(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】認証システム、認証装置及び認証方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231011BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20231011BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20231011BHJP
【FI】
G06T7/00 510F
G06F21/32
A61B5/1171 200
(21)【出願番号】P 2019229230
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019005859
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 由利
(72)【発明者】
【氏名】田野 壮一
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-123103(JP,A)
【文献】特開2007-122143(JP,A)
【文献】特開2018-18261(JP,A)
【文献】特開2006-92491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0189551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06F 21/32
A61B 5/1171
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が携帯する情報コード記録媒体と、
前記利用者の認証を行う認証装置と、
を備える認証システムであって、
前記情報コード記録媒体は、
前記利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録される情報コードを備え、
前記認証装置は、
撮像部と、
前記撮像部により人の顔が認識可能に撮像されている顔認識可能状態であるか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記顔認識可能状態と判定された後に前記人の顔を前記撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点を抽出する抽出部と、
前記情報コード記録媒体に表示された前記情報コードを前記撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される前記顔特徴点に関する情報を読み取る読取部と、
前記抽出部により抽出した前記顔特徴点と前記読取部により読み取られた前記顔特徴点とを照合する照合部と、
前記照合部の照合結果に基づいて前記利用者の認証を行う認証部と、
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項2】
前記情報コードを読み取り可能な状態を所定の表示状態にて示す表示部を備え、
前記撮像部は、前記表示部を見ている前記利用者の視野範囲内となる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記抽出部により抽出された前記顔特徴点が一時的に記憶されて一定時間経過後に消去される記憶部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記撮像部による撮像範囲に向けて照明光を照射する照明部と、
前記照明部における前記照明光の照射状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、所定の条件において、前記撮像部にて前記人の顔を撮像する際の照射状態と、前記撮像部にて前記情報コードを撮像する際の照射状態とが異なるように前記照明部を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記撮像部による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が徐々に大きくなる場合に、前記顔認識可能状態であると判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
前記判定部は、前記撮像部の撮像画像における基準線に対して、認識可能に撮像された人の顔に関する中心線の傾きが所定の角度範囲内となる場合に、前記顔認識可能状態であると判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記撮像部による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が瞬きしていると認識可能な場合に、前記顔認識可能状態であると判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記撮像部による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔にかかる影の範囲が変化する場合に、前記顔認識可能状態であると判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項9】
前記判定部は、前記撮像部にて認識可能に撮像された人の顔に関して奥行きが認識される場合に、前記顔認識可能状態であると判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項10】
情報コードをかざした利用者の認証を行う認証装置であって、
前記情報コードには、前記利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録され、
撮像部と、
前記撮像部により人の顔が認識可能に撮像されている顔認識可能状態であるか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記顔認識可能状態と判定された後に前記人の顔を前記撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点を抽出する抽出部と、
前記情報コードを前記撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される前記顔特徴点に関する情報を読み取る読取部と、
前記抽出部により抽出した前記顔特徴点と前記読取部により読み取られた前記顔特徴点とを照合する照合部と、
前記照合部の照合結果に基づいて前記利用者の認証を行う認証部と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項11】
情報コードをかざした利用者の認証を行う認証方法であって、
前記情報コードには、前記利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録され、
撮像部により撮像画像を生成する撮像ステップと、
前記撮像ステップにて人の顔が認識可能に撮像されている顔認識可能状態であるか否かについて判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記顔認識可能状態と判定された後に前記人の顔を前記撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点を抽出する抽出ステップと、
前記情報コードを前記撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される前記顔特徴点に関する情報を読み取る読取ステップと、
前記抽出ステップにて抽出した前記顔特徴点と前記読取ステップにて読み取られた前記顔特徴点とを照合する照合ステップと、
前記照合ステップの照合結果に基づいて前記利用者の認証を行う認証ステップと、
を備えることを特徴とする認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを用いた認証システム、認証装置及び認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高度なセキュリティ性が求められる認証システムとして、顔認証を利用したシステムが採用される場合がある。このような顔認証を利用したシステムは、大掛かりなシステム構成が必要となるため、高度なセキュリティ性が求められる場所に据え置かれて利用されていた。その一方で、大学で行われる資格試験や、ホール会場で行われるコンサート・イベント等、認証システムとして簡素な構成にて比較的高いセキュリティ性が求められるニーズもある。このような簡素な構成にて比較的高いセキュリティ性を実現するためのシステムとして、例えば、下記特許文献1に開示される認証システムが知られている。
【0003】
この認証システムでは、利用者の顔特徴点に関する情報を記録した認証用コードがサーバにて生成され、この認証用コードが利用者の携帯端末に記憶される。そして、認証装置において、情報コード読取部により携帯端末に表示された認証用コードが撮像されるとともに撮像部により利用者の顔が撮像されると、撮像された認証用コードから読み取られた顔特徴点と、撮像された利用者の顔の画像から抽出された顔特徴点とが照合され、その照合結果に基づいて利用者の認証が行われる。これにより、利用者は、予め取得した認証用コードと自身の顔とを認証装置に撮像させるだけで、顔特徴点を利用した認証を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1では、認証用コードを情報コード読取部により撮像し、利用者の顔を撮像部により撮像することで、認証用の情報を取得するように構成されている。このように撮像手段が2つ必要となるため、それぞれの撮像手段の設置場所が限定される場合があった。また、2つの撮像手段があることにより、両撮像手段を備える認証装置の設置状況等によっては、利用者の撮像がうまくできない場合が想定される等の課題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、利用者が意識することなくその利用者の顔を撮像し、その顔画像から抽出した顔特徴点を利用した認証を実現可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
利用者が携帯する情報コード記録媒体(30)と、
前記利用者の認証を行う認証装置(20)と、
を備える認証システム(10)であって、
前記情報コード記録媒体は、
前記利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録される情報コード(C)を備え、
前記認証装置は、
撮像部(23)と、
前記撮像部により人の顔が認識可能に撮像されている顔認識可能状態であるか否かについて判定する判定部(21)と、
前記判定部により前記顔認識可能状態と判定された後に前記人の顔を前記撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点を抽出する抽出部(21)と、
前記情報コード記録媒体に表示された前記情報コードを前記撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される前記顔特徴点に関する情報を読み取る読取部(21)と、
前記抽出部により抽出した前記顔特徴点と前記読取部により読み取られた前記顔特徴点とを照合する照合部(21)と、
前記照合部の照合結果に基づいて前記利用者の認証を行う認証部(21)と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項10に記載の発明は、
情報コード(C)をかざした利用者の認証を行う認証装置(20)であって、
前記情報コードには、前記利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録され、
撮像部(23)と、
前記撮像部により人の顔が認識可能に撮像されている顔認識可能状態であるか否かについて判定する判定部(21)と、
前記判定部により前記顔認識可能状態と判定された後に前記人の顔を前記撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点を抽出する抽出部(21)と、
前記情報コードを前記撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される前記顔特徴点に関する情報を読み取る読取部(21)と、
前記抽出部により抽出した前記顔特徴点と前記読取部により読み取られた前記顔特徴点とを照合する照合部(21)と、
前記照合部の照合結果に基づいて前記利用者の認証を行う認証部(21)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項11に記載の発明は、
情報コード(C)をかざした利用者の認証を行う認証方法であって、
前記情報コードには、前記利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録され、
撮像部(23)により撮像画像を生成する撮像ステップと、
前記撮像ステップにて人の顔が認識可能に撮像されている顔認識可能状態であるか否かについて判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記顔認識可能状態と判定された後に前記人の顔を前記撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点を抽出する抽出ステップと、
前記情報コードを前記撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される前記顔特徴点に関する情報を読み取る読取ステップと、
前記抽出ステップにて抽出した前記顔特徴点と前記読取ステップにて読み取られた前記顔特徴点とを照合する照合ステップと、
前記照合ステップの照合結果に基づいて前記利用者の認証を行う認証ステップと、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、情報コード記録媒体は、利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録される情報コードを備えている。そして、認証装置では、判定部により顔認識可能状態と判定された後に人の顔を撮像部にて撮像した撮像画像から顔特徴点が抽出部により抽出されるとともに、情報コード記録媒体に表示された情報コードを撮像部にて撮像した撮像画像から当該情報コードに記録される顔特徴点に関する情報が読取部により読み取られる。そして、抽出部により抽出した顔特徴点と読取部により読み取られた顔特徴点とが照合部により照合されて、この照合結果に基づいて、認証部により利用者の認証が行われる。
【0011】
これにより、利用者は、自身の顔と情報コード記録媒体に表示される情報コードとを認証装置の撮像部に撮像させるだけで、顔特徴点を利用した認証を行うことができる。特に、利用者の顔を撮像するための撮像手段と情報コード記録媒体に表示された情報コードを撮像するための撮像手段とが1つの撮像部で兼用されるため、利用者は撮像部を見ながらその撮像部に情報コードをかざす動作をすることとなる。このような場合には、情報コードを撮像する前に、情報コードをかざそうとしている利用者の顔を、利用者が意識することなく撮像部にて認識可能に撮像することができる。また、利用者の顔を撮像するために利用者が撮像部に対して静止する動作を行う必要もない。このため、情報コードを読み取る前に、利用者の顔を撮像してその顔特徴点を抽出するための処理を開始できるので、情報コードを撮像部にかざしてから照合部による照合結果を得るまでの時間が短くなり、利用者が認識する認証時間を短縮することができる。
【0012】
請求項2の発明では、情報コードを読み取り可能な状態を所定の表示状態にて示す表示部が設けられ、撮像部は、表示部を見ている利用者の視野範囲内となる位置に配置される。これにより、利用者は、撮像部に情報コードをかざそうとする際、表示部が所定の表示状態となっていることを視認するので、利用者の視野範囲内となっている撮像部にて利用者の顔をより認識しやすい状態で撮像することができ、認証精度を高めることができる。
【0013】
請求項3の発明では、抽出部により抽出された顔特徴点が記憶部に一時的に記憶されて一定時間経過後に消去される。これにより、例えば、情報コード記録媒体のかざし方が適切でなかったために情報コードが読み取られなくても、抽出された顔特徴点が一定時間保持されるので、この一定時間内で情報コードが適切に読み取られることで、利用者の顔を再度認識可能に撮像する手間をなくすことができる。その一方で、抽出された顔特徴点は、一定時間経過後には記憶されなくなるので、認証対象と異なる他人の顔が意図せずに撮像されたとしても、適切に消去することができる。
【0014】
請求項4の発明では、所定の条件において、撮像部にて人の顔を撮像する際の照射状態と、撮像部にて情報コードを撮像する際の照射状態とが異なるように照明部が制御部により制御される。これにより、例えば、周囲の明るさなどの所定の条件において、同じ撮像部を利用する場合でも、人の顔を撮像するために適した撮像状態と情報コードを撮像するために適した撮像状態とを切り替えることができるので、顔特徴点の抽出精度や情報コードの読取精度が向上し、その結果、認証精度を高めることができる。
【0015】
請求項5の発明では、判定部は、撮像部による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が徐々に大きくなる場合に、顔認識可能状態であると判定する。第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた場合には、人の顔として認識されてもその人の顔が徐々に大きくならない限り顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定され難くなるので、なりすましを防止することができる。
【0016】
請求項6の発明では、判定部は、撮像部の撮像画像における基準線に対して、認識可能に撮像された人の顔に関する中心線の傾きが所定の角度範囲内となる場合に、顔認識可能状態であると判定する。
【0017】
第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた際に、その顔写真が傾いていると、撮像画像においてその顔に関する中心線が鉛直線(重力方向に沿う線)に対して傾くことになる。一方、撮像部に向かって歩いている人を撮像するとき、撮像画像においてその顔に関する中心線の鉛直線に対する傾きは十分に小さくなる。すなわち、撮像部の撮像画像における上記鉛直線等の基準線に対して認識可能に撮像された人の顔に関する中心線の傾きが所定の角度範囲内とならない場合には、顔写真を撮像している可能性がある。このため、認識可能に撮像された人の顔に関する中心線の傾きが所定の角度範囲内となる場合に顔認識可能状態であると判定し、上記中心線が所定の角度範囲内とならない場合に顔認識可能状態でないと判定することで、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、その顔写真が大きく傾いていると顔認識可能状態であると誤判定され難くなるので、なりすましを防止することができる。
【0018】
請求項7の発明では、判定部は、撮像部による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が瞬きしていると認識可能な場合に、顔認識可能状態であると判定する。第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた場合には、人の顔として認識されても瞬きできないため顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定されないので、なりすましを防止することができる。
【0019】
請求項8の発明では、撮像部による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔にかかる影の範囲が変化する場合に、顔認識可能状態であると判定する。第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた場合には、人の顔として認識されても顔にかかる影の範囲が変化しないため顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定されないので、なりすましを防止することができる。
【0020】
請求項9の発明では、判定部は、撮像部にて認識可能に撮像された人の顔に関して奥行きが認識される場合に、顔認識可能状態であると判定する。第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた場合には、人の顔として認識されてもその顔に関して奥行きが認識されないため顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定されないので、なりすましを防止することができる。
【0021】
請求項10の発明では、請求項1と同様の効果を奏する認証装置を実現できる。
請求項11の発明では、請求項1と同様の効果を奏する認証方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る認証システムの構成を概略的に示す説明図である。
【
図2】撮像された顔画像データから顔特徴点を抽出する箇所の一部を例示する説明図である。
【
図3】認証装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】携帯端末の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】認証装置による認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図6】携帯端末に画面表示された顔写真が認証装置の撮像部に撮像された状態を説明する説明図である。
【
図7】携帯端末に画面表示された顔写真が傾いて認証装置の撮像部に撮像された状態を説明する説明図である。
【
図8】顔の一部に影がかかった顔写真が画面表示された状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る認証システム、認証装置及び認証方法を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す認証システム10は、主として、認証装置20を備えており、利用者の顔画像から抽出された顔特徴点や個人情報等が記録される情報コード(以下、認証用コードCともいう)を利用してその利用者の個人認証を行うシステムとして構成されている。
【0024】
本実施形態では、認証システム10は、例えば、顔認証が成功した利用者が特定の部屋への入室を許可される入退管理システムに採用されている。利用者は、認証用コードCを備える情報コード記録媒体として携帯端末30を携帯しており、上記特定の部屋への出入口に設置される認証装置20に対して携帯端末30に画面表示された認証用コードCを撮像させる動作を行うことで、認証成功時に上記特定の部屋への入室が許可される。具体的には、認証装置20から認証成功情報が出入口の扉に設けられる電気錠の施解錠を制御する施解錠制御装置に送信されることで、施解錠制御装置によって電気錠が解錠状態になることで、上記特定の部屋への入室が許可される。
【0025】
認証用コードCは、個人認証を申請する利用者からその顔画像データを取得した所定のコード生成装置によって生成される。このコード生成装置は、利用者から取得した顔画像データから顔特徴点を抽出し、この顔特徴点に関する情報や個人情報等を情報コード化して認証用コードCを生成する。本実施形態では、顔特徴点として、目、眉、鼻、耳、口などの顔器官のそれぞれの大きさや形状、輪郭や顔器官同士の配置位置等の項目が採用されている。そして、コード生成装置により実施される公知の顔特徴点を抽出するための顔特徴点抽出処理に応じて、例えば、
図2に例示するように取得した顔画像データDについて、項目ごとの特徴、例えば、「D1:目が切れ長」や「D2:口が大きめ」等のデータが顔特徴点としてそれぞれ算出されて抽出される。
【0026】
そして、コード生成装置により実施される公知の情報コード生成処理に応じて、上述のように抽出された顔特徴点に関する情報や個人情報等に基づいて、復号鍵(暗号鍵)を用いて復号可能に暗号化して認証用コードCが生成される。本実施形態では、認証用コードCとして、例えば、暗号化することでセキュリティ性が高められたQRコード(登録商標)が採用される。
【0027】
次に、認証装置20について、
図1および
図3を用いて説明する。
認証装置20は、携帯端末30に画面表示された認証用コードCを利用して利用者の認証を行う装置として構成されるものであり、上記特定の部屋への出入口、具体的には、出入口に設けられる扉近傍の壁面にて利用者の目線の高さとなる位置に設置されている。この認証装置20は、
図3に示すように、制御部21、記憶部22、撮像部23、表示部24、照明部25、操作部26、通信部27などを備えている。
【0028】
制御部21は、マイコンを主体として構成されて、認証装置20の全体的制御や各種演算を行うものであり、例えば後述する認証処理を実行するように機能する。記憶部22は、ROM、RAM、HDD、不揮発性メモリなどの公知の記憶媒体によって構成されており、認証処理を実行するためのアプリケーションプログラムや所定のデータベース等が、制御部21により利用可能に予め格納されている。また、記憶部22には、認証用コードCを解読するための復号鍵が予め記憶されている。
【0029】
撮像部23は、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラであって、読取窓(撮像窓)を介して撮像した画像データが制御部21に出力されるように構成されている。この撮像部23により撮像された顔画像データに基づいて、抽出部として機能する制御部21により上記コード生成装置と同様に顔特徴点抽出処理が実施されることで、顔特徴点が抽出される。また、撮像部23により撮像された認証用コードCに基づいて、読取部として機能する制御部21により記憶部22に記憶されている復号鍵を用いて暗号化された認証用コードCを復号するように情報コード読取処理(デコード処理)が実施されることで、認証用コードCに記録された顔特徴点が読み取られる。
【0030】
表示部24は、例えば、LEDであって、
図1に示すように撮像部23の読取窓を囲うように略四角環状に配置されており、制御部21により制御されて、顔特徴点の抽出の成否や認証処理の結果等に応じて、その点灯・点滅状態が変化するように構成されている。このような配置構成のため、撮像部23は、表示部24を見ている利用者の視野範囲内となる位置に配置されることとなる。
【0031】
照明部25は、照明光源や照明レンズ等を備えており、制御部21により制御されて、撮像部23の撮像範囲に向けて照明光を照射するように構成されている。操作部26は、入力操作に応じた操作信号を制御部21に対して出力する構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて入力操作に応じた処理を行うようになっている。通信部27は、上記施解錠制御装置や入退管理用のサーバなどの外部装置との間でデータ通信を行うための通信インタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行うように構成されている。
【0032】
次に、携帯端末30について
図1および
図4を用いて説明する。
図1および
図4に示す携帯端末30は、例えば、スマートフォンであって、CPU等からなる制御部31、メモリ32、カメラとして構成される撮像部33、制御部31によって表示内容が制御されるタッチパネル34、タッチパネル34に対するタッチ操作やキー操作に信号を制御部31に出力する操作部35、外部機器等と通信するための通信部36などを備えている。
【0033】
このように構成される携帯端末30のメモリ32には、上述したコード生成装置にて生成された認証用コードCが予め記憶されている。そして、利用者による操作部35に対する所定の操作等に応じて、メモリ32から読み出された認証用コードCがタッチパネル34に表示された状態になる(
図1参照)。
【0034】
次に、認証方法として認証装置20にてなされる認証処理について、
図5に示すフローチャートを参照して詳述する。
認証装置20の制御部21により認証処理が開始されると、
図5のステップS101に示す撮像処理がなされる。この処理では、照明部25により読取窓を介して照明光が照射された状態で撮像部23による撮像がなされる。続いて、ステップS103の判定処理にて、撮像部23により人の顔が認識可能に撮像されている状態(以下、顔認識可能状態ともいう)であるか否かについて判定され、人の顔が撮像されておらず顔認識可能状態でないと判定される場合には(S103でNo)、撮像部23による撮像が継続される。なお、上記撮像処理は、撮像部23により撮像画像を生成する「撮像ステップ」の一例に相当し得る。また、上記ステップS103の判定処理は、「判定ステップ」の一例に相当し、この判定処理を実行する制御部21は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0035】
上記特定の部屋へ入室する利用者は、携帯端末30に画面表示された認証用コードCを認証装置20の読取窓にかざそうとする。その際、読取窓を見た利用者の顔が撮像部23により撮像されることで顔認識可能状態となると、ステップS103にてYesと判定されて、ステップS105に示す顔画像データ生成処理がなされる。この処理では、撮像部23により顔特徴点を抽出するための画像が新たに撮像されて顔画像データが生成される。なお、顔画像データ生成処理では、顔特徴点を抽出するための画像を新たに複数撮像して、それらの画像データの中から顔特徴点を抽出容易な1つを顔画像データとしてもよい。
【0036】
続いて、ステップS107に示す顔特徴点抽出処理がなされ、上述のように生成された顔画像データから、上記コード生成装置と同様にして、顔特徴点が抽出されて、記憶部22に一時的に記憶される。なお、上記顔特徴点抽出処理は、「抽出ステップ」の一例に相当し得る。
【0037】
このように顔特徴点が抽出されると、顔特徴点の抽出が完了して認証用コードCを読取可能な状態になっていることを示すため、表示部24が第1点灯状態(例えば、青色点灯状態)となる(S109)。続いて、ステップS111に示す情報コード読取処理がなされる。この処理では、記憶部22に記憶されている復号鍵を用いて、撮像部23により撮像された情報コードを読み取るためのデコード処理がなされる。なお、上記情報コード読取処理は、「読取ステップ」の一例に相当し得る。
【0038】
次に、ステップS113の判定処理にて、認証用コードCの読み取りに成功したか否かについて判定される。ここで、認証用コードCが撮像されていないか、認証用コードCと異なる情報コードが読み取られている場合には、ステップS113にてNoと判定され、第1点灯状態になってから一定時間を経過していない場合には(S115でNo)、上記ステップS111の情報コード読取処理がなされ、情報コードを読取可能な状態が維持される。
【0039】
そして、第1点灯状態になってから一定時間を経過していない状態にて(S115でNo)、上述のように顔画像が撮像された利用者が携帯端末30に画面表示された認証用コードCを認証装置20の読取窓にかざすことで認証用コードCが撮像され、顔特徴点に関する情報や個人情報等の読み取りが成功すると(S113でYes)、ステップS117に示す照合処理がなされる。この処理では、顔画像データから抽出した顔特徴点と認証用コードCから読み取られた顔特徴点とに基づいて、顔特徴点における全ての項目について一致するか否か照合される。なお、上記照合処理は、「照合ステップ」の一例に相当し、この照合処理を実行する制御部21は、「照合部」の一例に相当し得る。
【0040】
そして、顔特徴点における全ての項目が一致する場合には、ステップS119の判定処理にてYesと判定されて、認証成功であることを示すため、表示部24が一定時間第2点灯状態(例えば、緑色点灯状態)となる(S123)。続いて、ステップS125に示す送信処理がなされ、認証成功を示す認証成功情報が通信部27を介して施解錠制御装置に送信されるとともに、認証成功情報や読み取った個人情報等が通信部27を介して入退管理用のサーバ等に送信される。そして、上記ステップS101からの処理がなされ、入室を希望する次の利用者の顔を撮像可能な状態になる。なお、上記ステップS119の判定処理では、顔特徴点における全ての項目が一致する場合にYesと判定されることに限らず、顔特徴点における所定数の項目が一致する場合にYesと判定されてもよい。また、上記ステップS119の判定処理は、「認証ステップ」の一例に相当し、この判定処理を実行する制御部21は、「認証部」の一例に相当し得る。
【0041】
上述のように認証装置20から認証成功情報が送信されて、この認証成功情報を受信した施解錠制御装置により電気錠が解錠状態になることで、利用者は、上記特定の部屋への入室が可能となる。
【0042】
一方、第三者が他人の携帯端末30に画面表示された認証用コードCを認証装置20の読取窓にかざしている場合には、顔特徴点における各項目が一致しないため、ステップS119にてNoと判定されて、認証失敗であることを示すため、表示部24が一定時間第3点灯状態(例えば、赤色点灯状態)となる(S127)。この場合には、認証装置20から認証成功情報が送信されることもないため、施解錠制御装置により電気錠が解錠状態になることはない。なお、このような場合には、認証失敗情報や読み取った個人情報等が通信部27を介して入退管理用のサーバ等に送信されてもよい。
【0043】
また、認証用コードCが撮像されていない状態にて第1点灯状態になってから一定時間が経過すると(S115でYes)、上述のように抽出されて記憶された顔特徴点が記憶部22から消去されて、上記ステップS101からの処理が再度なされる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る認証システム10では、携帯端末30には、利用者の顔画像から抽出された顔特徴点が記録される認証用コードCが画面表示可能にメモリ32に記憶されている。そして、認証装置20では、顔認識可能状態と判定された後に人の顔を撮像部23にて撮像した撮像画像から顔特徴点が抽出されるとともに、携帯端末30に画面表示された認証用コードCを撮像部23にて撮像した撮像画像から当該認証用コードCに記録される顔特徴点に関する情報が読み取られる。そして、抽出した顔特徴点と読み取られた顔特徴点とが照合されて、この照合結果に基づいて、利用者の認証が行われる。
【0045】
これにより、利用者は、自身の顔と携帯端末30に画面表示される認証用コードCとを認証装置20の撮像部23に撮像させるだけで、顔特徴点を利用した認証を行うことができる。特に、利用者の顔を撮像するための撮像手段と携帯端末30に画面表示される認証用コードCを撮像するための撮像手段とが1つの撮像部23で兼用されるため、利用者は撮像部23の読取窓を見ながらその読取窓に認証用コードCをかざす動作をすることとなる。このような場合には、認証用コードCを撮像する前に、認証用コードCをかざそうとしている利用者の顔を、利用者が意識することなく撮像部23にて認識可能に撮像することができる。また、利用者の顔を撮像するために利用者が撮像部23に対して静止する動作を行う必要もない。このため、認証用コードCを読み取る前に、利用者の顔を撮像してその顔特徴点を抽出するための処理を開始できるので、認証用コードCを撮像部23にかざしてから照合処理による照合結果を得るまでの時間が短くなり、利用者が認識する認証時間を短縮することができる。
【0046】
特に、上記顔特徴点抽出処理により抽出された顔特徴点が、第1点灯状態になってから一定時間を経過するまで(S115にてYesと判定されるまで)、記憶部22に一時的に記憶されて一定時間経過後に消去される。これにより、例えば、携帯端末30に画面表示される認証用コードCのかざし方が適切でなかったために認証用コードCが読み取られなくても、抽出された顔特徴点が一定時間保持されるので、この一定時間内で認証用コードCが適切に読み取られることで、利用者の顔を再度認識可能に撮像する手間をなくすことができる。その一方で、抽出された顔特徴点は、一定時間経過後には(S115でYes)、消去されて記憶されなくなるので、認証対象と異なる他人の顔が意図せずに撮像されたとしても、適切に消去することができる。
【0047】
本実施形態の第1変形例として、表示部24は、制御部21により制御されて、上記ステップS103にてNoとの判定が繰り返される処理中、すなわち、顔認識可能状態となる前に、認証用コードCを読取可能な状態になっていることを示すため、第1~第3点灯状態と異なる所定の表示状態(例えば、青色点滅状態)になってもよい。このため、認証用コードCを読み取り可能な状態を上記所定の表示状態にて示す表示部24が設けられ、撮像部23は、表示部24を見ている利用者の視野範囲内となる位置に配置されることとなる。
【0048】
これにより、利用者は、撮像部23に認証用コードCをかざそうとする際、表示部24が上記所定の表示状態となっていることを視認するので、利用者の視野範囲内となっている撮像部23にて利用者の顔をより認識しやすい状態で撮像することができ、認証精度を高めることができる。なお、第1~第3点灯状態や上記所定の表示状態は、一例であって、色変更や所定間隔の点滅、点灯・点滅箇所の変更などを利用してもよい。また、第1~第3点灯状態や上記所定の表示状態時に、音声等を利用してその旨を報知してもよい。
【0049】
本実施形態の第2変形例として、所定の条件において、撮像部23にて人の顔を撮像する際の照射状態と、撮像部23にて認証用コードCを撮像する際の照射状態とが異なるように、照明部25が制御部21により制御されてもよい。例えば、照明部25が可視光に加えて赤外光を照射可能に構成されることを前提に、周囲が暗い夜間等の所定の条件では、人の顔を撮像する際に赤外光を照射し、認証用コードCを撮像する際に明るさを抑えるように調整した可視光を照射するようにしてもよい。周囲が暗い状態で明るい可視光を照射すると利用者が眩しく感じてしまう場合があり、この赤外光で認証用コードCを撮像する場合に、認証用コードCが表示される情報コード記録媒体の種別等によっては読み取り可能に撮像できない場合があるからである。
【0050】
このように、周囲の明るさなどの所定の条件において、同じ撮像部23を利用する場合でも、人の顔を撮像するために適した撮像状態(照射状態)と認証用コードCを撮像するために適した撮像状態(照射状態)とを切り替えることができるので、顔特徴点の抽出精度や認証用コードCの読取精度が向上し、その結果、認証精度を高めることができる。
【0051】
なお、顔特徴点に関する情報の秘匿性をさらに高めるため、上記認証用コードCとして一部非公開コードを採用することができる。この一部非公開コードは、公開領域と、復号鍵を用いて復号可能に暗号化された情報が記録される非公開領域とを有する情報コードとして構成される。このため、非公開領域に顔特徴点に関する情報を記録することで、復号鍵を有しないコードリーダでは、公開領域に記録された情報しか読み取ることができず、他に情報が記録されていることさえ認識できないため、顔特徴点に関する情報の秘匿性を高めることができる。一方、本認証システム10がセキュリティ性の要求が比較的低い環境にて使用される場合には、上述のように抽出された顔特徴点に関する情報に基づいて、暗号化することなく認証用コードCを生成してもよい。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る認証システム、認証装置及び認証方法について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、顔認識可能状態と判定される判定条件をより厳密にした点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
上述した認証処理におけるステップS103の判定処理(判定部として機能する制御部21にてなされる処理)では、撮像部23により人の顔が認識可能に撮像されている状態(顔認識可能状態)であるか否かについて判定される。このため、第三者が不正目的で携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部23に撮像させた場合に、顔認識可能状態であると誤判定される可能性がある。特に、本発明のように、携帯端末にて画面表示させた認証用コードC等の情報コードを読み取らせて認証を行うシステムでは、その携帯端末に顔写真等を画面表示させて不正に使用することが容易に想定される。
【0054】
そこで、本実施形態では、顔認識可能状態と判定される判定条件をより厳密にすることで、不正目的で顔写真を撮像部23に撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定され難くして、正当権限者(許可された利用者)のふりをして正当権限者のみに許可された行為を行うなりすましを抑制する。
【0055】
具体的には、上記ステップS103の判定処理では、撮像部23による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が徐々に大きくなる場合に、顔認識可能状態であると判定する。
【0056】
このため、正当権限者が上記特定の部屋への入室時に撮像部23に近づくことで、正当権限者の顔が認識された後、その顔が徐々に大きくなるように撮像されるので、顔認識可能状態であると判定される。一方、
図6に例示するように、第三者が携帯端末に画面表示された顔写真Pを撮像部23に撮像させた場合には、人の顔として認識されてもその人の顔が徐々に大きくならない限り顔認識可能状態であると判定されることもない。
【0057】
このように、本実施形態では、撮像部23による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が徐々に大きくなる場合に顔認識可能状態であると判定することで、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定され難くなるので、なりすましを防止することができる。
【0058】
なお、本実施形態の第1変形例として、上記ステップS103の判定処理では、撮像部23の撮像画像における基準線Loに対して、認識可能に撮像された人の顔に関する中心線Lfの傾きが所定の角度範囲内となる場合に、顔認識可能状態であると判定してもよい。
【0059】
本第1変形例では、上記基準線Loは、鉛直線(重力方向に沿う線)となるように設定されており、第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部23に撮像させた際に、例えば、
図7に例示するように、その顔写真が傾いていると、撮像画像においてその顔に関する中心線Lfが基準線Loとなる鉛直線に対して傾くことになる。一方、撮像部23に向かって歩いている人を撮像するとき、撮像画像においてその顔に関する中心線Lfの基準線Loに対する傾きは十分に小さくなる。すなわち、撮像部23の撮像画像において、基準線Loに対する中心線Lfの傾きθが所定の角度範囲θth(例えば、30°)内とならない場合には、顔写真を撮像している可能性がある。
【0060】
このため、本第1変形例では、認識可能に撮像された人の顔に関する中心線Lfの基準線Loに対する傾きθが所定の角度範囲θth内となる場合に顔認識可能状態であると判定し、中心線Lfの基準線Loに対する傾きθが所定の角度範囲θth内とならない場合に顔認識可能状態でないと判定する。これにより、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、その顔写真が大きく傾いていると顔認識可能状態であると誤判定され難くなるので、なりすましを防止することができる。
【0061】
また、本実施形態の第2変形例として、上記ステップS103の判定処理では、撮像部23による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔が瞬きしていると認識可能な場合に、顔認識可能状態であると判定してもよい。第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた場合には、人の顔として認識されても瞬きできないため顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定されないので、なりすましを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態の第3変形例として、上記ステップS103の判定処理では、撮像部23による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔にかかる影の範囲が変化する場合に、顔認識可能状態であると判定してもよい。
【0063】
例えば、
図8に例示するように、人の顔を撮像した顔写真Pでは、その撮像時の周囲の明るさによってその顔の一部に影(
図8のハッチング領域S参照)がかかる。そして、その撮像対象となる人が移動すると、顔に対する光の当たり方が変化するために影がかかる範囲が変化する。その一方で、顔写真Pではその顔に影がかかっていてもその範囲が変化することはない。すなわち、連続画像において人の顔にかかる影の範囲が変化しない場合には、顔写真を撮像している可能性が高い。
【0064】
このため、撮像部23による連続画像において、認識可能に撮像された人の顔にかかる影の範囲が変化する場合に、顔認識可能状態であると判定することで、顔写真等を撮像部23に撮像させた場合には、人の顔として認識されても顔にかかる影の範囲が変化しないため顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定されないので、なりすましを防止することができる。
【0065】
また、本実施形態の第4変形例として、上記ステップS103の判定処理では、撮像部23にて認識可能に撮像された人の顔に関して奥行きが認識される場合に、顔認識可能状態であると判定してもよい。第三者が携帯端末に画面表示された顔写真等を撮像部に撮像させた場合には、人の顔として認識されてもその顔に関して奥行きが認識されないため顔認識可能状態であると判定されることもない。このため、不正目的で顔写真を撮像させた場合でも、顔認識可能状態であると誤判定されないので、なりすましを防止することができる。
【0066】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)認証用コードCは、携帯端末30のタッチパネル34に対して画面表示可能にメモリ32に記憶されることに限らず、例えば、紙媒体等の情報コード記録媒体の一面に撮像可能に印刷されることで備えられてもよい。
【0067】
(2)本発明に係る認証システム10は、特定の部屋への入室を許可される入退管理システムに適用されることに限らず、例えば、コンサート会場の入場ゲートを管理する管理システムに採用されてもよいし、小売店等で認証が必要なサービス提供時に利用されるシステムに採用されてもよい。
【0068】
(3)認証装置20の制御部21にてなされる認証処理では、顔特徴点が抽出された後に認証用コードCを読み取るための処理を開始することに限らず、顔認識可能状態となる前に認証用コードCを読み取るようにしてもよい。すなわち、顔認識可能状態となる前に認証用コードCが読み取られた場合、以降に顔認識可能状態となった後に撮像された顔画像データから顔特徴点を抽出して、この抽出した顔特徴点と先に認証用コードCから読み取られた顔特徴点とに基づいて照合処理を行うことができる。
【0069】
(4)認証装置20の制御部21にてなされる認証処理では、上述したように撮像した顔画像データから抽出した顔特徴点と認証用コードCから読み取られた顔特徴点とに基づいて照合処理を行うことに限らず、撮像した顔画像データ又は抽出した顔特徴点や撮像した認証用コードCの画像データ又は読み取られた顔特徴点をサーバ等に送信することで、サーバ等にて照合処理を行い、その照合結果等を得るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…認証システム
20…認証装置
21…制御部(判定部,抽出部,読取部,照合部,認証部)
22…記憶部
23…撮像部
24…表示部
25…照明部
30…携帯端末(情報コード記録媒体)
C…認証用コード(情報コード)