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特許7363460駆動伝達構造、現像剤収容体および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】駆動伝達構造、現像剤収容体および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231011BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G15/08 390A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019230578
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021099407
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053692(JP,A)
【文献】特開2007-093700(JP,A)
【文献】特開2015-083512(JP,A)
【文献】特開2013-076838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な駆動伝達部材と、
前記駆動伝達部材と嵌合して回転する回転部材と、
を有し、
前記駆動伝達部材は、
前記回転部材と係合するラッチ部と、
前記回転部材と係合して駆動を伝達する駆動伝達面と、
を有し、
前記回転部材は、
前記ラッチ部と係合する係合部と、
前記駆動伝達面と係合する被駆動伝達面と、
を有し、
前記ラッチ部は、前記駆動伝達部材の平面に形成され、
前記平面は、前記駆動伝達部材の回転軸方向において、前記駆動伝達面と平行し、かつ前記被駆動伝達面を含まず、
前記ラッチ部と前記係合部とが係合しているとき、前記平面と、前記回転部材との間に、隙間が形成されていることを特徴とする駆動伝達構造。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動伝達構造において、
前記駆動伝達部材は、ギヤ部を有し、
前記駆動伝達面は、前記回転軸方向において、前記ラッチ部と前記ギヤ部との間に形成されていることを特徴とする駆動伝達構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の駆動伝達構造において、
前記駆動伝達面は、前記回転軸方向の挿入方向おいて、前記ラッチ部よりも上流側に形成されていることを特徴とする駆動伝達構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動伝達構造において、
記平面と、前記駆動伝達面との間に、段差部が形成されていることを特徴とする駆動伝達構造。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の駆動伝達構造を有することを特徴とする現像剤収容体。
【請求項6】
請求項に記載の現像剤収容体を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材に駆動部材の駆動を伝達する駆動伝達構造、並びにその駆動伝達構造を有する現像剤収容体および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動伝達構造は、トナー攪拌部材側嵌合部の嵌合孔に挿入されるギヤ側嵌合部に、ギヤ側嵌合部の先端から挿入方向とは逆の抜け方向へと延びるスナップフィットを設け、嵌合孔にギヤ側嵌合部が挿入されてトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤとが嵌合すると、スナップフィットのラッチ爪が嵌合孔と通じている係止孔に嵌入して係止されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-53692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、回転部材としてのトナー攪拌部材の回転負荷が増大した場合、駆動伝達部材としての攪拌駆動ギヤやラッチ部としてのスナップフィットに負荷がかかり、攪拌駆動ギヤやスナップフィットが破損してしまうことがあるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、回転部材やラッチ部の破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、回転可能な駆動伝達部材と、前記駆動伝達部材と嵌合して回転する回転部材と、を有し、前記駆動伝達部材は、前記回転部材と係合するラッチ部と、前記回転部材と係合して駆動を伝達する駆動伝達面と、を有し、前記回転部材は、前記ラッチ部と係合する係合部と、前記駆動伝達面と係合する被駆動伝達面と、を有し、前記ラッチ部は、前記駆動伝達部材の平面に形成され、前記平面は、前記駆動伝達部材の回転軸方向において、前記駆動伝達面と平行し、かつ前記被駆動伝達面を含まず、前記ラッチ部と前記係合部とが係合しているとき、前記平面と、前記回転部材との間に、隙間が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、回転部材やラッチ部の破損を抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図
図2】実施例における画像形成ユニットの構成を示す概略側断面図
図3】実施例におけるトナー収容体の外観斜視図
図4】実施例におけるトナー収容体の断面斜視図
図5】実施例におけるトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの分離状態の外観斜視図
図6】実施例における攪拌駆動ギヤのおもて方向からみた外観斜視図
図7】実施例における攪拌駆動ギヤの裏方向からみた外観斜視図
図8】実施例におけるトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの嵌合状態の断面図
図9】実施例におけるトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの嵌合動作の説明図
図10】実施例における攪拌駆動ギヤに逆挿入方向の力がかかった場合の説明図
図11】比較例における攪拌駆動ギヤに逆挿入方向の力がかかった場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による駆動伝達構造、現像剤収容体および画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例
【0009】
図1は実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図1において、画像形成装置1は、例えば電子写真方式のカラープリンタであり、略箱型の筐体2を有している。なお、筐体2の図中右側を前面、図中左側を後面として、筐体2の前面から後面への方向を後方向、後面から前面への方向を前方向、筐体2の下側から上側への方向を上方向、筐体2の上側から下側への方向を下方向とする。
【0010】
筐体2の内部には、その上部に、画像形成装置1で扱う複数色の現像剤としてのトナー(例えばブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のトナー)の各々に対応する4個の画像形成ユニット3A~3Dが、用紙Pの搬送路4に沿って前後方向に並べて設けられている。
【0011】
4個の画像形成ユニット3A~3Dには、それぞれ画像形成ユニット3A~3Dに供給する各色のトナーを収容した現像剤収容体としてのトナー収容体5A~5Dが、着脱可能に取り付けられている。画像形成ユニット3A~3Dの詳細な構成については後述する。
【0012】
4個の画像形成ユニット3A~3Dの下方には、搬送路4に沿って前後方向に延びる環状の転写ベルト6が設けられている。転写ベルト6は、搬送ローラ7および搬送ローラ8によって駆動することにより、用紙Pを前方(上流側)から後方(下流側)へと搬送する。
【0013】
転写ベルト6の下方には、用紙Pを収容する用紙カセット9が設けられている。用紙Pは、この用紙カセット9からホッピングローラ10により1枚ずつ搬送路4へと繰り出され、レジストローラ11A、11Bによって転写ベルト6へと搬送され、転写ベルト6上を通過する。
【0014】
4個の画像形成ユニット3A~3Dのそれぞれの下側には、転写ベルト6の上面部分を間に挟んで4個の転写ローラ12A~12Dが設けられている。用紙Pは、この4個の転写ローラ12A~12Dによって、転写ベルト6上を通過するときに4個の画像形成ユニット3A~3Dで現像された各色のトナー像が転写される。
【0015】
転写ベルト6の後方(媒体搬送方向における下流側)には、定着器13が設けられている。画像形成装置1は、この定着器13によって用紙Pにトナー像を定着させ、その後、この用紙Pを排出ローラ14A、14B、15A、15Bによって筐体2の天板部に設けられたスタッカ16に排出する。
【0016】
次に、画像形成ユニット3A~3Dおよびトナー収容体5A~5Dの構成について、図2を用いて詳しく説明する。なお、画像形成ユニット3A~3Dは、扱うトナーの色が異なるのみで構成は同じである。また、トナー収容体5A~5Dについても、収容するトナーの色が異なるのみで構成は同じである。ゆえに、ここでは、説明の重複を避ける為、画像形成ユニット3Aおよびトナー収容体5Aの構成についてのみ説明することとする。
【0017】
図2は実施例における画像形成ユニットの構成を示す概略側断面図である。
【0018】
図2において、画像形成ユニット3Aは、静電潜像が形成される感光体ドラム20と、感光体ドラム20に対向配置され、感光体ドラム20に形成された静電潜像をトナーで現像する現像ローラ21と、現像ローラ21上へトナーを供給するとともに現像ローラ21上の未使用トナーを回収する供給ローラ22と、感光体ドラム20を帯電させる帯電ローラ23と、現像ローラ21上のトナーを薄層形成する規制ブレード24と、感光体ドラム20上の転写残トナーを回収する為のクリーニングブレード25と、感光体ドラム20の表面に静電潜像パターンを形成する為のLED露光部26とで構成される。
【0019】
この画像形成ユニット3Aには、トナーを攪拌するとともにトナーをトナー供給口32から画像形成ユニット3Aへと供給するトナー攪拌部材33を有するトナー収容体5Aが着脱可能に取り付けられている。
ここで、トナー収容体5Aの外観斜視図および断面斜視図をそれぞれ図3および図4に示す。
【0020】
図2図3および図4に示すように、現像剤収容体としてのトナー収容体5Aは、内部にトナーを収容する空間を有する収容体本体30と、収容体本体30の一側面の外側に取り付けられたサイドカバー31と、収容体本体30内に回転可能に設けられ、回転することにより収容体本体30内のトナーを攪拌するとともにトナーを収容体本体30の下端に設けられたトナー供給口32から画像形成ユニット3Aへと供給するトナー攪拌部材33と、収容体本体30の一側面とサイドカバー31との間に回転可能に設けられ、画像形成装置1の本体に組み込まれたモーター(図示せず)からの駆動力をトナー攪拌部材33に伝達して回転させる攪拌駆動ギヤ34とを有している。
【0021】
次に、駆動伝達構造としてのトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの構成について説明する。
【0022】
図4は実施例におけるトナー収容体の断面斜視図、図5は実施例におけるトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの分離状態の外観斜視図、図6は実施例における攪拌駆動ギヤのおもて方向からみた外観斜視図、図7は実施例における攪拌駆動ギヤの裏方向からみた外観斜視図、図8は実施例におけるトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの嵌合状態の断面図である。
【0023】
図4および図5において、回転部材としてのトナー攪拌部材33は、攪拌駆動ギヤ34と嵌合して回転するものであり、回転軸方向に延びる薄板状の回転板部40と、当該回転板部40の長手方向(即ち、回転軸方向)の一端に形成された回転軸方向に延びる筒状でなり、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52と嵌合する嵌合部(これを攪拌部材側嵌合部と呼ぶ)41と、回転板部40の長手方向の他端に形成された回転軸方向に延びる円柱状でなり、収容体本体30の他側面に形成された軸受部によって支持される軸端部42と、回転板部40の短手方向の一端に形成され、回転板部40に沿って長手方向に延びる薄板状でなり、回転時に収容体本体30の内壁を摺擦する可撓性の攪拌シート36(図2参照)を取り付ける為のシート取付部43とで構成される。
【0024】
攪拌部材側嵌合部41には、ギヤ側嵌合部52が挿入される嵌合孔45が、回転軸方向に穿設されている。
【0025】
嵌合孔45は、回転軸方向において入口側から奥側までの間において3種類の断面形状となっていて、入口側の断面形状が円形(第1の断面形状)であり、その奥側の断面形状は入口側の断面形状(円形)の一部を平坦にカットした第1のDカット形状(第2の断面形状)となっている。また、さらにその奥側では平面部の位置が、第1のDカット形状とは異なる第2のDカット形状(第3の断面形状)となっている。
【0026】
また、攪拌部材側嵌合部41の外周も、嵌合孔45の断面形状と同様、嵌合孔45の入口側の外周(これを入口側外周と呼ぶ)の断面形状が円形、嵌合孔の奥側の外周(これを奥側外周と呼ぶ)の断面形状がDカット形状となっている。
【0027】
さらに、攪拌部材側嵌合部41の奥側外周のDカット面47には、ギヤ側嵌合部52が嵌合孔45に挿入されたときに、ギヤ側嵌合部52に形成されたスナップフィット54のラッチ爪55と係合される係合部としての係止孔46が、回転軸方向と直交する方向に穿設され、嵌合孔45の奥側と繋がっている。
【0028】
図6図7および図8において、駆動伝達部材としての攪拌駆動ギヤ34は、回転軸を中心として回転可能なものであり、円盤の外周にギヤ歯が形成されてなる歯車状でモーターからの駆動力を受け取るギヤ歯部50と、ギヤ歯部50の一面の中心に垂設され、図3に示すサイドカバー31に形成された軸受部によって支持される円柱状の軸端部51と、ギヤ歯部50の他面の中心に垂設され、攪拌部材側嵌合部41と嵌合する略棒状のギヤ側嵌合部52とで構成される。
【0029】
ギヤ側嵌合部52は、弾性体でなり、収容体本体30の一側面に形成された軸受部に支持される部分である。
【0030】
また、このギヤ側嵌合部52は、攪拌部材側嵌合部41の嵌合孔45に、図5中の矢印Aが示す挿入方向(回転軸方向)に挿入されて攪拌部材側嵌合部41と嵌合する部分であり、嵌合孔45の形状と対応する形状を有している。
【0031】
即ち、ギヤ側嵌合部52は、根元側の断面形状が円形の円形部81と、図6中の矢印Aが示す挿入方向における円形部81の奥側(下流側)に、断面形状が第1のDカット形状である第1のDカット部82が形成され、さらに図6中の矢印Aが示す挿入方向における第1のDカット部82の奥側(最先端側)に、断面形状が第2のDカット形状である第2のDカット部83が形成されている。
【0032】
したがって、第1のDカット部82の平坦面は、攪拌駆動ギヤ34の回転軸方向において、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面(平面)であるDカット面53の領域外に設けられている。
【0033】
駆動伝達面としての第1のDカット部82の平坦面は、トナー攪拌部材33の攪拌部材側嵌合部41の被駆動伝達面としての内面412と係合して駆動を伝達するものである。
【0034】
また、図6に示すように、第1のDカット部82と、第2のDカット部83の平坦面(Dカット面53)との間には段差部82aが形成され、図8に示すように、第1のDカット部82の平坦面と、第2のDカット部83の平坦面(Dカット面53)とが平行になるように形成されている。
【0035】
したがって、第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53と、Dカット面53と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面413との間に隙間dが形成されている。
【0036】
なお、円形部81と、円形部81と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面411との間、および第1のDカット部82と、第1のDカット部82と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面412との間は、略隙間がないように形成されている。
【0037】
さらに、このギヤ側嵌合部52の第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53には、攪拌部材側嵌合部41の嵌合孔45にギヤ側嵌合部52を挿入する挿入方向とは逆方向(嵌合孔45からギヤ側嵌合部52が抜ける場合の抜け方向であり、ギヤ側嵌合部52の先端側から根元側への方向)に延びるスナップフィット54が形成されている。
【0038】
ラッチ部としてのスナップフィット54は、図5に示すトナー攪拌部材33と係合するものであり、片持ち梁構造で形成されたものである。
【0039】
スナップフィット54は、Dカット面53と直交する厚さ方向に撓み可能であり、Dカット面53と同一面でなる表面の先端部(アーム部の自由端部)にラッチ爪55が突設されている。つまり、このスナップフィット54は、ラッチ爪55の部分のみがDカット面53より外側に突出するようになっていて、Dカット面53より内側および外側に撓み可能となっている。
【0040】
ラッチ爪55は、図8に示すように、スナップフィット54の表面に垂直で先端に位置する係止面55Aと、この係止面55Aの頂上からスナップフィット54の根元側への方向に下る傾斜面55Bとを有する断面略直角三角形状となっている。
【0041】
なお、ギヤ側嵌合部52は、図7および図8に示すように、スナップフィット54の裏面側が空洞となっていて、且つスナップフィット54が形成されたDカット面53とは反対側の外周に、この空洞(即ち、内部空間)と繋がる連通孔56が形成されている。この連通孔56は、Dカット面53にスナップフィット54を形成するうえで必要な孔である。
【0042】
このように、本実施例では、第1のDカット部82の平坦面が、攪拌駆動ギヤ34の回転軸方向において、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53の領域外である、ギヤ歯部50とDカット面53との間に設けられている。
【0043】
上述した構成の作用について説明する。
【0044】
まず、画像形成装置の印刷動作を図1および図2に基づいて説明する。
【0045】
画像形成装置1の感光体ドラム20表面は、電源装置により電圧が印加された帯電ローラ23により帯電される。続いて、感光体ドラム20が回転することによって帯電された感光体ドラム20表面がLED露光部26の付近に到達するとLED露光部26によって露光され、感光体ドラム20表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ21により現像され、感光体ドラム20の表面にトナー像が形成される。
【0046】
一方、用紙カセット9にセットされた用紙Pがホッピングローラ10によって用紙カセット9から取り出され、レジストローラ11A、11Bにより、転写ローラ12A~12Dおよび転写ベルト6の付近に搬送される。
【0047】
感光体ドラム20が回転することにより、現像によって得られた感光体ドラム20表面上のトナー像が転写ローラ12A~12Dおよび転写ベルト6の付近に到達すると電源装置により電圧が印加されている転写ローラ12A~12Dおよび転写ベルト6によって、感光体ドラム20表面上のトナー像は用紙P上に転写される。
【0048】
続いて、表面にトナー像が形成された用紙Pは、転写ベルト6の回転により定着器13へ搬送され、用紙P上のトナー像はその定着器13により加圧されながら加熱されることにより溶解し、用紙P上に定着され、固定される。トナー像が固定された用紙Pは、排出ローラ14A、14B、15A、15Bによりスタッカ16に排出されて画像形成装置1の印刷動作が終了する。
【0049】
次に、トナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの作用を図9の実施例におけるトナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤの嵌合動作の説明図に基づいて説明する。
【0050】
図9(a)に示すように、トナー攪拌部材33の攪拌部材側嵌合部41の嵌合孔45に、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52を図中矢印Aが示す挿入方向に挿入していく。
【0051】
図9(b)に示すように、ギヤ側嵌合部52を、スナップフィット54のラッチ爪55が嵌合孔45の奥側の断面Dカット形状の部分に達するまで図中矢印Aが示す挿入方向に挿入したとき、ラッチ爪55の傾斜面が断面Dカット形状の部分の内壁と接触して内側へ押されることにより、スナップフィット54は、先端側が、図中矢印Bが示す内側方向に向かうようにして撓む。
【0052】
図9(c)に示すように、さらにギヤ側嵌合部52を挿入していき、ラッチ爪55が嵌合孔45と繋がっている係止孔46まで達したとき、ラッチ爪55を内側へ押す力がなくなることで、スナップフィット54は、先端側が、図中矢印Cが示す外側方向へ向かうようにして元の形状へと戻り、ラッチ爪55が係止孔46に嵌入され係止孔46と係止される。このようにして、トナー攪拌部材33に攪拌駆動ギヤ34が嵌合される。
【0053】
次に、トナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤが嵌合した状態で攪拌駆動ギヤの駆動をトナー攪拌部材に伝達する場合の作用を図8に基づいて説明する。
【0054】
図8に示すように、トナー攪拌部材33と攪拌駆動ギヤ34が嵌合した状態では、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52の円形部81と、円形部81と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面411との間、および第1のDカット部82と、第1のDカット部82と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面412との間は、略隙間がない状態で嵌合されている。
【0055】
また、トナー攪拌部材33と攪拌駆動ギヤ34が嵌合し、スナップフィット54と係止孔46が係合した状態では、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52の第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53と、Dカット面53と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面413との間に隙間dが形成されている。
【0056】
トナー攪拌部材33と攪拌駆動ギヤ34が嵌合した状態で攪拌駆動ギヤ34に回転駆動が伝達されると、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52の第1のDカット部82と、第1のDカット部82と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面412との間は、略隙間がない状態で嵌合されているため、第1のDカット部82と攪拌部材側嵌合部41の内面412との接触部において、攪拌駆動ギヤ34の駆動がトナー攪拌部材33に伝達される。
【0057】
このとき、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52の第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53と、Dカット面53と対向する攪拌部材側嵌合部41の内面413との間に隙間dが形成されているため、Dカット面53と内面413との間では駆動の伝達が行われることはない。
【0058】
このように本実施例では、攪拌駆動ギヤ34の第1のDカット部82の平坦面を、攪拌駆動ギヤ34の回転軸方向において、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53の領域外に設け、第1のDカット部82とトナー攪拌部材33の内面412との接触部において、攪拌駆動ギヤ34の駆動がトナー攪拌部材33に伝達されるようにしているため、スナップフィット54に力が加わることがなく、攪拌駆動ギヤ34やスナップフィット54の破損を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施例では、図6に示すように、第1のDカット部82と、第2のDカット部83の平坦面(Dカット面53)との間に段差部82aを形成し、図8に示すように、第1のDカット部82の平坦面と、第2のDカット部83の平坦面(Dカット面53)とが平行になるように形成したが、段差部82aを形成することなく、第1のDカット部82の平坦面と、第2のDカット部83の平坦面(Dカット面53)とが面一になるようにしても良い。この場合、トナー攪拌部材33の内面413をDカット面53と接触しないように形成することが好ましい。
【0060】
また、本実施例では、第1のDカット部82の平坦面が、回転軸方向の挿入方向おいて、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53よりも上流側に形成されている。
【0061】
攪拌駆動ギヤ34に、第1のDカット部82の平坦面が形成されている場合、第1のDカット部82の平坦面が、回転軸方向の挿入方向おいて、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53よりも上流側に形成されていることは上述した図9の説明の通りである。
【0062】
一方、トナー攪拌部材33の回転軸に、第1のDカット部82の平坦面を形成し、その第1のDカット部82の平坦面を攪拌駆動ギヤ34の嵌合部に挿入するようにすることも可能である。
【0063】
この場合、第1のDカット部82の平坦面が、トナー攪拌部材33の回転軸方向の挿入方向おいて、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53よりも上流側に形成されることにより、スナップフィット54の破損を抑制することができる。
【0064】
次に、トナー攪拌部材と攪拌駆動ギヤが嵌合した状態で攪拌駆動ギヤに挿入方向とは逆の逆挿入方向に力を加えた場合の作用を図10の実施例における攪拌駆動ギヤに逆挿入方向の力がかかった場合の説明図に基づいて説明する。
【0065】
図10に示すように、トナー攪拌部材33と攪拌駆動ギヤ34が嵌合した状態で、攪拌駆動ギヤ34に図中矢印Dが示す逆挿入方向に力が加わった場合、スナップフィット54のラッチ爪55の係止面55Aと、係止孔46の内側面とが当接し、さらに逆挿入方向に力が加わると、Dカット面53と内面413との間に隙間が形成されているため、スナップフィット54のアーム部は図中矢印Eが示す方向に撓むことができる。
【0066】
一方、図11の比較例における攪拌駆動ギヤに逆挿入方向の力がかかった場合の説明図に示すように、Dカット面53と内面413との間に隙間が形成されていない場合において、攪拌駆動ギヤ34に図中矢印Dが示す逆挿入方向に力が加わった場合、スナップフィット54のラッチ爪55の係止面55Aと、係止孔46の内側面とが当接し、さらに逆挿入方向に力が加わると、スナップフィット54のアーム部は係止孔46の壁部で屈曲し、さらに逆挿入方向に強い力が加わると、スナップフィット54が破損してしまう。
【0067】
このように本実施例では、Dカット面53と内面413との間に隙間が形成されているため、スナップフィット54のアーム部が屈曲することなく撓むことにより、スナップフィット54の破損を抑制することができる。
【0068】
ここで、攪拌駆動ギヤ34のギヤ側嵌合部52の第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53と、Dカット面53と対向するトナー攪拌部材33の攪拌部材側嵌合部41の内面413との接触部において駆動の伝達を行う比較例を説明する。
【0069】
比較例では、トナー攪拌部材33に対する回転負荷が増大した場合、攪拌駆動ギヤ34の駆動伝達部である第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53に負荷がかかるとともに、回転軸方向で部材が離間する方向に負荷がかかる。なお、Dカット面53の範囲にはスナップフィット54が形成されているため、軸部とのつながりで回転方向に強度が付け難くなっている。
【0070】
また、スナップフィット54の上面はトナー攪拌部材33の攪拌部材側嵌合部41の内面413と接触しているため、回転軸方向で2つの部材が離間する方向に負荷がかかり、スナップフィット54が回転軸から遠ざかる方向に荷重を受けて変形する場合、スナップフィット54に大きな負荷がかかる場合がある。このとき、攪拌駆動ギヤ34の第2のDカット部83が回転方向の負荷に耐えられずに破断してしまったり、スナップフィット54が変形して破損したりすることがある。その結果、画像形成ユニット内で現像剤の供給が不足して印刷不良が発生してしまうことがあった。
【0071】
本実施例では、攪拌駆動ギヤ34の第1のDカット部82の平坦面を、攪拌駆動ギヤ34の回転軸方向において、スナップフィット54が形成される第2のDカット部83の平坦面であるDカット面53の領域外に設け、第1のDカット部82とトナー攪拌部材33の内面412との接触部において、攪拌駆動ギヤ34の駆動がトナー攪拌部材33に伝達されるようにしたことにより、攪拌駆動ギヤ34やスナップフィット54の破損を抑制することができ、印刷不良の発生を抑制することができる。
【0072】
即ち、攪拌駆動ギヤ34およびトナー攪拌部材33の使用初期や、動作中に一時的に負荷が増加し、攪拌駆動ギヤ34とトナー攪拌部材33との駆動伝達部とスナップフィット54に大きな負荷がかかっても、嵌合範囲の中で回転軸方向の位置規制部としてのスナップフィット54と、駆動伝達部とを分離したことにより、軸部の破断は回避することが可能になる。
【0073】
また、スナップフィット54では腕の一部に応力が集中せずに、腕全体が撓むことが出来るため、破損、ダメージを回避することが可能になる。
このため、トナー供給における障害の発生を抑制することができ、良好な印刷が可能になる。
【0074】
以上説明したように、本実施例では、攪拌駆動ギヤやスナップフィットの破損を抑制することができるという効果が得られる。
【0075】
したがって、トナー供給における障害の発生を抑制することができ、良好な印刷を行うことができるという効果が得られる。
【0076】
なお、本実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られるものでなく、現像剤を用いた複写機、ファクシミリ装置、または複合機(MFP)等としても良い。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
3A~3D 画像形成ユニット
5A~5D トナー収容体
30 収容体本体
33 トナー攪拌部材
34 攪拌駆動ギヤ
41 攪拌部材側嵌合部
45 嵌合孔
46 係止孔
52 ギヤ側嵌合部
53 Dカット面
54 スナップフィット
55 ラッチ爪
56 連通孔
81 円形部
82 第1のDカット部
83 第2のDカット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11