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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】表示装置及び遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231011BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231011BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20231011BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231011BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
F21S2/00 433
F21S2/00 435
A63F13/25
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019207432
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021078622
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
(72)【発明者】
【氏名】森 正徳
(72)【発明者】
【氏名】奥田 満
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓真
【審査官】武田 知晋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299117(JP,A)
【文献】特開2011-237692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
F21S 2/00
A63F 13/25
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、
前記入射面と対向するように配置される光源とを有し、
前記導光板は、
前記導光板の一方の面に、前記パターンに沿って配列され、前記光源から発して前記入射面から導光板内に入射した光を前記導光板の出射面から出射させるように反射する複数のプリズムと、
前記出射面の少なくとも一部を覆うように、前記導光板の屈折率よりも低い屈折率を有し、かつ透明な保護層とを有し、
前記保護層に、前記出射面の法線方向において前記パターンと重ならないように前記出射面から出射した光を拡散する拡散層が形成される、
表示装置。
【請求項2】
前記保護層の一部に加飾印刷が施され、かつ、前記複数のプリズムは前記出射面に形成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
遊技機本体と、
前記遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた表示装置とを有し、
前記表示装置は、
透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、
前記入射面と対向するように配置される光源とを有し、
前記導光板は、
前記導光板の一方の面に、前記パターンに沿って配列され、前記光源から発して前記入射面から導光板内に入射した光を、前記導光板の遊技者と対向する側の出射面から出射させるように反射する複数のプリズムと、
前記出射面の少なくとも一部を覆うように、前記導光板の屈折率よりも低い屈折率を有し、かつ透明な保護層とを有し、
前記保護層に、前記出射面の法線方向において前記パターンと重ならないように前記出射面から出射した光を拡散する拡散層が形成される、
遊技機。
【請求項4】
前記保護層の一部に加飾印刷が施され、かつ、前記複数のプリズムは前記出射面に形成される、請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を用いてパターンを表示可能な表示装置、及び、そのような表示装置を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導光板内に、所定のパターンに沿って複数のプリズムを配列し、光源から発して導光板内を伝搬する光をその複数のプリズムにて観察者の方へ向けて反射することで、その所定のパターンを表示する表示装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-206240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、導光板内を全反射しながら光が伝搬している。そのため、導光板の何れかの面に傷がつき、あるいは、導光板の何れかの面に汚れが付着すると、その傷または汚れにより、導光板内を伝搬する光が散乱または反射されて導光板から出射することがある。このような場合、観察者は、表示されるパターンだけでなく、その傷または汚れも光って見えることがある。
【0005】
そこで、本発明は、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの形態として、表示装置が提供される。この表示装置は、透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、入射面と対向するように配置される光源とを有する。そして導光板は、導光板の一方の面に、そのパターンに沿って配列され、光源から発して入射面から導光板内に入射した光を導光板の出射面から出射させるように反射する複数のプリズムを有するとともに、出射面の少なくとも一部を覆うように、導光板の屈折率よりも低い屈折率を有し、かつ透明な保護層とを有する。
係る構成を有することにより、この表示装置は、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制することができる。
【0007】
この表示装置において、保護層に、出射面の法線方向において少なくとも一つのパターンと重なるように、そのパターンの形状に相似する形状を有し、出射面から出射した光を拡散する拡散層が形成されることが好ましい。
これにより、この表示装置は、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制しつつ、そのパターンを視認可能な範囲を広くすることができる。
【0008】
また、本発明の他の形態によれば、遊技機本体と、遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた表示装置とを有する遊技機が提供される。この遊技機において、表示装置は、透明な部材で形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、入射面を有する導光板と、入射面と対向するように配置される光源とを有する。そして導光板は、導光板の一方の面に、パターンに沿って配列され、光源から発して入射面から導光板内に入射した光を、導光板の遊技者と対向する側の出射面から出射させるように反射する複数のプリズムを有するとともに、出射面の少なくとも一部を覆うように、導光板の屈折率よりも低い屈折率を有し、かつ透明な保護層を有する。
係る構成を有することにより、この遊技機は、表示装置において、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一つの実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
図2】表示装置が有する導光板の概略正面図である。
図3図2の矢印AA’で示される線における導光板の概略側面断面図である。
図4】(a)は、導光板に形成されるプリズムの概略正面図である。(b)は、プリズムの概略側面図である。
図5】(a)は、比較例として、導光板の出射面に保護層が設けられない場合において、導光板に傷がつき、または汚れが付着した場合の導光板内の光の伝搬を説明する図である。(b)は、(a)に示される比較例についての、視認されるパターンなどを表す導光板の概略正面図である。
図6】(a)は、本実施形態による表示装置において、保護層に傷がつき、または汚れが付着した場合の導光板内の光の伝搬を説明する図である。(b)は、保護層に傷がつき、または汚れが付着した場合の、視認されるパターンを表す導光板の概略正面図である。
図7】(a)は、保護層内に拡散層が設けられる変形例による、拡散層の配置を示す導光板の概略正面図であり、(b)は、(a)の矢印BB’で示される線における導光板の概略側面断面図である。
図8】さらに他の変形例による、導光板の概略側面断面図である。
図9】実施形態または変形例による表示装置を有する弾球遊技機の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による表示装置を、図を参照しつつ説明する。この表示装置は、光源が発する光に対して透明な材料を板状に形成した導光板を有し、その導光板の一方の面が観察者に面する出射面として形成される。さらに、導光板の出射面を囲う周囲の側面の何れかが、光源と対向する入射面として形成される。出射面と反対側の導光板の他方の面には、光源から発し、導光板内に入射した光を出射面へ向けて反射する複数のプリズムが形成される。複数のプリズムのそれぞれは、表示装置が表示させる少なくとも一つのパターンに沿って配列される。そしてこの表示装置では、導光板の出射面の少なくとも一部を覆うように、導光板の屈折率よりも低い屈折率を有し、かつ透明な保護層が設けられる。導光板内を伝搬する光は、導光板の出射面にて全反射されるので、保護層に傷がつき、あるいは、保護層に汚れが付着しても、導光板内を伝搬する光は、その傷または汚れに達しない。そのため、この表示装置は、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制することができる。
なお、以下では、説明の便宜上、観察者と対向する側を正面とし、その反対側を背面とする。
【0011】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る表示装置の概略構成図である。表示装置1は、導光板2と、光源3と、記憶部4と、制御部5とを有する。
【0012】
導光板2は、光源3から発する光に対して透明な板状に形成された部材である。導光板2は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーといった、可視光に対して透明な樹脂を成型することで形成される。そして導光板2には、光源3の点灯によって表示可能な少なくとも一つのパターンが設けられる。本実施形態では、一つのパターン21が設けられるが、導光板2に複数のパターンが設けられてもよい。導光板2は、光源3が点灯している間、光源3からの光をその内部で伝搬させるとともに、背面側に形成された、パターン21を形成するように配列された複数のプリズム(詳細は後述)によりその光を正面側に位置する観察者へ向けて反射させる。これにより、観察者は、発光するパターン21を視認できるようになる。
なお、導光板2の詳細については後述する。
【0013】
光源3は、可視光を発する少なくとも一つの発光素子を有する。本実施形態では、光源3は、導光板2の一つの側面に形成される入射面2aと対向するように配置される。また、光源3が複数の発光素子を有する場合、それら複数の発光素子は、例えば、入射面2aの長手方向に沿って一列に並ぶように配置される。光源3が入射面2aの長手方向に沿って配置された複数の発光素子を有することで、観察者がパターン21を視認可能な位置範囲が広くなる。なお、光源3が有する各発光素子と入射面2aとの間に、各発光素子から発した光を平行光化するためのコリメートレンズが設けられてもよい。
【0014】
制御部5が光源3を点灯させている間、光源3から発した光は、入射面2aを介して導光板2内に入射する。入射した光は、導光板2内を伝搬した後に導光板2の背面2bに設けられた、パターン21を形成する複数のプリズムで反射されて正面側の出射面2cから出射する。
【0015】
なお、光源3が有する発光素子は、例えば、発光ダイオードである。
【0016】
記憶部4は、例えば、揮発性あるいは不揮発性のメモリ回路を有する。そして記憶部4は、光源3の点灯及び消灯のタイミングを表す点灯制御情報などを記憶する。
【0017】
制御部5は、例えば、プロセッサと、光源3を駆動するための駆動回路とを有する。そして制御部5は、点灯制御情報に従って、光源3の点灯及び消灯を制御する。
【0018】
制御部5は、導光板2の正面側において、導光板2の出射面側に位置する観察者からパターン21が見えるようにする場合には、光源3を点灯させる。また、観察者からパターン21が見えないようにする場合には、制御部5は、光源3を消灯させる。
【0019】
光源3を点灯または消灯させるタイミングは、点灯制御情報により指定される。したがって、制御部5は、点灯制御情報で示された点灯タイミングになると、光源3を点灯させ、パターン21が表示されるようにする。一方、制御部5は、点灯制御情報で示された消灯タイミングになると、光源3を消灯させ、パターン21が視認されないようにする。なお、光源3の全てを常に点灯させる場合には、制御部5は、点灯制御情報を参照せず、表示装置1が動作している間、常に各光源を点灯させてもよい。
【0020】
以下、導光板2の詳細について説明する。
【0021】
図2は、導光板2の概略正面図である。また図3は、図2の矢印AA’で示される線における、導光板2の概略側面断面図である。図2及び図3に示されるように、導光板2の側面の一つは、光源3と対向する入射面2aとして形成される。光線301で示されるように、光源3から発した光は入射面2aから導光板2の内部に入射する。そして導光板2の内部に入射した光源3からの光は、導光板2の背面2b、及び、導光板2の正面側に位置し、かつ、背面2bと対向する出射面2cにおいて全反射されながら、導光板2内を伝搬する。そして、導光板2内を伝搬した光源3からの光は、導光板2の背面2bに形成された、パターン21に沿って配列される複数のプリズム11のそれぞれにて全反射された後、導光板2の出射面2cから出射する。
【0022】
複数のプリズム11は、パターン21を形成するように、パターン21に沿って配列される。したがって、観察者は、光源3が点灯している間、発光して見えるパターン21を観察できる。なお、図2及び図3において、図の見易さの向上のために、各プリズムのサイズ及び導光板2の厚さは誇張されている点に留意されたい。
【0023】
図4(a)は、導光板2に形成されるプリズム11の概略正面図であり、図4(b)は、プリズム11の概略側面図である。プリズム11は、導光板の背面2bにおいて所定の長さを持つ三角柱状の溝として形成される。そしてプリズム11の二つの斜面の一方が光源3からの光を出射面2cへ向けて反射する反射面11aとして形成される。例えば、反射面11aは、導光板2へ入射した光源3からの光を全反射させて、出射面2cへ向ける角度、例えば、背面2bに対して40°~50°をなすように設けられる。
【0024】
また所定の長さは、パターン21内に複数のプリズム11を配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0025】
再度図3を参照すると、本実施形態では、出射面2cを覆うように、出射面2cにおいて導光板2と密着するように保護層22が設けられる。保護層22は、導光板2の屈折率よりも低い屈折率を有し、かつ、光源3からの光に対して透明な部材で形成される。保護層22は、光学樹脂のコーティング材として利用可能な材料、例えば、アクリル系、あるいはシリコン系の材料を導光板2の出射面2cに塗布し、あるいは、そのような材料を用いてインモールド成形することにより形成される。このような保護層22が設けられることで、傷または汚れによる、導光板2のパターン21以外の部分が光って見えることが防止される。なお、保護層22は、出射面2c全体を覆うように設けられてもよく、あるいは、出射面2cの一部だけを覆うように設けられてよい。例えば、保護層22は、パターン21の周囲のみを覆うように、あるいは、光源3からパターン21に至る、導光板2内を伝搬する光の経路に沿った部分のみを覆うように設けられてもよい。
【0026】
図5(a)は、比較例として、導光板2の出射面2cに保護層22が設けられない場合において、導光板2に傷がつき、または汚れが付着した場合の導光板2内の光の伝搬を説明する図である。また図5(b)は、図5(a)に示される比較例についての、視認されるパターンなどを表す導光板2の概略正面図である。
【0027】
図5(a)において複数の線501のそれぞれは、光源3からの光線を表す。この比較例では、各光線501に示されるように、光源3から発して導光板2の入射面2aから導光板2内に入射した光は、背面2b及び出射面2cで全反射されながら、導光板2内を伝搬する。そしてその光がパターン21に沿って配列された複数のプリズム11の何れかの反射面により反射されると、その反射された光の出射面2cに対する入射角が小さくなり、その結果として、プリズム11で反射された光は、出射面2cで全反射されずに、出射面2cから出射して、導光板2の正面側に位置する観察者500へ向かう。さらに、導光板2内を伝搬する光が、出射面2cに付いた傷502、または、出射面2cに付着した汚れ503に当たると、傷502または汚れ503にて反射または散乱され、導光板2から出射し、場合によっては、その出射した光は、観察者500へ向かう。そのため、図5(b)に示されるように、観察者からは、パターン21だけでなく、傷502及び汚れ503も光って見えることになる。
【0028】
図6(a)は、本実施形態による表示装置1において、保護層22に傷がつき、または汚れが付着した場合の導光板2内の光の伝搬を説明する図である。また図6(b)は、保護層22に傷がつき、または汚れが付着した場合の視認されるパターンを表す導光板2の概略正面図である。
【0029】
図6(a)において複数の線601のそれぞれは、光源3からの光線を表す。本実施形態においても、各光線601に示されるように、光源3から発して導光板2の入射面2aから導光板2内に入射した光は、導光板2の背面2b及び出射面2cで全反射されながら、導光板2内を伝搬する。そしてその光がパターン21に沿って配列された複数のプリズム11の何れかの反射面により反射されると、その反射された光の出射面2cに対する入射角が小さくなり、その結果として、プリズム11で反射された光は、出射面2cで全反射されずに、出射面2cから出射して、保護層22を透過して導光板2の正面側に位置する観察者600へ向かう。
【0030】
さらに、本実施形態では、保護層22の屈折率が導光板2の屈折率よりも低いため、導光板2内を伝搬する光は、導光板2と保護層22との界面となる出射面2cにて全反射されるので、保護層22には入射しない。そのため、保護層22に傷602がつき、あるいは、汚れ603が付着していても、導光板2内を伝搬する光は、傷602及び汚れ603に達しないので、傷602または汚れ603により導光板2外へ出射することもない。そのため、図6(b)に示されるように、観察者からは、パターン21は光って見えるものの、傷602及び汚れ603は視認可能とならない。
【0031】
以上に説明してきたように、この表示装置では、導光板に表示されるパターンに沿って複数のプリズムが配置され、光源から発して導光板内に入射した光をそれらのプリズムにより正面側へ向けて反射することで、パターンが表示される。さらに、この表示装置では、導光板の正面側に位置する出射面に、導光板の屈折率よりも低い屈折率を持つ保護層が設けられる。そのため、光源から発して導光板内に入射した光は、保護層と導光板との界面となる出射面にて全反射されながら導光板内を伝搬する。そのため、導光板内を伝搬する光は、保護層内には入射しないので、保護層に傷がつき、あるいは汚れが付着しても、その傷または汚れにより導光板内を伝搬する光が導光板から出射することが防止される。その結果として、この表示装置は、傷または汚れが光って見えることを防止できる。すなわち、この表示装置は、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制することができる。
【0032】
変形例によれば、保護層の一部に、保護層内に入射した光を拡散させるための拡散層が設けられてもよい。
【0033】
図7(a)は、保護層内に拡散層が設けられる変形例による、拡散層の配置を示す導光板の概略正面図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印BB’で示される線における導光板の概略側面断面図である。
図7(a)に示されるように、この例では、導光板2に設けられるパターン21と相似形状となり、かつ、出射面2cの法線方向から見て、パターン21と重なるように、保護層22に拡散層23が設けられる。拡散層23は、入射した光を拡散することができる光拡散性を有する樹脂といった部材により形成される。なお、拡散層23のサイズは、パターン21のサイズと同じでもよく、あるいは、パターン21のサイズよりも大きくてもよい。そのため、図7(b)に示される光線700のように、光源3から発して入射面2aから導光板2内に入射し、導光板2内を伝搬する光は、パターン21に沿って配列される複数のプリズム11の何れかにより反射されることで、導光板2の出射面2cを経て保護層22内に設けられた拡散層23に入射し、拡散層23にて拡散されることになる。そのため、パターン21を視認可能な範囲が広くなる。
【0034】
なお、この変形例においても、導光板2内を伝搬する光は、拡散層23が設けられるところ以外では、保護層22に入射しないので、上記の実施形態と同様に、保護層22の傷または汚れが光って見えることが防止される。
【0035】
さらに、この変形例において、拡散層23は、出射面2cの法線方向から見てパターン21と重ならないように設けられてよい。例えば、図7(a)において点線710で示される、パターン21の外周よりも外側の部分に拡散層23が形成されてもよい。この場合には、導光板2内を伝搬する光の一部が拡散層23にて導光板2外へ拡散されるため、パターン21の周囲が、相対的に広い範囲から淡く光って見えることになる。一方、出射面2cの正面における、出射面2cの法線方向に近い相対的に狭い範囲から、パターン21が光って見える。この変形例では、保護層22に傷がつき、あるいは汚れが付着しても、観察者は、その傷または汚れにより反射または拡散された光と、拡散層23にて拡散された光とを区別することは困難となる。そのため、この変形例でも、保護層22の傷または汚れは目立たない。
【0036】
なお、上記の実施形態または変形例において、導光板2の背面2bの少なくとも一部を覆うように、保護層22と同様の保護層(図示せず)が設けられてもよい。この場合も、導光板2内を伝搬する光の大部分は、導光板2の背面2bにて全反射され、背面2b側の保護層には入射しないので、導光板2の背面2b側の保護層についた傷または汚れが光って見えることも防止される。
【0037】
他の変形例によれば、保護層22の一部に、加飾印刷が施されてもよい。この場合には、加飾印刷が施された層(以下、印刷層と呼ぶ)に導光板2内を伝搬する光が入射して、その印刷層から光が漏出することを防止するために、その印刷層と導光板2の出射面2cとの間に、金属膜などで形成される反射層が設けられてもよい。
【0038】
さらに他の変形例によれば、パターンに沿って配列される各プリズムは、導光板の出射面に形成されてもよい。
【0039】
図8は、この変形例による、導光板の概略側面断面図である。この変形例では、導光板2の出射面2cに、導光板2に設けられるパターン21に沿って、複数のプリズム11が配列される。そして、導光板2の背面2bと対向するように、例えば、金属膜などで形成される反射層24が設けられる。さらに、上記の実施形態または変形例と同様に、導光板2の出射面2cの少なくとも一部を覆うように、保護層22が設けられる。なお、導光板2の背面2bと反射層24とは密着していてもよく、あるいは、背面2bと反射層24との間に空気層によるギャップが設けられてもよい。あるいはまた、背面2bと反射層24との間にも、保護層22と同様の保護層が設けられてもよい。
【0040】
この変形例によれば、光線800に示されるように、光源3から発して入射面2aから導光板2内に入射し、導光板2内を伝搬する光が何れかのプリズム11の反射面にて反射されると、導光板2の背面2b側に設けられた反射層24に対する、その反射された光の入射角が小さくなる。その結果として、その光は、反射層24で再度反射される。そして、反射層24で反射された光の出射面2cに対する入射角も小さくなるので、その光は出射面2cから出射し、保護層22を透過して、正面側に位置する観察者へ向かう。したがって、この変形例でも、光源3が点灯することで、観察者は、光って見えるパターン21を視認することができる。さらに、この変形例でも、導光板2内を伝搬する光は、保護層22内に入射しないので、保護層22についた傷または汚れが光って見えることが防止される。さらにまた、上記のように、導光板2の背面2bと反射層24との間に保護層が設けられることで、導光板2の背面2b側の保護層についた傷または汚れが光って見えることも防止される。なお、この変形例においても、保護層22内に、パターン21と相似形状を有し、かつ、出射面2cの法線方向においてパターン21と重なるように、拡散層が設けられてもよい。
【0041】
上記の実施形態または変形例による表示装置は、弾球遊技機または回胴遊技機といった遊技機に搭載されてもよい。
図9は、上記の実施形態または変形例による表示装置を有する弾球遊技機を遊技者側から見た、その弾球遊技機の概略斜視図である。図9に示すように、弾球遊技機100は、上部から中央部の大部分の領域に設けられ、遊技機本体である遊技盤101と、遊技盤101の下方に配設された球受け部102と、ハンドルを備えた操作部103と、遊技盤101の略中央に設けられた液晶ディスプレイ104と、液晶ディスプレイ104の前面に配置された、表示装置105とを有する。
【0042】
また弾球遊技機100は、遊技の演出のために、遊技盤101の前面において遊技盤101の下方または表示装置105の周囲に配置された役物106を有する。また遊技盤101の側方にはレール107が配設されている。また遊技盤101上には多数の障害釘(図示せず)及び少なくとも一つの入賞装置108が設けられている。
【0043】
操作部103は、遊技者の操作によるハンドルの回動量に応じて図示しない発射装置より所定の力で遊技球を発射する。発射された遊技球は、レール107に沿って上方へ移動し、多数の障害釘の間を落下する。そして遊技球が何れかの入賞装置108に入ったことを、図示しないセンサにより検知すると、遊技盤101の背面に設けられた主制御回路(図示せず)は、遊技球が入った入賞装置108に応じた所定個の遊技球を、玉払い出し装置(図示せず)を介して球受け部102へ払い出す。さらに主制御回路は、遊技盤101の背面に設けられた演出用CPU(図示せず)を介して液晶ディスプレイ104及び表示装置105を駆動する。そして演出用CPUは、遊技の状態に応じた点灯制御情報を含む制御信号を表示装置105へ送信する。
【0044】
表示装置105は、上記の実施形態または変形例による表示装置の一例であり、導光板の出射面が遊技者へ向くように遊技盤101に取り付けられる。そして表示装置105の制御部は、演出用CPUからの制御信号に含まれる点灯制御情報に従って、光源を点灯させることで、遊技者が、液晶ディスプレイ104に表示された映像とともに、パターンを視認できるようにする。あるいは、制御部は、点灯制御情報に従って、全ての光源を消灯して、遊技者が、導光板を介して液晶ディスプレイ104に表示された映像のみを観察できるようにしてもよい。表示装置105は、上記の実施形態または変形例と同様に、表示されるパターン以外の部分が光って見えることを抑制できる。
【0045】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 表示装置
2 導光板
2a 入射面
2b 背面
2c 出射面
3 光源
11 プリズム
11a 反射面
21 パターン
22 保護層
23 拡散層
24 反射層
4 記憶部
5 制御部
100 弾球遊技機
101 遊技盤
102 球受け部
103 操作部
104 液晶ディスプレイ
105 表示装置
106 役物
107 レール
108 入賞装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9