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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】車両用変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/02 20120101AFI20231011BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20231011BHJP
   F16D 13/46 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F16H57/02
F16H57/04 J
F16D13/46 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019168421
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046878
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】更科 俊平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】岩井 夏樹
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-059957(JP,U)
【文献】特許第3476398(JP,B2)
【文献】特開2012-072809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/02
F16H 57/04
F16D 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチおよび変速機構を収納する変速機ケース本体と、前記クラッチと駆動源との間に配置されるトルクコンバータを収納するトルクコンバータハウジングとを有する変速機ケースを備え、前記トルクコンバータハウジングが、前記変速機ケース本体と連結される合わせ面を有する車両用変速機であって、
前記トルクコンバータハウジングに形成された油路を通して前記トルクコンバータに供給される作動油を制御するバルブボディと、前記バルブボディを収容し、前記トルクコンバータハウジングに取付けられたバルブボディケースとを有し
前記トルクコンバータハウジングは、前記変速機ケースの内部を、前記トルクコンバータを収容するトルクコンバータ室と前記クラッチを収容するクラッチ室とに仕切るとともに、前記油路を有する第1の隔壁を備えており、
前記変速機ケース本体は、前記変速機ケースの内部を、前記クラッチ室と前記変速機構を収容する変速機構室とに仕切る第2の隔壁を備えており、
前記変速機ケース本体の下壁と前記トルクコンバータハウジングの下壁のうち、少なくとも前記トルクコンバータハウジングの前記合わせ面側の下壁に開口部が形成されており、
前記バルブボディケースが前記トルクコンバータハウジングに取付けられた状態において、前記開口部が前記バルブボディケースによって覆われており、
前記開口部は、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁の間で開口しており、
前記クラッチ室は、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁の間において前記トルクコンバータハウジングと前記変速機ケース本体と前記バルブボディケースとによって囲まれており、
前記バルブボディケースは、前記バルブボディケースの内部と前記クラッチ室とを連通する連通孔を有することを特徴とする車両用変速機。
【請求項2】
前記バルブボディケースは、前記バルブボディを収容するバルブボディ収容部と、前記バルブボディ収容部から上方に膨出し、内部にブリーザ室を有する膨出部とを有し、
前記膨出部は、前記クラッチの回転中心軸よりも上方に膨出しており、
前記膨出部の上部に前記連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機。
【請求項3】
前記クラッチは、軸方向が車両の前後方向に延びており、
前記クラッチと前記第2の隔壁の間に、前記クラッチをフライホイールに押し付けるように、または、前記フライホイールから離れるように前記クラッチの軸方向に移動するレリーズベアリングと、前記レリーズベアリングを前記クラッチの軸方向に移動させるレリーズフォークとが設置されており、
前記クラッチは、前記バルブボディ収容部よりも上方に位置しており、
前記レリーズベアリングおよび前記レリーズフォークは、車両の前後方向で前記膨出部と重なっており、
前記レリーズフォークは、前記クラッチの回転中心軸に対して車両の幅方向一方側に設置されており、
前記膨出部は、湾曲外周面を有し、前記湾曲外周面は、前記レリーズベアリングおよび前記レリーズフォークの外周形状に沿うように、前記クラッチの回転中心軸に対して車両の幅方向一方側から前記クラッチの下方を通って前記クラッチの回転中心軸に対して車両の幅方向の他方側の上方に延びており、
前記レリーズベアリングおよび前記レリーズフォークと前記湾曲外周面との間の隙間は、前記開口部を通して前記変速機ケースの外部と連通しており、
前記連通孔は、前記クラッチの回転中心軸よりも上方であって、車両の幅方向で前記クラッチの回転中心軸側に向いていることを特徴とする請求項2に記載の車両用変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トルクコンバータを有する変速機として、特許文献1に記載される自動変速機が知られている。特許文献1に記載される自動変速機は、トルクコンバータを収容する前側の変速機ケースと、変速機構を収容する後側の変速機ケースとによって変速機ケースが構成されている。
【0003】
後側の変速機ケースの底部にはオイルパンおよびオイルパンに収容されたバルブボディが設けられており、前側の変速機ケースにはトルクコンバータの後方に位置するようにしてオイルポンプが設置されている。
【0004】
前側の変速機ケースと後側の変速機ケースにはバルブボディとオイルポンプを接続する油路が形成されており、オイルパンに貯留されたオイルは、バルブボディから油路を通してトルクコンバータに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3476398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の自動変速機にあっては、油路が前側の変速機ケースと後側の変速機ケースに亙って設けられているので、変速機構の交換時やメンテナンス時等に前側の変速機ケースと後側の変速機ケースを分解したときに、油路が分断される。このため、油路の内部が露出してしまい、変速機構の交換時やメンテナンス時等に油路に異物が侵入するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、変速機構の交換時やメンテナンス時等に変速機ケース本体からトルクコンバータハウジングを取外したときに、油路が分断されることを防止でき、油路に異物が侵入することを防止できる車両用変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、クラッチおよび変速機構を収納する変速機ケース本体と、前記クラッチと駆動源との間に配置されるトルクコンバータを収納するトルクコンバータハウジングとを有する変速機ケースを備え、前記トルクコンバータハウジングが、前記変速機ケース本体と連結される合わせ面を有する車両用変速機であって、前記トルクコンバータハウジングに形成された油路を通して前記トルクコンバータに供給される作動油を制御するバルブボディと、前記バルブボディを収容し、前記トルクコンバータハウジングに取付けられたバルブボディケースとを有し前記トルクコンバータハウジングは、前記変速機ケースの内部を、前記トルクコンバータを収容するトルクコンバータ室と前記クラッチを収容するクラッチ室とに仕切るとともに、前記油路を有する第1の隔壁を備えており、前記変速機ケース本体は、前記変速機ケースの内部を、前記クラッチ室と前記変速機構を収容する変速機構室とに仕切る第2の隔壁を備えており、前記変速機ケース本体の下壁と前記トルクコンバータハウジングの下壁のうち、少なくとも前記トルクコンバータハウジングの前記合わせ面側の下壁に開口部が形成されており、前記バルブボディケースが前記トルクコンバータハウジングに取付けられた状態において、前記開口部が前記バルブボディケースによって覆われており、前記開口部は、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁の間で開口しており、 前記クラッチ室は、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁の間において前記トルクコンバータハウジングと前記変速機ケース本体と前記バルブボディケースとによって囲まれており、前記バルブボディケースは、前記バルブボディケースの内部と前記クラッチ室とを連通する連通孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように上記の本発明によれば、変速機構の交換時やメンテナンス時等に変速機ケース本体からトルクコンバータハウジングを取外したときに、油路が分断されることを防止でき、油路に異物が侵入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の左側面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る車両用変速機を入力軸に沿って縦方向に切断した縦断面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の下面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の上面図である。
図5図5は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の動力伝達系の構成図である。
図6図6は、図1のVI-VI方向矢視断面図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のトルコンハウジングとバルブボディケースをタービン軸に沿って縦方向に切断した縦断面図である。
図8図8は、図1のVIII-VIII方向矢視断面図である。
図9図9は、図7のIX-IX方向矢視断面図である。
図10図10は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のトルコンハウジングの下面図である。
図11図11は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のバルブボディケースの斜視図である。
図12図12は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のバルブボディケースの上面図である。
図13図13は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のバルブボディケースの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、クラッチおよび変速機構を収納する変速機ケース本体と、クラッチと駆動源との間に配置されるトルクコンバータを収納するトルクコンバータハウジングとを有する変速機ケースを備え、トルクコンバータハウジングが、変速機ケース本体と連結される合わせ面を有する車両用変速機であって、トルクコンバータハウジングに形成された油路を通してトルクコンバータに供給される作動油を制御するバルブボディと、バルブボディを収容し、トルクコンバータハウジングに取付けられたバルブボディケースと、変速機ケース本体の下壁とトルクコンバータハウジングの下壁のうち、少なくともトルクコンバータハウジングの合わせ面側の下壁に開口部が形成されており、バルブボディケースがトルクコンバータハウジングに取付けられた状態において、開口部がバルブボディケースによって覆われている。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、変速機構の交換時やメンテナンス時等に変速機ケース本体からトルクコンバータハウジングを取外したときに、油路が分断されることを防止でき、油路に異物が侵入することを防止できる。
【実施例
【0013】
以下、本発明の一実施例に係る車両用変速機について、図面を用いて説明する。
図1から図13は、本発明の一実施例に係る車両用変速機を示す図である。図1から図13において、上下前後左右方向は、車両用変速機が搭載された車両の進行する方向を前、後退する方向を後とした場合に、車両の幅方向が左右方向、車両の高さ方向が上下方向である。
【0014】
まず、構成を説明する。
図1図2において、車両1には自動変速機2が搭載されており、自動変速機2は、エンジン3に接続された状態で車両1のフロアパネル1Aの下方に縦置きに設置されている。本実施例の自動変速機2は、本発明の車両用変速機を構成し、エンジン3は、本発明の駆動源を構成する。
【0015】
自動変速機2は変速機ケース4を備えており、変速機ケース4は、トルクコンバータハウジング(以下、単にトルコンハウジングという)5と、フロントケース6と、トランスファフロントケース7と、トランスファリヤケース8と、エクステンションケース9とを含んで構成されている。
【0016】
本実施例のフロントケース6、トランスファフロントケース7、トランスファリヤケース8およびエクステンションケース9は、本発明の変速機ケース本体を構成する。
【0017】
トルコンハウジング5の前端部には図示しないボルトによって内燃機関としてのエンジン3が接続されている。エンジン3は、燃料の燃焼を行い、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する。
【0018】
図2において、トルコンハウジング5の後端部には環状の合わせ面5Aが形成されており、合わせ面5Aは、開口している。フロントケース6のトルコンハウジング5側は、開口している。フロントケース6の前端部には環状の合わせ面6Aが形成されている。
【0019】
合わせ面5Aと合わせ面6Aの周方向には所定の間隔を空けて図示しない締結部がそれぞれ設けられており、合わせ面5Aの締結部と合わせ面6Aの締結部に図示しないボルトが締結されることにより、トルコンハウジング5とフロントケース6が連結されている。
【0020】
トルコンハウジング5にはトルクコンバータ10が収容されている。トルクコンバータ10は、図示しないドライブプレートを介してエンジン3の図示しないクランク軸に連結されるフロントカバー10Aと、フロントカバー10Aに連結されたシェル10Bとを備えており、エンジン3と自動変速機2との間で作動油としてのオイルを介して動力を伝達する流体継手を構成している。
【0021】
シェル10Bの内面には、図示しないポンプインペラが固定されている。シェル10Bの内部には、図示しないタービンランナがポンプインペラに対向して設置されており、タービンランナは、前後方向に延びるタービン軸11に連結されている。ポンプインペラとタービンランナとの間には図示しないステータが設置されている。
【0022】
トルクコンバータ10において、クランク軸が回転すると、ドライブプレートを介してフロントカバー10A、シェル10Bおよびポンプインペラが一体で回転する。このとき、ポンプインペラの回転による遠心力によって、トルクコンバータ10の内部の流体、すなわち、オイルに、ポンプインペラからタービンランナに向かう流れが生じる。
【0023】
この流体の流れによりタービンランナが回転され、タービンランナに接続されたタービン軸11が回転する。ステータは、タービンランナからの流体の流れをポンプインペラの回転方向に沿うように変換することにより、エンジン3の動力を増幅させる。
【0024】
フロントカバー10Aの外周面にはリングギヤ10aが形成されている。ドライブプレートは、エンジン3の始動時にスタータ37(図6参照)とリングギヤ10aが噛み合うことにより、スタータ37の回転をエンジン3に伝達する。スタータ37は、トルコンハウジング5の上部に取付けられている。
【0025】
トルクコンバータ10には図示しないロックアップクラッチが設けられており、ロックアップクラッチは、ロックアップクラッチ締結用のオイルが供給されると、タービンランナをフロントカバー10Aに締結する。これにより、エンジン3の動力が、フロントカバー10Aから流体を介さずにタービンランナを回転させることにより、タービン軸11に伝達される。
【0026】
ロックアップクラッチは、ロックアップクラッチ解除用のオイルが供給されると、タービンランナをフロントカバー10Aから引き離す。これにより、エンジン3の動力が、フロントカバー10Aから流体を介してタービンランナを回転させることにより、タービン軸11に伝達される。
【0027】
トルコンハウジング5には隔壁31が形成されており、隔壁31は、トルコンハウジング5の内部の空間とフロントケース6の内部の空間とを仕切っている。タービン軸11は、軸受40を介して隔壁31に形成された中空の軸受支持部31aに回転自在に支持されている。
【0028】
トルコンハウジング5にはオイルポンプ12が収容されており、オイルポンプ12は、例えば、トロコイド式のオイルポンプから構成されている。オイルポンプ12は、図示しないボルトによって隔壁31に固定されたリヤポンプケース13と、図示しないボルトによってリヤポンプケース13に締結されたフロントポンプケース14とを有する。
【0029】
リヤポンプケース13とフロントポンプケース14とに挟まれた内部空間にはポンプ室15が形成されており、ポンプ室15には図示しないインナロータおよびアウタロータが設けられている。インナロータは、シェル10Bと一体で回転するようにシェル10Bの一部に取付けられている。
【0030】
アウタロータは、インナロータの径方向外方に設けられており、インナロータの回転に伴って回転する。トロコイド式のオイルポンプ12は、アウタロータに形成された複数の内歯とインナロータに形成された複数の外歯とが接触することにより、外歯と内歯との間にオイルを収容する図示しない複数の作動室が形成されている。
【0031】
オイルポンプ12において、エンジン3の動力がシェル10Bによってインナロータに伝達されると、インナロータとアウタロータとが一方向に回転する。このとき、作動室の容積増加および容積減少が連続して発生することにより、オイルを図示しない吸入ポートから作動室に吸入し、作動室によって加圧されたオイルを図示しない吐出ポートから吐出する。
【0032】
タービン軸11の後端部には拡径部11Aが形成されており、拡径部11Aは、タービン軸11の前端部や中央部よりも大径に形成されている。拡径部11Aには環状のフライホイール16が取付けられており、フライホイール16は、フロントケース6に収容されている。
【0033】
フロントケース6には摩擦クラッチ17が収容されており、摩擦クラッチ17は、フライホイール16に対向するようにフライホイール16に取付けられる。本実施例の摩擦クラッチ17は、本発明のクラッチを構成する。
【0034】
トルコンハウジング5の隔壁31は、変速機ケース4の内部を、トルクコンバータ10を収容する内部空間であるトルクコンバータ室36Aと摩擦クラッチ17を収容する内部空間であるクラッチ室36Bとに仕切っており、本発明の第1の隔壁を構成する。
【0035】
摩擦クラッチ17は、入力軸21の軸方向の前端部21aに設置されている。入力軸21は、フロントケース6およびトランスファフロントケース7に収容されており、回転中心軸21sが前後方向に延びている。摩擦クラッチ17は、回転中心軸17aが前後方向に延びている。
【0036】
摩擦クラッチ17の回転中心軸17aと入力軸21の回転中心軸21sは、同一の回転中心軸である。
【0037】
入力軸21は、軸方向の前端部側でフロントケース6に形成された隔壁32に軸受41を介して回転自在に支持されており、軸方向の後端部21bが後側出力軸22に回転自在に支持されている。
【0038】
後側出力軸22は、入力軸21の軸方向において入力軸21に対向している。後側出力軸22は、トランスファフロントケース7の後端部に形成された隔壁33およびトランスファリヤケース8の後壁34にそれぞれ軸受42A、42Bを介して回転自在に支持されており、入力軸21に対して相対回転する。
【0039】
摩擦クラッチ17は、入力軸21に一体回転自在、かつ入力軸21の軸方向に移動自在に設けられたクラッチディスク17Aと、クラッチディスク17Aをフライホイール16に押し付けるプレッシャプレート17Bと、プレッシャプレート17Bをフライホイール16側に付勢するダイヤフラムスプリング17Cとを備えている。
【0040】
フロントケース6の隔壁32には筒状部32Aが形成されており、筒状部32Aは、隔壁32の径方向内端部から入力軸21の軸方向に沿って摩擦クラッチ17側に延びている。
【0041】
摩擦クラッチ17と隔壁32の間において、筒状部32Aの外周部にはレリーズベアリング18が設けられており、レリーズベアリング18は、摩擦クラッチ17をフライホイール16に押し付けるように、または、フライホイール16から離れるように摩擦クラッチ17の軸方向(入力軸21の軸方向)に移動する。
【0042】
レリーズベアリング18と隔壁32の間にはレリーズフォーク19(図6図8参照)が設けられており、レリーズフォーク19は、レリーズベアリング18を摩擦クラッチ17の軸方向に移動させる。
【0043】
レリーズベアリング18は、入力軸21の軸方向に対して、レリーズフォーク19の付勢力が作用すると、ダイヤフラムスプリング17Cの付勢力に抗して前方に移動して、ダイヤフラムスプリング17Cの径方向内端部に接触する。
【0044】
一方、レリーズフォーク19の付勢力が作用しなくなると、ダイヤフラムスプリング17Cの付勢力により後方に移動して、ダイヤフラムスプリング17Cの径方向内端部から離れる。
【0045】
レリーズフォーク19が動作していないとき、レリーズベアリング18は、ダイヤフラムスプリング17Cの径方向内端部から離れる。このとき、ダイヤフラムスプリング17Cがプレッシャプレート17Bを付勢してクラッチディスク17Aをフライホイール16に押し付ける。この結果、摩擦クラッチ17は、エンジン3のクランク軸の回転を入力軸21に伝達する。
【0046】
レリーズフォーク19が動作したとき、レリーズベアリング18は、ダイヤフラムスプリング17Cの径方向内端部を前方に向かって押圧する。このとき、プレッシャプレート17Bの付勢が解除され、クラッチディスク17Aがフライホイール16から離れる。この結果、摩擦クラッチ17は、エンジン3のクランク軸の回転を入力軸21に伝達しなくなる。
【0047】
このように摩擦クラッチ17は、エンジン3のクランク軸と入力軸21との間で動力を伝達可能または動力を遮断可能となっている。
【0048】
フロントケース6およびトランスファフロントケース7にはカウンタ軸23が収容されており、カウンタ軸23は、それぞれ軸受43A、43Bを介して隔壁32、33に回転自在に支持されている(図5参照)。カウンタ軸23は、入力軸21および後側出力軸22に対して平行に延びている。
【0049】
フロントケース6の隔壁32は、変速機ケース4の内部を、内部空間であるクラッチ室36Bと、入力軸21およびカウンタ軸23を収容する内部空間である変速機構室36Cとに仕切っており、本発明の第2の隔壁を構成する。
【0050】
図5に示すように、入力軸21には、摩擦クラッチ17側から後側出力軸22に向かって1速入力ギヤ24A、2速入力ギヤ24B、3速入力ギヤ24C、4速入力ギヤ24Dおよび5速入力ギヤ24Eが設置されている。
【0051】
1速入力ギヤ24A、2速入力ギヤ24B、3速入力ギヤ24C、4速入力ギヤ24Dおよび5速入力ギヤ24Eは、1速入力ギヤ24Aから5速入力ギヤ24Eに向かって径が大きくなるように設定されている。
【0052】
1速入力ギヤ24A、2速入力ギヤ24Bは、入力軸21に固定されており、入力軸21と一体で回転する。3速入力ギヤ24C、4速入力ギヤ24Dおよび5速入力ギヤ24Eは、入力軸21に相対回転自在に連結されている。
【0053】
後側出力軸22の前端部にはカウンタドリブンギヤ25が設けられている。カウンタドリブンギヤ25には6速クラッチギヤ26がスプライン嵌合されており、6速クラッチギヤ26は、ドグから構成され、カウンタドリブンギヤ25と一体で回転する。
【0054】
カウンタ軸23には、摩擦クラッチ17側から後側出力軸22に向かって1速カウンタギヤ27A、2速カウンタギヤ27B、リバースドリブンギヤ27R、3速カウンタギヤ27C、4速カウンタギヤ27D、5速カウンタギヤ27Eおよびカウンタドライブギヤ28が設けられている。
【0055】
1速カウンタギヤ27A、2速カウンタギヤ27B、3速カウンタギヤ27C、4速カウンタギヤ27D、5速カウンタギヤ27Eは、1速カウンタギヤ27Aから5速カウンタギヤ27Eに向かって小径に形成されている。
【0056】
1速カウンタギヤ27Aおよび2速カウンタギヤ27Bは、カウンタ軸23に相対回転自在に連結されている。3速カウンタギヤ27C、4速カウンタギヤ27D、5速カウンタギヤ27Eおよびカウンタドライブギヤ28は、カウンタ軸23と一体で回転する。
【0057】
1速カウンタギヤ27A、2速カウンタギヤ27B、3速カウンタギヤ27C、4速カウンタギヤ27Dおよび5速カウンタギヤ27Eは、それぞれ1速段から5速段を構成する1速入力ギヤ24A、2速入力ギヤ24B、3速入力ギヤ24C、4速入力ギヤ24Dおよび5速入力ギヤ24Eに噛み合っている。
【0058】
カウンタドライブギヤ28は、カウンタドリブンギヤ25に噛み合っており、カウンタドリブンギヤ25は、後側出力軸22と一体で回転するように後側出力軸22に固定されている。
【0059】
フロントケース6およびトランスファフロントケース7にはリバース軸29が収容されており、リバース軸29は、軸受44Aを介して隔壁32に回転自在に支持されているとともに、軸受44Bを介してトランスファフロントケース7の図示しない軸受支持部に回転自在に支持されている。
【0060】
リバース軸29にはリバース入力ギヤ30Aとリバースドライブギヤ30Bが設置されている。リバース入力ギヤ30Aは、リバース軸29に相対回転自在に連結されている。リバースドライブギヤ30Bは、リバース軸29にスプライン嵌合されており、リバース軸29と一体で回転する。リバースドライブギヤ30Bは、リバースドリブンギヤ27Rに噛み合っている。
【0061】
リバース入力ギヤ30Aは、1速入力ギヤ24Aに噛み合っている。1速入力ギヤ24Aは、入力軸21の軸方向で1速カウンタギヤ27Aからリバース入力ギヤ30Aまで延びており、1速カウンタギヤ27Aとリバース入力ギヤ30Aとに噛み合っている。
【0062】
入力軸21には3速-4速用の同期装置50が設けられている。3速-4速用の同期装置50は、入力軸21と一体で回転するハブと、入力軸21の軸方向に移動自在に設けられたスリーブとを有する。
【0063】
3速-4速用の同期装置50のスリーブは、いずれも図示しない3速-4速用のシフトフォーク、3速-4速用のシフタ軸および3速-4速用のシフトヨークを介してシフトアンドセレクト軸54(図2参照)で移動可能となっている。
【0064】
シフトアンドセレクト軸54が3速-4速用のシフトヨークを選択し、3速-4速用のシフタ軸を介して3速-4速用のシフトフォークを入力軸21の軸方向に移動させると、3速-4速用の同期装置50のスリーブが入力軸21の軸方向に移動される。
【0065】
入力軸21には5速-6速用の同期装置51が設けられている。5速-6速用の同期装置51は、入力軸21と一体で回転可能なハブと、入力軸21の軸方向に移動自在に設けられたスリーブとを有する。
【0066】
5速-6速用の同期装置51のスリーブは、いずれも図示しない5速-6速用のシフトフォーク、5速-6速用のシフタ軸および5速-6速用のシフトヨークを介してシフトアンドセレクト軸54で移動可能となっている。
【0067】
シフトアンドセレクト軸54が5速-6速用のシフトヨークを選択し、5速-6速用のシフタ軸を介して5速-6速用のシフトフォークを入力軸21の軸方向に移動させると、5速-6速用の同期装置51のスリーブが入力軸21の軸方向に移動される。
【0068】
カウンタ軸23には1速-2速用の同期装置52が設けられている。1速-2速用の同期装置52は、カウンタ軸23と一体で回転可能なハブと、カウンタ軸23の軸方向に移動自在に設けられたスリーブとを有する。
【0069】
1速-2速用の同期装置52のスリーブは、いずれも図示しない1速-2速用のシフトフォーク、1速-2速用のシフタ軸および1速-2速用のシフトヨークを介してシフトアンドセレクト軸54で移動可能となっている。
【0070】
シフトアンドセレクト軸54が1速-2速用のシフトヨークを選択し、1速-2速用のシフタ軸を介して1速-2速用のシフトフォークを入力軸21の軸方向に移動させると、1速-2速用の同期装置52のスリーブが入力軸21の軸方向に移動される。
【0071】
リバース軸29にはリバース用の同期装置53が設けられている。リバース用の同期装置53は、リバース軸29と一体で回転可能なハブと、リバース軸29の軸方向に移動自在に設けられたスリーブとを有する。
【0072】
リバース用の同期装置53のスリーブは、いずれも図示しないリバース用のシフトフォーク、リバース用のシフタ軸およびリバース用のシフトヨークを介してシフトアンドセレクト軸54で移動可能となっている。
【0073】
シフトアンドセレクト軸54がリバース用のシフトヨークを選択し、リバース用のシフタ軸を介してリバース用のシフトフォークをリバース軸29の軸方向に移動させると、リバース用の同期装置53のスリーブがリバース軸29の軸方向に移動される。
【0074】
3速-4速用の同期装置50のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の後側に移動することにより、4速入力ギヤ24Dを入力軸21に連結して前進4速段を成立させ、入力軸21の動力を4速入力ギヤ24Dおよび4速カウンタギヤ27Dを介してカウンタ軸23に伝達する。
【0075】
カウンタ軸23に伝達される動力は、カウンタドライブギヤ28からカウンタドリブンギヤ25を介して後側出力軸22に伝達される。後側出力軸22には図示しないリヤプロペラ軸を介していずれも図示しないリヤディファレンシャル装置、リヤドライブ軸および駆動後輪が連結されている。
【0076】
これにより、後側出力軸22に伝達された動力は、リヤプロペラ軸を介してリヤディファレンシャル装置に伝達され、リヤディファレンシャル装置によって左右のリヤドライブ軸に分配された後に、駆動後輪に伝達され、駆動後輪が駆動される。この結果、車両1が走行される。
【0077】
3速-4速用の同期装置50のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の前側に移動することにより、3速入力ギヤ24Cを入力軸21に連結して前進3速段を成立させ、入力軸21の動力を3速入力ギヤ24Cおよび3速カウンタギヤ27Cを介してカウンタ軸23に伝達する。
【0078】
5速-6速用の同期装置51のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の後側に移動することにより、6速クラッチギヤ26に連結して入力軸21を後側出力軸22に直結する。
【0079】
これにより、前進6速段を成立させ、入力軸21の動力を、カウンタ軸23を介さずに6速クラッチギヤ26を介して後側出力軸22に伝達する。
【0080】
5速-6速用の同期装置52のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の前側に移動することにより、5速入力ギヤ24Eを入力軸21に連結して前進5速段を成立させ、入力軸21の動力を5速入力ギヤ24Eおよび5速カウンタギヤ27Eを介してカウンタ軸23に伝達する。
【0081】
1速-2速用の同期装置52のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の後側に移動することにより、2速入力ギヤ24Bを入力軸21に連結して前進2速段を成立させ、入力軸21の動力を2速入力ギヤ24Bおよび2速カウンタギヤ27Bを介してカウンタ軸23に伝達する。
【0082】
1速-2速用の同期装置52のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の前側に移動することにより、1速入力ギヤ24Aを入力軸21に連結して前進1速段を成立させ、入力軸21の動力を1速入力ギヤ24Aおよび1速カウンタギヤ27Aを介してカウンタ軸23に伝達する。
【0083】
リバース用の同期装置53のスリーブは、中立位置から入力軸21の軸方向の後側に移動することにより、リバース入力ギヤ30Aをリバース軸29に連結して後進段を成立させ、1速入力ギヤ24Aからリバース入力ギヤ30Aを介してリバース軸29に伝達され動力を、リバースドライブギヤ30B、リバースドリブンギヤ27Rを介してカウンタ軸23に伝達する。
【0084】
このとき、カウンタ軸23は、前進時の回転方向と逆方向に回転するので、カウンタドライブギヤ28からカウンタドリブンギヤ25を介して後側出力軸22が前進走行時と逆方向に回転され、車両1が後進される。
【0085】
本実施例の1速入力ギヤ24Aから5速入力ギヤ24Eと、6速クラッチギヤ26と、1速カウンタギヤ27Aから5速カウンタギヤ27Eと、3速-4速用の同期装置50と、5-6速用の同期装置51と、1速-2速用の同期装置52と、リバース用の同期装置53とは、変速機構90を構成する。
【0086】
トランスファリヤケース8には前側出力軸45が収容されており、前側出力軸45は、軸受44C、44Dによって隔壁33と後壁34に回転自在に支持されている。前側出力軸45は、図示しないフロントプロペラ軸を介していずれも図示しないフロントディファレンシャル装置、フロントドライブ軸および駆動前輪が連結されている。
【0087】
後側出力軸22にはトランスファ駆動スプロケット46が相対回転自在に設けられている。後側出力軸22には二駆-四駆切換用のトランスファ同期装置47が設置されており、トランスファ同期装置47は、後側出力軸22と一体で回転するハブ47Aと、後側出力軸22の軸方向に移動自在に設けられたスリーブ47Bとを有する。
【0088】
トランスファ同期装置47は、スリーブ47Bが前側に移動すると、トランスファ駆動スプロケット46を、ハブ47Aを介して後側出力軸22に連結してトランスファ駆動スプロケット46を後側出力軸22と一体で回転させ、後側に移動すると、トランスファ駆動スプロケット46と後側出力軸22とを相対回転させる。
【0089】
前側出力軸45にはトランスファ従動スプロケット48が設けられており、トランスファ従動スプロケット48は、前側出力軸45と一体で回転する。トランスファ従動スプロケット48は、チェーン49を介してトランスファ駆動スプロケット46に連結されている。
【0090】
図2に示すように、トランスファリヤケース8の上部にはトランスファアクチュエータ56が設けられており、トランスファアクチュエータ56は、操作軸57を有する。操作軸57は、シフタ軸58を軸方向に移動させるようになっている。
【0091】
シフタ軸58にはシフトフォーク58aが設けられており、シフトフォーク58aは、スリーブ47Bに嵌合されている。
【0092】
トランスファアクチュエータ56の操作軸57によってシフタ軸58が前後方向に移動されると、シフトフォーク58aを介してスリーブ47Bが後側出力軸22の軸方向に沿って移動される。
【0093】
シフトフォーク58aによってスリーブ47Bが前側に移動されると、スリーブ47Bが中立位置から前側に移動する。
【0094】
これにより、トランスファ同期装置47が四輪駆動位置となり、トランスファ駆動スプロケット46がハブ47Aを介して後側出力軸22に連結されて、後側出力軸22と一体で回転する。このとき、後側出力軸22の動力がトランスファ駆動スプロケット46、チェーン49およびトランスファ従動スプロケット48を介して前側出力軸45に伝達される。
【0095】
この結果、後側出力軸22に伝達されたエンジン3の動力は、リヤプロペラ軸等を介して駆動後輪に伝達されるとともに、前側出力軸45からフロントプロペラ軸、フロントディファレンシャル装置、左右のフロントドライブ軸を介して左右の駆動前輪に伝達され、車両1が前後輪で駆動される。すなわち、車両1が四輪で駆動される。
【0096】
一方、スリーブ47Bが前側の位置であって車両1が四輪駆動となる位置にある場合に、シフトフォーク58aによってスリーブ47Bが後側に移動されると、トランスファ同期装置47は、四輪駆動位置から二輪駆動位置に移動される。
【0097】
これにより、トランスファ駆動スプロケット46と後側出力軸22の連結が解除されてトランスファ駆動スプロケット46が後側出力軸22と相対回転する。このとき、後側出力軸22からトランスファ駆動スプロケット46に動力が伝達されなくなり、後側出力軸22の動力が前側出力軸45に伝達されない。この結果、エンジン3の動力が駆動後輪のみに伝達され、車両1は、二輪駆動となる。
【0098】
図2に示すように、フロントケース6の上部にはシフトケース38が設けられており、シフトアンドセレクト軸54は、シフトケース38の内部に設けられている。シフトアンドセレクト軸54は、入力軸21の延びる方向と直交する車幅方向に延びている。
【0099】
シフトアンドセレクト軸54は、シフトケース38に回転自在かつ、軸方向に移動自在に設けられており、図示しないシフトユニットによって操作される。
【0100】
オイルポンプ12のリヤポンプケース13は、図示しないボルトによって隔壁31のトルクコンバータ10側の前面に固定されている。
【0101】
図9に示すように、隔壁31は油路61、62、63、64、65が設けられており、油路61、62、63、64、65は、トルコンハウジング5の隔壁31の底部から上方に延びている。
【0102】
図10に示すように、油路61、62、63、64、65の下端は、開口しており、油路63、64の開口径は、油路61、62、65の開口径よりも大径に形成されている。
【0103】
図9に示すように、外側に位置する油路62、65は、それぞれ油路66、67に連通している。
【0104】
油路61、62、63、64、65の下端部は、バルブボディケース68の油路68a、68b、68c、68d、68eを通してバルブボディ69に連絡されている。
【0105】
図2図7に示すように、バルブボディ69は、バルブボディケース68とオイルパン70に収容されている。本実施例のバルブボディケース68とオイルパン70は、本発明のバルブボディケースを構成する。
【0106】
オイルパン70は、バルブボディ69の下方を覆っており、バルブボディケース68の下部に図示しないボルトによって締結されている。バルブボディケース68とオイルパン70の内部にはバルブボディ69が収容されており、バルブボディケース68の内部にはブリーザ室72が形成されている。
【0107】
オイルパン70にはオイルが貯留されており、バルブボディ69は、オイルパン70に貯留されるオイルを油路61、62、63、64、65に供給する。
【0108】
図7に示すように、バルブボディ69は、レギュレータ69a、ロックアップバルブ69bおよび電磁ソレノイド69c(図6参照)等を備えている。
【0109】
油路64は、バルブボディ69とオイルポンプ12の吸入ポートとを連通しており、油路63は、バルブボディ69とオイルポンプ12の吐出ポートとを連通している。
【0110】
油路62は、隔壁31に形成された図示しないロックアップクラッチ締結用の油路およびリヤポンプケース13に形成された図示しないロックアップクラッチ締結用の油路を通してシェル10Bとタービン軸11の間の油路35(図2参照)に連通している。
【0111】
オイルパン70に貯留されたオイルは、バルブボディ69から油路64を通してオイルポンプ12の吸入ポートに吸入される。
【0112】
吸入ポートに吸入されたオイルは、オイルポンプ12の作動室で加圧されて吐出ポートから油路63を通してバルブボディ69に供給される。油路63からバルブボディ69に供給されたオイルは、レギュレータ69aによって調圧される。
【0113】
ロックアップ実施状態において、バルブボディ69は、電磁ソレノイド69cによってロックアップバルブ69bがロックアップクラッチ締結用の油路を選択するように切換えられる。
【0114】
このとき、バルブボディ69によって調圧されたオイルは、油路62から隔壁31のロックアップクラッチ締結用の油路およびリヤポンプケース13のロックアップクラッチ締結用の油路を通して油路35に導入される。ロックアップクラッチは、油路35に導入されたオイルによって作動され、タービンランナをフロントカバー10Aに締結する。
【0115】
油路65は、隔壁31に形成された図示しないロックアップクラッチ解除用の油路およびリヤポンプケース13に形成された図示しないロックアップクラッチ解除用の油路を通して油路11B(図2参照)に連通している。
【0116】
油路11Bは、タービン軸11の内部においてタービン軸11の軸方向に沿って形成されており、前端部が開口している。
【0117】
ロックアップ解除状態において、バルブボディ69は、電磁ソレノイド69cによってロックアップバルブ69bがロックアップクラッチ解除用の油路を選択するように切換えられる。
【0118】
このとき、バルブボディ69によって調圧されたオイルは、油路65から隔壁31のロックアップクラッチ解除用の油路およびリヤポンプケース13のロックアップクラッチ解除用の油路を通して油路11Bに導入される。ロックアップクラッチは、油路11Bに導入されたオイルによって作動され、タービンランナをフロントカバー10Aから引き離す。
【0119】
このようにオイルポンプ12は、ロックアップクラッチの作動用の油圧を発生させる機能を有し、トルコンハウジング5の隔壁31に設けられた油路61から油路65がバルブボディ69とトルクコンバータ10との間でオイルを流通させる。
【0120】
油路61は、オイルポンプ12の周辺で軸受40等を潤滑したオイルをオイルパン70に戻すためのオイル戻し通路である。
【0121】
図3に示すように、トルコンハウジング5の下壁5Uとフロントケース6の下壁6Uには四角形状の開口部81が形成されており、開口部81は、トルコンハウジング5の隔壁31とフロントケース6の隔壁32の間で開口している(図2参照)。
【0122】
具体的には、開口部81は、トルコンハウジング5の下壁5Uとフロントケース6の下壁6Uとに形成され、前後方向に延びる左側切り欠き部81Aと、トルコンハウジング5の下壁5Uとフロントケース6の下壁6Uとに形成され、左側切り欠き部81Aに車幅方向で対向して前後方向に延びる右側切り欠き部81Bとを有する。
【0123】
開口部81は、フロントケース6の下壁6Uに形成され、左側切り欠き部81Aの後端と右側切り欠き部81Bの後端とを結んで車幅方向に延びる後側切り欠き部81Cと、トルコンハウジング5の下壁5Uに形成され、左側切り欠き部81Aの前端と右側切り欠き部81Bの前端とを結んで車幅方向に延びる前側切り欠き部81Dとを有する。
【0124】
バルブボディ69を収容するバルブボディケース68が変速機ケース4に装着されていない状態で変速機ケース4を下方から見た場合に、開口部81を通してクラッチ室36Bに収容された摩擦クラッチ17やレリーズベアリング18等が目視可能となっている。但し、図3では、摩擦クラッチ17やレリーズベアリング18等を図示省略している。
【0125】
図2に示すように、バルブボディケース68がフロントケース6の隔壁31の下部に取付けられた状態において、バルブボディケース68は、開口部81を通してフロントケース6の内部に差し込まれており、開口部81は、バルブボディケース68によって覆われている。
【0126】
クラッチ室36Bは、隔壁31と隔壁32の間においてトルコンハウジング5とフロントケース6とバルブボディケース68とによって囲まれている。
【0127】
図6に示すように、バルブボディケース68は、バルブボディケース68の内部とクラッチ室36Bとを連通する連通孔68fを有し、連通孔68fにはブリーザパイプ82の下端部が取付けられている。
【0128】
ブリーザパイプ82の上端にはブリーザキャップ82Aが取付けられており、ブリーザキャップ82Aは、クラッチ室36Bに設置されている。
【0129】
ブリーザ室72の圧力が上昇すると、ブリーザ室72の空気が連通孔68fからブリーザパイプ82に導入され、ブリーザキャップ82Aが開放される。これにより、ブリーザ室72の内部の圧力がクラッチ室36Bに逃がされ、ブリーザ室72の圧力の上昇が抑制される。
【0130】
バルブボディケース68は、バルブボディ69を収容するバルブボディ収容部68Aと、バルブボディ収容部68Aから上方に膨出し、内部にブリーザ室72を有する膨出部68Bとを含んで構成されている。
【0131】
具体的には、バルブボディ収容部68Aは、高さ方向でバルブボディ69の高さと略同じ高さL1のバルブボディケース68の壁部から構成されている。
【0132】
膨出部68Bは、バルブボディ収容部68Aの上端から上方に膨出するバルブボディケース68の壁部から構成されており、バルブボディケース68の全体の高さLに対してL2(L2=L-L1)の高さを有する。
【0133】
膨出部68Bは、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aよりも上方に膨出しており、膨出部68Bの上部に連通孔68fが形成されている。
【0134】
図6に示すように、レリーズフォーク19は、アーム部19Aと、アーム部19Aの先端部から二股形状に分岐された分岐部19Bとを備えている。
【0135】
図6図8に示すように、フロントケース6には開口部6Bが形成されており、アーム部19Aの下部は、開口部6Bからフロントケース6の外方に突出している。フロントケース6の側壁にはシフトユニットによって操作されるクラッチアクチュエータ83が設けられている。
【0136】
クラッチアクチュエータ83は、油圧によって操作されることにより、アーム部19Aの下部を前後方向に移動させる。
【0137】
分岐部19Bは、筒状部32Aを挟み込んでおり、クラッチアクチュエータ83によってアーム部19Aの下部が前後方向に移動されると、レリーズフォーク19は、支点19aを中心に分岐部19Bを前後方向に移動させる。
【0138】
これにより、レリーズフォーク19は、レリーズベアリング18を操作するために分岐部19Bが摩擦クラッチ17の入力軸21の軸方向に移動される。摩擦クラッチ17は、バルブボディケース68のバルブボディ収容部68Aよりも上方に位置している。
【0139】
図8に示すように、レリーズベアリング18とレリーズフォーク19は、前後方向で膨出部68Bと重なっている。図6に示すように、レリーズフォーク19は、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の右方側(車両の幅方向の一方側)に設置されている。
【0140】
膨出部68Bは、湾曲外周面68gを有する。湾曲外周面68gは、レリーズベアリング18およびレリーズフォーク19の外周形状に沿うように、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の右方側から摩擦クラッチ17の下方を通って摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の左方側(車両の幅方向の他方側)の上方に延びている。
【0141】
具体的には、湾曲外周面68gは、レリーズフォーク19の外周形状に沿うように、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の右方側から摩擦クラッチ17の下方を通って摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の左方側に延びるレリーズフォーク対向面68sを有する。
【0142】
また、湾曲外周面68gは、レリーズベアリング18の外周形状に沿うように、レリーズフォーク対向面68sから上方に湾曲して延びるレリーズベアリング対向面68tを有する。
【0143】
湾曲外周面68gとレリーズベアリング18とレリーズフォーク19の下面との車幅方向の隙間S1は、一定となる。
【0144】
また、レリーズベアリング18およびレリーズフォーク19と湾曲外周面68gとの間の隙間S1は、開口部81を通してフロントケース6の外部と連通している。
【0145】
連通孔68fは、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aよりも上方に位置しており、車幅方向で摩擦クラッチ17の回転中心軸17a側に向いている。
【0146】
図1に示すように、トルコンハウジング5の上部にはオイルクーラ84が設けられている。オイルクーラ84は、オイルと図示しないラジエータによって冷却された冷却水とを熱交換することにより、オイルを冷却する。
【0147】
オイルクーラ84にはオイルクーラ入口配管85とオイルクーラ出口配管86の一端部が取付けられている。図11図13に示すように、バルブボディケース68の膨出部68Bにはオイル入口孔68iが形成されており、オイル入口孔68iにはオイルクーラ入口配管85の他端部が接続されている。
【0148】
図11図12に示すように、バルブボディケース68の膨出部68Bにはオイル出口孔68jが形成されており、オイル出口孔68jにはオイルクーラ出口配管86の他端部が接続されている。
【0149】
オイルクーラ84によって冷却されたオイルは、オイルクーラ出口配管86からオイル出口孔86dを通してバルブボディ69に導入され、オイルパン70に貯留される。
【0150】
バルブボディ69を流れるオイルの一部は、オイル出口孔68jからオイルクーラ出口配管86を通ってオイルクーラ84に導入され、オイルクーラ84によって冷却される。すなわち、オイルクーラ出口配管86は、オイルクーラ84によって冷却された後にオイルパン70に還流される冷却用のオイルを得るための配管である。
【0151】
図4に示すように、トルコンハウジング5の上壁5Tとフロントケース6の上壁6Tには開口部87が形成されており、開口部87は、トルコンハウジング5の合わせ面5Aとフロントケース6の合わせ面6Aに形成されている。
【0152】
具体的には、開口部87は、トルコンハウジング5の合わせ面5Aに形成された前後方向に浅いU字状の切り欠き部87aと、フロントケース6に形成され、切り欠き部87Aよりも前後方向に深いU字の切り欠き部87bとによって構成されている。
【0153】
開口部87は、トルコンハウジング5とフロントケース6が分離された状態において、トルコンハウジング5側の浅いU字形状の切り欠き部87aと、深いU字形状の切り欠き部87bを構成し、トルコンハウジング5の合わせ面5Aとフロントケース6の合わせ面6Aとが合わされたときに四角形状の開口部として成立する。
【0154】
オイルクーラ入口配管85とオイルクーラ出口配管86は、オイルクーラ84から開口部87を通してバルブボディ69の膨出部68Bのオイル入口孔68iとオイル出口孔68jに接続されている。オイルクーラ入口配管85とオイルクーラ出口配管86は、開口部87を通過するときに前後方向に並んで設置されている(図3参照)。
【0155】
本実施例の自動変速機2の作用効果を説明する。
本実施例の自動変速機2は、摩擦クラッチ17および変速機構90を収納するフロントケース6およびトランスファフロントケース7と、摩擦クラッチ17とエンジン3との間に配置されるトルクコンバータ10を収納するトルコンハウジング5とを有する変速機ケース4を備えており、トルコンハウジング5が、フロントケース6およびトランスファフロントケース7と連結される合わせ面5Aを有する。
【0156】
自動変速機2は、トルコンハウジング5に形成された油路61、62、63、64、65、66、67を通してトルクコンバータ10に供給される作動油を制御するバルブボディ69と、バルブボディ69を収容し、トルコンハウジング5に取付けられたバルブボディケース68とを備えている。
【0157】
自動変速機2は、トルコンハウジング5の下壁5Uとトルコンハウジング5の合わせ面5A側のフロントケース6の下壁6Uに開口部81が形成されており、バルブボディケース68がトルコンハウジング5に取付けられた状態において、開口部81がバルブボディケース68によって覆われている。
【0158】
これにより、変速機構90の交換時やメンテナンス時等に、トルコンハウジング5とバルブボディケース68を一体化してフロントケース6に着脱できる。
【0159】
油路61、62、63、64、65、66、67は、トルコンハウジング5に形成されているので、バルブボディケース68をフロントケース6から取外したときに油路61、62、63、64、65、66、67が分断されることを防止でき、油路61、62、63、64、65、66、67に異物が侵入することを防止できる。
【0160】
また、変速機構90の交換時やメンテナンス時等にトルコンハウジング5からオイルを抜くことを不要にできるので、変速機構90の交換作業の作業性やメンテナンス作業の作業性を向上できる。
【0161】
また、本実施の自動変速機2によれば、トルコンハウジング5の上壁5Tとフロントケース6の上壁6Tに開口部87が形成されており、オイルクーラ入口配管85とオイルクーラ出口配管86は、オイルクーラ84から開口部87を通してバルブボディ69の膨出部68Bのオイル入口孔68iとオイル出口孔68jに接続されている。
【0162】
これにより、変速機構90の交換時やメンテナンス時等に、トルコンハウジング5、バルブボディケース68、オイルクーラ入口配管85およびオイルクーラ出口配管86を一体化してフロントケース6に着脱できる。
【0163】
このため、オイルクーラ入口配管85およびオイルクーラ出口配管86をオイルクーラ84とバルブボディ69に着脱することを不要にでき、変速機構90の交換作業の作業性やメンテナンス作業の作業性をより効果的に向上できる。
【0164】
また、本実施例の自動変速機2によれば、トルコンハウジング5は、変速機ケース4の内部を、トルクコンバータ10を収容するトルクコンバータ室36Aと摩擦クラッチ17を収容するクラッチ室36Bとに仕切るとともに、油路61、62、63、64、65、66、67を有する隔壁31を備えている。
【0165】
フロントケース6は、変速機ケース4の内部を、クラッチ室36Bと変速機構室36Cとに仕切る隔壁32を備えており、開口部81は、隔壁31と隔壁32の間で開口している。
【0166】
摩擦クラッチ17を収容するクラッチ室36Bは、隔壁31と隔壁32の間においてトルコンハウジング5とフロントケース6とバルブボディケース68とによって囲まれており、バルブボディケース68は、バルブボディケース68の内部とクラッチ室36Bとを連通する連通孔68fを有する。
【0167】
これにより、バルブボディケース68の内部が高圧となった場合に、ブリーザ室72の圧力を連通孔68fからクラッチ室36Bに逃がすことができる。そして、連通孔68fをクラッチ室36Bに設けることにより、クラッチ室36Bを下方からバルブボディケース68で覆うことができる。
【0168】
このため、車両1の通常走行時(路面走行時)に異物や水等が連通孔68fからバルブボディケース68の内部に侵入することを抑制でき、バルブボディ69を異物や水等から保護できる。
【0169】
また、バルブボディケース68を、開口部81を通してクラッチ室36Bに挿入することにより、バルブボディケース68がトルコンハウジング5およびフロントケース6から下方に過度に突出することを抑制できる。
【0170】
このため、変速機ケース4の高さ方向の寸法を短縮でき、変速機ケース4の小型化を図ることができる。この結果、自動変速機2の小型化を図ることができる。
【0171】
ここで、図6に示すように、開口部81とバルブボディケース68の間には隙間S2、S3が形成されており、隙間S2、S3からクラッチ室36Bに異物や水等が侵入するおそれがある。
【0172】
本実施例の自動変速機2によれば、バルブボディケース68は、バルブボディ69を収容するバルブボディ収容部68Aと、バルブボディ収容部68Aから上方に膨出し、内部にブリーザ室72を有する膨出部68Bとを有する。
【0173】
これに加えて、膨出部68Bは、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aよりも上方に膨出しており、膨出部68Bの上部に連通孔68fが形成されている。
【0174】
これにより、連通孔68fを開口部81よりも上方、すなわち、隙間S2、S3よりも上方に設けることができ、車両1の通常走行時に異物や水等が連通孔68fに到達し難くできる。
【0175】
このため、異物や水等が連通孔68fからバルブボディケース68の内部に侵入することを抑制でき、バルブボディ69を異物や水等からより効果的に保護できる。
【0176】
また、本実施例の自動変速機2によれば、摩擦クラッチ17は、バルブボディケース68のバルブボディ収容部68Aよりも上方に位置している。
【0177】
レリーズベアリング18およびレリーズフォーク19は、前後方向で膨出部68Bと重なっており、レリーズフォーク19は、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の右方側に設置されている。
【0178】
膨出部68Bは、湾曲外周面68gを有し、湾曲外周面68gは、レリーズベアリング18およびレリーズフォーク19の外周形状に沿うように、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の右方側から摩擦クラッチ17の下方を通って摩擦クラッチ17の回転中心軸17aに対して車幅方向の左方側の上方に延びている。
【0179】
レリーズベアリング18およびレリーズフォーク19と湾曲外周面68gとの間の隙間S1は、開口部81を通して変速機ケース4の外部と連通している。
【0180】
これに加えて、連通孔68fは、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aよりも上方であって、車幅方向で摩擦クラッチ17の回転中心軸17a側に向いている。
【0181】
これにより、開口部81とバルブボディケース68の隙間S2からクラッチ室36Bに異物や水等が侵入する場合に、バルブボディケース68の膨出部68Bを開口部81に近づけることにより、隙間S2からクラッチ室36Bに異物や水等が侵入することを抑制できる。
【0182】
一方、開口部81とバルブボディケース68の隙間S3側においては、レリーズフォーク19が設置されている。このため、レリーズフォーク19を避けるようにバルブボディケース68の膨出部68Bに逃げ部としての湾曲外周面68gが形成されている。
【0183】
湾曲外周面68gは、レリーズベアリング18およびレリーズフォーク19の外周形に沿った形状に形成されており、連通孔68fは、摩擦クラッチ17の回転中心軸17aよりも上方であって、車幅方向で摩擦クラッチ17の回転中心軸17a側に向いている。
【0184】
このため、湾曲外周面68gとレリーズベアリング18およびレリーズフォーク19との間の隙間S1を小さくでき、開口部81とバルブボディケース68の間の隙間S3から異物や水等が侵入した場合に、異物や水等が湾曲外周面68gとレリーズベアリング18およびレリーズフォーク19との間を通って連通孔68fに到達し難くできる。
【0185】
この結果、連通孔68fからバルブボディケース68の内部に侵入することを抑制でき、バルブボディ69を異物や水等からより効果的に保護できる。
【0186】
また、レリーズフォーク19をバルブボディケース68の湾曲外周面68gに近づけて設置できるので、バルブボディケース68とレリーズフォーク19をクラッチ室36Bの内部にコンパクトに設置できる。この結果、自動変速機2のより一層の小型化を図ることができる。
【0187】
なお、本実施例の自動変速機2は、トルコンハウジング5の下壁5Uとフロントケース6の下壁6Uに開口部81を形成しているが、フロントケース6の下壁6Uのみに開口部81を形成してもよい。
【0188】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0189】
1...車両、2...自動変速機(車両用変速機)、3...エンジン(駆動源)、4...変速機ケース、
5...トルクコンバータハウジング、5A...合わせ面、5U...下壁(トルクコンバータハウジングの下壁)、6...フロントケース(変速機ケース本体)、6U...下壁(変速機ケース本体の下壁)、7...トランスファフロントケース(変速機ケース本体)、8...トランスファリヤケース、9...エクステンションケース(変速機ケース)、10...トルクコンバータ、17...摩擦クラッチ(クラッチ)、17a...回転中心軸(クラッチの回転中心軸)、18...レリーズベアリング、19...レリーズフォーク、31...隔壁(第1の隔壁)、32...隔壁(第2の隔壁)、36A...トルクコンバータ室、36B...クラッチ室、36C...変速機構室、61,62,63,64,65,66,67...油路、68...バルブボディケース、68A...バルブボディ収容部、68B...膨出部、68f...連通孔、68g...湾曲外周面、69...バルブボディ、70...オイルパン(バルブボディケース)、72...ブリーザ室、81...開口部、90...変速機構
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