(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20231011BHJP
B65H 7/04 20060101ALI20231011BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231011BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B65H1/14 322B
B65H7/04
H04N1/00 567C
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2019195426
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳大
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-062761(JP,A)
【文献】特開昭63-202523(JP,A)
【文献】米国特許第04925177(US,A)
【文献】特開2013-166643(JP,A)
【文献】特開平11-217128(JP,A)
【文献】特開昭61-162434(JP,A)
【文献】特開昭58-011438(JP,A)
【文献】特開平03-238242(JP,A)
【文献】特開平03-051232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
B65H 7/04
H04N 1/00
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送対象のシートを支持するシートトレイと、
前記シートトレイに支持されるシートの積載枚数に応じて前記シートトレイを上下方向に移動させるトレイ駆動機構と、
前記シートトレイから給送されるシートを案内する搬送ガイドと、
前記シートトレイに支持されたシートを前記搬送ガイドに沿って給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送されるシートを1枚ずつに分離しつつ前記搬送ガイドに沿って搬送する分離部と、
前記分離部によって搬送されるシートを引き継いで搬送する搬送部と、
前記給送ローラ、前記分離部及び前記搬送部を駆動する搬送駆動機構と、
前記トレイ駆動機構及び前記搬送駆動機構を制御する制御部と、
を備えたシート搬送装置であって、
前記給送ローラと前記分離部との間に設けられ、前記シートトレイに支持されるシートの有無を検知するシートセンサをさらに備え、
前記搬送駆動機構は、前記給送ローラ及び前記分離部に駆動力を伝達する経路に設けられた伝達部及び被伝達部を有するとともに、前記搬送部によるシートの搬送速度を前記給送ローラ及び前記分離部によるシートの搬送速度よりも速くするように構成され、
前記伝達部は、伝達軸心周りに回転駆動され、
前記被伝達部は、前記伝達軸心周りに回転可能、かつ前記伝達軸心の周方向において前記伝達部に当接可能であり、前記伝達部に対して1周未満遅れて従動回転し、
前記制御部は、前記シートトレイに支持されるシートが無くなったことを前記シートセンサが検知した後、特定動作として、前記被伝達部が前記伝達部に当接されて従動回転を始める前に前記トレイ駆動機構を制御して前記シートトレイを下向きに移動させる動作を実行するように構成されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記給送ローラを回転可能に支持するとともに、揺動軸心周りに揺動可能な給送ローラ保持部と、
前記給送ローラ保持部の揺動角度を制限することで、前記給送ローラの下限位置を決める制限部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記特定動作を実行するときに、前記シートトレイを前記下限位置よりも下方に移動させる請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シートトレイは、前記下限位置よりも下方の位置であって、前記シートトレイにシートを支持させるための原点位置まで移動可能であり、
前記制御部は、前記特定動作を実行するときに、前記シートトレイを前記原点位置に移動させる請求
項2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記シートトレイに支持される最小サイズのシートが前記分離部を通過してから前記被伝達部が前記伝達部に当接されて従動回転を始めるまでの所要時間に係る情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部から読み出した前記所要時間に係る情報に基づいて前記特定動作を開始する請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記搬送駆動機構を制御して、前記搬送部を第1処理速度で駆動する高速処理モードと、前記搬送部を前記第1処理速度よりも遅い第2処理速度で駆動する低速処理モードと、を選択可能であり、
前記制御部は、前記高速処理モードを選択した場合における前記特定動作を実行するときに前記シートトレイを下向きに移動させる第1下降速度に対して、前記低速処理モードを選択した場合における前記特定動作を実行するときに前記シートトレイを下向きに移動させる第2下降速度を遅くする請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のシート搬送装置の一例である原稿給紙装置が開示されている。この原稿給紙装置は、原稿積載台、搬送ガイド、給紙ベルト、分離コロ、搬送ローラ及び図示しない制御部を備えている。
【0003】
原稿積載台は、給送対象の原稿を支持する。搬送ガイドは、原稿積載台から給送される原稿を案内する。制御部は、図示しないソレノイドを作動させて原稿積載台の底板を上下方向に移動させる。また、制御部は、給紙ベルト及び搬送ローラを作動させる。
【0004】
給紙ベルトは、ソレノイドが原稿積載台の底板を上昇させることによって原稿積載台に支持された原稿の先端に当接し、その原稿を搬送ガイドに沿って給送する。分離コロは、給紙ベルトによって給送される原稿を1枚ずつに分離する。搬送ローラは、給紙ベルトによって給送される原稿を引き継いで搬送する。
【0005】
また、この原稿給紙装置は、給紙センサ及びレジストローラをさらに備えている。給紙センサは、分離コロと搬送ローラとの間に配置され、搬送される原稿の有無を検知する。レジストローラは、搬送ローラと排紙ローラとの間に配置され、搬送される原稿の有無を検知する。
【0006】
上記構成である従来の原稿給紙装置では、原稿積載台の底板の昇降のタイミングの実施形態として、給紙ベルトによって給送される最終原稿の後端が給紙センサを通過したときに制御部がソレノイドによって底板を下降させる。
【0007】
また、底板の昇降のタイミングの別の実施形態として、1枚ずつ給送される原稿の先端が給紙センサを通過したときに底板を下降させ、次にその原稿の後端が給紙センサ又はレジストセンサを通過したときに底板を上昇させる昇降動作を制御部が繰り返し、最終原稿の後端が給紙センサ又はレジストセンサを通過したときには制御部が底板を下降させたままとする。
【0008】
こうして、この原稿給紙装置では、最終原稿が搬送される途中から、又は搬送された後に、底板を給紙ベルトから離間させることで、作動中の給紙ベルトが原稿積載台の底板に当接しながら滑って磨耗することを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来の原稿給紙装置では、給紙ベルトによって給送される最終原稿の後端が給紙センサを通過したときに制御部がソレノイドによって底板を下降させる場合、底板から離れた給紙センサが最終原稿の後端を検知するまで、作動中の給紙ベルトが原稿積載台の底板に当接しながら滑り続けるので、給紙ベルトが底板に対して滑るときの異音と、給紙ベルトの磨耗とを確実性高く抑制することが難しい。
【0011】
また、最終原稿の後端が給紙センサ又はレジストセンサを通過する前において原稿1枚毎に底板の昇降動作を繰り返す場合も、上昇する底板に支持される原稿が給紙ベルトに当接するときに、静止した原稿と作動中の給紙ベルトとの間に滑りが発生し易いので、給紙ベルトが原稿に対して滑るときの異音と、給紙ベルトの摩耗とを確実性高く抑制することが難しい。
【0012】
その結果、この原稿給紙装置では、騒音の抑制及び耐久性の向上を実現することが難しいという問題がある。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、騒音の抑制及び耐久性の向上を実現できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のシート搬送装置は、給送対象のシートを支持するシートトレイと、
前記シートトレイに支持されるシートの積載枚数に応じて前記シートトレイを上下方向に移動させるトレイ駆動機構と、
前記シートトレイから給送されるシートを案内する搬送ガイドと、
前記シートトレイに支持されたシートを前記搬送ガイドに沿って給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送されるシートを1枚ずつに分離しつつ前記搬送ガイドに沿って搬送する分離部と、
前記分離部によって搬送されるシートを引き継いで搬送する搬送部と、
前記給送ローラ、前記分離部及び前記搬送部を駆動する搬送駆動機構と、
前記トレイ駆動機構及び前記搬送駆動機構を制御する制御部と、
を備えたシート搬送装置であって、
前記給送ローラと前記分離部との間に設けられ、前記シートトレイに支持されるシートの有無を検知するシートセンサをさらに備え、
前記搬送駆動機構は、前記給送ローラ及び前記分離部に駆動力を伝達する経路に設けられた伝達部及び被伝達部を有するとともに、前記搬送部によるシートの搬送速度を前記給送ローラ及び前記分離部によるシートの搬送速度よりも速くするように構成され、
前記伝達部は、伝達軸心周りに回転駆動され、
前記被伝達部は、前記伝達軸心周りに回転可能、かつ前記伝達軸心の周方向において前記伝達部に当接可能であり、前記伝達部に対して1周未満遅れて従動回転し、
前記制御部は、前記シートトレイに支持されるシートが無くなったことを前記シートセンサが検知した後、特定動作として、前記被伝達部が前記伝達部に当接されて従動回転を始める前に前記トレイ駆動機構を制御して前記シートトレイを下向きに移動させる動作を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のシート搬送装置では、搬送駆動機構が伝達部及び被伝達部を有するとともに、搬送部によるシートの搬送速度を給送ローラ及び分離部によるシートの搬送速度よりも速くするように構成されていることにより、分離部によって搬送されるシートを搬送部が引き継ぎ始めたときに、給送ローラ及び分離部がそのシートに追従して早回りし、被伝達部が伝達部に対して先行する。次に、そのシートが分離部から離れると、給送ローラ及び分離部が停止し、伝達部が被伝達部を追いかける。そして、伝達部が被伝達部に追いつき、被伝達部が伝達部に当接されて従動回転を始めると、給送ローラ及び分離部が再び回転し、次のシートが給送される。こうして、搬送されるシートの間隔が確保される。この際、静止するシートと、停止した状態から再び回転する給送ローラとの間に滑りが発生し難いので、給送ローラがシートに対して滑るときの異音と、給送ローラの摩耗とを確実性高く抑制できる。
【0016】
また、このシート搬送装置では、制御部は、シートトレイに支持されるシートが無くなったことをシートセンサが検知した後、特定動作として、被伝達部が伝達部に当接されて従動回転を始める前にトレイ駆動機構を制御してシートトレイを下向きに移動させる動作を実行する。これにより、シートトレイに対する給送ローラの接圧が低下し、又はゼロになるので、最後のシートの搬送が完了する前に給送ローラが再び回転しても、給送ローラがシートトレイに対して滑るときの異音と、給送ローラの摩耗とを確実性高く抑制できる。
【0017】
したがって、本発明のシート搬送装置では、騒音の抑制及び耐久性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】実施例の画像読取装置の部分断面図であって、原点位置にある可動板等を示す図である。
【
図4】
図3と同様の部分断面図であって、原点位置から給送位置に移動した可動板等を示す図である。
【
図5】
図3と同様の部分断面図であって、シートの積載枚数の減少に応じて給送位置を維持するように上向きに移動する可動板等を示す図である。
【
図6】搬送駆動源、第1駆動列及び第2駆動列等を示す模式上面図である。
【
図7】(a)~(c)はそれぞれ、
図6のA-A断面を示す断面図であって、伝達部と被伝達部との位置関係の変化を説明する図である。
【
図8】シートトレイに支持された最後のシートが搬送されて特定動作が実行されるときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。
図1では、操作パネル8Pが配置される側を装置の前方と規定し、操作パネル8Pに向かった場合に左に来る側を左方と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図3以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0021】
<全体構成>
図1~
図3に示すように、画像読取装置1は、本体部8と、本体部8の上側に配置された開閉部9とを備えている。本体部8は、扁平な略箱状体である。
図1に示すように、本体部8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが設けられている。本体部8内の下部分には、画像形成ユニット5が収容されている。画像形成ユニット5は、インクジェット方式又はレーザ方式等によりシートに画像を形成する。
【0022】
図3に示すように、本体部8内の上部分には、読取ユニット3が設けられている。読取ユニット3は、原稿の画像を読み取る際に使用される。
【0023】
開閉部9には、シートトレイ91、排出トレイ96及び自動搬送機構4が設けられている。シートトレイ91及び排出トレイ96は、開閉部9の右部分に設けられている。
図3~
図5に示すように、シートトレイ91は、給送対象のシートSHを支持する。自動搬送機構4は、シートトレイ91に対してシートSHの搬送方向D1の下流側に設けられた搬送ガイド30を含んでいる。搬送ガイド30に案内されて搬送されるシートSHの搬送方向D1は、シートトレイ91から左向きに進み、開閉部9の左端部側で下向きにUターンし、排出トレイ96まで右向きに進む方向である。
【0024】
自動搬送機構4は、シートトレイ91に支持されたシートSHを搬送ガイド30に沿って搬送方向D1に順次搬送し、排出トレイ96に排出しながら、その搬送途中のシートSHの画像を読取ユニット3に読み取らせる際に使用される。
【0025】
図2に示すように、本体部8内には、制御部7及び記憶部7Mが収容されている。制御部7は、CPU、ROM、RAMを主とするマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが画像読取装置1の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAMは、CPUが上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号を一時的に記録する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。制御部7は、画像形成ユニット5、読取ユニット3、自動搬送機構4及び操作パネル8P等を制御する。
【0026】
記憶部7Mは、ハードディスクドライブやメモリカードのような制御部7とは別体の外部記憶装置であってもよいし、制御部7に内蔵された不揮発性メモリ等であってもよい。記憶部7Mは、制御部7からの書き込み指令によって、各種情報や、上記プログラムを実行するための設定パラメータ等を長期的に記憶するとともに、制御部7からの読み出し指令によって、それらの情報を制御部7に伝達する長期記憶領域として使用される。
【0027】
図3に示すように、本体部8の上面にはプラテンガラスが配設され、そのプラテンガラスの上面によって大面積の原稿支持面8Aが形成されている。また、本体部8の上面における原稿支持面8Aよりも左方には別のプラテンガラスが配設され、その別のプラテンガラスの上面によって、前後方向に細長い読取面8Bが形成されている。
【0028】
原稿支持面8Aは、静止した状態の原稿の画像を読取ユニット3が読み取る際に、その原稿を下から支持する。読取対象の原稿には、用紙、OHPシート等であるシートの他、書籍等が含まれる。
【0029】
原稿支持面8Aは、静止した状態の原稿の画像を読取ユニット3が読み取る際に、その原稿を下から支持する。読取対象の原稿には、用紙、OHPシート等であるシートの他、書籍等が含まれる。
【0030】
読取面8Bは、自動搬送機構4によって1枚ずつ搬送されるシートSHの画像を読取ユニット3が読み取る際に、その搬送されるシートSHに下から接触する。本体部8の上面における原稿支持面8Aと読取面8Bとの間には、ガイド凸部8Hが設けられている。ガイド凸部8Hは、読取面8Bに接触しながら搬送されるシートSHをすくい上げて右向きに上り傾斜するように案内する。
【0031】
なお、本実施例においては、原稿支持面8Aを使用して画像が読み取られる対象を原稿と記載し、自動搬送機構4により搬送しながら画像が読み取られる対象をシートと記載する。原稿とシートとは、実質的に同じものであってもよい。
【0032】
図1に示すように、開閉部9は、本体部8の後端部に配設された図示しないヒンジによって、左右方向に延びる開閉軸心X9周りに揺動可能に支持されている。
図3に示すように、開閉部9は、閉じた状態では原稿支持面8A及び読取面8Bを上方から覆っている。図示は省略するが、開閉部9は、その前端部が上方かつ後方に変位するように開閉軸心X9周りに揺動することにより、原稿支持面8A及び読取面8Bを露出させる開放位置に変位する。これにより、ユーザは、読取対象の原稿を原稿支持面8Aに支持させることができる。
【0033】
なお、開閉部9の構成や内部構造等について説明する際には、上下方向及び前後方向について、閉じた状態の開閉部9の姿勢を基準とする。
【0034】
読取ユニット3は、
図2及び
図3に示すように本体部8内の上部分に収容された読取センサ3Sと、
図2に示す走査機構駆動源3Mと、走査機構駆動源3Mに駆動される図示しない走査機構とを有している。読取センサ3Sとしては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが使用される。
【0035】
図3に示すように、読取センサ3Sは、原稿支持面8A及び読取面8Bの下方に位置している。図示しない走査機構は、原稿支持面8Aに支持される原稿の画像を読み取る際に走査機構駆動源3Mによって駆動され、読取センサ3Sを本体部8内における原稿支持面8Aの下方で左右方向に往復動させる。また、図示しない走査機構は、自動搬送機構4によって搬送されるシートSHの画像を読取センサ3Sが読み取る際に走査機構駆動源3Mによって駆動され、読取センサ3Sを本体部8内における読取面8Bの下で停止させる。読取センサ3Sが読取面8Bの下で停止する位置は、予め定められた静止読取位置である。
【0036】
<ベース部材、第1シュート部材、第2シュート部材及びカバー部材の構成>
開閉部9は、ベース部材39、第1シュート部材35、第2シュート部材37及びカバー部材38を備えている。
【0037】
ベース部材39は、開閉部9の底壁を形成している。ベース部材39の右部分には、排出トレイ96が形成されている。また、ベース部材39の左部分には、読取面8B及びガイド凸部8Hに対向する領域が略矩形状に切り欠かれてなる矩形穴39Hが形成されている。
【0038】
ベース部材39における矩形穴39Hよりも左方に位置する部分には、搬送面39G1が形成されている。搬送面39G1の左端部は、下向きから向きを変えて右向きに下り傾斜するように湾曲している。そして、搬送面39G1は、矩形穴39Hの左端縁まで下り傾斜している。
【0039】
ベース部材39における矩形穴39Hよりも右方に位置する部分には、搬送面39G2が形成されている。搬送面39G2は、ガイド凸部8Hに隣接する位置から右向きに上り傾斜している。
【0040】
第2シュート部材37は、ベース部材39の左部分の上方に配設されている。第2シュート部材37には、押圧部材保持部37F及び案内面37G1、37G2が形成されている。
【0041】
押圧部材保持部37Fは、読取面8Bに対向する位置で上向きに凹む凹部である。押圧部材保持部37Fには、押圧部材37Pが上下方向に変位可能に保持されている。押圧部材37Pは、読取面8Bに接触しながら搬送されるシートSHを上から押圧して、そのシートSHが読取面8Bから浮き上がることを抑制する。
【0042】
案内面37G1は、押圧部材保持部37Fよりも左方に位置している。案内面37G1の左端部は、ベース部材39の搬送面39G1の左端部に沿って湾曲している。そして、案内面37G1は、ベース部材39の搬送面39G1の下り傾斜する部分に沿って、右向きに下り傾斜している。
【0043】
案内面37G1における右向きに下り傾斜する部分の途中には、第2センサS2が設けられている。第2センサS2は、搬送ガイド30に沿って搬送されるシートSHを検知していないときには、OFF信号を検知信号として制御部7に伝達する。そして、第2センサS2は、搬送ガイド30に沿って搬送されるシートSHの先端を検知したときにOFF信号からON信号に切り替わり、その搬送されるシートSHが第2センサS2を完全に通過するまで、ON信号を検知信号として制御部7に伝達する。そして、その搬送されるシートSHが第2センサS2を完全に通過した後、OFF信号を検知信号として制御部7に伝達する。
【0044】
案内面37G2は、押圧部材保持部37Fよりも右方に位置している。案内面37G2は、本体部8のガイド凸部8Hと、ベース部材39の搬送面39G2とに沿って右向きに上り傾斜している。
【0045】
第1シュート部材35は、第2シュート部材37の上方に配設されている。第1シュート部材35には、搬送面36及び規制面60が形成されている。
【0046】
搬送面36は、シートトレイ91に対して搬送方向D1の下流側に位置して左向きに緩やかに上り傾斜するように延びている。搬送面36における搬送方向D1の上流側の端部、すなわち右端部を搬送端部36Eとする。搬送面36の左端部は、左向きから下向きに向きを変えるように湾曲している。
【0047】
規制面60は、搬送面36の搬送端部36Eから搬送方向D1と交差するように下向きに延びており、シートトレイ91に支持されるシートSHの先端縁に当接可能である。規制面60の下端は、搬送面36の搬送端部36Eよりも下方かつ右方に位置している。
【0048】
カバー部材38は、第1シュート部材35の上方に配設されている。カバー部材38には、下向きに突出する複数のリブ38Rの下端縁からなる案内面38Gが形成されている。案内面38Gの右端部は、第1シュート部材35における搬送面36の搬送端部36Eよりも左方にずれた位置で搬送面36に上から対向している。案内面38Gは、第1シュート部材35の搬送面36に沿って左向きに緩やかに上り傾斜するように延びている。案内面38Gの左端部は、第1シュート部材35の搬送面36の左端部に沿って湾曲している。
【0049】
第1シュート部材35の搬送面36及び規制面60と、カバー部材38の案内面38Gと、ベース部材39の搬送面39G1、39G2と、第2シュート部材27の案内面37G1、37G2とによって、搬送ガイド30が構成されている。
【0050】
搬送面36、39G1、39G2及び案内面38G、37G1、37G2は、搬送方向D1に沿って延びており、シートトレイ91から排出トレイ96に向けてシートSHを搬送するための搬送経路を規定している。
【0051】
<シートトレイの構成>
図1及び
図3に示すように、シートトレイ91は、開閉部9の前端部側及び後端部側にそれぞれ配置された図示しないサイドフレームに支持されることにより、排出トレイ96よりも上方の位置で、排出トレイ96に重なるように設けられている。
【0052】
シートトレイ91は、シートトレイ本体92及び可動板50を有している。シートトレイ本体92は、開閉部9の右端部側から左向きに緩やかに下り傾斜している。可動板50は、シートトレイ本体92の左端部に隣接するように配置されている。可動板50は、第1シュート部材35の規制面60に向かって略平板状に延びている。
【0053】
可動板50の左部分は、カバー部材38の右部分に上から覆われている。シートトレイ91は、シートトレイ本体92及び可動板50によって、給送対象のシートSHを支持する。
【0054】
図3~
図5に示すように、可動板50は、前後方向に延びる回動軸心X50周りに回動可能に図示しないサイドフレームに支持されている。つまり、本実施例では、シートトレイ91は、その一部を構成する可動板50の回動によって上下方向に移動可能となっている。
【0055】
可動板50は、対向端部50Eを有している。対向端部50Eは、可動板50における搬送方向D1の下流側の端部であって、規制面60に対向している。
【0056】
対向端部50Eは、可動板50が
図3に示す位置にある状態では、規制面60の下端側に対向する。対向端部50Eは、可動板50が
図5に示す位置にある状態では、搬送面36の搬送端部36E側に対向する。つまり、対向端部50Eは、可動板50の回動にかかわらず、規制面60に対向する状態が維持される。
【0057】
図3に示す可動板50の位置は、原点位置である。規制面60の下端の近傍には、原点センサ59が設けられている。原点センサ59は、可動板50が原点位置にあることを検知したときにON信号を検知信号として制御部7に伝達する。その一方、4及び
図5に示すように、原点センサ59は、可動板50が原点位置から上向きに移動したときにOFF信号を検知信号として制御部7に伝達する。
【0058】
図1及び
図3に示すように、可動板50上には、2つの幅規制ガイド59A、59Bがそれぞれ前後方向にスライド可能に設けられている。前方の幅規制ガイド59Aと後方の幅規制ガイド59Bとが互いに接近又は離間することにより、シートトレイ91に支持されるサイズの異なる複数種類のシートSHを前後から挟む。これにより、様々なサイズのシートSHをシートトレイ91における幅方向の中央部を基準として位置決めできる。
【0059】
<シートセンサの構成>
図3に示すように、自動搬送機構4は、シートトレイ91に支持されるシートSHの有無を検知するシートセンサ58を有している。シートセンサ58は、アクチュエータ57及びセンサ本体58Aを含み、後述する給送ローラ41と分離ローラ42との間に設けられている。
【0060】
アクチュエータ57の下端部は、規制面60の下端よりも下方かつ左方において前後方向に延びる揺動軸心X57周りに揺動可能に支持されている。アクチュエータ57が揺動することにより、その上端部は、
図3に符号57(57A)、57(57B)、57(57C)で示すように、後述する給送ローラ41と分離ローラ42の間で左右方向に移動する。センサ本体58Aは、アクチュエータ57の下端部に下から対向する位置に配置され、アクチュエータ57の位置を検知する。
【0061】
シートトレイ91に支持されるシートSHが無い場合、アクチュエータ57(57A)は、図示しない付勢バネに付勢されて規制面60からシートトレイ91の可動板50側にはみ出している。センサ本体58Aは、そのアクチュエータ57(57A)の位置を検知して、ON信号を検知信号として制御部7に伝達する。
【0062】
シートトレイ91に支持されるシートSHが搬送ガイド30に向かって給送されない状態では、アクチュエータ57(57B)は、シートトレイ91に支持されるシートSHの先端に押されて左向きに揺動し、規制面60からはみ出さない状態となる。アクチュエータ57(57B)の上端部は、搬送面36から上向きに突出している。センサ本体58Aは、そのアクチュエータ57(57B)の位置を検知して、OFF信号を検知信号として制御部7に伝達する。
【0063】
シートトレイ91に支持されるシートSHが搬送ガイド30に向かって給送される状態では、アクチュエータ57(57C)は、給送されるシートSHに押し下げられながら左向きに揺動し、搬送面36から突出しない状態、すなわちシートSHの搬送を阻害しない状態となる。センサ本体58Aは、そのアクチュエータ57(57C)の位置を検知して、OFF信号を検知信号として制御部7に伝達する。
【0064】
シートトレイ91に支持されるシートSHが全て給送されて後述する分離ローラ42を通過し、シートトレイ91に支持されるシートSHが無くなると、アクチュエータ57(57C)は、図示しない付勢バネに付勢されて直ちに右向きに揺動し、
図3に符号57(57A)で示す位置に復帰する。センサ本体58Aは、そのアクチュエータ57(57A)の位置を検知して、ON信号を検知信号として制御部7に伝達する。
【0065】
<トレイ駆動機構の構成>
自動搬送機構4は、シートトレイ91に支持されるシートSHの積載枚数に応じてシートトレイ91の可動板50を上下方向に移動させるためのトレイ駆動機構80を有している。トレイ駆動機構80は、可動板50の下面側に配置されている。トレイ駆動機構80は、トレイ駆動源M1と、リンクレバー89と、トレイ駆動源M1の駆動力をリンクレバー89に伝達する図示しない複数のギヤとを含んでいる。
【0066】
トレイ駆動源M1は、制御部7に制御されて正転又は逆転し、駆動力を発生する。本実施例では、制御部7は、トレイ駆動源M1に装着されたエンコーダからのパルス信号に基づいてトレイ駆動源M1の正転、逆転及び停止の制御や、正転時及び逆転時における回転速度の制御を行うようになっている。
【0067】
リンクレバー89は、前後方向に延びる回動軸心X89周りに回動可能に支持されている。リンクレバー89は、回動軸心X89から左方かつ上方に向かって突出しており、その先端が可動板50の下面に当接している。
【0068】
このようなトレイ駆動機構80では、可動板50が原点位置にあることを原点センサ59が検知してON信号を検知信号として制御部7に伝達し、制御部7がトレイ駆動源M1を停止させることにより、可動板50が原点位置に保持される。
【0069】
そして、トレイ駆動源M1が正転してその駆動力がリンクレバー89に伝達されることにより、リンクレバー89が上向きに回動して可動板50を押し上げる。これにより、可動板50は、
図3に示す位置から回動軸心X50周りに回動し、
図4、
図5の順に示すように上向きに移動する。
【0070】
その一方、トレイ駆動源M1が逆転してその駆動力がリンクレバー89に伝達されることにより、リンクレバー89が下向きに回動し、可動板50がリンクレバー89に追従する。これにより、可動板50は、
図5に示す位置から回動軸心X50周りに下向きに回動し、
図4、
図3の順に示すように下向きに移動して原点位置に復帰する。
図8に示すように、シートトレイ91の可動板50を下向きに移動させる下降速度をV3とする。
【0071】
<給送ローラ、分離ローラ及び分離パッド等の構成>
図3に示すように、自動搬送機構4は、給送ローラ41、分離ローラ42及び分離パッド42Aを有している。分離ローラ42及び分離バッド42Aは、本発明の「分離部」の一例である。
【0072】
分離ローラ42は、第1シュート部材35における搬送面36の搬送端部36Eよりも搬送方向D1の下流側、かつ搬送面36の上方に配置されている。分離パッド42Aは、分離ローラ42の真下の位置で、搬送面36から露出するように第1シュート部材35に支持されている。分離パッド42Aは、分離ローラ42に向けて押圧されている。
【0073】
分離ローラ42の回転軸42Sには、給送ローラ保持部42Fが支持されている。給送ローラ保持部42Fは、回転軸42Sの中心である揺動軸心X42周りに揺動可能である。給送ローラ保持部42Fは、回転軸42Sから離間して搬送面36の搬送端部36Eを越えるように右方に突出している。
【0074】
給送ローラ41は、給送ローラ保持部42Fの右端部に回転可能に支持されている。給送ローラ41は、可動板50に上から対向する位置に設けられている。給送ローラ41は、給送ローラ保持部42Fが揺動軸心X42周りに揺動するのに伴って上下方向に移動可能である。
【0075】
給送ローラ保持部42Fの左端部には、被制限凸部42Kが左向きに突出するように形成されている。カバー部材38における被制限凸部42Kよりも上方には、下向きに突出するリブ状の制限部38Kが形成されている。
【0076】
制限部38Kは、被制限凸部42Kに上から当接して給送ローラ保持部42Fの揺動角度を制限することで、給送ローラ41の下限位置を決める。給送ローラ41がシートトレイ91の可動板50やシートトレイ91に支持されたシートSHに当接して持ち上げられて、
図3に示す下限位置から
図4及び
図5に示すように上向きに移動することにより、被制限凸部42Kが制限部38Kから離間する。
【0077】
図3に示すように、シートトレイ91の可動板50の原点位置は、給送ローラ41の下限位置よりも下方の位置であって、給送ローラ41の下端とシートトレイ91との間に、最大積載枚数以下のシートSHを挿入可能な隙間を確保する位置である。つまり、可動板50の原点位置は、シートトレイ91にシートSHを支持させるための位置である。
【0078】
図3に示すように、開閉部9内における給送ローラ保持部42Fの上方には、第1センサS1が設けられている。第1センサS1は、給送ローラ保持部42Fの姿勢が所定の範囲内にあるか否かを検知し、制御部7に伝達する。
【0079】
より詳しくは、第1センサS1は、給送ローラ41の下端がシートトレイ91に支持された最上位のシートSHに当接するときの給送ローラ保持部42Fの姿勢を検知することにより、間接的に、その最上位のシートSHと、搬送面36の搬送端部36Eとの高低差がその最上位のシートSHを搬送面36に向けて引っ掛かりなく給送可能な適正範囲内にあるか否かを検知する。
【0080】
図4及び
図5に示す給送ローラ保持部42Fの姿勢は、給送ローラ保持部42Fの姿勢が所定の範囲内にある状態の一例である。この状態において、シートトレイ91に支持された最上位のシートSHと搬送面36の搬送端部36Eとの高低差が適正範囲内にあるので、給送ローラ41は、その最上位のシートSHを分離ローラ42と分離パッド42Aとの間に向けて、好適に送り出すことができる。
【0081】
制御部7は、給送ローラ保持部42Fの姿勢が
図4及び
図5に示すように所定の範囲内にあることを第1センサS1が検知したときに、可動板50が給送位置にあると判断する。
図4及び
図5に示す可動板50の給送位置は、原点位置よりも上方の位置であって、シートトレイ91に支持された給送対象のシートSHを搬送ガイド30に給送可能な位置である。
【0082】
なお、
図4は、シートトレイ91に支持されるシートSHが満載の状態を図示している。
図5は、シートトレイ91に支持されるシートSHが1枚の状態を図示している。可動板50の給送位置は、シートトレイ91に支持されるシートSHの積載枚数の多少に応じて、
図4に示す位置から
図5に示す最も上昇した位置までの間で変化する。
【0083】
<第1、2搬送ローラ及び排出ローラ等の構成>
自動搬送機構4は、第1搬送ローラ43、第1ピンチローラ43P、第2搬送ローラ44、第2ピンチローラ44P、排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pを有している。
【0084】
第1搬送ローラ43、第1ピンチローラ43P、第2搬送ローラ44、第2ピンチローラ44P、排出ローラ47及び排出ピンチローラ47Pは、本発明の「搬送部」の一例である。
【0085】
第1搬送ローラ43は、第1シュート部材35の搬送面36における搬送方向D1の中間部に支持されている。第1ピンチローラ43Pは、カバー部材38の案内面38G側に支持され、第1搬送ローラ43に向けて押圧されている。
【0086】
第2搬送ローラ44は、第2シュート部材37の案内面37G1における第2センサS2よりも搬送方向D1の上流側に支持されている。第2ピンチローラ44Pは、ベース部材39の搬送面39G1側に支持され、第2搬送ローラ44に向けて押圧されている。
【0087】
排出ローラ47は、第2シュート部材37の案内面37G2の右端部に支持されている。排出ピンチローラ47Pは、ベース部材39の搬送面39G2の右端部に支持され、排出ローラ47に向けて押圧されている。
【0088】
<搬送駆動機構の構成>
図6に示すように、自動搬送機構4は、給送ローラ41、分離ローラ42、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を駆動するための搬送駆動機構70を有している。搬送駆動機構70は、搬送駆動源M2、第1駆動列71及び第2駆動列72を含んでいる。
【0089】
搬送駆動源M2は、制御部7に制御されて回転し、駆動力を発生する。本実施例では、制御部7は、搬送駆動源M2に装着されたエンコーダからのパルス信号に基づいて搬送駆動源M2の回転及び停止の制御や、回転時における回転速度の制御を行うようになっている。
【0090】
第1駆動列71は、搬送駆動源M2からの駆動力を給送ローラ41及び分離ローラ42に伝達する経路を構成している。第1駆動列71は、分離ローラ42の回転軸42Sと、回転軸42Sよりも搬送駆動源M2側に設けられた伝達軸75、円盤75A、伝達部76及び被伝達部77と、回転軸42Sよりも給送ローラ41側に設けられたギヤ列78とを有している。
【0091】
伝達軸75の伝達軸心X75は、回転軸42Sの中心である揺動軸心X42と一致している。伝達軸75の前端には、円盤75Aが一体回転可能に固定されている。円盤75Aと回転軸42Sの後端との間には、隙間が確保されている。
【0092】
図6及び
図7に示すように、伝達部76は、円盤75Aの外周縁側から前向きに突出する凸部である。伝達部76は、搬送駆動源M2からの駆動力が伝達軸75に伝達されることにより、伝達軸75及び円盤75Aと一体で伝達軸心X75周りに回転する。
【0093】
被伝達部77は、回転軸42Sの後端から伝達軸心X75の径外方向に突出する凸部であり、回転軸42Sと一体で伝達軸心X75周りに回転する。また、被伝達部77は、伝達軸心X75の周方向において伝達部76に当接可能である。
【0094】
図7(a)及び(b)に示すように、被伝達部77は、伝達軸心X75の周方向において伝達部76から離れている間は、搬送駆動源M2からの駆動力が伝達されない。そして、
図7(c)に示すように、被伝達部77は、伝達軸心X75の周方向において伝達部76に当接することにより、伝達部76に対して1周未満遅れて従動回転する。
【0095】
図6に示すように、ギヤ列78は、給送ローラ保持部42F内に配置されている。
ギヤ列78は、回転軸42Sの回転を給送ローラ41に伝達する。
【0096】
搬送駆動源M2からの駆動力が第1駆動列71によって給送ローラ41及び分離ローラ42に伝達されることにより、給送ローラ41及び分離ローラ42が回転する。
図8に示すように、給送ローラ41及び分離ローラ42によるシートSHの搬送速度をV1とする。
【0097】
図4に示すように、給送ローラ41は、シートトレイ91に支持された最上位のシートSHを搬送ガイド30の搬送面36に向けて給送する方向に回転する。
【0098】
分離ローラ42は、分離ローラ42と分離パッド42Aとのニップ位置に到達したシートSHに対して搬送方向D1の下流側に向かう搬送力を付与する。分離パッド42Aは、ニップ位置に到達したシートSHが複数枚であれば、分離ローラ42に接触するシートSH以外のシートSHに対し、そのシートSHの搬送を止める力を付与する。
【0099】
図6に簡略して示すように、第2駆動列72は、搬送駆動源M2の駆動力を第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47に伝達する経路を構成している。第2駆動列72は、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47のそれぞれの回転軸に一体回転可能に固定された複数のギヤを含んでいる。
【0100】
搬送駆動源M2からの駆動力が第2駆動列72によって第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47に伝達されることにより、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47が回転する。
【0101】
第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47によるシートSHの搬送速度をV2とする。搬送駆動機構70は、第1駆動列71の減速比と第2駆動列72の減速比とを適宜設定して、搬送速度V2を搬送速度V1よりも速くするように構成されている。
【0102】
図4に示すように、第1搬送ローラ43は、分離ローラ42及び分離パッド42Aによって1枚ずつに分離されたシートSHを第1ピンチローラ43Pと共にニップする。そして、第1搬送ローラ43は、そのシートSHを分離ローラ42から引き継いで、第2搬送ローラ44及び第2ピンチローラ44Pに向けて搬送する。
【0103】
第2搬送ローラ44は、第1搬送ローラ43及び第1ピンチローラ43Pによって搬送されるシートSHを第2ピンチローラ44Pと共にニップし、読取面8Bに向けて、すなわち、静止読取位置に停止する読取センサ3Sに向けて、そのシートSHを搬送する。
【0104】
排出ローラ47は、読取面8B上を通過して搬送面39G2及び案内面37G2によって案内されるシートSHを排出ピンチローラ47Pと共にニップして、排出トレイ96に向けて排出する。
【0105】
搬送駆動源M2の作動中、第1駆動列71の伝達部76と被伝達部77とが当接及び離間を繰り返すことで、給送ローラ41及び分離ローラ42は、シートトレイ91に支持されたシートSHを搬送ガイド30に沿って搬送速度V1で搬送する状態と、そのシートSHが第1搬送ローラ43にニップされて搬送速度V2で搬送されることによりそのシートSHに追従して回転する状態と、そのシートSHが分離ローラ42を完全に通過することにより停止する状態とを繰り返す。これにより、シートトレイ91から次々に給送されるシートSHの間隔が確保される。
【0106】
記憶部7Mは、シートトレイ91に支持される最小サイズであるA6サイズのシートSHの後端が分離ローラ42を通過してから被伝達部77が伝達部76に当接されて従動回転を始めるまでの所要時間T1に係る情報、例えば、搬送駆動源M2のエンコーダのカウント数等を記憶している。
【0107】
図8に示すように、所要時間T1は、タイミングTM2からタイミングTM3(A6)までの時間である。第1駆動列71の伝達部76と被伝達部77とが離間する時間(搬送距離)は、シートSHが第1搬送ローラ43にニップされて搬送速度V2で搬送される時間(搬送距離)によって決まる。このため、シートトレイ91に支持されるシートSHがA4サイズである場合、そのシートSHの後端が分離ローラ42を通過してから被伝達部77が伝達部76に当接されて従動回転を始めるまでの所要時間T2、すなわちタイミングTM2からタイミングTM3(A4)までの時間は、所要時間T1よりも長くなる。
【0108】
<高速処理モード及び低速処理モード>
制御部7は、自動搬送機構4によって搬送されるシートSHの画像読取動作を所定の速度で行う高速処理モードと、その画像読取動作を高速処理モードよりも遅い速度で行って高速処理モードよりも読取品質を向上させる低速処理モードとを選択可能である。
【0109】
制御部7は、高速処理モードを選択した場合、搬送駆動機構70の搬送駆動源M2の回転数を制御して、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を搬送速度V2=第1処理速度V2Aで駆動する。
【0110】
その一方、制御部7は、低速処理モードを選択した場合、搬送駆動機構70の搬送駆動源M2の回転数を高速処理モードよりも遅くなるように制御して、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を搬送速度V2=第2処理速度V2Bで駆動する。第2処理速度V2Bは、第1処理速度V2Aよりも遅く設定されている。
【0111】
また、制御部7は、シートトレイ91の可動板50を下向きに移動させる下降速度V3についても、高速処理モードと低速処理モードとの選択に応じて変更する。
【0112】
すなわち、制御部7は、高速処理モードを選択した場合、トレイ駆動機構80のトレイ駆動源M1の回転数を制御して、下降速度V3=第1下降速度V3Aで駆動する。
【0113】
その一方、制御部7は、低速処理モードを選択した場合、トレイ駆動機構80のトレイ駆動源M1の回転数を高速処理モードよりも遅くなるように制御して、下降速度V3=第2下降速度V3Bで駆動する。第2下降速度V3Bは、第1下降速度V3Aよりも遅く設定されている。このような下降速度V3の切り替えは、後述する特定動作においても行われる。
【0114】
<原稿支持面に支持された原稿に対する画像読取動作>
この画像読取装置1では、原稿支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、制御部7が読取ユニット3の走査機構駆動源3Mを制御して図示しない走査機構を作動させ、読取センサ3Sを原稿支持面8Aの左端縁の下方である読取開始位置から右端縁の下方である読取終了位置までの間で左右方向に移動させる。これにより、読取センサ3Sは、原稿支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る。その後、制御部7は、読取ユニット3の走査機構駆動源3Mを制御して図示しない走査機構を逆向きに作動させ、読み取りを終えた読取センサ3Sを読取ユニット3内における右端から左端に移動させて読取待機位置に復帰させる。
【0115】
<自動搬送機構によって搬送される原稿に対する画像読取動作及び特定動作>
また、この画像読取装置1では、シートトレイ91に支持されたシートSHを自動搬送機構4によって搬送し、そのシートSHの画像を読み取る場合、制御部7が読取ユニット3の走査機構駆動源3Mを制御して図示しない走査機構を作動させ、
図3に示すように、読取センサ3Sを読取面8Bの下方である静止読取位置に停止させる。なお、この段階では、可動板50は原点位置にあり、シートセンサ58は、シートトレイ91に支持されたシートSHがあることを検知してOFF信号を制御部7に伝達する。
【0116】
次に、制御部7は、高速処理モードを選択した場合には搬送速度V2=第1処理速度V2A、下降速度V3=第1下降速度V3Aに設定する。その一方、制御部7は、低速処理モードを選択した場合には、搬送速度V2=第2処理速度V2B、下降速度V3=第2下降速度V3Bに設定する。
【0117】
次に、制御部7は、トレイ駆動源M1を正転させて、リンクレバー89を上向きに揺動させ、原点位置にある可動板50を押し上げて給送位置に向けて移動させる。
【0118】
そして、制御部7は、第1センサS1の検知信号に基づいて、可動板50が給送位置に到達したと判断したときに、トレイ駆動源M1を停止させる。これにより、
図4に示すように、シートトレイ91に支持された最上位のシートSHと搬送面36の搬送端部36Eとの高低差が適正範囲内となる。
【0119】
次に、制御部7は、搬送駆動源M2を作動させて、給送ローラ41、分離ローラ42、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を駆動し、シートトレイ91に支持されたシートSHを搬送ガイド30に沿って順次搬送する。
【0120】
この際、第1駆動列71の伝達部76と被伝達部77とが当接及び離間を繰り返すことで、シートトレイ91から次々に給送されるシートSHの間隔が確保される。
【0121】
そして、制御部7は、搬送面36、39G1、39G2上を搬送されるシートSHが読取面8B上を通過する際、静止読取位置に停止した読取センサ3Sによって、そのシートSHの画像を読み取る。制御部7は、画像が読み取られたシートSHを排出ローラ47と排出ピンチローラ47Pとによってニップして排出トレイ96に向けて排出する。
【0122】
この際、制御部7は、搬送ガイド30に沿って搬送されるシートSHの先端を第2センサS2が検知したタイミングと、シートSHの搬送速度V2とに基づいて、読取センサ3Sのタイミング制御を行う。また、制御部7は、搬送ガイド30に沿って搬送されるシートSHの先端が第2センサS2に検知されてからそのシートSHの後端が第2センサS2に検知されるまでの所要時間と、シートSHの搬送速度V2とに基づいて、シートSHの長さと、排出ローラ47がシートSHの排出を完了するタイミングとを判断する。
【0123】
この間も、制御部7は、第1センサS1の検知信号に基づき、シートトレイ91に支持されたシートSHの減少に応じて、間欠的にトレイ駆動源M1を正転させ、給送ローラ保持部42Fの姿勢が所定の範囲内に維持されるように、可動板50を上向きに小刻みに回動させる。
【0124】
そして、シートトレイ91に支持されたシートSHが少なくなり、さらに、
図5に示すように、最後のシートSHの搬送が開始される。最後のシートSHの搬送が開始された後から完了するまでを
図8のタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0125】
最後のシートSHの搬送が開始されると、
図7(c)及び
図8に示すように、被伝達部77が伝達部76に当接され、
図8に示すように、給送ローラ41及び分離ローラが駆動回転し、シートSHを搬送速度V1で搬送する。
【0126】
このとき、シートセンサ58は、シートトレイ91に支持されたシートSHがあることを検知してOFF信号を制御部7に伝達している。トレイ駆動源M1は、停止している。原点センサ59は、OFF信号を制御部7に伝達している。シートトレイ91の可動板50の給送位置は、
図5及び
図8に示すように、最も上昇した位置となっている。給送ローラ保持部42Fは、
図5及び
図8に示すように、第1センサS1に検知される位置にある。
【0127】
図8に示すタイミングTM1において、分離ローラ42によって搬送されるシートSHを第1搬送ローラ43が引き継ぎ始めると、そのシートSHは搬送速度V2で搬送される。それに伴って、給送ローラ41及び分離ローラ42がそのシートSHに追従回転し、被伝達部77が伝達部76に対して先行するように離間する。
【0128】
次に、タイミングTM2において、最後のシートSHが分離ローラ42から離れると、伝達部76が被伝達部77を離間したまま追いかける状態となり、給送ローラ41及び分離ローラ42が停止する。停止した給送ローラ41は、シートトレイ91の可動板50に直に当接する。それと同時に、シートセンサ58は、シートトレイ91に支持されたシートSHが無くなったことを検知してON信号を制御部7に伝達する。
【0129】
また、タイミングTM2において、制御部7は、特定動作を開始するタイミングを決めるためのトレイ下降開始時間TW1を算出する。特定動作は、トレイ駆動機構80のトレイ駆動源M1を制御してシートトレイ91の可動板50を最も上昇した給送位置から下向きに移動させる動作である。制御部7は、記憶部7Mから所要時間T1、下降速度V3、可動板50が給送ローラ41の下限位置を通過するまでの距離に係る情報を読み出し、トレイ下降開始時間TW1を算出する。トレイ下降開始時間TW1は、可動板50が下降速度V3で下降したとき、被伝達部77が伝達部76に当接されて駆動回転を始める前に、給送ローラ41が可動板50から離間するように設定され、所要時間T1よりも短い時間である。
【0130】
そして、制御部7は、タイミングTM2からトレイ下降開始時間TW1の経過後に、トレイ駆動源M1を逆転させる。これにより、シートトレイ91の可動板50が下降速度V3で下向きに移動する。給送ローラ保持部42Fも、給送ローラ41が可動板50に当接している間、可動板50に追従して下降する。
【0131】
可動板50は、下降する途中において、タイミングTM4で給送ローラ41の下限位置を通過し、さらに下方に移動する。すると、給送ローラ保持部42Fは、制限部38Kが被制限凸部42Kに当接することにより揺動角度が制限され、給送ローラ41を下限位置に保持する。その結果、給送ローラ41が可動板50から離間する。
【0132】
本実施例では、タイミングTM4は、シートトレイ91に支持されるシートSHがA4サイズである場合、そのシートSHの後端が分離ローラ42を通過してから被伝達部77が伝達部76に当接されて給送ローラ41及び分離ローラ42が駆動回転を始めるタイミングTM3(A4)よりも充分に早く設定されている。
【0133】
また、タイミングTM4は、シートトレイ91に支持されるシートSHがA6サイズである場合、そのシートSHの後端が分離ローラ42を通過してから被伝達部77が伝達部76に当接されて給送ローラ41及び分離ローラ42が駆動回転を始めるタイミングTM3(A6)よりも充分に早く設定されている。
【0134】
次に、タイミングTM5において、可動板50が原点位置に移動したことを原点センサ59が検知してON信号を制御部7に伝達すると、制御部7は、トレイ駆動源M1を停止させて、特定動作を終了する。
【0135】
そして、制御部7は、排出ローラ47が最後のシートSHの排出を完了するタイミングTM6において、搬送駆動源M2を停止させ、給送ローラ41、分離ローラ42、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47を停止させる。その後、制御部7は、読取ユニット3の走査機構駆動源3Mを制御して図示しない走査機構を作動させ、読取センサ3Sを読取待機位置に復帰させて、画像読取動作が終了する。
【0136】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、
図6及び
図7に示すように、搬送駆動機構70が伝達部76及び被伝達部77を有するとともに、第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47によるシートSHの搬送速度V2を給送ローラ41及び分離ローラ42によるシートSHの搬送速度V1よりも速くするように構成されていることにより、分離ローラ42によって搬送されるシートSHを第1搬送ローラ43が引き継ぎ始めたときに、給送ローラ41及び分離ローラ42がそのシートSHに追従して早回りし、被伝達部77が伝達部76に対して先行する。
【0137】
次に、そのシートSHが分離ローラ42から離れると、給送ローラ41及び分離ローラ42が停止し、伝達部76が被伝達部77を追いかける。そして、伝達部76が被伝達部77に追いつき、被伝達部77が伝達部76に当接されて従動回転を始めると、給送ローラ41及び分離ローラ42が再び回転し、次のシートSHが給送される。こうして、搬送されるシートSHの間隔が確保される。この際、静止するシートSHと、停止した状態から再び回転する給送ローラ41との間に滑りが発生し難いので、給送ローラ41がシートSHに対して滑るときの異音と、給送ローラ41の摩耗とを確実性高く抑制できる。
【0138】
また、この画像読取装置1では、制御部7は、
図8に示すタイミングTM2において、最後のシートSHが分離ローラ42から離れ、シートトレイ91に支持されるシートSHが無くなったことをシートセンサ58が検知した後、所要時間T1よりも短いトレイ下降開始時間TW1の経過後に、特定動作として、被伝達部77が伝達部76に当接されて従動回転を始める前にトレイ駆動機構80のトレイ駆動源M1を制御してシートトレイ91の可動板50を下向きに移動させる動作を実行する。これにより、シートトレイ91の可動板50に対する給送ローラ41の接圧が低下し、又はゼロになるので、タイミングTM6で最後のシートSHの搬送が完了する前に、タイミングTM3から給送ローラ41が再び回転しても、給送ローラ41がシートトレイ91の可動板50に対して滑るときの異音と、給送ローラ41の摩耗とを確実性高く抑制できる。
【0139】
したがって、実施例の画像読取装置1では、騒音の抑制及び耐久性の向上を実現できる。
【0140】
また、この画像読取装置1では、
図4に示すように、制限部38Kが給送ローラ保持部42Fの揺動角度を制限することで、給送ローラ41の下限位置が決まる。そして、
図8に示すように、制御部7は、特定動作を実行するときに、シートトレイ91の可動板50を給送ローラ41の下限位置よりも下方に移動させる。これにより、特定動作によってシートトレイ91の可動板50が給送ローラ41から離間して、シートトレイ91の可動板50に対する給送ローラ41の接圧がゼロになる。その結果、タイミングTM6で最後のシートSHの搬送が完了する前に、タイミングTM3から給送ローラ41が再び回転しても、給送ローラ41がシートトレイ91の可動板50に対して滑るときの異音と、給送ローラ41の摩耗とをより確実性高く抑制できる。
【0141】
さらに、この画像読取装置1では、制御部7は、特定動作を実行するときに、シートトレイ91の可動板50を原点位置に移動させる。これにより、シートトレイ91に支持されたシートSHが無くなった後に、ユーザがシートトレイ91にシートSHを補充する作業を素早く実施できる。
【0142】
また、この画像読取装置1では、制御部7は、記憶部7Mから読み出した所要時間T1に係る情報に基づいて、所要時間T1よりも短いトレイ下降開始時間TW1を算出し、タイミングTM2からトレイ下降開始時間TW1の経過後、特定動作開始する。これにより、この画像読取装置1では、各種サイズのシートSHを搬送する場合に、タイミングTM3から給送ローラ41が再び回転する前に、特定動作を確実性高く実行できる。
【0143】
さらに、この画像読取装置1では、制御部7は、特定動作を含めてシートトレイ91の可動板50を下向きに移動させるときの下降速度V3について、高速処理モードを選択した場合には下降速度V3=第1下降速度V3Aに設定する一方、低速処理モードを選択した場合には、下降速度V3=第2下降速度V3B(<V3A)に設定する。これにより、搬送されるシートSHに対する画像読取処理の精度を向上させたいときに選択される低速処理モードにおいて、シートトレイ91の可動板50を下降させるときの振動が第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ44及び排出ローラ47に伝わることを抑制できる。その結果、この画像読取装置1では、低速処理モードにおいて、タイミングTM6で最後のシートSHの搬送が完了する前にそのシートSHが第1搬送ローラ43、第2搬送ローラ42及び排出ローラ47によって搬送される搬送速度V2が変動してそのシートSHに対する画像読取処理の精度に影響が及ぶことを抑制できる。
【0144】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0145】
例えば、実施例では、分離部が分離ローラ42及び分離パッド42Aであるが、本発明はこの構成には限定されず、分離部が分離パッドの代わりにリタードローラを含んでいてもよい。
【0146】
例えば、タイミングTM4がタイミングTM3(A6)よりも遅く設定され、それ以外を実施例と同じである構成も本発明に含まれる。
【0147】
例えば、低速処理モードにおいて、可動板50の振動の影響が少ない場合は、下降速度V3=第1下降速度V3Aのままで、トレイ下降開始時間TW1を高速処理モードよりも長くしてもよい。
【0148】
実施例では、シートトレイ91の一部である可動板50が上下方向に移動するが、本発明はこの構成には限定されず、シートトレイの全体が上下方向に移動してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は例えば、画像読取装置、画像形成装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0150】
1…シート搬送装置(画像読取装置)、SH…シート、91…シートトレイ
80…トレイ駆動機構、30…搬送ガイド、41…給送ローラ
42、42A…分離部(42…分離ローラ、42A…分離パッド)
43、43P、44、44P、47、47P…搬送部(43…第1搬送ローラ、43P…第1ピンチローラ、44…第2搬送ローラ、44P…第2ピンチローラ、47…排出ローラ、47P…排出ピンチローラ)
70…搬送駆動機構、7…制御部、58…シートセンサ
71…給送ローラ及び分離部に駆動力を伝達する経路(第1駆動列)
76…伝達部、77…被伝達部、X75…伝達軸心、X42…揺動軸心
42F…給送ローラ保持部、38K…制限部、7M…記憶部
V2…搬送部によるシートの搬送速度(V2(V2A)…第1処理速度、V2(V2B)…第2処理速度)
V1…給送ローラ及び分離部によるシートの搬送速度
V3A…第1下降速度、V3B…第2下降速度