(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】コード読取装置、コード読取方法、および、ワーク
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231011BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G06K7/10 428
G06K7/00 004
G06K7/10 376
G06K7/10 384
G06K7/10 408
G06K7/10 272
(21)【出願番号】P 2019113856
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2019047217
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】松井 修一
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157519(JP,A)
【文献】特開2014-194395(JP,A)
【文献】特開2005-143023(JP,A)
【文献】特開2018-136860(JP,A)
【文献】特開2009-187060(JP,A)
【文献】特開2013-182376(JP,A)
【文献】特開2002-196255(JP,A)
【文献】特開2018-166988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードが付されたワークに対応して設けられたRF(Radio Frequency)タグに、前記コードのコード画像生成のための設定条件に関する情報
および前記コードに対するコード読み取りの余裕度の履歴が記憶されており、
前記RFタグから、前記設定条件に関する情報を取得する無線通信部と、
前記コードを撮像し、当該コードのコード画像を生成する画像生成部と、
前記コードのコード画像を解析して前記コードが示す情報を読み取る解析部と、を備え、
前記画像生成部は、前記設定条件を用いて前記コードのコード画像を生成
し、
前記解析部は、前記余裕度を判定し、
前記無線通信部は、前記余裕度を前記RFタグに保存するコード読取装置。
【請求項2】
前記設定条件は、前記コードの撮像に関する撮像条件を含み、
前記画像生成部は、該撮像条件に従って前記コードの撮像を行うことにより、前記コード画像を生成する、請求項1に記載のコード読取装置。
【請求項3】
前記設定条件は、焦点距離、露光時間、または、照明の指定を含む、請求項2に記載のコード読取装置。
【請求項4】
複数の照明を備え、
前記設定条件は、照明の指定を含み、
前記画像生成部は、前記設定条件に応じて各照明の発光強度を変更する、請求項3に記載のコード読取装置。
【請求項5】
前記設定条件は、撮像された画像に対して適用する画像処理の条件を含み、
前記画像生成部は、前記画像に対して前記画像処理を適用することにより、前記コード画像を生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコード読取装置。
【請求項6】
コードが付されたワークに対応して設けられたRFタグに、前記コードのコード画像生成のための設定条件に関する情報
および前記コードに対するコード読み取りの余裕度の履歴が記憶されており、
前記RFタグから、前記設定条件に関する情報を取得する条件取得ステップと、
前記コードを撮像し、当該コードのコード画像を生成する画像生成ステップと、
前記コードのコード画像を解析して前記コードが示す情報を読み取る解析ステップと、を含み、
前記画像生成ステップにおいては、前記設定条件を用いて前記コードのコード画像を生成
し、
前記解析ステップにおいては、前記余裕度を判定し、
前記余裕度を前記RFタグに保存する保存ステップをさらに含む、コード読取方法。
【請求項7】
表面に付されたコードと、
前記コードのコード画像生成のための設定条件に関する情報
および前記コードに対するコード読み取りの余裕度の履歴を記憶しているRFタグとを備える、ワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード読取装置、コード読取方法、および、ワークに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、各種ワークに付された2次元コードを読み取る装置が知られている。例えば、特許文献1には、情報コードの読み取りを極力誤ることなく迅速に完了できるようにする情報コード読取装置が開示されている。
【0003】
また、無線タグ(RFタグ)を生成する装置が知られている。例えば、特許文献2には、既存の印字装置を活用しつつ無線タグラベルを生成することができる無線タグ取り付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-343826号公報
【文献】特開2008-090659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各種ワークに付された2次元コードに対して、最適な光学読み取り調整値(読み取り条件)でコードの読み取りを行うことが求められる。例えば、ワークによって高さ、素材(反射率等)が異なるため、新しいワークを追加するとき、新しいワークに応じた光学読み取り調整値が必要になる。
【0006】
しかしながら、PLC(Programmable Logic Controller)等の上位システムにおいて調整値を管理しようとすると、上位システムのラダープログラムに調整値を追加しなければならず、そのためには、プログラムを停止(ラインを停止)する必要があるという問題がある。
【0007】
なお、オートフォーカスは焦点距離の自動調整のみであるし、バンク機能は既知の順序でしか設定を変更できないので、当該問題の解決にはならない。
【0008】
本発明の一態様は、種類の異なるワークを追加した場合でも、適切にコードが示す情報を読み取ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るコード読取装置は、コードが付されたワークに対応して設けられたRF(Radio Frequency)タグに、前記コードのコード画像生成のための設定条件に関する情報が記憶されており、前記RFタグから、前記設定条件に関する情報を取得する無線通信部と、前記コードを撮像し、当該コードのコード画像を生成する画像生成部と、前記コードのコード画像を解析して前記コードが示す情報を読み取る解析部と、を備え、前記画像生成部は、前記設定条件を用いて前記コードのコード画像を生成する。
【0010】
前記構成によれば、コードの高さ、明るさが異なるワークが存在しても、ワークごとに対応する設定条件でコードを撮像し、コード画像を生成することができる。新しいワークを追加しても、当該ワークに対応するRFタグに新しい設定条件に関する情報を記憶させるだけで対処できるので、コード読取装置を管理する上位システムに影響することがなく、ラインを停止する必要がない。例えば、新しいワークを追加しても、ラインを停止することなく、異なるワークに付されたコードの読み取りを実現することができる。なお、設定条件に関する情報には、設定条件そのもの、設定条件を特定するための情報(識別番号等の識別情報、格納位置を示すアドレス、URL(Uniform Resource Locator))等が含まれる。
【0011】
一実施形態において、前記コード読取装置では、前記設定条件が、前記コードの撮像に関する撮像条件を含み、前記画像生成部が、該撮像条件に従って前記コードの撮像を行うことにより、前記コード画像を生成する。
【0012】
前記構成によれば、コードの撮像に関する撮像条件を用いることにより、コードの光学読み取りを精確に行うことができる。
【0013】
一実施形態において、前記コード読取装置では、前記設定条件が、焦点距離、露光時間、または、照明の指定を含む。
【0014】
前記構成によれば、焦点距離、露光時間、または、照明の指定が異なるコードであっても、コードの撮像を精確に行うことができる。
【0015】
一実施形態において、前記コード読取装置は、複数の照明を備え、前記設定条件は、照明の指定を含み、前記画像生成部は、前記設定条件に応じて各照明の発光強度を変更する。
【0016】
前記構成によれば、複数の照明を用いた、コードの撮像を精確に行うことができる。
【0017】
一実施形態において、前記コード読取装置では、前記設定条件が、撮像された画像に対して適用する画像処理の条件を含み、前記画像生成部が、前記画像に対して前記画像処理を適用することにより、前記コード画像を生成する。
【0018】
前記構成によれば、撮像された画像に対して適用する画像処理の条件を用いることにより、コードの撮像後の、コード画像の生成を精確に行うことができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るコード読取方法は、コードが付されたワークに対応して設けられたRFタグに、前記コードのコード画像生成のための設定条件に関する情報が記憶されており、前記RFタグから、前記設定条件に関する情報を取得する条件取得ステップと、前記コードを撮像し、当該コードのコード画像を生成する画像生成ステップと、前記コードのコード画像を解析して前記コードが示す情報を読み取る解析ステップと、を含み、前記画像生成ステップにおいては、前記設定条件を用いて前記コードのコード画像を生成する。
【0020】
前記構成によれば、コードの高さ、明るさが異なるワークが存在しても、ワークごとに対応する設定条件でコードを撮像し、コード画像を生成することができる。新しいワークを追加しても、当該ワークに対応するRFタグに新しい設定条件に関する情報を記憶させるだけで対処できるので、コード読取装置を管理する上位システムに影響することがなく、ラインを停止する必要がない。例えば、新しいワークを追加しても、ラインを停止することなく、異なるワークに付されたコードの読み取りを実現することができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るワークは、表面に付されたコードと、前記コードのコード画像生成のための設定条件に関する情報を記憶しているRFタグとを備える。
【0022】
前記構成によれば、ワークがコード画像生成のための設定条件に関する情報を記憶しているRFタグを備えているので、ワークごとに精確なコード画像生成を行うことができる。
【0023】
なお、本明細書でいう「RFタグ」とは、内蔵メモリに格納されている情報を、電磁波を用いて非接触で読み書きする情報媒体を一般に指す。RFタグの情報を読み書きする際に用いられるのが、タグ通信装置(リーダ/ライタ)である。RFタグは、「RFID(Radio Frequency IDentifier)タグ」「電子タグ」「ICタグ」「無線タグ」などの呼称が用いられる場合がある。また、本明細書におけるRFタグには、パッシブタグおよびアクティブタグの両方が含まれ、また主に人間が携行する非接触ICカードも含まれる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、種類の異なるワークを追加した場合でも、適切にコードが示す情報を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態1におけるコード読み取りシステムの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態1におけるコード読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態1におけるRFタグに記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態1におけるコード読取装置の処理例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態1におけるワークの高さが異なる例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態2におけるコード読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態2におけるRFタグに記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態2におけるコードリーダの記憶部に記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態3におけるコード読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0027】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、詳細に説明する。
【0028】
§1 適用例
図1は、本実施形態におけるコード読取装置1を含むコード読み取りシステム100の一例を、模式的に表すものである。
図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。本実施形態に係るコード読み取りシステム100は、コード読取装置1、ワーク2、パレット3、および、RF(Radio Frequency)タグ4を含む。
【0029】
コード読取装置1は、無線通信部11、および、コードリーダ12を備えている。無線通信部11、および、コードリーダ12の位置と向きは、固定されている。
【0030】
ワーク2は、ICチップ等の部品であり、バーコード、QRコード(登録商標)等のコードが付されている。コードは、一次元コードまたは二次元コードである。パレット3は、複数のワーク2が載せられた集合トレーであり、ベルトコンベアにより移動する。RFタグ4は、コードが付された少なくとも1つのワーク2に対応して設けられている。
図1では、RFタグ4は、パレット3の側面に貼設されているが、各ワーク2に付されていてもよい。RFタグ4には、コードのコード画像生成のための読み取り条件(設定条件)が記憶されている。
【0031】
なお、読み取り条件には、光学的な読み取りの条件(撮影条件)と、一定の光学読み取り条件で撮影した画像に適用する画像処理の条件とが含まれる。
【0032】
§2 構成例
[コード読取装置の構成]
図2は、本実施形態におけるコード読取装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コード読取装置1は、無線通信部11、および、コードリーダ12を備えている。無線通信部11は、RFタグ4に対する読み書きを行うリーダライタであり、RFタグ4からコードのコード画像生成のための読み取り条件を取得する。
【0033】
コードリーダ12は、光学読取部(画像生成部)121と、解析部122と、カメラ(図示せず)とを備えている。光学読取部121は、カメラを制御してワーク2からコードを光学的に読み取る(コードを撮影する。)。そして、光学読取部121は、前記読み取り条件を用いてコードのコード画像を生成する(画像生成ステップ)。解析部122は、コードのコード画像を解析して、当該コードが示す情報を読み取る。
【0034】
なお、前記読み取り条件は、コードの光学読み取りに関する撮影条件を含む。この場合、光学読取部121は、当該撮影条件に従ってコードの光学読み取りを行うことにより、コード画像を生成する。すなわち、光学読取部121は、当該撮影条件に従ってカメラで撮影を行う。
【0035】
[RFタグの記憶データ]
図3は、本実施形態におけるRFタグ4に記憶されるデータの一例を示す図である。なお、RFタグ4には、他のデータが記憶されてもよい。
【0036】
図3(a)は、コードリーダ12の読み取り条件の例を示す。
図3(a)に示すように、読み取り条件は、焦点距離、露光時間、照明色、照射LED(発光ダイオード)、および/または、フィルタ設定を含む。
【0037】
照明色、および、照射LEDは、照明の指定の条件に含まれる。照射LEDは、複数の照明のうち、いずれの照明を用いるのかを指定する条件である。例えば、複数の照明を切り替えて、照明の角度、色、および/または、明るさ等を変更してもよい。すなわち、コード読取装置1は、複数の照明を備え、読み取り条件が、照明の指定を含み、光学読取部121が、読み取り条件に応じて各照明のオン/オフを切り替えてもよい。なお、1つの照明を用いて、照明の角度、色、および/または、明るさ等を変更してもよい。
【0038】
フィルタ設定は、光学読み取りされた画像に対して適用する画像処理の条件に含まれる。フィルタ設定には、例えば、膨張フィルタ、または収縮フィルタ等が含まれる。光学読取部121は、画像に対して画像処理を適用することにより、コード画像を生成する。膨張フィルタは、画像に対して膨張処理(明るい領域を膨張させる処理)をする。収縮フィルタは、画像に対して収縮処理(明るい領域を収縮させる処理)をする。
【0039】
図3(b)は、アラーム出力の判定基準の例を示す。
図3(b)に示すように、アラーム出力の判定基準は、印字品質、読み取り時間、リトライ回数、および、PPE(Pixels Per Element:1エレメント当たりのピクセル数)を含む。判定基準は、アラームを出力するか否かを判定するための、各パラメータの閾値を示す。
【0040】
図3(c)は、コードリーダ12の読み取り結果の例を示す。
図3(c)に示すように、読み取り結果は、印字品質、読み取り時間、リトライ回数、PPE、読み取り結果、および、タイムスタンプを含む。最下の読み取り結果の場合、読み取り時間およびリトライ回数が判定基準の閾値を超えているので、RFタグ4にアラームが出力される。
【0041】
§3 動作例
[コード読取装置の処理例]
図4は、本実施形態におけるコード読取装置1の処理例を示すフローチャートである。以下、
図4に基づいて、コード読取装置1の処理例を説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な範囲で変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップを省略、置換および追加することができる。
【0042】
(ステップS401:条件取得ステップ)
コード読取装置1の無線通信部11は、RFタグ4からコードの読み取り条件、および、アラーム出力の判定基準を取得する。そして、無線通信部11は、RFタグ4から取得した読み取り条件を光学読取部121に設定する。
【0043】
(ステップS402:光学読取ステップ)
光学読取部121は、無線通信部11により設定された読み取り条件を用いて、ワーク2に付されたコードを読み取る。光学読取部121は、読み取り条件で指定される撮影条件に従ってコードを撮影し、コードを含む画像を生成する。光学読取部121は、コードを含む画像に対して、読み取り条件で指定される画像処理を適用することにより、コード画像を生成する。コード画像はコードの解析に用いられる画像である。
【0044】
(ステップS403:解析ステップ)
解析部122は、コードのコード画像を解析してコードが示す情報を読み取ることにより、コードの読み取りが正常に行われたか否かを判定する。正常に行われた場合(ステップS403のYES)、解析部122は、ステップS404の判定を実行する。正常に行われなかった場合(ステップS403のNO)、解析部122は、ステップS405の処理を実行する。
【0045】
(ステップS404)
解析部122は、各パラメータがアラーム出力の判定基準内であるか否かを判定する。これは、コード読み取りの余裕度を判定するものである。判定基準内である場合(ステップS404のYES)、解析部122は、余裕度を計算し、当該余裕度を無線通信部11に出力した上で、ステップS407の処理を実行する。解析部122は、余裕度として、例えば、判定基準の閾値から読み取り時の数値を減算した差分、または、判定基準の閾値に対する当該差分の割合を算出する。判定基準内でない場合(ステップS404のNO)、解析部122は、ステップS406の処理を実行する。
【0046】
(ステップS405)
解析部122は、無線通信部11にNG結果を出力する。その後、ステップS407の処理を実行する。
【0047】
(ステップS406)
解析部122は、無線通信部11にアラームを出力する。その後、ステップS407の処理を実行する。
【0048】
(ステップS407)
無線通信部11は、解析部122から余裕度、NG結果、アラーム等を取得し、それらを含む読み取り履歴をRFタグ4に保存する。
【0049】
これにより、例えば、余裕度の経時的な変化に応じて、エラーまたは生産設備の故障が生じる前に、生産設備の改善等を図ることができる。
【0050】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、前記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、前記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略する。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0051】
[ワーク、コードの変形例]
ワーク2の素材が異なると、ワーク2に付されたコード21の状態(反射率等)が異なる。ワーク2には、例えば、固定パターンが破損したワーク、ヘアラインノイズのあるワーク、鋳造されたワーク、光沢のあるワーク、曲線のあるワーク、鏡面のあるワーク等がある。本実施形態では、明瞭なコード画像が得られるよう、ワークの種類または状態に応じて、読み取り条件(設定条件)を設定することができる。
【0052】
素材が異なるワーク2が同じパレット3に載せられている場合には、パレット3に貼設されたRFタグ4に各コードの水平位置(水平面における位置)および状態を示す読み取り条件を記憶させるか、各コードの状態を示す読み取り条件を記憶させたRFタグを各ワーク2に付す。
【0053】
[ワークの高さが異なる例]
図5は、本実施形態における、ワーク2の高さが異なる例を示す図である。
図5に示すように、ワーク2a~2dは高さが異なるので、ワーク2a~2dの上面に付されたコード21a~21dの各々と、コードリーダ12との間の垂直距離が異なる。
【0054】
高さが異なるワーク2が同じパレット3に載せられている場合には、パレット3に貼設されたRFタグ4に各コードの水平位置(水平面における位置)およびコードリーダ12からの垂直距離(垂直方向の焦点距離)を示す読み取り条件を記憶させるか、各コードのコードリーダ12からの垂直距離を示す読み取り条件を記憶させたRFタグを各ワーク2に付す。
【0055】
各パレット3に複数のワーク2が載せられており、パレット毎にワーク2の高さが異なっていてもよい。この場合、パレットに載せられているワーク2のコードのコードリーダ12からの垂直距離を示す読み取り条件を記憶させたRFタグを各パレット3に付す。
【0056】
なお、コード読み取りシステム100においてRFタグを各ワーク2に付す場合、ワーク2は、表面に付されたコード21と、コード21のコード画像生成のための読み取り条件を記憶しているRFタグ(図示せず)とを備えることになる。
【0057】
また、上記の「§3 動作例」では、アラーム出力の判定処理をコードリーダ12の解析部122が行うように説明したが、当該アラーム出力の判定処理をRFタグ4が行うようにしてもよい。
【0058】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
§1 構成例
[コード読取装置の構成]
図6は、本実施形態におけるコード読取装置1aのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コード読取装置1aは、無線通信部11、および、コードリーダ12aを備えている。無線通信部11は、RFタグ4に対する読み書きを行うリーダライタであり、RFタグ4からコードのコード画像生成のための読み取り条件(設定条件)に関する情報を取得する。なお、RFタグ4には、当該読み取り条件に関する情報が記憶されている。
【0060】
コードリーダ12aは、光学読取部(画像生成部)121と、解析部122と、記憶部123と、カメラ(図示せず)とを備えている。光学読取部121は、カメラを制御してワーク2からコードを光学的に読み取る(コードを撮像する。)。そして、光学読取部121は、前記読み取り条件を用いてコードのコード画像を生成する(画像生成ステップ)。解析部122は、コードのコード画像を解析して、当該コードが示す情報を読み取る。記憶部123は、読み取り条件を記憶する。
【0061】
なお、前記読み取り条件は、コードの撮像に関する撮像条件を含む。この場合、光学読取部121は、当該撮像条件に従ってコードの撮像を行うことにより、コード画像を生成する。すなわち、光学読取部121は、当該撮像条件に従ってカメラで撮像を行う。
【0062】
[RFタグの記憶データ]
図7は、本実施形態におけるRFタグ4に記憶されるデータの一例を示す図である。なお、RFタグ4には、他のデータが記憶されてもよい。
【0063】
図7に示すように、RFタグ4には、それぞれ異なる識別番号が記憶される。識別番号は、読み取り条件に固有の識別情報である。
【0064】
[コードリーダの記憶データ]
図8は、本実施形態におけるコードリーダ12aの記憶部123に記憶されるデータの一例を示す図である。なお、記憶部123には、他のデータが記憶されてもよい。
【0065】
図8に示すように、記憶部123のデータは、識別番号、コードリーダ12aの読み取り条件、および、アラーム出力の判断基準を含む、複数のレコードからなる。識別番号は、読み取り条件に固有の識別情報であり、RFタグ4に記憶される識別番号に対応する。コードリーダ12aの読み取り条件、および、アラーム出力の判断基準は、それぞれ、実施形態1の
図3(a)、(b)に関する説明と同様である。
【0066】
図8に示すように、読み取り条件は、焦点距離、露光時間、照明色、照射LED(発光ダイオード)、および/または、フィルタ設定を含む。フィルタ設定は、撮像された画像に対して適用する画像処理の条件に含まれる。光学読取部121は、画像に対して画像処理を適用することにより、コード画像を生成する。
【0067】
§2 動作例
[コード読取装置の処理例]
本実施形態において、コード読取装置1aの無線通信部11は、RFタグ4から識別番号(設定条件に関する情報)を取得する。そして、無線通信部11は、RFタグ4から取得した識別番号を光学読取部121に送信する。
【0068】
光学読取部121は、無線通信部11により送信された識別番号により、記憶部123に記憶された読み取り条件の1つを特定し、当該1つの読み取り条件を用いて、ワーク2に付されたコードを読み取る。
【0069】
なお、コード読取装置1aは、複数の照明を備え、読み取り条件が、照明の指定を含み、光学読取部121が、読み取り条件に応じて各照明の発光強度を変更してもよい。
【0070】
また、コード読み取りシステム100においてRFタグを各ワーク2に付す場合、ワーク2は、表面に付されたコード21と、コード21のコード画像生成のための読み取り条件に関する情報を記憶しているRFタグ(図示せず)とを備えることになる。
【0071】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1、2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0072】
§1 構成例
[コード読取装置の構成]
図9は、本実施形態におけるコード読取装置1bのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コード読取装置1bは、無線通信部11、コードリーダ12、および、PLC13を備えている。無線通信部11は、RFタグ4に対する読み書きを行うリーダライタであり、RFタグ4からコードのコード画像生成のための読み取り条件(設定条件)に関する情報を取得する。なお、RFタグ4には、当該読み取り条件に関する情報が記憶されている。
【0073】
コードリーダ12は、光学読取部(画像生成部)121と、解析部122と、カメラ(図示せず)とを備えている。光学読取部121は、カメラを制御してワーク2からコードを光学的に読み取る(コードを撮影する。)。そして、光学読取部121は、前記読み取り条件を用いてコードのコード画像を生成する。解析部122は、コードのコード画像を解析して、当該コードが示す情報を読み取る。
【0074】
PLC13は、制御部131と、記憶部132とを備えている。制御部131は、無線通信部11と、コードリーダ12との間のデータ中継等の処理を行う。記憶部123は、読み取り条件を記憶する。
【0075】
[RFタグの記憶データ]
本実施形態におけるRFタグ4に記憶されるデータは、実施形態2の
図7と同様である。なお、RFタグ4には、他のデータが記憶されてもよい。
【0076】
[PLCの記憶データ]
本実施形態におけるPLC13の記憶部132に記憶されるデータは、実施形態2の
図8と同様である。なお、記憶部132には、他のデータが記憶されてもよい。
【0077】
§2 動作例
[コード読取装置の処理例]
本実施形態において、コード読取装置1aの無線通信部11は、RFタグ4から識別番号(設定条件に関する情報)を取得する。そして、無線通信部11は、RFタグ4から取得した識別番号をPLC13に送信する。
【0078】
PLC13において、制御部131は、無線通信部11により送信された識別番号により、記憶部132に記憶された読み取り条件の1つを特定し、当該1つの読み取り条件を光学読取部121に送信する。
【0079】
コードリーダ12において、光学読取部121は、PLC13により送信された読み取り条件を用いて、ワーク2に付されたコードを読み取る。
【0080】
〔ソフトウェアによる実現例〕
コード読取装置1の制御ブロック(特に、光学読取部121、解析部122)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0081】
後者の場合、コード読取装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0082】
〔付記事項〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るコード読取装置は、コードが付されたワークに対応して設けられたRF(Radio Frequency)タグに、前記コードのコード画像生成のための設定条件が記憶されており、前記RFタグから、前記設定条件を取得する無線通信部と、前記ワークから前記コードを光学的に読み取る光学読取部と、前記コードのコード画像を解析して前記コードが示す情報を読み取る解析部と、を備え、前記光学読取部は、前記設定条件を用いて前記コードのコード画像を生成する。
【0083】
前記構成によれば、コードの高さ、明るさが異なるワークが存在しても、ワークごとに対応する設定条件でコードを撮像し、コード画像を生成することができる。新しいワークを追加しても、当該ワークに対応するRFタグに新しい設定条件を記憶させるだけで対処できるので、コード読取装置を管理する上位システムに影響することがなく、ラインを停止する必要がない。例えば、新しいワークを追加しても、ラインを停止することなく、異なるワークに付されたコードの読み取りを実現することができる。
【0084】
一実施形態において、前記コード読取装置では、前記設定条件が、前記コードの光学読み取りに関する撮影条件を含み、前記光学読取部が、該撮影条件に従って前記コードの光学読み取りを行うことにより、前記コード画像を生成する。
【0085】
前記構成によれば、コードの光学読み取りに関する撮影条件を用いることにより、コードの光学読み取りを精確に行うことができる。
【0086】
一実施形態において、前記コード読取装置では、前記設定条件が、焦点距離、露光時間、または、照明の指定を含む。
【0087】
前記構成によれば、焦点距離、露光時間、または、照明の指定が異なるコードであっても、コードの光学読み取りを精確に行うことができる。
【0088】
一実施形態において、前記コード読取装置は、複数の照明を備え、前記設定条件は、照明の指定を含み、前記光学読取部は、前記設定条件に応じて各照明のオン/オフを切り替える。
【0089】
前記構成によれば、複数の照明を用いた、コードの光学読み取りを精確に行うことができる。
【0090】
一実施形態において、前記コード読取装置では、前記設定条件が、光学読み取りされた画像に対して適用する画像処理の条件を含み、前記光学読取部が、前記画像に対して前記画像処理を適用することにより、前記コード画像を生成する。
【0091】
前記構成によれば、光学読み取りされた画像に対して適用する画像処理の条件を用いることにより、コードの光学読み取り後の、コード画像の生成を精確に行うことができる。
【0092】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るコード読取方法は、コードが付されたワークに対応して設けられたRFタグに、前記コードのコード画像生成のための設定条件が記憶されており、前記RFタグから、前記設定条件を取得する条件取得ステップと、前記ワークから前記コードを光学的に読み取る光学読取ステップと、前記コードのコード画像を解析して前記コードが示す情報を読み取る解析ステップと、を含み、前記光学読取ステップにおいては、前記設定条件を用いて前記コードのコード画像を生成する。
【0093】
前記構成によれば、コードの高さ、明るさが異なるワークが存在しても、ワークごとに対応する設定条件でコードを撮像し、コード画像を生成することができる。新しいワークを追加しても、当該ワークに対応するRFタグに新しい設定条件を記憶させるだけで対処できるので、コード読取装置を管理する上位システムに影響することがなく、ラインを停止する必要がない。例えば、新しいワークを追加しても、ラインを停止することなく、異なるワークに付されたコードの読み取りを実現することができる。
【0094】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るワークは、表面に付されたコードと、前記コードのコード画像生成のための設定条件を記憶しているRFタグとを備える。
【0095】
前記構成によれば、ワークがコード画像生成のための設定条件を記憶しているRFタグを備えているので、ワークごとに精確なコード画像生成を行うことができる。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 コード読取装置
2 ワーク
4 RFタグ
11 無線通信部
121 光学読取部(画像生成部)
122 解析部
21 コード