IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -コネクタ 図1
  • -コネクタ 図2
  • -コネクタ 図3
  • -コネクタ 図4
  • -コネクタ 図5
  • -コネクタ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6593 20110101AFI20231011BHJP
   H01R 9/05 20060101ALI20231011BHJP
   H01R 24/50 20110101ALI20231011BHJP
【FI】
H01R13/6593
H01R9/05 B
H01R24/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019222649
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021093275
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村林 頼一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 傑
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-241791(JP,A)
【文献】特開2016-162642(JP,A)
【文献】米国特許第09692168(US,B1)
【文献】国際公開第2013/062823(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6593
H01R 9/05
H01R 24/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体を外導体で包囲した形態の複数のシールド端子と、
複数の前記外導体同士を接続して前記複数の外導体を同電位に保持することによって、前記複数のシールド端子間における共振を規制する共振規制部材と、
前記複数のシールド端子を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、端子収容室と、前記端子収容室を開放させる開口部とを有し、
前記シールド端子が前記開口部から前記端子収容室内に収容され、
前記共振規制部材は、前記開口部を閉塞するように組み付けられることによって前記ハウジングの一部を構成しているコネクタ。
【請求項2】
内導体を外導体で包囲した形態の複数のシールド端子と、
複数の前記外導体同士を接続して前記複数の外導体を同電位に保持することによって、前記複数のシールド端子間における共振を規制する共振規制部材と、
前記複数のシールド端子を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記複数のシールド端子を保持する端子保持部材を有しており、
前記共振規制部材は、回路基板に取り付けられる基板取付部を有し、
前記共振規制部材を前記端子保持部材と前記回路基板に取り付けた状態では、前記端子保持部材が前記共振規制部材と前記回路基板との間で挟まれるコネクタ。
【請求項3】
内導体を外導体で包囲した形態の複数のシールド端子と、
複数の前記外導体同士を接続して前記複数の外導体を同電位に保持することによって、前記複数のシールド端子間における共振を規制する共振規制部材と、を備え、
前記共振規制部材は、回路基板のアース回路に接続される基板接続部を有しているコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記複数のシールド端子を保持する端子保持部材を有しており、
前記共振規制部材は、前記共振規制部材と前記端子保持部材を組付け状態に保持する組付部を有している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記共振規制部材は、前記外導体に接触する突起状の接点部を有している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車載用の通信回路に用いられるコネクタとして、シールド端子を有する複数の分割コネクタを隣り合うように合体したものが開示されている。シールド端子は、中心導体をインシュレータで包囲し、インシュレータを外側導体で包囲した形態である。複数のシールド端子はハウジング内に収容されて、隣り合うように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-241251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のコネクタの小型化を図るためには、複数のシールド端子同士を接近させればよい。しかし、シールド端子同士を接近させると、隣り合う外側導体間に電位差が生じたときにシールド端子間で共振が発生する。シールド端子間で共振が発生すると、特定の周波数でアイソレーションが悪化し、通信性能が低下するおそれがある。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、外導体間の共振を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
内導体を外導体で包囲した形態の複数のシールド端子と、前記複数のシールド端子間における共振を規制する共振規制部材とを備え、
前記共振規制部材は、複数の前記外導体同士を接続することで、前記複数の外導体を同電位に保持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、外導体間の共振を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1のコネクタを回路基板に取り付けた状態をあらわす斜視図である。
図2図2は、コネクタを分解した状態をあらわす斜視図である。
図3図3は、端子保持部材と共振規制部材との組付け構造をあらわす断面図である。
図4図4は、図3のX-X線断面図である。
図5図5は、シールド端子と回路基板との接続構造をあらわす斜視図である。
図6図6は、シールド端子と同軸ケーブルの接続構造をあらわす部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)内導体を外導体で包囲した形態の複数のシールド端子と、前記複数のシールド端子間における共振を規制する共振規制部材とを備え、前記共振規制部材は、複数の前記外導体同士を接続することで、前記複数の外導体を同電位に保持する。この構成によれば、外導体同士の間で電位差が生じないようにすることによって、シールド端子間の共振を防止できる。
【0010】
(2)前記複数のシールド端子はハウジングに収容され、前記共振規制部材は前記ハウジングの一部を構成していることが好ましい。この構成によれば、共振規制部材がハウジングの一部を構成するので、ハウジングとは別体の専用部品を共振規制部材として用いる場合に比べると、部品点数を削減できる。
【0011】
(3)(2)において、前記ハウジングは、前記複数のシールド端子を保持する端子保持部材を有しており、前記共振規制部材は、前記共振規制部材と前記端子保持部材を組付け状態に保持する組付部を有していることが好ましい。この構成によれば、共振規制部材が組付部を有しているので、他の部材を用いることなく、共振規制部材を端子保持部材に組み付けることができる。
【0012】
(4)(3)において、前記共振規制部材は、回路基板に取り付けられる基板取付部を有し、前記共振規制部材を前記端子保持部材と前記回路基板に取り付けた状態では、前記端子保持部材が前記共振規制部材と前記回路基板との間で挟まれることが好ましい。この構成によれば、共振規制部材を回路基板に取り付けた状態では、端子保持部材が回路基板から離脱するおそれがない。
【0013】
(5)前記共振規制部材は、前記外導体に接触する突起状の接点部を有していることが好ましい。この構成によれば、突起状の接点部によって、共振規制部材と外導体とを確実に接触させることができる。
【0014】
(6)前記共振規制部材は、回路基板のアース回路に接続される基板接続部を有していることが好ましい。この構成によれば、共振規制部材は、基板接続部においてアース回路に直接、接続されるので、他の部材を用いることなく、共振規制部材をアース回路に接続することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のコネクタAを具体化した実施例1を、図1図6を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、前後の方向については、図1,2,5における斜め左下方、及び図3における左方を前方と定義する。上下の方向については、図1~6にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図4にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0016】
本実施形態のコネクタAは、ハウジング10と、複数(本実施例では4つ)のシールド端子40とを備え、回路基板Pに取り付けられるようになっている。ハウジング10は、左右対称な合成樹脂製の端子保持部材11と、金属等の導電性を有する材料からなる左右対称な共振規制部材25とを組み付けて構成されている。端子保持部材11は、基板固定部12と、基板固定部12の後面における上端側領域から後方へ突出した電線導出部13とを有する。端子保持部材11を側方から見た側面視において、端子保持部材11は、基板固定部12と電線導出部13とによってL字形に屈曲した形状をなす。
【0017】
端子保持部材11内には、左右方向に間隔を空けた4つの端子収容室14が形成されている。各端子収容室14は、端子保持部材11の側面視形状と同じく、L字形に屈曲した空間である。端子収容室14は、端子保持部材11の後端面と上面と下面とに開放されている。図2,4に示すように、端子保持部材11の上面には、基板固定部12及び電線導出部13にわたって上面開口部15が形成されている。上面開口部15は、複数の端子収容室14の上端を端子保持部材11の外部へ開放させている。
【0018】
図4に示すように、基板固定部12の下面には、各端子収容室14の前端部の下端部を端子保持部材11の外部、即ち回路基板P側に向けて開放させる下面開口部16が形成されている。図2に示すように、電線導出部13の後面には、端子収容室14の後端部を端子保持部材11の外部へ開放させる後面開口部17が形成されている。後面開口部17と上面開口部15と連通している。
【0019】
端子保持部材11のうち基板固定部12の左右両外側面には、前後対称な一対のガイド部18が突出形成されている。一対のガイド部18には、ガイド部18の外側面から相手側のガイド部18に向かって張り出した形態の側壁部19が形成されている。図に示すように、一対のガイド部18には、相手側のガイド部18と対向する対向面を段差状に切欠した形態の受け部20が形成されている。側壁部19は、受け部20を外側から覆うように配されている。端子保持部材11のうち電線導出部13の左右両外側面には、一対のロック突起21が形成されている。
【0020】
共振規制部材25は、平板状をなすカバー部26と、左右一対の板状の脚部28とを、左右一対の弾性ロック片31とを有する単一部品である。共振規制部材25を上から見た平面視において、カバー部26は、方形をなし、端子保持部材11の上面開口部15を覆い隠す。カバー部26の前後方向中央よりも後方の領域には、端子収容室14と同数の接点部27が形成されている。接点部27は、カバー部26の一部を叩き出すことによって形成され、カバー部26の下面から下向きに突出した形態である。
【0021】
脚部28は、ハウジング10を回路基板Pに取り付けるための基板取付部としての機能と、共振規制部材25を回路基板Pに接続するための基板接続部としての機能とを有する。脚部28は、カバー部26の左右両側縁部のうち前端部から下方へ直角にかつ片持ち状に延出した形態である。脚部28は、幅広部28Wと、幅広部28Wよりも前後方向の幅寸法が小さい幅狭部28Nとを有する。幅広部28Wの上端は、カバー部26の左右両外側縁部に連なっている。幅狭部28Nは、幅広部28Wの下端部に対し面一状に連なっている。
【0022】
幅狭部28Nは、幅広部28Wの下端から下方へ片持ち状に延出している。幅広部28Wの下端部における前後両端部には、幅広部28Wと幅狭部28Nとの前後方向の寸法差により、一対の押圧部29が形成されている。幅狭部28Nの下端部には、前後一対の差込部30が形成されている。弾性ロック片31は、カバー部26の左右両側縁部のうち後端部から下方へ直角にかつ片持ち状に延出した形態である。弾性ロック片31は、ロック孔32を有している。
【0023】
図4に示すように、シールド端子40は、内導体41と、内導体41を収容する誘電体42と、誘電体42を包囲する外導体43とを有している。シールド端子40の側面視形状は、端子保持部材11及び端子収容室14と同様、L字形に屈曲した形状である。内導体41、誘電体42及び外導体43は、いずれも、L字形に屈曲した形状である。内導体41は、L字形に屈曲した導電性の棒材からなる。内導体41の下端部には、回路基板Pの通信回路61に接続するための通信用接続部45が形成されている。
【0024】
外導体43は、L字形に屈曲した筒状をなしている。外導体43の上面前端部は、カバー部26の接点部27を接触させる接触面44となっている。外導体43の下端部には、回路基板Pのアース回路62に接続するための複数(本実施例1では3つ)のアース用接続部46が形成されている。複数のアース用接続部46は、周方向に間隔を空けて配置され、突起状をなしている。外導体43の後端部には、オープンバレル状の圧着部47が形成されている。
【0025】
シールド端子40の後端部には、同軸ケーブル50の前端部が接続されている。図6に示すように、同軸ケーブル50は、内部導体51を絶縁体52で包囲し、絶縁体52を編組線等からなるシールド層53で包囲し、シールド層53の外周をシース54で覆った周知形態のものである。内部導体51は内導体41の後端部に接続されている。シールド層53の前端部のうちシース54の外周へ折り返された部分の外周には、外導体43の圧着部47がカシメ付けにより固着されている。
【0026】
シールド端子40は、端子保持部材11の上方から端子収容室14内に落とし込むように収容されている。シールド端子40を端子収容室14に収容した状態では、外導体43の接触面44が、上面開口部15の前端部において端子保持部材11の上方外部へ露出する。同軸ケーブル50は、電線導出部13の後面開口部17から後方へ導出されている。上記のようにハウジング10に取り付けた4つのシールド端子40は、同じ高さで回路基板Pと平行に左右方向(水平方向)に一列に並ぶように配置される。
【0027】
端子保持部材11にシールド端子40を取り付けた後、共振規制部材25を端子保持部材11に組み付ける。組付けの際には、カバー部26を端子保持部材11の上面に重なるようにする。共振規制部材25を組み付ける過程では、脚部28を一対のガイド部18の間に挿入することにより、端子保持部材11に対して共振規制部材25を前後方向に位置決めする。組付けの過程では、弾性ロック片31の下端部がロック突起21と干渉することによって、弾性変形する。
【0028】
共振規制部材25が端子保持部材11に対して正しく組み付けられると、弾性ロック片31の下端部がロック突起21を通過し、弾性復帰した弾性ロック片31のロック孔32がロック突起21に嵌合する。この嵌合により、端子保持部材11と共振規制部材25が組付け状態にロックされる。また、幅狭部28Nの差込部30が、ガイド部18の下端よりも下方へ突出し、前後一対の押圧部29が、ガイド部18の受け部20に対して上から当接する。押圧部29の側縁部はガイド部18に食い込むので、脚部28はガイド部18に対して圧入状態となる。また、幅狭部28Nの前後両側縁部も、ガイド部18に対して圧入状態となる。以上により、ハウジング10の組付けと、ハウジング10に対するシールド端子40の取り付けが完了する。
【0029】
共振規制部材25は、端子保持部材11の上面開口部15を閉塞し、シールド端子40の上面を覆い隠す。共振規制部材25は端子保持部材11に組み付けられることによって、ハウジング10を構成する。シールド端子40はハウジング10内に収容される。共振規制部材25の複数の接点部27は、それぞれ、シールド端子40の前端部上面の接触面44に接触する。複数の接点部27が複数のシールド端子40の外導体43に個別に接触することによって、ハウジング10内で隣り合う外導体43同士が短絡するので、隣り合う外導体43同士の間で電位差が生じることはない。
【0030】
以上のようにして組み付けられたコネクタAは、水平に配置された回路基板Pの上面に実装される。図2,5に示すように、回路基板Pの上面(表面)には、複数の通信回路61と1つのアース回路62がプリントされている。回路基板Pの下面(裏面)にもアース回路62がプリントされている。複数の通信回路61のうちコネクタAが実装される後端部側の領域は、左右方向に間隔を空けて配置されている。各通信回路61の後端部には、貫通形態の通信用スルーホール63が形成されている。
【0031】
アース回路62は、回路基板PのうちコネクタAが実装される領域を含む広い範囲に亘って形成されている。回路基板Pの上面側のアース回路62には、複数の通信回路61を個別に配置するための複数の切欠部64が形成されている。各切欠部64内に通信回路61の後端部領域が配置されている。アース回路62には、貫通形態の複数のアース用第1スルーホール65と、貫通形態の一対のアース用第2スルーホール66が形成されている。
【0032】
コネクタAを回路基板Pに取り付けた状態では、複数の内導体41の通信用接続部45が、通信用スルーホール63内に挿入され、半田付けにより通信回路61と導通した状態で回路基板Pに取り付けられる。複数の外導体43のアース用接続部46は、アース用第1スルーホール65内に挿入され、半田付けによりアース回路62と導通した状態で回路基板Pに取り付けられる。一対の脚部28の差込部30は、アース用第2スルーホール66に挿入され、半田付けにより回路基板Pの表裏両面のアース回路62と導通した状態で回路基板Pに取り付けられる。複数のシールド端子40の外導体43は、共振規制部材25を介してアース回路62に接続される。差込部30を回路基板Pに半田付けすることにより、ハウジング10が回路基板Pに固定される。
【0033】
差込部30が形成されている脚部28は、押圧部29を有している。押圧部29は、端子保持部材11の受け部20に対して上から抑え付けるので、端子保持部材11は回路基板Pの上面に押し付けられる。また、脚部28は端子保持部材11のガイド部18に圧入されるので、端子保持部材11と共振規制部材25は組付け状態に保持される。
【0034】
本実施例1のコネクタAは、内導体41を外導体43で包囲した形態の複数のシールド端子40と、複数のシールド端子40間における共振を規制する共振規制部材25とを備える。共振規制部材25は、複数の外導体43同士を導通させることによって、複数の外導体43を同電位に保持する。共振規制部材25は、外導体43の上面前端部の接触面44に接触する突起状の接点部27を有している。突起状の接点部27によって、共振規制部材25と外導体43とを確実に接触させることができる。この構成によれば、外導体43同士の間で電位差が生じないようにすることによって、シールド端子40間の共振を防止できる。
【0035】
複数のシールド端子40はハウジング10に収容されている。共振規制部材25はハウジング10の一部を構成しているので、ハウジング10とは別体の専用部品を共振規制部材25として用いる場合に比べると、部品点数を削減できる。ハウジング10は、複数のシールド端子40を保持する端子保持部材11を有する。共振規制部材25は、共振規制部材25と端子保持部材11を組付け状態に保持するロック部としての弾性ロック片31を有している。共振規制部材25が弾性ロック片31を有しているので、他の部材を用いることなく、共振規制部材25を端子保持部材11に組み付けることができる。
【0036】
共振規制部材25は、回路基板Pに取り付けられる基板取付部としての脚部28を有している。脚部28は、端子保持部材11と回路基板Pの両方に対して固定される。共振規制部材25を端子保持部材11と回路基板Pに取り付けた状態では、端子保持部材11のガイド部18が、共振規制部材25の脚部28に形成した押圧部29と、回路基板Pの上面との間で挟まれる。この構成によれば、共振規制部材25を回路基板Pに取り付けた状態では、端子保持部材11が回路基板Pから離脱するおそれがない。
【0037】
共振規制部材25は、回路基板Pのアース回路62に接続される基板接続部としての脚部28を有している。共振規制部材25は、脚部28の差込部30においてアース回路62に直接、接続される。したがって、他の部材を用いることなく、共振規制部材25を直接アース回路62に接続することができる。共振規制部材25を回路基板Pのアース回路62に直接接続したことにより、シールド端子40の外導体43と共振規制部材25と回路基板Pのアース回路62が全て同電位になるので、隣り合う外導体43同士の間における共振を防止する効果が高くなっている。なお、共振規制部材25をアース回路62に接続することにより、共振規制部材25と、回路基板Pのアース回路62(GND)とが同電位となるが、仮に共振規制部材25とアース回路62との間に電位差があったとしても、全ての外導体43同士の間で電位差がなければ、シールド端子40間の共振を防止することができる。
【0038】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例では、共振規制部材がハウジングの一部を構成しているが、共振規制部材はハウジングを構成しない形態であってもよい。
上記実施例では、共振規制部材と端子保持部材を直接組み付けているが、共振規制部材と端子保持部材は、別の部材を介して組み付けてもよい。
上記実施例では、共振規制部材を端子保持部材と回路基板に取り付けた状態では、共振規制部材が回路基板との間で端子保持部材を挟むが、共振規制部材は回路基板との間で端子保持部材を挟まない形態であってもよい。
上記実施例では、共振規制部材がアース回路に直接接続されるが、共振規制部材は、他の部材を介してアース回路に接続されるようにしてもよい。
上記実施例では、接点部がカバー部を下面側へ叩き出した形態であるが、接点部は、カバー部の下面に設けた弾性変形可能なバネでもよい。
上記実施例では、ハウジングが合成樹脂製の端子保持部材と金属製の共振防止部材とを組み付けて構成されているが、ハウジングは、全て金属製の部材のみで構成されていてもよい。この場合、端子収容室内に外導体との接点部を設けてもよい。
上記実施例では、共振規制部材が端子保持部材の上面開口部を覆い隠すカバー部を有し、カバー部に形成した接点部を外導体に接触させるようにしたが、共振規制部材は、カバー部を有しない形態のもの、例えば、金属線材や金属板材を溶接等によって外導体に固着するものであってもよい。
上記実施例では、ハウジングに取り付けた4つのシールド端子が、回路基板と平行に左右方向(水平方向)に一列に並ぶように配置されるが、ハウジングに取り付けた4つのシールド端子は、正面から見て「田」の字をなすように配置されてもよく、回路基板に対して直角に上下方向に一列に並ぶように配置されてもよす。
上記実施例では、ハウジングに4つのシールド端子が取り付けられているが、ハウジングに取り付けるシールド端子の数は、3以下でもよく、5つ以上でもよい。シールド端子の数が3つ又は5つ以上の場合には、シールド端子がピラミッド状(俵積み状)に配置されてもよい。
上記実施例では、共振規制部材が、ハウジングに取り付けた複数のシールド端子の全てに対して接触するが、共振規制部材は、ハウジングに取り付けた複数のシールド端子の一部のみに接触するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
A…コネクタ
P…回路基板
10…ハウジング
11…端子保持部材
12…基板固定部
13…電線導出部
14…端子収容室
15…上面開口部
16…下面開口部
17…後面開口部
18…ガイド部
19…側壁部
20…受け部
21…ロック突起
25…共振規制部材
26…カバー部
27…接点部
28…脚部
28N…幅狭部
28W…幅広部
29…押圧部
30…差込部
31…弾性ロック片
32…ロック孔
40…シールド端子
41…内導体
42…誘電体
43…外導体
44…接触面
45…通信用接続部
46…アース用接続部
47…圧着部
50…同軸ケーブル
51…内部導体
52…絶縁体
53…シールド層
54…シース
61…通信回路
62…アース回路
63…通信用スルーホール
64…切欠部
65…アース用第1スルーホール
66…アース用第2スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6