(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】作業機械用冷却ファンシステム
(51)【国際特許分類】
F01P 7/04 20060101AFI20231011BHJP
F01P 5/04 20060101ALI20231011BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20231011BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F01P7/04 Z
F01P5/04 C
F01P11/10 K
E02F9/00 M
(21)【出願番号】P 2019191321
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 允紀
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061132(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 5/00
F01P 7/00
F01P 11/00
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象流体を冷却する冷却機と、
前記冷却機に冷却風を送るファンと、
前記ファンを回転させるモータと、
前記冷却対象流体の温度を検出する温度センサと、
前記ファンの周辺の大気圧を検出する大気圧センサと、
前記温度センサおよび前記大気圧センサの検出値が入力され、前記モータの作動を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記温度センサに検出された前記冷却対象流体の温度に基づいて、前記モータの要求回転数を設定し、
前記大気圧センサに検出された大気圧に基づいて、前記モータの目標回転数の上限値を設定し、
前記要求回転数が前記上限値未満の場合は、前記要求回転数を前記目標回転数として設定し、
前記要求回転数が前記上限値以上の場合は、前記上限値を前記目標回転数として設定し、
前記上限値は、前記大気圧センサに検出される大気圧が第1大気圧のときよりも、前記大気圧センサに検出される大気圧が前記第1大気圧よりも低い第2大気圧のときのほうが低くなるように設定され、
前記コントローラには、
前記上限値の候補である第1上限値候補と、
前記上限値の候補であって前記第1上限値候補以上の値である第2上限値候補と、
所定時間と、
が設定され、
前記コントローラは、前記要求回転数が前記第1上限値候補よりも大きい場合、前記所定時間内は前記第2上限値候補を前記上限値として設定し、前記所定時間経過後は前記第1上限値候補を前記上限値として設定する、
作業機械用冷却ファンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械用冷却ファンシステムであって、
前記コントローラは、前記大気圧センサに検出される大気圧を所定周期ごとに取得し、取得した大気圧に応じて前記上限値を更新する、
作業機械用冷却ファンシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業機械用冷却ファンシステムであって、
前記モータは、油圧モータである、
作業機械用冷却ファンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンを備える作業機械に用いられる作業機械用冷却ファンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、ファンを備える作業機械が記載されている。同文献に記載の発明では、ファンの冷却能力と、ファンの冷却対象の発熱量と、のヒートバランスを調整することが図られる(同文献の段落0004などを参照)。具体的には、同文献の請求項1には、大気圧センサに計測された大気圧が閾値未満の場合、大気圧が閾値以上の場合よりも、ファン回転数を高くすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大気圧が低くなるほど、ファンが発生させる冷却風の通風抵抗が低くなる。すると、ファンの回転数の目標値に対して、実際のファンの回転数が高くなるおそれがある。すると、ファンが、破損および寿命低下するおそれがある。また、ファンを回転させるモータも、破損および寿命低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ファンおよびモータの、破損および寿命低下を抑制することができる、作業機械用冷却ファンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業機械用冷却ファンシステムは、冷却機と、ファンと、モータと、温度センサと、大気圧センサと、コントローラと、を備える。前記冷却機は、冷却対象流体を冷却する。前記ファンは、前記冷却機に冷却風を送る。前記モータは、前記ファンを回転させる。前記温度センサは、前記冷却対象流体の温度を検出する。前記大気圧センサは、前記ファンの周辺の大気圧を検出する。前記コントローラは、前記温度センサおよび前記大気圧センサの検出値が入力され、前記モータの作動を制御する。前記コントローラは、前記温度センサに検出された前記冷却対象流体の温度に基づいて、前記モータの要求回転数を設定する。前記コントローラは、前記大気圧センサに検出された大気圧に基づいて、前記モータの目標回転数の上限値を設定する。前記コントローラは、前記要求回転数が前記上限値未満の場合は、前記要求回転数を前記目標回転数として設定する。前記コントローラは、前記要求回転数が前記上限値以上の場合は、前記上限値を前記目標回転数として設定する。前記上限値は、前記大気圧センサに検出される大気圧が第1大気圧のときよりも、前記大気圧センサに検出される大気圧が前記第1大気圧よりも低い第2大気圧のときのほうが低くなるように設定される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、ファンおよびモータの、破損および寿命低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】作業機械用冷却ファンシステム1を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す作業機械用冷却ファンシステム1の作動を示すフローチャートである。
【
図3】
図2に示す大気圧と上限値L3との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図3を参照して、作業機械用冷却ファンシステム1について説明する。
【0010】
作業機械用冷却ファンシステム1は、作業機械に用いられる。作業機械用冷却ファンシステム1が用いられる作業機械は、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばショベルやクレーンなどである。
図1に示すように、作業機械用冷却ファンシステム1は、エンジン11と、タンク13と、ポンプ15と、コントロールバルブ17と、冷却装置20と、大気圧センサ30と、コントローラ40と、を備える。
【0011】
エンジン11は、作業機械の駆動源であり、ポンプ15の駆動源である。エンジン11は、例えば内燃機関である。エンジン11は、エンジンコントロールユニット11a(ECU;Engine control unit)を備える。エンジンコントロールユニット11aは、エンジン11の作動の制御を行い、エンジン11の回転数の制御などを行う。
【0012】
タンク13(作動油タンク)は、作動油を貯える。タンク13に貯えられる作動油は、作業機械が備える油圧アクチュエータ(後述するモータ23mなど)を作動させるための油である。
【0013】
ポンプ15(油圧ポンプ)は、作動油(圧油)を油圧アクチュエータに供給する。ポンプ15は、エンジン11に接続され、エンジン11に駆動される。ポンプ15による作動油の吐出量は、エンジン11の回転数とポンプ15の容量との積に比例(または略比例)する。ポンプ15の容量は、可変である。ポンプ15が備える斜板(図示なし)の傾転角(以下「傾転」という)が大きいほど、ポンプ15の容量が大きくなり、作動油の吐出量が多くなる。
【0014】
コントロールバルブ17(油圧制御弁)は、後述するモータ23mの作動を制御する。コントロールバルブ17は、ポンプ15とモータ23mとの間(油路における間)に設けられる。コントロールバルブ17は、ポンプ15からモータ23mに供給される作動油の流量を制御する。
【0015】
冷却装置20は、冷却対象である流体(冷却対象流体)を冷却する装置である。冷却対象流体は、例えばエンジン11を冷却する冷却水(以下、単に「冷却水」ともいう)でもよく、作動油でもよい。冷却装置20は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。例えば、冷却装置20が2つ設けられる場合、冷却装置20には、第1冷却装置20Aと、第2冷却装置20Bと、がある。第1冷却装置20Aにおける冷却対象流体は、冷却水である。第2冷却装置20Bにおける冷却対象流体は、作動油である。冷却装置20は、冷却機21と、ファンドライブ23と、温度センサ25と、を備える。冷却装置20が複数設けられる場合は、複数の冷却装置20のそれぞれが、冷却機21と、ファンドライブ23と、温度センサ25と、を備える。
【0016】
冷却機21は、冷却対象流体を冷却する。冷却機21は、冷却機21の内部を流れる冷却対象流体と、冷却機21に通される冷却風との熱交換を行う熱交換器(ラジエター)である。第1冷却装置20Aが備える冷却機21を、第1冷却機21Aとし、第2冷却装置20Bが備える冷却機21を、第2冷却機21Bとする。
【0017】
ファンドライブ23(油圧ファンドライブ)は、冷却機21に冷却風を送るための装置である。第1冷却装置20Aが備えるファンドライブ23を、第1ファンドライブ23Aとし、第2冷却装置20Bが備えるファンドライブ23を、第2ファンドライブ23Bとする。ファンドライブ23は、ファン23fと、モータ23mと、を備える。
【0018】
ファン23fは、冷却機21に冷却風を送り、冷却機21に冷却風を当てる。ファン23fは、回転することで冷却風を発生させる回転ファンである。ファン23fを構成する材料は、例えば樹脂を含んでもよく、金属を含んでもよい。第1冷却装置20Aが備えるファン23fを、第1ファン23fAとし、第2冷却装置20Bが備えるファン23fを第2ファン23fBとする。
【0019】
モータ23m(ファンモータ)は、ファン23fを回転させる。モータ23mは、作動油が供給されることで回転駆動する油圧モータである。なお、モータ23mは、電動モータでもよい。以下では、モータ23mが油圧モータである場合について説明する。モータ23mに供給される作動油の流量が多いほど、モータ23mの回転数が高くなる。モータ23mの容量は、固定でもよく、可変でもよい。モータ23mに供給される作動油の流量が一定でも、モータ23mの容量が大きくなるほど、モータ23mの回転数が低くなる。第1冷却装置20Aが備えるモータ23mを、第1モータ23mAとし、第2冷却装置20Bが備えるモータ23mを、第2モータ23mBとする。
【0020】
温度センサ25は、冷却対象流体の温度(例えば水温、油温)を検出する。第1冷却装置20Aが備える温度センサ25を、第1温度センサ25Aとし、第2冷却装置20Bが備える温度センサ25を、第2温度センサ25Bとする。温度センサ25は、冷却機21の内部の冷却対象流体の温度を検出してもよい。温度センサ25は、冷却機21の外部の冷却対象流体の温度を検出してもよい。第1温度センサ25Aは、エンジン11の内部の冷却水の温度を検出してもよく、エンジン11に接続された配管を流れる冷却水の温度を検出してもよい。第2温度センサ25Bは、タンク13の内部の作動油の温度を検出してもよく、タンク13に接続された配管を流れる作動油の温度を検出してもよい。
【0021】
(冷却装置20の変形例)
冷却装置20の冷却対象流体の種類の数は、1でも複数でもよい。冷却装置20の冷却対象流体の種類が複数の場合、上記のように第1冷却装置20Aと第2冷却装置20Bとが別々に(独立して)設けられてもよく、冷却装置20の構成要素の一部が共用されてもよい。例えば、1つのファンドライブ23に対して、複数の冷却機21が設けられてもよい。具体的には例えば、ファン23fが発生させた冷却風の流れ方向に、冷却水用の第1冷却機21Aと、作動油用の第2冷却機21Bと、が並ぶように(直列的)に配置されてもよい。
【0022】
また、冷却装置20の冷却対象流体の種類が複数であり、モータ23mが複数設けられる場合、複数のモータ23mの作動の制御が独立してもよく、独立しなくてもよい。具体的には例えば、
図1に示す例では、1つのコントロールバルブ17が、第1モータ23mAと第2モータ23mBとを制御する。さらに詳しくは、ポンプ15に対して、コントロールバルブ17と、第1モータ23mAと、第2モータ23mBと、が直列的に接続される。この場合、第1モータ23mAに供給される作動油の流量と、第2モータ23mBに供給される作動油の流量とが等しい。一方、第1モータ23mAを制御するコントロールバルブ17と、第2モータ23mBを制御するコントロールバルブ17と、が別々に、ポンプ15に対して並列的に設けられてもよい(図示なし)。この場合、第1モータ23mAに供給される作動油の流量と、第2モータ23mBに供給される作動油の流量とを相違させることができる。
【0023】
大気圧センサ30は、ファン23fが発生させた冷却風の通風抵抗を検出するために設けられる。大気圧センサ30は、ファン23fの周辺の大気圧を検出する。大気圧センサ30は、ファン23fの周辺の大気圧を検出可能であれば、作業機械の内部に配置されてもよく、作業機械の外部に配置されてもよい。例えば、大気圧センサ30は、エンジン11(例えばエンジンコントロールユニット11a)に通常設けられているセンサが利用されてもよい。
【0024】
コントローラ40は、演算(判定、算出など)、各種制御(統括制御)、信号の入出力、および情報の記憶などを行う。コントローラ40には、温度センサ25および大気圧センサ30の検出値が入力される。コントローラ40は、エンジン11、ポンプ15、およびコントロールバルブ17の少なくともいずれかに指令を出力する。コントローラ40は、モータ23mの容量が可変の場合に、モータ23mに指令を出力してもよい。下記のように、コントローラ40は、モータ23mの回転数を制御する。
【0025】
(通風抵抗について)
大気圧によって、ファン23fが発生させた冷却風の通風抵抗が変わる。さらに詳しくは、ファン23fの周囲の大気圧が変化すると、ファン23fの周囲の空気密度が変化し、冷却風の通風抵抗が変化する。例えば、作業機械が低地から高地に移動(登坂)すると、ファン23fの周囲の大気圧が低下し、冷却風の通風抵抗が低下する。冷却風の通風抵抗が低下すると、モータ23mの目標回転数よりも、モータ23mの実際の回転数が大きくなる。例えば、ファンドライブ23に投入される油圧動力が一定でも、冷却風の通風抵抗が低下すると、ファン23fの回転数が増加する。すると、ファンドライブ23の回転数が許容回転数の上限に達し、ファンドライブ23が破損するおそれがある。さらに詳しくは、ファン23fが破損(バースト)するおそれや、モータ23mが破損するおそれがある。また、ファン23fやモータ23mが破損しなくても、ファン23fやモータ23mの寿命が短くなるおそれがある。そこで、作業機械用冷却ファンシステム1では、このような問題を抑制するための制御が行われる。
【0026】
(制御の対象)
ファン23fやモータ23mの回転数を直接的に検出し、この検出値に基づいてモータ23mの回転数を制御すれば、ファンドライブ23の破損や寿命低下を抑制することはできる。しかし、作業機械用冷却ファンシステム1では、ファン23fおよびモータ23mの回転数は、直接的には検出されない。具体的には、ファン23fの回転軸やモータ23mの出力軸の回転数を直接的に検出するセンサは、設けられない(いわばセンサレスシステムである)。ただし、モータ23mに供給される作動油の流量を検出するセンサなど、ファン23fの回転数を間接的に検出するセンサは、設けられてもよい。
【0027】
コントローラ40は、モータ23mの回転数に関するパラメータ、さらに詳しくはモータ23mの回転数を変えることのできるパラメータ(以下、制御対象パラメータ)を制御する。制御対象パラメータは、モータ23mに供給される作動油の流量を含んでもよい。例えば、制御対象パラメータは、ポンプ15の傾転(容量)を含んでもよく、ポンプ15の回転数(ポンプ15を駆動するエンジン11の回転数)を含んでもよく、コントロールバルブ17の開度を含んでもよい。モータ23mの容量が可変である場合は、制御対象パラメータは、モータ23mの容量を含んでもよい。制御対象パラメータの種類の数は、1でも複数でもよい。制御対象パラメータの種類が1種類の場合は、複数種類の場合よりも、制御を簡素にすることができる。
【0028】
以下では、制御対象パラメータが、ポンプ15の傾転のみである場合について説明する。以下では、エンジン11の回転数、コントロールバルブ17の開度、およびモータ23mの容量は、一定とする。ポンプ15の傾転とモータ23mの回転数との関係は、線形(1次関数)または略線形である。なお、下記の説明におけるポンプ15の傾転に関する説明を、モータ23mの回転数に関する説明に置き換えてもよい。例えば、下記の「ポンプ15の要求傾転R2の設定」を、「モータ23mの要求回転数の設定」などと置き換えてもよい。
【0029】
(制御の概要)
以下では、上記の作業機械用冷却ファンシステム1の各構成要素(コントローラ40など)については
図1を参照して説明する。
図2に、コントローラ40による制御(作業機械用冷却ファンシステム1の作動)のフローチャートを示す。コントローラ40による制御の概要(作業機械用冷却ファンシステム1の作動の概要)は、次の通りである。コントローラ40は、冷却対象流体の温度などに基づいて、ポンプ15の要求傾転R2(モータ23mの要求回転数)を設定する(ステップS10)。コントローラ40は、要求傾転R2に基づいて、ポンプ15の目標傾転N(モータ23mの目標回転数)を設定する(ステップS30)。ここで、大気圧が低いほど、モータ23mの目標回転数よりも、モータ23mの実際の回転数が大きくなりやすい。そこで、ポンプ15の目標傾転Nを、大気圧に応じた上限値L3以下に制限する(S20~S30)。以下、コントローラ40による制御の詳細を説明する。
【0030】
(ポンプ15の要求傾転R2の設定(ステップS10))
コントローラ40は、冷却機21での必要な放熱量に応じて、ポンプ15の要求傾転R2を設定する。コントローラ40は、冷却対象流体の過冷却およびオーバーヒートを抑制できるように、ポンプ15の要求傾転R2を設定する。冷却対象流体の過冷却が抑制されることで、作業機械を作動させるエネルギーを削減できてもよく、エンジン11や機器を早期に暖機できてもよい。
【0031】
要求傾転R2は、様々に設定され得る。[例1]要求傾転R2の設定に用いられるパラメータは、様々に設定可能である。[例1a]コントローラ40は、少なくとも、温度センサ25に検出された冷却対象流体の温度に基づいて、要求傾転R2を設定する。コントローラ40は、冷却対象流体の温度が高いほど、要求傾転R2を高く設定する。[例1b]コントローラ40は、作業機械に掛かる負荷の高さに基づいて、ポンプ15の要求傾転R2を設定してもよい。さらに詳しくは、作業機械に掛かる負荷が高いほど、冷却対象流体の温度が上昇しやすい。そこで、コントローラ40は、作業機械に掛かる負荷が高いほど、要求傾転R2を高く設定してもよい。[例1c]コントローラ40は、ファン23fの周囲の気温に基づいて、要求傾転R2を決定してもよい。例えば、ファン23fの周囲の気温が特定の温度よりも低い場合に、エンジン11や油機を暖機する必要性が高くなる。そこで、コントローラ40は、ファン23fの周囲の気温が特定の温度よりも低い場合は、特定の温度以上の場合に比べ、要求傾転R2を低く設定してもよい。
【0032】
[例2]要求傾転R2の設定に用いられるパラメータから、要求傾転R2の候補(例えば後述する要求傾転候補R1A、R1B)、補正値、係数などが設定されてもよい。[例2a]コントローラ40は、要求傾転R2の複数の候補(例えば要求傾転候補R1A、R2Aなど)のうち、傾転が最も大きい値を、要求傾転R2として設定してもよい。[例2b]コントローラ40は、要求傾転R2を決定するためのパラメータから、補正値を算出してもよく、係数を算出してもよい。そして、コントローラ40は、要求傾転R2の候補となる値に対して、補正値を加算や減算してもよく、係数との積を算出してもよい。
【0033】
(ポンプ15の要求傾転R2の設定(ステップS10)の具体例)
上記[例1a]および上記[例2a]の場合の具体例は、次の通りである。
【0034】
(冷却水温による要求傾転候補R1Aの設定(ステップS11A))
冷却水の水温(冷却水温)と、要求傾転候補R1Aと、の関係(マップMA)が、コントローラ40に設定される。要求傾転候補R1Aは、ポンプ15の要求傾転R2(ステップS12参照)の候補となる値である(要求傾転候補R1Bも同様)。マップMAは、具体的には、冷却水温が上がるにしたがって、徐々に(段階的に、連続的に、の少なくともいずれか)要求傾転候補R1Aが大きくなるように設定される。
図2に示すマップMAの例では、冷却水温が上がるにしたがって、要求傾転候補R1Aが段階的および連続的に大きくなる。この例では、冷却水の水温が上がるにしたがって要求傾転候補R1Aが連続的に大きくなる部分(グラフが傾斜する部分)と、冷却水の水温が上下しても要求傾転候補R1Aが一定の部分と、が組み合わされる。なお、マップMAの形状は様々に設定されてもよい。コントローラ40は、マップMAと、第1温度センサ25Aに検出された冷却水温と、に基づいて、要求傾転候補R1Aを設定(決定、算出)する。
【0035】
(作動油温による要求傾転候補R1Bの設定(ステップS11B))
作動油の油温(作動油温)と、要求傾転候補R1Bと、の関係(マップMB)が、コントローラ40に設定される。マップMBは、具体的には、マップMAと同様に、作動油温が上がるにしたがって、徐々に要求傾転候補R1Bが大きくなるように設定される。コントローラ40は、マップMBと、第2温度センサ25Bに検出された作動油温と、に基づいて、要求傾転候補R1Bを設定する。
【0036】
(要求傾転R2の設定(ステップS12))
コントローラ40は、要求傾転候補R1Aと要求傾転候補R1Bとのうち高い方を、要求傾転R2として設定する(高位選択する)。
【0037】
(上限値L3の設定(ステップS20))
コントローラ40は、ポンプ15の目標傾転Nを、上限値L3以下に制限する(ステップS30)。この上限値L3は、次のように設定される。
【0038】
上限値L3は、ファンドライブ23の破損や寿命低下を抑制できるような値に設定される。例えば、上限値L3は、モータ23mの性能(ケーシングの材質、形状、軸受の性能など)、モータ23mとファン23fとをつなぐ駆動部の性能、および、ファン23fの性能(ファン23fの材質、形状など)に基づいて設定される。
【0039】
また、上限値L3は、大気圧センサ30に検出された大気圧に基づいて設定される(ステップS20)。さらに詳しくは、上記のように、大気圧が低くなると、ファン23fが発生させた冷却風の通風抵抗が低下し、モータ23mの実際の回転数が、モータ23mの目標回転数よりも大きくなる。そこで、大気圧センサ30に検出された大気圧が、ある値(第1大気圧P1とする)のときの上限値L3よりも、第1大気圧P1よりも低い値(第2大気圧P2とする)のときの上限値L3の方が低くなるように、上限値L3が設定される。
【0040】
上限値L3は、一種類のみ設定されてもよく、複数の候補から選択されてもよい。以下では、上限値L3が、複数の候補から選択される場合について説明する。コントローラ40には、第1上限値候補L1と、第2上限値候補L2と、所定時間と、が設定される。
【0041】
第1上限値候補L1は、上限値L3の候補である。第1上限値候補L1は、ポンプ15の目標傾転Nが第1上限値候補L1に設定された状態でファンドライブ23が連続運転しても、ファンドライブ23の破損や寿命低下が生じない(または許容範囲内となる)ように設定される。第1上限値候補L1は、大気圧センサ30に検出された大気圧(以下、単に「大気圧」ともいう)に基づいて決定される。大気圧が第1大気圧P1のときの第1上限値候補L1よりも、大気圧が第2大気圧P2のときの第1上限値候補L1の方が低くなるように、第1上限値候補L1が設定される。
【0042】
図3に、大気圧と、第1上限値候補L1と、の関係(マップML1)の具体例を示す。この例では、大気圧がPa以上の領域では、第1上限値候補L1は、一定値L1aである。但し、一定値L1aは、ポンプ15の傾転の許容限度Lmax未満である。許容限度Lmaxは、例えば、モータ23mの回転数の許容限度から決まる値である。大気圧が、PaからPcまでの領域では、大気圧が低くなるにしたがって第1上限値候補L1が小さくなるように(例えば線形)、第1上限値候補L1が設定される。大気圧がPc以下の領域では、第1上限値候補L1は、一定値L1a未満の一定値L1bである。なお、マップML1の形状は、様々に設定されてもよい。例えば、
図3に示す例では、マップML1は、一定値(L1b、L1a)の部分と、線形状の傾斜部分(L1b~L1a)と、を備える。一方、マップML1は、曲線状の傾斜部分を備えてもよく、傾斜しない段状部(マップML2を参照)を備えてもよい。
【0043】
図2に示す第2上限値候補L2は、上限値L3の候補である。第2上限値候補L2の値は、第1上限値候補L1以上の値である。さらに詳しくは、任意の大気圧で、第2上限値候補L2の値は、第1上限値候補L1以上の値である。ある大気圧(例えばある大気圧以下、
図3に示す例ではPa以下)で、第2上限値候補L2の値は、第1上限値候補L1よりも大きい値である。
【0044】
第2上限値候補L2が設定される理由は、次の通りである。ポンプ15の目標傾転Nの上限値L3を、第1上限値候補L1に設定すれば、ファンドライブ23の破損や寿命低下を抑制することができる。一方で、目標傾転Nを制限しすぎると(ファン23fの回転数を制限しすぎると)、冷却対象流体がオーバーヒートし、エンジン11や油機が温度により損傷するおそれがある。そこで、コントローラ40は、所定時間内(制限時間内)だけ第2上限値候補L2を上限値L3として設定し、所定時間経過後に第1上限値候補L1を上限値L3として設定する(上限値L3を下げる)。よって、冷却対象流体のオーバーヒートを抑制しつつ、ファンドライブ23の破損や寿命低下を抑制することができる。
【0045】
第2上限値候補L2は、ポンプ15の目標傾転Nが第2上限値候補L2に設定された状態で、ファンドライブ23が所定時間内だけ運転しても、ファンドライブ23に破損や寿命低下が生じない(または許容範囲内となる)ように設定される。第2上限値候補L2は、大気圧センサ30に検出された大気圧に基づいて決定される。大気圧が第1大気圧P1のときの第2上限値候補L2よりも、大気圧が第2大気圧P2のときの第2上限値候補L2の方が低くなるように、第2上限値候補L2が設定される。
【0046】
図3に、大気圧と、第2上限値候補L2と、の関係(マップML2)の具体例を示す。この例では、大気圧がPb(閾値)以上の領域では、第2上限値候補L2は、一定値L2aである。但し、一定値L2aは、ポンプ15の傾転の許容限度Lmax未満である。一定値L2aは、一定値L1aと等しくてもよく、一定値L1a未満でもよい。大気圧がPb(閾値)未満の領域では、第2上限値候補L2は、一定値L2a未満の一定値L2bである。なお、マップML2の形状は、マップML1と同様に様々に設定されてもよい。
【0047】
上記「所定時間」は、
図2に示す目標傾転Nが第2上限値候補L2に設定された状態で、ファンドライブ23が所定時間内だけ運転しても、ファンドライブ23に破損や寿命低下が生じない(または許容範囲内となる)ように設定される。所定時間は、一定値でもよく、何らかの条件に応じて変えられてもよい。コントローラ40は、ファンドライブ23の温度に基づいて所定時間を変化させてもよく、例えば、ファンドライブ23の温度が高いほど所定時間を短く設定してもよい。ファンドライブ23の温度が上昇すると、熱膨張によりクリアランスが減り、ファンドライブ23の破損や寿命低下が生じやすくなる。そのため、ファンドライブ23の温度が高いほど、所定時間が短く設定されることが好ましい。
【0048】
(目標傾転Nの設定(ステップS30))
目標傾転Nの設定(ステップS30)の概要は、次の通りである。コントローラ40は、要求傾転R2(ステップS12参照)が上限値L3未満の場合は、要求傾転R2を、目標傾転Nとして設定する(目標傾転Nに要求傾転R2を代入する)(ステップS32、S34参照)。コントローラ40は、要求傾転R2が上限値L3以上の場合は、上限値L3を、目標傾転Nとして設定する(目標傾転Nを上限値L3で制限する)(ステップS35、S36参照)。
【0049】
上限値L3が複数の候補から選択される場合の、目標傾転Nの設定(ステップS30)の具体例は、次の通りである。コントローラ40は、要求傾転R2が第1上限値候補L1未満か否かを判定する(ステップS31)。要求傾転R2が第1上限値候補L1未満の場合(ステップS31でYESの場合)、コントローラ40は、要求傾転R2を目標傾転Nとして設定する(ステップS32)。この場合、第1上限値候補L1が上限値L3として設定されている。そして、コントローラ40は、設定した目標傾転Nに基づいて、ポンプ15の傾転(制御対象パラメータ)を制御する(下記のステップS34、S35、およびS36も同様)。次に、フローは、スタートに戻る。
【0050】
要求傾転R2が第1上限値候補L1以上の場合(ステップS31でNOの場合)、コントローラ40は、所定時間だけ第2上限値候補L2を上限値L3として設定する。この場合、コントローラ40は、要求傾転R2が第2上限値候補L2未満か否かを判定する(ステップS33)。要求傾転R2が、第1上限値候補L1以上、かつ、第2上限値候補L2未満である場合(ステップS33でYESの場合)、コントローラ40は、所定時間内だけ、要求傾転R2を目標傾転Nとして設定する(ステップS34)。要求傾転R2が、第2上限値候補L2以上である場合(S33でNOの場合)、コントローラ40は、所定時間内だけ、第2上限値候補L2を目標傾転Nとして設定する(ステップS35)。なお、所定時間中に、要求傾転R2が第2上限値候補L2未満になった場合は、コントローラ40は、要求傾転R2を目標傾転Nとして設定してもよい。ステップS34またはステップS35の後、フローはS36に進む。
【0051】
上記「所定時間」の経過後、コントローラ40は、上限値L3を、第2上限値候補L2から第1上限値候補L1に下げる。具体的には、コントローラ40は、第1上限値候補L1を上限値L3として設定する(ステップS35)。次に、フローは、スタートに戻る。
【0052】
(上限値L3の更新)
2回目以降の処理(フローがスタートに戻った後)では、大気圧に応じた上限値L3が既に設定されているため、上限値L3の設定(ステップS20)の処理は、行われてもよく、行われなくてもよい。上限値L3の設定や更新のタイミングは、例えば次の通りである。
【0053】
[例4]エンジン11の始動時(作業機械の起動時)には、大気圧に基づく上限値L3の設定が行われる。[例5]エンジン11の始動から停止(作業機械の稼働終了)までの間に、上限値L3の更新が行われてもよい。[例5a]上限値L3の更新は、所定周期ごとに行われてもよい。さらに詳しくは、コントローラ40は、大気圧センサ30に検出される大気圧を所定周期ごとに取得し、所定周期ごとに取得した大気圧に応じて上限値L3を更新してもよい。これにより、エンジン11の始動から停止までの間に大気圧が変化しても、大気圧の変化に応じた(追従した)適切な上限値L3で、ポンプ15の傾転を制限することができる。所定周期は、任意の時間に設定され、例えば10分でもよく、1時間でもよい。[例5b]上限値L3の更新を行う条件には、時間以外の条件(例えば高度の変化量、走行距離など)が含まれてもよい。
【0054】
(効果)
図1に示す作業機械用冷却ファンシステム1による効果は、次の通りである。
【0055】
(第1の発明の効果)
作業機械用冷却ファンシステム1は、冷却機21と、ファン23fと、モータ23mと、温度センサ25と、大気圧センサ30と、コントローラ40と、を備える。冷却機21は、冷却対象流体を冷却する。ファン23fは、冷却機21に冷却風を送る。モータ23mは、ファン23fを回転させる。温度センサ25は、冷却対象流体の温度を検出する。大気圧センサ30は、ファン23fの周辺の大気圧を検出する。コントローラ40には、温度センサ25および大気圧センサ30の検出値が入力される。コントローラ40は、モータ23mの作動を制御する。
【0056】
[構成1-1]コントローラ40は、温度センサ25に検出された冷却対象流体の温度に基づいて、ポンプ15の要求傾転R2(モータ23mの要求回転数)を設定する。コントローラ40は、大気圧センサ30に検出された大気圧に基づいて、ポンプ15の目標傾転Nの上限値L3(
図2参照)(モータ23mの目標回転数の上限値)を設定する。コントローラ40は、要求傾転R2が上限値L3未満(要求回転数が上限値未満)の場合は、要求傾転R2を目標傾転Nとして設定する(要求回転数を目標回転数として設定する)(
図2のステップS32、S34参照)。コントローラ40は、要求傾転R2が上限値L3以上(要求回転数が上限値以上)の場合は、上限値L3を目標傾転Nとして設定する(上限値を目標回転数として設定する)(
図2のステップS35、S36参照)。
【0057】
[構成1-2]上限値L3(
図2のステップS20参照)は、大気圧センサ30に検出される大気圧が第1大気圧P1のときよりも、大気圧センサ30に検出される大気圧が第2大気圧P2のときのほうが低くなるように設定される。第2大気圧P2は、第1大気圧P1よりも低い。
【0058】
作業機械用冷却ファンシステム1では、上記[構成1-1]のように、冷却対象流体の温度に基づいて、要求傾転R2が(モータ23mの要求回転数が)設定される(
図2のステップS10参照)。そして、要求傾転R2が上限値L3で制限された値が、ポンプ15の目標傾転N(モータ23mの目標回転数)として設定される(
図2のステップS30参照)。ここで、ファン23fの周囲の大気圧が低いほど、ファン23fが発生させる冷却風の通風抵抗が低くなり、ファン23fおよびモータ23m(ファンドライブ23)の回転数が許容回転数を超えるおそれがある。すると、モータ23mおよびファン23fの破損および寿命低下が生じるおそれがある。そこで、作業機械用冷却ファンシステム1は、上記[構成1-2]を備える。この構成では、大気圧センサ30に検出された大気圧が第1大気圧P1のとき(大気圧が高いとき)よりも第2大気圧P2のとき(大気圧が低いとき)の方が、上限値L3が低く設定される(
図2のステップS20参照)。その結果、大気圧が第1大気圧P1のときよりも第2大気圧P2のときの方が、モータ23mおよびファン23fの回転数が制限される。したがって、モータ23mおよびファン23fの破損および寿命低下を抑制することができる。
【0059】
(第2の発明の効果)
[構成2]コントローラ40には、第1上限値候補L1と、第2上限値候補L2と、所定時間と、が設定される(
図2のステップS20参照)。第1上限値候補L1は、上限値L3の候補である。第2上限値候補L2は、上限値L3の候補であって第1上限値候補L1以上の値である。コントローラ40は、要求傾転R2(要求回転数)が第1上限値候補L1よりも大きい場合、所定時間内は第2上限値候補L2を上限値L3として設定する(
図2のステップS34、S35参照)。コントローラ40は、所定時間経過後は、第1上限値候補L1を上限値L3として設定する(
図2のステップS36参照)。
【0060】
作業機械用冷却ファンシステム1では、上記[構成1-1]のように、冷却対象流体の温度に基づいて、要求傾転R2が設定される。この要求傾転R2に対して上限値L3が低すぎると、モータ23mの回転数が制限され過ぎて、ファン23fの冷却性能を確保できない場合がある。そこで、作業機械用冷却ファンシステム1は、上記[構成2]を備える。よって、所定時間内は、第1上限値候補L1以上の値の第2上限値候補L2が、上限値L3として設定される。よって、ファン23fの冷却性能を確保することができる。また、所定時間経過後は、第2上限値候補L2以下の値である第1上限値候補L1が、上限値L3として設定される。よって、ファン23fおよびモータ23mの破損および寿命低下を抑制することができる。
【0061】
(第3の発明の効果)
[構成3]コントローラ40は、大気圧センサ30に検出される大気圧を所定周期ごとに取得し、取得した大気圧に応じて上限値L3を更新する(
図2のステップS20参照)。
【0062】
上記[構成3]により、大気圧が変化した場合でも、変化した大気圧に応じた(追従した)、適切な上限値L3を設定することができる。大気圧の低下に応じて上限値L3を下げた場合、ファン23fおよびモータ23mの破損を、より確実に抑制することができる。大気圧の上昇に応じて上限値L3を上げた場合、ファン23fおよびモータ23mの回転数を制限しすぎることを抑制できるので、ファン23fの冷却性能を確保することができる。
【0063】
(第4の発明の効果)
[構成4]モータ23mは、油圧モータである。
【0064】
上記[構成4]により、次の効果が得られる。通常、油圧モータの許容回転数は、電動モータの許容回転数よりも小さい。そのため、通常、油圧モータは、電動モータに比べ、高回転数による破損や寿命低下が生じやすい。一方、作業機械用冷却ファンシステム1は、上記[構成1-1]および[構成1-2]を備えるので、モータ23mが油圧モータであっても、モータ23mの破損および寿命低下を抑制することができる。
【0065】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、
図1に示すブロック図の各構成要素の接続は変更されてもよい。例えば、
図2に示すフローチャートのステップの順序が変更されてもよく、ステップの一部が行われなくてもよい。例えば、上記「所定時間」や「所定周期」などの値は、一定でもよく、手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じて自動的に変えられてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0066】
上記実施形態では、上限値L3の候補が2種類(第1上限値候補L1および第2上限値候補L2)であった。一方、上限値L3の候補は、3種類以上設定されてもよく、上記「所定時間」が2種類以上設定されてもよい。また、上限値L3は、複数の候補から選択されなくてもよい。この場合、第1上限値候補L1が上限値L3であり、第2上限値候補L2は設定されない。
【符号の説明】
【0067】
1 作業機械用冷却ファンシステム
21 冷却機
23f ファン
23m モータ
25 温度センサ
30 大気圧センサ
40 コントローラ
L1 第1上限値候補
L2 第2上限値候補
L3 目標傾転Nの上限値(目標回転数の上限値)
N 目標傾転(目標回転数)
P1 第1大気圧
P2 第2大気圧
R2 要求傾転(要求回転数)