(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画像形成装置及びキャリッジの駆動方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 129
(21)【出願番号】P 2019158042
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒田 直也
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-040083(JP,A)
【文献】特開2013-028011(JP,A)
【文献】特開2011-131572(JP,A)
【文献】特開2011-062996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0120520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備え、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、
前記複数のキャリッジに含まれる任意の隣り合う一対のキャリッジのうち、一方のキャリッジの所定の移動方向への移動が開始された後、所定の時間が経過したタイミングで他方のキャリッジの前記移動方向への移動が開始されるように前記駆動部を制御し、
前記
一対のキャリッジ
が移動してい
る場合に、
前記一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の領域の両側にそれぞれ前記第2の領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち前記第1の領域の両端より内側の所定の制限領域内にあるキャリッジの数が、前記複数のキャリッジに含まれるキャリッジの数未満である所定の上限数以下となるように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備え、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、かつ、前記複数のキャリッジのうち前記第1の領域の両端より内側の所定の制限領域内にあるキャリッジの数が、前記複数のキャリッジに含まれるキャリッジの数未満である所定の上限数以下となるように前記駆動部を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち一のキャリッジの移動を開始させた後の経過時間に基づいて次のキャリッジの移動開始タイミングを定めることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数のキャリッジの各々の前記移動経路における位置に係る位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち一のキャリッジの移動を開始させた後に、当該一のキャリッジの位置に係る前記位置情報に基づいて次のキャリッジの移動開始タイミングを定めることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の領域は、前記画像形成領域の両端より内側に設定されていることを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記駆動制御手段は、いずれかのタイミングで、前記複数のキャリッジのうち2以上のキャリッジが同時に前記画像形成領域内に位置するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項
7又は
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該画像形成装置は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御手段を備えることを特徴とする請求項
7~
9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成領域の外側のうち所定の清掃位置にある前記キャリッジの前記インク吐出ヘッドを清掃する清掃部を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つが前記第1の領域内に位置しているときに、前記複数のキャリッジのうち前記インク吐出ヘッドが搭載された少なくとも1つが前記清掃位置に位置するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成領域の外側のうち所定のインク受容位置にある前記キャリッジの前記インク吐出ヘッドから吐出されたインクを受けるインク受容部を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つが前記第1の領域内に位置しているときに、前記複数のキャリッジのうち前記インク吐出ヘッドが搭載された少なくとも1つが前記インク受容位置に位置するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項
10又は
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記複数のキャリッジのうち他の少なくとも1つには、前記複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記第1のインク吐出ヘッド及び前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させる第1のモードと、前記第1のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させ、かつ前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させることを特徴とする請求項
10~
12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該画像形成装置は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御手段を備え、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記複数のキャリッジのうち他の少なくとも1つには、前記複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記第1のインク吐出ヘッド及び前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させる第1のモードと、前記第1のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させ、かつ前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
前記複数のキャリッジのうち2以上のキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記載置面上の記録媒体に対して、前記2以上のキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドから吐出させたインクを前記記録媒体上で重ねて着弾させることを特徴とする請求項
10~
14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記載置面上の記録媒体に対して、前記少なくとも2つのキャリッジのうち一のキャリッジの前記インク吐出ヘッドから不吐出となったインクを、前記少なくとも2つのキャリッジのうち他のいずれかのキャリッジの前記インク吐出ヘッドから吐出させたインクにより補完させることを特徴とする請求項
10~
15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
各前記インク吐出ヘッドには、インクを各々吐出する複数のノズルが、前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、
前記少なくとも2つのキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドは、前記配列方向についての前記ノズルの位置が互いに異なる位置関係で配置されていることを特徴とする請求項
10~
16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該画像形成装置は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御手段を備え、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
各前記インク吐出ヘッドには、インクを各々吐出する複数のノズルが、前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、
前記少なくとも2つのキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドは、前記配列方向についての前記ノズルの位置が互いに異なる位置関係で配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
前記インク吐出ヘッドは、紫外線を照射することで硬化するインクを吐出し、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体上に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部を有する前記画像形成動作部が搭載されていることを特徴とする請求項
10~
18のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対して所定の機能液を付与する機能液付与部を有する前記画像形成動作部が搭載されていることを特徴とする請求項1~
19のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と交差する搬送方向に前記載置部材の前記載置面を移動させることで、前記記録媒体を前記搬送方向に搬送する搬送部を備えることを特徴とする請求項1~
20のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項22】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、
前記複数のキャリッジに含まれる任意の隣り合う一対のキャリッジのうち、一方のキャリッジの所定の移動方向への移動が開始された後、所定の時間が経過したタイミングで他方のキャリッジの前記移動方向への移動が開始されるように前記駆動部を制御するステップと、
前記
一対のキャリッジ
が移動してい
る場合に、
前記一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御す
るステップ
と、を含むことを特徴とするキャリッジの駆動方法。
【請求項23】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、かつ、前記複数のキャリッジのうち前記第1の領域の両端より内側の所定の制限領域内にあるキャリッジの数が、前記複数のキャリッジに含まれるキャリッジの数未満である所定の上限数以下となるように前記駆動部を制御する駆動制御ステップを含むことを特徴とするキャリッジの駆動方法。
【請求項24】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御する駆動制御ステップを含み、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該駆動方法は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御ステップを含み、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記複数のキャリッジのうち他の少なくとも1つには、前記複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御ステップでは、前記第1のインク吐出ヘッド及び前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させる第1のモードと、前記第1のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させ、かつ前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させることを特徴とするキャリッジの駆動方法。
【請求項25】
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御する駆動制御ステップを含み、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該駆動方法は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御ステップを含み、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
各前記インク吐出ヘッドには、インクを各々吐出する複数のノズルが、前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、
前記少なくとも2つのキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドは、前記配列方向についての前記ノズルの位置が互いに異なる位置関係で配置されていることを特徴とするキャリッジの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びキャリッジの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク吐出ヘッドに設けられたノズルから記録媒体にインクを吐出して画像を形成する画像形成装置が知られている。この画像形成装置には、インク吐出ヘッドを搭載したキャリッジを所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材を備え、この移動経路に沿ってキャリッジを移動させながら、インク吐出ヘッドのノズルから適切なタイミングで記録媒体にインクを吐出させることで画像を形成するものがある。また、支持部材に複数のキャリッジを取り付け、2以上のキャリッジを同時に移動させながら各キャリッジの記録ヘッドからインクを吐出させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同時に移動させるキャリッジの数を増やすと、キャリッジの重さや支持部材の強度によっては支持部材が撓み、キャリッジと記録媒体との距離が近くなってインクの着弾位置がずれたり、キャリッジが記録媒体と接触したりする不具合が生じる。よって、上記従来の技術には、支持部材の撓みに起因して適切に画像を形成することができなくなるという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、複数のキャリッジを用いて適切に画像を形成することができる画像形成装置及びキャリッジの駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備え、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、
前記複数のキャリッジに含まれる任意の隣り合う一対のキャリッジのうち、一方のキャリッジの所定の移動方向への移動が開始された後、所定の時間が経過したタイミングで他方のキャリッジの前記移動方向への移動が開始されるように前記駆動部を制御し、
前記一対のキャリッジが移動している場合に、前記一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御することを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1の領域の両側にそれぞれ前記第2の領域が設けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち前記第1の領域の両端より内側の所定の制限領域内にあるキャリッジの数が、前記複数のキャリッジに含まれるキャリッジの数未満である所定の上限数以下となるように前記駆動部を制御することを特徴としている。
上記目的を達成するため、請求項4に記載の画像形成装置の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備え、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、かつ、前記複数のキャリッジのうち前記第1の領域の両端より内側の所定の制限領域内にあるキャリッジの数が、前記複数のキャリッジに含まれるキャリッジの数未満である所定の上限数以下となるように前記駆動部を制御することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち一のキャリッジの移動を開始させた後の経過時間に基づいて次のキャリッジの移動開始タイミングを定めることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジの各々の前記移動経路における位置に係る位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち一のキャリッジの移動を開始させた後に、当該一のキャリッジの位置に係る前記位置情報に基づいて次のキャリッジの移動開始タイミングを定めることを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の両端より内側に設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の画像形成装置において、
前記駆動制御手段は、いずれかのタイミングで、前記複数のキャリッジのうち2以上のキャリッジが同時に前記画像形成領域内に位置するように前記駆動部を制御することを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項7~9のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該画像形成装置は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御手段を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、
前記画像形成領域の外側のうち所定の清掃位置にある前記キャリッジの前記インク吐出ヘッドを清掃する清掃部を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つが前記第1の領域内に位置しているときに、前記複数のキャリッジのうち前記インク吐出ヘッドが搭載された少なくとも1つが前記清掃位置に位置するように前記駆動部を制御することを特徴としている。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の画像形成装置において、
前記画像形成領域の外側のうち所定のインク受容位置にある前記キャリッジの前記インク吐出ヘッドから吐出されたインクを受けるインク受容部を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つが前記第1の領域内に位置しているときに、前記複数のキャリッジのうち前記インク吐出ヘッドが搭載された少なくとも1つが前記インク受容位置に位置するように前記駆動部を制御することを特徴としている。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項10~12のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記複数のキャリッジのうち他の少なくとも1つには、前記複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記第1のインク吐出ヘッド及び前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させる第1のモードと、前記第1のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させ、かつ前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させることを特徴としている。
上記目的を達成するため、請求項14に記載の画像形成装置の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該画像形成装置は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御手段を備え、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記複数のキャリッジのうち他の少なくとも1つには、前記複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記第1のインク吐出ヘッド及び前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させる第1のモードと、前記第1のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させ、かつ前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させることを特徴としている。
【0018】
請求項15に記載の発明は、請求項10~14のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジのうち2以上のキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記載置面上の記録媒体に対して、前記2以上のキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドから吐出させたインクを前記記録媒体上で重ねて着弾させることを特徴としている。
【0019】
請求項16に記載の発明は、請求項10~15のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御手段は、前記載置面上の記録媒体に対して、前記少なくとも2つのキャリッジのうち一のキャリッジの前記インク吐出ヘッドから不吐出となったインクを、前記少なくとも2つのキャリッジのうち他のいずれかのキャリッジの前記インク吐出ヘッドから吐出させたインクにより補完させることを特徴としている。
【0020】
請求項17に記載の発明は、請求項10~16のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
各前記インク吐出ヘッドには、インクを各々吐出する複数のノズルが、前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、
前記少なくとも2つのキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドは、前記配列方向についての前記ノズルの位置が互いに異なる位置関係で配置されていることを特徴としている。
上記目的を達成するため、請求項18に記載の画像形成装置の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、
前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、
前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
前記駆動制御手段は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該画像形成装置は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御手段を備え、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
各前記インク吐出ヘッドには、インクを各々吐出する複数のノズルが、前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、
前記少なくとも2つのキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドは、前記配列方向についての前記ノズルの位置が互いに異なる位置関係で配置されていることを特徴としている。
【0021】
請求項19に記載の発明は、請求項10~18のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記インク吐出ヘッドは、紫外線を照射することで硬化するインクを吐出し、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体上に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部を有する前記画像形成動作部が搭載されていることを特徴としている。
【0022】
請求項20に記載の発明は、請求項1~19のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対して所定の機能液を付与する機能液付与部を有する前記画像形成動作部が搭載されていることを特徴としている。
【0023】
請求項21に記載の発明は、請求項1~20のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と交差する搬送方向に前記載置部材の前記載置面を移動させることで、前記記録媒体を前記搬送方向に搬送する搬送部を備えることを特徴としている。
【0024】
また、上記目的を達成するため、請求項22に記載のキャリッジの駆動方法の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、
前記複数のキャリッジに含まれる任意の隣り合う一対のキャリッジのうち、一方のキャリッジの所定の移動方向への移動が開始された後、所定の時間が経過したタイミングで他方のキャリッジの前記移動方向への移動が開始されるように前記駆動部を制御するステップと、
前記一対のキャリッジが移動している場合に、前記一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御するステップと、を含むことを特徴としている。
上記目的を達成するため、請求項23に記載のキャリッジの駆動方法の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御し、かつ、前記複数のキャリッジのうち前記第1の領域の両端より内側の所定の制限領域内にあるキャリッジの数が、前記複数のキャリッジに含まれるキャリッジの数未満である所定の上限数以下となるように前記駆動部を制御する駆動制御ステップを含むことを特徴としている。
上記目的を達成するため、請求項24に記載のキャリッジの駆動方法の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御する駆動制御ステップを含み、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該駆動方法は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御ステップを含み、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記複数のキャリッジのうち他の少なくとも1つには、前記複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
前記吐出制御ステップでは、前記第1のインク吐出ヘッド及び前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させる第1のモードと、前記第1のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させ、かつ前記第2のインク吐出ヘッドによりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させることを特徴としている。
上記目的を達成するため、請求項25に記載のキャリッジの駆動方法の発明は、
記録媒体が載置される載置面を有する載置部材と、前記載置面上の記録媒体に対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部が各々搭載されている複数のキャリッジと、前記複数のキャリッジを、前記載置面上を通る所定の移動経路に沿って往復移動可能に支持する支持部材と、前記複数のキャリッジの各々を前記移動経路に沿って独立に移動させる駆動部と、を備えた画像形成装置におけるキャリッジの駆動方法であって、
前記移動経路は、第1の領域と、前記第1の領域に対して前記移動経路の端部側の第2の領域とを含み、
当該駆動方法は、前記複数のキャリッジのうち移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上ある場合に、前記複数のキャリッジのうち任意の隣り合う一対のキャリッジが前記第1の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔が、前記一対のキャリッジが前記第2の領域内にある場合における当該一対のキャリッジの間隔より大きくなるように前記駆動部を制御する駆動制御ステップを含み、
前記画像形成動作部は、当該画像形成動作部を搭載する前記キャリッジが前記移動経路のうち所定の画像形成領域内にある場合に前記動作を行い、
前記第1の領域は、前記画像形成領域の少なくとも一部を含み、
前記複数のキャリッジの少なくとも一部には、前記記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
当該駆動方法は、前記キャリッジの移動に応じたタイミングで前記インク吐出ヘッドによりインクを吐出させる吐出制御ステップを含み、
前記複数のキャリッジのうち少なくとも2つのキャリッジの各々には、同一の色のインクを吐出する前記インク吐出ヘッドを有する前記画像形成動作部が搭載されており、
各前記インク吐出ヘッドには、インクを各々吐出する複数のノズルが、前記移動経路に沿う前記キャリッジの移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、
前記少なくとも2つのキャリッジの各々の前記インク吐出ヘッドは、前記配列方向についての前記ノズルの位置が互いに異なる位置関係で配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に従うと、複数のキャリッジを用いて適切に画像を形成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】インクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【
図3】キャリッジにおけるインク吐出ヘッドの配置を示す図である。
【
図4】インクジェット記録装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図5】第1のモードにおけるキャリッジの動作を示す図である。
【
図6】第1の領域及び第2の領域を詳細に説明する図である。
【
図8】画像形成処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】比較例に係るキャリッジにおけるインク吐出ヘッドの配置を示す図である。
【
図10】比較例及び本実施形態の構成の実施例における印刷プロセスを説明する図である。
【
図11】変形例1に係るキャリッジの駆動方法を説明する図である。
【
図12】変形例2に係る画像形成処理の制御部による制御手順を示すフローチャートである。
【
図13】変形例3に係るキャリッジにおけるインク吐出ヘッドの配置を示す図である。
【
図14】変形例3におけるインクの補完吐出を説明する図である。
【
図15】変形例4に係るキャリッジにおけるインク吐出ヘッドの配置を示す図である。
【
図16】変形例5に係るキャリッジの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の画像形成装置及びキャリッジの駆動方法に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1(画像形成装置)は、搬送部10と、記録部20と、制御部30(
図4参照)などを備える。
【0029】
搬送部10は、駆動ローラー11と、従動ローラー12と、搬送ベルト13(載置部材)と、搬送モーター14などを備える。
駆動ローラー11は、搬送モーター14の駆動によって回転軸を中心に回転する。搬送ベルト13は、駆動ローラー11及び従動ローラー12により内側が支持された輪状のベルトであり、駆動ローラー11が回転動作するのに従って周回移動する。従動ローラー12は、搬送ベルト13の周回移動に伴って駆動ローラー11の回転軸と平行な回転軸を中心に回転する。搬送ベルト13の外周面は、記録媒体Pを載置する載置面13aを構成する。搬送ベルト13としては、駆動ローラー11及び従動ローラー12との接触面で柔軟に屈曲し、かつ確実に記録媒体Pを支持する材質のものが用いられ、例えば、ゴムなどの樹脂製のベルトや、スチールベルトなどを用いることができる。この搬送ベルト13は、記録媒体Pが吸着される材質及び/又は構成を有することで、より記録媒体Pを安定して載置面13aに載置可能とすることができる。
【0030】
搬送モーター14は、制御部30からの制御信号に応じた回転速度で駆動ローラー11を回転動作させる。搬送部10は、搬送ベルト13の載置面13a上に記録媒体Pが載置された状態で、駆動ローラー11の回転速度に応じた速度で搬送ベルト13が周回移動することで記録媒体Pを搬送ベルト13の移動方向(搬送方向、副走査方向)に搬送する搬送動作を行う。換言すれば、搬送部10は、搬送ベルト13の載置面13aを搬送方向に移動させることで記録媒体Pを搬送方向に搬送する。また、搬送部10は、駆動ローラー11の回転角度を検出してその検出結果を制御部30に送信する図示略のロータリーエンコーダーを備える。
【0031】
図1では、記録媒体Pが枚葉紙である例が描かれている。ただし、記録媒体Pは枚葉紙に限られず、記録媒体Pが巻き取られたロール(記録媒体巻出部)から巻き出されて(繰り出されて)搬送ベルト13上に供給されるロール紙などであってもよい。また、記録媒体Pは、紙の他、布帛やシート状の樹脂など、表面に吐出されたインクを固着させることが可能な種々の材質のものを用いることができる。
記録媒体Pのサイズは、特には限られないが、例えば副走査方向と直交する主走査方向について2m程度の幅を有する大型のものも用いられ得る。よって、本実施形態の搬送部10は、主走査方向の幅が約2mの大型の記録媒体Pを搬送可能な構成とされている。なお、搬送部10により、主走査方向の幅が2mより小さい記録媒体Pを搬送してもよい。また、搬送部10は、主走査方向の幅が2mより大きい(例えば、約4m等の)記録媒体Pを搬送可能な構成とされていてもよく、また、搬送可能な記録媒体Pの主走査方向の最大幅が2mより小さい構成とされていてもよい。
【0032】
記録部20は、インクを吐出するインク吐出ヘッド213が各々搭載されている第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21B(以下では、このうち任意の一方を指す場合にはキャリッジ21と記す)と、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが取り付けられている主走査レール22と、クリーニングユニット23(清掃部)と、キャッピングユニット24(インク受容部)などを備える。
記録部20は、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bを主走査レール22に沿って移動させながら、各キャリッジ21のインク吐出ヘッド213から載置面13a上の記録媒体Pにインクを吐出する主走査動作を行う。
また、インクジェット記録装置1は、上記の主走査動作と、搬送部10が記録媒体Pを副走査方向に所定距離搬送する副走査動作と、を交互に実行することで、記録媒体P上に画像を形成する。
【0033】
主走査レール22は、主走査方向に延びる支持部材221を備える。
支持部材221は、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bを、載置面13a上を通り主走査方向に平行な一次元の移動経路に沿って往復移動可能に支持する。本実施形態の支持部材221は、角柱状の部材であるが、この形状に限られない。支持部材221のうちキャリッジ21が取り付けられている取付面(
図1における搬送方向に向いた側面)には、一対のリニアガイド222、リニアモーターマグネット223、及びリニアスケール224が設けられている。
【0034】
リニアガイド222は、キャリッジ21を主走査方向に案内するためのレールである。リニアガイド222は、主走査方向に延びる溝を有している。キャリッジ21は、当該キャリッジ21に設けられた図示略の取付部材がこの溝に嵌合した状態で、リニアガイド222に沿って滑動することができるようになっている。
【0035】
リニアモーターマグネット223は、各キャリッジ21に搭載されているリニアモーター215(駆動部)(
図2参照)の動作により各キャリッジ21を移動させるためのライン状の磁石であり、リニアモーターの固定子に相当する。詳しくは、リニアモーターマグネット223は、主走査方向にN極とS極が繰り返し配列された磁石列である。本実施形態では、リニアモーターマグネット223における各位置の磁極は固定されており、キャリッジ21のリニアモーター215側の磁極が変化することでキャリッジ21が移動する。
【0036】
リニアスケール224は、主走査方向に延びる部材であり、各キャリッジ21に搭載されているリニアエンコーダー216(
図2参照)により読み取られる目盛が表面に刻まれている。
【0037】
支持部材221の主走査方向の両端には、支持部材221を鉛直方向下方から支持する支柱225が設けられている。一対の支柱225の間の領域では、支持部材221を支持する部材が設けられておらず、支持部材221は、その剛性によってキャリッジ21を支える。
【0038】
図2は、キャリッジ21の構成を示す図である。
キャリッジ21は、筐体211と、当該筐体211の内部に格納されている画像形成動作部212、ヘッド駆動基板214、リニアモーター215(駆動部)及びリニアエンコーダー216などを備える。
図2では、説明の便宜上、筐体211の一部を透明に描いて、筐体211の内部構造を示している。
【0039】
画像形成動作部212は、8つのインク吐出ヘッド213を有しており、搬送ベルト13の載置面13a上の記録媒体Pに対する画像の形成に係る動作(ここでは、インク吐出ヘッド213によるインクの吐出動作)を行う。画像形成動作部212は、当該画像形成動作部212を搭載するキャリッジ21が移動経路のうち所定の画像形成領域Rp内にある場合に上記動作を行う。この画像形成領域Rpは、載置面13aと対向する領域、又は当該領域の両端近傍を除いた領域に設定されている。
【0040】
8つのインク吐出ヘッド213の各々は、インクを吐出する複数のノズルが形成されているノズル面を有しており、筐体211の底面211aに設けられた開口部からノズル面を露出させた状態で筐体211に固定されている。各インク吐出ヘッド213は、主走査動作中のノズル面と搬送ベルト13の載置面13aとの距離が所定の間隔(例えば、約2mm)となる位置に取り付けられている。
【0041】
図3は、キャリッジ21におけるインク吐出ヘッド213の配置を示す図である。
図3は、搬送ベルト13の載置面13a側から見た第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bの底面211aを示す図である。
【0042】
第1のキャリッジ21Aには、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のインクをそれぞれ吐出するインク吐出ヘッド213Y、213M、213C、213Kが2つずつ搭載されている。Y、M、Cは、減法混色による色の表現に用いられる3原色であり、Kは、当該3原色の重ね合わせのみでは実際には得られ難い黒色である。これらの4色は、基本色(プロセスカラー)と呼ばれ、インクジェット記録装置をはじめとする各種の画像形成装置による画像の記録に用いられる基本的な色の組合せである。インク吐出ヘッド213Y、213M、213C、213Kは、第1のインク吐出ヘッドに相当する。
【0043】
第2のキャリッジ21Bには、LM(ライトマゼンタ)、LC(ライトシアン)、O(オレンジ)、G(グレー)のインクをそれぞれ吐出するインク吐出ヘッド213LM、213LC、213O、213Gが2つずつ搭載されている。LM、LC、O、Gの各色は、基本色とは色相が異なる補助色である。補助色は、Y、M、Cのうち少なくとも一色との混色により、基本色の組み合わせとは異なる色を表現するために用いられる。インク吐出ヘッド213LM、213LC、213O、213Gは、第2のインク吐出ヘッドに相当する。
【0044】
各インク吐出ヘッド213には、ノズル列が2列設けられている。各ノズル列は、副走査方向(配列方向)について等間隔に一次元配列された複数のノズルNからなる。2つのノズル列は、副走査方向についてのノズルNの位置がノズルNの配置ピッチの1/2ずつ互いにずれる位置関係となっている。ただし、ノズル列の数は2つに限られず、1つ又は3つ以上であってもよい。
インク吐出ヘッド213の各ノズルNからインクを吐出させる機構は、特には限られないが、本実施形態では、ノズルNに連通する圧力室の壁面にピエゾ素子といった圧電素子を設け、圧電素子(したがって圧力室)を変形させて圧力室内のインクに圧力変動を生じさせることでノズルNからインクを吐出する機構が用いられている。
【0045】
同一色の2つのインク吐出ヘッド213は、副走査方向についてのノズルNの配置範囲が
図3の幅Wに亘って連続するように、主走査方向の位置がずらされ、かつ主走査方向から見て端部同士が重複する位置関係で配置されている。また、1つのインク吐出ヘッド213に搭載されている8つのインク吐出ヘッド213は、千鳥格子状に配置されている。
【0046】
図2に戻り、ヘッド駆動基板214は、記録画像の画像データに基づいて、インク吐出ヘッド213に対して圧電素子を駆動するための駆動信号を出力するヘッド制御回路が実装された基板である。ヘッド駆動基板214は、図示略の配線を介してインク吐出ヘッド213に電気的に接続されており、主走査動作におけるキャリッジ21の位置に応じた適切なタイミングで、ヘッド制御回路からインク吐出ヘッド213に対して駆動信号を出力する。
図2では、8つのインク吐出ヘッド213に対して1つのヘッド駆動基板214が設けられている例が描かれているが、これに限られず、インク吐出ヘッド213ごとに、又は所定数のインク吐出ヘッド213ごとにヘッド駆動基板214が設けられていてもよい。
【0047】
リニアモーター215は、キャリッジ21をリニアガイド222及びリニアモーターマグネット223に沿って移動させる駆動源となる電磁モーターである。リニアモーター215の具体的な構成は、特には限られないが、例えば電磁コイルに対する電流を制御することで電磁コイルの磁極を変化させる構成が用いられ得る。このように、本実施形態では、リニアモーターマグネット223の磁極が固定され、キャリッジ21のリニアモーター215側の磁極を変化させることでキャリッジ21が駆動される。これにより、各キャリッジ21を独立に移動させることができるようになっている。すなわち、各キャリッジ21の移動開始及び移動終了のタイミングを独立に定めることができ、また、少なくとも一部のタイミングで、移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上あるように各キャリッジを駆動することができるようになっている。複数の(ここでは2つの)キャリッジ21が有する複数のリニアモーター215により、駆動部が構成される。
【0048】
リニアエンコーダー216は、キャリッジ21が移動する際にリニアスケール224の目盛を読み取り、読取結果に応じて、キャリッジ21の位置を示す信号を制御部30に出力する。リニアエンコーダー216としては、例えば光学式センサーにより目盛を読み取る形式のものが用いられるが、これに限られない。キャリッジ21の位置は、キャリッジ21の代表点の位置とすることができる。この代表点は、各キャリッジ21について共通であればキャリッジ21における任意の位置とすることができ、例えばリニアエンコーダー216の光学式センサーが設けられている位置とすることができる。
【0049】
図1に戻り、クリーニングユニット23は、キャリッジ21が所定の清掃位置に移動したときに、インク吐出ヘッド213のノズル面に対向する位置に設けられている。クリーニングユニット23は、清掃位置に移動したキャリッジ21のノズル面を清掃する清掃動作を行う。清掃位置は、画像形成領域Rpの外側であって、キャリッジ21の移動経路の一方側(
図1における右側)の端部近傍の位置に定められている。
【0050】
クリーニングユニット23は、図示略の払拭部材をノズル面に当接させた状態でノズル面に沿って払拭部材を移動させることで、ノズル面に付着したインクやその他の夾雑物を払拭して除去する。払拭部材としては、ウレタンやゴムといった弾性変形可能な部材からなるブレードを用いることができる。ただし、払拭部材の材質はこれに限られず、ポリオレフィンといった樹脂等からなる多孔質部材(ポーラス)や、各種の布帛、スポンジ等を用いてもよい。
図1では、クリーニングユニット23が、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bに対して1つずつ設けられている例が示されているが、1つのクリーニングユニット23を複数のキャリッジ21により共用してもよい。
【0051】
キャッピングユニット24は、キャリッジ21が所定のインク受容位置に移動したときに、インク吐出ヘッド213のノズル面に対向する位置に設けられている。キャッピングユニット24は、インク吐出ヘッド213のノズルNからのインクの吐き捨て動作(フラッシング)により吐出されるインクを受けて貯留する。また、キャッピングユニット24は、吐き捨て動作の終了後において、インク吐出ヘッド213のノズル面を覆ってノズル面の乾燥を抑える。吐き捨て動作を行うことで、ノズルN内の異物や気泡をインクとともに外部に排出させることができる。吐き捨て動作は、ノズルNからの通常のインク吐出動作の他、ノズルN内のインクに外部から圧力を印加して強制的にノズルNからインクを排出させる動作(加圧パージ)とすることもできる。上記のインク受容位置は、画像形成領域Rpの外側であって、キャリッジ21の移動経路の他方側(
図1における左側)の端部近傍の位置に定められている。
図1では、キャッピングユニット24が、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bに対して1つずつ設けられている例が示されているが、1つのキャッピングユニット24を複数のキャリッジ21により共用してもよい。
【0052】
図4は、インクジェット記録装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部10に設けられた搬送モーター14と、キャリッジ21に設けられたインク吐出ヘッド213、ヘッド駆動基板214、リニアモーター215及びリニアエンコーダー216と、クリーニングユニット23と、制御部30(駆動制御手段、位置情報取得手段、吐出制御手段)と、操作表示部41と、通信部42と、バス43などを備える。以下では、既に説明した構成要素については説明を省略する。
【0053】
制御部30は、CPU31(CentralProcessing Unit)、RAM32(Random Access Memory)、ROM33(Read Only Memory)及び記憶部34を有する。
【0054】
CPU31は、ROM33に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM32に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。
【0055】
RAM32は、CPU31に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM32は、不揮発性メモリーを含んでいても良い。
【0056】
ROM33は、CPU31により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM33に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0057】
記憶部34には、通信部42を介して外部装置から入力されたプリントジョブ(画像形成命令)及び当該プリントジョブに係る画像データが記憶される。記憶部34としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されても良い。
【0058】
このような構成の制御部30は、CPU31がプログラムに従って所定の処理を実行することで、インクジェット記録装置1の全体動作を統括制御する。
例えば、制御部30は、搬送モーター14に制御信号を適切なタイミングで送出することで、搬送モーター14を動作させて駆動ローラー11を回転させ、搬送部10により記録媒体Pを所定速度で所定距離搬送させる。
また、位置情報取得手段としての制御部30は、リニアエンコーダー216から受信した信号により、各キャリッジ21の移動経路における位置に係る位置情報を取得する。
また、吐出制御手段としての制御部30は、ヘッド駆動基板214に画像データ及び制御信号を送出することで、キャリッジ21の位置に応じた適切なタイミングでヘッド駆動基板214からインク吐出ヘッド213に駆動信号を出力させ、インク吐出ヘッド213のノズルNからインクを吐出させる。
また、駆動制御手段としての制御部30は、リニアモーター215に制御信号を送出して動作させ、各キャリッジ21の主走査方向への移動動作を適切なタイミングで開始させる。
また、制御部30は、キャリッジ21が清掃位置に移動したタイミングでクリーニングユニット23に制御信号を送出して、クリーニングユニット23により清掃動作を行わせる。
【0059】
操作表示部41は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、操作キーや、表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネルといった入力装置とを備える。操作表示部41は、表示装置において各種情報を表示させ、また入力装置に対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御部30に出力する。
【0060】
通信部42は、所定の通信規格に従って外部機器とのデータの送受信を行う。通信部42は、利用する通信規格に係る接続端子及び通信接続に係るドライバーのハードウェア(ネットワークカード)などを備える。
【0061】
バス43は、制御部30と他の構成との間で信号の送受信を行うための経路である。
【0062】
次に、インクジェット記録装置1による画像形成動作について説明する。
上述のとおり、インクジェット記録装置1は、記録部20がキャリッジ21を主走査レール22に沿って移動させながらインク吐出ヘッド213から記録媒体Pにインクを吐出させる主走査動作と、搬送部10が記録媒体Pを副走査方向に所定距離搬送する副走査動作と、を交互に実行することで、記録媒体P上に画像を形成する。
【0063】
また、制御部30は、基本色のみにより画像を形成する第1のモードと、基本色及び補助色の組み合わせにより画像を形成する第2のモードと、から選択された一方のモードで各インク吐出ヘッド213によりインクを吐出させ、記録媒体Pに画像を形成させる。したがって、第1のモードでは、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが画像の形成に用いられ、第2のモードでは、第1のキャリッジ21Aのみが画像の形成に用いられる。モードの選択は、例えばユーザーによる操作表示部41に対する入力操作に基づいて行われる。以下では、このうち2つのキャリッジ21を用いる第1のモードの動作について詳しく説明する。
【0064】
図5は、第1のモードにおけるキャリッジ21の動作を示す図である。
図5に示すように、第1のモードでは、第1のキャリッジ21Aが主走査レール22の支持部材221に沿って移動して主走査動作を行っている期間中に、第2のキャリッジ21Bの移動が開始される。したがって、画像形成動作中の一部の期間では、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが同時に主走査方向に移動する。換言すれば、制御部30は、画像形成動作中の一部の期間で、移動しているキャリッジが少なくとも2つ以上あるように各キャリッジ21のリニアモーター215を制御する。
【0065】
ただし、上述のとおり、一対の支柱225の間の領域では、支持部材221を支持する部材が設けられておらず、支持部材221は、支柱225から離れた位置で鉛直方向に過剰な荷重が掛かると撓みが生じてしまう。
近年では、より高いスループットでの画像形成や、色調表現の高精細化の要求により、キャリッジ21に搭載するインク吐出ヘッド213の数が増えてキャリッジ21の重量が増大する傾向にある。また、特に、テキスタイル、ホームファブリック向けのインクジェット記録装置1では、画像形成幅を拡大するために主走査レール22の支持部材221を長くする要求がある。これらのキャリッジ21の重量増、及び支持部材221の長大化は、いずれも支持部材221の撓みが生じやすくなる方向であり、近年では、支持部材221の撓みが特に問題となりやすくなっている。
【0066】
これに対し、本実施形態では、支持部材221の撓みを抑えるために、隣り合うキャリッジ21が移動経路における第1の領域A1内にある場合におけるキャリッジ21の間隔が、第2の領域A2、A3にある場合におけるキャリッジ21の間隔より大きくなるようにキャリッジ21が駆動される。ここで、第2の領域A2は、第1の領域A1に対して移動経路の一方の端部側の領域であり、第2の領域A3は、第1の領域A1に対して移動経路の他方の端部側の領域である。
また、本実施形態では、第1の領域A1の両端より内側の所定の制限領域R1内にあるキャリッジ21の数が、所定の上限数以下となるようにキャリッジ21が駆動される。上記の上限数は、インクジェット記録装置1が有するキャリッジ21の数未満の数とされる。本実施形態ではキャリッジ21の数は2つであるので、上限数は1とされる。すなわち、任意のタイミングで制限領域R1内にあるキャリッジが1つ以下となるようにキャリッジ21が駆動される。
【0067】
図6は、第1の領域A1及び第2の領域A2、A3を詳細に説明する図である。
図6における太線は、第1の領域A1、第2の領域A2、A3などの領域を示す。また、各線の両端の丸印のうち黒塗りの丸印は、領域がその端の位置を含むことを示し、白抜きの丸印は、領域がその端の位置を含まないことを示す。また、位置pr1は、主走査方向についての第1の領域A1と第2の領域A2との境界の位置であり、位置pr2は、主走査方向についての第1の領域A1と第2の領域A3との境界の位置である。
図6に示すように、第1の領域A1は、位置pr1、pr2を含み、かつ位置pr1、pr2の内側の領域を含む領域である。また、第2の領域A2は、位置pr1を含まず、位置pr1より外側の領域である。また、第2の領域A3は、位置pr2を含まず、位置pr2より外側の領域である。キャリッジ21の移動経路Rmvは、第1の領域A1、第2の領域A2、A3からなる。
また、上述の制限領域R1は、位置pr1、pr2を含まず、位置pr1、pr2の内側の領域を含む。したがって、制限領域R1は、第1の領域A1から当該第1の領域A1の両端の位置pr1、pr2を除いた領域である。以下では、移動経路Rmvのうち制限領域R1を除いた一方の端部側の領域を非制限領域R2とし、他方の端部側の領域を非制限領域R3とする。
【0068】
制限領域R1は、支持部材221に掛かる重量が制限される重量制限領域である。制限領域R1は、その領域内に上限数以上のキャリッジ21が位置する場合に支持部材221が撓んで、記録画像の画質が所定の基準以下に低下してしまう領域である。この画質の低下は、支持部材221が撓むことでインク吐出ヘッド213のノズル面と記録媒体Pとの距離が小さくなり、ノズルNから吐出されたインクの着弾位置が所望の位置からずれることにより生じる。また、支持部材221の撓み量によっては、ノズル面が記録媒体Pに接触してしまう場合もある。支持部材221の撓み量の許容値は、例えば±100μm程度である。
本実施形態では、このような制限領域R1に位置するキャリッジ21の数を上限数以下に抑えることで、支持部材221の撓みの発生が効果的に抑制されるようになっている。
【0069】
第1の領域A1及び制限領域R1は、画像形成領域Rpの一部に相当する。本実施形態では、第1の領域A1及び制限領域R1は、画像形成領域Rpの両端より内側に設定されている。したがって、1つのキャリッジ21が制限領域R1内にある場合であっても、他方のキャリッジ21は、画像形成領域Rpのうち制限領域R1の外側の領域に位置することができる。このタイミングでは、同一の記録媒体Pに対して2つのキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から同時並行的にインクを吐出することができる。以下では、2つのキャリッジ21のインク吐出ヘッド213が並行してインクを吐出する期間を「並行吐出期間」とも記す。並行吐出期間を長くとるほど、画像の形成時間を短縮することができる。このため、制御部30は、制限領域R1に2つのキャリッジ21が入らないようにしつつ、いずれかのタイミングで2つのキャリッジ21が同時に画像形成領域Rp内に位置するように、各キャリッジ21のリニアモーター215を制御する。
【0070】
また、非制限領域R2、R3は、支持部材221がインクジェット記録装置1の構造物(ここでは支柱225)に固定されている領域、及び当該固定されている領域の近傍領域であり、上記の上限数以上の数のキャリッジ21が位置していても、画質に影響する量の撓みが支持部材221に生じない領域である。
【0071】
次に、2つのキャリッジ21の駆動方法を詳しく説明する。
図7は、キャリッジ21の駆動方法を説明する図である。
図7は、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bの位置の時間変化を示している。以下では、便宜上、キャリッジ21の移動経路のうち
図1の左端から右端に向かう経路を往路、右端から左端に向かう経路を復路と記す。
図7の縦軸は、キャリッジ21の移動経路のうち
図1の左側の端を原点としたときの主走査方向の位置を表す。位置pp1は、画像形成領域Rpの左側の端部位置であり、位置pp2は、画像形成領域Rpの右側の端部位置である。
図7では、画像形成領域Rp内に斜線を付している。
【0072】
図7に示すように、画像の形成動作が開始される時点(時間軸の原点)では、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bは、第2の領域A2の待機位置に位置している。ここで、第2の領域A2の待機位置は、上述のインク受容位置、すなわちキャッピングユニット24と対向する位置である。また、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが第2の領域A2内にある場合における第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔はD2である。
【0073】
画像の形成が開始される場合には、まずタイミングta1において第1のキャリッジ21Aの移動が開始される。移動開始後、第1のキャリッジ21Aは所定の加速度で加速し、位置pp1に到達する前に所定の速度に達する。以降、第1のキャリッジ21Aは、画像形成領域Rp内において等速で移動しつつインク吐出ヘッド213からインクを吐出して、往路印刷を行う。
【0074】
次に、タイミングtb1において、第2のキャリッジ21Bの移動が開始される。すなわち、第1のキャリッジ21Aの移動開始後、時間(tb1-ta1)が経過したタイミングで第2のキャリッジ21Bの移動が開始される。移動開始後、第2のキャリッジ21Bは所定の加速度で加速し、位置pp1に到達する前に所定の速度に達する。以降、第2のキャリッジ21Bは、画像形成領域Rp内において等速で移動しつつインク吐出ヘッド213からインクを吐出して、往路印刷を行う。
往路印刷時の第1のキャリッジ21Aの速度及び第2のキャリッジ21Bの速度は、互いに等しくなっている。
【0075】
また、第2のキャリッジ21Bが位置pr1に到達したタイミングtx1において、先行する第1のキャリッジ21Aは位置pr2に到達する。換言すれば、第2のキャリッジ21Bが位置pr1に到達したときに第1のキャリッジ21Aが位置pr2に到達するように、第2のキャリッジ21Bの移動開始タイミングに係る時間(tb1-ta1)が定められている。
タイミングtx1では、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが第1の領域A1内(両端)にある。このタイミングtx1における第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔はD1であり、間隔D2より大きくなっている。このように、2つのキャリッジ21の移動開始タイミングをずらすことで、第1の領域A1におけるキャリッジ21同士の間隔D1が、第2の領域A2におけるキャリッジ21同士の間隔D2より大きくなっている。
なお、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bの速度が等速となった後は、第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔はD1で一定である。よって、第2の領域A2において待機しているときの第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔D2よりも、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bがともに等速で移動しているときの第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔D1の方が大きい、と言い換えることもできる。
【0076】
また、タイミングtx1より前には、制限領域R1(第1の領域A1のうち両端を除いた領域)には第1のキャリッジ21Aのみが位置し、タイミングtx1より後には、制限領域R1には第2のキャリッジ21Bのみが位置することとなる。よって、往路印刷における任意のタイミングにおいて、制限領域R1には上限数である1つのキャリッジ21のみが位置することとなる。
【0077】
第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bは、往路印刷が終了すると、第2の領域A3における待機位置で停止する。ここで、第2の領域A3における待機位置は、上述の清掃位置、すなわちクリーニングユニット23と対向する位置である。また、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが第2の領域A3内にある場合における第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔はD2である。
【0078】
各キャリッジ21が停止すると、搬送部10による副走査動作が行われる。副走査動作では、記録媒体Pが副走査方向に所定距離搬送される。記録媒体P上の各位置に対して1回の主走査動作のインク吐出で画像の形成が完了する1パス方式の場合には、上記の所定距離は、
図3に示す幅Wとされる。また、記録媒体P上の各位置に対し、2回の主走査動作のインク吐出で画像の形成が完了する2パス方式の場合には、上記の所定距離はW/2とされる。
【0079】
副走査動作が終了すると、タイミングtb2において、第2のキャリッジ21Bの復路の移動が開始される。移動開始後、第2のキャリッジ21Bは所定の加速度で加速し、位置pp2に到達する前に所定の速度に達する。以降、第2のキャリッジ21Bは、画像形成領域Rp内において等速で移動しつつインク吐出ヘッド213からインクを吐出して、復路印刷を行う。
【0080】
次に、タイミングta2において、第1のキャリッジ21Aの移動が開始される。すなわち、第2のキャリッジ21Bの移動開始後、時間(ta2-tb2)が経過したタイミングで第1のキャリッジ21Aの移動が開始される。移動開始後、第1のキャリッジ21Aは所定の加速度で加速し、位置pp2に到達する前に所定の速度に達する。以降、第1のキャリッジ21Aは、画像形成領域Rp内において等速で移動しつつインク吐出ヘッド213からインクを吐出して、復路印刷を行う。
復路印刷時の第1のキャリッジ21Aの速度及び第2のキャリッジ21Bの速度も、互いに等しくなっている。
【0081】
また、第1のキャリッジ21Aが位置pr2に到達したタイミングtx2において、先行する第2のキャリッジ21Bは位置pr1に到達する。換言すれば、第1のキャリッジ21Aが位置pr2に到達したときに第2のキャリッジ21Bが位置pr1に到達するように、第1のキャリッジ21Aの移動開始タイミングに係る時間(ta2-tb2)が定められている。
タイミングtx2では、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが第1の領域A1内(両端)にある。このタイミングtx2における第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔はD1であり、往路印刷の際と同様、間隔D2より大きくなっている。
なお、上記は、第2の領域A3において待機しているときの第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔D2よりも、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが復路においてともに等速で移動しているときの第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔D1の方が大きい、と言い換えることもできる。
【0082】
また、タイミングtx2より前には、制限領域R1には第2のキャリッジ21Bのみが位置し、タイミングtx2より後には、制限領域R1には第1のキャリッジ21Aのみが位置することとなる。よって、復路印刷における任意のタイミングにおいて、制限領域R1には上限数である1つのキャリッジ21のみが位置することとなる。
【0083】
第2のキャリッジ21B及び第1のキャリッジ21Aは、復路印刷が終了すると、第2の領域A2における待機位置で停止する。
各キャリッジ21が停止すると、搬送部10による副走査動作が行われる。
以降、記録媒体Pへの画像の形成が完了するまで、同様の動作が繰り返し実行される。
上記における時間(tb1-ta1)、時間(ta2-tb2)は、予め定められて記憶部34などに設定データとして記憶されていてもよいし、各キャリッジ21の加速度及び速度に基づいて都度算出してもよい。
【0084】
また、
図7のタイミングta1で第1のキャリッジ21Aの移動が開始され、タイミングtb1で第2のキャリッジ21Bの移動が開始されるまでの期間において、第2の領域A2の待機位置(インク受容位置)にある第2のキャリッジ21Bによりキャッピングユニット24に対する吐き捨て動作を行わせてもよい。すなわち、いずれかのキャリッジ21が第1の領域A1に位置しているときに、他のいずれかのキャリッジ21がインク受容位置に位置するようにリニアモーター215を制御することで、キャリッジ21の待機時間を利用して吐き捨て動作を行わせることができる。なお、第1のキャリッジ21Aについても、第2の領域A2の待機位置に位置している期間に吐き捨て動作を行わせてもよい。
【0085】
また、
図7のタイミングtb2で第2のキャリッジ21Bの移動が開始され、タイミングta2で第1のキャリッジ21Aの移動が開始されるまでの期間において、第2の領域A3の待機位置(清掃位置)にある第1のキャリッジ21Aに対してクリーニングユニット23による清掃動作を行わせてもよい。すなわち、いずれかのキャリッジ21が第1の領域A1に位置しているときに、他のいずれかのキャリッジ21が清掃位置に位置するようにリニアモーター215を制御することで、キャリッジ21の待機時間を利用して清掃動作を行わせることができる。なお、第2のキャリッジ21Bについても、第2の領域A3の待機位置に位置している期間にクリーニングユニット23による清掃動作を行わせてもよい。
【0086】
次に、インクジェット記録装置1の各部により上述の画像形成動作を行わせるための画像形成処理の制御手順について説明する。
図8は、画像形成処理の制御部30による制御手順を示すフローチャートである。
画像形成処理は、通信部42を介して制御部30にプリントジョブ及び画像データが入力された場合に開始される。
【0087】
画像形成処理が開始されると、制御部30は、搬送モーター14に制御信号を送出して搬送部10を動作させ、画像形成開始位置まで記録媒体Pを搬送させる(ステップS101)。
【0088】
制御部30は、先頭のキャリッジ21の移動及び主走査動作を開始させる(ステップS102)。すなわち、制御部30は、先頭のキャリッジ21のリニアモーター215に制御信号を送出してキャリッジ21の移動を開始させる。また、キャリッジ21の移動時間に応じた適切なタイミングでヘッド駆動基板214に対して制御信号及び画像データを送出し、インク吐出ヘッド213によりインクを吐出させる。
【0089】
制御部30は、未移動の後続のキャリッジ21があるか否かを判別し(ステップS103)、後続のキャリッジ21があると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、ステップS102におけるキャリッジ21の移動開始から所定時間(例えば、上述の時間(tb1-ta1)又は時間(ta2-tb2))が経過したかを判別する(ステップS104)。キャリッジ21の移動開始から所定時間が経過していないと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、制御部30は、再度ステップS104の処理を実行する。キャリッジ21の移動開始から所定時間が経過したと判別された場合には(ステップS104で“YES”)、制御部30は、処理をステップS102に移行させて、次のキャリッジ21の移動及び主走査動作を開始させる。
【0090】
ステップS103の処理において未移動の後続のキャリッジ21がないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、制御部30は、各キャリッジ21の移動が完了して非制限領域R2又はR3の待機位置で停止したか否かを判別する(ステップS105)。いずれかのキャリッジ21の移動が完了していないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、制御部30は、再度ステップS105の処理を実行する。
【0091】
全てのキャリッジ21の移動が完了したと判別された場合には(ステップS105で“YES”)、制御部30は、記録媒体Pに対する画像の形成が完了したか否かを判別する(ステップS106)。画像の形成が完了していないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、制御部30は、搬送部10により副走査動作を実行させる(ステップS107)。すなわち、制御部30は、搬送モーター14に制御信号を送出して搬送部10を動作させ、記録媒体Pを所定距離搬送させる。副走査動作が終了すると、制御部30は、往路/復路の切り替えを行って(ステップS108)、処理をステップS102に移行させる。
【0092】
ステップS106の処理において画像の形成が完了したと判別された場合には(ステップS106で“YES”)、制御部30は、画像形成処理を終了させる。
画像形成処理におけるステップS102~S104が、駆動制御ステップに相当する。
【0093】
次に、上述したキャリッジ21の駆動方法による画像の形成時間の短縮効果について、比較例と対比して説明する。
図9は、比較例に係るキャリッジ21におけるインク吐出ヘッド213の配置を示す図である。
また、
図10は、比較例及び本実施形態の構成の実施例における画像形成プロセスを説明する図である。
【0094】
図9に示すように、比較例のキャリッジ21では、インク吐出ヘッド213Y、213M、213C、213K、213LM、213LC、213O、213Gがそれぞれ1つずつ搭載されており、これらの8つのインク吐出ヘッド213が千鳥格子状に配列されている。
比較例のインクジェット記録装置は、この1つのキャリッジ21のみを用いて画像を形成する。具体的には、記録媒体P上の各位置に対し、まず搬送方向下流側のインク吐出ヘッド213Y、213M、213C、213Kから基本色のインクを吐出した後、幅W/2だけ記録媒体Pを搬送する副走査動作を実行して、搬送方向上流側のインク吐出ヘッド213LM、213LC、213O、213Gから補助色のインクを吐出する。
【0095】
このため、
図10の上段に示すように、比較例のインクジェット記録装置では、往路又は復路の片道の主走査動作によって副走査方向について幅W/2ずつ画像の部分が完成していく。よって、例えば幅2Wの画像を形成するために、2往復の主走査動作が必要であり、その間に3回の副走査動作が実行される。
【0096】
他方で、本実施形態の実施例によれば、
図3に示すように各色のインク吐出ヘッド213が2つ設けられていることで、幅Wに亘って各色のインクを吐出可能となっている。このため、
図10の下段に示すように、2つのキャリッジ21による片道の主走査動作によって副走査方向について幅Wずつ画像の部分を完成させることができる。よって、幅2Wの画像を形成するために、1往復の主走査動作のみで足り、その間の副走査動作は1回のみで足りる。
また、実施例では、比較例と比較して副走査動作が少なくて済むことに加え、片道の主走査動作において、上述したように第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bにより同時並行的にインクを吐出する並行吐出期間Tが存在する。この並行吐出期間Tの分だけ、比較例に対してさらに画像形成時間を短縮することができる。
【0097】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。以下の各変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わせることができる。
【0098】
(変形例1)
変形例1は、3つのキャリッジ21を用いて画像を形成する点で上記実施形態と異なり、他の点は上記実施形態と同一である。以下では上記実施形態との相違点について説明する。
【0099】
本変形例では、支持部材221に第1のキャリッジ21A、第2のキャリッジ21B及び第3のキャリッジ21Cが取り付けられている。各キャリッジ21に搭載されるインク吐出ヘッド213は、特には限られないが、例えば第3のキャリッジ21Cに、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bの各インク吐出ヘッド213とは異なる色のインクを吐出する8つのインク吐出ヘッド213を搭載することができる。
【0100】
また、本変形例では、任意のタイミングにおいて、制限領域R1内に位置するキャリッジ21の数が2つ以内となるようにキャリッジ21が駆動される。したがって、本変形例におけるキャリッジ21の上限数は「2」である。
【0101】
図11は、変形例1に係るキャリッジ21の駆動方法を説明する図である。
図11に示すように、3つのキャリッジ21が第2の領域A2内にある場合における隣り合うキャリッジ21の間隔、すなわち第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔、及び第2のキャリッジ21Bと第3のキャリッジ21Cとの間隔は、D2である。
【0102】
まず、タイミングta1において第1のキャリッジ21Aの移動が開始される。
次に、タイミングtb1において、すなわち第1のキャリッジ21Aの移動開始後、時間(tb1-ta1)が経過したタイミングで、第2のキャリッジ21Bの移動が開始される。
次に、タイミングtc1において、すなわち第2のキャリッジ21Bの移動開始後、時間(tc1-tb1)が経過したタイミングで、第3のキャリッジ21Cの移動が開始される。
往路印刷時の各キャリッジ21の速度は、互いに等しくなっている。
【0103】
また、第2のキャリッジ21Bが位置pr1に到達したタイミングtx1において、先行する第1のキャリッジ21Aは位置pr3(位置pr1と位置pr2の中点)に到達する。換言すれば、第2のキャリッジ21Bが位置pr1に到達したときに第1のキャリッジ21Aが位置pr3に到達するように、第2のキャリッジ21Bの移動開始タイミングに係る時間(tb1-ta1)が定められている。
【0104】
また、第3のキャリッジ21Cが位置pr1に到達したタイミングtx2において、先行する第2のキャリッジ21Bは位置pr3に到達する。換言すれば、第3のキャリッジ21Cが位置pr1に到達したときに第2のキャリッジ21Bが位置pr3に到達するように、第3のキャリッジ21Cの移動開始タイミングに係る時間(tc1-tb1)が定められている。
【0105】
また、タイミングtx2において、第1のキャリッジ21Aは位置pr2に到達し、タイミングtx2より後には第1の領域A1の外側に移動する。
また、タイミングtx3において、第2のキャリッジ21Bは位置pr2に到達し、タイミングtx3より後には第1の領域A1の外側に移動する。
【0106】
タイミングtx1からtx2までの間、第1の領域A1内には第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bが位置し、その間隔はD1(>D2)である。また、タイミングtx2からtx3までの間、第1の領域A1内には第2のキャリッジ21B及び第3のキャリッジ21Cが位置し、その間隔はD1(>D2)である。このように、本変形例においても、各キャリッジ21の移動開始タイミングをずらすことで、第1の領域A1における任意の隣り合う一対のキャリッジ21同士の間隔D1が、第2の領域A2における当該一対のキャリッジ21同士の間隔D2より大きくなっている。
【0107】
また、タイミングtx2より前には、制限領域R1には、第1のキャリッジ21Aのみ、又は第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bのみが位置し、タイミングtx2より後には、制限領域R1には、第3のキャリッジ21Cのみ、又は第2のキャリッジ21B及び第3のキャリッジ21Cのみが位置することとなる。よって、往路印刷における任意のタイミングにおいて、制限領域R1には上限数である2つ以下のキャリッジ21が位置する。
【0108】
各キャリッジ21は、往路印刷が終了すると、第2の領域A3における待機位置で停止する。3つのキャリッジ21が第2の領域A3内にある場合における隣り合うキャリッジ21の間隔、すなわち第1のキャリッジ21Aと第2のキャリッジ21Bとの間隔、及び第2のキャリッジ21Bと第3のキャリッジ21Cとの間隔は、D2である。
各キャリッジ21が停止すると、搬送部10による副走査動作が行われる。
【0109】
副走査動作が終了すると、タイミングtc2において、第3のキャリッジ21Cの復路の移動が開始される。
次に、タイミングtb2において、すなわち第3のキャリッジ21Cの移動開始後、時間(tb2-tc2)が経過したタイミングで、第2のキャリッジ21Bの移動が開始される。
次に、タイミングta2において、すなわち第2のキャリッジ21Bの移動開始後、時間(ta2-tb2)が経過したタイミングで、第1のキャリッジ21Aの移動が開始される。
復路印刷時の各キャリッジ21の速度も、互いに等しくなっている。
【0110】
また、第2のキャリッジ21Bが位置pr2に到達したタイミングtx4において、先行する第3のキャリッジ21Cは位置pr3に到達する。換言すれば、第2のキャリッジ21Bが位置pr2に到達したときに第3のキャリッジ21Cが位置pr3に到達するように、第2のキャリッジ21Bの移動開始タイミングに係る時間(tb2-tc2)が定められている。
【0111】
また、第1のキャリッジ21Aが位置pr2に到達したタイミングtx5において、先行する第2のキャリッジ21Bは位置pr3に到達する。換言すれば、第1のキャリッジ21Aが位置pr2に到達したときに第2のキャリッジ21Bが位置pr3に到達するように、第1のキャリッジ21Aの移動開始タイミングに係る時間(ta2-tb2)が定められている。
【0112】
また、タイミングtx5において、第3のキャリッジ21Cは位置pr1に到達し、タイミングtx5より後には制限領域R1の外側に移動する。
また、タイミングtx6において、第2のキャリッジ21Bは位置pr1に到達し、タイミングtx6より後には制限領域R1の外側に移動する。
【0113】
タイミングtx4からtx5までの間、第1の領域A1内には第3のキャリッジ21C及び第2のキャリッジ21Bが位置し、その間隔はD1(>D2)である。また、タイミングtx5からtx6までの間、第1の領域A1内には第2のキャリッジ21B及び第1のキャリッジ21Aが位置し、その間隔はD1(>D2)である。このように、復路においても、各キャリッジ21の移動開始タイミングをずらすことで、第1の領域A1における任意の隣り合う一対のキャリッジ21同士の間隔が、第2の領域A3における当該一対のキャリッジ21同士の間隔より大きくなっている。
【0114】
また、タイミングtx5より前には、制限領域R1には、第3のキャリッジ21Cのみ、又は第2のキャリッジ21B及び第3のキャリッジ21Cのみが位置し、タイミングtx5より後には、制限領域R1には第1のキャリッジ21Aのみ、又は第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bのみが位置することとなる。よって、復路印刷における任意のタイミングにおいて、制限領域R1には上限数である2つ以下のキャリッジ21が位置する。
【0115】
各キャリッジ21は、復路印刷が終了すると、第2の領域A2における待機位置で停止する。全てのキャリッジ21が停止すると、搬送部10による副走査動作が行われる。
以降、記録媒体Pへの画像の形成が完了するまで、同様の動作が繰り返し実行される。
【0116】
なお、上記は上限数を「2」とした場合の例であるが、キャリッジ21の数が3つの場合にも、上限数を「1」としてもよい。
また、キャリッジの数は4つ以上とすることもできる。この場合にも、任意のタイミングで制限領域R1に位置するキャリッジ21の数が上限数以下となるように、各キャリッジ21の移動開始タイミングが制御される。キャリッジの数が4つである場合の上限数は、「1」~「3」のいずれかに設定される。
【0117】
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2について説明する。本変形例は、各キャリッジ21の移動開始タイミングの決定方法が上記実施形態と異なり、他の点は上記実施形態と同一である。以下では上記実施形態との相違点について説明する。
【0118】
本変形例では、制御部30は、複数のキャリッジ21のうち一のキャリッジ21の移動を開始させた後、当該キャリッジ21のリニアエンコーダー216から受信した信号に基づいて、当該キャリッジ21の位置に係る位置情報を取得する。そして、制御部30は、この位置情報に基づいて、次のキャリッジ21の移動開始タイミングを定める。
【0119】
詳しくは、
図7に示す2つのキャリッジ21を用いる例では、タイミングta1で第1のキャリッジ21Aの移動が開始された後、第1のキャリッジ21Aが位置paに到達したタイミングtb1において第2のキャリッジ21Bの移動を開始させる。位置paは、タイミングtb1で第2のキャリッジ21Bの移動を開始してから位置pr1に到達するまでに要する時間をtm1(=tx1-tb1)としたときに、第1のキャリッジ21Aが位置pr2に到達するタイミングより時間tm1だけ前のタイミングにおける第1のキャリッジ21Aの位置である。
【0120】
復路についても同様であり、タイミングtb2で第2のキャリッジ21Bの移動が開始された後、第2のキャリッジ21Bが位置pbに到達したタイミングta2において第1のキャリッジ21Aの移動を開始させる。位置pbは、タイミングta2で第1のキャリッジ21Aの移動を開始してから位置pr2に到達するまでに要する時間をtm2(=tx2-ta2)としたときに、第2のキャリッジ21Bが位置pr1に到達するタイミングより時間tm2だけ前のタイミングにおける第2のキャリッジ21Bの位置である。
本変形例の制御方法によっても、各時点における各キャリッジ21の位置が
図7と同一となるように各キャリッジ21を駆動することができる。
【0121】
また、
図11に示す3つのキャリッジ21を用いる例では、タイミングta1で第1のキャリッジ21Aの移動が開始された後、第1のキャリッジ21Aが位置pa1に到達したタイミングtb1において第2のキャリッジ21Bの移動を開始させる。位置pa1は、タイミングtb1で第2のキャリッジ21Bの移動を開始してから位置pr1に到達するまでに要する時間をtn1(=tx1-tb1)としたときに、第1のキャリッジ21Aが位置pr3に到達するタイミングより時間tn1だけ前のタイミングにおける第1のキャリッジ21Aの位置である。
また、タイミングtb1で第2のキャリッジ21Bの移動が開始された後、第2のキャリッジ21Bが位置pb1に到達したタイミングtc1において第3のキャリッジ21Cの移動を開始させる。位置pb1は、タイミングtc1で第3のキャリッジ21Cの移動を開始してから位置pr1に到達するまでに要する時間をtn2(=tx2-tc1)としたときに、第2のキャリッジ21Bが位置pr3に到達するタイミングより時間tn2だけ前のタイミングにおける第2のキャリッジ21Bの位置である。
【0122】
復路についても同様であり、タイミングtc2で第3のキャリッジ21Cの移動が開始された後、第3のキャリッジ21Cが位置pc2に到達したタイミングtb2において第2のキャリッジ21Bの移動を開始させる。位置pc2は、タイミングtb2で第2のキャリッジ21Bの移動を開始してから位置pr3に到達するまでに要する時間をtn3(=tx4-tb2)としたときに、第3のキャリッジ21Cが位置pr3に到達するタイミングより時間tn3だけ前のタイミングにおける第3のキャリッジ21Cの位置である。
また、タイミングtb2で第2のキャリッジ21Bの移動が開始された後、第2のキャリッジ21Bが位置pb2に到達したタイミングta2において第1のキャリッジ21Aの移動を開始させる。位置pb2は、タイミングta2で第1のキャリッジ21Aの移動を開始してから位置pr3に到達するまでに要する時間をtn4(=tx5-ta2)としたときに、第2のキャリッジ21Bが位置pr3に到達するタイミングより時間tn4だけ前のタイミングにおける第2のキャリッジ21Bの位置である。
本変形例の制御方法によっても、各時点における各キャリッジ21の位置が
図11と同一となるように各キャリッジ21を駆動することができる。
【0123】
図12は、変形例2に係る画像形成処理の制御部30による制御手順を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、
図8のフローチャートのステップS104をステップS104aに変更したものに相当する。以下では、
図8のフローチャートとの相違点について説明する。
図12の画像形成処理では、ステップS102の処理において、制御部30は、先頭のキャリッジ21のリニアモーター215に制御信号を送出してキャリッジ21の移動を開始させるとともに、リニアエンコーダー216からの信号の受信を開始して、キャリッジ21の位置に係る位置情報を取得する。
また、ステップS103の処理において、未移動の後続のキャリッジ21があると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、制御部30は、ステップS102で移動開始したキャリッジ21が所定位置に到達したか判別する(ステップS104a)。例えば
図7の例では、制御部30は、移動開始した第1のキャリッジ21Aが
図7に示す位置paに到達したか否かを判別する。キャリッジ21が所定位置に到達していないと判別された場合には(ステップS104aで“NO”)、制御部30は、再度ステップS104aの処理を実行する。キャリッジ21が所定位置に到達したと判別された場合には(ステップS104aで“YES”)、制御部30は、処理をステップS102に移行させて、次のキャリッジ21の移動及び主走査動作を開始させる。
【0124】
(変形例3)
次に、上記実施形態の変形例3について説明する。本変形例は、2つのキャリッジ21に同一の色のインクを吐出するインク吐出ヘッド213が搭載され、一方のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213によるインクの不吐出を他方のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213により補完する点で上記実施形態と異なり、他の点は上記実施形態と同一である。以下では上記実施形態との相違点について説明する。
【0125】
図13は、変形例3に係るキャリッジ21におけるインク吐出ヘッド213の配置を示す図である。
本変形例では、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bに、いずれも基本色のインク吐出ヘッド213Y、213M、213C、213Kが2つずつ搭載されており、8つのインク吐出ヘッド213の配置が同一となっている。また、第1のキャリッジ21AにおけるノズルNの副走査方向の位置と、第2のキャリッジ21BにおけるノズルNの副走査方向の位置とが一致するように各インク吐出ヘッド213が配置されている。このように、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bに同一の色のインクを吐出するインク吐出ヘッド213を有する画像形成動作部212を搭載することで、載置面13a上の記録媒体Pに対して、各キャリッジ21のインク吐出ヘッド213から吐出させたインクを記録媒体P上で重ねて着弾させることができる。これにより、各キャリッジ21のインク吐出ヘッド213からのインク吐出量を調整することで画像の濃度を調整することができる。
【0126】
図14は、変形例3におけるインクの補完吐出を説明する図である。
図14に示すように、本変形例では、第1のキャリッジ21Aのインク吐出ヘッド213においてノズルNaがインクを吐出できない不良ノズルとなっている場合に、第2のキャリッジ21Bのインク吐出ヘッド213において搬送方向の位置が同一であるノズルNbにより補完吐出が行われる。すなわち、制御部30は、載置面13a上の記録媒体Pに対して、一部のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から不吐出となったインクを、他のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から吐出させたインクにより補完させる。これにより、不良ノズルに起因する画質の劣化が抑制される。
なお、補完吐出を行うノズルは、搬送方向の位置が同一であるノズルNbに限られず、搬送方向についてノズルNbからの距離が近い近傍ノズルをさらに補完吐出に用いてもよい。
また、補完の対象は、インクを吐出できない不良ノズルに限られない。インクの吐出量や吐出方向が不良であるノズルNからのインクの吐出を止めて、他方のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213により補完させてもよい。
【0127】
(変形例4)
次に、上記実施形態の変形例4について説明する。本変形例は、2つのキャリッジ21に同一の色のインクを吐出するインク吐出ヘッド213が搭載される点、及び各キャリッジ21におけるインク吐出ヘッド213の位置関係が上記実施形態と異なり、他の点は上記実施形態と同一である。以下では上記実施形態との相違点について説明する。
【0128】
図15は、変形例4に係るキャリッジ21におけるインク吐出ヘッド213の配置を示す図である。
本変形例4では、変形例3と同様に、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bにいずれも基本色のインク吐出ヘッド213Y、213M、213C、213Kが2つずつ搭載されており、8つのインク吐出ヘッド213の配置が同一となっている。
ただし、
図15に示されるように、本変形例では、第1のキャリッジ21AのノズルNの副走査方向(ノズルNの配列方向)について位置が、第2のキャリッジ21BのノズルNの副走査方向についての位置と異なっている。すなわち、各キャリッジ21のインク吐出ヘッド213は、副走査方向についてのノズルNの位置が互いに異なる位置関係で配置されている。これにより、副走査方向についての画像の記録解像度を2倍に高めることができる。
【0129】
なお、3つ以上のキャリッジ21を設けて、各キャリッジ21のノズルNの位置を異ならせてもよい。これにより、副走査方向についての記録解像度をさらに高めることができる。
また、
図15の例では、各キャリッジ21内でのインク吐出ヘッド213の取付位置の調整によりノズルNの位置を異ならせているが、キャリッジ21の副走査方向についての相対位置を調整することでノズルNの位置を異ならせてもよい。
【0130】
(変形例5)
次に、上記実施形態の変形例5について説明する。本変形例は、キャリッジ21に搭載されている画像形成動作部212が紫外線照射部217及び機能液付与部218を有している点で上記実施形態と異なり、他の点は上記実施形態と同一である。以下では上記実施形態との相違点について説明する。
【0131】
図16は、変形例5に係るキャリッジ21の構成を示す図である。
本変形例では、第1のキャリッジ21Aの画像形成動作部212は、記録媒体P上に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部217と、記録媒体Pに対して所定の機能液を付与する機能液付与部218と、を有している。紫外線照射部217は、8つのインク吐出ヘッド213の主走査方向下流側(往路における先頭側)に配置されており、機能液付与部218は、紫外線照射部217の主走査方向下流側に配置されている。
また、第2のキャリッジ21Bの画像形成動作部212も同様に、紫外線照射部217及び機能液付与部218を有している。第2のキャリッジ21Bでは、紫外線照射部217は、8つのインク吐出ヘッド213の主走査方向上流側(復路における先頭側)に配置されており、機能液付与部218は、紫外線照射部217の主走査方向上流側に配置されている。
なお、紫外線照射部217と機能液付与部218の位置関係を逆にしてもよい。
【0132】
本変形例のインク吐出ヘッド213は、紫外線を照射することで粘度が増大して硬化する紫外線硬化性インクを吐出する。紫外線照射部217は、インク吐出ヘッド213から記録媒体P上に吐出されたインクに対して紫外線を照射して硬化させる。紫外線照射部217による紫外線の照射動作は、載置面13a上の記録媒体Pに対する画像の形成に係る動作の一態様である。
往路印刷では、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bのインク吐出ヘッド213により記録媒体P上に吐出されたインクに対して、キャリッジ21の進行方向について後端側に位置する、第2のキャリッジ21Bの紫外線照射部217により紫外線が照射される。
また、復路印刷では、第2のキャリッジ21B及び第1のキャリッジ21Aのインク吐出ヘッド213により記録媒体P上に吐出されたインクに対して、キャリッジ21の進行方向について後端側に位置する、第1のキャリッジ21Aの紫外線照射部217により紫外線が照射される。
【0133】
機能液付与部218は、記録画像の画質を向上させるための機能液を、インクの吐出前に記録媒体Pに付与する。機能液としては、例えば記録媒体Pに対してインクを浸透させやすくするための前処理剤、布帛などの記録媒体Pに対してインクを浸透させにくくして滲みを抑えるための前処理剤、インクと接触することでインク中の顔料粒子等の分散材料を凝集させてインクの粘度を増大させる凝集剤などが挙げられる。機能液付与部218により機能液を付与する動作は、載置面13a上の記録媒体Pに対する画像の形成に係る動作の一態様である。
往路印刷では、キャリッジ21の進行方向について先頭側に位置する、第1のキャリッジ21Aの機能液付与部218により記録媒体Pに機能液が付与され、続いて、第1のキャリッジ21A及び第2のキャリッジ21Bのインク吐出ヘッド213によりインクが吐出される。
また、復路印刷では、キャリッジ21の進行方向について先頭側に位置する、第2のキャリッジ21Bの機能液付与部218により記録媒体Pに機能液が付与され、続いて、第2のキャリッジ21B及び第1のキャリッジ21Aのインク吐出ヘッド213によりインクが吐出される。
【0134】
なお、本変形例では、各キャリッジ21に搭載されている画像形成動作部212が、インク吐出ヘッド213、紫外線照射部217及び機能液付与部218を有している例を用いて説明したが、これに限られない。
例えば、一部のキャリッジ21には、紫外線照射部217のみを有する画像形成動作部212が搭載されていてもよい。この場合には、インク吐出ヘッド213を搭載したキャリッジ21を挟む両側に、紫外線照射部217を搭載したキャリッジ21を設けることで、往路及び復路のいずれにおいても、吐出後のインクに対して紫外線照射部217により紫外線を照射することができる。
また、一部のキャリッジ21には、機能液付与部218のみを有する画像形成動作部212が搭載されていてもよい。この場合には、インク吐出ヘッド213を搭載したキャリッジ21を挟む両側に、機能液付与部218を搭載したキャリッジ21を設けることで、往路及び復路のいずれにおいても、インクの吐出前の記録媒体Pに対して機能液付与部218により機能液を付与することができる。
また、インクジェット記録装置1は、紫外線照射部217及び機能液付与部218のうち一方を有しない構成であってもよい。
【0135】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置1は、記録媒体Pが載置される載置面13aを有する搬送ベルト13と、載置面13a上の記録媒体Pに対する画像の形成に係る動作を行う画像形成動作部212が各々搭載されている複数のキャリッジ21と、複数のキャリッジ21を、載置面13a上を通る所定の移動経路Rmvに沿って往復移動可能に支持する支持部材221と、複数のキャリッジ21の各々を移動経路Rmvに沿って独立に移動させるリニアモーター215と、リニアモーター215を制御する駆動制御手段としての制御部30と、を備え、移動経路Rmvは、第1の領域A1と、第1の領域A1に対して移動経路Rmvの端部側の第2の領域A2、A3とを含み、制御部30は、複数のキャリッジ21のうち移動しているキャリッジ21が少なくとも2つ以上ある場合に、複数のキャリッジ21のうち任意の隣り合う一対のキャリッジ21が第1の領域A1内にある場合における当該一対のキャリッジ21の間隔D1が、一対のキャリッジ21が第2の領域A2、A3内にある場合における当該一対のキャリッジ21の間隔D2より大きくなるようにリニアモーター215を制御する(駆動制御手段)。
これによれば、多数のキャリッジ21が、移動経路Rmvの中央側の第1の領域A1に集中して位置するタイミングが生じないようにすることができる。よって、任意のタイミングにおいて支持部材221のうち制限領域R1に掛かる重量を所定値以下に抑えることができる。よって、支持部材221の撓みを所望の範囲内に抑えることができる。これにより、支持部材221の撓みに起因して、キャリッジ21と記録媒体Pとの距離が近くなってインクの着弾位置がずれたり、キャリッジ21が記録媒体Pと接触したりする不具合の発生を抑えることができる。これにより、複数のキャリッジ21のうち2以上のキャリッジを同時に移動させても適切に画像を形成できるため、短時間で画像を形成することができ、画像形成のスループットを高めることができる。また、支持部材221に求められる強度を抑えることができるため、支持部材221のコストを削減することができ、又はコスト上昇を抑えつつ支持部材221をより長尺化することができる。支持部材221を長尺化することで、主走査方向のサイズがより大きい記録媒体Pに対しても短時間で画像を形成することができる。また、複数のキャリッジ21を1つの支持部材221に取り付けても駆動時の撓みを抑えることができるため、支持部材221、リニアガイド222、リニアモーターマグネット223、及びリニアスケール224などを複数のキャリッジ21で共用することができる。よって、装置の製造コストを効果的に抑えることができる。
【0136】
また、第1の領域A1の両側にそれぞれ第2の領域A2が設定されている。これによれば、移動経路Rmvの往路及び復路の各々において、移動開始前は第2の領域A2(A3)においてキャリッジ21間の間隔が小さい状態で待機させ、移動開始後に第1の領域A1においてキャリッジ21間の間隔が広がるようにキャリッジ21を移動させ、移動終了後に反対側の第2の領域A3(A2)においてキャリッジ21間の間隔が小さい状態で待機させる一連の動作を行わせることができる。よって、支持部材221の撓みを抑えつつ、往路及び復路の主走査動作を繰り返し行うことができる。
【0137】
また、制御部30は、複数のキャリッジ21のうち第1の領域A1の両端より内側の制限領域R1にあるキャリッジ21の数が、複数のキャリッジ21に含まれるキャリッジ21の数未満である所定の上限数以下となるようにリニアモーター215を制御する(駆動制御手段)。これによれば、任意のタイミングで、支持部材221のうち制限領域R1に掛かる重量をより確実に所定値以下に抑えることができる。よって、支持部材221の撓みを所望の範囲内に抑えることができる。
【0138】
また、制御部30は、複数のキャリッジ21のうち一のキャリッジ21の移動を開始させた後の経過時間に基づいて次のキャリッジ21の移動開始タイミングを定める。これによれば、簡易な制御で、支持部材221の撓みを抑えつつ高いスループットで画像を形成することができる。
【0139】
また、変形例2に係る制御部30は、複数のキャリッジ21の各々の移動経路Rmvにおける位置に係る位置情報を取得し(位置情報取得手段)、複数のキャリッジ21のうち一のキャリッジ21の移動を開始させた後に、当該一のキャリッジ21の位置に係る位置情報に基づいて次のキャリッジ21の移動開始タイミングを定める(駆動制御手段)。これによれば、簡易な制御で、支持部材221の撓みを抑えつつ高いスループットで画像を形成することができる。
【0140】
また、画像形成動作部212は、当該画像形成動作部212を搭載するキャリッジ21が移動経路Rmvのうち所定の画像形成領域Rp内にある場合に動作を行い、第1の領域A1は、画像形成領域Rpの少なくとも一部を含む。これによれば、画像形成領域Rpにおいて支持部材221が撓んで画質が低下する不具合の発生を抑えることができる。
【0141】
また、第1の領域A1は、画像形成領域Rpの両端より内側に設定されている。これによれば、画像形成領域Rp内に、少なくとも2つのキャリッジ21を同時に位置させることができる。このタイミングで、各キャリッジ21のインク吐出ヘッド213から同時並行的にインクを吐出することで、より短時間で画像を形成することができる。
【0142】
また、制御部30は、いずれかのタイミングで、複数のキャリッジ21のうち2以上のキャリッジ21が同時に画像形成領域Rp内に位置するようにリニアモーター215を制御する(駆動制御手段)。これによれば、同一の記録媒体Pに対して2以上のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から同時並行的にインクを吐出することができる。よって、より短時間で画像を形成することができる。
【0143】
また、複数のキャリッジ21の少なくとも一部には、記録媒体Pに対してインクを吐出するインク吐出ヘッド213を有する画像形成動作部212が搭載されており、制御部30は、キャリッジ21の移動に応じたタイミングでインク吐出ヘッド213によりインクを吐出させる(吐出制御手段)。これによれば、支持部材221の撓みによる画質の低下を抑えて適切に画像を形成することができる。
【0144】
画像形成領域Rpの外側のうち所定の清掃位置にあるキャリッジ21のインク吐出ヘッド213を清掃するクリーニングユニット23を備え、制御部30は、複数のキャリッジ21のうち少なくとも1つが第1の領域A1内に位置しているときに、複数のキャリッジ21のうちインク吐出ヘッド213が搭載された少なくとも1つが清掃位置に位置するようにリニアモーター215を制御する(駆動制御手段)。これによれば、画像形成動作の実行中にインク吐出ヘッド213の清掃を行うことができる。よって、画像形成動作が行われていない期間にインク吐出ヘッド213の清掃を行う従来の技術と比較して、画像形成のスループットをより高めることができる。また、クリーニングユニット23を複数のキャリッジ21で共用することができるため、コストをさらに抑えることができる。
【0145】
また、画像形成領域Rpの外側のうち所定のインク受容位置にあるキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から吐出されたインクを受けるキャッピングユニット24を備え、制御部30は、複数のキャリッジ21のうち少なくとも1つが第1の領域A1内に位置しているときに、複数のキャリッジ21のうちインク吐出ヘッド213が搭載された少なくとも1つがインク受容位置に位置するようにリニアモーター215を制御する(駆動制御手段)。これによれば、画像形成動作の実行中にインク吐出ヘッド213により吐き捨て動作を行わせることができる。よって、画像形成動作が行われていない期間にインク吐出ヘッド213により吐き捨て動作を行わせる従来の技術と比較して、画像形成のスループットをより高めることができる。また、キャッピングユニット24を複数のキャリッジ21で共用することができるため、コストをさらに抑えることができる。
【0146】
また、複数のキャリッジ21のうち少なくとも1つには、複数の基本色のインクを吐出する複数の第1のインク吐出ヘッド213を有する画像形成動作部212が搭載されており、複数のキャリッジ21のうち他の少なくとも1つには、複数の基本色以外の補助色のインクを吐出する第2のインク吐出ヘッド213を有する画像形成動作部212が搭載されており、制御部30は、第1のインク吐出ヘッド213及び第2のインク吐出ヘッド213によりインクを吐出させる第1のモードと、第1のインク吐出ヘッド213によりインクを吐出させ、かつ第2のインク吐出ヘッド213によりインクを吐出させない第2のモードと、から選択された一方のモードでインク吐出ヘッド213によりインクを吐出させる(吐出制御手段)。これによれば、基本色及び補助色の組み合わせによる画像形成と、基本色のみによる画像形成とを容易に切り替えて実行することができる。また、基本色及び補助色の組み合わせる第1のモードにおける支持部材221の撓みの発生を効果的に抑えることができる。
【0147】
また、変形例3では、複数のキャリッジ21のうち少なくとも2つのキャリッジ21の各々には、同一の色のインクを吐出するインク吐出ヘッド213を有する画像形成動作部212が搭載されており、制御部30は、載置面13a上の記録媒体Pに対して、少なくとも2つのキャリッジ21の各々のインク吐出ヘッド213から吐出させたインクを記録媒体P上で重ねて着弾させる(吐出制御手段)。これによれば、各キャリッジ21のインク吐出ヘッド213からのインク吐出量を調整することで形成画像の濃度を調整することができる。
【0148】
また、変形例3の制御部30は、載置面13a上の記録媒体Pに対して、少なくとも2つのキャリッジ21のうち一部のキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から不吐出となったインクを、少なくとも2つのキャリッジ21のうち他のいずれかのキャリッジ21のインク吐出ヘッド213から吐出させたインクにより補完させる(吐出制御手段)。これによれば、いずれかのキャリッジ21のインク吐出ヘッド213にインク吐出不良のノズルNが生じた場合にも、画質の低下を抑えることができる。
【0149】
また、変形例4では、複数のキャリッジ21のうち少なくとも2つのキャリッジ21の各々には、同一の色のインクを吐出するインク吐出ヘッド213を有する画像形成動作部212が搭載されており、各インク吐出ヘッド213には、インクを各々吐出する複数のノズルNが、移動経路Rmvに沿うキャリッジ21の移動方向と直交する配列方向について所定の間隔で設けられており、少なくとも2つのキャリッジ21の各々のインク吐出ヘッド213は、配列方向についてのノズルNの位置が互いに異なる位置関係で配置されている。これによれば、簡易な構成で、副走査方向についての画像の記録解像度を高めることができる。
【0150】
また、変形例5では、インク吐出ヘッド213は、紫外線を照射することで硬化するインクを吐出し、複数のキャリッジ21の少なくとも一部には、記録媒体P上に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射部217を有する画像形成動作部212が搭載されている。これによれば、キャリッジ21の主走査動作においてインクを硬化させることができる。よって、キャリッジ21の外部に別途紫外線を照射するための装置を設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0151】
また、変形例5では、複数のキャリッジ21の少なくとも一部には、記録媒体Pに対して所定の機能液を付与する機能液付与部218を有する画像形成動作部212が搭載されている。これによれば、キャリッジ21の主走査動作において記録媒体Pに機能液を付与することができる。よって、キャリッジ21の外部に別途機能液を付与するための装置を設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0152】
また、インクジェット記録装置1は、キャリッジ21の移動方向と交差する搬送方向に搬送ベルト13の載置面13aを移動させることで、記録媒体Pを搬送方向に搬送する搬送部10を備える。これによれば、キャリッジ21の主走査動作と、搬送部10の副走査動作とを繰り返すことで、記録媒体Pの所望の範囲に画像を形成することができる。
【0153】
また、本実施形態に係るキャリッジ21の駆動方法は、複数のキャリッジ21のうち移動しているキャリッジ21が少なくとも2つ以上ある場合に、複数のキャリッジ21のうち任意の隣り合う一対のキャリッジ21が第1の領域A1内にある場合における当該一対のキャリッジ21の間隔が、一対のキャリッジ21が第2の領域A2内にある場合における当該一対のキャリッジ21の間隔より大きくなるようにリニアモーター215を制御する駆動制御ステップを含む。このような方法によれば、支持部材221の撓みに起因する不具合の発生を抑えて、適切に画像を形成することができる。また、コストを抑えつつ、短時間で画像を形成して画像形成のスループットを高めることができる。
【0154】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態のキャリッジ21に搭載されているインク吐出ヘッド213の数、配置、色数は例示であり、形成する画像の内容などに応じて適宜変更することができる。
【0155】
また、上記実施形態では、第1の領域A1及び制限領域R1は、画像形成領域Rpの両端より内側に設定されていたが、これに限られず、第1の領域A1又は制限領域R1が画像形成領域Rpと一致していてもよいし、第1の領域A1及び制限領域R1の少なくとも一方が、画像形成領域Rp全体を含み画像形成領域Rpより広い領域であってもよい。
【0156】
また、上記実施形態では、制限領域R1が、第1の領域A1のうち両端を除いた領域である例を用いて説明したが、これに限られず、制限領域R1は、第1の領域A1の両端より内側の任意の領域とすることができる。
【0157】
また、上記実施形態では、クリーニングユニット23を、キャリッジ21の主走査方向の移動経路の一方側にのみ設ける例を用いて説明したが、これに代えて、移動経路の両側に設けてもよい。このようにすることで、往路印刷終了後、及び復路印刷終了後の各待機時間において、キャリッジ21のインク吐出ヘッド213に対する清掃動作を行うことができる。
【0158】
また、上記実施形態では、キャッピングユニット24を、キャリッジ21の主走査方向の移動経路の一方側にのみ設ける例を用いて説明したが、これに代えて、移動経路の両側に設けてもよい。このようにすることで、往路印刷終了後、及び復路印刷終了後の各待機時間において、キャリッジ21のインク吐出ヘッド213により吐き捨て動作を行わせることができる。
【0159】
また、補助色は、LM、LC、O、Gに限られず、B(ブルー)、R(レッド)など、基本色以外の任意の補助色のインクを用いることができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0161】
1 インクジェット記録装置(画像形成装置)
10 搬送部
11 駆動ローラー
12 従動ローラー
13 搬送ベルト(載置部材)
13a 載置面
14 搬送モーター
20 記録部
21、21A、21B、21C キャリッジ
211 筐体
211a 底面
212 画像形成動作部
213 インク吐出ヘッド
214 ヘッド駆動基板
215 リニアモーター(駆動部)
216 リニアエンコーダー
217 紫外線照射部
218 機能液付与部
22 主走査レール
221 支持部材
222 リニアガイド
223 リニアモーターマグネット
224 リニアスケール
225 支柱
23 クリーニングユニット
24 キャッピングユニット
30 制御部(駆動制御手段、位置情報取得手段、吐出制御手段)
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 記憶部
41 操作表示部
42 通信部
43 バス
N ノズル
P 記録媒体
A1 第1の領域
A2、A3 第2の領域
R1 制限領域
R2、R3 非制限領域
Rmv 移動経路
Rp 画像形成領域