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特許7363231画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20231011BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20231011BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J29/393 107
G06T1/00 310A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019164445
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021043032
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 克智
(72)【発明者】
【氏名】津江 靖久
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-008029(JP,A)
【文献】特開2012-103225(JP,A)
【文献】特開2015-179073(JP,A)
【文献】特開2017-173000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
B41J 29/38 - B41J 29/393
G06T 1/00 - G06T 1/60
G06T 7/00 - G06T 7/194
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成装置から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置から読み取り画像を取り込む取込部と、
プリントコントローラーからのRIP画像からなる基準画像と、前記取込部で取り込んだ、前記基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を前記画像読取装置で読み取って得た検査画像と、を比較して、前記検査画像の画像不良を検出する画像検査部と、
を備え、
前記画像検査部は、
CMYKの前記基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの前記基準画像と、RGBの前記検査画像と、を比較して、輝度の差分を確認し、
前記基準画像と前記検査画像との前記差分が前記画像不良を検出する閾値以上となったときに、前記画像不良を検出し、
CMYKの前記基準画像において特定の色の前記輝度の変動が一定以上あるか否かを判定し、前記特定の色の変動が一定以上である部分では、前記閾値を拡げる又は前記画像不良の検出を行わないようにすることを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記画像検査部は、前記基準画像と前記検査画像とを比較する前に、エッジの抽出を行い、エッジがない部分において前記差分を確認することを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記画像検査部は、前記基準画像と前記検査画像とを比較する際、前記基準画像及び前記検査画像の前記輝度の3画素差分を抽出し、前記基準画像の前記3画素差分と前記検査画像の前記3画素差分との差分が前記閾値以上となったときに、前記画像不良を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記画像検査部は、解析アルゴリズムにより、RGBの前記基準画像とRGBの前記検査画像との間で輝度変動の逆転を生じさせやすい色を、前記特定の色として予め決定しておくことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取部と、
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像検査装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像検査装置の画像検査方法であって、
用紙に画像を形成する画像形成装置から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置から読み取り画像を取り込む取込工程と、
プリントコントローラーからのRIP画像からなる基準画像と、前記取込工程で取り込んだ、前記基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を前記画像読取装置で読み取って得た検査画像と、を比較して、前記検査画像の画像不良を検出する画像検査工程と、
を含み、
前記画像検査工程は、
CMYKの前記基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの前記基準画像と、RGBの前記検査画像と、を比較して、輝度の差分を確認し、
前記基準画像と前記検査画像との前記差分が前記画像不良を検出する閾値以上となったときに、前記画像不良を検出し、
CMYKの前記基準画像において特定の色の前記輝度の変動が一定以上あるか否かを判定し、前記特定の色の変動が一定以上である部分では、前記閾値を拡げる又は前記画像不良の検出を行わないようにすることを特徴とする画像検査方法。
【請求項7】
コンピュータを、
用紙に画像を形成する画像形成装置から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置から読み取り画像を取り込む取込部、
プリントコントローラーからのRIP画像からなる基準画像と、前記取込部で取り込んだ、前記基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を前記画像読取装置で読み取って得た検査画像と、を比較して、前記検査画像の画像不良を検出する画像検査部、
として機能させ、
前記画像検査部は、
CMYKの前記基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの前記基準画像と、RGBの前記検査画像と、を比較して、輝度の差分を確認し、
前記基準画像と前記検査画像との前記差分が前記画像不良を検出する閾値以上となったときに、前記画像不良を検出し、
CMYKの前記基準画像において特定の色の前記輝度の変動が一定以上あるか否かを判定し、前記特定の色の変動が一定以上である部分では、前記閾値を拡げる又は前記画像不良の検出を行わないようにすることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置により印刷された印刷物に色ズレや歪みが生じて欠陥品となるケースが存在する。そこで、例えば、印刷物の生成元の元画像に色変換処理等を施して生成した基準画像と、印刷物を電気的に(スキャナーで)読み取ることで生成した読取画像(検査画像)と、の差分に基づいて印刷物上に存在する欠陥(画像不良)を検出し、検出した画像不良に基づいて印刷物の品質を検査する画像検査装置が知られている。
【0003】
例えば、元原稿とプリント原稿とをスキャナーで読み取り、マスク効果視覚モデルを利用して読み取った画像のスジ検知を行なう構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、プリントコントローラーの画像(基準画像)と原稿を読み取ったスキャン画像(読取画像)との差分を比較して、エラーが発生しやすいチャートに対し、差分の閾値を下げる構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、基準チャートをスキャナーで読み取り、色変換テーブルを作成して原稿の画像不良を検知する構成であって、検知する際、色変換テーブルにない領域は、検知する閾値を拡げる構成が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-32572号公報
【文献】特開2015-179073号公報
【文献】特開2018-44896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成では、プリントコントローラーからのRIP画像を検査することができないという課題がある。また、上記特許文献2記載の構成では、CMYKのプリントコントローラーの画像に対してRGBへの色変換を行う際、CMYKの混色を加味していないため、特定の色の変動がある場合に、色変換の精度によっては誤検知してしまうという課題がある。また、上記特許文献3記載の構成では、色変換テーブルにない領域全てにおいて画像不良を検知する閾値を拡げることとなるため、画像不良を検知する精度が下がるという課題がある。
【0006】
本発明は、印刷物上に存在する画像不良の検知精度を向上させることが可能な画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像検査装置において、
用紙に画像を形成する画像形成装置から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置から読み取り画像を取り込む取込部と、
プリントコントローラーからのRIP画像からなる基準画像と、前記取込部で取り込んだ、前記基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を前記画像読取装置で読み取って得た検査画像と、を比較して、前記検査画像の画像不良を検出する画像検査部と、
を備え、
前記画像検査部は、
CMYKの前記基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの前記基準画像と、RGBの前記検査画像と、を比較して、輝度の差分を確認し、
前記基準画像と前記検査画像との前記差分が前記画像不良を検出する閾値以上となったときに、前記画像不良を検出し、
CMYKの前記基準画像において特定の色の前記輝度の変動が一定以上あるか否かを判定し、前記特定の色の変動が一定以上である部分では、前記閾値を拡げる又は前記画像不良の検出を行わないようにすることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像検査装置において、
前記画像検査部は、前記基準画像と前記検査画像とを比較する前に、エッジの抽出を行い、エッジがない部分において前記差分を確認することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像検査装置において、
前記画像検査部は、前記基準画像と前記検査画像とを比較する際、前記基準画像及び前記検査画像の前記輝度の3画素差分を抽出し、前記基準画像の前記3画素差分と前記検査画像の前記3画素差分との差分が前記閾値以上となったときに、前記画像不良を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像検査装置において、
前記画像検査部は、解析アルゴリズムにより、RGBの前記基準画像とRGBの前記検査画像との間で輝度変動の逆転を生じさせやすい色を、前記特定の色として予め決定しておくことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、
画像形成装置において、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取部と、
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像検査装置と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
画像検査装置の画像検査方法であって、
用紙に画像を形成する画像形成装置から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置から読み取り画像を取り込む取込工程と、
プリントコントローラーからのRIP画像からなる基準画像と、前記取込工程で取り込んだ、前記基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を前記画像読取装置で読み取って得た検査画像と、を比較して、前記検査画像の画像不良を検出する画像検査工程と、
を含み、
前記画像検査工程は、
CMYKの前記基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの前記基準画像と、RGBの前記検査画像と、を比較して、輝度の差分を確認し、
前記基準画像と前記検査画像との前記差分が前記画像不良を検出する閾値以上となったときに、前記画像不良を検出し、
CMYKの前記基準画像において特定の色の前記輝度の変動が一定以上あるか否かを判定し、前記特定の色の変動が一定以上である部分では、前記閾値を拡げる又は前記画像不良の検出を行わないようにすることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、
コンピュータを、
用紙に画像を形成する画像形成装置から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置から読み取り画像を取り込む取込部、
プリントコントローラーからのRIP画像からなる基準画像と、前記取込部で取り込んだ、前記基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を前記画像読取装置で読み取って得た検査画像と、を比較して、前記検査画像の画像不良を検出する画像検査部、
として機能させ、
前記画像検査部は、
CMYKの前記基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの前記基準画像と、RGBの前記検査画像と、を比較して、輝度の差分を確認し、
前記基準画像と前記検査画像との前記差分が前記画像不良を検出する閾値以上となったときに、前記画像不良を検出し、
CMYKの前記基準画像において特定の色の前記輝度の変動が一定以上あるか否かを判定し、前記特定の色の変動が一定以上である部分では、前記閾値を拡げる又は前記画像不良の検出を行わないようにすることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印刷物上に存在する画像不良の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの構成を機能ごとに示すブロック図である。
図2】画像形成装置及び画像検査装置の概略構成を示す正面図である。
図3】本実施形態に係る画像形成システム(画像検査装置)の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】画像読取装置でスキャンしたRchとRIPデータをRGB変換したときのRchとを比較した一例を示す図である。
図5図4の各Rchの3画素差分を取ったときのグラフの一例を示す図である。
図6】変形例1に係る画像形成システムの構成を機能ごとに示すブロック図である。
図7】変形例2に係る画像形成システムの構成を機能ごとに示すブロック図である。
図8】変形例3に係る画像形成システムの構成を機能ごとに示すブロック図である。
図9】CMYKの格子点ごとに用意されたRGB変換テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係る画像形成システム1は、原稿から読み取った画像データを用紙(記録媒体)に画像形成して出力したり、PC等の外部装置2(図1参照)からLANを介して受信した画像データに基づいて用紙に画像形成して出力したりする複合機である。
【0018】
画像形成システム1は、図1に示すように、プリントコントローラー10と、画像形成装置20と、画像読取装置30と、画像検査装置40と、を備えて構成され、プリントコントローラー10のNIC13を介して、外部装置2と相互に情報の送受信が可能に接続されている。
【0019】
プリントコントローラー10は、画像形成装置20をネットワークプリンターとして使用する場合に、LANに接続される外部装置2から画像形成装置20に入力される画像データの管理及び制御を行うものであり、外部装置2からプリント対象の画像データを受信して画像形成装置20へと送信する。
【0020】
プリントコントローラー10は、CPU11と、画像処理部12と、NIC13と、を備えて構成されている。
CPU11は、プリントコントローラー10の各部の動作を統括的に制御し、NIC13を介して外部装置2から入力される画像データを画像形成装置20に出力する。
画像処理部12は、外部装置2から入力された画像データにラスタライズ(RIP)処理を施して、CMYK各色の画像データ(RIP画像データ:基準画像)を生成する。
NIC(Network Interface Card)13は、外部装置2からLANを介してプリント対象の画像データを受信する通信インターフェイスである。
【0021】
画像形成装置20は、CPU21と、記憶部22と、読取部23と、スキャナー画像処理部24と、プリンター画像処理部25と、書込部26と、を備えて構成されている。
【0022】
CPU21は、記憶部22から各種プログラムを読み出してRAMに展開し、実行することにより、画像形成装置20の各部を制御する。
【0023】
記憶部22は、CPU21により読み取り可能なプログラム、プログラムの実行時に用いられるファイル等を記憶している。記憶部22としては、ハードディスク等の大容量メモリーを用いることができる。
【0024】
読取部23は、自動原稿送り装置、スキャナー等からなり、原稿台上にセットされた原稿面を読み取って、ビットマップ形式の画像データを生成する。読取部23により生成された画像データは、各画素がR(赤)、G(緑)及びB(青)の3色の画素値を有し、C、M、Y及びKの4色の画素値を有する画像データに色変換される。
【0025】
スキャナー画像処理部24は、読取部23から入力されるアナログ画像データに、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング処理等の各種処理を施した後、デジタル画像データを生成する。生成された画像データは、プリンター画像処理部25に出力される。
【0026】
プリンター画像処理部25は、スキャナー画像処理部24又はプリントコントローラー10の画像処理部12から入力された画像データに基づいて、画像形成のための印刷画像データを生成し、書込部26に出力する。
【0027】
書込部26は、電子写真方式の画像形成処理を行うものである。書込部26は、プリンター画像処理部25により画像処理した画像データの各画素の4色の画素値に応じて、C、M、Y及びKの4色からなる画像を用紙上に形成する。
【0028】
書込部26は、図1及び図2に示すように、給紙部261と、搬送部262と、4つの書込ユニット263と、中間転写ベルト264と、転写部265と、定着部266と、を備えて構成されている。なお、本実施形態の書込部26では、電子写真方式を適用した例を説明するが、これに限らず、インクジェット方式、熱昇華方式等、他のプリント方式を適用することとしてもよい。
【0029】
給紙部261は、複数の給紙トレイ、給紙トレイ毎に設けられた給紙ローラー、分離ローラー、給紙/分離ゴム、送り出しローラー等からなる給紙機構を備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、用紙サイズ等)ごとに予め識別された用紙が格納されており、用紙の最上部から一枚ずつ給紙機構により搬送部262に向けて搬送される。
【0030】
搬送部262は、給紙部261から搬送された用紙を、複数の中間ローラー、レジストローラー等を経る転写部265への用紙搬送経路上に用紙を搬送し、書込部26の二次転写位置へと搬送する。
【0031】
4つの書込ユニット263は、中間転写ベルト264のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、C、M、Y及びKの各色の画像を形成する。各書込ユニット263は形成する画像の色が異なるだけで構成は同じであり、図2に示すように、露光部263a、感光体ドラム263b、現像部263c、帯電部263d、クリーニング部263e及び1次転写ローラー263fを備えて構成されている。
【0032】
画像形成時、各書込ユニット263では、帯電部263dにより感光体ドラム263bを帯電させた後、画像データに基づいて露光部263aにより出射した光束で感光体ドラム263b上を走査し、静電潜像を形成する。次いで、現像部263cによりトナーを供給して現像すると、感光体ドラム263b上に画像が形成される。
次いで、4つの書込ユニット263の感光体ドラム263b上にそれぞれ形成した画像を、それぞれの1次転写ローラー263fにより、中間転写ベルト264上に順次重ねて転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト264上には各色からなる画像が形成される。次いで、1次転写後、クリーニング部263eにより感光体ドラム263b上に残留するトナーを除去する。
【0033】
書込部26は、給紙部261から用紙を給紙し、転写部265により中間転写ベルト264から用紙上に画像を転写(2次転写)した後、用紙を定着部266により加熱及び加圧して、定着処理を施す。
用紙の両面に画像を形成する場合は、搬送経路R1に用紙を搬送してその表裏を反転した後、再度転写部265へ用紙を搬送する。
【0034】
画像読取装置(ICCU)30は、読取部31と、画像処理部32と、を備えて構成されている。
読取部31は、例えば、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成され、トナー画像が転写された用紙を読み取って、得られた読取画像を画像処理部32に出力する。
画像処理部32は、読取部31から入力されるアナログ画像データに、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング処理等の各種処理を施した後、RGBのデジタル画像データを生成する。生成された画像データは、画像検査装置40のCPU41に出力される。
【0035】
画像検査装置40は、CPU41を備えて構成され、画像形成装置20により画像が形成(転写)された用紙を画像読取装置30で読み取って得られた読取画像に基づいて、画像不良(スジの有無)を検査(検出)する。
CPU41は、画像検査装置40の各部の動作を統括的に制御する。例えば、CPU41は、画像形成装置20から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置30から読み取り画像を取り込む本発明の取込部として機能する。また、CPU41は、プリントコントローラー10からのRIP画像からなる基準画像と、取込部で取り込んだ、基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を画像読取装置30で読み取って得た検査画像と、を比較して、検査画像の画像不良を検出する本発明の画像検査部として機能する。
【0036】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1(画像検査装置40)の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
まず、画像検査装置40のCPU41は、検査部分(比較部分)がエッジ部であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、CPU41は、基準画像と検査画像とを比較する前に、エッジ抽出フィルタ等を用いて各画像のエッジ部の抽出を行い、検査部分がエッジ部であるか否かを判定する。
CPU41は、検査部分がエッジ部であると判定した場合(ステップS101:YES)、ステップS106へと移行して、画像検査(スジ検査)を行わずに処理を終了する。
一方、CPU41は、検査部分がエッジ部でない(すなわち、エッジがない部分である)と判定した場合(ステップS101:NO)、次のステップS102へと移行する。
【0038】
次に、CPU41は、検査部分の輝度が規定値よりも低いか否かを判定する(ステップS102)。
CPU41は、検査部分の輝度が規定値よりも低いと判定した場合(ステップS102:YES)、次のステップS103へと移行する。
一方、CPU41は、検査部分の輝度が規定値よりも低くない(すなわち、規定値以上である)と判定した場合(ステップS102:NO)、ステップS106へと移行して、画像検査(スジ検査)を行わずに処理を終了する。なお、ステップS106へと移行する代わりに、ステップS105へと移行して、通常の閾値で画像検査を実施するようにしてもよい。
【0039】
ここで、ステップS102で検査部分の輝度が規定値よりも低いか否かを判定するのは、輝度が規定値よりも低い(暗い)とき、CMYK混色のRIPデータにおけるKの変動する箇所において、RGB変換をするときに、輝度変動が逆転することがあるからである。
【0040】
図4に、画像読取装置30でスキャンしたRchとRIPデータをRGB変換したときのRchとを比較した図の一例を示す。図4に示す例では、矢印A1及び矢印A2に示すように、スキャンデータのRchのグラフL1と色変換後のRIPデータのRchのグラフL2とで、輝度変動が逆転した様子が示されている。
【0041】
次に、CPU41は、基準画像において、規定の領域で特定の色(K)の変動が一定以上であるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、規定の領域で特定の色の変動が一定以上であるか否かを判定するのは、特定の色の変動が一定以上である部分において、RGB変換をするときに、輝度変動が逆転するおそれがあるからである。なお、CPU41は、解析アルゴリズムにより、エラーが出やすい色を、特定の色(本実施形態ではK)として予め決定しておく。
CPU41は、規定の領域でKの変動が一定以上であると判定した場合(ステップS103:YES)、次のステップS104へと移行し、(画像不良を検出する)閾値を拡げて(上げて)画像検査を実施する。
一方、CPU41は、規定の領域でKの変動が一定以上でない(すなわち、Kの変動が一定未満である)と判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS105へと移行し、通常の閾値で画像検査を実施する。
【0042】
CPU41は、ステップS104~ステップS106において、画像検査を実施する際、CMYKの基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの基準画像(エッジがない部分)と、RGBの検査画像(エッジがない部分)と、を比較して、差分を確認する。このとき、CPU41は、基準画像と検査画像との輝度の3画素差分(3つ前の画素との差分)を抽出し、3画素差分の差が閾値以上となったときに、スジと見做す(画像不良を検出する)ようにする。
【0043】
ここで、図4に示したように、輝度変動が逆転した状態で3画素差分を取ると、図5に示すように、スキャンデータのRchの3画素差分のグラフL3及び色変換後のRIPデータのRchの3画素差分のグラフL4における輝度変動が逆転した部分の差分が大きくなるため、スジが発生していなくてもスジを誤検知することがある。そこで、ステップS103では、規定の領域でKの変動が一定以上である(すなわち、輝度変動が逆転するおそれがある)と判定した場合に、画像不良を検出する閾値を拡げる(ステップS104参照)ことで、スジの誤検知を防ぐようにしている。
【0044】
なお、ステップS104では、規定の領域でKの変動が一定以上であると判定した場合に、画像不良を検出する閾値を拡げるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、画像不良を検出する閾値を拡げる代わりに、画像不良の検出を行わないようにしてもよい。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1の画像検査装置40は、用紙に画像を形成する画像形成装置20から出力された用紙を光学的に読み取る画像読取装置30から読み取り画像を取り込む取込部(CPU41)と、プリントコントローラー10からのRIP画像からなる基準画像と、取込部で取り込んだ、基準画像に対応する画像が形成された検査対象の用紙を画像読取装置30で読み取って得た検査画像と、を比較して、検査画像の画像不良を検出する画像検査部(CPU41)と、を備える。また、画像検査部は、CMYKの基準画像に対してRGBへの色変換を行った後、RGBの基準画像と、RGBの検査画像と、を比較して、差分を確認し、基準画像において特定の色の変動が一定以上ある部分では、画像不良を検出する閾値を拡げる又は画像不良の検出を行わないようにする。
したがって、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、色変換時の輝度変動に起因するスジの誤検知を抑制することができるので、印刷物上に存在する画像不良の検知精度を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、画像検査部は、基準画像と検査画像とを比較する前に、エッジの抽出を行い、エッジがない部分において差分を確認する。
したがって、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、画像不良を検知可能なエッジがない部分において画像検査を実施することができるので、精度よく画像不良を検知することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、画像検査部は、基準画像と検査画像とを比較する際、3画素差分を抽出し、基準画像と検査画像との3画素差分の差が閾値以上となったときに、画像不良を検出する。
したがって、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、容易に画像検査を実施することができるので、検査画像の画像不良を容易に検出することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、画像検査部は、解析アルゴリズムにより、エラーが出やすい色を、特定の色として予め決定しておく。
したがって、本実施形態に係る画像検査装置40によれば、色変換時の輝度変動に起因するスジの誤検知を予測することができるので、画像不良の検知精度を向上させることができる。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0050】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、プリントコントローラー10と、画像形成装置20と、画像読取装置30と、画像検査装置40と、を備えて構成される画像形成システム1を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、画像形成装置20のCPU21に、プリントコントローラー10のCPU11の機能を持たせることで、画像形成装置20とプリントコントローラー10とを、一体とするようにしてもよい。
すなわち、変形例1に係る画像形成システム1Aは、画像形成装置20Aと、画像読取装置30と、画像検査装置40と、を備えて構成されている。また、画像形成装置20Aは、CPU21と、記憶部22と、読取部23と、スキャナー画像処理部24と、プリンター画像処理部25と、書込部26と、NIC27と、を備えて構成されている。
画像形成装置20AのCPU21は、実施形態における機能に加え、NIC27を介して外部装置2から入力される画像データをプリンター画像処理部25に出力する機能を有する。
【0051】
(変形例2)
また、図7に示すように、画像形成装置20のCPU21に、プリントコントローラー10のCPU11及び画像検査装置40のCPU41の機能を持たせることで、画像形成装置20、プリントコントローラー10及び画像検査装置40を、一体とするようにしてもよい。
すなわち、変形例2に係る画像形成システム1Bは、画像形成装置20Bと、画像読取装置30と、を備えて構成されている。
画像形成装置20BのCPU21は、変形例1における機能に加え、本発明の取込部及び画像検査部として機能する。すなわち、画像形成装置20BのCPU21は、本発明の画像検査装置としても機能する。
【0052】
(変形例3)
また、図8に示すように、画像形成装置20のCPU21に、プリントコントローラー10のCPU11及び画像検査装置40のCPU41の機能の他、画像読取装置30を制御する機能を持たせるようにしてもよい。これにより、変形例3では、画像形成システム1を構成するすべての装置(機能)を、画像形成装置20単体に集約することができる。
すなわち、変形例3に係る画像形成装置1Cは、画像形成部20Cと、画像読取部30Cと、を備えて構成されている。
画像形成部20CのCPU21は、変形例2と同様、本発明の取込部及び画像検査部として機能する。すなわち、画像形成部20CのCPU21は、本発明の画像検査装置としても機能する。また、画像形成部20CのCPU21は、変形例2における機能に加え、画像読取部30Cを制御する機能を有している。
【0053】
また、CMYKの基準画像(RIPデータ)に対してRGBへの色変換を行う方法として、CMYKの格子点を用意し、その格子点ごとにRGBに相当する変換テーブル(図9参照)を用意するようにしてもよい。この場合、格子点上にある画素は、変換テーブルを参照してRGBへの色変換を行うが、格子点上にない画素は、隣接する格子点から補間してRGBの値が求められる。
【0054】
また、上記実施形態では、エラーが出やすい特定の色として、Kを例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、Kの代わりに、YMCのいずれかを特定の色として決定しておくようにしてもよい。
【0055】
その他、画像形成システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
1、1A、1B 画像形成システム
10 プリントコントローラー
11 CPU
12 画像処理部
13 NIC
20、20A、20B、1C 画像形成装置
20C 画像形成部
21 CPU
22 記憶部
23 読取部
24 スキャナー画像処理部
25 プリンター画像処理部
26 書込部
261 給紙部
262 搬送部
263 書込ユニット
264 中間転写ベルト
265 転写部
266 定着部
27 NIC
30 画像読取装置
30C 画像読取部
31 読取部
32 画像処理部
40 画像検査装置
41 CPU(取込部、画像検査部)
2 外部装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9