(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20231011BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20231011BHJP
B65H 7/08 20060101ALI20231011BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/387 800
B65H7/08
G03B27/62
H04N1/12 Z
(21)【出願番号】P 2019128384
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】川久保 勇揮
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131703(JP,A)
【文献】特開2016-204107(JP,A)
【文献】特開2012-116580(JP,A)
【文献】特開2002-300367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/387
B65H 7/08
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシートの第1斜行角度を検出する第1検出部と、
前記第1検出部よりも前記搬送経路の下流側に配置され、前記シートの第2斜行角度を検出する第2検出部と、
前記第1斜行角度および前記第2斜行角度に基づいて、前記シートの搬送を停止するか否かを判定する判定部と
を備える、画像形成装置
であって、
前記第2検出部は、前記シートの画像を読み取って画像データを生成し、
前記画像形成装置は、前記画像データを補正する補正部をさらに備え、
前記判定部は、
前記第1斜行角度に基づいて、前記搬送部が前記シートの搬送を停止するか否かを判定し、
さらに、前記第1斜行角度および前記第2斜行角度に基づいて、前記搬送部が前記シートの搬送を停止する、および、前記補正部が前記第1斜行角度および前記第2斜行角度に応じて前記画像データを補正する、の何れを実施するかを判定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1斜行角度に対する前記第2斜行角度の変化量に基づいて、前記搬送部が前記シートの搬送を停止するか否かを判定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シートの第3斜行角度を検出する第3検出部をさらに備える、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3検出部は、前記搬送経路において前記第1検出部の下流であって、前記第2検出部の上流に配置される、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1斜行角度と、前記第2斜行角度と、前記第3斜行角度とに基づいて、前記シートの搬送が蛇行しているか否か、および前記シートの搬送を停止するか否かを判定する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2検出部および前記第3検出部は、光源と受光素子とを含むコンタクトイメージセンサーを有し、
前記第3検出部は
、前記シートの画像を読み取って画像データを生成
する、請求項3から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2検出部および前記第3検出部の前記コンタクトイメージセンサー
において、前記第2斜行角度または前記第3斜行角度の検出時の前記光源の発光量と、前記シートの画像の読み取り時の前記光源の発光量とが異なっている、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2検出部および前記第3検出部の少なくとも一方に対向する対向部材をさらに備え、
前記シートの色と前記対向部材の色とのコントラストは、予め定められた閾値よりも大きい、請求項3から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複合機等の画像形成装置には、原稿またはシート(用紙)等を搬送するために、自動原稿給送装置等のシート搬送装置が設けられている。
【0003】
ところで、画像読取装置の不具合等によって、原稿等が本来の搬送方向に対して傾斜した方向に搬送される場合(以下、原稿等が本来の搬送方向に対して傾斜した方向に搬送されることを「斜行」という。)がある。このため、原稿等の斜行を検出し、原稿を読み取って生成した画像データを補正することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像読取装置は、傾き角(以下、「斜行角度」という。)に基づいて画像データを補正するが、斜行の検出後にも斜行角度が変化した場合には対応ができないため、改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、斜行角度の変化に応じてシートの搬送処理を変更可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、搬送部と、第1検出部と、第2検出部と、判定部とを備える。前記搬送部は、搬送経路に沿ってシートを搬送する。前記第1検出部は、前記搬送部によって搬送されるシートの第1斜行角度を検出する。前記第2検出部は、前記第1検出部よりも前記搬送経路の下流側に配置され、前記シートの第2斜行角度を検出する。判定部は、前記第1斜行角度および前記第2斜行角度に基づいて、前記シートの搬送を停止するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、斜行角度の変化に応じてシートの搬送処理を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態の画像形成装置のブロック図である。
【
図3】本実施形態の画像形成装置における読取ユニットの模式図である。
【
図4】(a)~(d)は、本実施形態の画像形成装置において読取ユニットにおける原稿の搬送および斜行角度の検出を説明するための模式図である。
【
図5】本実施形態の画像形成装置における制御処理のフローチャートである。
【
図6】(a)~(d)は、本実施形態の画像形成装置において読取ユニットにおける原稿の搬送および斜行角度の検出を説明するための模式図である。
【
図7】(a)~(d)は、本実施形態の画像形成装置において読取ユニットにおける原稿の搬送および斜行角度の検出を説明するための模式図である。
【
図8】(a)~(d)は、本実施形態の画像形成装置において読取ユニットで搬送される原稿の蛇行および斜行角度の検出を説明するための模式図である。
【
図9】本実施形態の画像形成装置における読取ユニットの模式図である。
【
図10】本実施形態の画像形成装置のブロック図である。
【
図11】本実施形態の画像形成装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
まず、
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の模式図である。本実施形態では、画像形成装置100は、電子写真方式の複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、読取ユニット110と、画像形成ユニット130と、装置制御部150と、入出力部160と、通信部170とを備える。
【0013】
読取ユニット110は、原稿Rの画像を読み取り(以下、読み取った画像を「読取画像」ともいう。)、読取画像を示す画像データを生成する。典型的には、原稿Rは、薄い矩形状である。原稿Rは、例えば、普通紙、再生紙、薄紙、厚紙、コート紙またはOHP(Overhead Projector)シートである。
【0014】
読取ユニット110は、原稿Rを搬送する。読取ユニット110は、自動原稿搬送機(Auto Document Feeder:ADF)を含む。読取ユニット110は、原稿Rの斜行角度に基づいて、原稿Rの搬送を制御し、または原稿Rの画像データを補正する。
【0015】
画像形成ユニット130は、用紙Pに画像を形成する。例えば、画像形成ユニット130は、読取画像を示す画像データに基づいて、用紙Pに画像を形成する。用紙Pおよび原稿Rは、「シート」の一例に相当する。
【0016】
装置制御部150は、制御プログラムに基づいて、画像形成装置100の各構成部分の動作を制御する。装置制御部150については、
図2を参照して後述する。
【0017】
入出力部160は、表示画面に情報を表示する一方で、ユーザーからの指示を受け付ける。入出力部160は、表示部162および操作部164を含む。表示部162は、各種情報を表示する。表示部162は、液晶ディスプレーを含む。
【0018】
操作部164は、スタートボタン、矢印キー、およびテンキーを含む。スタートボタンは、画像形成装置100に各種の機能(処理)を実行させるためのボタンである。矢印キーは、選択対象を変更するためのボタンである。テンキーは、数値を入力するためのボタンである。操作部164は、タッチパネルを含んでもよい。
【0019】
通信部170は、ネットワーク(不図示)を介して、他の電子機器と通信可能に接続される。ネットワークは、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)およびワイドエリアネットワーク(Wide Area Network:WAN)を含む。
【0020】
読取ユニット110は、テーブル112、給送部114、搬送部116、排出部118および検出部120を有する。検出部120は、検出センサー122および読取センサー124を有する。
【0021】
テーブル112には、原稿Rが載置される。テーブル112には、規制部112aが立設されている。具体的には、規制部112aは、テーブル112に立設されたガイド板である。規制部112aは、原稿Rが搬送部116に向かって給送される際の斜行の発生を抑制する。
【0022】
給送部114は、原稿Rを給送する。給送部114は、テーブル112に載置された原稿Rを給送する。給送部114は、給送ローラーを含む。給送ローラーは、装置制御部150によって制御される。本実施形態では、給送部114は、第1給送部114aと、第2給送部114bとを有する。なお、給送部114は、キャタピラーのようなベルトを含んでもよい。
【0023】
搬送部116は、給送部114から給送された原稿Rを搬送経路に沿って排出部118まで搬送する。搬送部116は、搬送ローラーを含む。搬送ローラーは、原稿Rを搬送する。典型的には、搬送部116は、一対の搬送ローラーを複数含む。一対の搬送ローラーが互いに回転することにより、原稿Rは搬送される。搬送ローラーは、装置制御部150によって制御される。搬送部116は、原稿Rを、検出センサー122および読取センサー124を経て、排出部118まで搬送する。排出部118には、搬送部116によって搬送された原稿Rが載置される。
【0024】
検出センサー122は、原稿Rが搬送部116によって搬送される過程で、原稿Rを検出する。更に、読取センサー124は、原稿Rが搬送部116によって搬送される過程で、原稿Rの画像を読み取る。搬送部116には、予め原稿Rを搬送する搬送方向に対して垂直な方向に、原稿Rの搬送が可能な幅を示す搬送幅が規定されている。
【0025】
検出センサー122は、原稿Rを検出する。また、検出センサー122は、原稿Rの斜行角度を検出する。本明細書において、検出センサー122が原稿Rの斜行角度を検出した場合に、検出された斜行角度を「第1斜行角度」と記載することがある。検出センサー122は、例えば光学センサーである。なお、本明細書において、検出センサー122を第1検出部と記載することがある。
【0026】
なお、検出センサー122は、超音波センサーによって構成されてもよい。検出センサー122として超音波センサーを採用した場合、検出センサー122は、超音波発信部と、超音波受信部とを含み、超音波発信部が発信した超音波信号が原稿Rを透過する。超音波受信部は、原稿Rを透過した超音波信号を受信して、その強度の変化に基づいて、原稿Rの有無を検出する。
【0027】
読取センサー124は、検出センサー122よりも搬送経路の下流側に配置されている。読取センサー124は、原稿Rの表(おもて)面の画像を読み取り、表面の画像を示す画像データを生成する。更に、読取センサー124は、読み取った画像に基づいて、原稿Rの斜行角度を検出する。
【0028】
本明細書において、読取センサー124は、「第2検出部」の一例に相当する。また、読取センサー124が原稿Rの斜行角度を検出した場合に、検出された斜行角度を「第2斜行角度」と記載することがある。
【0029】
読取センサー124は、読み取った原稿Rの画像と原稿R以外のプレート等の画像とのコントラスト差、または原稿Rの読み取り時の影の画像に基づいて、原稿Rの輪郭を抽出する。そして、読取センサー124は、抽出した輪郭に基づいて、斜行角度を検出する。斜行角度の検出は、例えば、読取センサー124が読み取った画像の中心線に対する原稿Rの画像の輪郭の傾きに基づいて算定する。
【0030】
読取センサー124は、コンタクトイメージセンサー(Contact Image Sensor:CIS)方式または電荷結合素子(Charge Coupled Devices:CCD)方式のスキャナーである。具体的には、読取センサー124は、光源としての発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、コンタクトガラス、結像レンズ、およびイメージセンサーが一体化されたCISユニットである。なお、読取センサー124をCISユニットで構成する場合、第2斜行角度の検出時の光源の発光量と、原稿Rの画像を読み取る際の光源の発光量とが異なるように構成してもよい。例えば、第2斜行角度の検出時の光源の発光量は、原稿Rの画像を読み取る際の光源の発光量よりも高いことが好ましい。
【0031】
画像形成ユニット130は、用紙Pに画像を形成する。例えば、画像形成ユニット130は、読取ユニット110によって生成された画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。画像形成ユニット130は、給紙ユニット132、搬送部134、画像形成部136および排出部138を有する。
【0032】
給紙ユニット132には、用紙Pが積載されている。給紙ユニット132は、トレイ132aと、テーブル132bと、規制部132cとを含む。
【0033】
トレイ132aは、用紙Pを載置するテーブル132bを収納する。用紙Pは、普通紙、再生紙、薄紙、厚紙またはコート紙である。
【0034】
テーブル132bには、規制部132cが立設されている。規制部132cは、テーブル132bに載置された用紙Pが画像形成部136に向かって給紙される際の斜行を規制する。
【0035】
搬送部134は、用紙Pを、画像形成部136を経由して搬送経路に沿って排出部138まで搬送する。搬送部134は、搬送ローラーを含む。典型的には、搬送部134は、一対の搬送ローラーを複数含む。一対の搬送ローラーが互いに回転することにより、用紙Pは搬送される。搬送ローラーは、装置制御部150によって制御される。搬送部134は、用紙Pを、画像形成部136を経て、排出部138まで搬送する。排出部138には、搬送部134によって搬送された用紙Pが載置される。
【0036】
画像形成部136は、用紙Pに画像を形成する。画像形成部136は、中間転写ベルト(不図示)上に形成された画像を用紙Pに転写してもよい。更に、画像形成部136は、用紙Pに転写された画像を定着させる。排出部138には、画像が定着された用紙Pが積載される。
【0037】
読取ユニット110は、対向部材119をさらに含むことが好ましい。対向部材119は、読取センサー124に対向して配置される。対向部材119は、読取センサー124が原稿Rの画像を読み取る際の第2斜行角度の検出を支援する。具体的には、対向部材119は、原稿Rの地色とコントラストが大きい矩形状のプレートである。対向部材119は、読取センサー124が原稿Rの画像を読み取る際の第2斜行角度の検出を支援する。本実施形態では、原稿Rの地色と、対向部材119の色とのコントラストが、予め定められた閾値よりも大きくなるように、対向部材119の色を設定している。
【0038】
次に、
図1および
図2を参照して、画像形成装置100の構成を説明する。
図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
図1を参照して説明したように、画像形成装置100は、読取ユニット110と、画像形成ユニット130と、装置制御部150と、入出力部160とを備える。以下では、主に装置制御部150について詳細に説明する。
【0039】
装置制御部150は、処理部152と、記憶部154とを備える。処理部152は、例えば、プロセッサーを含む。プロセッサーは、例えば中央処理演算素子(Central Processing Unit:CPU)を含んでもよく、特定用途集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)を含んでもよい。処理部152は、記憶部154に記憶された制御プログラムを実行することによって、画像形成装置100の各構成部分の動作を制御する。
【0040】
記憶部154は、画像形成装置100の制御に関する各種のデータ、および制御プログラムを記憶する。記憶部154は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および/またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)によって構成される。記憶部154は、外部メモリーを含んでいてもよい。外部メモリーは、リムーバブルメディアである。記憶部154は、外部メモリーとして、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリー、および/またはSD(Secure Digital)カードを含んでもよい。
【0041】
処理部152は、判定部152aと、搬送制御部152bと、画像補正部152cとを含む。本実施形態において、処理部152が記憶部154に格納された制御プログラムを実行することによって、制御プログラムが、判定部152aと、搬送制御部152bと、画像補正部152cとの機能を実現する。
【0042】
判定部152aは、原稿Rの斜行角度に基づいて、原稿Rが斜行しているか否かを判定する。また、判定部152aは、原稿Rの斜行角度に基づいて、原稿Rの進路を予測する。
【0043】
判定部152aは、少なくとも、検出センサー122によって検出された第1斜行角度と、読取センサー124によって検出された第2斜行角度とに基づいて、原稿Rの搬送を停止するか否かを判定する。例えば、第1斜行角度および第2斜行角度の少なくとも一方が、予め規定した閾値よりも大きい場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定する。
【0044】
更に、判定部152aは、第1斜行角度に対する第2斜行角度の変化量に基づいて、原稿Rの搬送を停止するか否かを判定してもよい。具体的には、第2斜行角度と第1斜行角度との差分が、予め規定した閾値よりも大きい場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定してもよい。また、判定部152aは、原稿Rの搬送により、原稿Rが搬送部116の搬送幅を逸脱すると予測される場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定する。
【0045】
搬送制御部152bは、処理部152の指示に応じて、給送部114と、搬送部116の動作を制御する。搬送制御部152bは、例えば、処理部152から送信された制御パルスに基づいて、給送部114および搬送部116のローラー等を駆動するステッピングモーターを制御する。
【0046】
画像補正部152cは、処理部152の指示に応じて、原稿Rの画像から生成した画像データを補正する。具体的には、画像補正部152cは、斜行した状態で読み取った原稿Rの画像を斜行していない状態で読み取った原稿Rの画像になるように、画像データを補正する。なお、画像補正部152cは、「補正部」の一例に相当する。
【0047】
処理部152は、記憶部154に記憶された制御プログラムを実行することによって、画像形成装置100の各構成部分の動作を制御する。
【0048】
次に、
図1~
図3を参照して、検出センサー122による原稿Rの斜行角度の検出について説明する。
図3は、検出センサー122の模式図である。検出センサー122は、原稿Rの斜行角度を検出する。
【0049】
ここでは、検出センサー122は、第1検出センサー122Aと、第2検出センサー122Bとを有する。第1検出センサー122Aと、第2検出センサー122Bとは、例えば光学センサーである。本実施形態では、第1検出センサー122Aと第2検出センサー122Bのそれぞれは、発光部と受光部とを含む。発光部から射出された光が原稿Rに反射し、反射光が受光部に入射する。受光部は、原稿Rによって反射された光を受光することにより、原稿Rの存在の有無を検出できる。第1検出センサー122Aは、原稿Rの中心線に対して左側の領域を検出し、第2検出センサー122Bは、原稿Rの中心線に対して右側の領域を検出する。
【0050】
図3において、原稿Rは、搬送方向に沿って搬送される。ここでは、
図3に示すように、原稿Rは、斜行した状態で搬送される。原稿Rは、原稿Rの左側が原稿Rの右側よりも前方に傾いた状態で搬送される。
【0051】
第1検出センサー122Aおよび第2検出センサー122Bは、搬送方向に対して直交する直線状に配置されている。仮に、原稿Rが斜行することなく搬送される場合、第1検出センサー122Aおよび第2検出センサー122Bは原稿Rを同時に検出できる。
【0052】
図3に示すように、原稿Rの左側が原稿Rの右側よりも前方に傾いた状態で原稿Rが搬送される場合、第1検出センサー122Aは、第2検出センサー122Bより先に原稿Rを検出し、その後、第2検出センサー122Bが原稿Rを検出する。第1検出センサー122Aが原稿Rを検出した時刻を「t1」とし、第2検出センサー122Bが原稿Rを検出した時刻を「t2」とする。また、第1検出センサー122Aと第2検出センサー122Bとの距離を距離Dとする。角度α1は、「t2-t1」と距離Dとに基づいて、算出される。算出された角度α1が、原稿Rについて検出した斜行角度である。
【0053】
なお、第1検出センサー122Aおよび第2検出センサー122Bは、原稿Rの搬送方向に対する原稿Rの側辺の角度を検出してもよい。典型的には、原稿Rは矩形状の主面を有する。原稿Rが理想的に搬送されている場合、原稿Rの側辺は原稿Rの搬送方向に平行であるが、原稿Rが斜行して搬送されている場合、原稿Rの側辺は原稿Rの搬送方向に対して傾く。このため、搬送方向に対する原稿Rの側辺の角度は、斜行角度に相当する。この場合、第1検出センサー122Aおよび第2検出センサー122Bの一方のみによって、原稿Rの斜行角度を検出してもよい。
【0054】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の画像形成装置100において読取ユニット110で搬送される原稿Rの検出を説明する。
図4(a)~
図4(d)は、本実施形態の画像形成装置100において読取ユニット110で搬送される原稿Rの検出を説明するための模式図である。
図4(a)は、搬送部116によって搬送された原稿Rが検出センサー122の検出領域に到達したときの読取ユニット110を示す模式図であり、
図4(b)は、
図4(a)における原稿Rの斜行角度を示す模式図である。
図4(c)は、搬送部116によって搬送された原稿Rが読取センサー124の読取領域に到達したときの読取ユニット110を示す模式図であり、
図4(b)は、
図4(c)における原稿Rの斜行角度を示す模式図である。
【0055】
図4(a)および
図4(b)に示すように、搬送部116が原稿Rを搬送すると、原稿Rは、検出センサー122の検出領域に到達する。ここでは、原稿Rは、斜行して搬送されている。原稿Rは、第1検出センサー122Aの検出領域に到達する一方、第2検出センサー122Bの検出領域に到達していない。その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rは、第2検出センサー122Bの検出領域に到達し、第2検出センサー122Bに検出される。これにより、検出センサー122は、原稿Rの第1斜行角度α1を検出する。
【0056】
その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rは、読取センサー124の読取領域に到達する。
【0057】
図4(c)および
図4(d)に示すように、搬送部116が原稿Rを搬送して原稿Rが読取センサー124の読取領域に到達すると、読取センサー124は、原稿Rの画像を読み取る。また、原稿Rは、読取センサー124の読取領域に到達すると、読取センサー124は、原稿Rの第2斜行角度α2を検出する。ここでは、原稿Rの斜行の程度がさらに増大しており、第2斜行角度α2>第1斜行角度α1である。
【0058】
本実施形態の画像形成装置100によれば、原稿Rの第1斜行角度α1および第2斜行角度α2に基づいて、原稿Rの搬送処理を決定する。例えば、原稿Rの第1斜行角度α1および第2斜行角度α2の値自体が比較的小さくても、第2斜行角度α2と第1斜行角度α1との差が比較的大きい場合、原稿Rの斜行の程度は、読取センサー124を通過後にさらに増大し、原稿Rが搬送部116の搬送経路の側壁と衝突してジャムが発生するおそれがある。この場合、画像形成装置100は、原稿Rの第1斜行角度α1および第2斜行角度α2に基づいて原稿Rの搬送を停止することにより、原稿Rの衝突を抑制できる。
【0059】
なお、画像補正部152cは、斜行角度に応じて画像データを補正してもよい。ここでは、原稿Rの先端が読取センサー124の読取領域に到達するとき、原稿Rの斜行角度は第2斜行角度α2である。このため、画像補正部152cは、読取センサー124によって生成された画像データに示される画像を第2斜行角度α2だけ回転するように補正してもよい。
【0060】
あるいは、画像補正部152cは、原稿Rの斜行角度の変化を予測して画像データを補正してもよい。例えば、原稿Rの斜行角度が第1斜行角度α1および第2斜行角度α2に変化する場合、原稿Rが読取センサー124の読取領域に到達した時の原稿Rの斜行角度が第2斜行角度α2であっても、読取センサー124を通過したあとの原稿Rの斜行角度はさらに変化することがある。この場合、画像補正部152cは、第1斜行角度α1および第2斜行角度α2に基づいて予測した予測斜行角度にしたがって、画像データに示される画像を回転するように補正してもよい。
【0061】
図4(c)および
図4(d)を参照して上述したように、読取センサー124は、原稿Rの画像を読み取る。このとき、読取センサー124が原稿Rの斜行角度を検出する際の光源の発光量は、読取センサー124が原稿Rの画像を読み取る際の光源の発光量よりも大きくてもよい。なお、読取センサー124が原稿Rの斜行角度を検出した際に、斜行角度が閾値を超えている場合、読取センサー124は、原稿Rの画像を読み取ることなく、原稿Rの斜行角度を検出し続け、原稿Rの中央付近の斜行角度を検出してもよい。この場合、原稿Rが読取センサー124の読取領域を通過する間、読取センサー124は、発光量を大きいまま維持してもよい。
【0062】
次に、
図1~
図5を参照して、画像形成装置100の制御処理について説明する。
図5は、画像形成装置100の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS2:原稿Rの搬送を開始する。具体的には、処理部152は、給送部114および搬送部116に指示し、原稿Rの搬送を開始する。処理は、ステップS4に進む。
【0064】
ステップS4:検出センサー122が、原稿Rを検出したか否かを判定する。検出センサー122が原稿Rを検出したと判定される場合(ステップS4においてYes)、処理はステップS6に進む。検出センサー122が原稿Rを検出したと判定されない場合(ステップS4においてNo)、処理はステップS4に戻る。
【0065】
ステップS6:検出センサー122は、原稿Rの第1斜行角度を特定する。処理はステップS8に進む。
【0066】
ステップS8:判定部152aは、原稿Rの第1斜行角度に基づいて、原稿Rの進路を予測する。処理は、ステップS10に進む。
【0067】
ステップS10:判定部152aは、ステップS8の予測結果に基づいて、原稿Rが搬送路を逸脱するか否かを判定する。原稿Rが搬送路を逸脱すると判定部152aが判定した場合(ステップS10においてYes)、処理はステップS22に進む。原稿Rが搬送路を逸脱しないと判定部152aが判定した場合(ステップS10においてNo)、処理はステップS12に進む。
【0068】
ステップS12:処理部152は、読取センサー124が原稿Rを検出したか否かを判定する。ここでは、読取センサー124は、原稿Rの読み取りを開始したか否かを判定する。読取センサー124が原稿Rを検出したと処理部152が判定した場合(ステップS12においてYes)、処理はステップS14に進む。読取センサー124が原稿Rを検出していないと処理部152が判定した場合(ステップS12においてNo)、処理はステップS12に戻る。
【0069】
ステップS14:読取センサー124は、原稿Rの第2斜行角度を特定する。処理はステップS16に進む。
【0070】
ステップS16:判定部152aは、原稿Rの第2斜行角度に基づいて、原稿Rの進路を予測する。なお、判定部152aは、原稿Rの第1斜行角度および第2斜行角度に基づいて、原稿Rの進路を予測してもよい。処理は、ステップS18に進む。
【0071】
ステップS18:判定部152aは、ステップS16の予測結果に基づいて、原稿Rが搬送路を逸脱するか否かを判定する。原稿Rが搬送路を逸脱すると判定部152aが判定した場合(ステップS18においてYes)、処理はステップS22に進む。原稿Rが搬送路を逸脱しないと判定部152aが判定した場合(ステップS18においてNo)、処理はステップS20に進む。
【0072】
ステップS20:画像補正部152cは、読取センサー124で原稿Rを読み取って生成した画像データを補正する。例えば、画像補正部152cは、第1斜行角度および第2斜行角度の少なくとも一方に基づいて読取画像が斜めに傾くように画像データを補正する。以上により、搬送処理は、終了する。
【0073】
ステップS22:搬送制御部152bは、原稿Rの搬送を停止する。
【0074】
本実施形態によれば、原稿Rの斜行角度の変化に応じて、原稿Rの進路を予測して原稿Rの搬送を制御できる。例えば、原稿Rの斜行角度の変化量に基づいて原稿Rが搬送路から逸脱するかを判定することにより、原稿Rが搬送路の側壁に衝突することを抑制できる。
【0075】
なお、
図5を参照した説明では、原稿Rは、搬送を継続するか、搬送が停止されるか判定されたが、本実施形態はこれに限定されない。搬送部116は、原稿Rが搬送路を逸脱するおそれがある場合、原稿Rを搬送する軌跡を修正するように調整されてもよい。または、原稿Rが、読取センサー124の読取領域が外れる位置にまでずれて搬送される場合、搬送部116は、原稿Rの軌跡を修正するように調整されてもよい。
【0076】
なお、
図3および
図4を参照した上述の説明では、検出センサー122および読取センサー124は、原稿Rの一端(例えば、先端)を検出したが、本実施形態はこれに限定されない。検出センサー122および読取センサー124は、原稿Rの後端を検出してもよい。あるいは、検出センサー122および読取センサー124は、原稿Rの両端を検出してもよい。
【0077】
次に、
図1~
図3、
図6および
図7を参照して、本実施形態の画像形成装置100において読取ユニット110で搬送される原稿Rの検出を説明する。
図6(a)~
図7(d)は、本実施形態の画像形成装置100において読取ユニット110で搬送される原稿Rの検出を説明するための模式図である。
図6(a)は、原稿Rの先端が検出センサー122の検出領域に到達したときの読取ユニット110を示す模式図であり、
図6(b)は、
図6(a)における原稿Rの斜行角度を示す模式図である。
図6(c)は、原稿Rの先端が読取センサー124の読取領域に到達したときの読取ユニット110を示す模式図であり、
図6(d)は、
図6(c)における原稿Rの斜行角度を示す模式図である。
図7(a)は、原稿Rの後端が検出センサー122の検出領域に到達したときの読取ユニット110を示す模式図であり、
図7(b)は、
図7(a)における原稿Rの斜行角度を示す模式図である。
図7(c)は、原稿Rの後端が読取センサー124の読取領域に到達したときの読取ユニット110を示す模式図であり、
図7(d)は、
図7(c)における原稿Rの斜行角度を示す模式図である。
【0078】
図6(a)および
図6(b)に示すように、搬送部116が原稿Rを搬送すると、原稿Rの先端が、検出センサー122の検出領域に到達する。ここでは、原稿Rは、斜行して搬送されている。原稿Rの先端は、第1検出センサー122Aの検出領域に到達する一方、第2検出センサー122Bの検出領域に到達していない。その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rは、第2検出センサー122Bの検出領域に到達し、第2検出センサー122Bに検出される。これにより、検出センサー122は、原稿Rの第1先端斜行角度α1aを検出する。
【0079】
その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rは、読取センサー124の読取領域に到達する。
【0080】
図6(c)および
図6(d)に示すように、搬送部116が原稿Rを搬送すると、原稿Rの先端が、読取センサー124の読取領域に到達する。なお、ここでは、原稿Rの後端は検出センサー122の検出領域を通過しておらず、検出センサー122は、原稿Rを検出したままである。原稿Rの先端の一部は、読取センサー124の読取領域に到達する一方、原稿Rの先端の別の一部は、読取センサー124の読取領域に到達していない。上述したように、読取センサー124は、原稿Rの第2先端斜行角度α2aを検出する。
【0081】
その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rの後端が、検出センサー122の検出領域を通過する。
【0082】
図7(a)および
図7(b)に示すように、搬送部116が原稿Rを搬送すると、原稿Rの後端が、検出センサー122の検出領域から離れる。原稿Rの後端は、先に第1検出センサー122Aの検出領域から離れて第1検出センサー122Aにおいて検出されなくなるが、このとき、原稿Rの後端は、第2検出センサー122Bの検出領域にて検出される。その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rの後端は、第2検出センサー122Bの検出領域から離れて、第2検出センサー122Bにおいて検出されなくなる。これにより、検出センサー122は、原稿Rの第1後端斜行角度α1bを検出する。
【0083】
その後、搬送部116が原稿Rをさらに搬送すると、原稿Rは、読取センサー124の読取領域を通過し、読取センサー124による原稿Rの読み取りは完了する。
【0084】
図7(c)および
図7(d)に示すように、搬送部116が原稿Rを搬送すると、原稿Rの後端が、読取センサー124を通過する。原稿Rの後端の一部は、読取センサー124の読取領域を通過する一方、原稿Rの後端の別の一部は、読取センサー124の読取領域を通過していない。この場合も、同様に、読取センサー124は、原稿Rの第2後端斜行角度α2bを検出する。
【0085】
本実施形態の画像形成装置100によれば、原稿Rの第1先端斜行角度α1a、第1後端斜行角度α1b、第2先端斜行角度α2aおよび第2後端斜行角度α2bのいずれかに基づいて、原稿Rの搬送処理を決定する。例えば、原稿Rの第1先端斜行角度α1a、第1後端斜行角度α1b、第2先端斜行角度α2aおよび第2後端斜行角度α2bの値自体が比較的小さくても、第1後端斜行角度α1bと第2後端斜行角度α2bとの差が比較的大きい場合、原稿Rは、読取センサー124を通過後にさらに斜行するおそれがある。この場合、画像形成装置100は、原稿Rの第1後端斜行角度α1bおよび第2後端斜行角度α2bに基づいて原稿Rの搬送を停止することにより、原稿Rが搬送路の側壁と衝突することを抑制できる。
【0086】
なお、画像補正部152cが画像データを補正する場合、原稿Rの画像のうちの斜行角度を検出した領域に応じて読取画像を変更する傾きを変更してもよい。例えば、画像補正部152cは、原稿Rのうち、原稿Rの先端が読取センサー124の読取領域に到達してから原稿Rの後端が検出センサー122の検出領域から離れるまでの期間(すなわち、
図6(d)から
図7(b)までの期間)に対応する領域では、第2先端斜行角度α2a~第1後端斜行角度α1bに基づいて、読取画像を補正する傾きを変更する。傾きは、原稿Rの領域に応じて、第2先端斜行角度α2aα2a~第1後端斜行角度α1bの範囲で滑らかに変化することが好ましい。
【0087】
さらに、画像補正部152cは、原稿Rのうち、原稿Rの後端が検出センサー122の検出領域から離れてから、原稿Rの後端が読取センサー124の読取領域から離れるまでの期間(すなわち、
図7(b)から
図7(d)までの期間)に相当する領域では、第1後端斜行角度α1b~第2後端斜行角度α2bに基づいて、読取画像を補正する傾きを変更する。傾きは、原稿Rの領域に応じて、第1後端斜行角度α1b~第2後端斜行角度α2bの範囲で滑らかに変化することが好ましい。
【0088】
なお、上述した説明では、原稿Rの斜行角度は、原稿Rの搬送距離に応じて一方向に変化したが、本実施形態はこれに限定されない。原稿Rが搬送される際に、原稿Rは蛇行して搬送されることがある。この場合、原稿Rの斜行角度は、原稿Rの搬送距離とともに交互に変化する。
【0089】
次に、
図8を参照して、原稿Rの蛇行時の画像形成装置100の制御方法について説明する。
図8は、本実施形態に係る読取ユニット110で搬送される原稿Rの蛇行を示す図である。
図8では、原稿Rが搬送部116によって蛇行しながら搬送される様子を示す。
【0090】
図8(a)に示すように、検出センサー122で検出された原稿Rの先端斜行角度はβ1である。ここでは、搬送方向に対して原稿Rの左側先端が先に進んでいる場合の斜行角度を正とすると、0<β1である。
【0091】
図8(b)に示すように、原稿Rが反時計回りの方向に回りながら搬送されると、読取センサー124は原稿Rの斜行角度を検出する。読取センサー124で検出された原稿Rの先端斜行角度はβ2である。ここで、0<β2<β1である。
【0092】
図8(c)に示すように、原稿Rが反時計回りの方向に回りながら搬送されると、検出センサー122は、原稿Rの斜行角度を検出する。検出センサー122で検出された原稿Rの後端斜行角度はβ3である。ここで、0<β3<β2である。
【0093】
図8(d)に示すように、原稿Rが反時計回りの方向に回りながら搬送されると、読取センサー124は原稿Rの斜行角度を検出する。読取センサー124で検出された原稿Rの後端斜行角度はβ4である。ここで、β4<0<β3である。
【0094】
本実施形態の画像形成装置100では、検出センサー122および読取センサー124が原稿Rの先端および後端のそれぞれで斜行角度を検出するため、検出される原稿Rの斜行角度が時間とともに増減を繰り返すように原稿Rが蛇行することも検出できる。原稿Rが蛇行する場合、斜行角度が過度に大きくなければ、原稿Rの搬送を停止しなくてもよい。
【0095】
なお、
図1~
図8を参照した上述の説明では、読取ユニット110の検出部120は、原稿Rの有無を検出する検出センサー122と、原稿Rの表(おもて)面を読み取る読取センサー124を備えたが、本実施形態はこれに限定されない。検出部120は、さらなる読取センサーを備えてもよい。この場合、読取センサーとして、原稿Rの裏面を読み取るセンサーを追加することが好ましい。
【0096】
以下に、
図9および
図10を参照して本実施形態に係る画像形成装置100における読取ユニット110の構成を説明する。
図9は、本実施形態に係る読取ユニット110の模式図である。
図9の読取ユニット110は、読取ユニット110の検出部120が読取センサー126をさらに備えるとともに搬送部116が対向部材119aをさらに備える点を除いて
図4を参照して上述した読取ユニット110と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0097】
本実施形態の画像形成装置100において、読取ユニット110は、原稿Rを搬送する。読取ユニット110は、例えば、ADFである。
【0098】
検出部120は、検出センサー122と読取センサー124に加えて、読取センサー126をさらに備える。上述したように、読取センサー124は、原稿Rの表(おもて)面の画像を読み取り、表面の画像を示す画像データを生成する。典型的には、読取センサー126は、反射型センサーである。
【0099】
読取センサー126は、原稿Rの裏面の画像を読み取り、裏面の画像を示す画像データを生成する。更に、読取センサー126は、読み取った画像に基づいて、原稿Rの斜行角度を検出する。なお、読取センサー126は、「第3検出部」の一例に相当する。更に、読取センサー126は、原稿Rの第3斜行角度を検出する。
【0100】
読取センサー126は、検出センサー122と読取センサー124との間に配置されてもよく、または読取センサー124より下流側に配置されてもよい。ただし、
図9に示した本実施形態では、読取センサー126は、検出センサー122と読取センサー124との間に配置されている。本明細書では、読取センサー126が原稿Rの斜行角度を検出した場合に、検出された斜行角度を「第3斜行角度」と記載することがある。
【0101】
なお、読取ユニット110は、対向部材119aをさらに含むことが好ましい。対向部材119aは、読取センサー126に対向して配置される。対向部材119aは、読取センサー126が原稿Rの画像を読み取る際の第3斜行角度の検出を支援する。具体的には、対向部材119aは、原稿Rの地色とコントラストが大きい矩形状のプレートである。対向部材119aは、読取センサー126が原稿Rの画像を読み取る際の第3斜行角度の検出を支援する。本実施形態では、原稿Rの地色と、対向部材119aの色とのコントラストが、予め定められた閾値よりも大きくなるように、対向部材119aの色を設定している。
【0102】
次に、
図9および
図10を参照して、画像形成装置100の構成を説明する。
図10は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
図9のブロック図は、検出部120が読取センサー126をさらに備える点を除いて
図2のブロック図と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0103】
図10に示すように、検出部120は、検出センサー122および読取センサー124に加えて読取センサー126をさらに備える。
【0104】
判定部152aは、原稿Rの搬送方向に対して直交する直交方向(搬送直交方向)についての原稿Rの変化量に基づいて、原稿Rの搬送を停止するか否かを判定してもよい。具体的には、読取センサー124および読取センサー126の少なくとも一方によって検出された、原稿Rの搬送直交方向についての変化量が、予め設定した閾値よりも大きい場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定してもよい。
【0105】
例えば、読取センサー124および読取センサー126のそれぞれで、原稿Rの画像を読み取る場合、読取センサー124で読み取った画像の中心の搬送直交方向の位置と、読取センサー126とで読み取った画像の中心のY方向の位置との差分を算出する。算出した差分が、予め規定した閾値よりも大きい場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定してもよい。
【0106】
また、判定部152aは、原稿Rの搬送により、原稿Rが搬送部116の搬送幅を逸脱する場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定する。具体的には、読取センサー124および読取センサー126の少なくとも一方によって検出された、原稿Rの搬送直交方向についての変化量が、予め規定した搬送幅よりも大きい場合に、原稿Rの搬送を停止すると判定する。原稿Rの搬送直交方向についての変化量が予め規定した搬送幅よりも大きいか否かの判定は、原稿Rの搬送直交方向についての変化量が予め規定した閾値よりも大きいか否かの判定と同様の方法で判定することができる。
【0107】
また、判定部152aは、第1斜行角度と、第2斜行角度と、第3斜行角度とに基づいて、原稿Rの搬送が蛇行しているか否か、および原稿Rの搬送を停止するか否かを判定する。
【0108】
搬送制御部152bは、処理部152の指示に応じて、給送部114および搬送部116の動作を制御する。搬送制御部152bは、例えば、処理部152から送信された制御パルスに基づいて、給送部114および搬送部116のローラー等を駆動するステッピングモーターを制御する。
【0109】
以上、
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、原稿Rが搬送部116で搬送される過程で、複数のセンサーで検出された斜行角度または/および搬送直交方向への移動量に基づいて、原稿Rが搬送幅を逸脱するか否かを判定する。更に、原稿Rが搬送部116で搬送される過程で、複数のセンサーで検出された斜行角度または/および搬送直交方向への移動量に基づいて規定された、原稿Rの蛇行状況に応じて、原稿Rが搬送幅を逸脱するか否かを判定する。したがって、原稿等の搬送途中で原稿等の斜行角度が変化した場合でも対応が可能である。
【0110】
なお、
図1から
図8を参照した上述の説明では、検出部120は、検出センサー122および読取センサー124を備えており、なお、
図9から
図10を参照した上述の説明では、検出部120は、検出センサー122、読取センサー124および読取センサー126を備えていたが、本実施形態はこれに限定されない。検出部120は、検出センサー122を備えることなく読取センサー124および読取センサー126を備えてもよい。
【0111】
また、搬送部116は、給送部114において給送された原稿Rが搬送路から逸脱すると予測された場合に原稿Rの搬送を停止するレジストローラーを備えることが好ましい。
【0112】
図11は、本実施形態に係る画像形成装置100の模式図である。
図11の画像形成装置100は、搬送部116がレジストローラー116Rを備える点を除いて
図1を参照して上述した画像形成装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0113】
搬送部116は、レジストローラー116Rを備える。搬送部116において、レジストローラー116Rは、検出センサー122よりも下流に配置されている。レジストローラー116Rは、原稿Rに撓みを付与する。具体的には、レジストローラー116Rは、搬送路に供給された原稿Rの搬送を一旦停止させる。次いで、レジストローラー116Rは、原稿Rを撓ませる。これにより、レジストローラー116Rは、原稿Rの搬送方向に対する斜行を補正する。レジストローラー116Rは、原稿Rの先端が到達したときには回転していない。レジストローラー116Rは、原稿Rの先端が到達してから回転を開始する。
【0114】
なお、読取ユニット110がレジストローラー116Rを有する場合は、搬送制御部152bは、処理部152の指示に応じて、レジストローラー116Rの動作を制御してもよい。例えば、レジストローラー116Rは、検出センサー122の検出した斜行角度に基づいて、原稿Rの搬送を停止してもよく、原稿Rの搬送を停止しなくてもよい。例えば、斜行角度が閾値以下の場合、レジストローラー116Rは、原稿Rの搬送を停止しなくてもよい。一方、斜行角度が閾値よりも大きい場合、レジストローラー116Rは、原稿Rの搬送を停止してもよい。
【0115】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、原稿Rが搬送部116で搬送される過程で、複数の検出部で検出された斜行角度または/および搬送直交方向への移動量に基づいて、原稿Rが搬送幅を逸脱するか否かを判定する。更に、原稿Rが搬送幅を逸脱すると判定された場合に、レジストローラー116Rによって原稿Rの搬送を一旦停止し、原稿Rの斜行を補正することが可能となる。
【0116】
以上、図面(
図1~
図11)を参照して本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(3))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0117】
(1)上述した説明では、検出センサー122、読取センサー124および読取センサー126は、読取ユニット110に設置され、原稿Rの搬送の不具合が抑制されたが、本実施形態はこれに限定されない。検出センサー122、読取センサー124および読取センサー126は、画像形成ユニット130の搬送部134に設置されてもよい。これにより、画像形成ユニット130において、用紙Pの搬送の不具合を抑制してもよい。
(2)本発明の実施形態では、複合機に限定されない。画像形成装置は、複写機、プリンター、ファクシミリ、スキャナー、またはこれらの機能を兼ね備えた複合機であってもよい。
【0118】
(3)また、本発明は、本発明に係る画像形成装置の特徴的な構成手段をステップとする画像形成方法として実現したり、それらのステップを含む制御プログラムとして実現したりすることもできる。また、そのプログラムは、CD-ROM等の非一時的に記録したシートや通信ネットワーク等の伝送媒体を介して流通させることもできる。として実現したり、それらのステップを含む制御プログラムとして実現したりすることもできる。また、そのプログラムは、CD-ROM等の非一時的に記録したシート、または通信ネットワーク等の伝送媒体を介して流通させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
100 画像形成装置
110 読取ユニット
120 検出部
122 検出センサー
124 読取センサー
126 読取センサー
130 画像形成ユニット
150 装置制御部
152 処理部
152a 判定部
152b 搬送制御部
152c 画像補正部(補正部)
154 記憶部
160 入出力部
162 表示部
164 操作部