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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】流体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61L2/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019173436
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021049072
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 公人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛雄
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-205082(JP,A)
【文献】特開2019-076643(JP,A)
【文献】特開2017-051887(JP,A)
【文献】特開2018-118201(JP,A)
【文献】特開2018-140001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0046675(US,A1)
【文献】特開2016-203095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0225509(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149205(US,A1)
【文献】特開2008-221951(JP,A)
【文献】特開2019-055126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を処理する処理室と;
前記処理室に向けて紫外線を照射する光源と、前記光源を冷却する冷却ブロックと、前記冷却ブロックの内部に設けられ、冷却媒体が流れる媒体流路とを有し、前記処理室の外部に設けられる光源部と;
前記媒体流路と前記処理室とを接続し、前記媒体流路を流れた後の前記冷却媒体を、前記流体として前記処理室に供給する供給流路と;
を具備し、
前記光源部は、照射方向が異なる複数の前記光源を有し、
前記冷却ブロックの内部に設けられる前記媒体流路の入口と出口が、前記光源部の前記処理室側とは反対側に配置される、流体殺菌装置。
【請求項2】
流体を処理する処理室と;
前記処理室に向けて紫外線を照射する光源と、前記光源を冷却する冷却ブロックと、前記冷却ブロックの内部に設けられ、冷却媒体が流れる媒体流路とを有し、前記処理室の外部に設けられる光源部と;
前記媒体流路と前記処理室とを接続し、前記媒体流路を流れた後の前記冷却媒体を、前記流体として前記処理室に供給する供給流路と;
を具備し、
前記光源部は、前記処理室の側面に対向する前記光源を有し、
前記冷却ブロックの内部に設けられる前記媒体流路の入口と出口が、前記光源部の前記処理室側とは反対側に配置される、流体殺菌装置。
【請求項3】
前記光源部は、前記媒体流路が接続流路を介して並列に接続された複数の前記冷却ブロックを有する、請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記光源部は、前記媒体流路が接続流路を介して直列に接続された複数の前記冷却ブロックを有する、請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記媒体流路を含む前記光源部の少なくとも一部が着脱可能に装着される、請求項1~のいずれか1つに記載の流体殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流体殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の発光素子が発する紫外線を、例えば、水、気体等の流体が流れる流路に向けて照射することで、流体を殺菌する流体殺菌装置が知られている。この種の流体殺菌装置では、光源として、紫外線を発するLED(Light Emitting Diode)が実装された基板を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-233646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流路を流れる流体に対してLEDによる紫外線等を照射し、流体を殺菌する場合に、より高い殺菌効果を得るために、LEDの出力を高め、効率的に流体に照射することが望ましい。しかし、LEDへの投入電力を上げたり、LEDの実装数を増やしたりするだけでは、発熱による温度制限があるLEDは発光に伴う発熱により発光効率が低下し、高い出力が得られないことから、効率的に殺菌効果を得ることが困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、効率的に殺菌効果を得ることができる流体殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の流体殺菌装置は、処理室と、光源部と、供給流路とを具備する。処理室は、流体を処理する。光源部は、光源と、冷却ブロックと、媒体流路とを有する。光源は、処理室に向けて紫外線を照射する。冷却ブロックは、光源を冷却する。媒体流路は、冷却ブロックの内部に設けられ、冷却媒体が流れる。供給流路は、媒体流路と処理室とを接続し、媒体流路を流れた後の冷却媒体を、流体として処理室に供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る流体殺菌装置の適用例を示す模式図である。
図2】第1の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図3】第1の実施形態に係る光源部を示す模式図である。
図4】第2の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図5】第3の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図6】第4の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図7】第5の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図8】第6の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図9】第7の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図10】第8の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
図11】第9の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係る流体殺菌装置1は、処理室20と、光源部10、10a~10cと、供給流路5とを具備する。処理室20は、流体を処理する。光源部10、10a~10cは、光源14と、冷却ブロック11と、媒体流路17とを有する。光源14は、処理室20に向けて紫外線を照射する。冷却ブロック11は、光源14を冷却する。媒体流路17は、冷却ブロック11の内部に設けられ、冷却媒体が流れる。供給流路5は、媒体流路17と処理室20とを接続し、媒体流路17を流れた後の冷却媒体を、流体として処理室20に供給する。
【0010】
また、以下に示す実施形態に係る光源部10、10a~10cは、照射方向が異なる複数の光源14を有する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る光源部10b、10cは、処理室20の側面203に対向する光源14bを有する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る光源部10、10a~10cは、媒体流路17、17a~17cが接続流路9、9a~9cを介して並列に接続された複数の冷却ブロック11、11a~11cを有する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る光源部10、10a~10cは、媒体流路17、17a~17cが接続流路9d~9fを介して直列に接続された複数の冷却ブロック11、11a~11cを有する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る流体殺菌装置1は、媒体流路17、17a~17cを含む光源部10、10a~10cの少なくとも一部が着脱可能に装着される。
【0015】
以下、実施形態に係る流体殺菌装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は、一例を示すものであって、発明を限定するものではない。また、以下に示す各実施形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせることができる。また、各実施形態の説明において、同一構成には同一符号を付与して後出の説明を適宜省略する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る流体殺菌装置の適用例を示す模式図である。図2は、第1の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。
【0017】
図1に示すように、第1の実施形態の流体殺菌装置1は、流体を処理する処理室20と、処理室20を照射する光源部10と、処理室20に流体を供給する供給流路5とを備える。流体殺菌装置1の光源部10は、上流側流路部材4を介して供給タンク2と接続されるとともに、流体殺菌装置1の処理室20は、下流側流路部材6を介して回収タンク8と接続される。さらに、光源部10および処理室20は、供給流路5を介して接続される。
【0018】
すなわち、流体殺菌装置1は、供給タンク2から供給される流体を殺菌し、回収タンク8へ供給する。上流側流路部材4は、一端が供給タンク2に接続され、他端が流体殺菌装置1の光源部10に接続されるとともに、ポンプ3を有する。
【0019】
ポンプ3は、供給タンク2の流体を、上流側流路部材4を介して流体殺菌装置1の光源部10および処理室20へ送る働きを担う。下流側流路部材6は、一端が処理室20に接続され、他端が回収タンク8に接続されるとともに、流体殺菌装置1から回収タンク8へ送る流体の流量を調整する流量調整機構7が設けられている。また、図1に示すように、例えば、下流側流路部材6は、処理室20の側面に取り付けられる。なお、下流側流路部材6の取り付け位置は、図1の構成に限定されず、光源部10に対向する位置であればどのような位置であってもよい。
【0020】
流体殺菌装置1は、例えば、飲料水供給装置において、供給タンク2内の水を殺菌処理するために用いられる。本実施形態では、流体として、例えば、上水等の液体に適用されるが、気体に適用されてもよい。
【0021】
図2に示すように、流体殺菌装置1は、処理室20と、光源部10と、カバー部材30と、供給流路5とを備える。
【0022】
処理室20は、例えば紫外線を透過する石英ガラスで形成された空間であり、内部に収容された流体を処理する。処理室20の形状は、例えば、円筒状とすることができるが、特に限定されるものではなく、例えば、箱状または角筒状であってもよい。
【0023】
処理室20の側面203には反射板21が配置されており、側面203を透過した紫外線を処理室20の内部に向けて反射する。また、反射板21に代えて、反射膜を処理室20の側面203に配置してもよい。反射膜は、例えば、シリカ膜またはアルミニウム蒸着膜である。また、反射板21または反射膜は、処理室20の内面に配置されてもよい。さらに、処理室20は、反射板21と反射膜の両方を有していてもよいし、反射板21や反射膜を有さなくてもよい。また、処理室20は、光源部10から離れた端面202に反射板21および反射膜の一方または両方を有していてもよい。
【0024】
光源部10は、処理室20の内部へ紫外線を照射する。また、光源部10は、光源14と、冷却ブロック11と、媒体流路17とを有する。
【0025】
光源14は、基板12と、基板12に実装された発光素子13とを有する。基板12は、金属材料を母材として形成されている。基板12上には、図示しないが、絶縁層を介して所望の導電パターン(配線パターン)が形成されており、導電パターン上に発光素子13が設けられている。なお、基板12の母材は、金属材料に限らず、例えばアルミナ等のセラミックスが用いられてもよい。基板12は、冷却ブロック11の前面112に固定されている。
【0026】
発光素子13は、基板12上に実装されており、点灯により紫外線を発する。発光素子13は、例えばLEDである。発光素子13は、図示しない電源から電力が供給され、発光する。発光素子13は、処理室20の端面201に対向して配置され、処理室20に紫外線を照射する。また、発光素子13としては、寿命と出力とを勘案して波長280[nm]近辺にピーク波長を有するものであってよいが、例えば260[nm]~280[nm]といった殺菌作用を奏する波長帯域であればよく、紫外線の波長を限定するものではない。すなわち、発光素子13は、LEDに限らず、レーザダイオード(LD)等の所定の波長帯域の紫外線を発する他の半導体素子であってもよい。また、基板12上に実装される発光素子13の個数は限定されず、例えば発光素子13が1つであってもよいし、複数であってもよい。基板12上に複数の発光素子13が実装される場合は、各発光素子13のピーク波長が異なっていてもよい。また、光源部10が複数の基板12を有しており、複数の基板12上に搭載されている発光素子13の個数がそれぞれ異なっていてもよい。また、光源部10に複数の基板12が搭載される場合は、基板12毎に搭載される発光素子13のピーク波長が異なっていてもよいし、基板12内で発光素子13のピーク波長が異なっていてもよい。
【0027】
冷却ブロック11は、発光素子13が実装された基板12を所定の位置に固定することで、光源14を支持する。ここで、発光素子13は、点灯時間の経過に伴って発光効率が低下するため、定期的に交換する必要がある。このため、流体殺菌装置1は、光源14の交換を容易にするべく、光源部10の一部である装着部15を容易に着脱可能な構成にしている。この点の詳細については後述する。
【0028】
媒体流路17は、冷却ブロック11の内部に形成されている。冷却ブロック11の背面111には、媒体流路17の両端である開口171、172が形成されている。また、開口171、172には、上流側流路部材4の端部41、供給流路5の端部51が、それぞれ接続されている。これにより、媒体流路17には、供給タンク2からの流体が供給され、冷却ブロック11を介して光源14と媒体流路17を流れる流体との間で熱交換が行われる。すなわち、媒体流路17を流れる流体は、冷却媒体として振る舞う。なお、端部41は、開口171に挿入されてもよく、また、開口171に挿入された図示しない継手部材に接続されてもよい。同様に、端部51は、開口172に挿入されてもよく、開口172に挿入された図示しない継手部材に接続されてもよい。
【0029】
カバー部材30は、紫外線を透過する板状部材である。具体的には、例えば石英ガラスをカバー部材30として使用することができる。カバー部材30は、光源部10の内部空間が気密になるように処理室20と光源部10との間に配置されており、流体が流れる処理室20と光源部10との間を区画している。カバー部材30は、発光素子13が発した紫外線を透過し、処理室20に向けて紫外線が照射されることで、処理室20の内部を流れる流体を殺菌する。なお、カバー部材30の材料は、石英ガラスに限定されるものではなく、例えば紫外線を透過するフッ化カルシウム(CaF)であってもよい。
【0030】
供給流路5は、流体を処理室20に供給する流路部材である。供給流路5は、一端(端部51)が媒体流路17に接続され、他端(端部52)が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17と処理室20とを連通させることで、媒体流路17を流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5を設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0031】
なお、処理室20に接続される供給流路5の端部52は、下流側流路部材6の端部61から離れた位置に設けると、処理室20における流体の処理性能が向上する。すなわち、端部61を処理室20の一端(端面202)寄りに設け、端部52は処理室20の他端(端面201)寄りに設けるとよい。ただし、端部61および端部52の配置は、これに限られない。例えば、端部61を処理室20の端面201寄りに設け、端部52を処理室20の端面202寄りに設けてもよい。
【0032】
ここで、光源部10における装着部15の脱着について、図2図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る装着部を示す模式図である。
【0033】
光源部10は、装着部15と、固定部16とを有する。装着部15は、略円柱状の冷却ブロック11と、光源14とを含む。固定部16は、冷却ブロック11の周面113に対応する内面163を有している。固定部16の内面163に沿うように装着部15を挿入することで、装着部15と固定部16とが係合し、装着部15は、固定部16に対して着脱可能に装着される。このように、媒体流路17を有する冷却ブロック11を含む装着部15を一端で着脱可能とすることにより、光源部10の点検や交換を含む保守作業が容易になる。
【0034】
ここで、冷却ブロック11の背面111は、固定部16の端面161に対して面一となるように装着されてもよく、端面161から突出し、あるいは没入していてもよい。また、装着部15と固定部16との係合は、例えば螺合、嵌着など、いかなる方式であってもよい。また、装着部15は、図示しない締結部材を用いて着脱可能に装着されてもよい。また、固定部16の外面162と装着部15とが係合する構成であってもよい。さらに、装着部15が、処理室20の端面201に対し、光源部10およびカバー部材30が一体で着脱可能に装着される態様であっても構わない。
【0035】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図4に示す流体殺菌装置1Aは、処理室20を挟んでカバー部材30、光源部10と向かい合うカバー部材30a、光源部10aをさらに備える点で第1の実施形態に係る流体殺菌装置1と相違する。
【0036】
光源部10aは、光源部10と同様の構成を有している。すなわち、光源部10aは、装着部15aと、固定部16aとを有する。装着部15aは、基板12aおよび発光素子13aを含む光源14aと、媒体流路17aを有する冷却ブロック11aとを含む。このように照射方向が異なる複数の光源14、14aを配置することにより、殺菌性能がさらに高まる。なお、カバー部材30aおよび光源部10aを構成する各部材は、カバー部材30および光源部10と同様とすることができる。このため、カバー部材30aおよび光源部10aに関する詳細な説明は省略する。
【0037】
媒体流路17には、供給タンク2に接続された上流側流路部材4および接続部60に接続された接続流路9が接続されている。また、媒体流路17aには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4aおよび接続部60に接続された接続流路9aが接続されている。すなわち、媒体流路17、17aは、接続部60に接続された接続流路9、9aを介して並列に接続されている。
【0038】
また、供給流路5は、一端が接続部60に接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17、17aを流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9、9aを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。なお、接続流路9、9aは、接続部60で合流させることなく、個別に処理室20に接続させてもよい。
【0039】
本実施形態では、媒体流路17、17aが、光源部10、10aに対して並列に接続されている。このような構成とすることで、光源部10、10aに対する冷却能力に差が生じにくくなるため、光源部10、10aから放出される紫外線の光量に差が生じにくくなり、結果殺菌性能が向上する。また、媒体流路17、17aが、光源部10、10aに対して並列に接続されることで、光源部10、10aに到達する冷却媒体の温度が略同等となるため、光源部10、10aから放出される熱による光源14、14aの劣化に差が生じにくくなる。光源14、14aの劣化に差がなくなると、光源14、14aの交換、すなわち、光源部10、10aの交換を同時に行うことができるようになることから、流体殺菌装置1Aのメンテナンス回数を低減することが可能となる。
【0040】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図5に示す流体殺菌装置1Bは、処理室20の側面と向かい合う光源部10bをさらに備える点で第1の実施形態に係る流体殺菌装置1と相違する。
【0041】
光源部10bは、基板12bおよび発光素子13bを含む光源14bと、媒体流路17bを有する冷却ブロック11bとを含む。また、光源14bと向かい合う反射板21には、光源14bから処理室20に向けて紫外線を照射するための開口21aを有する。このように照射方向が異なる複数の光源14、14bを配置することにより、殺菌性能がさらに高まる。なお、光源部10bを構成する各部材は、光源部10と同様とすることができる。このため、光源部10bに関する詳細な説明は省略する。
【0042】
媒体流路17には、供給タンク2に接続された上流側流路部材4および接続部60aに接続された接続流路9が接続されている。また、媒体流路17bには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4bおよび接続部60aに接続された接続流路9bが接続されている。すなわち、媒体流路17、17bは、接続部60aに接続された接続流路9、9bを介して並列に接続されている。
【0043】
なお、媒体流路17bは、冷却ブロック11bの側面に開口17b1、17b2が形成されているとして図示したが、これに限らず、冷却ブロック11bの背面11b1に開口17b1、17b2が形成されていてもよい。また、光源部10bは、流体殺菌装置1Bに対して着脱可能な装着部15bとして構成されてもよい。
【0044】
また、供給流路5は、一端が接続部60aに接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17、17bを流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9、9bを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。なお、接続流路9、9bは、接続部60aで合流させることなく、個別に処理室20に接続させてもよい。
【0045】
また、媒体流路17、17aを光源部10、10aに対して直列接続とすることで、流路構成を簡素化することができ、流体殺菌装置1Eの組み立てを容易にすることができる。また、媒体流路17、17aを光源部10、10aに対して直列接続とすることで、媒体流路17、17a、すなわち、流体殺菌装置1Eに流れ込む流体流量の調節を容易にすることができる。
【0046】
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図6に示す流体殺菌装置1Cは、光源部10およびカバー部材30に代えて、処理室20を挟んで光源部10bと向かい合う光源部10cをさらに備える点で第3の実施形態に係る流体殺菌装置1Bと相違する。
【0047】
光源部10cは、基板12cおよび発光素子13cを含む光源14cと、基板12dおよび発光素子13dを含む光源14dと、媒体流路17cを有する冷却ブロック11cとを含む。また、光源14c、14dと向かい合う反射板21には、光源14c、14dから処理室20に向けて紫外線を照射するための開口21b、21cを有する。このように照射方向が異なる複数の光源14b~14dを配置することにより、殺菌性能が高めることができる。さらに、処理室20の端面201、202に反射板71、72を設けると、殺菌性能がさらに高まる。なお、光源14c、14dを構成する各部材は、光源14と同様とすることができる。このため、光源14c、14dに関する詳細な説明は省略する。
【0048】
冷却ブロック11cは、発光素子が実装された基板を所定の位置に固定することで、光源14c、14dを支持する。媒体流路17bには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4bおよび接続部60bに接続された接続流路9bが接続されている。また、媒体流路17cには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4cおよび接続部60bに接続された接続流路9cが接続されている。すなわち、媒体流路17b、17cは、接続部60bに接続された接続流路9b、9cを介して並列に接続されている。
【0049】
なお、冷却ブロック11cには、光源14c、14dが支持されているとして図示したが、これに限らず、1または3以上の光源が支持されていてもよい。また、光源14c、14dは、光源部10bに対して対向する、すなわち、照射方向を180[°]異ならせて図示されたが、これに限らず、例えば照射方向を30[°]~120[°]程度異ならせてもよい。また、光源部10cは、流体殺菌装置1Cに対して着脱可能に構成されてもよい。
【0050】
また、供給流路5は、一端が接続部60bに接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17b、17cを流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9b、9cを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。なお、接続流路9b、9cは、接続部60bで合流させることなく、個別に処理室20に接続させてもよい。
【0051】
(第5の実施形態)
図7は、第5の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図7に示す流体殺菌装置1Dは、処理室20の側面と向かい合う光源部10bをさらに備える点で第2の実施形態に係る流体殺菌装置1Aと相違する。このように照射方向が異なる複数の光源を有する光源部10、10a、10bを配置することにより、殺菌性能が高めることができる。
【0052】
媒体流路17には、供給タンク2に接続された上流側流路部材4および接続部60cに接続された接続流路9が接続されている。また、媒体流路17aには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4aおよび接続部60cに接続された接続流路9aが接続されている。さらに、媒体流路17bには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4bおよび接続部60cに接続された接続流路9bが接続されている。すなわち、媒体流路17、17a、17bは、接続部60cに接続された接続流路9、9a、9bを介して並列に接続されている。
【0053】
また、供給流路5は、一端が接続部60cに接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17、17a、17bを流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9、9a、9bを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。なお、接続流路9、9a、9bは、接続部60cで合流させることなく、個別に処理室20に接続させてもよい。
【0054】
(第6の実施形態)
図8は、第6の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図8に示す流体殺菌装置1Eは、媒体流路17、17aに接続される流路構成が異なることを除き、第2の実施形態に係る流体殺菌装置1Aと同様の構成を有する。
【0055】
媒体流路17aには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4aおよび接続流路9dが接続されている。また、媒体流路17には、接続流路9dおよび供給流路5が接続されている。すなわち、媒体流路17、17aは、接続流路9dを介して直列に接続されている。
【0056】
また、供給流路5は、一端が媒体流路17に接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17a、17を流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9dを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0057】
(第7の実施形態)
図9は、第7の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図9に示す流体殺菌装置1Fは、媒体流路17、17bに接続される流路構成が異なることを除き、第3の実施形態に係る流体殺菌装置1Bと同様の構成を有する。
【0058】
媒体流路17bには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4bおよび接続流路9eが接続されている。また、媒体流路17には、接続流路9eおよび供給流路5が接続されている。すなわち、媒体流路17b、17は、接続流路9eを介して直列に接続されている。
【0059】
また、供給流路5は、一端が媒体流路17に接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17b、17を流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9eを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0060】
(第8の実施形態)
図10は、第8の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図10に示す流体殺菌装置1Gは、媒体流路17b、17cに接続される流路構成が異なることを除き、第4の実施形態に係る流体殺菌装置1Cと同様の構成を有する。
【0061】
媒体流路17cには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4dおよび接続流路9fが接続されている。また、媒体流路17bには、接続流路9fおよび供給流路5が接続されている。すなわち、媒体流路17c、17bは、接続流路9fを介して直列に接続されている。
【0062】
また、供給流路5は、一端が媒体流路17bに接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17c、17bを流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9fを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0063】
(第9の実施形態)
図11は、第9の実施形態に係る流体殺菌装置の要部を示す断面模式図である。図11に示す流体殺菌装置1Hは、媒体流路17、17a、17bに接続される流路構成が異なることを除き、第5の実施形態に係る流体殺菌装置1Dと同様の構成を有する。
【0064】
媒体流路17aには、供給タンク2に接続された上流側流路部材4aおよび接続流路9gが接続されている。また、媒体流路17bには、接続流路9gおよび接続流路9hが接続されている。さらに、媒体流路17には、接続流路9hおよび供給流路5が接続されている。すなわち、媒体流路17a、17b、17は、接続流路9g、9hを介して直列に接続されている。
【0065】
また、供給流路5は、一端が媒体流路17に接続され、他端が処理室20に接続される。供給流路5は、媒体流路17a、17b、17を流れた後の流体を、処理室20に供給する。このように供給流路5および接続流路9g、9hを設けることにより、処理室20での処理前の流体を、冷却媒体として利用することができる。冷却媒体を供給するポンプや配管を別途配設する必要がないため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0066】
上述したように、実施形態に係る流体殺菌装置1は、処理室20と、光源部10、10a~10cと、供給流路5とを具備する。処理室20は、流体を処理する。光源部10、10a~10cは、光源14と、冷却ブロック11と、媒体流路17とを有する。光源14は、処理室20に向けて紫外線を照射する。冷却ブロック11は、光源14を冷却する。媒体流路17は、冷却ブロック11の内部に設けられ、冷却媒体が流れる。供給流路5は、媒体流路17と処理室20とを接続し、媒体流路17を流れた後の冷却媒体を、流体として処理室20に供給する。このため、効率的に殺菌効果を得ることができる。また、処理室20に供給した流体を光源部10の冷却媒体として用いる場合、すなわち、紫外線処理後の流体を光源部10の冷却媒体として用いる場合に、紫外線が照射された流体は紫外線照射により発熱して流体の温度が上昇したりするため、流体の温度管理が困難である。流体の温度管理が困難であると、流体の温度が上昇したときに光源部10の冷却が不十分となり、効率的に殺菌効果を得ることができない。特に、流体殺菌装置1で処理される流体が1分間あたり10Lを超えるような条件では、温度管理がより困難である。一方、実施形態に係る流体殺菌装置では、光源部10の冷却媒体を処理室に供給するため、流体の温度が上昇することなく光源部10を冷却することができる。つまり、本実施形態では、処理室20に供給した流体を光源部10の冷却媒体として用いる場合に比べて流体の温度管理が容易になる。よって、光源部10から放出される紫外線を効率よく流体に照射することができることから、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0067】
また、実施形態に係る光源部10、10a~10cは、照射方向が異なる複数の光源14を有する。このため、殺菌効果がさらに高まる。
【0068】
また、実施形態に係る光源部10b、10cは、処理室20の側面203に対向する光源14bを有する。このため、殺菌効果がさらに高まる。
【0069】
また、実施形態に係る光源部10、10a~10cは、媒体流路17、17a~17cが接続流路9、9a~9cを介して並列に接続された複数の冷却ブロック11、11a~11cを有する。このため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0070】
また、実施形態に係る光源部10、10a~10cは、媒体流路17、17a~17cが接続流路9d~9fを介して直列に接続された複数の冷却ブロック11、11a~11cを有する。このため、効率的に殺菌効果を得ることができる。
【0071】
また、実施形態に係る流体殺菌装置1は、媒体流路17、17a~17cを含む光源部10、10a~10cの少なくとも一部が着脱可能に装着される。このため、光源部10、10a~10cの交換を容易にすることができる。
【0072】
なお、各実施形態に係る流体殺菌装置の構成は、図示したものに限られない。例えば、複数の冷却ブロックが、接続流路を介して並列に接続された構成と、直列に接続された構成の両方を有していてもよい。これにより、流路設計の自由度が増大する。
【0073】
また、各実施形態に係る流体殺菌装置は、いかなる向きで使用されてもよい。例えば、処理室20の端面202が上方、端面201が下方となる向きで使用されてもよく、端面201が上方、端面202が下方となる向きで使用されてもよい。さらに、処理室20の側面203が水平となるように配置させてもよく、傾けても使用してよい。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1、1A~1H 流体殺菌装置
5 供給流路
9 接続流路
10 光源部
11 冷却ブロック
12 基板
13 発光素子
14 光源
17 媒体流路
20 処理室
21 反射板
30 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11