(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画像形成装置および定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
G03G15/20 525
(21)【出願番号】P 2019167357
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
(72)【発明者】
【氏名】諏訪間 大
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-090755(JP,A)
【文献】特開2017-049484(JP,A)
【文献】特開2000-356916(JP,A)
【文献】特開2019-139042(JP,A)
【文献】特開2013-019966(JP,A)
【文献】特開2008-170649(JP,A)
【文献】特開2014-134626(JP,A)
【文献】特開2015-191117(JP,A)
【文献】特開2012-037756(JP,A)
【文献】特開2014-149515(JP,A)
【文献】特開2013-041032(JP,A)
【文献】特開2014-048624(JP,A)
【文献】特開2008-040310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体に形成された前記トナー像と接触して、前記トナー像を加圧するとともに所定の定着温度で加熱することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着処理を行う定着部材と、
前記定着部材と圧接することにより、前記定着部材を清掃する第1クリーニング部材と、
前記第1クリーニング部材と圧接し、前記第1クリーニング部材を清掃する第2クリーニング部材と、
前記定着部材と、前記第1クリーニング部材とを圧接および離隔させる圧離駆動部と、
前記第1クリーニング部材を回転駆動させる回転駆動部と、
前記第1クリーニング部材を加熱する加熱部と、
前記記録媒体への前記定着処理を行う通常モードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を所定の第1温度に設定し、前記圧離駆動部により前記第1クリーニング部材を前記定着部材に圧接させて前記定着部材を清掃するとともに前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃し、
前記記録媒体への前記定着処理を行わないクリーニングモードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を前記第1温度より高い所定の第2温度に設定し、前記圧離駆動部により前記定着部材から前記第1クリーニング部材を離隔し、前記第1クリーニング部材を前記回転駆動部により回転させて、前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃する、ように制御する制御部と、を有
し、
前記制御部は、前記第1クリーニング部材の端部の温度を計測する温度センサーにより計測された温度に基づいて、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱を制御し、前記クリーニングモードにおいては、前記加熱部による前記第1クリーニング部材を前記第2温度にするための加熱開始からの時間に応じて、前記設定温度を、前記第2温度まで段階的に高くする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2温度は前記定着温度より高い、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2温度は、前記記録媒体の種類ごとに設定される、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2クリーニング部材を所定の送り速度で移動させる移動部をさらに有し、
前記制御部は、前記通常モードでは、前記第1クリーニング部材に圧接された前記第2クリーニング部材を、前記移動部により第1送り速度で移動させ、前記クリーニングモードでは、前記第1クリーニング部材に圧接された前記第2クリーニング部材を、前記移動部により、前記第1送り速度より速い第2送り速度で移動させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1クリーニング部材の表層はポリイミドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱開始時の、前記温度センサーにより計測された温度に応じて、段階的に高くする最初の前記設定温度を変更する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録媒体に形成されたトナー像と接触して、前記トナー像を加圧するとともに所定の定着温度で加熱することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着処理を行う定着部材と、
前記定着部材と圧接することにより、前記定着部材を清掃する第1クリーニング部材と、
前記第1クリーニング部材と圧接し、前記第1クリーニング部材を清掃する第2クリーニング部材と、
前記定着部材と、前記第1クリーニング部材とを圧接および離隔させる圧離駆動部と、
前記第1クリーニング部材を回転駆動させる回転駆動部と、
前記第1クリーニング部材を加熱する加熱部と、
前記記録媒体への前記定着処理を行う通常モードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を所定の第1温度に設定し、前記圧離駆動部により前記第1クリーニング部材を前記定着部材に圧接させて前記定着部材を清掃するとともに前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃し、
前記記録媒体への前記定着処理を行わないクリーニングモードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を第1温度より高い所定の第2温度に設定し、前記圧離駆動部により前記定着部材から前記第1クリーニング部材を離隔し、前記第1クリーニング部材を前記回転駆動部により回転させて、前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃する、ように制御する制御部と、を有
し、
前記制御部は、前記第1クリーニング部材の端部の温度を計測する温度センサーにより計測された温度に基づいて、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱を制御し、前記クリーニングモードにおいては、前記加熱部による前記第1クリーニング部材を前記第2温度にするための加熱開始からの時間に応じて、前記設定温度を、前記第2温度まで段階的に高くする、定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、用紙にトナー像を形成し、画像形成装置が備える定着装置により用紙上のトナー像を定着させることで、用紙に画像を形成する。定着装置は、例えば、2つの定着用ローラーを圧接することで形成された定着ニップで、用紙を加圧および加熱しつつ当該定着用ローラーの回転により搬送することで、用紙にトナー像を定着させる。
【0003】
定着装置による定着時に、トナー像に含まれる離型剤であるワックスが染み出して定着用ローラー等に付着した後、定着用ローラー等が一周して、ワックスの付着部分が後続する用紙上のトナー像に接触すると、ワックスの付着部分とそれ以外の部分で定着状態が異なることで画像にムラが生じる。このような現象は光沢メモリと呼ばれる。光沢メモリの発生は、クリーニングローラーを回転する定着用ローラー等に圧接してワックスを除去することにより抑制できる。
【0004】
しかし、定着装置内でジャムが発生した場合、ジャム処理時に用紙上のトナーが定着用ローラー等へ比較的多く転移し、さらに定着用ローラー等で運ばれたトナーがクリーニングローラー上に転移することでクリーニングローラーが汚れ、定着用ローラー等からのワックスの除去効果を劣化させる。この対策として、ジャムの発生後、クリーニングモードに切替えることで、トナー像の用紙への定着を停止し、クリーニングローラー上に付着したトナーをこれに当接したウェブ(不織布)で除去する技術が知られている。
【0005】
クリーニングモードにおいては、定着用ローラー等に圧接したクリーニングローラーにより定着用ローラー等に付着したトナーが除去されることで、当該トナーにより、クリーニングモード後に用紙に形成されたトナー像が汚れることは抑止できる。しかし、クリーニングローラー上に付着したトナーからワックスが染み出し、当該ワックスが定着用ローラー等に転移することにより光沢メモリが発生する可能性がある。このようにして発生する光沢メモリを抑止するためには、クリーニングローラー上に付着したトナー量をより少なくする必要があるため、ウェブによりクリーニングローラー上のトナーを除去するクリーニングモードの時間が増大し、生産性が低下する。
【0006】
下記特許文献には、次の先行技術が開示されている。画像加熱装置内でのジャム処理後の復帰動作時に、回転する定着ローラーに当接することで定着ローラー上のトナーを回収する回収ローラーに対する、回収ローラーに摺擦させるウェブの加圧力を、用紙への定着処理時よりも低くするクリーニングモードを実施する。これにより、回収ローラーに大量のトナーが付着することで回収ローラーとウェブとの間の摺擦抵抗が増加して、ウェブにたるみを生じさせることで回収ローラーの清掃効果が低下することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記先行技術は、クリーニングローラーである回収ローラーに対するウェブの加圧力を小さくするため、回収ローラーとウェブのニップ幅が小さくなり、両者の密着性が下がるため、回収ローラーに対するウェブのクリーニング性能が低下する可能性がある。そのため、回収ローラーに比較的多くのトナーが付着すると、光沢メモリが発生しない程度までトナーを回収するのに時間を要し、クリーニングモードの時間が増大して、生産性が低下する可能性があるという問題がある。
【0009】
一方、クリーニングローラーに対するウェブの加圧力を増大させると、クリーニングローラーの回転が阻害され、クリーニングローラーと圧接して回転する定着ベルト等との速度差が生じることで定着ベルト等の表面に傷をつける可能性があるという問題がある。
【0010】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、光沢メモリの発生を防止するとともに、定着部材を傷つけることなく生産性の低下を抑止可能な、画像形成装置および定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0012】
(1)記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、前記記録媒体に形成された前記トナー像と接触して、前記トナー像を加圧するとともに所定の定着温度で加熱することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着処理を行う定着部材と、前記定着部材と圧接することにより、前記定着部材を清掃する第1クリーニング部材と、前記第1クリーニング部材と圧接し、前記第1クリーニング部材を清掃する第2クリーニング部材と、前記定着部材と、前記第1クリーニング部材とを圧接および離隔させる圧離駆動部と、前記第1クリーニング部材を回転駆動させる回転駆動部と、前記第1クリーニング部材を加熱する加熱部と、前記記録媒体への前記定着処理を行う通常モードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を所定の第1温度に設定し、前記圧離駆動部により前記第1クリーニング部材を前記定着部材に圧接させて前記定着部材を清掃するとともに前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃し、前記記録媒体への前記定着処理を行わないクリーニングモードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を前記第1温度より高い所定の第2温度に設定し、前記圧離駆動部により前記定着部材から前記第1クリーニング部材を離隔し、前記第1クリーニング部材を前記回転駆動部により回転させて、前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃する、ように制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1クリーニング部材の端部の温度を計測する温度センサーにより計測された温度に基づいて、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱を制御し、前記クリーニングモードにおいては、前記加熱部による前記第1クリーニング部材を前記第2温度にするための加熱開始からの時間に応じて、前記設定温度を、前記第2温度まで段階的に高くする、画像形成装置。
【0013】
(2)前記第2温度は前記定着温度より高い、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0014】
(3)前記第2温度は、前記記録媒体の種類ごとに設定される、上記(2)に記載の画像形成装置。
【0015】
(4)前記第2クリーニング部材を所定の送り速度で移動させる移動部をさらに有し、前記制御部は、前記通常モードでは、前記第1クリーニング部材に圧接された前記第2クリーニング部材を、前記移動部により第1送り速度で移動させ、前記クリーニングモードでは、前記第1クリーニング部材に圧接された前記第2クリーニング部材を、前記移動部により、前記第1送り速度より速い第2送り速度で移動させる、上記(1)~(3)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0016】
(5)前記第1クリーニング部材の表層はポリイミドである、上記(1)~(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0018】
(6)前記制御部は、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱開始時の、前記温度センサーにより計測された温度に応じて、段階的に高くする最初の前記設定温度を変更する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0019】
(7)記録媒体に形成されたトナー像と接触して、前記トナー像を加圧するとともに所定の定着温度で加熱することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着処理を行う定着部材と、前記定着部材と圧接することにより、前記定着部材を清掃する第1クリーニング部材と、前記第1クリーニング部材と圧接し、前記第1クリーニング部材を清掃する第2クリーニング部材と、前記定着部材と、前記第1クリーニング部材とを圧接および離隔させる圧離駆動部と、前記第1クリーニング部材を回転駆動させる回転駆動部と、前記第1クリーニング部材を加熱する加熱部と、前記記録媒体への前記定着処理を行う通常モードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を所定の第1温度に設定し、前記圧離駆動部により前記第1クリーニング部材を前記定着部材に圧接させて前記定着部材を清掃するとともに前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃し、前記記録媒体への前記定着処理を行わないクリーニングモードでは、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱の設定温度を第1温度より高い所定の第2温度に設定し、前記圧離駆動部により前記定着部材から前記第1クリーニング部材を離隔し、前記第1クリーニング部材を前記回転駆動部により回転させて、前記第2クリーニング部材により前記第1クリーニング部材を清掃する、ように制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1クリーニング部材の端部の温度を計測する温度センサーにより計測された温度に基づいて、前記加熱部による前記第1クリーニング部材の加熱を制御し、前記クリーニングモードにおいては、前記加熱部による前記第1クリーニング部材を前記第2温度にするための加熱開始からの時間に応じて、前記設定温度を、前記第2温度まで段階的に高くする、定着装置。
【発明の効果】
【0020】
クリーニングモードで、定着部材から第1クリーニング部材を離隔し、第1クリーニング部材を、通常モード時より高い温度に加熱するとともに回転させることで、第1クリーニング部材に圧接された第2クリーニング部材で清掃する。これにより、光沢メモリの発生を防止するとともに、定着部材を傷つけることなく生産性の低下を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】クリーニングモードにおける定着部の各部材の位置を示す定着部の概略図である。
【
図5】段階温度制御をしない場合の、クリーニングローラーの加熱開始からの時間に対する、クリーニングローラーの端部と中央部の温度を示す図である。
【
図6】段階温度制御をした場合の、クリーニングローラーの加熱開始からの時間に対する、クリーニングローラーの端部と中央部の温度を示す図である。
【
図7】加熱開始時のクリーニングローラーの温度範囲と、段階的に高くするヒーターの設定温度との関係を示す図である。
【
図8】加熱開始時のクリーニングローラーの温度に応じて、ヒーターの設定温度を段階的に高くした場合のクリーニングローラーの端部と中央部の温度の例を示す図である。
【
図9】加熱開始時のクリーニングローラーの温度に応じて、ヒーターの設定温度を段階的に高くした場合のクリーニングローラーの端部と中央部の温度の他の例を示す図である。
【
図10】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
図1は、画像形成装置100の構成を示す概略図である。
図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
図3は、定着部50の構成を示す概略図である。
【0024】
画像形成装置100は、通信部130によりネットワークを介して、画像形成装置100に対して印刷指示等の各種指示をするための1つまたは複数の端末(図示せず)と接続され得る。画像形成装置100は、当該端末から受信した印刷ジョブに基づいて、用紙900に画像を形成する。
【0025】
印刷ジョブとは、画像形成装置100に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDF(Portable Document Format)データ、PDL(Page Description Language)データ、またはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙900への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
【0026】
画像形成装置100は、制御部110、記憶部120、通信部130、操作表示部140、画像読取部150、画像制御部160、および画像形成部170を備える。これらの構成要素は、バスにより互いに通信可能に連結されている。画像形成装置100は、例えばMFP(MultiFunction Peripheral)により構成され得る。
【0027】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)および各種メモリを備えており、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部110の作用の詳細については後述する。
【0028】
記憶部120は、SDD(Solid State Drive)、またはHDD(Hard Disc Drive)等により構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
【0029】
通信部130は、画像形成装置100と外部機器との間で通信を行うためのインターフェースである。通信部130として、イーサネット(登録商標)、SATA、IEEE1394等の規格によるネットワークインターフェースが用いられる。また、通信部130として、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の無線通信インターフェース等の各種ローカル接続インターフェース等が用いられる。
【0030】
操作表示部140は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0031】
画像読取部150は、蛍光ランプ等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を有する。画像読取部150は、所定の読み取り位置にセットされた原稿に光源から光を当て、その反射光を撮像素子で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0032】
画像制御部160は、通信部130により受信された印刷ジョブ等に含まれる印刷データのレイアウト処理、スクリーニング、ラスタライズ処理等を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する。画像データは、画素ごとのCMYK値またはRGB値である。
【0033】
画像形成部170は、作像部40、定着部50、給紙部60、および用紙搬送部70を含む。
【0034】
作像部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナーに対応した作像ユニット41Y、41M、41C、41Kを有する。各作像ユニット41Y、41M、41C、41Kにより、画像データ(色変換後の画像データ)に基づいて、帯電、露光、および現像のプロセスを経て感光体ドラム47上にトナー画像が形成される。露光は、レーザー光により感光体ドラム47上を走査することで行われる。像担持体である感光体ドラム47上に形成されたトナー画像は、感光体ドラム47と1次転写ローラー48が中間転写ベルト42を介して圧着され、駆動ローラー45の駆動力により中間転写ベルト42が回転走行することで中間転写ベルト42上に順次重ねられてカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト42は、副走査方向(
図1における直線矢印の方向)へ走行する。中間転写ベルト42上に形成されたカラーのトナー画像は、2次転写ローラー43と対向ローラー44が中間転写ベルト42を介して圧着されることにより、搬送される用紙900上に転写される。
【0035】
定着部50は、定着ローラー51a、定着ベルト51b、加熱ローラー51c、加圧ローラー52、クリーニングローラー54、ウェブ56a、押圧ローラー56b、元巻きローラー56c、巻き取りローラー56d、クリーニングローラー駆動機構57、および押圧ローラー駆動機構58を含む。定着ベルト51bは、定着部材を構成する。クリーニングローラー54は、第1クリーニング部材を構成する。ウェブ56aは、第2クリーニング部材を構成する。クリーニングローラー駆動機構57は、ギア、カム、モーター等(いずれも図示せず)を含み、圧離駆動部と回転駆動部を構成する。
【0036】
定着ベルト51bは、無端状のベルトであり、加熱ローラー51cおよび定着ローラー51aにより張架される。定着ベルト51bは、駆動モーター(図示せず)の駆動力により回転駆動される定着ローラー51aの回転に従動して、
図3における時計回り方向へ回転する。定着ローラー51aと加圧ローラー52とは、定着ベルト51bを介して互いに圧接されることで、定着ベルト51bと加圧ローラー52との間で定着ニップNを形成する。定着部50に搬送された用紙900は、定着ニップNで所定の定着温度で加熱され、かつ加圧されることでトナー像が定着(溶融定着)されるとともに、定着ベルト51bおよび加圧ローラー52の回転により搬送される。定着温度は、例えば、160~200℃に設定される。定着温度は、用紙900の種類等によって異ならせ得る。定着ベルト51bは、例えば、厚さ70μmのPI(ポリイミド)の基体の外周面を弾性層で被覆したものである。弾性層としては、例えば、厚さ200μmの耐熱性のシリコーンゴム(硬度JIS-A30°)が使用される。耐熱性樹脂としては、例えば、厚さ30μmのPFA(パーフルオロアルコシキ)が使用される。
【0037】
加熱ローラー51cは、内蔵するヒーター53が発生する熱を定着ベルト51bに伝導することで、定着ベルト51bを加熱する。加熱ローラー51cは、例えば、アルミニウム等の金属から形成された円筒状の芯金の外周面をフッ素系樹脂等でコーティングしたものである。ヒーター53は、例えばハロゲンヒーターである。
【0038】
定着ローラー51aは、駆動モーター(図示せず)の駆動力により、
図3における時計回り方向に回転する。定着ローラー51aの周速度は、例えば、200mm/s程度に設定される。定着ローラー51aは、定着ベルト51bを介してヒーター53により間接的に加熱される。定着ローラー51aは、例えば、内側から順に、円筒形の金属からなる芯金、その表面に形成されたシリコーンゴムまたは発泡シリコーンゴム等の素材からなる弾性層、およびフッ素樹脂等の離型層を備える。
【0039】
加圧ローラー52は、定着ベルト51bを介して定着ローラー51aを加圧する。加圧ローラー52は、例えば、内側から順に、円筒形の金属からなる芯金、その表面に形成された発泡シリコーンゴム弾性層、およびフッ素樹脂等の離型層を備える。
【0040】
(通常モード)
定着部50により用紙900にトナー像が定着される定着処理を行う通常モードにおいては、クリーニングローラー54は、クリーニングローラー駆動機構57により定着ベルト51bと圧接される。
図3には、通常モードにおける定着部50の各部材の位置が示されている。定着ベルト51bと圧接されたクリーニングローラー54は、回転する定着ベルト51bから、定着時に用紙900から移転することで付着したトナーやワックスを除去する、定着ベルト51bの清掃を行う。その際、クリーニングローラー54は定着ベルト51bの回転に従動して、
図3における反時計回り方向へ従動回転する。なお、クリーニングローラー54は、クリーニングローラー駆動機構57による駆動力により定着ベルト51bの速度と同じ速度で回転されてもよい。ウェブ56aは、元巻きローラー56cから供給され、張架される押圧ローラー56bによる押圧力によりクリーニングローラー54に圧接されるとともに、巻き取りローラー56dに巻き取られる。押圧ローラー駆動機構58により、押圧ローラー56bがウェブ56aを介してクリーニングローラー54と圧接されることで、ウェブ56aはクリーニングローラー54に常時圧接される。ウェブ56aは、定着ベルト51bの清掃時に定着ベルト51bから移転することでクリーニングローラー54に付着したトナーやワックスを、クリーニングローラー54から除去する、クリーニングローラー54の清掃を行う。その際、クリーニングローラー54は、内蔵するヒーター55により所定の第1温度に加熱される。ヒーター55は、加熱部を構成する。第1温度は、定着温度と同じ温度に設定され得るが、定着温度より高い温度に設定されてもよい。第1温度は、例えば170℃である。ヒーター55は、例えば、ハロゲンヒーターである。クリーニングローラー54の温度は、温度センサー59により計測される。温度センサー59は、非接触センサーであり、クリーニングローラー54の端部(具体的には、ローラーの端部の表面)の温度を測定し得る。温度センサー59は、例えば、クリーニングローラー54の温度を測定する検知用の検出素子(サーミスタ)と、温度補償用の検出素子(サーミスタ)とを備えた、赤外線検知方式のセンサーである。温度センサー59は、画像形成装置100の筐体に固定された設置板状上で、検出面がクリーニングローラー54の端部に対向するように配置され得る。巻き取りローラー56dは、モーター(図示せず)により回転することで、ウェブ56aを巻き取る。巻き取りローラー56dは、移動部を構成する。巻き取りローラー56dによりウェブ56aが巻き取られることによる、ウェブ56aの送り速度は所定の第1送り速度に設定される。第1送り速度は、例えば、0.10mm/sである。ウェブ56aがクリーニングローラー54に圧接されることで形成されるニップ部のニップ幅は、所定の第1幅に設定される。第1幅は、例えば、3mmである。
【0041】
クリーニングローラー54は、例えば、アルミニウム等の金属から形成された円筒状の芯金の外周面を、表層として、PI(ポリイミド)でコーティングしたものである。クリーニングローラー54の表層を離型性の低いPIとすることで、定着ベルト51bに付着したワックスが除去されやすくなるため、定着ベルト51bの清掃効率が向上し、光沢メモリの発生を効果的に抑止できる。クリーニングローラー54の表層のPIとして、接触角(純水)を80°~90°、平均表面粗さ0.2μm以下、ニップ幅1.5mm以上のPIを用いることで、定着ベルト51bに付着したワックスをさらに効果的に除去できる。
【0042】
ウェブ56aは、例えば、アラミド繊維等の耐熱性の繊維を用いた不織布である。
【0043】
(クリーニングモード)
定着部50内においてジャム等が発生した場合は、起因紙の除去等のジャム処理がなされた後、定着部50は、用紙900への定着処理を行わないクリーニングモードに移行する。
【0044】
図4は、クリーニングモードにおける定着部50の各部材の位置を示す定着部50の概略図である。
【0045】
クリーニングモードにおいては、クリーニングローラー54は、クリーニングローラー駆動機構57により定着ベルト51bから離間され、クリーニングローラー駆動機構57による駆動力により定着ベルト51bの速度と同じ速度で、
図4における反時計回り方向へ回転される。クリーニングモードにおいても、押圧ローラー駆動機構58により、クリーニングローラー54にウェブ56aが圧接された状態が維持される。ウェブ56aは、元巻きローラー56cから供給され、張架される押圧ローラー56bによる押圧力によりクリーニングローラー54に圧接されるとともに、巻き取りローラー56dに巻き取られる。ウェブ56aは、クリーニングローラー54と圧接して、クリーニングローラー54から、定着ベルト51bの清掃時に定着ベルト51bから移転することでクリーニングローラー54に付着したトナーやワックスを除去する、クリーニングローラー54の清掃を行う。その際、クリーニングローラー54は、内蔵するヒーター55により所定の第1温度より高い所定の第2温度に加熱される。第2温度は、定着温度より高い温度に設定される。これにより、クリーニングローラー54の温度が低いことでトナーが比較的固くなっているためにウェブ56aで除去できなくなることを防止し、トナーおよびワックスをクリーニングローラー54から効果的に除去できる。第2温度は、定着温度が用紙900の種類に応じて変えられることに伴い、用紙900の種類ごとに設定され得る。第2温度は、用紙900の種類によらない一定の温度に設定されてもよい。第2温度は、光沢メモリの抑制およびクリーニングモードの時間短縮の観点から実験により適当な値に設定し得る。第2温度は、例えば、210℃である。第2温度の上限は、ウェブ56aの耐熱温度とし得る。
【0046】
巻き取りローラー56dによりウェブ56aが巻き取られることによる、ウェブ56aの送り速度は、第1送り速度より速い所定の第2送り速度に設定される。クリーニングモードでは、通常モードよりもクリーニングローラー54に付着したトナー(およびワックス)の量を効果的に減らす必要がある。クリーニングモードで、ウェブ56aの送り速度を増大させることで、クリーニングローラー54に付着したトナー(およびワックス)の量を効果的に減らすことができる。また、クリーニングモード時にのみウェブ56aの送り速度を増大させることで、ウェブ56aの使用量が増大することを抑制できる。第2送り速度は、例えば、1mm/sである。ウェブ56aがクリーニングローラー54に圧接されることで形成されるニップ部のニップ幅は、第1幅より大きい所定の第2幅に設定される。第2幅は、例えば、4mmである。
【0047】
なお、通常モードにおいて、比較的厚い用紙900に画像形成されたトナー像を定着させた場合等、定着ベルト51bの温度が比較的高くなっていることがある。この場合、ジャム発生直前のクリーニングローラー54の温度が既に高くなっている場合(例えば、クリーニングローラー54の温度が210℃の場合)は、クリーニングモード時に、クリーニングローラー54の温度を上げなくてもよい(210℃に維持してもよい)。
【0048】
定着部50によりトナー画像が定着された用紙900は、印刷物として排紙トレイ90に排紙される。
【0049】
給紙部60は、複数の給紙トレイ61、62を有し、給紙トレイ61、62に収容された用紙900を1枚ずつ下流側の搬送経路に送り出す。
【0050】
用紙搬送部70は、用紙900を搬送するための複数の搬送ローラーを有し、作像部40、定着部50、および給紙部60の各部間で用紙900を搬送する。複数の搬送ローラーには、用紙900の傾きを矯正するためのレジストローラー71や、用紙900に所定量のループを形成するためのループローラー72が含まれる。
【0051】
用紙搬送部70は、画像形成された用紙900を排紙トレイ90に排紙する。
【0052】
次に、制御部110の作用について詳細に説明する。
【0053】
制御部110は、通信部130により印刷ジョブを受信すると、画像制御部160により印刷データのラスタライズ処理をして画像データを生成し、作像部40により画像データに基づいて用紙900にトナー像を形成する。制御部110は、ジャムが検出されていない場合は、定着部50を通常モードに設定する。制御部110は、通常モードで、トナー像を用紙900に定着させ、第1温度に加熱されたクリーニングローラー54により定着ベルト51bを清掃するとともに、第1送り速度で移動されるウェブ56aによりクリーニングローラー54を清掃する。
【0054】
制御部110は、定着部50内でジャムを検出した場合、ジャムの処理が終了したかどうか判断する。制御部110は、例えば、用紙搬送部70による用紙900の搬送制御がされているにもかかわらず、用紙900の搬送経路に設けられた位置センサー(図示せず)により検知される用紙900の位置が変化しないことによりジャムを検出する。制御部110は、例えば、用紙900の搬送制御がされているにもかかわらず、搬送経路上の位置が変化しない用紙900(例えば、ジャム発生の起因紙)のすべてが、位置センサーにより検知されなくなったことにより、ジャムの処理が終了したと判断する。
【0055】
制御部110は、ジャムの処理が終了したと判断した場合、定着部50をクリーニングモードに移行させる。制御部110は、クリーニングモードで、定着ベルト51bから離間させたクリーニングローラー54を第1温度より高い第2温度に加熱するとともに回転させる。これにより、制御部110は、クリーニングローラー54に圧接されるとともに、第1送り速度より速い第2送り速度で移動させたウェブ56aにより、クリーニングローラー54を清掃する。
【0056】
制御部110は、クリーニングローラー54の端部に設けられた温度センサー59により計測された温度に基づいて、ヒーター55によりクリーニングローラー54を加熱させる設定温度を次のように設定し得る。制御部110は、ヒーター55によるクリーニングローラー54を第2温度にするための加熱開始からの時間に応じて、ヒーター55の設定温度を、第2温度まで段階的に高くする。以下、ヒーター55の設定温度を、第2温度まで段階的に高くする制御を「段階温度制御」と称する。
【0057】
図5は、段階温度制御をしない場合の、クリーニングローラー54の加熱開始からの時間に対する、クリーニングローラー54の端部と中央部の温度を示す図である。
図6は、段階温度制御をした場合の、クリーニングローラー54の加熱開始からの時間に対する、クリーニングローラー54の端部と中央部の温度を示す図である。
図5、
図6において、破線のグラフはクリーニングローラー54の中央部の温度のグラフであり、実線のグラフは、クリーニングローラー54の端部の温度のグラフである。上限温度は、クリーニングローラー54の温度の上限値である。上限温度は、ウェブ56aの融点未満に設定される。
【0058】
図5に示すように、段階温度制御をしない場合、クリーニングローラー54の端部に設けられた温度センサー59により検出された温度に基づいて、ヒーター55の設定温度を制御すると、クリーニングローラー54の中央温度が過昇温してしまい、上限温度を超え得る。これにより、上限温度によっては、クリーニングローラー54に圧接するウェブ56aが融ける等の不具合が生じる可能性がある。
【0059】
図6に示すように、クリーニングローラー54の加熱開始からの時間に応じて、第1設定温度、第2設定温度、第3設定温度の順に設定温度を段階的に高くすると、クリーニングローラー54の中央温度が過昇温することを抑止できる。これにより、クリーニングローラー54の中央温度を上限温度以下にすることが可能になる。第1設定温度~第3設定温度は、クリーニングローラー54の中央温度が上限温度に達することなく、クリーニングローラー54の端部温度(温度センサー59により計測される温度)が第2温度に達するのに要する時間を最短にする観点から実験により決定し得る。
【0060】
制御部110は、ヒーター55によるクリーニングローラー54の加熱開始時の、温度センサー59により計測された温度に応じて、段階的に高くするヒーター55の設定温度を変更する。
【0061】
図7は、加熱開始時のクリーニングローラー54の温度範囲と、段階的に高くするヒーター55の設定温度との関係を示す図である。
【0062】
図7の例においては、加熱開始時のクリーニングローラー54の温度が、第1設定温度以下の場合、クリーニングローラー54の加熱開始からの時間に応じて、第1設定温度、第2設定温度、第3設定温度の順に設定温度を段階的に高くする。加熱開始時のクリーニングローラー54の温度が、第1設定温度より高く、第2設定温度以下の場合、クリーニングローラー54の加熱開始からの時間に応じて、第2設定温度、第3設定温度の順に設定温度を段階的に高くする。そして、加熱開始時のクリーニングローラー54の温度が、第2設定温度より高く、第3設定温度以下の場合、設定温度は第3設定温度にする。
【0063】
図8は、加熱開始時のクリーニングローラー54の温度に応じて、ヒーターの設定温度を段階的に高くした場合のクリーニングローラー54の端部と中央部の温度の例を示す図である。
図9は、加熱開始時のクリーニングローラー54の温度に応じて、ヒーターの設定温度を段階的に高くした場合のクリーニングローラー54の端部と中央部の温度の他の例を示す図である。
【0064】
図8には、加熱開始時のクリーニングローラー54の端部温度が、第1設定温度より高く、第2設定温度以下の場合の例が示されている。この場合、加熱開始時のヒーター55の設定温度を、加熱開始時のクリーニングローラー54の端部温度より高い第2温度に段階的に上昇させることで、クリーニングローラー54の昇温時間を短縮できる。
【0065】
図9には、加熱開始時のクリーニングローラー54の端部温度が、第2設定温度より高く、第3設定温度以下の場合の例が示されている。この場合、加熱開始時のヒーター55の設定温度を、加熱開始時のクリーニングローラー54の端部温度より高い第3温度にすることで、クリーニングローラー54の昇温時間を短縮できる。
【0066】
画像形成装置100の動作について説明する。
【0067】
図10は、画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、制御部110により、記憶部120に記憶されたプログラムに従い実行され得る。
【0068】
制御部110は、ジャムの処理後かどうか判断する(S101)。すなわち、制御部110は、定着部50においてジャムが発生し、ジャムの処理が終了した状態にあるかどうか判断する。制御部110は、ジャムの処理後ではないと判断した場合は(S101:NO)、ステップS103へ移行する。
【0069】
制御部110は、ジャムの処理後であると判断した場合は(S101:YES)、定着部をクリーニングモードに移行させる。すなわち、制御部110は、定着ローラー51aからクリーニングローラー54を離隔させて第2温度に加熱するとともに、クリーニングローラー54を回転させる。これにより、クリーニングローラー54に圧接されたウェブ56aでクリーニングローラー54を清掃する。
【0070】
制御部110は、印刷指示を受けたかどうか判断する(S103)。制御部110は、例えば、通信部130により印刷ジョブが受信されたことにより、印刷指示を受けたと判断する。制御部110は、印刷指示を受けていないと判断した場合は(S103:NO)、印刷指示を受けるまで待つ。
【0071】
制御部110は、印刷指示を受けたと判断した場合は(S103:YES)、定着部を通常モードに移行(設定)させる。すなわち、制御部110は、第1温度に加熱されたクリーニングローラー54を定着ベルト51bに圧接させることで、定着ベルト51bを清掃し、ウェブ56aでクリーニングローラー54を清掃する。これとともに、制御部110は、定着ベルト51bと加圧ローラー52との間の定着ニップNで、用紙900を加圧および加熱することで、用紙900上のトナー像を用紙900に定着させる。
【0072】
(変形例)
定着部50は、定着ローラー51a、定着ベルト51b、加熱ローラー51c、および加圧ローラー52を含む第1構成(
図3の構成)に代替して、ヒーター53を内蔵する定着ローラー51aおよび加圧ローラー52を含む第2構成にしてもよい。
【0073】
図11は、定着部50の第2構成を示す図である。
図11にはクリーニングモードにおける定着部50の各部材の位置が示されている。
【0074】
変形例では、定着ローラー51aと加圧ローラー52とが互いに圧接されることで、定着ニップNを形成する。
【0075】
通常モードにおいては、クリーニングローラー54は、クリーニングローラー駆動機構57により定着ローラー51aと圧接される。定着ローラー51aと圧接されたクリーニングローラー54は、回転する定着ローラー51aから、定着時に用紙900から移転することで付着したトナーやワックスを除去する、定着ベルト51bの清掃を行う。その際、クリーニングローラー54は定着ローラー51aの回転に従動して、
図11における反時計回り方向へ従動回転する。なお、クリーニングローラー54は、クリーニングローラー駆動機構57による駆動力により定着ベルト51bの速度と同じ速度で回転されてもよい。押圧ローラー駆動機構58により、押圧ローラー56bがウェブ56aを介してクリーニングローラー54と圧接されることで、ウェブ56aは、クリーニングローラー54に常時圧接される。ウェブ56aは、定着ベルト51bの清掃時に定着ローラー51aから移転することでクリーニングローラー54に付着したトナーやワックスを、クリーニングローラー54から除去する、クリーニングローラー54の清掃を行う。その際、クリーニングローラー54は、内蔵するヒーター55により第1温度に加熱される。
【0076】
クリーニングモードにおいては、クリーニングローラー54は、クリーニングローラー駆動機構57により定着ローラー51aから離間され、クリーニングローラー駆動機構57による駆動力により定着ローラー51aの速度と同じ速度で、
図11における反時計回り方向へ回転される。クリーニングモードにおいても、押圧ローラー駆動機構58により、クリーニングローラー54にウェブ56aが圧接された状態が維持される。ウェブ56aは、クリーニングローラー54と圧接して、クリーニングローラー54から、定着ベルト51bの清掃時に定着ベルト51bから移転することでクリーニングローラー54に付着したトナーやワックスを除去する、クリーニングローラー54の清掃を行う。その際、クリーニングローラー54は、内蔵するヒーター55により第2温度に加熱される。
【0077】
上述した実施形態は、以下の効果を奏する。
【0078】
クリーニングモードで、定着部材から第1クリーニング部材を離隔し、第1クリーニング部材を、通常モード時より高い温度に加熱するとともに回転させることで、第1クリーニング部材に圧接された第2クリーニング部材で清掃する。これにより、光沢メモリの発生を防止するとともに、定着部材を傷つけることなく生産性の低下を抑止できる。
【0079】
第2温度を定着温度より高い温度とする。これにより、第1クリーニング部材からワックスを効果的に除去できる。
【0080】
第2温度を、記録媒体の種類ごとに設定する。これにより、第2温度を最適化することで、第2クリーニング部材の昇温時間を低減しつつ、光沢メモリの発生を防止できる。
【0081】
通常モードにおける第1クリーニング部材に圧接された第2クリーニング部材の送り速度よりも、クリーニングモードにおける第1クリーニング部材に圧接された第2クリーニング部材の送り速度を速くする。これにより、より速やかかつ効果的に第1クリーニング部材からワックスを除去できる。
【0082】
第1クリーニング部材の表層をポリイミドにする。これにより、第1クリーニング部材の離型性を下げることで、定着部材に付着したワックスが除去されやすくなるため、定着部材の清掃効率が向上し、光沢メモリの発生を効果的に抑止できる。
【0083】
クリーニングモードにおける第1クリーニング部材の加熱の際、第1クリーニング部材の端部に設けられた温度センサーによる計測温度に基づいて、第1クリーニング部材を加熱させる設定温度を、第2温度まで段階的に高くする。これにより、第1クリーニング部材の中央部の温度を計測するための非接触温度センサー等の設置が困難な場合であっても、第1クリーニング部材の中央部の過昇温を抑制しつつ、第1クリーニング部材を昇温できる。
【0084】
第1クリーニング部材の加熱開始時の、温度センサーにより計測された温度に応じて、段階的に高くする最初の設定温度を変更する。これにより、第1クリーニング部材の中央部の過昇温を抑制しつつ、第1クリーニング部材の昇温時間を短縮できる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
【0086】
例えば、実施形態においては、記憶媒体として用紙を例に説明したが、記録媒体は用紙に限定されず、樹脂フィルム等であってもよい。
【0087】
また、実施形態においては、クリーニングモードにおいて、クリーニングローラー54のヒーター55による加熱の際、クリーニングローラー54の端部の温度に基づいて、加熱開始からの時間に応じて、クリーニングローラー54を加熱させる設定温度を第2温度まで段階的に高くしている。しかし、通常モードにおいても同様に、段階温度制御により、クリーニングローラー54を加熱させる設定温度を第1温度まで段階的に高くし得る。
【0088】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行され得る。
【符号の説明】
【0089】
N 定着ニップ、
40 作像部、
50 定着部、
51a 定着ローラー、
51b 定着ベルト、
51c 加熱ローラー、
52 加圧ローラー、
53 ヒーター、
54 クリーニングローラー、
55 ヒーター、
56a ウェブ、
56b 押圧ローラー、
56c 元巻きローラー、
56d 巻き取りローラー、
57 クリーニングローラー駆動機構、
58 押圧ローラー駆動機構、
59 温度センサー、
60 給紙部、
70 用紙搬送部、
100 画像形成装置、
110 制御部、
120 記憶部、
130 通信部、
140 操作表示部、
150 画像読取部、
160 画像制御部、
170 画像形成部、
900 用紙。