(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】コネクタ装置、コネクタ、及びコネクタ構造
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20231011BHJP
H01R 13/6581 20110101ALN20231011BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R13/6581
(21)【出願番号】P 2019163823
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】林 立堯
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/230733(WO,A1)
【文献】特開2016-195087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0318021(US,A1)
【文献】特開2005-050720(JP,A)
【文献】特開2020-042992(JP,A)
【文献】特開2020-126728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板に実装されるとともに、信号線及びシールド線を有し、信号線とシールド線が軸方向に端末から順に露出された同軸ケーブルの端末部分に取り付けられた相手コネクタと接続可能なコネク
タであって、
信号コンタクト導体と、
前記相手コネクタの
相手グランドコンタクト導体と嵌合可能な本体部を有するグランドコンタクト導体と
、
前記信号コンタクト導体及び前記グランドコンタクト導体の間に介在する絶縁性のハウジングと
、
前記グランドコンタクト導体と同電位
となるように、前記グランドコンタクト導体と一体化されており、
前記コネクタと前記相手コネクタと
が接続している状態で、前記相
手グランドコンタクト導体に対して前記本体部が嵌合する位置よりも前記同軸ケーブルのシールド線に近い位置において当接する
接続導体と、
を備えるコネク
タ。
【請求項2】
前記接続導体は、前記相
手グランドコンタクト導体を支持する一対の支持部材を含む、請求項
1に記載のコネク
タ。
【請求項3】
前記一対の支持部材はそれぞれ弾性を有し、前記相
手グランドコンタクト導体を挟むように押圧支持する、請求項
2に記載のコネク
タ。
【請求項4】
前記接続導体は、前記相
手グランドコンタクト導体へ向けて突出する接点部を有し、
前記一対の支持部材が前記相
手グランドコンタクト導体を前記接点部へ向かうように押圧支持することで、前記接点部と前記相
手グランドコンタクト導体とが当接する、請求項
3に記載のコネク
タ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項記載のコネクタと、
前記相手コネクタと、を備え、
前記相手コネクタは、前記信号線と導通し、前記信号コンタクト導体と接触可能な相手信号コンタクト導体を有し、
前記相手グランドコンタクト導体は、前記シールド線と導通し、前記本体部と嵌合可能な嵌合部を有し、
前記接続導体は、前記嵌合部よりも前記同軸ケーブルのシールド線に近い位置で、前記相手グランドコンタクト導体に対して当接する、コネクタ装置。
【請求項6】
前記相手グランドコンタクト導体は、
前記同軸ケーブルの周方向に沿って延び、前記同軸ケーブルに対して固定する固定部と、
前記コネクタと前記相手コネクタとが接続している状態で前記嵌合部と前記固定部との間で前記配線基板へ向けて突出して前記接続導体に当接する突起と、を更に有する、請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
配線基板に実装されるとともに、信号線及びシールド線を有し、信号線とシールド線が軸方向に端末から順に露出された同軸ケーブルの端末部分に取り付けられた相手コネクタと接続可能なコネクタ構造であって、
信号コンタクト導体と、
前記相手コネクタのグランドコンタクト導体と嵌合可能な本体部を有するグランドコンタクト導体と、
接続導体と、
前記信号コンタクト導体及び前記グランドコンタクト導体の間に介在する絶縁性のハウジングと、を備え、
前記接続導体は、
前記グランドコンタクト導体と同電位であって、前記相手コネクタと接続している状態で、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体に対して前記本体部が嵌合する位置よりも前記同軸ケーブルのシールド線に近い位置において当接し、
前記接続導体は、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体を支持する一対の支持部材を含み、
前記一対の支持部材はそれぞれ弾性を有し、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体を挟むように押圧支持し、
前記接続導体は、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体へ向けて突出する接点部を有し、
前記一対の支持部材が前記相手コネクタのグランドコンタクト導体を前記接点部へ向かうように押圧支持することで、前記接点部と前記相手コネクタのグランドコンタクト導体とが当接する、コネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置、コネクタ、及びコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同軸ケーブルを接続するための同軸コネクタが開示されている。特許文献1に記載の同軸コネクタの外部導体は、相対コネクタとの嵌合方向に軸線をもつ筒状部が、回路基板に接続された相対コネクタの外部導体と接することによって接地電位とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、同軸ケーブルを搭載する装置の小型化等に伴って、アンテナ部品等が密集配置される場合が増加している。このような場合、アンテナ部品等からのノイズが外部導体を伝搬することによって重畳されることにより種々の影響を与える可能性が考えられる。
【0005】
本開示は、外部からのノイズに対する耐性が高められたコネクタ装置、コネクタ、及びコネクタ構造を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係るコネクタ装置は、信号線及びシールド線を有し、信号線とシールド線が軸方向に端末から順に露出された同軸ケーブルの端末部分に取り付けられる第1コネクタと、配線基板に実装されて前記第1コネクタに対して接続可能な第2コネクタと、を有するコネクタ装置であって、前記第1コネクタは、前記信号線と導通する第1信号コンタクト導体と、前記シールド線と導通すると共に前記第2コネクタと嵌合可能な嵌合部を有する第1グランドコンタクト導体と、を有し、前記第2コネクタは、前記第1信号コンタクト導体に対して接続可能な第2信号コンタクト導体と、前記第1グランドコンタクト導体の前記嵌合部に対して嵌合可能な本体部を含む第2グランドコンタクト導体と、を有し、前記第1グランドコンタクト導体の前記嵌合部よりも前記同軸ケーブルのシールド線に近い位置で、前記第1グランドコンタクト導体と前記第2グランドコンタクト導体とが電気的に接続される。
【0007】
本開示に係るコネクタ装置では、第1グランドコンタクト導体の嵌合部よりも同軸ケーブルのシールド線に近い位置で、第1グランドコンタクト導体と第2グランドコンタクト導体とが電気的に接続されて同電位とすることができる。そのため、例えば、周囲のアンテナ部品等から受けるノイズ信号が第1グランドコンタクト導体を伝搬しながら重畳されて、第1信号コンタクト導体及び第2信号コンタクト導体を伝搬する信号に影響を与えることを防ぐことができる。すなわち、上記の構成をコネクタ装置が有することで、外部からのノイズに対する耐性を高めることができる。
【0008】
また、本開示の一形態に係るコネクタは、信号線及びシールド線を有し、信号線とシールド線が軸方向に端末から順に露出された同軸ケーブルの端末部分に取り付けられ、配線基板に実装された相手コネクタと接続可能なコネクタであって、前記信号線と導通する信号コンタクト導体と、前記シールド線と導通するグランドコンタクト導体と、前記信号コンタクト導体と前記グランドコンタクト導体との間に介在する絶縁性のハウジングと、を備え、前記グランドコンタクト導体は、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部から連続し、前記シールド線に対して接続されるシェル部と、前記シェル部に設けられて、前記相手コネクタに対して接続している状態で前記相手コネクタのグランドコンタクト導体と直接または前記配線基板を介して電気的に接続可能な接地部と、を有する。
【0009】
本開示に係るコネクタでは、シェル部に接地部が設けられることで、相手コネクタのグランドコンタクト導体と電気的に接続することができる。そのため、例えば、周囲のアンテナ部品等から受けるノイズ信号がグランドコンタクト導体を伝搬しながら重畳されることによって信号コンタクト導体を伝搬する信号に影響を与えることを防ぐことができる。すなわち、上記の構成をコネクタが有することで、外部からのノイズに対する耐性を高めることができる。
【0010】
ここで、前記シェル部は、前記同軸ケーブルの周方向に沿って延び、前記同軸ケーブルに対して固定する固定部を有し、前記接地部は、前記相手コネクタに対して接続している状態で前記嵌合部と前記固定部との間で前記配線基板へ向けて突出する突起である態様とすることができる。
【0011】
上記のように、接地部がシェル部に設けられた嵌合部と固定部との間で配線基板へ向けて突出する突起として構成されることで、複雑な構成を有することなく、外部からのノイズに対する耐性を高めることができる。
【0012】
また、本開示の一形態に係るコネクタ構造は、配線基板に実装されるとともに、信号線及びシールド線を有し、信号線とシールド線が軸方向に端末から順に露出された同軸ケーブルの端末部分に取り付けられた相手コネクタと接続可能なコネクタ構造であって、信号コンタクト導体と、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体と嵌合可能な本体部を有するグランドコンタクト導体と、接続導体と、前記信号コンタクト導体及び前記グランドコンタクト導体の間に介在する絶縁性のハウジングと、を備え、前記接続導体は、前記グランドコンタクト導体と同電位であって、前記相手コネクタと接続している状態で、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体に対して前記本体部が嵌合する位置よりも前記同軸ケーブルのシールド線に近い位置において当接する。
【0013】
本開示に係るコネクタ構造では、相手コネクタのグランドコンタクト導体に対して当接する接続導体を有している。このような構成とすることで、相手コネクタと接続している状態で、本体部が嵌合する位置よりも同軸ケーブルのシールド線に近い位置において、グランドコンタクト導体と同電位の接続導体を相手コネクタのグランドコンタクト導体と電気的に接続することができる。そのため、例えば、周囲のアンテナ部品等から受けるノイズ信号がグランドコンタクト導体を伝搬しながら重畳されることによって信号コンタクト導体を伝搬する信号に影響を与えることを防ぐことができる。すなわち、上記の構成をコネクタが有することで、外部からのノイズに対する耐性を高めることができる。
【0014】
ここで、前記接続導体は、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体を支持する一対の支持部材を含む態様とすることができる。
【0015】
接続導体が一対の支持部材から構成されていることで、相手コネクタのグランドコンタクト導体との当接を簡単に実現することができると共に接続信頼性を高めることができる。
【0016】
前記一対の支持部材はそれぞれ弾性を有し、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体を挟むように押圧支持する態様とすることができる。
【0017】
上記のように、一対の支持部材が相手コネクタのグランドコンタクト導体を挟むように押圧支持する構成とすることで、相手コネクタのグランドコンタクト導体との接続信頼性をさらに高めることができる。
【0018】
前記接続導体は、前記相手コネクタのグランドコンタクト導体へ向けて突出する接点部を有し、前記一対の支持部材が前記相手コネクタのグランドコンタクト導体を前記接点部へ向かうように押圧支持することで、前記接点導体と前記相手コネクタのグランドコンタクト導体とが当接する態様とすることができる。
【0019】
上記の構成とすることで、一対の支持部材による押圧によって接点導体と相手コネクタのグランドコンタクト導体との当接を確実にすることができる。したがって、相手コネクタのグランドコンタクト導体との接続信頼性をさらに高めることができる。
【0020】
前記接続導体は、前記グランドコンタクト導体と一体化されている態様とすることができる。
【0021】
接続導体がグランドコンタクト導体と一体化されていることにより、接続導体を設けることによる部品点数の増加を防ぐことができる。また、接続導体の位置ズレ等を防ぐことができるため、相手コネクタのグランドコンタクト導体との当接を簡単に実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、外部からのノイズに対する耐性が高められたコネクタ装置、コネクタ、及びコネクタ構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のコネクタ装置に含まれるプラグコネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のコネクタ装置に含まれるプラグコネクタの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のプラグコネクタのIV-IV線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、プラグコネクタに含まれる信号コンタクト導体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【
図7】
図7は、プラグコネクタに含まれるハウジングに対して信号コンタクト導体が取り付けられた状態を示す図であり、(a)は上方からの斜視図図、(b)は下方からの斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1のコネクタ装置に含まれるリセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図9】
図9は、コネクタ装置の嵌合状態を説明する図であり、
図4に対応する断面図である。
【
図10】
図10は、コネクタ装置の嵌合状態を説明する図であり、
図1のX-X線に対応するコネクタ装置の断面図である。
【
図11】
図11は、第1変形例に係るコネクタ装置に含まれるプラグコネクタの斜視図である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係るコネクタ装置に含まれるリセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係るコネクタ装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、第2変形例に係るリセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図15】
図15は、第3変形例に係るリセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図16】
図16は、第3変形例に係るコネクタ装置の斜視図である。
【
図17】
図17は、コネクタ装置の嵌合状態を説明する図であり、
図16のXVII-XVII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
[コネクタ装置の概要]
図1を参照して、一形態に係るコネクタ装置の概要について説明する。
図1に示されるように、コネクタ装置1は、プラグコネクタ2(第1コネクタ)と、リセプタクルコネクタ3(第2コネクタ)と、を備えるコネクタ組立体である。コネクタ装置1は、ケーブル状の信号伝送媒体を配線基板の電気回路に電気的に接続するコネクタ装置であり、例えばRF(Radio Frequency)コネクタである。信号伝送媒体とは、携帯電話等の種々の電子機器の信号を伝送する媒体であり、例えば同軸ケーブルSCである。配線基板とは、例えば印刷配線基板PBである。すなわち、本実施形態のコネクタ装置1は、同軸ケーブルSCを印刷配線基板PBの電気回路に電気的に接続する同軸型コネクタである。コネクタ装置1では、印刷配線基板PBに実装されたリセプタクルコネクタ3に対して、同軸ケーブルSCの端末部分TPに取り付けられたプラグコネクタ2が嵌合することにより、同軸ケーブルSCと印刷配線基板PBの電気回路とを電気的に接続する(詳細は後述する)。
【0026】
なお、以下の説明においては、同軸ケーブルSCの軸方向を「X方向」、プラグコネクタ2及びリセプタクルコネクタ3が嵌合する際における、プラグコネクタ2及びリセプタクルコネクタ3の嵌合方向を「Z方向」、X方向及びZ方向に直交する方向を「Y方向」として説明する場合がある。また、Z方向に関して、例えば
図1に示した状態のプラグコネクタ2側を「上」、リセプタクルコネクタ3側を「下」として説明する場合がある。また、特にプラグコネクタ2の説明において、X方向に関しては、同軸ケーブルSCにおけるプラグコネクタ2が取り付けられた側の端部を「先端」、反対の端部を「後端(基端)」として説明する場合がある。
【0027】
[プラグコネクタ]
図2~
図7を参照して、プラグコネクタ2の詳細について説明する。
図2~
図7に示されるように、プラグコネクタ2は、グランドコンタクト導体10(第1グランドコンタクト導体)と、信号コンタクト導体20(第1信号コンタクト導体)と、絶縁性のハウジング30とを備える。プラグコネクタ2は、同軸ケーブルSCの端末部分TPに取り付けられる。
【0028】
同軸ケーブルSCは、例えば携帯電話等の小型端末に内蔵される各種の信号処理要素(例えば、アンテナ、アンテナを制御する制御チップ、基板等)間で高周波信号を伝送するために、当該小型端末内において用いられる配線である。同軸ケーブルSCは、
図4に示されるように、導体からなる信号線SC1と、信号線SC1の周囲に設けられた導体からなるシールド線SC3と、信号線SC1とシールド線SC3との間に介在する誘電体層SC2と、シールド線SC3を覆う絶縁被覆SC4とを有する。端末部分TPとは、同軸ケーブルSCの端部の周辺を指しており、誘電体層SC2、シールド線SC3及び絶縁被覆SC4の一部または全てが除去されている領域及びその近傍をいう。
【0029】
プラグコネクタ2は、信号線SC1及びシールド線SC3が部分的に露出した端末部分TPに取り付けられる。より具体的に、プラグコネクタ2は、信号線SC1が露出した部分と、シールド線SC3が露出した部分とが先端から順に並ぶように、絶縁被覆SC4、シールド線SC3及び誘電体層SC2を除去する加工が施された端末部分TPに取り付けられる。また、プラグコネクタ2は、一部では絶縁被覆SC4も覆うように取り付けられる。端末部分TPに取り付けられたプラグコネクタ2においては、信号コンタクト導体20は信号線SC1に導通し、グランドコンタクト導体10がシールド線SC3に導通し、ハウジング30がグランドコンタクト導体10と信号コンタクト導体20との間に介在する。
【0030】
以下、グランドコンタクト導体10、信号コンタクト導体20、及びハウジング30の具体的構成を順に説明する。
【0031】
(グランドコンタクト導体)
グランドコンタクト導体10は、特に
図2に示すように、例えば薄板状の金属材料により形成されており、第1部分10Aと、第2部分10Bと、連結部分10Cとを有する。第1部分10Aは、嵌合部11と、2つのアーム部12とを有する。嵌合部11は、
図8に示すような、リセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40に嵌合する。例えば嵌合部11は筒状(円筒状)であり、グランド本体部41の外周に嵌合する。嵌合部11の中心軸は、同軸ケーブルSCの軸方向に実質的に直交している。第2部分10Bは、同軸ケーブルSCのシールド線SC3と接続するシェル部としての機能を有する。
【0032】
嵌合部11の中心軸方向の一端(以下、「先端」という。)には、部分的に内径を縮めた絞り部111が形成されている。絞り部111は、リセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40におけるグランド本体部41の溝41aに嵌合する(
図9及び
図10参照)。嵌合部11の中心軸方向の他端には、嵌合部11の周方向に並ぶ複数の切欠部112が形成されている。複数の切欠部112には、ハウジング30の複数の凸部312がそれぞれ嵌め込まれる。なお、「筒状」は必ずしも円筒状に限られない。例えば「筒状」は、多角の筒状であってもよい。また、「筒状」は、周方向の一部が切り欠かれた半筒状を含む。例えば嵌合部11は、同軸ケーブルSC側が切りかかれた半円筒状である。
【0033】
2つのアーム部12は、
図3~
図5に示すように、上記周方向における嵌合部11の両端にそれぞれ連なり、互いに対向した状態で嵌合部11の外方に向かって延びている。2つのアーム部12は、いずれも同軸ケーブルSCの軸方向に沿っている。さらに、2つのアーム部12は、それぞれ同軸ケーブルSCの周方向に沿って互いに対向するように延びる。そして2つのアーム部12の先端には、端部から嵌合部11の開口へ向けて屈曲して延びる導電部材121がそれぞれ設けられる。2つのアーム部12のそれぞれに1つずつ設けられた計2つの導電部材121は、互いに近接した状態で延びる。その結果、導電部材121が嵌合部11の先端側の周囲の一部を部分的に塞ぐような構造とされている。
【0034】
第2部分10Bは、蓋部13と、クランプ部14と、バレル部15と、ケーブル支持部16と、を有する。蓋部13は、嵌合部11の外周面に重なることなく嵌合部11の基端を塞ぐ。蓋部13の端部には、嵌合部11に重なる一対の折り返し131が設けられていてもよい。一対の折り返し131は、蓋部13の周縁のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なって、嵌合部11側に折り返されている。以下、蓋部13のうち嵌合部11の基端に対向する面を「内面」といい、内面の反対側の面を「外面」という。
【0035】
クランプ部14は、同軸ケーブルSCの端末部分TPのうち、絶縁被覆SC4が除去された部分を保持してシールド線SC3に接触する。例えばクランプ部14は、同軸ケーブルSCの軸方向に沿って嵌合部11と並んでいる。また、クランプ部14は、同軸ケーブルに対して固定する固定部としての機能を有している。
【0036】
例えばクランプ部14は、クランプベース141と、2つのクランプアーム142とを含む。クランプベース141は、蓋部13に連なる板状部である。なお、ここでの「連なる」とは、直接的に連なる場合の他、他の部分を介して連なることも含む。
【0037】
2つのクランプアーム142は、クランプベース141の周縁のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なっており、クランプベース141の内面(蓋部13の内面に連なる面)から突出している。2つのクランプアーム142は、端末部分TPの同軸ケーブルSCのうち保持対象部分となるシールド線SC3が設けられる端部を挟んで互いに対向している。また、クランプアーム142は、同軸ケーブルSCのシールド線SC3が露出した領域をクランプベース141との間に包み込むように屈曲してシールド線SC3に接触している。
【0038】
バレル部15は、嵌合部11とクランプ部14との間においてハウジング30を保持する。後述するように、ハウジング30は、嵌合部11内に収容される第1部分31と、2つのアーム部12の間に配置される第2部分32とを有する。バレル部15は、2つのアーム部12と共に第2部分32を保持する。
【0039】
例えばバレル部15は、バレルベース151と、2つのバレルアーム152と、2つの突出部153と、を含む。バレルベース151は、蓋部13とクランプベース141との間に介在し、これらを連結する板状部である。
【0040】
2つのバレルアーム152は、バレルベース151の周縁のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なり、バレルベース151の内面(蓋部13の内面に連なる面)から突出している。2つのバレルアーム152は、2つのアーム部12及び第2部分32を挟んで互いに対向しており、2つのアーム部12及び第2部分32をバレルベース151との間に包み込むように屈曲している。
【0041】
2つの突出部153は、同軸ケーブルSCの軸方向に2つのバレルアーム152に沿って設けられる。2つの突出部153は、バレルベース151の内面(蓋部13の内面に連なる面)から突出している。2つの突出部153は、2つのアーム部12及び第2部分32を挟んで互いに対向して、下方に突出する。このように、突出部153は、シェル部に相当する第2部分10Bに設けられた突起ということもできる。
【0042】
ケーブル支持部16は、クランプ部14より同軸ケーブルSCの後端側において同軸ケーブルSCを保持する。例えばケーブル支持部16は、支持ベース161と、2つの支持アーム162とを含む。支持ベース161はクランプベース141から連続する板状部である。また、ケーブル支持部16もクランプ部14と同様に、同軸ケーブルに対して固定する固定部としての機能を有している。2つの支持アーム162は、支持ベース161の周縁のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なり、支持ベース161の内面(蓋部13の内面に連なる面)から突出している。2つの支持アーム162は、同軸ケーブルSCを挟んで互いに対向しており、同軸ケーブルSCを支持ベース161との間に包み込むように屈曲している。
【0043】
連結部分10Cは、第1部分10Aと第2部分10Bとを連結する。例えば連結部分10Cは、同軸ケーブルSCの先端側において、嵌合部11の基端と蓋部13とを連結する。プラグコネクタ2の組み立て前において、連結部分10Cは、蓋部13が嵌合部11の中心軸に沿った状態で、第1部分10Aと第2部分10Bとを連結する(図示省略)。そして、連結部分10Cは、プラグコネクタ2の組み立て中において、蓋部13が嵌合部11の中心軸に直交し、嵌合部11の基端を塞ぐように、略直角に折り曲げられる。
【0044】
(信号コンタクト導体)
信号コンタクト導体20は、例えば薄板上の金属部材により形成されており、グランドコンタクト導体10内に収容される。
図4,
図6に示すように、信号コンタクト導体20は、接触部21と、接続部22と、屈曲部23とを有する。接触部21は、嵌合部11内に位置してリセプタクルコネクタ3の信号コンタクト導体20に接触する。
【0045】
例えば接触部21は、接触ベース211と、2つの接触アーム212とを含む。接触ベース211は、嵌合部11の中心軸に略直交するように配置される。2つの接触アーム212は、接触ベース211のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なり、嵌合部11の先端に向けて突出している。2つの接触アーム212は互いに対向し、グランドコンタクト導体10の嵌合部11がリセプタクルコネクタ3におけるグランドコンタクト導体40のグランド本体部41に嵌合した状態で、信号コンタクト導体50の接触部51を挟持する(
図10参照)。
【0046】
例えば接続部22は、屈曲部23を介して接触部21の接触ベース211に対して略L字状に屈曲可能に接続された板状部である。屈曲部23は、接触ベース211と接続部22とを接続する板状部であり、接続部22が上方から押圧されたときに屈曲部23が屈曲することで接続部22を接触部21側へ移動可能とされている。接続部22は、屈曲している状態で、同軸ケーブルSCの信号線SC1に対して接続される。信号線SC1は、接触ベース211上に載置されて接続部22に挟み込まれる状態で信号コンタクト導体20に対して接続される(
図4参照)。したがって、例えば信号線SC1を支持するための幅広部213を接触ベース211に設けてもよい(
図6(a),(b)参照)。
【0047】
(ハウジング)
図4に示すように、ハウジング30は、信号コンタクト導体20を保持してグランドコンタクト導体10内に収容される。例えばハウジング30は、第1部分31と第2部分32とを有する。第1部分31は嵌合部11内に収容され、信号コンタクト導体20の接触部21及び接続部22を保持する。
【0048】
図4及び
図7に示すように、第1部分31は、接触部21の接触アーム212を嵌合部11の先端に向けて露出させるための開口311を有する。これにより、接触部21をリセプタクルコネクタ3における信号コンタクト導体20の接触部21に接触させることが可能となっている。また、第1部分31の先端部(嵌合部11の先端側の部分)の外径は、嵌合部11の内径よりも小さくなっている。これにより、嵌合部11と第1部分31との間に、リセプタクルコネクタ3におけるグランドコンタクト導体40のグランド本体部41を導入することが可能となっている。また、第1部分31には外方に突出する凸部312が複数設けられている。凸部312は、嵌合部11の複数の切欠部112に対応する位置に設けられる。
【0049】
第2部分32は、同軸ケーブルSCの後端へ向かう方向(X方向)に第1部分31から突出している。上述のように第2部分32の少なくとも一部は、2つのアーム部12と共にバレル部15により保持される。
【0050】
第1部分31及び第2部分32には、同軸ケーブルSCの信号線SC1を収容するための凹部33が形成されている。さらに、凹部33内には、
図9に示すように、内部に信号コンタクト導体20を保持するための導体支持部34が形成される。
図7では、ハウジング30の導体支持部34内に収容された信号コンタクト導体20を示している。
図7に示すように、信号コンタクト導体20は、特に第1部分31内の導体支持部34内に接触ベース211が当接するように収容される。第1部分31の他端部(嵌合部11の先端側とは逆側の部分)には、折り曲げ可能であって、折り曲げられたときに信号コンタクト導体20に対して押圧当接する状態となる折曲部35が設けられている。
【0051】
[プラグコネクタの組み立て工程]
プラグコネクタ2の組み立て工程について説明する。まず、ハウジング30の導体支持部34及び開口311に対して、信号コンタクト導体20を取り付ける。信号コンタクト導体20は、導体支持部34に対して信号コンタクト導体20の接触ベース211を当接させると共に、接触アーム212を開口311内に挿通させることで、信号コンタクト導体20の接触部21がハウジング30に支持される。この状態では、ハウジング30の折曲部35は折り曲げられていない。したがって、信号コンタクト導体20の接続部22も力を受けておらず、屈曲部23は屈曲してない。この状態で、グランドコンタクト導体10の第1部分10Aに対してハウジング30を取り付ける。具体的には、第1部分10Aの嵌合部11の内側にハウジング30の第1部分31が入り込み、且つ第2部分32が第1部分10Aの2つのアーム部12の間に配置するように、ハウジング30を取り付ける。
【0052】
予め絶縁被覆SC4、シールド線SC3、及び、誘電体層SC2が除去された同軸ケーブルSCを準備する。その際、複数の凸部412が複数の切欠部112に嵌め込まれて位置が決まる。露出された信号線SC1をハウジング30の凹部33に収容する。これにより、信号線SC1の先端が信号コンタクト導体20の接触ベース211上に載置されることになる。
【0053】
次に、グランドコンタクト導体10の連結部分10Cを折り曲げることで蓋部13により嵌合部11の基端を塞ぐ。このとき、グランドコンタクト導体10の第2部分10Bの移動に伴って、ハウジング30の折曲部35が折り曲げられる。それにより、折曲部35が、信号コンタクト導体20の接続部22に対して当接し、接続部22を押圧する。その結果、屈曲部23が屈曲し接続部22が接触ベース211上の信号線SC1に対して接触した状態で押圧され、信号線SC1と信号コンタクト導体20とが機械的及び電気的に接続された状態となる。上記の結果、同軸ケーブルSCのうち信号線SC1が露出した端部は、信号コンタクト導体20との接続が維持された状態で、グランドコンタクト導体10に覆われることになる。
【0054】
その後、2つのアーム部12及びハウジング30の第2部分32をバレル部15の2つのバレルアーム152内に収容し、同軸ケーブルSCのシールド線SC3が露出した領域を2つのクランプアーム142内に収容する。
【0055】
次に、同軸ケーブルSCをクランプベース141との間に包み込むように2つのクランプアーム142を屈曲させる。また、グランドコンタクト導体10の第1部分10Aに設けられた2つのアーム部12、及びハウジング30の第2部分32をバレルベース151との間に包み込むように2つのバレルアーム152を屈曲させる。このとき、バレルアーム152と同様にバレルベース151に取り付けられた2つの突出部153は、バレルアーム152のようには屈曲せず突出した状態となる(
図3、
図4等)。
【0056】
さらに、端末部分TPの保持対象部分のうち、最も後端側(X方向)を、ケーブル支持部16の2つの支持アーム162内に収容し、端末部分TPの保持対象部分を2つの支持アーム162内に収容する。そして、2つの支持アーム162を屈曲させることで、2つの支持アーム162によって同軸ケーブルSCを支持する。以上で、プラグコネクタ2の組み立て工程が完了する。これにより、
図4に示すように、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10の第2部分10B(特にクランプ部14)が同軸ケーブルSCのシールド線SC3と接した状態で固定されるため、グランドコンタクト導体10とシールド線SC3とが接続される。また、グランドコンタクト導体10の内側では、ハウジング30にその周囲が概ね覆われた状態で信号線SC1と信号コンタクト導体20とが接続される。
【0057】
[リセプタクルコネクタ]
図8を参照して、リセプタクルコネクタ3の詳細について説明する。
図8に示されるように、リセプタクルコネクタ3は、グランドコンタクト導体40(第2グランドコンタクト導体)と、信号コンタクト導体50(第2信号コンタクト導体)と、ハウジング60とを有している。リセプタクルコネクタ3は、印刷配線基板PB(
図1参照)に、例えば半田付けにより実装される。以下、グランドコンタクト導体40、信号コンタクト導体50、及びハウジング60の具体的構成を順に説明する。
【0058】
(グランドコンタクト導体)
グランドコンタクト導体40は、例えば薄板状の金属部材から形成された接地用の部材である。グランドコンタクト導体40は、信号コンタクト導体50のうちの接触部51を取り囲むように配置されている。グランドコンタクト導体40は、円筒形状(筒状)に形成されたグランド本体部41(本体部)と、該グランド本体部41の一方の端縁(
図8では下端)から外方に向かって延出する外部端子部42とを有している。
【0059】
グランド本体部41は円筒形状の部材であり、中心軸Cに沿って上下方向(Z方向)に延在する。グランド本体部41の他方の端縁(
図8では上端)ではプラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10と接続される。グランド本体部41の周囲には、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10と嵌合するための溝41a(
図9参照)が形成される。
【0060】
外部端子部42は、水平方向(XY方向)に沿って延びる平板状の部材であり、グランド本体部41の下端部から外方へ延びる。外部端子部42は、上下方向に延びるグランド本体部41の中心軸Cを挟んで対向して設けられて、それぞれ外方に突出する一対の端子部421,422を含んで構成される。端子部421,422はそれぞれ略同一の矩形状であって、中心軸Cを挟んで互いに離間した状態で、それぞれの長手方向がX方向に沿うようにグランド本体部41の下端に対して接続される。
【0061】
上記のグランドコンタクト導体40は、印刷配線基板PB(
図1参照)上に形成されたグランド接続用のグランド導電路(不図示)に対して半田付けされる。
【0062】
(信号コンタクト導体)
信号コンタクト導体50は、例えば薄板状の金属部材から形成された信号伝送用の導体である。信号コンタクト導体50は、円筒形状に形成された接触部51と、該接触部51の一方の端縁である下端から外方に向かって延在する導線部52とを有している。
【0063】
接触部51は略円筒形状であり、中心軸Cに沿って上下方向(Z方向)に延在する。接触部51の外径は、グランドコンタクト導体40のグランド本体部41の内径よりも小さい。接触部51は、中心軸Cの延在方向(上下方向:Z方向)に沿って延びるスリット511を有する。スリット511は、筒状の接触部51の両端まで延びている。したがって、接触部51は、中心軸Cに対して直交する平面に沿った平面視において、スリット511を有する略C型状を呈している。接触部51は、他方の端縁(
図8の上端)よりプラグコネクタ2の信号コンタクト導体20と接続される。また、導線部52は、水平方向(XY方向)に沿って延びる平板状に形成される。接触部51の下端部から外方へ、すなわち、中心軸Cから離間する方向へ延びる。なお、導線部52の主面の延在方向は水平方向とされているが、少なくとも中心軸Cに対して交差する方向であればよく、水平方向に限定されない。
【0064】
図8に示されるように、信号コンタクト導体50の接触部51がグランドコンタクト導体40のグランド本体部41の内側となるように、信号コンタクト導体50が配置される。このとき、信号コンタクト導体50の接触部51に接続される導線部52が、グランドコンタクト導体40の端子部421,422の間に設けられて長手方向(X方向)に沿って延びる空隙内に配置される。この状態で、後述される絶縁性樹脂を注入することによって、グランドコンタクト導体40及び信号コンタクト導体50が一体化され、ハウジング60が形成される。
【0065】
(ハウジング)
ハウジング60は、印刷配線基板PB上に載置される絶縁性部材となる。
【0066】
図8に示すように、ハウジング60は、グランドコンタクト導体40の外部端子部42に含まれる端子部421,422の間に設けられる空隙を埋めるように設けられている。また、ハウジング60は、グランドコンタクト導体40のグランド本体部41の下端に対しても接続している。これにより、グランドコンタクト導体40のグランド本体部41及び外部端子部42の両方がハウジング60と接続していることになる。さらに、ハウジング60は、信号コンタクト導体50の接触部51の下端に対して接しており、さらに、導線部52の周囲(ただし下面を除く)を埋めるように設けられていてもよい。なお、信号コンタクト導体50の導線部52のうち接触部51とは逆側の端部は、下面がハウジング60に対して露出していて、印刷配線基板PBの表面に設けられる導体配線等と接触可能とされている。
【0067】
[リセプタクルコネクタの組み立て工程]
リセプタクルコネクタ3の組み立て工程について説明する。まず、グランドコンタクト導体40及び信号コンタクト導体50を準備する。上述したように、グランドコンタクト導体40及び信号コンタクト導体50は、例えば、金属材料からなる板材をプレス・折曲げ加工することにより作成することができる。
【0068】
次に、グランドコンタクト導体40及び信号コンタクト導体50を金型にセットした後、金型内に絶縁性材料(例えば、絶縁性樹脂)を注入し、冷却固化させる。すなわち、インサート成形によってハウジング60を作成する。これにより、グランドコンタクト導体40、信号コンタクト導体50、及びハウジング60が一体成型されたリセプタクルコネクタ3を製造することができる。
【0069】
[プラグコネクタとリセプタクルコネクタとの接続]
同軸ケーブルSCの端末部分TPに取り付けられたプラグコネクタ2は、印刷配線基板PBに実装されたリセプタクルコネクタ3に接続される。具体的には、
図9及び
図10に示すように、プラグコネクタ2は、印刷配線基板PBの厚さ方向(Z方向)に沿ってリセプタクルコネクタ3に装着される。プラグコネクタ2がリセプタクルコネクタ3に装着されると、プラグコネクタ2の信号コンタクト導体20がリセプタクルコネクタ3の信号コンタクト導体50に電気的に接続される。信号コンタクト導体50は、印刷配線基板PBの配線導体PB1と電気的に接続され、これにより、同軸ケーブルSCの信号線SC1を流れる電気信号が印刷配線基板PBの配線導体PB1に対して伝達可能となる。
【0070】
また、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10がリセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40に電気的に接続される。グランドコンタクト導体40は、印刷配線基板PBの表面PB2(配線導体PB1が設けられていない部分)と同様のグランド電位とされている。したがって、同軸ケーブルSCのシールド線SC3は、グランドコンタクト導体10及びグランドコンタクト導体40、及び印刷配線基板PBの表面PB2と同じくグランド電位となる。
【0071】
プラグコネクタ2とリセプタクルコネクタ3とを接続した状態では、
図9に示すように、プラグコネクタ2は印刷配線基板PBに対して離間した状態とされる。ただし、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10におけるバレル部15に設けられた2つの突出部153は、印刷配線基板PBに向けて(図示下方)突出し、印刷配線基板PBの表面PB2に対して当接する。これにより、突出部153は、印刷配線基板PBを介してリセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体10と電気的に接続された状態となる。すなわち、嵌合部11とは異なる位置でも、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40との接点が設けられることになる。このように突出部153は、嵌合部11とは別に、リセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40と電気的に接続する接地部として機能する。
【0072】
なお、リセプタクルコネクタ3に装着されたプラグコネクタ2は、印刷配線基板PBの厚さ方向(Z方向)に沿って移動させることで、リセプタクルコネクタ3から取り外し可能である。
【0073】
[作用・効果]
上述したコネクタ装置1の作用及び効果について説明する。
【0074】
上記のコネクタ装置1では、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10の嵌合部11よりも同軸ケーブルSCのシールド線SC3に近い位置で、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40とが電気的に接続されて同電位とされる。具体的には、グランドコンタクト導体10の突出部153が印刷配線基板PBを介してリセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40と電気的に接続されている。突出部153は嵌合部11よりも上流側、すなわち、シールド線SC3に近い位置とされている。そのため、例えば、周囲のアンテナ部品等から受けるノイズ信号がグランドコンタクト導体10を伝搬しながら重畳された場合であってもプラグコネクタ2からリセプタクルコネクタ3に対して当該ノイズ信号が伝搬することを防ぐことができる。
【0075】
近年、同軸ケーブルを搭載する電子機器等の小型化が進められているため、各種の電子部品が密集した状態で配置されることが増加している。このような場合、アンテナ部品等のノイズが近隣の導体に影響を与えることがある。同軸ケーブルにおいても同様であり、信号線の周囲のシールド線に対してノイズ信号が入り込む場合がある。このように、シールド線をノイズ信号が伝搬すると、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとの接点等でシールド線を流れるノイズ信号が信号線を流れるメインの電気信号に影響を与える可能性が考えられる。特に、重畳等によってノイズ信号が大きくなってしまうと、信号線を流れる電気信号に対して大きく影響する可能性が考えられる。
【0076】
これに対して、本実施形態で説明したコネクタ装置1では、プラグコネクタ2の信号コンタクト導体20とリセプタクルコネクタ3の信号コンタクト導体50との嵌合部分の周に設けられるグランドコンタクト導体10とグランドコンタクト導体40との接続とは別に、それよりも上流側でもグランドコンタクト導体同士の電気的な接続が設けられる。すなわち、グランドコンタクト導体10とグランドコンタクト導体40との嵌合部分よりも同軸ケーブルSCのシールド線SC3に近い位置に、接地部としての突出部153が設けられることで、プラグコネクタ2のグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3のグランドコンタクト導体40とが印刷配線基板PBを介して電気的に接続される。したがって、仮にノイズ信号がシールド線SC3内を伝搬したとしても、この突出部153を介してノイズ信号を解放することができる。したがって、プラグコネクタ2の信号コンタクト導体20とリセプタクルコネクタ3の信号コンタクト導体50との嵌合部分の周辺では、グランドコンタクト導体10を伝搬するノイズ信号を抑制することができる。そのため、信号線SC1を流れる電気信号がノイズ信号による影響を受けにくい状態を作ることができる。したがって、コネクタ装置1によれば、外部からのノイズによる耐性が高められる。
【0077】
また、上記のコネクタ装置1では、プラグコネクタ2において、第2部分10Bに突出部153が設けられる。そして、突出部153は、嵌合部11と、固定部として機能するクランプ部14及びケーブル支持部16との間に設けられる。したがって、簡単な構造によって、すなわち、複雑な構成を別途設けることなく、上記の外部からのノイズを高める効果が得られる。なお、固定部として機能するクランプ部14またはケーブル支持部16上に接地部に対応する構造が設けられていてもよい。
【0078】
[変形例]
次に、変形例に係るコネクタ装置について、説明する。
【0079】
[第1変形例]
第1変形例として、
図11に示すプラグコネクタ2Aと、
図12に示すリセプタクルコネクタ3Aとによるコネクタ装置1Aについて説明する。第1変形例で示すコネクタ装置1Aは、コネクタ装置1と同様に、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10の嵌合部11よりも同軸ケーブルSCのシールド線SC3に近い位置で、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3Aのグランドコンタクト導体40とが電気的に接続されて同電位とされる。ただし、この電気的接続を実現するための構造がコネクタ装置1とは異なる。
【0080】
プラグコネクタ2Aは、プラグコネクタ2のような接地部としての突出部153を有していない。すなわち、
図11に示すように、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10には、第2部分10Bに突出部153が設けられておらず、バレル部15にはバレルベース151から延びる一対のバレルアーム152のみが設けられている。プラグコネクタ2Aのその他の各部の構造、すなわち、グランドコンタクト導体10の他の部分の構造、信号コンタクト導体20及びハウジング30の各部の構造はプラグコネクタ2と同じである。
【0081】
一方、リセプタクルコネクタ3Aは、グランドコンタクト導体40の形状がリセプタクルコネクタ3と相違する。すなわち、グランドコンタクト導体40は、グランド本体部41に対して接続する外部端子部42だけでなく、さらに接続導体70と一体化されている。接続導体70は、外部端子部42から連続する板状の接続ベース71と、接続ベース71から、上方(Z軸方向)に延びる一対の支持部材72と、を有する。接続ベース71は、端子部421,422から連続する平板状の部材であって、下面が端子部421,422と同一平面とされている。また、一対の支持部材72はそれぞれ略S字状の弾性変形可能な形状とされていて、中程に一対の支持部材72同士で対向して突出するように折り曲げられた押圧部73を有する。接続ベース71近傍における一対の支持部材72間の距離(幅)は、プラグコネクタ2Aのクランプ部14の外形よりも小さい。
【0082】
図13は、上記のプラグコネクタ2A及びリセプタクルコネクタ3Aを組み立てた組立体であるコネクタ装置1Aを示している。同軸ケーブルSCの端末に取り付けられたプラグコネクタ2Aを、印刷配線基板PBに実装されたリセプタクルコネクタ3Aに接続する。これにより、コネクタ装置1と同様にプラグコネクタ2Aの信号コンタクト導体20がリセプタクルコネクタ3Aの信号コンタクト導体50に電気的に接続される。また、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10がリセプタクルコネクタ3Aのグランドコンタクト導体40に電気的に接続される。したがって、同軸ケーブルSCのシールド線SC3は、グランドコンタクト導体10及びグランドコンタクト導体40と同じくグランド電位となる。
【0083】
また、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10のクランプ部14が、リセプタクルコネクタ3Aのグランドコンタクト導体40に対して連続して形成された接続導体70と接続される。具体的には、
図13に示すように、接続導体70に設けられた一対の支持部材72がクランプ部14を挟み込む。このとき、一対の支持部材72間の距離(幅)は、プラグコネクタ2Aのクランプ部14の外形よりも小さいため、支持部材72はそれぞれ弾性変形することによって、クランプ部14を押圧しながら支持することになる。一対の支持部材72に設けられた押圧部73がクランプ部14の上端付近でクランプ部14を押圧するため、クランプ部14は、一対の支持部材72から横方向(Y軸方向)に力を受けるほか、下方(Z軸負方向)に力を受けた状態で接続導体70に対して固定される。このクランプ部14と接続導体70の支持部材72との当接によって、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3Aのグランドコンタクト導体40とが電気的に接続されることになる。
【0084】
このように、コネクタ装置1Aにおいても、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10の嵌合部11よりも同軸ケーブルSCのシールド線SC3に近い位置で、プラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3Aのグランドコンタクト導体40とが接続導体70を介して電気的に接続されて同電位とされる。具体的には、グランドコンタクト導体10のクランプ部14とリセプタクルコネクタ3Aの接続導体70の支持部材72とが当接することで、これらが電気的に接続される。接続導体70はグランドコンタクト導体40と一体化されているため同電位となっている。そのため、例えば、周囲のアンテナ部品等から受けるノイズ信号がグランドコンタクト導体10を伝搬しながら重畳された場合であってもプラグコネクタ2Aからリセプタクルコネクタ3Aに対して当該ノイズ信号が伝搬することを防ぐことができる。
【0085】
また、コネクタ装置1Aでは、リセプタクルコネクタ3Aに相手コネクタであるプラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10に対して当接する接続導体70が設けられている。このような構造とすることで、リセプタクルコネクタ3Aの構成変更のみでノイズ耐性が向上されたコネクタ装置1Aを実現することができる。
【0086】
また、コネクタ装置1Aのように接続導体70が一対の支持部材72から構成されていることで、相手コネクタのグランドコンタクト導体10との当接を簡単に実現することができると共に接続信頼性を高めることができる。また、一対の支持部材72が相手コネクタのグランドコンタクト導体10(クランプ部14)を挟むように押圧支持する構成とすることで、グランドコンタクト導体10との接続信頼性をさらに高めることができる。
【0087】
また、コネクタ装置1Aでは、接続導体70がグランドコンタクト導体40と一体化されている。そのため、接続導体70を設けることによる部品点数の増加を防ぐことができる。また、接続導体70の位置ズレ等を防ぐことができるため、相手コネクタであるプラグコネクタ2Aのグランドコンタクト導体10との当接を簡単に実現することができる。
【0088】
なお、接続導体70は、グランドコンタクト導体40と一体化されていなくてもよい。
図14に示すリセプタクルコネクタ3Bは、グランドコンタクト導体40と接続導体70とが、別体として構成されている例である。接続導体70の形状等はリセプタクルコネクタ3Aの接続導体70と同様であるが、外部端子部42から連続していない点のみがリセプタクルコネクタ3Aとは相違する。
【0089】
このように、接続導体70がグランドコンタクト導体40とは別体であっても、接続導体70とグランドコンタクト導体40とが同電位(グランド電位)とされている場合、同様の効果が得られる。すなわち、リセプタクルコネクタ3Bを用いることで、プラグコネクタとリセプタクルコネクタとを接続部分に関してノイズ耐性を向上させることができる。接続導体70を含むリセプタクルコネクタ3B(コネクタ構造)を印刷配線基板PB上に実装する場合、接続導体70がグランドコンタクト導体40と同様にグランド電位とされるように配置することで、接続導体及びグランドコンタクト導体40を同電位(グランド電位)とすることができる。このように実装されたリセプタクルコネクタ3Bに対して上記のプラグコネクタ2Aを取り付けた場合、コネクタ装置1Aと同様の構成を実現することができるため、コネクタ装置1Aと同様にノイズ耐性の向上効果が得られる。
【0090】
[第2変形例]
第2変形例として、
図15に示すリセプタクルコネクタ3Cと、
図16及び
図17に示すプラグコネクタ2Bとによるコネクタ装置1Bについて説明する。
【0091】
リセプタクルコネクタ3Cは、リセプタクルコネクタ3Aと同様に、グランドコンタクト導体40と一体化した接続導体70が設けられている。ただし、接続導体70の形状がリセプタクルコネクタ3Aとは異なっている。具体的には、リセプタクルコネクタ3Cの接続導体70は、プラグコネクタ2Bのバレル部15に対して当接する配置とされている。したがって、
図15に示すように、リセプタクルコネクタ3Aと比較して、グランド本体部41と接続導体70の支持部材72とが近接している。一対の支持部材72間の距離は、バレル部15よりも小さくされている。また、リセプタクルコネクタ3Cでは、一対の支持部材72のそれぞれに対してバレル部15の外周と係合可能な爪部74が設けられる。爪部74は押圧部73から突出するように設けられる。一方、プラグコネクタ2Bのバレル部15のバレルアーム152には、爪部74に対応する位置に凹部155が設けられる(
図17参照)。爪部74及び凹部155は、プラグコネクタ2Bとリセプタクルコネクタ3Cとを組み合わせた際の両者の位置ずれを防ぐことも可能である。
【0092】
プラグコネクタ2Bは、プラグコネクタ2Aと比較して、上記のようにバレル部15(バレルアーム152)の外周に爪部74に対応した凹部155が設けられる点が相違する。そのほかの構造はプラグコネクタ2Aと同様である。
【0093】
さらに、接続導体70の接続ベース71には、上方に突出する一対の接点部75が設けられる。接点部75は、プラグコネクタ2Bとリセプタクルコネクタ3Cとを組み合わせた際に、バレルアーム152の先端近傍と当接する位置に配置されている。
【0094】
なお、リセプタクルコネクタ3Cでは、一対の支持部材72を支持する接続ベース71にスリット78が設けられることにより、接続ベース71が2つに分断されている。スリット78は、リセプタクルコネクタ3Cをインサート成形後に、キャリアをカットする際に必要なスペースである。スリット78が設けられることにより分断されている2つの接続ベース71a,71bはそれぞれ端子部421,422と一体化されている。これにより、接続ベース71a,71bのいずれも、グランドコンタクト導体40と同電位とされている。
【0095】
上記のコネクタ装置1Bにおいても、コネクタ装置1Aと同様に、接続導体70による電気的な接続が実現される。具体的には、プラグコネクタ2Bのグランドコンタクト導体10のバレル部15が、リセプタクルコネクタ3Cのグランドコンタクト導体40に対して連続して形成された接続導体70と接続される。
図16及び
図17に示すように、接続導体70に設けられた一対の支持部材72がバレル部15を挟み込む。このとき、一対の支持部材72間の距離(幅)は、プラグコネクタ2Bのバレル部15の外形よりも小さいため、支持部材72はそれぞれ弾性変形することによって、バレル部15を押圧しながら支持することになる。リセプタクルコネクタ3Cの支持部材72は、バレル部15の側面を支持することになるが(
図17参照)、支持部材72の爪部74がバレル部15の外面の凹部155に係合した状態で支持部材72に対するバレル部15の上下方向(Z軸方向)移動が規制される。換言すると、バレル部15は、支持部材72によって下方(Z軸負方向)へ押圧支持された状態となる。
【0096】
バレル部15の下方には、接続ベース71から突出する一対の接点部75が設けられている。支持部材72の爪部74がバレル部15の外面の凹部155に係合してバレル部15が下方へ押圧支持されることによって、接点部75がバレル部15と当接する状態となる。このように、コネクタ装置1Bでは、プラグコネクタ2Bのグランドコンタクト導体10におけるバレル部15と、リセプタクルコネクタ3Cの接続導体70との当接が複数箇所で実現される。このように、コネクタ装置1Bでは、バレル部15と接続導体70との当接によって、プラグコネクタ2Bのグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3Cのグランドコンタクト導体40とが電気的に接続されることになる。
【0097】
このように、コネクタ装置1Bにおいても、プラグコネクタ2Bのグランドコンタクト導体10の嵌合部11よりも同軸ケーブルSCのシールド線SC3に近い位置で、プラグコネクタ2Bのグランドコンタクト導体10とリセプタクルコネクタ3Cのグランドコンタクト導体40とが接続導体70を介して電気的に接続されて同電位とされる。そのため、例えば、周囲のアンテナ部品等から受けるノイズ信号がプラグコネクタ2Bからリセプタクルコネクタ3Cに対して伝搬することを防ぐことができる。
【0098】
また、リセプタクルコネクタ3Cの接続導体70は、相手コネクタのグランドコンタクト導体10(バレル部15)へ向けて突出する接点部75を有し、一対の支持部材72がグランドコンタクト導体10のバレル部15を接点部75へ向かうように押圧支持している。このような構成とすることで、一対の支持部材72による押圧によって接点部75と相手コネクタのグランドコンタクト導体10との当接を確実にすることができることから、接続信頼性をさらに高めることができる。特に、コネクタ装置1Bでは、複数の接点部75が設けられているため、接続信頼性の観点から効果的である。
【0099】
[その他]
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
【0100】
例えば、上記実施形態で説明した構成を組み合わせたコネクタ装置としてもよい。例えば、バレル部15に突出部153が設けられたプラグコネクタ2と、接続導体70を有するリセプタクルコネクタ3Aとを組み合わせてコネクタ装置を構成してもよい。
【0101】
また、リセプタクルコネクタ(コネクタ構造)に含まれる接続導体70に設けられる接点部の配置及び数についても適宜変更することができる。また、支持部材72は弾性を有していない形状とされていてもよい。例えば、接続導体をU字状として、プラグコネクタを載置することで電気的な接続を実現してもよい。また、第2変形例として説明した爪部及び凹部の構成を他の形状のプラグコネクタ及びリセプタクルコネクタに適用してもよい。
【0102】
また、嵌合部とは別のプラグコネクタとリセプタクルコネクタとの電気的接続が行われる位置は、嵌合部よりも同軸ケーブルのシールド線に近い位置であればどこでもよく特に上記実施形態で説明した位置に限定されない。なお、嵌合部に近い位置で電気的接続を形成することによってノイズの抑制効果をさらに高めることができるが、同軸ケーブルに対してプラグコネクタを取り付けるための固定部と、嵌合部との間で電気的接続を実現することができれば、ノイズ抑制には十分効果的である。
【0103】
また、プラグコネクタ2のシェル部(第2部分10B)の形状は適宜変更することができる。プラグコネクタ2では、クランプ部14、バレル部15、及び、ケーブル支持部16が設けられる場合について説明したが、この構成は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B…コネクタ装置、2,2A,2B…プラグコネクタ、3,3A,3B,3C…リセプタクルコネクタ、10…グランドコンタクト導体、11…嵌合部、12…アーム部、13…蓋部、14…クランプ部、15…バレル部、16…ケーブル支持部、20…信号コンタクト導体、21…接触部、22…接続部、23…屈曲部、30…ハウジング、35…折曲部、40…グランドコンタクト導体、41…グランド本体部、42…外部端子部、50…信号コンタクト導体、51…接触部、52…導線部、60…ハウジング、70…接続導体、71…接続ベース、72…支持部材、73…押圧部、74…爪部、75…接点部、153…突出部、PB…印刷配線基板、SC…同軸ケーブル、SC1…信号線、SC2…誘電体層、SC3…シールド線、SC4…絶縁被覆、TP…端末部分。