(取得手段)。
【0063】
この後、この例では、一部の意味ベクトル(意味ベクトル2~4、6)の方向が各々変換される演算処理が行われる(生成手段)。この演算処理では、変換前後のベクトル方向が大きく異なるような、例えば、元の意味ベクトルと結果ベクトルとがいずれも直交するように(もとの意味ベクトルとの内積が0となる結果ベクトルを算出するなど)、演算がなされて結果ベクトルを定めてもよい。あるいは、結果ベクトルと各意味ベクトルとの角度差(距離差)の平均又は最小値が基準値以上に大きくなるように結果ベクトルが定められてもよい。
その他、上記と同様に、一部のベクトル成分が維持されるような演算処理がなされてもよい。データベース装置20のデータが参照され、変換された意味ベクトル(結果ベクトル)に最も近い方向を有する意味ベクトルが特定される。この意味ベクトルに応じたオブジェクトa~dが特定され、出力データとして生成、出力される(出力手段)。テキストオブジェクト2、3から変換されて出力されたオブジェクトa、bは、それぞれ画像オブジェクトである。また、意味ベクトル1から変換されていないオブジェクト1も、テキストオブジェクトからこれに対応する画像オブジェクトに変換されている。
【0064】
オブジェクト1、a、cが組み合わされて画像データ3が提示データとして出力される。オブジェクト5、b、dが組み合わされて画像データ4が提示データとして出力される。すなわち、元のテキストデータ1のうちオブジェクト2がオブジェクトaに変換され、オブジェクト3に対応するオブジェクトbは、画像データ2のオブジェクトcと交換されている。元の画像データ2のうちオブジェクト6がオブジェクトdに変換され、オブジェクト4に対応するオブジェクトcは、テキストデータ1のオブジェクトbと交換されている。
【0065】
この場合、複数のデータ間で入れ替えられたオブジェクトは、入れ替え対象のオブジェクトが位置していた場所に置き換え配置されてよい。画像データ2のオブジェクト4があった場所(位置)にテキストデータ1のオブジェクト3に基づくオブジェクトc(結果ベクトルに応じたに対応して出力される出力データ)が配置されてよい。テキストデータが画像データに変換されて出力される場合には、配置は、元のテキストの内容に応じて規定されてもよいし、単純に順番に配列されてもよい。
【0066】
すなわち、ここでは、テキストデータ及び画像データという異なるデータ種別のデータの組み合わせにおいて、何れか1種類のデータ種別、例えば、画像データのみに統一されて提示データが出力される。反対に、テキストデータに統一されて出力されてもよい。例えば、文(文章)のうち、名詞、動詞、形容詞などのテキストオブジェクトが画像オブジェクトに変換されて、他の画像オブジェクトと組み合わされてもよいし、文(文章)中の名詞、動詞、形容詞などが、画像オブジェクトから文字(テキストオブジェクト)に変換された名詞、動詞、形容詞などに置き換えられてもよい。出力される提示データの内容が全体として必ずしも意味をなしている必要はなく、例えば、文中で一部の品詞が変換されて名詞が羅列されるような形になってもよい。また、同一意味の名詞、動詞、形容詞が存在して、いずれが選択されても問題ない場合、意味ベクトルの変換前の品詞と同一であってよい。あるいは、例えば、名詞に優先して変換されて、出力データ(オブジェクト)が生成されてもよい。
【0067】
また、テキストデータのオブジェクトとしては、熟語及び慣用表現などがそのまま一つのオブジェクトとされてもよい。また、文の一部を変換して置き換える場合、上述の動詞、名詞、形容詞などに対し、助動詞、日本語の助詞などをまとめて、文節や句を単位としてオブジェクト分割してもよい。この場合における意味ベクトルの取得及び演算処理では、助動詞及び助詞などの付属語を考慮しなくてもよい。
【0068】
(第3の処理例)
図4には、上記第1の処理例及び第2の処理例による出力データの生成処理を組み合わせたものを含む例を示す。ここでは、音声データの組み合わせによる出力データの生成例を示す。
音声データ1、2は、音声認識プログラムによりテキストデータに内容が変換される。音声データ1、2がスピーチ又は会話などの場合には、発声された言葉がそのまま識別されて文章化(テキストデータに変換)される(音声認識手段としての動作)。また、笑い声、物音などの背景音が当該背景音(内容)を示す用語で示されてもよい。また、音楽、BGMなどの曲が識別されて当該曲の情報(曲名、作曲者、演奏者など)がテキストデータ化されてもよいし、調、テンポ、拍子、楽器の種類などの情報で示されてもよい。
【0069】
その後、テキストデータの文字(文字列)から内容が認識されて、オブジェクト1~6が抽出される(抽出手段)。これらのうち、意味ベクトルの演算がなされないオブジェクト1、6については、そのまま意味ベクトルが求められずに用いられてよい。その他のオブジェクト2~5の内容をそれぞれ示す意味ベクトル2~5のみが取得される(取得手段)。ここでは、意味ベクトル3、4が演算処理されて意味ベクトルB(結果ベクトル)が取得される。一方、意味ベクトル2、5については、それぞれで演算処理(変換)された意味ベクトルA、Cが求められた後、これら意味ベクトルA、Cがさらに四則演算されて意味ベクトルE(結果ベクトル)が得られる(以上、生成手段)。上述の他の出力データ生成処理の例と同様に、演算処理において組み合わされる意味ベクトルには、保持されている複数の意味ベクトルの中で最も方向が離れた(距離が遠い)ものが選択されてもよい。また、演算処理は、演算される意味ベクトルと結果ベクトルとの方向(距離)が大きく離れたものとなるようなものであってもよいし、一部のベクトル成分が維持されたり、選択的に大きく変化されたりするようなものであってもよい。
【0070】
意味ベクトルB、Eに対してそれぞれ最も近いテキストのオブジェクトb、eが特定されて出力データとされる。また、オブジェクトbがオブジェクト1と組み合わされてテキストデータ3が提示データとして出力される(出力手段)。オブジェクトeがオブジェクト6と組み合わされてテキストデータ4が提示データとして出力される。すなわち、この場合の提示データは、入力データと同じ音声データに戻されなくてもよく、テキストデータであってよい。
【0071】
提示データは、ユーザーが各オブジェクトを認識しやすいものがよく、例えば、テキストデータ、画像データ若しくは音声データ、又はこれらのうち少なくとも一部を組み合わせたデータであってもよいが、ここでは、音声データが、結果を考察しながらの認識がより容易なテキストデータに変換されている。
【0072】
図5は、多次元ベクトルの各成分量を図示した例である。ここでは、次元数が100の意味ベクトルの各成分量をそれぞれプロットしたものである。
図5(a)では、細線と太線の各成分の大小が類似しており、意味ベクトルの方向が近い場合の例を示している。図5(b)では、細実線と点線の絶対値の大小や正負が対応しておらず、意味ベクトルの方向が離れている場合の例を示している。
【0073】
各成分量のうち、2又は3つの成分は、破線で示す基準値(大きさCt)を超えており、これらがそれぞれの意味ベクトルにおける主成分である。この主成分を維持しながら意味ベクトルを変換すると、元の意味ベクトルにおける何らかの概念や種別が類似又は一致した他のものが得られる。反対に、元の意味ベクトルにおけるこれらの主成分の値が小さくなる(大きく変化する)ように意味ベクトルを変換すると、概念や種別が異なり関連性の薄いものに変換される。
【0074】
変換後の意味ベクトル(結果ベクトル)に応じたオブジェクトの組み合わせでは、意味ベクトル間の距離(向き)が所定の基準を満たすものを組とするように定めてもよい。発想を広げ、固定的な範囲から発散させるために、所定の基準として、例えば、提示データ内のオブジェクト間、及び/又は元の入力データの画像から提示データにおいて入れ替えられる前後のオブジェクト間で意味ベクトルの向きが大きく異なる(基準角度以上の)ものを選択することとしてもよい。
【0075】
図6は、意味ベクトルの変換及び組み合わせの例を示す模式図である。ここでは説明のため、3次元で示しているが、上述のように実際にはより多くの次元で表されてよい。
【0076】
図6(a)に示すように、元のベクトルAに対し、ベクトルBは、ベクトルAに直交する面内で各成分が大きく変わるベクトルである。ベクトルCは、ベクトルAのZ成分を維持しつつ直交するように他の成分を定めたベクトルである。このように、大きくベクトル方向を変化させる場合でも、条件に応じて多様な変換ベクトルを得ることができる。
【0077】
図6(b)に示すように、ベクトルD及びベクトルEは方向が近く、類似する概念を示していると考えられる。このようなものは、示されるまでもなく容易に想到可能なものである場合が多く、組み合わせの対象から除外することができる。ベクトルD及びベクトルFは、X成分及びY成分が大きく異なっていて方向が離れており、想定されない組み合わせが得られる場合もあるので、組み合わせの対象とするように定めることができる。
【0078】
図7は、入出力される画像データの一例を示す図である。
【0079】
図7(a)に示すように、入力画像は、例えば、自動車P1と、自転車P2と、犬P3とを含み、また、柵P4と、塀P5と、標識P6とを含む。画像データに対する画像認識処理により、これらの各オブジェクトが特定、分離される。
【0080】
この画像から各オブジェクトが抽出されて対応する意味ベクトルが取得された後、当該意味ベクトルのうち一部が適宜変換される。例えば、ここでは、自転車P2と柵P4を加算した意味ベクトルの向きを大きく変換した結果、これらとは全く関係のない「魚」が得られている。また、標識P6内の2単語「STOP HERE」が変換されて、「SLEEPY EYES」という2単語が得られている。これらに基づいて、図7(b)に示すように、魚に応じた画像オブジェクトP12が自転車P2と置換されて表示されている。また、標識P16内では、文字列が上述の変換に応じたものに変換されている。すなわち、ここでは、多くのユーザーが容易に思いつきにくいものを得るために、上述のような各種の条件により意味ベクトルをより大きく変化させる変換処理がなされる。
【0081】
図7(a)で示した各オブジェクトが、例えば、「楽しく走る」ことに関連して配列されたものである場合に、これらのうち一部が図7(b)において変換されることで、例えば、泳ぐこと、食べること、休むことや川遊びなどに発想が広げられてもよい。
【0082】
図8は、本実施形態の発想支援システム1で実行されるアイデア生成制御処理の制御部11による制御手順を示すフローチャートである。
【0083】
このアイデア生成制御処理は、例えば、所定数以上の入力データの入力又は指定とともに端末装置30へのユーザーによる実行命令の入力が通信部13を介して取得されて制御部11により検出されることで開始される。アイデア生成制御処理が開始されると、制御部11は、入力データから複数のオブジェクトを抽出する(ステップS101;抽出手段)。制御部11は、入力データの種別(画像、テキスト、音声など)を判別し、上述のように判別結果に応じた方法でオブジェクトを抽出する処理を行う。オブジェクトは、上述のように、より小さいオブジェクト(単位オブジェクト)が複数組み合わされたものであってよく、また、小さいオブジェクトと、当該小さいオブジェクトが組み合わされたものとが並存してよい。
【0084】
制御部11は、データベース装置20に保持されているデータに基づいて各オブジェクトの内容を認識し、認識された内容に応じた意味ベクトルを取得する(ステップS102;取得手段)。制御部11は、取得された意味ベクトルを用いた演算を行う(ステップS103;生成手段)。演算は、上述のように、意味ベクトルに対して個々に適用されてもよく、また、複数の意味ベクトルに対して四則演算がなされるものであってもよい。また、これらの演算が組み合わされてもよい。演算対象とされる意味ベクトル及び演算の内容は、ユーザーが希望する条件に応じて定められてもよい。
【0085】
制御部11は、演算により得られた結果ベクトルの方向に対応するオブジェクト(内容)を特定し、当該オブジェクト(出力データ)を得る(ステップS104;出力手段)。制御部11は、この結果ベクトルの方向に最も近いオブジェクト(内容)をデータベース装置20から検索することでオブジェクトを特定する。制御部11は、入力データから得られた複数のオブジェクトを組み合わせて入力データとは異なる提示データを生成、出力する(ステップS105)。上述のように、複数の入力データがある場合には、当該複数の入力データ間で組み合わされてよく、また、組み合わされるオブジェクト間における意味ベクトル(結果ベクトルを含む)の方向に条件が設定されてよい。そして、制御部11は、アイデア生成制御処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態の発想支援システム1は、制御部11を備える。制御部11は、抽出手段として、入力されるデータから当該データに含まれる少なくとも一つのオブジェクトを抽出し、取得手段として、抽出されたオブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得し、生成手段として、取得された意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、当該意味ベクトルと異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成し、出力手段として、生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを生成する。
このように、意味ベクトルに対して何らかの演算処理を行うことで、入力データの内容の少なくとも一部を大きく変換させたオブジェクトを示す出力データを出力することで、ユーザーの思考を入力データの内容の近辺に偏在させずに、当該ユーザーに対して幅広い分野の着眼点を与えることができる。
【0087】
また、制御部11は、取得手段として、複数のオブジェクトの各々の意味を示す複数の意味ベクトルをそれぞれ取得し、演算処理は、複数の意味ベクトルの方向を各々変化させる演算を含む。すなわち、入力データのうち一つのオブジェクトだけではなく、複数のオブジェクトに係る方向性を変換するので、元のデータの内容に対してより多様な内容を含んだ提示データ(出力データ)をユーザーに提供することができる。
【0088】
また、制御部11は、出力手段として、複数の意味ベクトルからそれぞれ得られた複数の結果ベクトルに応じた出力データを各々出力する。すなわち、各意味ベクトルは独立に結果ベクトルに変換されて、各々の結果ベクトルに応じたオブジェクト(出力データ)が別個に提示データに含まれて出力される。このように容易な処理で、元の入力データの内容から異なるものへ変換させた内容を提示データに多数含ませて出力することで、ユーザーに多くの点で考察を可能とさせることができる。
【0089】
また、制御部11は、生成手段として、複数の意味ベクトルを組み合わせる演算処理により結果ベクトルを得る。すなわち、結果ベクトルは、単一の意味ベクトルから得られるものだけでなく、複数の意味ベクトルの演算、例えば、加算、減算や乗算などの四則演算によって得られるものであってもよい。複数の組み合わせの度合を様々に変えたり、単に加算するだけでなく減算や乗算なども含めたりすることで、組み合わせ自体が想像しづらいものから、想像しやすい組み合わせを更に変形させたような概念まで、多くの着眼点を容易にユーザーが取得することが可能になる。
【0090】
また、制御部11は、生成手段として、組み合わせる意味ベクトルに結果ベクトルを含める。すなわち、一度一又は複数の意味ベクトルから演算処理により得られた結果ベクトルをさらに含む複数の意味ベクトルの演算によって他の結果ベクトルを算出してもよい。これにより、さらに発想を初期の概念から発展、展開させてユーザーに広範な着眼点を提供することができる。
【0091】
また、制御部11は、生成手段として、演算処理において複数の意味ベクトルに重み付けを行う。すなわち、組み合わせの度合を様々に変えてみることで、元のオブジェクトの概念から派生する概念を様々な角度で得ることができる。また、このような種々のパターンを機械的に容易に大量取得することもできるので、本格的に検討が必要となりそうな組み合わせをより容易に抽出可能になる。
【0092】
また、制御部11は、出力手段として、抽出された複数のオブジェクトのうちいずれかと意味ベクトルの方向が同じオブジェクトを出力データに含める。すなわち、出力データは、意味ベクトルの方向が変換されたものだけである必要はなく、元のオブジェクトや、当該もとのオブジェクトの種別を変更したもの(文字オブジェクトから画像オブジェクトへ変更など)が含まれてよい。意味ベクトルの変換がなされない元のオブジェクトのコンセプトや前提などを残しつつ、斬新な発想を取り入れるような条件付の発想が必要な場合にも、発想に役立つ適切な出力データ(提示データ)を出力することができる。
【0093】
また、制御部11は、生成手段として、方向の差分が所定の基準以上である複数の意味ベクトルを組み合わせた演算処理により結果ベクトルを生成する。すなわち、はじめから異なる方向を向いた意味ベクトルに対して、これらとさらに異なる方向を有する結果ベクトルを生成するので、より広範に展開されたオブジェクトが容易に得られ、ユーザーに幅広い着眼点を提供することができる。
【0094】
また、演算処理には、意味ベクトルの方向を当該意味ベクトルに対して直交する方向に変化させる演算が含まれる。これにより、完全に意味ベクトルの方向を変化させることになるので、通常想定しないような極端な組み合わせが得られ、ユーザーに幅広い視野での着眼点を提供することができる。
【0095】
また、演算処理には、意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが所定の大きさ未満のものの変化率よりも小さくなる演算が含まれる。すなわち、成分量が大きい成分の値を維持しつつ意味ベクトルの方向を変化させて結果ベクトルを得るので、もとのオブジェクトの主要な概念を保ちつつ、その中で種々の概念をユーザーに提示することができる。これにより、全く関連性がなく、組み合わせの意味がない外れ出力を抑制することができる。
【0096】
また、演算処理には、意味ベクトルをなす所定数の次元の各成分量のうち、大きさが所定の大きさ以上のものの変化率が、大きさが所定の大きさ未満のものの変化率よりも大きくなる演算が含まれる。上記とは反対に、成分量が大きい成分の値をより変化させるように演算を行うことで、より確実にもとのオブジェクトとは大きく異なる方向性のオブジェクトを取得してユーザーに提示することができる。
【0097】
また、制御部11は、出力手段として、画像データ、テキストデータ若しくは音声データ、又はこれらのうち少なくとも2種類のデータのオブジェクトを示す出力データを出力する。これにより、ユーザーに対し、視覚及び/又は聴覚を利用した感覚的な情報を含むデータを提供することができる。すなわち、画像オブジェクトに意味が定義されていても、当該画像オブジェクトを見るユーザー側の受け取り方はより多様となり得るので、ユーザーにより幅広い発想の着眼点を提供することができる。
【0098】
また、入力されるデータには、画像データ、テキストデータ及び音声データのうち少なくとも1種類のデータ種別のデータが含まれる。記載内容が明確なテキストデータに加えて、内容の認識技術の精度が高い画像データ及び音声データを含めて入力データとすることが可能となることで、より多様な内容を含む出力データを得ることが可能になる。
【0099】
また、出力データが入力データと同一のデータ種別である。入力データと同一のデータ種別のオブジェクトを示す出力データを出力することで、ユーザーが見やすいデータを提供できる。また、意味ベクトルの変更がないオブジェクトについてはそのまま流用することができるので、処理の負荷を必要以上に上昇させない。
【0100】
また、入力されるデータに画像データ、テキストデータ及び音声データのうち2種類以上のデータが含まれる場合、生成手段としての制御部11は、当該2種類以上のデータのうちいずれか1種類のデータ種別のオブジェクトを示す出力データを生成する。複数種類のデータ種別を入力可能とすることで、イメージ画像やイメージ音にコンセプトのキーワードを付加するなど、より多様な発想支援システム1の使い方が可能となる一方で、ユーザーが見やすい出力を行うことができる。
【0101】
また、制御部11は、抽出手段として、入力されるデータに含まれる画像データからオブジェクトを認識して区分けする画像認識が可能である。よって、入力データとして画像が入力された場合に、適切に複数のオブジェクトを画像中から抽出して正しく認識し、出力データに含めたり他の内容に変換したりすることができる。
【0102】
また、画像データには、撮影画像、絵画、図面、画像化された文字のうち少なくともいずれか含まれる。すなわち、画像は各オブジェクトが明確に区切られるものや、そのまま文字に変換可能なものであってもよいし、各オブジェクトがつながっていたり重なっていたりなどで境界が不明確であったり、オブジェクト内で撮影条件が異なる(影など)ものがあったりしてもよい。よって、入力可能な画像データに厳しい条件を設ける必要はなく、通常のポートレート画像や手描き画像など、幅広く利用することができる。
【0103】
また、制御部11は、取得手段として、画像データに含まれる画像化された文字をテキストデータに変換した内容に基づいて意味ベクトルを取得する。すなわち、入力された画像データがそのままテキスト変換可能な文字の画像である場合には、そのままテキストとして利用してもよい。画像データとして処理を行うよりもテキストデータとして処理を行うほうが処理負荷も低減されるので、処理をより容易に進めることができる。
【0104】
また、制御部11は、抽出手段として、入力されるデータに含まれる音声データをテキストデータに変換して得られた文字からオブジェクト(テキストオブジェクト)を抽出する。音声データを音声データのまま複数のオブジェクトとして分離するのは、特に同時に重なっているような場合に手間がかかる。テキストデータ化することで、オブジェクトの分離切り分けなどが容易になり、処理負荷を低減することができる。
【0105】
また、制御部11は、抽出手段として、音声データにおける発声された言葉を識別してテキストデータに変換する音声認識が可能である。会話やスピーチなどの言葉を単語分けや文節分けするなどの場合には、テキスト化したデータを用いたほうが容易であり、発声上のリエゾンなどの影響も排除することができるので、より正確な処理が可能となる。よって、適切に入力データからオブジェクトを抽出して、出力データを得るための処理を行うことができる。
【0106】
また、テキストデータのオブジェクトには、名詞、動詞、形容詞のうち少なくともいずれかが含まれる。各オブジェクトが自立語を含むような単位で構成することで、それぞれのオブジェクトに確実に意味を持たすことができる。反対に、付属語のみのオブジェクトでは、付属語としての意味しか得られず、しかもその意味が多数生じることで、本来の入力内容やコンセプトなどに対して大きなノイズとなる。したがって、発想支援システム1では、このようなオブジェクトの抽出により、より適切に発想の着眼点となる出力データを提供することができる。
【0107】
また、制御部11は、生成手段として、テキストデータのオブジェクトのうち、名詞を優先して出力データに含める。名詞は比較的他のものと置き換えがしやすく、テキストから画像への変換なども比較的容易な場合が多いので、優先して出力データに含めることで、検討はずれの動作や状態を示す出力データの出力が低減され得る。
【0108】
また、テキストデータは、文書、文章、句、単語及び文字のうちいずれかである。すなわち、テキストが長文であっても短いフレーズなどであってもよく、単漢字などで何らかの表現がなされている場合には、当該テキストオブジェクトのみが抽出、処理、出力されてもよい。よって、入力データに応じて柔軟に処理単位を切り替えて、より適切な出力データを生成してよい。
【0109】
また、入力されるデータは、テキストデータ、画像データ及び/又は音声データなどのデータを複数含み、制御部11は、生成手段として、異なるデータから得られたオブジェクトに基づいて出力データを生成する。すなわち、異なるデータから得られるオブジェクト(変換後の結果オブジェクトを含む)を組み合わせることで、より出力データにおける表現の幅を広げることができる。また、複数のデータ種別の適切なオブジェクトを組み合わせて実際のテキストや画像などのデータを生成し、ユーザーに提示することで、複数のコンセプトや前提を組み合わせて発想を広げるのが苦手なユーザーに幅広い組み合わせデータを提供して、発想への糸口を与えることができる。
【0110】
また、制御部11は、生成手段として、複数のデータのうち第1のデータから抽出されたオブジェクトを示す意味ベクトルに対して行った演算により得られた結果ベクトルに応じた内容により、複数のデータのうち第1のデータと異なる第2のデータから抽出されたオブジェクトを置き換えて出力データを生成する。すなわち、同様のコンセプトに基づいて入力された複数のデータのうち一方で抽出され、更に変換された結果ベクトルに応じた内容を他方のデータに挿入し、このときに当該他方のデータのいずれかのデータに単純に置き換えることで、容易な処理でなるべく多様な発想の着眼点を提供することが可能になる。
【0111】
また、発想支援システム1は、オブジェクトと当該オブジェクトに応じた意味ベクトルの値とを対応付けて記憶する記憶部21(データベース装置20)を備え、制御部11は、取得手段として、記憶部21の記憶内容からこのオブジェクトを示す意味ベクトルを取得する。
予め単語などのオブジェクトリストに対して各々意味ベクトルを対応付けて保持しておくことで、入力データの各オブジェクトに対して多次元の意味ベクトルを容易に取得することができる。
【0112】
また、制御部11は、意味ベクトルの値を所定の機械学習アルゴリズムに基づいて算出する算出手段として機能する。機械学習により意味ベクトルを定めることで、解析的に厳密な定義を行う労力を省きながら大量のオブジェクトの意味の位置関係を定量的に定めることができる。そして、機械学習では、新たな単語の入力などに基づいて適宜更新されていくことで精度が向上するので、最初に設定したデータだけではなく、発想支援システム1の動作開始後の学習により、より正確な処理が可能となる。
【0113】
また、制御部11は、生成手段として、意味ベクトルに対して行った演算により得られた結果ベクトルの値に最も方向が近いオブジェクトを記憶部21の記憶内容から特定して、出力データに含める。意味ベクトルの演算結果として得られた結果ベクトルの方向が厳密に他のオブジェクトの方向を指すとは限らないので、記憶保持されているオブジェクトの中で結果ベクトルに最もベクトル方向が近いオブジェクトが選択されればよい。数値的な処理には上述のように多少の誤差もあるので、近似的な取り扱いで十分に精度よく適切なオブジェクトが取得され、目的に応じた種々のオブジェクトが組み合わされた出力データを生成することができる。
【0114】
また、本実施形態の発想支援装置であるサーバー装置10は、制御部11を備え、この制御部11が、入力されるデータから複数のオブジェクトを抽出する抽出手段と、抽出された前記複数のオブジェクトに基づき、方向を有し当該オブジェクトの意味を示す意味ベクトルを取得する取得手段と、取得された前記意味ベクトルに基づいて演算処理することにより、入力された意味ベクトルとは異なる方向を有する意味ベクトルを結果ベクトルとして生成する生成手段と、生成した結果ベクトルに対応するオブジェクトを示す出力データを出力する出力手段と、として機能する。
このように、意味ベクトルを用いて、入力データの少なくとも一部を大きく変換させることで、サーバー装置10によれば、ユーザーの思考を入力データの内容の近辺に偏在させずに、当該ユーザーに対して幅広い分野の着眼点を与えることができる。
【0115】
また、上記各手段をコンピューターに実行させるプログラム121を当該コンピューターにインストールすることで、特殊なハードウェアを用意せずともソフトウェア制御により、ユーザーが発想を広げることを手助けするような種々の出力データを生成して出力することができる。
【0116】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、複数のデータから各々複数のオブジェクトを抽出して意味ベクトルの取得、変換及び出力データの生成を行ったが、入力データ及び出力データが各々複数のオブジェクトを含んでいれば、データの数自体は限られず、例えば、1枚の入力画像データのみであってもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、一部のオブジェクトを示す意味ベクトルのみを変換するものとして説明したが、全ての意味ベクトルが異なる結果ベクトルに変換されてもよい。この場合、入力データに対して出力データ全体が全く異なる場合が生じ得る。したがって、意味ベクトルを結果ベクトルに変換する際に、上記実施の形態で示したような各種条件を設けることとしてよい。
【0118】
また、全てのオブジェクトが意味ベクトルに変換されない場合でも、出力データに含まれるオブジェクトは全て意味ベクトルに変換されることとしてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態では、意味ベクトルの方向が変換されたものについては、当該変換されたものに置き換えられる形で出力データが生成されたが、変換前後の意味ベクトル(及び結果ベクトル)に各々対応するオブジェクトが同時に出力データに含まれていてもよい。また、変換前の意味ベクトルに応じたオブジェクトの有無にかかわらず、結果ベクトルに応じた内容は、変換前の意味ベクトルに応じたオブジェクトの配置位置とは無関係に配置されてもよいし、できるだけ離れた位置や対称(対称点、対称線は任意)の位置などに配置されてもよい。あるいは、得られた結果ベクトルに応じたオブジェクトのみが各々別個に出力、提示されてもよい。
【0120】
また、入力データに対する演算のパターンは、一律に定められる必要はなく、入力データごとに適宜設定されてもよいし、予め定められた複数の演算パターンから所望のものが又はランダムに選択されてもよい。あるいは、複数の演算パターンをそれぞれ同一のオブジェクトに対して適用して、それぞれの演算結果を含む出力データを生成してもよい。すなわち、入力データと出力データの数は等しい必要はなく、特に、入力データ数よりも多くの出力データを生成、出力することで、ユーザーに多くの発想の着眼点を提供することができる。
【0121】
また、結果ベクトルの算出に用いられる演算には、非線形演算、ビット演算及び論理演算などが含まれてよく、何ら限定されない。また、ビット値のランダム置換のように、算術的な処理ではないものも含まれてよい。また、意味ベクトルに基づいて出力データの内容が変更されれば、意味ベクトル自体が結果ベクトルに変換されなくてもよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、画像データ及び音声データを処理可能としたが、これらが処理可能でなくてもよい。また、例えば、入力はテキストデータのみとして、出力には画像データが含まれる構成であってもよい。
【0123】
また、上記実施の形態では、オブジェクト分割のサイズが任意であって、同一の単位オブジェクトがより大きいオブジェクトにも含まれていてよいものとして説明したが、オブジェクトの分割が排他であってもよい。また、オブジェクトのサイズが概ね規定されていてもよい。また、オブジェクトの分割度合を可変設定可能であってもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、データベース装置20(記憶部21)がサーバー装置10と別個の構成であるものとして説明したが、サーバー装置10が記憶部21を内蔵していたり、また、記憶部21がサーバー装置10の周辺機器として接続、制御されていたりしてもよい。また、記憶部21の記憶する意味ベクトルの更新に係る演算制御は、サーバー装置10とは別個の処理装置の制御部によりなされてもよい。また、画像データや音声データの認識などの処理については、制御部11とは別個の制御部が行ってもよく、この別個の制御部は、発想支援システム1内のサーバー装置10以外の装置が備えるものであってもよい。
【0125】
また、画像データ及び音声データの取り込みは、デジタル化されたデータ自体が通信部13を介してなされるだけでなく、スキャナーやマイクロフォンなどを介して直接なされることが可能であってもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、意味ベクトルが機械学習アルゴリズムに基づいて算出されてオブジェクトとの対応関係が定められ、記憶されているものとして説明したが、予め定められた変換式などが保持されていてもよい。
【0127】
また、以上の説明では、本発明に係る制御部11の処理動作に係るプログラム121のコンピューター読み取り可能な媒体としてHDDや不揮発性メモリーなどの補助記憶装置を有する記憶部21を例に挙げて説明したが、これに限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、動作の内容や手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 発想支援システム
10 サーバー装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 データベース装置
21 記憶部
30 端末装置
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 操作受付部
35 表示部
121 プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8