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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】シートカセット、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20231011BHJP
   B65H 1/14 20060101ALI20231011BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20231011BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B65H1/26 310J
B65H1/14 310Z
B65H1/04 310Z
G03G15/00 401
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019134815
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021017352
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】ブイ ダン ロン
(72)【発明者】
【氏名】中村 新
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-151609(JP,A)
【文献】実開平06-008350(JP,U)
【文献】特開2014-223983(JP,A)
【文献】特開平05-024673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
B65H 1/14
B65H 1/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に着脱可能で、所定の給送方向に給送されるシートを積載するシートカセットであって、
底板と、側板を有し、前記底板と前記側板により形成される前記シートの積載空間を備えるカセットフレームと、
前記底板に配置され、前記給送方向と直交する幅方向に沿った第1揺動軸を中心に昇降可能で、前記シートの前記給送方向の先端縁を持ち上げ可能な第1リフト板と、
前記給送方向に沿った第2揺動軸を中心に昇降可能で、前記シートの前記給送方向に沿った側端縁を持ち上げ可能な第2リフト板を備え
前記第2リフト板によって前記底板にセットされたシート束が前記側板よりも高く持ち上げられるシートカセット。
【請求項2】
前記第1リフト板を昇降する第1リフト機構と、
前記第2リフト板を昇降する第2リフト機構を更に備え、
前記第2リフト機構は、
前記第2揺動軸と対向する第3揺動軸を中心に回動し、前記第2リフト板を回動するリンクレバーと、
前記側板の外側面に設けられ、前記リンクレバーを操作する操作レバーと、を有する請求項1に記載のシートカセット。
【請求項3】
前記操作レバーは前記カセットフレームの挿抜方向に直交する前記カセットフレームの幅方向に平行な第4揺動軸を支点に揺動することを特徴とする請求項2に記載のシートカセット。
【請求項4】
前記リンクレバーの前記第3揺動軸周りに形成されたベベルギヤと、前記操作レバーの前記第4揺動軸周りに形成されたベベルギヤとによって、前記第2リフト板の前記リンクレバーと前記操作レバーが連結されていることを特徴とする請求項3に記載のシートカセット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシートカセットと、
前記シートカセットから給紙されたシートに画像を形成する画像形成部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートカセット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複合機等の画像形成装置には、多数のシートから成るシート束を収容するシートカセットが設けられている。この種のシートカセットとして、カセットフレームの底板を揺動させて、底板上に載置されたシート束を持ち上げるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。シートカセットが画像形成装置内に挿し込まれることで、カセットフレームの底板に対する動力伝達機構の入力側と出力側が連結される。画像形成装置の稼働時には、動力伝達機構からの駆動力によってカセットフレームの底板が押し上げられて、シート束の上面がピックアップローラによる給送位置に位置付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-24673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートカセットに残ったシート束を取り出して、別のサイズのシート束に入れ替える場合がある。シートカセット内のシートのサイズが小さければ、シートカセットからシート束を容易に取り出すことができる。しかしながら、シートカセット内のシートのサイズが大きいと、シート束とカセットフレームの狭い隙間に指が入り込み難く、シートカセットからシート束をスムーズに取り出すことができない。シートカセットからシート束を無理に取り出すと、シートに皺や折り目が付いて、このシートをシートカセットに再セットしたときに搬送不良や印字不良等が生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、シートのサイズに関わらず、シートカセットからシート束をスムーズに取り出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のシートカセットは、装置本体に着脱可能で、所定の給送方向に給送されるシートを積載するシートカセットであって、底板と、側板を有し、前記底板と前記側板により形成される前記シートの積載空間を備えるカセットフレームと、前記底板に配置され、前記給送方向と直交する幅方向に沿った第1揺動軸を中心に昇降可能で、前記シートの前記給送方向の先端縁を持ち上げ可能な第1リフト板と、前記給送方向に沿った第2揺動軸を中心に昇降可能で、前記シートの前記給送方向に沿った側端縁を持ち上げ可能な第2リフト板を備えている。
【0007】
前記シートカセットは、前記第1リフト板を昇降する第1リフト機構と、前記第2リフト板を昇降する第2リフト機構を更に備え、前記第2リフト機構は、前記第2揺動軸と対向する第3揺動軸を中心に回動し、前記第2リフト板を回動するリンクレバーと、前記側板の外側面に設けられ、前記リンクレバーを操作する操作レバーと、を有してもよい。
【0008】
前記操作レバーは前記カセットフレームの挿抜方向に直交する前記カセットフレームの幅方向に平行な第4揺動軸を支点に揺動してもよい。
【0009】
前記リンクレバーの前記第3揺動軸周りに形成されたベベルギヤと、前記操作レバーの前記第4揺動軸周りに形成されたベベルギヤとによって、前記第2リフト板の前記リンクレバーと前記操作レバーが連結されていてもよい。
【0010】
本発明の一態様の画像形成装置は、前記シートカセットと、前記シートカセットから給紙されたシートに画像を形成する画像形成部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、揺動操作に応じて第2リフト板が揺動すると、カセットフレームの底面にセットされたシート束が第2リフトによって持ち上げられる。これにより、シート束の端面を指で把持してカセットフレームからシート束をスムーズに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のプリンターの模式図である。
図2】比較例のシートカセットに対するシート束のセット状態を示す図である。
図3】本実施形態のシートカセットの斜視図である。
図4】本実施形態のシートカセットのシート取出装置の周辺の斜視図である。
図5】本実施形態のシート取出装置の斜視図である。
図6図3のVI-VI断面図である。
図7A】本実施形態のシート束のセット状態から取出状態の変化を示す図である。
図7B】本実施形態のシート束のセット状態から取出状態の変化を示す図である。
図8A】本実施形態のシート束の取出状態を示す図である。
図8B】本実施形態のシート束の取出状態を示す図である。
図9A】本実施形態のシート束の取出状態からセット状態の変化を示す図である。
図9B】本実施形態のシート束の取出状態からセット状態の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態のシートカセットを適用した画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、画像形成装置としてプリンターを例示して説明する。図1は、本実施形態のプリンターの模式図である。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれプリンターの前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。
【0014】
図1に示すように、プリンター1は、各種機器が収容された箱型形状のハウジング5を備えている。ハウジング(装置本体)5の下部には、所定の給送方向に給送されるシートSを積載するシートカセット11が着脱可能に収容され、ハウジング5の上部には排紙トレイ12が設けられている。ハウジング5内には、複数のローラーによってシートカセット11から排紙トレイ12に向かうシートSの搬送経路L1が形成されている。搬送経路L1には上流から下流に向かって給紙装置13、画像形成部14、定着装置15、排紙装置16が設けられている。また、画像形成部14の上方にはトナーコンテナ17及び露光装置18が設けられている。
【0015】
プリンター1の画像形成時には、露光装置18からのレーザー光によって画像形成部14の感光体ドラム19の表面に静電潜像が形成され、静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム19の表面にトナー像が形成される。一方で、給紙装置13によってシートカセット11からシートSが取り出され、画像形成動作にタイミングを合わせて画像形成部14に向けてシートSが搬送される。画像形成部14において感光体ドラム19の表面からシートSの表面にトナー像が転写され、定着装置15においてシートSにトナー像が定着されて、定着済みのシートSが排紙装置16によって排紙トレイ12に排出される。
【0016】
このようなプリンター1からシートカセット11を引き出して、シートカセット11からシート束S1を取り出す場合があるが、シートカセット11にセットされたシート束S1のシートサイズが大きいと、シートカセット11からシート束S1が取り出し難くなる。例えば、図2に示すように、A5よりもシートサイズが小さければ、シートカセット11の側板25、26とシート束S1の間に指を差し込むための十分な隙間を確保することができる。これに対し、B5、A4、LTR、LGL等のようにA5よりもシートサイズが大きな場合には、シートカセット11の側板25、26とシート束S1の間に指を差し込むための十分な隙間を確保することができない。
【0017】
シートサイズが大きなシート束S1をシートカセット11から取り出す場合に、シートカセット11の側板25、26とシート束S1の狭い隙間に指を差し込むことも考えられる。シートカセット11からシート束S1を無理に取り出すと、シート束S1が傷ついて搬送不良や印字不良の原因になる恐れがある。そこで、本実施形態のシートカセット11にシート取出機構50(図3参照)を設けて、シート取出機構50によってシートカセット11の側板25、26よりもシート束S1を高く持ち上げることで、用紙サイズに関わらずシート束S1をシートカセット11からスムーズに取り出し可能にしている。
【0018】
図3から図6を参照して、シートカセットについて説明する。図3は、本実施形態のシートカセットの斜視図である。図4は、本実施形態のシートカセットのシート取出装置の周辺の斜視図である。図5は、本実施形態のシート取出装置の斜視図である。図6は、図3のVI-VI断面図である。また、以下の説明では、カセットフレームの挿抜方向を前後方向とし、カセットフレームの挿抜方向に直交するカセットフレームの幅方向を左右方向として説明する。
【0019】
図3に示すように、シートカセット11は、上面を開口した略ボックス状のカセットフレーム21に、第1リフト板31、サイドカーソル35、37、エンドカーソル39を取り付けて構成されている。カセットフレーム21は、平面視長方形状の底板22と底板22の四辺から立ち上がる前板23、後板24、左右一対の側板25、26とによってシートSの積載空間が形成されている。カセットフレーム21の前板23にはプリンター1(図1参照)のハウジング5の一部を形成するフロントカバー28が取り付けられている。フロントカバー28にはプリンター1からシートカセット11を前後方向にスライドさせるための取っ手29が形成されている。
【0020】
第1リフト板31は、カセットフレーム21の底板22の前半部に設置され、給送方向と直交する幅方向に沿った第1揺動軸CX1を中心に昇降可能で、シートSの給送方向の先端縁を持ち上げ可能に形成されている。第1リフト板31は、サイドカーソル35、37、エンドカーソル39との干渉を避けるように部分的に切り欠いて形成されている。第1リフト板31の後端部はカセットフレーム21の左右一対の側板25、26に支持されており、この後端部を支点にして第1揺動軸CX1周りに第1リフト板31の前端部が揺動される。また、第1リフト板31の下方には第1リフト板31を昇降する第1リフト機構30(図1参照)が設けられている。第1リフト板31の裏面側には作動片が設けられており、第1リフト板31の作動片が第1リフト機構30のリフトモーター(不図示)に連結している。リフトモーターの駆動力によって第1リフト板31が揺動され、第1リフト板31上のシート束S1が給送位置に調整される。
【0021】
左側のサイドカーソル35はシート束S1の左端面を揃えるものであり、右側のサイドカーソル37はシート束S1の右端面を揃えるものである。左側のサイドカーソル35の下端からラック36が底板22に沿って右側に延び、右側のサイドカーソル37の下端からラック38が底板22に沿って左側に延びている。ラック36、38は同じ高さで左右に離間しており、左右のラック36、38の内側にはピニオンギヤ(不図示)が挟み込まれている。左右のラック36、38がピニオンギヤを介して連結されることで、サイドカーソル35、37のいずれか一方の移動に連動して、いずれか他方が逆方向に移動する。これにより、サイドカーソル35、37が離間方向又は接近方向に移動する。
【0022】
エンドカーソル39はシート束S1の後端面を揃えるものであり、カセットフレーム21の底板22側に形成されたレール40にスライド可能に設置されている。レール40はカセットフレーム21の後板24から前方に延びており、エンドカーソル39の前後方向のスライドをガイドしている。このように、サイドカーソル35、37がシート束S1の左右端面に突き当たり、エンドカーソル39がシート束S1の後端面に突き当たることで、シートカセット11内のシート束S1が前後左右に揃えられる。また、第1リフト板31によってシート束S1が持ち上げられて、シートカセット11からシートSが給紙される。
【0023】
図4に示すように、カセットフレーム21の底板22には、幅方向においてレール40と左側板25の間、給送方向において第1リフト板31よりも後端側に、平面視長方形状の収容部41が形成されている。また、カセットフレーム21の左側板25には収容部41に連なる開口部42が形成されている。収容部41及び開口部42には、シートカセット11からシート束S1を取り出し可能に持ち上げるシート取出機構50が設置されている。シート取出機構50は、第2揺動板CX2(図5参照)を中心にシート束S1を持ち上げながら揺動する第2リフト板51と、第2リフト板51を昇降する第2リフト機構60とを備えている。第2リフト機構60は、第2揺動軸CX2(図5参照)と対向する第3揺動軸CX3(図5参照)を中心に回動し、第2リフト板51を回動するリンクレバー61と、左側板25の外側面に設けられ、リンクレバー61を操作する操作レバー71とによって構成されている。
【0024】
図5及び図6に示すように、第2リフト板51は、カセットフレーム21の収容部41に揺動可能に設置され、給送方向に沿った第2揺動軸CX2を中心に昇降可能で、シートSの給送方向に沿った側端縁を持ち上げ可能に形成されている。第2リフト板51は、断面視C字状の基端部52と、基端部52から延びる平面視長方形状の板状部53とによって形成されている。収容部41のカセットフレーム21の中央寄りには前後方向に延びる支持軸54が形成されており、支持軸54に第2リフト板51の基端部52が支持されている。第2リフト板51の板状部53は幅広に形成されており、シート束S1に対して板状部53が広い面積で接触するため、板状部53によってシート束S1を傷付け難くしている。
【0025】
リンクレバー61は、第2リフト板51を支えたまま揺動するように第2リフト板51の下側に設置されている。リンクレバー61は、断面視C字状の基端部62と、基端部62から延びる平面視長方形状の板状部63と、基端部62の外周面に形成された扇状のベベルギヤ65とによって形成されている。カセットフレーム21の開口部42には前後方向に延びる支持軸64が形成されており、支持軸64にリンクレバー61の基端部62が支持されている。リンクレバー61の板状部63は第2リフト板51の板状部53よりも幅狭に形成されており、リンクレバー61の部品サイズの小型化が図られている。
【0026】
操作レバー71は、リンクレバー61に連結され、揺動操作を受け付けている。操作レバー71は、断面視円筒状の基端部72と、基端部72から延びるアーム部73と、基端部72の外周面に形成された扇状のベベルギヤ75とによって形成されている。開口部42には左右方向に延びる支持軸74(図4参照)が形成されており、支持軸74に操作レバー71の基端部72が支持されている。操作レバー71のアーム部73の長さは、カセットフレーム21の挿抜時にハウジング5(図1参照)内のカセットガイド(不図示)に干渉しない大きさに形成されている。
【0027】
このように、リンクレバー61は前後方向に平行な第3揺動軸CX3を支点に揺動し、リンクレバー61にはベベルギヤ65が第3揺動軸CX3周りに形成されている。また、操作レバー71は左右方向に平行な第4揺動軸CX4を支点に揺動し、操作レバー71にはリンクレバー61のベベルギヤ65に噛み合うベベルギヤ75が第4揺動軸CX4周りに形成されている。よって、第4揺動軸CX4周りの操作レバー71の前後方向の揺動が、一対のベベルギヤ75、65によって第3揺動軸CX3周りのリンクレバー61の左右方向の揺動に変換される。操作レバー71が左側板25に沿って揺動されるため、シートカセット11の挿抜時に操作レバー71が邪魔になることが防止される。
【0028】
また、第2リフト板51の第2揺動軸CX2とリンクレバー61の第3揺動軸CX3が平行であり、第2リフト板51の板状部53がリンクレバー61の板状部63に下側から支持されている。第2リフト板51の板状部53は基端部52からリンクレバー61の基端部62付近まで延びており、リンクレバー61の板状部63は基端部62から第2リフト板51の板状部53の長手方向の略半部まで延びている。リンクレバー61の板状部63が第2リフト板51の基端部52から遠い位置に接しているため、リンクレバー61によって第2リフト板51を小さな力で持ち上げることが可能である。
【0029】
このように構成されたシート取出機構50は、操作レバー71の揺動操作によってリンクレバー61に連動して、第2リフト板51が収容部41から突出する突出位置P1(図7A参照)と収容部41に収まる収容位置P2(図7A参照)との間で揺動する。また、第2リフト板51が突出位置P1に揺動した場合に、第2リフト板51とリンクレバー61が直交して第2リフト板51がリンクレバー61の揺動端の端面66によって支持される(図8A参照)。これにより、操作レバー71の揺動操作によってシートカセット11の底板22からシート束S1が持ち上げられ、第2リフト板51及びリンクレバー61によってシート束S1が持ち上げられた状態で保持される。
【0030】
図7図9を参照して、シート束の取出動作について説明する。図7A及び図7Bは、本実施形態のシート束のセット状態から取出状態の変化を示す図である。図8A及び図8Bは、本実施形態のシート束の取出状態を示す図である。図9A及び図9Bは、本実施形態のシート束の取出状態からセット状態の変化を示す図である。
【0031】
図7A及び図7Bに示すように、シート束S1のセット状態ではカセットフレーム21の底板22にシート束S1がセットされている。このセット状態では、操作レバー71が前方に傾けられており、第2リフト板51及びリンクレバー61が収容部41に収容されている。第2リフト板51は収容部41内の収容位置P2に位置付けられており、第2リフト板51が底板22に載置されたシート束S1から離間している。また、シート束S1がカセットフレーム21の底板22に載置された状態では、シート束S1の側端面と一対の側板25、26の隙間が狭く、カセットフレーム21からシート束S1を取り出すことができない。
【0032】
このセット状態から操作レバー71を矢印A1に示す方向に押し込むと、操作レバー71の操作力が一対のベベルギヤ75、65を介してリンクレバー61に伝達される。操作レバー71の左右方向の支持軸74を支点にした揺動に連動して、矢印A2に示すようにリンクレバー61が前後方向の支持軸64を支点にして上方に揺動する。リンクレバー61によって第2リフト板51が押し上げられて、矢印A3に示すように第2リフト板51が支持軸54を支点にして上方に揺動する。これにより、第2リフト板51が収容位置P2から突出位置P1に向けて揺動してシート束S1がカセットフレーム21の底板22から持ち上げられる。
【0033】
図8A及び図8Bに示すように、操作レバー71がストッパ43に突き当たるまで押し込まれると、第2リフト板51がシート束S1を持ち上げながら突出位置P1まで揺動する。このとき、リンクレバー61の揺動端の端面66が第2リフト板51の裏面に突き当たり、第2リフト板51とリンクレバー61が直交する。リンクレバー61の端面66は僅かに丸みを帯びているが、端面66の頂部は第2リフト板51の裏面に面接触するように平坦に形成されている。これにより、第2リフト板51及びリンクレバー61が互いに下方に揺動することが防止されて、第2リフト板51が突出位置P1に保持される。
【0034】
より詳細には、第2リフト板51とリンクレバー61が直交しているため、第2リフト板51の下向への揺動がリンクレバー61によって規制され、第2リフト板51からの圧力によってリンクレバー61が現在位置に保持される。すなわち、第2リフト板51の揺動方向に対する接線方向にリンクレバー61が向いているため、第2リフト板51からリンクレバー61には揺動方向に圧力が作用していない。第2リフト板51を介してシート束S1の荷重がリンクレバー61に作用しても、リンクレバー61が下方に揺動することがなく、リンクレバー61によって第2リフト板51が突出位置P1に保持される。
【0035】
第2リフト板51の突出位置P1は、カセットフレーム21の左側板25よりも高い位置に設定されている。第2リフト板51上のシート束S1が左側板25の上方に位置するため、シート束S1の表裏両面を把持してカセットフレーム21からシート束S1を容易に取り出すことができる。第2リフト板51が突出位置P1に位置付けられた状態では、第2リフト板51とリンクレバー61が倒れることなく自立する。このため、第2リフト板51を突出位置P1に固定するためのロック機構等を設ける必要がなく、シート取出機構50の構成を簡略化してコストを低減することができる。なお、リンクレバー61の端面66は、第2リフト板51の裏面に点接触するように湾曲して形成されていてもよい。この場合、第2リフト板51の裏面には、リンクレバー61の端面66を係止可能な係止溝が形成されていることが好ましい。
【0036】
図9A及び図9Bに示すように、シート束S1の取出状態では、操作レバー71が後方に傾けられている。この取出状態から操作レバー71を矢印A4に示す方向に戻すと、操作レバー71の操作力が一対のベベルギヤ75、65を介してリンクレバー61に伝達される。操作レバー71の左右方向の支持軸74を支点にした揺動に連動して、矢印A5に示すようにリンクレバー61が前後方向の支持軸64を支点にして下方に揺動する。これにより、矢印A6に示すように、第2リフト板51が支持軸54を支点にして、突出位置P1から収容位置P2に向けて下方に揺動してシート束S1のセット状態に戻される。
【0037】
以上、本実施形態によれば、揺動操作に応じてリンクレバー61が揺動すると、リンクレバー61に支えられた第2リフト板51が揺動する。第2リフト板51が突出位置P1に揺動すると、カセットフレーム21の底板22にセットされたシート束S1が第2リフト板51によって持ち上げられる。これにより、シート束S1の端面を指で把持してカセットフレーム21からシート束S1をスムーズに取り出すことができる。また、プリンター1に上記のシートカセット11を設けることで、シートカセット11からシート束S1を傷付けることなく取り出すことができるため、シートカセット11への再セット時に、プリンター1においてシートSの搬送不良や印字不良を防止できる。
【0038】
なお、本実施形態では、第1の揺動部材として第2リフト板51を例示し、第2の揺動部材としてリンクレバー61を例示したが、この構成に限定されない。第1、第2の揺動部材は、板状に限定されず、例えば網状に形成されていてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、リンクレバー61と操作レバー71が一対のベベルギヤ65、75を介して連結される構成にしたが、この構成に限定されない。リンクレバー61と操作レバー71は摩擦によって動力伝達可能に連結されてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、リンクレバー61の第3揺動軸CX3と操作レバー71の第4揺動軸CX4が直交する構成にしたが、この構成に限定されない。リンクレバー61の第3揺動軸CX3と操作レバー71の第4揺動軸CX4が斜めに交差していてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、リンクレバー61と操作レバー71が別体に形成されたが、この構成に限定されない。リンクレバー61と操作レバー71が一体に形成されてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、第2リフト板51の突出位置P1がカセットフレーム21の側板25、26よりも上方に設定される構成にしたが、この構成に限定されない。第2リフト板51の突出位置P1は、少なくともカセットフレーム21の底板22よりも上方に設定されていれば、シート束S1の取り出し性を向上させることが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、第2リフト板51の第2揺動軸CX2とリンクレバー61の第3揺動軸CX3が平行である構成について説明したが、この構成に限定されない。第2リフト板51の第2揺動軸CX2とリンクレバー61の第3揺動軸CX3が非平行でもよい。
【0044】
また、本実施形態では、カセットフレーム21の左側にシート取出機構50が設けられる構成にしたが、この構成に限定されない。カセットフレーム21の右側にシート取出機構50が設けられてもよいし、カセットフレーム21の左右両側にシート取出機構50が設けられてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、画像形成装置として、プリンター1を例示したが、この構成に限定されない。画像形成装置は、コピー機、ファクシミリ等でもよいし、プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた複合機でもよい。
【0046】
また、本実施形態において、シートSは、画像の形成対象となるシート状のものであればよく、例えば、普通紙、コート紙、トレーシングペーパー、OHP(Over Head Projector)シートでもよい。
【0047】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0048】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0049】
1 :プリンター(画像形成装置)
5 :ハウジング(装置本体)
11 :シートカセット
14 :画像形成部
21 :カセットフレーム
22 :底板
25 :側板
26 :側板
30 :第1リフト機構
31 :第1リフト板
51 :第2リフト板
60 :第2リフト機構
61 :リンクレバー
65 :ベベルギヤ
71 :操作レバー
75 :ベベルギヤ
CX1:第1揺動軸
CX2:第2揺動軸
CX3:第3揺動軸
CX4:第4揺動軸
S :シート
S1 :シート束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B