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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】複合機
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231011BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20231011BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G03G21/16 128
B41J29/13
H04N1/00 519
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019195428
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021067912
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】早川 篤
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-209823(JP,A)
【文献】特開2013-086291(JP,A)
【文献】特開2007-225795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B41J 29/13
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の上方に設けられ、前記本体部に対して開閉可能に連結された第1開閉部と、
前記第1開閉部の上方に設けられ、前記第1開閉部に対して開閉可能に連結された第2開閉部と、
前記第2開閉部の上方に設けられ、前記第2開閉部に対して開閉可能に連結された第3開閉部と、
前記本体部及び前記第1開閉部のうちの少なくとも前記本体部に設けられ、シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第2開閉部に設けられ、原稿の画像を読み取る読取ユニットと、
前記第3開閉部に設けられ、原稿を順次搬送し、搬送される原稿の画像を前記読取ユニットに読み取らせる自動搬送機構と、
を備えた複合機であって、
機械的に連動する上側ロック機構及び第1中間ロック機構を有し、前記上側ロック機構は、前記第3開閉部を前記第2開閉部に対して開かないようにロック可能であり、前記第1中間ロック機構は、前記第2開閉部を前記第1開閉部に対して開かないようにロック可能である第1ロック機構列と、
機械的に連動する第2中間ロック機構及び下側ロック機構を有し、前記第2中間ロック機構は、前記第2開閉部を前記第1開閉部に対して開かないようにロック可能であり、前記下側ロック機構は、前記第1開閉部を前記本体部に対して開かないようにロック可能である第2ロック機構列と、
をさらに備え、
前記上側ロック機構は、前記第1開閉部に揺動可能に支持された第1のリンク部材を有し、
前記下側ロック機構は、前記第2開閉部に揺動可能に支持された第2のリンク部材を有し、
前記第1ロック機構列は、
前記第2開閉部及び前記第3開閉部が閉じた状態で前記第1開閉部が開き始めたときには、前記第1中間ロック機構によって前記第2開閉部をロックし、前記第1中間ロック機構に連動して前記第1のリンク部材が揺動することで、前記上側ロック機構によって前記第3開閉部をロックし、
前記第1開閉部及び前記第3開閉部が閉じた状態で前記第2開閉部が開き始めたときには、前記第1中間ロック機構及び前記第1のリンク部材が動かないままで、前記上側ロック機構によって前記第3開閉部をロックし、
前記第2ロック機構列は、
前記第1開閉部及び前記第3開閉部が閉じた状態で前記第2開閉部が開き始めたときには、前記第2中間ロック機構及び前記第2のリンク部材が動かないままで、前記下側ロック機構によって前記第1開閉部をロックし、
前記第1開閉部及び前記第2開閉部が閉じた状態で前記第3開閉部が開き始めたときには、前記第2中間ロック機構によって前記第2開閉部をロックし、前記第2中間ロック機構に連動して前記第2のリンク部材が揺動することで、前記下側ロック機構によって前記第1開閉部をロックするように構成され、
前記第1開閉部のロック、前記第2開閉部のロック、及び前記第3開閉部のロックを前記第1ロック機構列及び前記第2ロック機構列のみによって行うことを特徴とする複合機。
【請求項2】
前記第1中間ロック機構は、前記本体部に設けられた下側当接部と、前記第1開閉部に変位可能に支持された下側リンク部材と、前記下側リンク部材と前記第1開閉部との間に設けられた下側付勢部と、前記第2開閉部に設けられた下側係止部と、を有し、
前記第1開閉部が閉じた状態では、前記下側当接部が前記下側リンク部材の下端部に当接して前記下側付勢部に抗して前記下側リンク部材を変位させることにより、前記下側リンク部材の上端部を前記下側係止部から離間させて前記第2開閉部のロックを解除し、
前記第1開閉部が開き始めたときに、前記下側当接部が前記下側リンク部材の前記下端部から離間し、前記下側リンク部材が前記下側付勢部に付勢されて変位することにより、前記下側リンク部材の前記上端部によって前記下側係止部を係止させて前記第2開閉部をロックし、
前記第2中間ロック機構は、前記第3開閉部に設けられた上側当接部と、前記第2開閉部に変位可能に支持された上側リンク部材と、前記上側リンク部材と前記第2開閉部との間に設けられた上側付勢部と、前記第1開閉部に設けられた上側係止部と、を有し、
前記第3開閉部が閉じた状態では、前記上側当接部が前記上側リンク部材の上端部に当接して前記上側付勢部に抗して前記上側リンク部材を変位させることにより、前記上側リンク部材の下端部を前記上側係止部から離間させて前記第2開閉部のロックを解除し、
前記第3開閉部が開き始めたときに、前記上側当接部が前記上側リンク部材の前記上端部から離間し、前記上側リンク部材が前記上側付勢部に付勢されて変位することにより、前記上側リンク部材の前記下端部によって前記上側係止部を係止させて前記第2開閉部をロックし、
前記第1のリンク部材は、前記下側リンク部材の変位に連動して揺動し、
前記第2のリンク部材は、前記上側リンク部材の変位に連動して揺動する請求項記載の複合機。
【請求項3】
前記下側ロック機構は、前記本体部に設けられた係止部と、
前記第1開閉部に設けられたハンドル部材であって、前記第1開閉部を開くときにユーザによって押し上げられるハンドルと、前記ハンドルが押し上げられていない状態で前記係止部を係止し、前記ハンドルが押し上げられることにより前記係止部から離間する係止爪と、が形成された前記ハンドル部材と、
前記第1開閉部に設けられた直動部材であって、前記ハンドル部材に隣接して前記ハンドル部材の揺動を規制する位置と、前記ハンドル部材から離間して前記ハンドル部材の揺動を許容する位置と、に直動する前記直動部材と、
前記第1開閉部に揺動可能に支持された第3のリンク部材であって、前記第1開閉部及び前記第3開閉部が閉じた状態で前記第2開閉部が開き始めたとき、及び前記第1開閉部及び前記第2開閉部が閉じた状態で前記第3開閉部が開き始めたときには、前記第2のリンク部材から離間することで揺動して前記ハンドル部材の揺動を規制する位置に前記直動部材を直動させる前記第3のリンク部材と、を有している請求項1又は2記載の複合機。
【請求項4】
前記第1中間ロック機構は、前記第2開閉部を前記第1開閉部に対して開閉させる開閉軸心が延びる方向において、前記第1開閉部及び前記第2開閉部の一端側に配置され、
前記第2中間ロック機構は、前記開閉軸心が延びる方向において、前記第1開閉部及び前記第2開閉部の他端側に配置されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合機。
【請求項5】
前記第1開閉部、前記第2開閉部及び前記第3開閉部が閉じた状態で、前記本体部、前記第1開閉部、前記第2開閉部及び前記第3開閉部における同じ方向を向く側面によって前記複合機の後面が構成され、
前記本体部と前記第1開閉部とを連結する第1ヒンジと、前記第1開閉部と前記第2開閉部とを連結する第2ヒンジと、前記第2開閉部と前記第3開閉部とを連結する第3ヒンジと、が前記後面側に配置されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の複合機の一例である画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、装置本体、上カバー、画像読取装置及び原稿押さえを備えている。上カバーは、装置本体の上面の一部を覆うように設けられ、装置本体に対して開閉可能に連結されている。画像形成装置は、装置本体の上方に設けられ、装置本体に対して開閉可能に連結されている。上カバーは、画像形成装置が開くのに連動して開くようになっている。原稿押さえは、画像読取装置の上方に設けられ、画像読取装置に対して開閉可能に連結されている。
【0003】
また、この画像形成装置は、画像形成ユニット、読取ユニット及び自動原稿搬送装置を備えている。画像形成ユニットは、装置本体に設けられ、シートに画像を形成する。読取ユニットは、画像読取装置に設けられ、原稿の画像を読み取る。自動原稿搬送装置は、原稿押さえに設けられ、原稿を順次搬送し、搬送される原稿の画像を読取ユニットに読み取らせる。
【0004】
さらに、この画像形成装置は、第1のロック機構及び第2のロック機構を備えている。第1のロック機構は、原稿押さえが開き始めたときに、画像読取装置が装置本体に対して開かないようにロックする。第2のロック機構は、画像読取装置が開き始めたときに、原稿押さえが画像読取装置に対して開かないようにロックする。
【0005】
このような第1のロック機構及び第2のロック機構により、この画像形成装置では、画像読取装置及び原稿押さえの一方を開くときにユーザの急激な開操作等によって画像読取装置及び原稿押さえの他方も意図に反して開いてしまって装置全体が転倒する不具合を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-227495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1開示の画像形成装置について、画像読取装置が装置本体ではなく上カバーに対して開閉可能に連結され、上カバーの開閉と画像読取装置の開閉とが連動しないように変更した構成を備える複合機も、一般的に知られている。
【0008】
しかしながら、このような複合機では、上記特許文献1開示の画像形成装置に係る第1のロック機構及び第2のロック機構を備えていても、画像読取装置又は原稿押さえを開くときにユーザの急激な開操作等によって上カバーも意図に反して開いてしまうおそれがある。その結果、この複合機では、装置全体の重心が横方向に大きく移動するおそれがあり、装置全体が転倒する不具合を抑制することが難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、第1開閉部、第2開閉部及び第3開閉部のいずれか1つを開くときに装置全体が転倒する不具合を確実性高く抑制できる複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の複合機は、本体部と、
前記本体部の上方に設けられ、前記本体部に対して開閉可能に連結された第1開閉部と、
前記第1開閉部の上方に設けられ、前記第1開閉部に対して開閉可能に連結された第2開閉部と、
前記第2開閉部の上方に設けられ、前記第2開閉部に対して開閉可能に連結された第3開閉部と、
前記本体部及び前記第1開閉部のうちの少なくとも前記本体部に設けられ、シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第2開閉部に設けられ、原稿の画像を読み取る読取ユニットと、
前記第3開閉部に設けられ、原稿を順次搬送し、搬送される原稿の画像を前記読取ユニットに読み取らせる自動搬送機構と、
を備えた複合機であって、
機械的に連動する上側ロック機構及び第1中間ロック機構を有し、前記上側ロック機構は、前記第3開閉部を前記第2開閉部に対して開かないようにロック可能であり、前記第1中間ロック機構は、前記第2開閉部を前記第1開閉部に対して開かないようにロック可能である第1ロック機構列と、
機械的に連動する第2中間ロック機構及び下側ロック機構を有し、前記第2中間ロック機構は、前記第2開閉部を前記第1開閉部に対して開かないようにロック可能であり、前記下側ロック機構は、前記第1開閉部を前記本体部に対して開かないようにロック可能である第2ロック機構列と、
をさらに備え、
前記第1開閉部、前記第2開閉部及び前記第3開閉部のうちのいずれか1つが開き始めたときに、前記上側ロック機構、前記第1中間ロック機構、前記第2中間ロック機構及び前記下側ロック機構のうちの少なくとも2つによって、前記第1開閉部、前記第2開閉部及び前記第3開閉部のうちの閉じている残りをロックするように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の複合機では、第1開閉部、第2開閉部及び第3開閉部のうちのいずれか1つが開き始めたときに、上側ロック機構、第1中間ロック機構、第2中間ロック機構及び下側ロック機構のうちの少なくとも2つによって、第1開閉部、第2開閉部及び第3開閉部のうちの閉じている残りをロックする。このため、それらのうちの閉じている残りがユーザの急激な開操作等によって意図に反して開いてしまうことを確実性高く抑制できる。その結果、この複合機では、装置全体の重心が横方向に大きく移動することを抑制できる。
【0012】
したがって、本発明の複合機では、第1開閉部、第2開閉部及び第3開閉部のいずれか1つを開くときに装置全体が転倒する不具合を確実性高く抑制できる。
【0013】
さらに、この複合機では、上側ロック機構及び第1中間ロック機構と、第2中間ロック機構及び下側ロック機構とが互いに異なる2つの機構列、すなわち第1ロック機構列と第2ロック機構列とに分かれているので、第1ロック機構列及び第2ロック機構列の一方に破損等の不具合が発生しても、第1ロック機構列及び第2ロック機構列の他方に影響が及び難い。また、第2開閉部は、2つのロック機構、すなわち第1中間ロック機構及び第2中間ロック機構によってロック可能であるので、第1中間ロック機構及び第2中間ロック機構の一方が破損しても、第1中間ロック機構及び第2中間ロック機構の他方が第2開閉部をロックできる。その結果、この複合機では、第1開閉部、第2開閉部及び第3開閉部のいずれか1つを開くときに上側ロック機構、第1中間ロック機構、第2中間ロック機構及び下側ロック機構のうちの1つが破損したとしても、少なくとも第2開閉部が開くことを確実性高く抑制でき、その結果、装置全体が転倒する不具合を一層確実性高く抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例の複合機の斜視図である。
図2】実施例の複合機の模式断面図である。
図3】第1ロック機構列を示す模式側面図である。
図4】第2ロック機構列を示す模式側面図である。
図5】第1ロック機構列及び第2ロック機構列を示す斜視図である。
図6図3と同様の模式側面図であって、第1開閉部を開くときの第1ロック機構列の動作を説明する図である。
図7図3と同様の模式側面図であって、第3開閉部を開くときの第1ロック機構列の動作を説明する図である。
図8図3と同様の模式側面図であって、第2開閉部を開くときの第1ロック機構列の動作を説明する図である。
図9図4と同様の模式側面図であって、第3開閉部を開くときの第2ロック機構列の動作を説明する図である。
図10図4と同様の模式側面図であって、第1開閉部を開くときの第2ロック機構列の動作を説明する図である。
図11図4と同様の模式側面図であって、第2開閉部を開くときの第2ロック機構列の動作を説明する図である。
図12図6に示すように第3開閉部を開いたときに下側ロック機構が破損して第1開閉部が意図に反して開いてしまう場合における第1ロック機構列の動作を説明する図である。
図13図9に示すように第1開閉部を開いたときに上側ロック機構が破損して第3開閉部が意図に反して開いてしまう場合における第2ロック機構列の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(実施例)
図1に示すように、実施例の複合機1は、本発明の複合機の具体的態様の一例である。図1では、操作パネル20Pが配置される側を装置の前方と規定し、操作パネル20Pに向かった場合に左に来る側を左方と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機1が備える各構成要素について説明する。
【0017】
<全体構成>
図1及び図2に示すように、複合機1は、本体部50、第1開閉部10、第2開閉部20、第3開閉部30、画像形成ユニット5、読取ユニット2及び自動搬送機構3を備えている。
【0018】
本体部50は、上面側が開放された略箱状体である。第1開閉部10は、本体部50の上方に設けられて、本体部50の上面を覆っている。図2に示すように、本体部50と第1開閉部10とによって囲まれた内部空間は、収容部9とされている。収容部9には、画像形成ユニット5が収容されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、第1開閉部10は、排出トレイ15、左壁部17L、右壁部17R及び後壁部16を有している。排出トレイ15は、第1開閉部10の前面側から後向きに延び、その途中から下り傾斜する平坦面である。
【0020】
左壁部17Lは、排出トレイ15の左側で排出トレイ15よりも上方に突出し、かつ第1開閉部10の前面から後面まで前後方向に延びている。右壁部17Rは、排出トレイ15の右側で排出トレイ15よりも上方に突出し、かつ第1開閉部10の前面から後面まで前後方向に延びている。左壁部17L及び右壁部17Rのそれぞれの内部は空洞になっており、図示しないフレーム部材が配置されている。
【0021】
図2に示すように、後壁部16は、排出トレイ15の後側で排出トレイ15よりも上方に突出し、かつ左壁部17Lの後端と右壁部17Rの後端とを接続するように左右方向に延びている。
【0022】
本体部50の後方を向く側面と、第1開閉部10の後壁部16における後方を向く側面との間には、第1ヒンジ19が配置されている。第1ヒンジ19は、第1開閉部10を本体部50に連結している。第1開閉部10は、第1ヒンジ19によって、左右方向に延びる第1開閉軸心X1周りに開閉可能となっている。
【0023】
図1及び図2に示すように、第2開閉部20は、第1開閉部10の上方に設けられている。第2開閉部20は、上下方向の高さが本体部50及び第1開閉部10よりも小さい扁平な略箱状体である。第2開閉部20は、排出トレイ15に対して上方に離間する状態で、左壁部17L、右壁部17R及び後壁部16のそれぞれの上端部によって支持されている。
【0024】
第2開閉部20の前面には、操作パネル20Pが設けられている。操作パネル20Pは、複合機1の稼働状態や設定等を表示するとともに、ユーザからの入力を受け付ける。第2開閉部20の内部には、読取ユニット2が収容されている。
【0025】
図2に示すように、第1開閉部10の後壁部16における後方を向く側面と、第2開閉部20の後方を向く側面との間には、第2ヒンジ29が配置されている。第2ヒンジ29は、第2開閉部20を第1開閉部10に連結している。第2開閉部20は、第2ヒンジ29によって、左右方向に延びる第2開閉軸心X2周りに開閉可能となっている。第2開閉軸心X2は、本発明の「開閉軸心」の一例である。
【0026】
図1及び図2に示すように、第3開閉部30は、第2開閉部20の上方に設けられている。第3開閉部30の底面は、第2開閉部20の上面を覆う略矩形状の平坦面とされている。第3開閉部30の右部分には、排出トレイ36が形成されている。第3開閉部30の左部分は、排出トレイ36よりも上方に膨らんでおり、その内部に自動搬送機構3が収容されている。第3開閉部30の左部分の上面の一部を覆うカバー部材31は、図1に二点鎖線で示すように展開されることにより、シート状の原稿を支持する原稿トレイとして機能する。
【0027】
図2に示すように、第2開閉部20の後方を向く側面と、第3開閉部30の後方を向く側面との間には、第3ヒンジ39が配置されている。第3ヒンジ39は、第3開閉部30を第2開閉部20に連結している。第3開閉部30は、第3ヒンジ39によって、左右方向に延びる第3開閉軸心X3周りに開閉可能となっている。
【0028】
第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態で、本体部50、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30における後方を向く側面によって複合機1の後面が構成されている。第1ヒンジ19、第2ヒンジ29及び第3ヒンジ39は、複合機1の後面側に配置されている。
【0029】
画像形成ユニット5は、周知の構成であるので図示及び説明を簡略するが、シートカセット5Cに収容されたシートSHを略S次形状の搬送経路P1に沿って搬送し、その途中で、プロセスカートリッジ5P、露光用LEDヘッド5E、定着器5F等を用いてそのシートSHに画像を形成した後、排出トレイ15に排出する。
【0030】
本実施例では、画像形成ユニット5のうち、露光用LEDヘッド5E等の一部の部品が第1開閉部10に設けられており、その他は本体部50に設けられている。
【0031】
第1開閉部10を本体部50に対して開くことで、露光用LEDヘッド5E等が収容部9内のプロセスカートリッジ5P等に対して上方に離間する。これにより、ユーザがプロセスカートリッジ5P等の消耗品の交換作業や、搬送経路P1の途中で詰まったシートSHの除去作業等を容易に実施できる。
【0032】
また、第2開閉部20を第1開閉部10に対して開くことで、第2開閉部20の底面が排出トレイ15に対して上方に離間する。これにより、ユーザが排出トレイ15に排出されたシートSHの取り出し作業や、搬送経路P1から排出されるときに詰まったシートSHの除去作業等を容易に実施できる。
【0033】
読取ユニット2も、周知の構成であるので図示及び説明を簡略するが、第2開閉部20の上面に配置されたプラテンガラス20Gに読取対象の原稿が載置されると、そのプラテンガラス20Gの下方で読取センサ20Sを移動させながらその原稿の画像を読み取る。
【0034】
第3開閉部30を第2開閉部20に対して開くことで、第3開閉部30の底面が第2開閉部20の上面に対して上方に離間し、プラテンガラス20Gが露出する。これにより、ユーザがプラテンガラス20G上に読取対象の原稿を載置できる。
【0035】
自動搬送機構3も、周知の構成であるので図示及び説明を簡略するが、図1に二点鎖線で示すように展開されたカバー部材31に載置された原稿を順次搬送して第2開閉部20の上面に設定された読取位置を通過させ、その読取位置の下方に停止した読取センサ20Sにその読取位置を通過する原稿の画像を読み取らせた後、その原稿を排出トレイ36に排出する。
【0036】
<第1ロック機構列及び第2ロック機構列の構成>
図3図5に示すように、複合機1は、第1ロック機構列100及び第2ロック機構列200をさらに備えている。
【0037】
図3及び図5に示すように、第1ロック機構列100は、複合機1の左面側に設けられている。第1ロック機構列100は、機械的に連動する上側ロック機構130及び第1中間ロック機構120を有している。
【0038】
図4及び図5に示すように、第2ロック機構列200は、複合機1の右面側に設けられている。第2ロック機構列200は、機械的に連動する第2中間ロック機構220及び下側ロック機構210を有している。
【0039】
それらの構成を以下に詳しく説明する。なお、それらの構成の説明において、上下方向及び前後方向について、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態を基準とする。
【0040】
<第1ロック機構列の第1中間ロック機構の構成>
図3及び図5に示すように、第1中間ロック機構120は、第2開閉軸心X2が延びる左右方向において、第1開閉部10及び第2開閉部20の一端側、すなわち左面側に配置されている。第1中間ロック機構120は、下側当接部121、下側リンク部材123、下側付勢部123S及び下側係止部129を有している。
【0041】
下側当接部121は、本体部50に設けられている。下側当接部121は、本体部50の左面を構成する壁の内側に配置されている。
【0042】
より詳しくは、下側当接部121は、上向きに突出する逆U字形状の凸部である。下側当接部121の上端には、下側当接面121Aが後向きに緩やかに下り傾斜するように形成されている。図3に示すように、下側当接面121Aは、上下方向において本体部50の上端縁と略同じ高さに配置され、かつ前後方向において本体部50の中間部に配置されている。
【0043】
図3及び図5に示すように、下側リンク部材123は、第1開閉部10に揺動可能に支持されている。下側リンク部材123は、第1開閉部10の左壁部17Lの内部に配置されている。
【0044】
より詳しくは、下側リンク部材123は、左右方向に突出する揺動軸123Tが左壁部17Lの内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸123T周りに揺動可能である。
【0045】
下側リンク部材123は、被当接部123A、係止爪123C及び伝達部123Bを含んでいる。
【0046】
被当接部123Aは、下側リンク部材123における揺動軸123Tよりも下方かつ後方に位置する下端部に形成された湾曲凸部であり、下向きに膨らんでいる。第1開閉部10が閉じた状態では、被当接部123Aは、下側当接部121の下側当接面121Aに当接している。
【0047】
係止爪123Cは、下側リンク部材123における揺動軸123Tよりも上方かつ前方に位置する上端部に形成された鍵爪であり、後向きに突出した後に下向きに折れ曲がっている。
【0048】
伝達部123Bは、下側リンク部材123の上端部に形成された角部であり、前向きに突出している。
【0049】
図3に示すように、下側付勢部123Sは、下側リンク部材123と第1開閉部10との間に設けられている。下側付勢部123Sの一端は、下側リンク部材123における揺動軸123Tと係止爪123Cとの中間部に係止されている。下側付勢部123Sの他端は、第1開閉部10の左壁部17Lの内壁面に係止されている。
【0050】
下側付勢部123Sは、下側リンク部材123を図3の紙面に向かって反時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。第1開閉部10が閉じた状態では、下側当接部121の下側当接面121Aが下側リンク部材123の被当接部123Aに当接して下側付勢部123Sに抗して下側リンク部材123を図3に示す位置に揺動させ、下側リンク部材123をその位置に維持する。
【0051】
図3及び図5に示すように、下側係止部129は、第2開閉部20に設けられている。下側係止部129は、第2開閉部20の底面の左端縁側に配置されている。
【0052】
より詳しくは、下側係止部129は、図3に示すように、第2開閉部20の底面における前後方向の中間部から下向きに延びてその下端部に鍵爪が形成され、その鍵爪が前向きに突出した後に上向きに折れ曲がっている。第1開閉部10が閉じた状態では、下側リンク部材123の係止爪123Cは、下側係止部129から前方に離間している。これにより、第1中間ロック機構120は、第2開閉部20が第1開閉部10に対して開かないようにするロックを解除している。
【0053】
図6に示すように、第1中間ロック機構120は、第1開閉部10が開き始めたときに、下側当接部121の下側当接面121Aが下側リンク部材123の被当接部123Aから離間し、下側リンク部材123が下側付勢部123Sに付勢されて図6の紙面に向かって反時計方向に揺動することにより、下側リンク部材123の係止爪123Cによって下側係止部129を係止させる。これにより、第1中間ロック機構120は、第2開閉部20を第1開閉部10に対して開かないようにロックする。
【0054】
<第1ロック機構列の上側ロック機構の構成>
図3及び図5に示すように、上側ロック機構130は、リンク部材131、133、付勢部131S、133S及び係止部139を有している。
【0055】
リンク部材131は、第1開閉部10に揺動可能に支持されている。リンク部材131は、第1開閉部10の左壁部17Lの内部に配置されている。
【0056】
より詳しくは、リンク部材131は、左右方向に突出する揺動軸131Tが左壁部17Lの内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸131T周りに揺動可能である。リンク部材131の揺動軸131Tは、下側リンク部材123の揺動軸123Tに対して前方かつ上方に離間している。
【0057】
リンク部材131は、被伝達部131B及び当接部131Aを含んでいる。
【0058】
被伝達部131Bは、リンク部材131における揺動軸131Tよりも後方に形成された平坦面であり、後を向きながら揺動軸131Tよりも下方に延びている。第1開閉部10が閉じた状態では、被伝達部131Bは、下側リンク部材123の伝達部123Bに当接している。
【0059】
当接部131Aは、リンク部材131における揺動軸131Tよりも前方かつ上方に形成された平坦面であり、上を向きながら前後方向に延びている。第1開閉部10が閉じた状態では、当接部131Aは、上下方向において第1開閉部10の上端縁から僅かに突出するように配置され、かつ前後方向において第1開閉部10の前部分に配置されている。
【0060】
図3に示すように、付勢部131Sは、リンク部材131と第1開閉部10との間に設けられている。付勢部131Sの一端は、リンク部材131における揺動軸131Tから前方かつ下方に離れた部分に係止されている。付勢部131Sの他端は、第1開閉部10の左壁部17Lの内壁面に係止されている。
【0061】
付勢部131Sは、リンク部材131を図3の紙面に向かって時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。第1開閉部10が閉じた状態では、下側リンク部材123の伝達部123Bがリンク部材131の被伝達部131Bに当接して付勢部131Sに抗してリンク部材131を図3に示す位置に揺動させ、リンク部材131をその位置に維持する。
【0062】
図3及び図5に示すように、リンク部材133は、第2開閉部20に揺動可能に支持されている。リンク部材133は、第2開閉部20の左面側に配置されている。
【0063】
より詳しくは、リンク部材133は、左右方向に突出する揺動軸133Tが第2開閉部20の内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸133T周りに揺動可能である。リンク部材133の揺動軸133Tは、リンク部材131の揺動軸131Tに対して前方かつ上方に離間している。
【0064】
リンク部材133は、被当接部133A及び係止爪133Cを含んでいる。
【0065】
被当接部133Aは、リンク部材133における揺動軸133Tよりも下方かつ前方に位置する下端部に形成された湾曲凸部であり、下向きに膨らんでいる。第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態では、被当接部133Aは、リンク部材131の当接部131Aに当接している。
【0066】
係止爪133Cは、リンク部材133における揺動軸133Tよりも上方かつ後方に位置する上端部に形成された鍵爪であり、前向きに突出した後に下向きに折れ曲がっている。
【0067】
図3に示すように、付勢部133Sは、リンク部材133と第2開閉部20との間に設けられている。付勢部133Sの一端は、リンク部材133における被当接部133Aの近傍に係止されている。付勢部133Sの他端は、第2開閉部20の左面側の内壁面に係止されている。
【0068】
付勢部133Sは、リンク部材133を図3の紙面に向かって時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態では、リンク部材131の当接部131Aがリンク部材133の被当接部133Aに当接して付勢部133Sに抗してリンク部材133を図3に示す位置に揺動させ、リンク部材133をその位置に維持する。
【0069】
図3及び図5に示すように、係止部139は、第3開閉部30に設けられている。係止部139は、第3開閉部30の底面の左端縁側かつ前端縁側に配置されている。
【0070】
より詳しくは、係止部139は、第2開閉部20の底面から下向きに延びてその下端部に鍵爪が形成され、その鍵爪が後向きに突出した後に上向きに折れ曲がっている。第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態では、リンク部材133の係止爪133Cは、係止部139から後方に離間している。これにより、上側ロック機構130は、第3開閉部30が第2開閉部20に対して開かないようにするロックを解除している。
【0071】
図7に示すように、上側ロック機構130は、第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態では、リンク部材133の係止爪133Cが係止部139から離間していることにより、第3開閉部30が開くことを許容する。
【0072】
図6に示すように、上側ロック機構130は、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態で第1開閉部10が開き始めたときに、第1中間ロック機構120の下側リンク部材123が図6の紙面に向かって反時計方向に揺動することにより、下側リンク部材123の伝達部123Bがリンク部材131の被伝達部131Aから離間し、リンク部材131が付勢部131Sに付勢されて図6の紙面に向かって時計方向に揺動する。すると、リンク部材131の当接部131Aがリンク部材133の被当接部133Aから離間し、リンク部材133が付勢部133Sに付勢されて図6の紙面に向かって時計方向に揺動することにより、リンク部材133の係止爪133Cによって係止部139を係止させる。これにより、上側ロック機構130は、第3開閉部30を第2開閉部20に対して開かないようにロックする。
【0073】
図8に示すように、上側ロック機構130は、第1開閉部10及び第3開閉部30が閉じた状態で第2開閉部20が開き始めたときに、リンク部材131の当接部131Aがリンク部材133の被当接部133Aから離間し、リンク部材133が付勢部133Sに付勢されて図8の紙面に向かって時計方向に揺動することにより、リンク部材133の係止爪133Cによって係止部139を係止させる。これにより、上側ロック機構130は、第3開閉部30を第2開閉部20に対して開かないようにロックする。
【0074】
<第1ロック機構列の動作のまとめ>
図7に示すように、第1ロック機構列100は、第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態で、第3開閉部30が開くことを許容する。
【0075】
図6に示すように、第1ロック機構列100は、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態で第1開閉部10が開き始めたときには、上側ロック機構130によって第3開閉部30をロックするとともに、第1中間ロック機構120によって第2開閉部20をロックする。
【0076】
図8に示すように、第1ロック機構列100は、第1開閉部10及び第3開閉部30が閉じた状態で第2開閉部20が開き始めたときには、上側ロック機構130によって第3開閉部30をロックする。
【0077】
つまり、第1ロック機構列100は、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの開いた開閉部よりも上方の開閉部をロックする。
【0078】
<第2ロック機構列の第2中間ロック機構の構成>
図4及び図5に示すように、第2中間ロック機構220は、第2開閉軸心X2が延びる左右方向において、第1開閉部10及び第2開閉部20の他端側、すなわち右面側に配置されている。第2中間ロック機構220は、上側当接部221、上側リンク部材223、上側付勢部223S及び上側係止部229を有している。
【0079】
上側当接部221は、第3開閉部30に設けられている。上側当接部221は、第3開閉部30の底面の右端縁側かつ前端縁側に配置されている。上側当接部221は、第3開閉部30の底面から下向きに突出するブロック形状の凸部である。
【0080】
上側リンク部材223は、第2開閉部20に揺動可能に支持されている。上側リンク部材223は、第2開閉部20の右面側に配置されている。
【0081】
より詳しくは、上側リンク部材223は、左右方向に突出する揺動軸223Tが第2開閉部20の内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸223T周りに揺動可能である。
【0082】
上側リンク部材223は、被当接部223A、係止爪223C及び伝達部223Bを含んでいる。
【0083】
被当接部223Aは、上側リンク部材223における揺動軸223Tよりも上方かつ前方に位置する上端部に形成された凸部であり、上向きに突出している。第3開閉部30が閉じた状態では、被当接部223Aは、上側当接部221に当接している。
【0084】
係止爪223Cは、上側リンク部材223における揺動軸223Tよりも下方かつ後方に位置する下端部に形成された鍵爪であり、前向きに突出した後に上向きに折れ曲がっている。
【0085】
伝達部223Bは、上側リンク部材223における揺動軸223Tと被当接部223Aとの中間部に形成された角部であり、前向きかつ下向きに突出している。
【0086】
図4に示すように、上側付勢部223Sは、上側リンク部材223と第2開閉部20との間に設けられている。上側付勢部223Sの一端は、上側リンク部材223における被当接部223Aの近傍に係止されている。上側付勢部223Sの他端は、第2開閉部20の右面側の内壁面に係止されている。
【0087】
上側付勢部223Sは、上側リンク部材223を図4の紙面に向かって時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。第3開閉部30が閉じた状態では、上側当接部221が上側リンク部材223の被当接部223Aに当接して上側付勢部223Sに抗して上側リンク部材223を図4に示す位置に揺動させ、上側リンク部材223をその位置に維持する。
【0088】
図4及び図5に示すように、上側係止部229は、第1開閉部10に設けられている。上側係止部229は、第1開閉部10の右壁部17Rの上端部に配置されている。
【0089】
より詳しくは、上側係止部229は、図4に示すように、第1開閉部10の上端部における前後方向の中間部から上向きに延びてその上端部に鍵爪が形成され、その鍵爪が後向きに突出した後に下向きに折れ曲がっている。第3開閉部30が閉じた状態では、上側リンク部材223の係止爪223Cは、上側係止部229から後方に離間している。これにより、第2中間ロック機構220は、第2開閉部20が第1開閉部10に対して開かないようにするロックを解除している。
【0090】
図9に示すように、第2中間ロック機構220は、第3開閉部30が開き始めたときに、上側当接部221が上側リンク部材223の被当接部223Aから離間し、上側リンク部材223が上側付勢部223Sに付勢されて図9の紙面に向かって時計方向に揺動することにより、上側リンク部材223の係止爪223Cによって上側係止部229を係止させる。これにより、第2中間ロック機構220は、第2開閉部20を第1開閉部10に対して開かないようにロックする。
【0091】
<第2ロック機構列の下側ロック機構の構成>
図4及び図5に示すように、下側ロック機構210は、リンク部材211、212、直動部材213、ハンドル部材214、付勢部211S、213S、214S及び係止部219、219を有している。
【0092】
リンク部材211は、第2開閉部20に揺動可能に支持されている。リンク部材211は、第2開閉部20の右面側に配置されている。
【0093】
より詳しくは、リンク部材211は、左右方向に突出する揺動軸211Tが第2開閉部20の内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸211T周りに揺動可能である。リンク部材211の揺動軸211Tは、上側リンク部材223の揺動軸223Tに対して前方かつ下方に離間している。
【0094】
リンク部材211は、被伝達部211B及び当接部211Aを含んでいる。
【0095】
被伝達部211Bは、リンク部材211における揺動軸211Tよりも前方かつ上方に形成された湾曲凸部であり、上向きに膨らんでいる。第3開閉部30が閉じた状態では、被伝達部211Bは、上側リンク部材223の伝達部223Bに当接している。
【0096】
当接部211Aは、リンク部材211における揺動軸211Tよりも前方かつ上方に形成された角部であり、下向きに突出している。第3開閉部30が閉じた状態では、当接部211Aは、上下方向において第2開閉部20の底面から突出するように配置され、かつ上側係止部229よりも前方に配置されている。
【0097】
図4に示すように、付勢部211Sは、リンク部材211と第2開閉部20との間に設けられている。付勢部211Sの一端は、リンク部材211から前向きに突出する突起に係止されている。付勢部211Sの他端は、第2開閉部20の右面側の内壁面に係止されている。
【0098】
付勢部211Sは、リンク部材211を図4の紙面に向かって時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。第3開閉部30が閉じた状態では、上側リンク部材223の伝達部223Bがリンク部材211の被伝達部211Bに当接して付勢部211Sに抗してリンク部材211を図4に示す位置に揺動させ、リンク部材211をその位置に維持する。
【0099】
図4及び図5に示すように、リンク部材212は、第1開閉部10に揺動可能に支持されている。リンク部材212は、第1開閉部10の右壁部17Rの内部に配置されている。
【0100】
より詳しくは、リンク部材212は、左右方向に突出する揺動軸212Tが右壁部17Rの内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸212T周りに揺動可能である。リンク部材212の揺動軸212Tは、リンク部材211の揺動軸211Tに対して後方かつ下方に離間している。
【0101】
リンク部材212は、被当接部212A及び挿入部212Cを含んでいる。
【0102】
被当接部212Aは、リンク部材212における揺動軸212Tよりも前方に延びる部分の上面に形成された平坦面である。第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態では、被当接部212Aは、リンク部材211の当接部211Aに当接している。
【0103】
挿入部212Cは、リンク部材212における揺動軸212Tよりも下方に延びる部分の下端部である。
【0104】
直動部材213は、第1開閉部10の右面側、かつ下端側に配置されて、前後方向に延びる略棒状体である。直動部材213の後端部には、リンク部材212の挿入部212Cが挿入されている。図4に示すように、直動部材213は、その前部分が直動ガイド10Gに案内されることにより、前後方向に直動可能に第1開閉部10に支持されている。
【0105】
付勢部213Sは、直動部材213と第1開閉部10との間に設けられている。付勢部213Sの一端は、直動部材213の後端部に係止されている。付勢部213Sの他端は、第1開閉部10の右面側の内壁面に係止されている。
【0106】
付勢部213Sは、直動部材213を前向きに直動させるとともにリンク部材212を図4の紙面に向かって時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態では、リンク部材211の当接部211Aがリンク部材212の被当接部212Aに当接して付勢部213Sに抗してリンク部材212を図4に示す位置に揺動させ、直動部材213を図4に示す位置に直動させ、リンク部材212及び直動部材213をそれぞれの位置に維持する。
【0107】
図4及び図5に示すように、ハンドル部材214は、第1開閉部10内の前面側かつ下端側に配置されて、左右方向に延びている。ハンドル部材214は、左右方向の両端部に形成された揺動軸214Tが第1開閉部10の内部に配置された図示しないフレーム部材に軸支されることにより、揺動軸214T周りに揺動可能である。
【0108】
ハンドル部材214の中間部には、ハンドル214Hが形成されている。図1に示すように、ハンドル214Hは、第1開閉部10の前面の下端から露出しており、第1開閉部10を開くときに、ユーザによって押し上げられる。
【0109】
ハンドル部材214における左右方向の両端部には、係止爪214C、214Cが形成されている。係止爪214C、214Cは、ハンドル部材214の両端部から下向きに延びた後、後向きに折れ曲がっている。
【0110】
図4に示すように、付勢部214Sは、ハンドル部材214と第1開閉部10との間に設けられている。付勢部214Sの一端は、ハンドル部材214の上面の前端側に係止されている。付勢部214Sの他端は、第1開閉部10の前面側の内壁面に係止されている。
【0111】
付勢部214Sは、ハンドル部材214を図4の紙面に向かって反時計方向に揺動させる付勢力を発揮する。ハンドル214Hがユーザによって押し上げられていない状態では、付勢部214Sは、ハンドル部材214を図4に実線で示す位置に維持する。ユーザが付勢部214Sの付勢力に抗してハンドル214Hを押し上げると、ハンドル部材214は、図4に二点鎖線で示す位置に揺動する。
【0112】
図4及び図5に示すように、係止部219、219は、本体部50に設けられている。左方の係止部219は、本体部50の左面を構成する壁の内側、かつ本体部50の前面側に配置されている。右方の係止部219は、本体部50の右面を構成する壁の内側、かつ本体部50の前面側に配置されている。
【0113】
より詳しくは、係止部219、219は、ハンドル部材214の係止爪214C、214Cに対応する位置で、上向きに延びた後、前向きに折れ曲がっている。図4に実線で示すように、ハンドル214Hがユーザによって押し上げられていない状態では、ハンドル部材214の係止爪214C、214Cが係止部219、219を係止している。図4に二点鎖線で示すように、ハンドル214Hがユーザによって押し上げられると、ハンドル部材214の係止爪214C、214Cが係止部219、219から前方に離間する。
【0114】
第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態では、直動部材213の前端は、ハンドル部材214から後方に離間して、ハンドル部材214の揺動を許容している。これにより、下側ロック機構210は、第1開閉部10が本体部50に対して開かないようにするロックを解除している。
【0115】
図10に示すように、下側ロック機構210は、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態では、ユーザがハンドル214Hを押し上げることを前提として第1開閉部10が開くことを許容する。
【0116】
図9に示すように、下側ロック機構210は、第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態で第3開閉部30が開き始めたときに、第2中間ロック機構220の上側リンク部材223が図9の紙面に向かって時計方向に揺動することにより、上側リンク部材223の伝達部223Bがリンク部材211の被伝達部211Aから離間し、リンク部材211が付勢部211Sに付勢されて図9の紙面に向かって時計方向に揺動する。すると、リンク部材211の当接部211Aがリンク部材212の被当接部212Aから離間し、リンク部材212が付勢部213Sに付勢されて図9の紙面に向かって時計方向に揺動し、直動部材213が付勢部213Sに付勢されて前向きに直動することにより、直動部材213の前端部がハンドル部材214の上面に隣接する状態となる。その結果、ハンドル部材214の揺動が規制され、ユーザがハンドル214Hを押し上げ不能となる。これにより、下側ロック機構210は、第1開閉部10を本体部50に対して開かないようにロックする。
【0117】
図11に示すように、下側ロック機構210は、第1開閉部10及び第3開閉部30が閉じた状態で第2開閉部20が開き始めたときに、リンク部材211の当接部211Aがリンク部材212の被当接部212Aから離間し、リンク部材212が付勢部213Sに付勢されて図11の紙面に向かって時計方向に揺動し、直動部材213が付勢部213Sに付勢されて前向きに直動することにより、直動部材213の前端部がハンドル部材214の上面に隣接する状態となる。その結果、ハンドル部材214の揺動が規制され、ユーザがハンドル214Hを押し上げ不能となる。これにより、下側ロック機構210は、第1開閉部10を本体部50に対して開かないようにロックする。
【0118】
<第2ロック機構列の動作のまとめ>
図10に示すように、第2ロック機構列200は、第2開閉部20及び第3開閉部30が閉じた状態で、ユーザがハンドル214Hを押し上げることを前提として第1開閉部10が開くことを許容する。
【0119】
図9に示すように、第2ロック機構列200は、第1開閉部10及び第2開閉部20が閉じた状態で第3開閉部30が開き始めたときには、下側ロック機構210によって第1開閉部10をロックするとともに、第2中間ロック機構220によって第2開閉部20をロックする。
【0120】
図11に示すように、第2ロック機構列200は、第1開閉部10及び第3開閉部30が閉じた状態で第2開閉部20が開き始めたときには、下側ロック機構210によって第1開閉部10をロックする。
【0121】
つまり、第2ロック機構列200は、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの開いた開閉部よりも下方の開閉部をロックする。
【0122】
<作用効果>
実施例の複合機1では、図6図11に示すように、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちのいずれか1つが開き始めたときに、上側ロック機構130、第1中間ロック機構120、第2中間ロック機構220及び下側ロック機構210のうちの少なくとも2つによって、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの閉じている残りをロックする。このため、それらのうちの閉じている残りがユーザの急激な開操作等によって意図に反して開いてしまうことを確実性高く抑制できる。その結果、この複合機1では、装置全体の重心が後向きに大きく移動することを抑制できる。
【0123】
したがって、実施例の複合機1では、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のいずれか1つを開くときに装置全体が転倒する不具合を確実性高く抑制できる。
【0124】
さらに、この複合機1では、図5に示すように、上側ロック機構130及び第1中間ロック機構120と、第2中間ロック機構220及び下側ロック機構210とが互いに異なる2つの機構列、すなわち第1ロック機構列100と第2ロック機構列200とに分かれているので、第1ロック機構列100及び第2ロック機構列200の一方に破損等の不具合が発生しても、第1ロック機構列100及び第2ロック機構列200の他方に影響が及び難い。また、第2開閉部20は、図6及び図9に示すように、2つのロック機構、すなわち第1中間ロック機構120及び第2中間ロック機構220によってロック可能であるので、第1中間ロック機構120及び第2中間ロック機構220の一方が破損しても、第1中間ロック機構120及び第2中間ロック機構220の他方が第2開閉部20をロックできる。その結果、この複合機1では、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のいずれか1つを開くときに上側ロック機構130、第1中間ロック機構120、第2中間ロック機構220及び下側ロック機構210のうちの1つが破損したとしても、少なくとも第2開閉部20が開くことを確実性高く抑制でき、その結果、装置全体が転倒する不具合を一層確実性高く抑制できる。
【0125】
また、この複合機1では、図6図8に示すように、第1ロック機構列100は、上記構成により、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの開いた開閉部よりも上方の開閉部をロックする。図9図11に示すように、第2ロック機構列200は、上記構成により、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの開いた開閉部よりも下方の開閉部をロックする。このため、この複合機1では、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちのいずれか1つが開き始めたときに、それらのうちの閉じている残りを確実性高くロックできる。
【0126】
さらに、図9に示すように、第3開閉部30が開いたときに下側ロック機構210の例えば係止部219、219や係止爪214C、214Cが破損して図12に示すように第1開閉部10も開き始めると、第1中間ロック機構120が第2開閉部20をロックする状態に切り替わる。また、図6に示すように、第1開閉部10が開いたときに上側ロック機構130の例えば係止部139や係止爪133Cが破損して図13に示すように第3開閉部30も開き始めると、第2中間ロック機構220が第2開閉部20をロックする状態に切り替わる。その結果、第1中間ロック機構120と第2中間ロック機構220とが第2開閉部20を同時にロックできる。
【0127】
また、この複合機1では、第1中間ロック機構120が下側当接部121、下側リンク部材123、下側付勢部123S及び下側係止部129を有し、第2中間ロック機構220が上側当接部221、上側リンク部材223、上側付勢部223S及び上側係止部229を有している。このような構成により、この複合機1では、第3開閉部30が開いたときに第2ロック機構列200の下側ロック機構210が破損して第1開閉部10も開き始めると図12に示すように第1ロック機構列100の第1中間ロック機構120がロックに切り替わる動作、及び、第1開閉部10が開いたときに第1ロック機構列100の上側ロック機構130が破損して第3開閉部30も開き始めると図13に示すように第2ロック機構列200の第2中間ロック機構220がロックに切り替わる動作、を確実に実行できる。
【0128】
さらに、この複合機1では、図3図5に示すように、第1中間ロック機構120と第2中間ロック機構220とが第1開閉部10及び第2開閉部20の左面側と右面側とに配置されて第2開閉部20を第1開閉部10に対して開かないようにロック可能である。これにより、この複合機1では、ユーザが開こうとする力等の外力が第2開閉部20の様々な部位に作用するときに、第1中間ロック機構120及び第2中間ロック機構がその外力に確実に対抗できる。
【0129】
また、この複合機1では、図2に示すように、第1ヒンジ19、第2ヒンジ29及び第3ヒンジ39が複合機1の後面側に配置されている。この構成において、仮に何ら対策を施さない場合を想定する。この場合、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの少なくとも2つが同時に開くと、第3開閉部30が後面よりも後方に傾斜する状態となり易く、装置全体の重心が後方に大きく移動し易い。この点、この複合機1では、上記構成により、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のうちの少なくとも2つが同時に開くことを抑制し、装置全体の重心が後方に大きく移動することを抑制できる。また、第1開閉部10、第2開閉部20及び第3開閉部30のいずれか1つを開くときに上側ロック機構130、第1中間ロック機構120、第2中間ロック機構220及び下側ロック機構210のうちの1つが破損したとしても、少なくとも第2開閉部20が開くことを確実性高く抑制できる。その結果、この複合機1では、装置全体が転倒する不具合を一層確実性高く抑制できる。
【0130】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は例えば、画像読取装置及び画像形成装置を備える複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
1…複合機、50…本体部、10…第1開閉部、20…第2開閉部
30…第3開閉部、SH…シート、5…画像形成ユニット
2…読取ユニット、3…自動搬送機構、130…上側ロック機構
120…第1中間ロック機構、100…第1ロック機構列
220…第2中間ロック機構、210…下側ロック機構
200…第2ロック機構列、121…下側当接部
123…下側リンク部材、123S…下側付勢部、129…下側係止部
221…上側当接部、223…上側リンク部材、223S…上側付勢部
229…上側係止部、X2…開閉軸心(第2開閉軸心)
19…第1ヒンジ、29…第2ヒンジ、39…第3ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13