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特許7363402画面生成プログラム、画面生成方法および情報処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画面生成プログラム、画面生成方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A63B71/06 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019209178
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021078782
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ボクシングテスト大会 公開日 令和1年10月28日 日本放送協会(NHK) ニュースウォッチ9 公開日 令和1年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 公治
(72)【発明者】
【氏名】住田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】高田 友寛
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-502524(JP,A)
【文献】国際公開第2018/069985(WO,A1)
【文献】特開平05-007641(JP,A)
【文献】特開平08-332255(JP,A)
【文献】特開2016-077435(JP,A)
【文献】ボクシング、有効パンチ数を表示 東京五輪で導入検討,日本経済新聞 電子版[オンライン],2019年10月31日,[検索日 2020年3月6日],インターネット: <URL:https://www.nikkeicom/article/DGXLSSXK40307_R31C19A0000000/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/00 - 71/16
A63B 69/00 - 69/40
A63F 13/00 - 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
複数の選手による対戦競技の試合中において、複数の審判それぞれから、第一の入力または第二の入力を受け付け、
前記第一の入力または前記第二の入力の別と、いずれの前記選手に対する入力であるかとをそれぞれ識別可能な情報を取得し、
前記選手ごとに割り当てられた領域に、前記第一の入力の合計値および前記第二の入力の合計値とともに、前記合計値に応じた長さを有するゲージを表示する画面を、前記取得に応じて更新し、
いずれかの前記選手における、前記第一の入力の合計値が特定の値になった場合、または、前記ゲージの長さが特定の長さになった場合、複数の前記選手の前記第一の入力の合計値を示す前記ゲージの表示を、所定のルールに従い縮小して、画面を更新する
処理を実行させることを特徴とする画面生成プログラム。
【請求項2】
前記画面を更新する処理は、前記複数の選手の前記第一の入力の合計値を示すゲージ表示の長さを縮小する一方で、前記複数の選手の前記第一の入力の合計値は変更せずに前記画面を更新することを特徴とする請求項1に記載の画面生成プログラム。
【請求項3】
前記画面を更新する処理は、前記複数の選手の前記第一の入力の合計値を示すゲージ表示の長さを縮小した場合に、前記特定の長さ未満である前記複数の選手の前記第二の入力の合計値を示すゲージ表示の長さも、前記所定のルールに従い縮小して、前記画面を更新することを特徴とする請求項1に記載の画面生成プログラム。
【請求項4】
前記画面を更新する処理は、前記複数の選手の前記第一の入力の合計値を示すゲージ表示を前記所定のルールに従い縮小した後、前記第一の入力を受け付けると、前記第一の入力の合計値を縮小前と同様に更新する一方で、前記第一の入力の合計値を示すゲージ表示の長さを縮小割合に応じた縮尺で更新することを特徴とする請求項1に記載の画面生成プログラム。
【請求項5】
前記第一の入力は、前記複数の審判員それぞれによる採点結果の根拠となりうる第一の要素を示す入力であって、
前記第二の入力は、前記第一の要素とは異なる第二の要素を示す入力である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画面生成プログラム。
【請求項6】
前記対戦競技は打撃を伴う競技であって、
前記第一の要素は強い打撃であり、
前記第二の要素は上記強い打撃以外の打撃である
ことを特徴とする請求項5に記載の画面生成プログラム。
【請求項7】
コンピュータが、
複数の選手による対戦競技の試合中において、複数の審判それぞれから、第一の入力または第二の入力を受け付け、
前記第一の入力または前記第二の入力の別と、いずれの前記選手に対する入力であるかとをそれぞれ識別可能な情報を取得し、
前記選手ごとに割り当てられた領域に、前記第一の入力の合計値および前記第二の入力の合計値とともに、前記合計値に応じた長さを有するゲージを表示する画面を、前記取得に応じて更新し、
いずれかの前記選手における、前記第一の入力の合計値が特定の値になった場合、または、前記ゲージの長さが特定の長さになった場合、複数の前記選手の前記第一の入力の合計値を示す前記ゲージの表示を、所定のルールに従い縮小して、画面を更新する
処理を実行することを特徴とする画面生成方法。
【請求項8】
複数の選手による対戦競技の試合中において、複数の審判それぞれから、第一の入力または第二の入力を受け付ける受付部と、
前記第一の入力または前記第二の入力の別と、いずれの前記選手に対する入力であるかとをそれぞれ識別可能な情報を取得する取得部と、
前記選手ごとに割り当てられた領域に、前記第一の入力の合計値および前記第二の入力の合計値とともに、前記合計値に応じた長さを有するゲージを表示する画面を、前記取得に応じて更新する第一更新部と、
いずれかの前記選手における、前記第一の入力の合計値が特定の値になった場合、または、前記ゲージの長さが特定の長さになった場合、複数の前記選手の前記第一の入力の合計値を示す前記ゲージの表示を、所定のルールに従い縮小して、画面を更新する第二更新部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面生成プログラム、画面生成方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対戦競技における試合の勝敗は、複数の審判員が有効な攻撃や防御などの有効なポイントを計数し、各審判員の計数結果を用いて決定することが多い。例えば、ボクシングでは、審判員が、試合中、選手Aと選手Bのそれぞれについて、有効打撃を行った時にカウンターを押すことで、各ラウンドの終わりに、各選手の最終的な有効打撃数を集計する集計システムが利用されている。また、近年のボクシングでは、各審判員が、手元にある入力装置を用いて、ラウンド終了時に、優勢だった選手に10点をつけて、もう片方の選手に10点未満の点数をつけるスコアリングシステムが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-104192号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】“BOXING SCORING SYSTEM”、<http://www.swisstiming.com/fileadmin/Resources/Data/Datasheets/DOCM_BX_ScoringSystem_1215_EN.pdf>、Swiss Timing LTD
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、観客や視聴者にとっては臨場感が欠け、対戦を盛り上げる要素が少なく、エンターテイメント性が低いと言わざるを得ない。例えば、観客や視聴者は、ラウンド終了後や試合終了後に審判員の判定結果を見ることができるだけであり、ポイントの加算状況、審判員の判定など、対戦映像等から得られる情報以外をリアルタイムに取得できない。このため、観客等は、ダウンなどの強烈な状況以外で試合が盛り上がったとしても、盛り上がる原因がわからないので、試合に入り込めず、観覧する気力も低下することが考えられる。
【0006】
一つの側面では、対戦状況をリアルタイムに可視化することができる画面生成プログラム、画面生成方法および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、画面生成プログラムは、コンピュータに、複数の選手による対戦競技の試合中において、複数の審判それぞれから、第一の入力または第二の入力を受け付ける処理を実行させる。画面生成プログラムは、コンピュータに、前記第一の入力または前記第二の入力の別と、いずれの前記選手に対する入力であるかとをそれぞれ識別可能な情報を取得する処理を実行させる。画面生成プログラムは、コンピュータに、前記選手ごとに割り当てられた領域に、前記第一の入力の合計値および前記第二の入力の合計値とともに、前記合計値に応じた長さを有するゲージを表示する画面を、前記取得に応じて更新する処理を実行させる。画面生成プログラムは、コンピュータに、いずれかの前記選手における、前記第一の入力の合計値が特定の値になった場合、または、前記ゲージの長さが特定の長さになった場合、複数の前記選手の前記第一の入力の合計値を示す前記ゲージの表示を、所定のルールに従い縮小して、画面を更新する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態によれば、対戦状況をリアルタイムに可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1にかかるジャッジモニタリングシステムの全体構成例を説明する図である。
図2図2は、実施例1にかかるジャッジモニタリングシステムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、変換情報の一例を説明する図である。
図4図4は、出力変換情報の一例を説明する図である。
図5図5は、収集結果の一例を説明する図である。
図6図6は、ジャッジモニタリング画面の一例を説明する図である。
図7図7は、ジャッジモニタリング画面の表示例を説明する図である。
図8図8は、ジャッジモニタリング画面の優先表示例を説明する図である。
図9図9は、ジャッジモニタリング画面の優先表示例を説明する図である。
図10図10は、ジャッジモニタリング画面への対戦画像の表示例を説明する図である。
図11図11は、ジャッジモニタリング画面の進行表示例を説明する図である。
図12図12は、収集結果に基づくジャッジモニタリング画面の生成例を説明する図である。
図13図13は、各審判員の判定結果画面を説明する図である。
図14図14は、各審判員の判定結果の比較画面を説明する図である。
図15図15は、リアルタイム表示処理の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、収集結果の表示処理の流れを示すフローチャートである。
図17図17は、実施例2にかかるジャッジモニタリングシステムの全体構成例を説明する図である。
図18図18は、実施例2にかかるジャッジモニタリングシステムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図19図19は、大型ビジョンへの出力例を説明する図である。
図20図20は、大型ビジョンへの出力の別例を説明する図である。
図21図21は、大型ビジョンへの出力の別例を説明する図である。
図22図22は、表示の更新例を説明する図である。
図23図23は、表示の縮小例を説明する図である。
図24図24は、表示の縮小の別例を説明する図である。
図25図25は、集計結果の表示例を説明する図である。
図26図26は、実施例2にかかる表示処理の流れを示すフローチャートである。
図27図27は、ハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する画面生成プログラム、画面生成方法および情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0011】
[全体構成]
図1は、実施例1にかかるジャッジモニタリングシステムの全体構成例を説明する図である。図1に示すように、実施例1では、対戦競技の一例であるボクシングを例にして、5人の審判員(以下では、単に「審判」と記載する場合がある)による審判の過程を、上級審判員が、モニタリング画面を使って、5人の審判員をモニタリングする例を説明する。
【0012】
図1に示すように、ジャッジモニタリングシステムは、入力装置1から入力装置5と、中継装置10と、ビデオカメラ100と、タブレット端末200と、モニタ装置20を有する。なお、各装置は、ネットワークを介して接続され、ネットワークには、有線や無線を問わず、様々なネットワークを採用することができる。
【0013】
入力装置1、2、3、4、5のそれぞれの一例として、審判員A、B、C、D、Eのそれぞれの席に設置される入力パッドが挙げられる。中継装置10は、各入力装置とモニタ装置20とを接続するスイッチなどである。ビデオカメラ100は、ボクシングの試合開始から試合終了まで、リング全体を撮像し、試合の動画や静止画を撮像する。タブレット端末200は、各審判員が使用するコンピュータ装置の一例である。モニタ装置20は、各審判員の判定結果を監視する上級審判員が使用するコンピュータ装置の一例である。
【0014】
一般的に、ボクシングの採点は、各審判員が、ラウンド終了時に、優勢だった選手に10点をつけて、もう片方の選手に10点未満の点数をつけるスコアリングシステム(テンポイントマストシステム)が利用されている。
【0015】
10ポイントマストシステムにおいては、ボクシングは、ラウンドごとに、ラウンドを通して、いずれかの選手の優位性を判断して、優位な選手に10ポイントが付与される。このとき、ポイント付与の根拠としては、例えば、選手同士の攻防において、有効な打撃が決まったこと、有効な打撃を防ぐディフェンスが発生したこと、どちらの選手が試合を各時点において優位に進めているかなどが加算対象の有効判定(ポイント)となる。しかし、これらの有効判定は、各審判員の主観により決定され、かつ、スコアリングシステムには各審判の最終判断結果であるスコア(10-9、10-8など)しか入力されないため、試合途中や試合終了後に、ある審判員のある選手に対する偏った判定などを確認することは難しい。また、各審判員は、自分が有効判定を行ったタイミングしか把握することができず、他の審判員の判定と自分の判定とを比較して、自分の判定を振り返ることにより技術の向上に繋げることも難しい。
【0016】
このため、試合途中、ラウンド終了後や試合終了後に、各審判員が有効判定としてポイント加算を行ったタイミング等が、各審判員や観客に表示できれば、採点の透明性が担保され、各審判員の正当性、各審判員の技術向上、試合そのものの価値の向上に繋がる。
【0017】
そこで、実施例1では、モニタ装置20が、各審判員が有効判定を行ったタイミングを収集し、リアルタイムや要求受信時など状況に応じて、上級審判員に表示出力することで、採点の透明性を担保し、審判の判断に偏りがないかなどを上級審判員が比較検討することができるインタフェースを提供する。
【0018】
具体的には、各審判員は、有効打撃が発生した場合などに、手元にある入力装置の該当ボタンを押下する。例えば、入力装置1は、赤色のボタン1A、黄色のボタン1B、青色のボタン1C、黄色のボタン1Dを有する。赤色のボタン1A、黄色のボタン1Bは、赤コーナーの選手に対応付けられるボタンであり、ボタン1Aにはジャブなどの有効攻撃であるノーマルな打撃(ノーマル打撃)が対応付けられ、ボタン1Bには、相手選手のダウンなどに繋がる強力かつ有効打撃であるストロングな打撃(ストロング打撃)が対応付けられる。同様に、青色のボタン1C、黄色のボタン1Dは、青コーナーの選手に対応付けられるボタンであり、ボタン1Cにはノーマル打撃が対応付けられ、ボタン1Dにはストロング打撃が対応付けられる。なお、以下の実施例においては、第一の入力としてノーマル打撃を示す入力、第二の入力としてストロング打撃を示す入力の組み合わせの例を用いて、説明する。当該組み合わせ以外に、第一の入力として打撃を示す入力、第二の入力として防御を示す入力の組み合わせ等であっても良い。第一の入力と第二の入力は、審判による最終的な採点結果の根拠となりうる複数の要素ごとの入力である。例えば、第一の要素はストロング打撃であり、第二の要素はノーマル打撃である。
【0019】
つまり、審判員Aは、赤コーナーの選手Xのノーマル打撃をカウントする場合は、ボタン1Aを押下し、青コーナーの選手Yのストロング打撃をカウントする場合は、ボタン1Dを押下する。同様に、審判員Aは、赤コーナーの選手Xのストロング打撃をカウントする場合は、ボタン1Bを押下し、青コーナーの選手Yのノーマル打撃をカウントする場合は、ボタン1Cを押下する。
【0020】
そして、上級審判員が使用するモニタ装置20は、中継装置10を介して、各入力装置からボタンの押下結果を取得し、各審判員のボタン押下状況すなわち有効判定の状況をリアルタイムに表示する。
【0021】
例えば、モニタ装置20は、選手ごとに割り当てられた中領域ごとに、審判員ごとに割り当てた小領域を配置するとともに、各審判員の小領域をタイムラインに沿って分割された領域を有するジャッジモニタリング画面40(後述の図6に例示)を生成する。そして、モニタ装置20は、審判員Aが時刻tに赤色のボタン1Aを押下すると、赤コーナーの選手Xに割り当てられた中領域内の審判員Aの小領域のうち、時刻tに対応する領域を赤く表示する。また、モニタ装置20は、審判員Cが時刻t+1に黄色のボタン1Dを押下すると、青コーナーの選手Yに割り当てられた中領域内の審判員Cの小領域のうち、時刻t+1に対応する領域を黄色で表示する。また、中領域それぞれにおいて、各審判員に割り当てられた小領域の配置順序は、同様である。つまり、選手Xに対する中領域内に、審判員A,B,C,D,Eの順序で各審判員の小領域が配置されている場合、選手Yに対する中領域内に、審判員A,B,C,D,Eの順序で各審判員の小領域が配置される。
【0022】
このようにして、モニタ装置20は、各審判員が有効と判定したタイミングをリアルタイムに収集して、リアルタイムに表示することで、上級審判員が各審判員の判定状況を比較検討することができるインタフェースを提供する。
【0023】
[機能構成]
次に、ジャッジモニタリングシステムを構成する各装置の機能構成について説明する。図2は、実施例1にかかるジャッジモニタリングシステムの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、図2では、タブレット端末200を図示していないが、タブレット端末200には、タッチパネルなどを有するコンピュータ装置を採用することができる。
【0024】
(中継装置10の機能構成)
図2に示すように、中継装置10は、入力部11、通信部12、記憶部13、取得部15、通知部16を有する。この中継装置10は、各審判員が各入力装置を用いて行う審判の過程をモニタ装置20に通知するコンピュータ装置の一例である。なお、取得部15や通知部16は、ハードウェア回路やプロセッサが有する電子回路で構成することもでき、プロセッサが実行するプロセスとして構成することもできる。
【0025】
入力部11は、各審判員が使用する各入力装置1から5のそれぞれと接続する処理部であり、例えば複数の入出力ポート(PIN)を有する入力装置などである。例えば、入力部11は、PIN1からPIN4を用いて入力装置1と接続し、PIN5からPIN8を用いて入力装置2と接続し、PIN9からPIN12を用いて入力装置3と接続し、PIN13からPIN16を用いて入力装置4と接続し、PIN17からPIN20を用いて入力装置5と接続する。なお、各PINは、各入力装置の各ボタンと接続される。
【0026】
ここで、各入力装置について説明する。各入力装置は、モニタ装置20が表示する際の表示色が設定された4つのボタンを有する。例えば、各入力装置は、赤コーナーの選手のノーマル打撃時に押下される赤色のボタンAとストロング打撃時に押下される黄色のボタンBと、青コーナーの選手のノーマル打撃時に押下される青色のボタンCとストロング打撃時に押下される黄色のボタンDとを有する。また、各ボタンは、中継装置10の入力部11の入出力ポートと接続されるので、中継装置は、どの入力装置のどのボタンが押下されたかを特定できる。
【0027】
図2に戻り、通信部12は、モニタ装置20など他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどである。例えば、通信部12は、各入力装置からの入力に対応する信号をモニタ装置20に送信する。
【0028】
記憶部13は、プログラムやデータなどを記憶する記憶装置の一例であり、例えばメモリやハードディスクなどである。例えば、記憶部13は、変換情報14を記憶する。
【0029】
変換情報14は、各入力装置からの入力をモニタ装置20へ送信する信号に変換するときに使用する情報である。なお、入力装置からの入力を変換した出力信号は、入力を行った審判員、ノーマル打撃を示す第一の入力またはストロング打撃を示す第二の入力の別、対戦中の複数の選手のいずれかを、それぞれ識別可能な情報である。
【0030】
図3は、変換情報14の一例を説明する図である。図3に示すように、変換情報14は、「PIN番号」と「信号」を対応付けた情報である。ここで記憶される「PIN番号」は、入出力ポートを示し、「信号」は、モニタ装置20へ送信する信号を特定する情報である。図3の例では、入力装置1のボタン1Aと接続されるPIN1を介して入力信号を受信した場合は、信号「a」に変換され、入力装置1のボタン1Bと接続されるPIN2を介して入力信号を受信した場合は、信号「b」に変換されることを示す。
【0031】
取得部15は、入力部11を介して、入力装置からの入力信号を取得する処理部である。例えば、取得部15は、各PINを介して入力信号を受信すると、入力信号を受信したPIN番号を通知部16に出力する。
【0032】
通知部16は、入力された入力信号に対応する出力信号をモニタ装置20へ送信する処理部である。具体的には、通知部16は、変換情報14にしたがって、入力部11に入力された入力信号を出力信号に変換して送信する。例えば、通知部16は、取得部15からPIN1が通知されると、変換情報14にしたがって信号aを特定し、信号aをモニタ装置20に送信する。
【0033】
(モニタ装置20の機能構成)
図2に示すように、モニタ装置20は、通信部21、表示部22、記憶部23、制御部30を有する。このモニタ装置20は、ジャッジモニタリング画面40を生成して、各審判員が選手X(赤コーナー)や選手Y(青コーナー)のそれぞれについてノーマル打撃やストロング打撃と判定した結果をリアルタイムに表示出力するコンピュータ装置の一例である。
【0034】
通信部21は、中継装置10などの装置と接続される処理部であり、例えば通信インタフェースである。例えば、通信部21は、中継装置10から信号aなどを受信する。また、通信部21は、ビデオカメラ100から撮像された動画情報を受信してもよい。また、通信部21は、制御部30により生成される画面などの各種情報を、外部の装置に送信することもできる。
【0035】
表示部22は、各種情報を表示する処理部であり、例えばディスプレイ、モニタ、タッチパネルなどである。例えば、表示部22は、制御部30により生成される画面などの各種情報を表示する。
【0036】
記憶部23は、データや制御部30が実行するプログラムなどを記憶する記憶装置の一例であり、例えばメモリやハードディスクなどである。この記憶部23は、出力変換情報24、収集結果25、動画情報26、対応付け一覧27を記憶する。
【0037】
出力変換情報24は、中継装置10から中継された情報を、ジャッジモニタリング画面40に出力するために変換する情報である。図4は、出力変換情報24の一例を説明する図である。図4に示すように、出力変換情報24は、「項番」「信号」「出力位置」「表示色」を対応付けて記憶する。本実施例においては、出力位置により、入力を行った審判員、対戦中の複数の選手のいずれかが特定される。また、表示色により、ノーマル打撃を示す第一の入力またはストロング打撃を示す第二の入力の別、が特定される。
【0038】
ここで記憶される「項番」は、各情報を識別する識別子であり、「信号」は、中継装置10から入力される信号を示す。「出力位置」は、ジャッジモニタリング画面40上の位置を示し、「表示色」は、ジャッジモニタリング画面40に表示する色を示す。図4の項番1は、中継装置10から入力された信号aが、ジャッジモニタリング画面40の表示行1に赤色で表示されることを示す。また、項番2は、中継装置10から入力された信号bが、ジャッジモニタリング画面40の表示行1に黄色で表示されることを示す。なお、出力位置の詳細については後述する。また、出力変換情報24は、ユーザにより予め定義される情報である。
【0039】
収集結果25は、中継装置10から入力された結果である。つまり、収集結果25は、各審判員の判定結果の一覧である。なお、ここで記憶される情報は、制御部30によって生成される。図5は、収集結果25の一例を説明する図である。図5に示すように、収集結果25は、各ラウンドのタイムライン(各秒)ごとに、赤コーナーと青コーナーのそれぞれについて各審判員がノーマル打撃と判定した回数とストロング打撃と判定した回数とを記憶する。
【0040】
図5の例では、第1ラウンド(以降では、単に「ラウンド1」と記載する場合がある)が開始された直後のタイムライン1(1秒)において、赤コーナーのノーマル打撃として、審判員Aは0回、審判員Bは0回、審判員Cは0回、審判員Dは0回、審判員Eは2回をカウントしたことを示している。また、ラウンド1が開始された直後のタイムライン1(1秒)において、赤コーナーのストロング打撃として、審判員Cのみが1回カウントしたことを示している。なお、タイムラインは、誤差を許容するために、試合時間よりも多少長く設定される。例えば、1ラウンドが3分の場合、タイムラインを3分(180秒)よりも長い190秒(180秒+α)とする。αは任意の数値である。
【0041】
動画情報26は、ビデオカメラ100により撮像された試合映像である。動画情報26は、収集結果のタイムスタンプと同様のタイムスタンプで管理される。
【0042】
対応付け一覧27は、信号からどの選手のどの打撃をどの審判員がカウントしたかを特定できる情報である。例えば、対応付け一覧27は、信号と打撃種類と審判員とを対応付けた情報である。より詳細には、対応付け一覧27は、「信号、コーナー、打撃種類、審判員」として「信号a、赤コーナー、ノーマル打撃、審判員A」、「信号b、赤コーナー、ストロング打撃、審判員A」、「信号c、青コーナー、ノーマル打撃、審判員A」、「信号d、青コーナー、ストロング打撃、審判員A」などである。
【0043】
制御部30は、モニタ装置20全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどである。この制御部30は、取得部31、カウント部32、リアルタイム処理部33、要求処理部34を有する。なお、取得部31、カウント部32、リアルタイム処理部33、要求処理部34は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0044】
取得部31は、中継装置10から信号を、通信部21を介して受信する処理部である。例えば、取得部31は、各入力装置のボタンが押されるたびに、中継装置10を介して、押下されたボタンに対応する信号を受信する。そして、取得部31は、受信した信号を、カウント部32、リアルタイム処理部33、要求処理部34に出力する。なお、信号は、入力を行った審判員、ノーマル打撃を示す第一の入力またはストロング打撃を示す第二の入力の別、対戦中の複数の選手のいずれかを、それぞれ識別可能な情報である。また、入力を行った審判員を示す信号、ノーマル打撃を示す第一の入力またはストロング打撃を示す第二の入力の別を示す信号、対戦中の複数の選手のいずれかを示す信号を、個別に取得してもよい。
【0045】
カウント部32は、取得部31により取得され取得結果に基づき、各信号をカウントする処理部である。すなわち、カウント部32は、各審判員の判定結果を収集して収集結果を生成する。
【0046】
例えば、カウント部32は、ラウンド1のタイムライン1(試合開始1秒後)のタイミングで取得部31から信号aが入力されると、対応付け一覧27を参照し、審判員Aが赤コーナーの選手のノーマル打撃をカウントしたことを特定する。そして、カウント部32は、収集結果25のラウンド1のタイムライン1(1秒)のノーマル打撃の赤コーナーについて審判員Aのカウント数をインクリメントする。
【0047】
リアルタイム処理部33は、画面生成部33aと出力制御部33bを有し、各審判員の判定結果をジャッジモニタリング画面40として生成し、リアルタイムに表示部22に出力する処理部である。
【0048】
画面生成部33aは、ジャッジモニタリング画面40を生成する処理部である。ここで、画面生成部33aが生成するジャッジモニタリング画面40の詳細について説明する。図6は、ジャッジモニタリング画面40の一例を説明する図である。図6に示すように、画面生成部33aは、現在のラウンドを特定する情報を表示する領域41、赤コーナーの選手への判定結果を表示する中領域42、青コーナーの選手への判定結果を表示する中領域43を有するジャッジモニタリング画面40を生成する。
【0049】
また、画面生成部33aは、中領域42と中領域43のそれぞれの中に、審判員Aから審判員Eのそれぞれに割り当てられた小領域44を生成する。さらに、画面生成部33aは、各審判員の小領域44の中に、試合の開始タイミングから終了タイミングまでの時間幅を表すスケール45(タイムライン)を生成する。ここで、スケール45は、1ラウンドの時間である180秒(3分)に所定の時間長として例えば10秒を加えた190秒を1秒ごとに区切られる。以下の説明では、タイムラインにおいて1秒ごとに区切られた各間隔を、タイムセルと称する。つまり、ラウンド1の開始後1秒間目の判定結果がスケール45の1行目(タイムライン1)に該当し、ラウンド1の2秒間目の判定結果がスケール45の2行目(タイムライン2)に該当する。なお、1ラウントの時間長に対してどれだけの所定の時間長を加えたタイムラインとするかは、システムの設計者が適宜に変更してかまわない。
【0050】
ここで、画面生成部33aは、中領域42と中領域43とでは、それぞれの中に表示する小領域44の並び順を同一に揃えた画面を生成する。例えば、中領域42において、5つ設けた小領域を審判A~Eの順にするのであれば、中領域43においても、5つ設けた小領域を審判A~Eの順にする。審判ごとに表示する領域をまとめるのではなく、中領域として選手ごとに表示領域をまとめることで、同一の選手に対する審判員毎の判定の相違を把握しやすい表示とすることができる。また、両中領域で小領域の並べ順を同一にすることで、審判毎の判定の傾向を把握しやすい表示とすることができる。例えば、図6においてタイムライン14においては、中領域42においていずれの審判に対応するスケール45へも赤色表示が行われた結果、あたかも、1本の赤い線が表示されたかのような見た目になっている。上級審判員はこのような表示を視認することで、複数の審判が同じ判定をしているか、それとも、一部の審判員のみが他とは異なる判定をしているか、などの、審判員間の判定の相違を容易に把握できるようになる。なお、赤コーナーの審判員Aの行を先頭に青コーナーの審判員Eの行までを、順に、表示行1、表示行2、表示行3・・・表示行10とする。
【0051】
出力制御部33bは、画面生成部33aにより生成されたジャッジモニタリング画面40上に、各審判員の判定結果をリアルタイムに表示する処理部である。具体的には、出力制御部33bは、取得部31から入力された信号を受信するたびに、出力変換情報24にしたがって出力位置と表示色を特定し、該当する画面上のスケール45(タイムライン)の位置へ、信号に対応する出力を表示する。
【0052】
例えば、出力制御部33bは、ラウンド1開始から11秒後に、信号aを受信したとする。この場合、出力制御部33bは、出力変換情報24を参照し、信号aに対応付けられる出力位置(表示行1)と表示色(赤色)とを特定する。そして、出力制御部33bは、該当する審判員Aの小領域44のスケール45の11番目(タイムライン11)に赤色を出力する。
【0053】
なお、一人の審判員が、同じタイムラインの間に、同じ選手に対して複数回のカウントを行った場合は、カウント回数は計数されるものの、表示は1回とする。例えば、出力制御部33bは、試合開始から11秒後に、信号aを受信したのち、同じ11秒目の間にさらに信号aを受信したときも、最初の信号aに対する表示のみを実行する、もしくは、最後の信号aに対する表示のみを実行する、もしくは、受信の都度上書き表示することで、1回分の表示のみを出力する。
【0054】
ただし、一人の審判員が、同じタイムラインの間に、同じ選手に対して複数回のカウントを行ったときでも、黄色は優先的に表示される。例えば、出力制御部33bは、試合開始から8秒後に、信号aを受信した場合、信号aに対応する赤色出力を行うが、同じ8秒目の間でさらに信号bを受信したときは、信号bに対応する黄色出力を優先的に出力する。
【0055】
図2に戻り、要求処理部34は、要求受信部34aと画面生成部34bを有し、各審判員や上級審判員の要求に応じて、ジャッジモニタリング画面40を生成して表示部22に出力する処理部である。
【0056】
要求受信部34aは、各審判員のタブレット端末200や上級審判員による入力から、画面生成の要求を受信する処理部である。例えば、要求受信部34aは、通信部21を介して、審判員のタブレット端末200から画面生成の要求(命令)を受信すると、画面生成部34bに画面生成指示を出力する。また、要求受信部34aは、表示部22等を介して、上級審判員から画面生成の要求を受信すると、画面生成部34bに画面生成指示を出力する。
【0057】
画面生成部34bは、要求受信部34aから画面生成指示を受信すると、ジャッジモニタリング画面40を生成して出力する。例えば、画面生成部34bは、図6に示したジャッジモニタリング画面40を生成し、リアルタイム処理部33と同様の手法により、収集結果25に基づく各審判員の判定結果を、ジャッジモニタリング画面40上に出力する。
【0058】
[リアルタイム表示]
次に、図7から図11を用いて、上述したジャッジモニタリング画面40のリアルタイム更新を説明する。
【0059】
(通常表示例)
図7は、ジャッジモニタリング画面40の表示例を説明する図である。図7に示すように、リアルタイム処理部33は、ラウンド1の開始から8秒後に、審判員Aにより入力装置1の赤色のボタン1Aが押下されたとすると、ジャッジモニタリング画面40内の赤コーナーの中領域42の審判員Aの小領域44のタイムライン8に相当するスケール45を赤色に更新する(S1)。
【0060】
また、リアルタイム処理部33は、ラウンド1の開始から8秒後に、審判員Cにより入力装置3の青色のボタン3Cが押下されたとすると、ジャッジモニタリング画面40内の青コーナーの中領域43の審判員Cの小領域44のタイムライン8に相当するスケール45を青色に更新する(S2)。
【0061】
同様に、リアルタイム処理部33は、ラウンド1の開始から8秒後に、審判員Eにより入力装置5の青色のボタン5Cが押下されたとすると、ジャッジモニタリング画面40内の青コーナーの中領域43の審判員Eの小領域44のタイムライン8に相当するスケール45を青色に更新する(S3)。
【0062】
(優先表示例)
図8図9は、ジャッジモニタリング画面40の優先表示例を説明する図である。図8に示すように、リアルタイム処理部33は、ラウンド1の開始から8秒後に、審判員Aにより入力装置1の赤色のボタン1Aが押下されたとすると、ジャッジモニタリング画面40内の赤コーナーの中領域42の審判員Aの小領域44のタイムライン8に相当するスケール45を赤色に更新する(S4)。さらに、同時刻であるラウンド1の開始から8秒後の間に、審判員Aにより入力装置1の黄色のボタン1Bが押下されたとすると、リアルタイム処理部33は、S3において赤色に更新した審判員Aの小領域44のタイムライン8に相当するスケール45を黄色に更新する(S5)。
【0063】
図9に示すように、リアルタイム処理部33は、ラウンド1の開始から8秒後に、審判員Aにより入力装置1の黄色のボタン1Cが押下されたとすると、ジャッジモニタリング画面40内の赤コーナーの中領域42の審判員Aの小領域44のタイムライン8に相当するスケール45を黄色に更新する(S6)。さらに、同時刻であるラウンド1の開始から8秒後の間に、審判員Aにより入力装置1の赤色のボタン1Aが再び押下されたとすると、リアルタイム処理部33は、黄色にしたスケール45を赤色へ更新することは抑制し、S6において更新した黄色を維持する(S7)。
【0064】
(その他の表示例)
図10は、ジャッジモニタリング画面40への対戦画像の表示例を説明する図である。リアルタイム処理部33は、ジャッジモニタリング画面に、試合の画像を表示することもできる。図10に示すように、リアルタイム処理部33は、ジャッジモニタリング画面40内の青コーナーの中領域43の審判員Cの小領域44のあるタイムラインに対応するスケール45への選択を検出すると(S8)、選択されたタイムラインと同じ時間に撮像された画像を動画情報26から取得する。そして、リアルタイム処理部33は、取得した画像40Aを選択された位置(タイムライン)と重ならない、ジャッジモニタリング画面40内の領域に出力する。
【0065】
ここで、リアルタイム処理部33は、画像40Aを出力する際、ジャッジモニタリング画面40内を例えば四分割し、選択されたスケール45の位置のタイムラインが属さない領域に画像40Aを出力してよい。図10の例では、ジャッジモニタリング画面40内で左下の領域にあるタイムラインが選択されているので、当該領域とは対角線の関係に位置する右上の領域に出力することが考えられる。画像40Aの表示位置をこのように決定することで、画像を視認する審判員にとって、自分が指定したタイムラインがどこであったかを把握可能な状態にしつつ、試合画像を確認できる画面を提供できる。また、リアルタイム処理部33は、画像に限らず、動画を出力することもできる。具体的には、リアルタイム処理部33は、選択されたタイムラインの前後数秒の動画を出力することもできる。例えば、リアルタイム処理部33は、ラウンド1の開始から8秒後であるタイムライン8が選択された場合、ラウンド1の開始後の5秒から11秒の間の動画、ラウンド1の開始後の5秒から8秒の間の動画、または、ラウンド1の開始後の8秒から11秒の間の動画などを出力することができる。
【0066】
図11は、ジャッジモニタリング画面40の進行表示例を説明する図である。上述してきたように、試合開始後に、いずれかの審判員が有効判定を行うことにより入力装置のボタンが押下されると、ジャッジモニタリング画面40内に赤色、青色または黄色などが表示されることから、ジャッジモニタリング画面40を見る上級審判員などは、画面上で試合の進行を簡単に把握することができる。
【0067】
しかし、試合が拮抗した場合など、有効打撃が発生しない時間が長くなることもある。この場合、ジャッジモニタリング画面40内に色表示がない時間が長くなることから、画面上で試合の進行を把握しにくくなることが予想できる。そこで、図11に示すように、リアルタイム処理部33は、時間が経過した領域の表示を網掛け40B等に変更する。例えば、時間が経過した領域の背景色を、まだ経過していない領域とは異なる背景色に変更する。つまり、図11に示すように、リアルタイム処理部33は、時間が1秒経過するたびに、網掛け40Bの領域を1タイムラインずつ増加させることで、画面上で試合の進行を分かりやすく表示する。
【0068】
[収集結果の表示]
次に、図12から図14を用いて、上述した各審判員の判定結果を収集してジャッジモニタリング画面40に表示する例を説明する。
【0069】
図12は、収集結果に基づくジャッジモニタリング画面の生成例を説明する図である。図12に示すように、要求処理部34は、収集結果25を読み出し、リアルタイム処理部33で説明した表示ルールにしたがってジャッジモニタリング画面40を生成して出力する。
【0070】
例えば、要求処理部34は、ラウンド1のタイムライン1のノーマル打撃のカウント結果として、赤コーナーの審判員Bのカウント結果「2回」を読み出すと、ジャッジモニタリング画面40内の赤コーナーの中領域42の審判員Bの小領域44のタイムライン1に相当するスケール45を赤色に更新する。同様に、要求処理部34は、ラウンド1のタイムライン1のノーマル打撃のカウント結果として、青コーナーの審判員Aのカウント結果「3回」を読み出すと、ジャッジモニタリング画面40内の青コーナーの中領域43の審判員Aの小領域44のタイムライン1に相当するスケール45を青色に更新する。
【0071】
また、要求処理部34は、ラウンド1のタイムライン1のノーマル打撃のカウント結果として、赤コーナーの審判員Dのカウント結果が「1回」であり、また、同タイムラインの審判員Dの赤コーナーのストロング打撃が「1回」であることを特定する。この場合、要求処理部34は、ノーマル打撃よりストロング打撃を優先することから、ジャッジモニタリング画面40内の赤コーナーの中領域42の審判員Dの小領域44のタイムライン1に相当するスケール45へは、赤色を表示せずに、黄色に更新する。
【0072】
さらに、要求処理部34は、ジャッジモニタリング画面40内の各審判員を選択するなどの特定の操作を受け付けると、審判員ごとの判定結果を生成して表示することができる。図13は、各審判員の判定結果画面50を説明する図である。具体的には、要求処理部34は、収集結果25を参照することにより、要求に応じたカウント数を計数して出力する。
【0073】
例えば、1試合が3ラウンドである場合、図13に示すように、要求処理部34は、審判員Cが選択された場合、赤コーナーと青コーナーのそれぞれについて、ラウンド1からラウンド3のノーマル打撃のカウント合計数とストロング打撃のカウント合計数と、ラウンド1からラウンド3の合計数(TOTAL)を表示する判定結果画面50を生成して、モニタ装置20の表示部22や各タブレット端末200に表示出力する。
【0074】
また、要求処理部34は、上級審判員等の要求に応じて、各審判員の比較画面60を生成して出力することもできる。図14は、各審判員の判定結果の比較画面60を説明する図である。図14に示すように、要求処理部34は、各審判員の赤コーナーおよび青コーナーごとに、各ラウンドのノーマル打撃のカウント数およびストロング打撃のカウント数と、ノーマル打撃のカウント総数とストロング打撃のカウント総数を表示する比較画面60を生成して、モニタ装置20の表示部22や各タブレット端末200に表示出力する。
【0075】
また、要求処理部34は、比較画面60上で、極端に少ない回数や極端に多い回数を強調表示することもできる。例えば、要求処理部34は、ラウンド1の赤コーナーの各審判員のノーマル打撃の平均値を算出し、平均値より閾値以上少ないまたは閾値以上多いカウント数の領域を強調表示してもよい。
【0076】
[リアルタイム表示処理の流れ]
図15は、リアルタイム表示処理の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、リアルタイム処理部33は、処理が開始されると、いずれのスケール45にも赤や青や黄の色が表示されていない初期状態のジャッジモニタリング画面40を表示して(S101:Yes)、信号が受信されると(S102:Yes)、出力変換情報24にしたがって、出力位置と表示色を特定する(S103)。
【0077】
そして、リアルタイム処理部33は、S103で決定した表示位置(小領域に相当する行)に対応するタイムラインにおいて、第一の入力または第二の入力を取得したタイミングに該当するタイムセルを特定する(S104)。さらに、リアルタイム処理部33は、S103で特定した表示位置に対応するタイムラインにおける、S104で特定したタイムセルを、S103で特定した表示色で更新する(S105)。つまり、特定のタイムセルが、グレーから、赤・青・黄色のいずれかの色に更新される。また、1秒間の間に複数の入力があった場合には、つまり、同一のタイムセルにおいてすでに赤・青・黄色のいずれかの色が表示されている場合には、リアルタイム処理部33は、当該タイムセルを、新たに受信した信号に対応する色に更新する。ただし、黄色を優先的に表示したい場合は、リアルタイム処理部33は、すでに表示されている色が黄色の場合は、ほかの色に更新しないとしても良い。
【0078】
その後、試合が終了するまで(S106:No)、リアルタイム処理部33は、S102以降を繰り返し実行し、試合が終了すると(S106:Yes)、処理を終了する。
【0079】
[収集結果処理の流れ]
図16は、収集結果の表示処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すように、カウント部32は、処理が開始されて(S201:Yes)、信号が受信されると(S202:Yes)、出力変換情報24にしたがって、出力位置と表示色を特定して、収集結果25に蓄積する(S203)。
【0080】
そして、カウント部32は、試合が終了するまで(S204:No)、S202以降を繰り返し実行する。一方、要求処理部34は、試合が終了し(S204:Yes)、表示要求などを受信すると(S205:Yes)、収集結果25にしたがって各打撃をカウントした結果を計数してジャッジモニタリング画面40を生成し(S206)、生成したジャッジモニタリング画面40を出力する(S207)。
【0081】
なお、要求処理部34は、収集結果に基づくジャッジモニタリング画面40は、試合途中においても、そのタイミングまでの収集結果を用いて生成して出力することができる。
【0082】
[効果]
上述したように、モニタ装置20は、選手ごとに、各審判が有効打撃と入力した入力タイミングをまとめてタイムライン表示することができる。この結果、モニタリング担当者である上級審判員が、審判の判断に偏りがないかなどを比較検討することができる。したがって、各審判員の判定の透明性、試合結果の透明性を実現でき、判定結果に対する不正や不公平感を低減することができ、試合の価値向上に繋がり、ひいては観客数の増加を実現することができる。
【0083】
また、モニタ装置20は、各審判員の判定結果画面50や各審判員の比較画面60を生成して出力することができるので、各審判員のトレーニングに有効な情報を出力することができる。例えば、各審判員は、ジャッジモニタリング画面40を検討することにより、自分の入力タイミングと他人の入力タイミングとの違いを検討することができ、自分の技術向上を図ることができる。また、各審判員は、判定結果画面50や比較画面60を参照することにより、自分の判定結果と他人の判定結果とを比較することができ、自分の技術向上を図ることができる。
【実施例2】
【0084】
ところで、実施例1では、各審判員や上級審判員に対して、有用な情報を生成して出力する例を説明したが、モニタ装置20は、試合会場内の観客やテレビ放送やインターネットなど通信を介して提供された試合画像の視聴者に対して、試合を楽しむための有用な情報を生成して出力することもできる。
【0085】
例えば、各審判員によるポイントの加算状況や判定結果は、ラウンド終了後や試合終了後に観客や視聴者に表示されることが一般的である。このため、観客や視聴者は、どのような攻防やどのような攻撃がポイント加算の対象として判定されたかを知ることができず、試合の判定結果に不満が残ることが考えられる。
【0086】
そこで、実施例2では、観客や視聴者に対して、各審判員がポイント加算対象となる有効打撃と判定したタイミングや回数をリアルタイムに表示することで、観客や視聴者の臨場感や満足感を向上させる例を説明する。
【0087】
[全体構成]
図17は、実施例2にかかるジャッジモニタリングシステムの全体構成例を説明する図である。実施例1で説明した図1と異なる点は、試合会場に設置される大型ビジョン110の表示を制御する制御部を有する点である。以下では、上級審判員が使用するモニタ装置20が大型ビジョン110の表示を制御する例を説明するが、審判員の入力を管理する別の装置が、大型ビジョン110の表示を制御してもよい。
【0088】
モニタ装置20は、実施例1と同様、各審判員がノーマル打撃やストロング打撃などの有効判定を行ったタイミングを収集し、大型ビジョン110にリアルタイムに表示する。このようにして、選手の攻防と審判員の判定とを関連付けたリアルタイム表示を実現し、観客や視聴者の興奮度を向上させ、審判の透明性が担保されたエンターテイメントを実現する。なお、大型ビジョン110は試合会場の外に設置されてもよい。また、一人または少人数により視聴される場合には大型である必要はなく、テレビ受像機やコンピュータのディスプレイとして実現されてもよい。
【0089】
[機能構成]
図18は、実施例2にかかるジャッジモニタリングシステムの機能構成を示す機能ブロック図である。図18に示すように、実施例1で説明した図2と異なる点は、モニタ装置20のリアルタイム処理部33が表示制御部33cを有する点である。なお、他の処理部等は、図2と同様なので、詳細な説明は省略する。また、実施例2では、実施例1の機能を有する例で説明するが、これに限定されるものではない、後述する実施例2特有の処理部だけで実現することもできる。
【0090】
表示制御部33cは、各審判員がノーマル打撃やストロング打撃などの有効判定を行ったタイミングを収集し、大型ビジョン110などの出力対象にリアルタイムに出力する処理部である。例えば、表示制御部33cは、各審判員がノーマル打撃またはストロング打撃と判定した信号が受信されるたびに、赤コーナーと青コーナーとのそれぞれ毎に集計し、集計結果を出力する。
【0091】
(表示例)
ここで、表示制御部33cが出力する情報について具体的に説明する。図19は、大型ビジョン110への出力例を説明する図である。図19に示すように、表示制御部33cは、対戦中の赤コーナーの選手Xと青コーナーの選手Yとの動画像を背景にするとともに、審判員達が有効打撃と判定した回数(カウント数)を長さで表した表示ゲージを、左右の両端から中央に向かって延長するように表示した表示画面を生成して大型ビジョン110に出力する。
【0092】
具体的には、表示制御部33cは、各審判員が赤コーナー(選手X)のノーマル打撃と判定した回数を表す赤色の表示ゲージA1と、各審判員が赤コーナー(選手X)のストロング打撃と判定した回数を表す黄色の表示ゲージA2とを生成して出力する。同様に、表示制御部33cは、各審判員が青コーナー(選手Y)のノーマル打撃と判定した回数を表す青色の表示ゲージB1と、各審判員が青コーナー(選手Y)のストロング打撃と判定した回数を表す黄色の表示ゲージB2とを生成して出力する。
【0093】
なお、表示制御部33cは、背景には任意の動画像や静止画像を採用することができる。例えば、表示制御部33cは、試合前の会見などで撮像された画像や選手の顔写真など選手を象徴する画像を背景として出力することもでき、ビデオカメラ100で撮像されるリアルタイムな試合映像を背景として出力することもできる。
【0094】
また、各表示ゲージの出力方法も任意に選択変更することができる。図20は、大型ビジョン110への出力の別例を説明する図である。図20に示すように、表示制御部33cは、各コーナー(選手)のノーマル打撃の表示ゲージとストロング打撃の表示ゲージとを1つの表示ゲージで出力することもできる。
【0095】
例えば、表示制御部33cは、赤コーナー(選手X)のノーマル打撃の回数を表す赤色の表示ゲージA1とストロング打撃の回数を表す黄色の表示ゲージA2とから1つの表示ゲージを生成して出力するとともに、各打撃の合計値を表示ゲージの周辺に出力する。同様に、表示制御部33cは、青コーナー(選手Y)のノーマル打撃の回数を表す青色の表示ゲージB1とストロング打撃の回数を表す黄色の表示ゲージB2とから1つの表示ゲージを生成して出力するとともに、各打撃の合計値を表示ゲージの周辺に出力する。
【0096】
また、表示制御部33cは、審判員の有効打撃の判定回数だけに限らず、反則や危険攻撃などを行った選手に対して発行された警告の回数や、各審判人や上級審判員や解説者などが試合運びの優位性を判定したドミネーションの回数なども出力することができる。さらに、表示制御部33cは、各表示ゲージの意味を観客等に知らせるために、各表示ゲージが何を表しているかもあわせて表示することができる。
【0097】
図21は、大型ビジョン110への出力の別例を説明する図である。図21に示すように、表示制御部33cは、図19で説明した表示ゲージA1、A2、B1、B2に加えて、表示ゲージA3と表示ゲージB3と各表示ゲージの説明を含む画面を生成して出力する。ここで、表示ゲージA3は、赤コーナーの選手Xに対して発行された警告やドミネーションの回数を示し、表示ゲージB3は、青コーナーの選手Yに対して発行された警告やドミネーションの回数を示す。なお、ドミネーションや警告は、各審判員のタブレット端末200や上級審判員からの通知などにより計数することができる。
【0098】
また、表示制御部33cは、表示ゲージA1とB1がノーマル打撃に対応し、表示ゲージA2とB2がストロング打撃に対応し、表示ゲージA3とB3が打撃以外のその他に対応することを示した対応関係を生成して出力する。このとき、表示制御部33cは、各表示ゲージと対応関係の色表示とを一致させることで、視覚的に分かりやすく出力する。なお、表示制御部33cは、出力変換情報24やユーザの指定等にしたがって、対応関係を生成することができる。
【0099】
(表示更新)
また、表示制御部33cは、各審判員が各ボタンを押下した回数に連動して、各表示ゲージの長さを更新するとともに、表示ゲージの周辺に現在の判定回数(カウント回数)を示す数字を表示する。例えば、図19を例にすると、表示制御部33cは、審判員Aが赤色のボタン1Aを1回押下すると、表示ゲージA1の長さを1メモリ増加させるとともに、数値を55から56に更新する。同様に、表示制御部33cは、審判員Cが黄色のボタン3Dを1回押下すると、表示ゲージB2の長さを1メモリ増加させるとともに、数値を13から14に更新する。
【0100】
図22を用いて詳細に説明する。図22は、表示の更新例を説明する図である。例えば、赤コーナーの選手Xに対して、各審判員により赤色のボタンが計7回押下されるとともにと黄色のボタンが計1回押下されたとする。この場合、図22に示すように、表示制御部33cは、表示ゲージA1のメモリを7つ増やし、数値を「55」から「62」に更新するとともに、表示ゲージA2のメモリを1つ増やし、数値を「12」から「13」に更新する。
【0101】
同様に、例えば、青コーナーの選手Yに対して、各審判員により青色のボタンが計5回押下されるとともにと黄色のボタンが計1回押下されたとする。この場合、図22に示すように、表示制御部33cは、表示ゲージB1のメモリを5つ増やし、数値を「75」から「80」に更新するとともに、表示ゲージB2のメモリを1つ増やし、数値を「13」から「14」に更新する。このようにすることで、観客等に有効打撃の回数を視覚的に通知することができる。
【0102】
(表示ゲージの縮小)
試合中にボタンが押下される回数がどれだけあるかは事前にはわからない。そのため押下数が多くなると、それぞれの選手に対応する表示ゲージが長くなり、重なってしまったり、視認しづらくなったりすることが想定される。そこで、表示制御部33cは、表示ゲージの長さが所定値に到達した場合やカウント回数が閾値に到達した場合に、観客等がより見やすくなるように、表示ゲージの長さを縮小した画面に更新することができる。
【0103】
図23は、表示の縮小例を説明する図である。図23に示すように、表示制御部33cは、表示ゲージA1を40、表示ゲージA2を10、表示ゲージB1を60、表示ゲージB2を10で出力している状態で、有効打撃がカウントされることにより、表示ゲージA1を50、表示ゲージA2を10、表示ゲージB1を100、表示ゲージB2を10に更新したとする(S10)。
【0104】
このとき、カウント回数の閾値が100に設定されている場合、表示制御部33cは、カウント回数が閾値である100に到達したために、各コーナー(両選手)のノーマル打撃の表示ゲージを縮小して画面を更新する(S11)。なお、ここでは、閾値がカウント回数によって設定される例を挙げて説明を行うが、上述の通り、表示ゲージの長さで閾値が設定されても構わない。例えば、100カウント分に相当する長さが閾値として設定されたり、表示画面上で所定の長さに相当する表示ゲージの長さが閾値として設定されたりしても構わない。さて、表示ゲージを縮小する処理について、例えば、表示制御部33cは、カウント回数が閾値である100に到達した青コーナー用の表示ゲージB1を半分の長さに縮小するとともに、縮小されたノーマル打撃に対応する赤コーナー用の表示ゲージA1も半分に縮小する。このとき、表示制御部33cは、表示ゲージの縮小を実行するものの、数値はそのままの値で出力する。
【0105】
その後、表示制御部33cは、表示ゲージの増加のさせ方を変更し、各審判員により有効打撃が判定されると、表示ゲージの長さを縮小の実行前と比較して1/2縮尺で更新する一方で、数値は通常通り更新する(S12)。例えば、表示制御部33cは、表示ゲージの縮小前は、ボタンが1回押下されると表示ゲージを1メモリ増加させていたが、表示ゲージを1/2に縮小した後は、ボタンが2回押下されると表示ゲージを1メモリ増加させる。
【0106】
このようにすることで、カウント回数が多くなっても、観客等が表示ゲージを見づらくなることを抑制することができる。なお、表示制御部33cは、その後にカウント回数が再び閾値である100、すなわち通算で200回目に到達すると、表示ゲージをさらに半分に縮小し、表示ゲージの長さを1/4縮尺で更新する。
【0107】
ここで、図23では、いずれかのノーマル打撃のカウント数が閾値に到達すると、両選手のノーマル打撃の表示ゲージのみを縮小させる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ある表示ゲージを縮小させたときに、それに合わせて他の表示ゲージも縮小させることもできる。
【0108】
図24は、表示の縮小の別例を説明する図である。図24に示すように、表示制御部33cは、カウント回数が閾値である100に到達した青コーナー用の表示ゲージB1を半分に縮小するとともに、縮小されたノーマル打撃に対応する赤コーナー用の表示ゲージA1も半分に縮小した画像に更新する。これに合わせて、表示制御部33cは、カウント数が閾値に未到達である青コーナー用の表示ゲージB2および赤コーナー用の表示ゲージA2も半分に縮小した画像に更新する。なお、カウント数の表示はそのままとする。このようにすることで、観客等の視覚的な変化による混乱を抑制することができる。
【0109】
(集計表示)
また、表示制御部33cは、ラウンド終了後や試合終了後に、集計結果を表示することもできる。図25は、集計結果の表示例を説明する図である。図25に示すように、表示制御部33cは、ラウンド終了後や試合終了後に、収集結果25を参照して、審判員ごとに有効打撃のカウント数を計数する。そして、表示制御部33cは、カウント結果を表示した集計画面120を生成して表示する。このとき、表示制御部33cは、集計画面内の表示ゲージの色を、リアルタイムに表示させた各表示ゲージの色と一致させる。
【0110】
[処理の流れ]
図26は、実施例2にかかる表示処理の流れを示すフローチャートである。図26に示すように、表示制御部33cは、処理が開始され(S301:Yes)、信号を受信すると(S302:Yes)、出力変換情報24にしたがって、カウント先がいずれのコーナーであるかを判定する(S303)。このとき、表示制御部33cは、打撃の種類も特定する。
【0111】
そして、表示制御部33cは、カウント先が赤コーナーである場合(S303:赤)、設定単位で、該当する赤コーナーの数値および表示ゲージの更新を実行する(S304)。一方、表示制御部33cは、カウント先が青コーナーである場合(S303:青)、設定単位で、該当する青コーナーの数値および表示ゲージの更新を実行する(S305)。例えば、表示制御部33cは、1カウントが1メモリの場合、表示ゲージのメモリを1つ増やし、数値も1つ増やす。
【0112】
その後、表示制御部33cは、S304またはS305の更新により、数値または表示ゲージの長さが閾値以上となった場合(S306:Yes)、表示ゲージを縮小した画面に更新し(S307)、表示単位を再設定する(S308)。例えば、表示制御部33cは、1メモリの増やすのに2カウントが必要と設定する(2カウント=1メモリ)。なお、ステップS307とS308とは、S308が先に実行されてもよい。
【0113】
そして、表示制御部33cは、試合が継続している間は(S309:No)、S302以降を繰り返して実行し、試合が終了すると(S309:Yes)、処理を終了する。なお、表示制御部33cは、S306において、数値または表示ゲージの長さが閾値未満のままである場合(S306:No)、S307とS308を実行することなく、S309を実行する。
【0114】
[効果]
上述したように、実施例2にかかるモニタ装置20は、対戦競技の審判状況をリアルタイムに観客や視聴者等に対して表示する画面において、各選手の攻撃成功回数を、左右から表示ゲージとして表示することができる。そして、回数が多くなった結果、表示ゲージが長くなりすぎて、両端からのびる各選手のゲージが重なってしまうなどの不都合を発生することも考えられる。この場合であっても、モニタ装置20は、ある選手のトータルカウント数が閾値を超えた時に、表示ゲージを縮小させて、再調整することで、加点方式の競技のゲージ表示に対応することができる。
【実施例3】
【0115】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0116】
[数値、競技例等]
上記実施例で用いた数値例、表示例、閾値等は、あくまで一例であり、任意に変更することができる。また、上記実施例では、対戦競技の一例として、ボクシングを例示したが、これに限定されず、空手、テコンドー、柔道などのように、複数の審判員に判定される対戦競技に適用することができる。なお、タイムラインの表示も1秒ごとに限らず、2秒ごとに表示するなど任意に変更することができる。
【0117】
また、表示ゲージの縮小は、実施例2に開示した手法以外の手法を採用することができる。例えば、両選手一律に所定%縮小したり、ポイント(カウント数)を一律に所定値分だけマイナスしたり、ポイントが低い方の選手のゲージをゼロ長になるように両選手の表示ゲージを縮小したりすることもできる。
【0118】
[ボタンの対応付け]
上記実施例では、ノーマル打撃とストロング打撃を各ボタンに対応付ける例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、打撃と防御を各ボタンに対応付けたり、打撃とドミネーションとを各ボタンに対応付けたりすることもできる。例えば、第一の入力としてノーマル打撃を示す入力、第二の入力としてストロング打撃を示す入力の組み合わせ以外に、第一の入力として打撃を示す入力、第二の入力として防御を示す入力の組み合わせとしても良い。また、ボタンの数も各選手に2つずつではなく、3つずつの計6個を対応付けることもできる。ボタンの数やボタンへ対応付ける内容は、競技ごとや審判員ごとに任意に設定変更することができる。なお、ボタンの数や対応付ける内容にあわせて、表示ゲージも任意に変更することができる。
【0119】
[出力先]
例えば、実施例2では、モニタ装置20が、表示ゲージを含む画面を生成して大型ビジョン110への出力する例を説明したが、出力先は任意に変更することができる。例えば、モニタ装置20は、モニタ装置20の表示部22、各審判員のタブレット端末200、ユーザ登録した観客のスマートフォンなどに出力することができる。また、モニタ装置20は、テレビ放送のように第三者を介して観客等に配信する場合は、表示ゲージの情報だけを送信するなど、第三者の仕様にあわせた情報のみを送信することもできる。
【0120】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。なお、リアルタイム処理部33は、生成部に対応し、カウント部32は、格納制御部に対応し、要求処理部34は、取得部と生成部に対応する。
【0121】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、モニタ装置20が中継装置10を内蔵する形態であってもよい。
【0122】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0123】
[ハードウェア]
次に、モニタ装置20のハードウェア構成例を説明する。図27は、ハードウェア構成例を説明する図である。図27に示すように、モニタ装置20は、通信装置20a、HDD(Hard Disk Drive)20b、メモリ20c、プロセッサ20dを有する。また、図27に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0124】
通信装置20aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD20bは、図2に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0125】
プロセッサ20dは、図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD20b等から読み出してメモリ20cに展開することで、図2図18等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、モニタ装置20が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ20dは、取得部31、カウント部32、リアルタイム処理部33、要求処理部34等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部31、カウント部32、リアルタイム処理部33、要求処理部34等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0126】
このように、モニタ装置20は、プログラムを読み出して実行することで出力制御方法を実行する情報処理装置として動作する。また、モニタ装置20は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、モニタ装置20によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0127】
10 中継装置
11 入力部
12 通信部
13 記憶部
14 変換情報
15 取得部
16 通知部
20 モニタ装置
21 通信部
22 表示部
23 記憶部
24 出力変換情報
25 収集結果
26 動画情報
27 対応付け一覧
30 制御部
31 取得部
32 カウント部
33 リアルタイム処理部
33a 画面生成部
33b 出力制御部
33c 表示制御部
34 要求処理部
34a 要求受信部
34b 画面生成部
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