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特許7363495搬送車、走行監視方法、及びマスト監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】搬送車、走行監視方法、及びマスト監視方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231011BHJP
【FI】
G05D1/02 S
G05D1/02 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020002845
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021111138
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】石原 裕司
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-072249(JP,A)
【文献】特開2011-060113(JP,A)
【文献】特開2006-123854(JP,A)
【文献】特開平10-231096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷が車体に積載される搬送車またはマストを備える搬送車であって、
前記車体の上面に設けられ、前記車体の上方向において少なくとも180度の範囲の障害物を検知する一つの障害物センサと、
前記搬送車の走行を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記障害物センサの検知結果を用いて前記障害物センサの高さを基準とする前記荷または前記マストの高さを算出し、前記障害物センサから前記搬送車の走行方向に第1距離離れた位置を通る方向と、前記障害物センサから前記搬送車の走行方向に前記第1距離離れ、さらに前記高さの方向に前記高さの距離離れた位置を通る方向とがなす角度の範囲に、前記障害物センサにより障害物が検知されると、前記搬送車の走行を禁止または停止させる
ことを特徴とする搬送車。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送車であって、
前記搬送車の走行中に前記荷または前記マストの高さが変化し、
前記制御部は、前記障害物センサから前記搬送車の走行方向に前記第1距離より長い第2距離離れた位置を通る方向と、前記障害物センサから前記搬送車の走行方向に前記第2距離離れ、さらに前記高さの方向に前記高さの距離離れた位置を通る方向とがなす角度の範囲に、前記障害物センサにより障害物が検知されると、前記搬送車の走行方向に障害物がある旨を、前記搬送車の走行を制御する上位制御装置に送信する
ことを特徴とする搬送車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の搬送車であって、
前記制御部は、前記荷の高さが変動した場合、前記荷の高さが変動した旨を、前記搬送車の走行を制御する上位制御装置に送信する
ことを特徴とする搬送車。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送車であって、
前記制御部は、前記障害物センサの検知結果を用いて前記障害物センサの高さを基準とする前記搬送車の上方向にある障害物までの高さよりも低い第1の高さを算出するとともに、前記障害物センサの検知結果を用いて前記障害物センサを基準とする前記マストの上端部までの第2の高さを算出し、前記第2の高さが前記第1の高さ以上になると、前記マストの上昇を禁止または停止させる
ことを特徴とする搬送車。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送車であって、
前記制御部は、前記障害物センサを基準として前記マストの上端部から下方に伸びる垂線と前記搬送車の車体上面との交点を通る方向と、前記障害物センサから最大上昇時の前記マストの上端部を通る方向とがなす角度の範囲に、前記障害物センサにより前記マスト以外の障害物が検知されると、前記マストの上昇を禁止させる
ことを特徴とする搬送車。
【請求項6】
荷が車体に積載される搬送車またはマストを備える搬送車の制御部により実行される走行監視方法であって、
前記制御部は、
前記車体の上面に設けられ、前記車体の上方向において少なくとも180度の範囲の障害物を検知する一つの障害物センサの検知結果を用いて前記障害物センサの高さを基準とする前記荷または前記マストの高さを算出し、
前記障害物センサから前記搬送車の走行方向に第1距離離れた位置を通る方向と、前記障害物センサから前記搬送車の走行方向に前記第1距離離れ、さらに前記高さの方向に前記高さの距離離れた位置を通る方向とがなす角度の範囲に、前記障害物センサにより障害物が検知されると、前記搬送車の走行を禁止または停止させる
ことを特徴とする走行監視方法。
【請求項7】
請求項6に記載の走行監視方法であって、
前記制御部は、
前記障害物センサの検知結果を用いて前記障害物センサの高さを基準とする前記搬送車の上方向にある障害物までの高さよりも低い第1の高さを算出するとともに、前記障害センサの検知結果を用いて前記障害物センサの高さを基準とする前記マストの上端部までの第2の高さを算出し、
前記第2の高さが前記第1の高さ以上になると、前記マストの上昇を禁止または停止させる
ことを特徴とする走行監視方法。
【請求項8】
請求項6に記載の走行監視方法であって、
前記制御部は、前記障害物センサを基準として前記マストの上端部から下方に伸びる垂線と前記搬送車の車体上面との交点を通る方向と、前記障害物センサから最大上昇時の前記マストの上端部を通る方向とがなす角度の範囲に、前記障害物センサにより前記マスト以外の障害物が検知されると、前記マストの上昇を禁止させる
ことを特徴とする走行監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車並びにその搬送車に適用される走行監視方法及びマスト監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送車として、搬送車の走行方向にある障害物を検知する障害物センサを備え、障害物センサの検知結果により搬送車の走行を制御するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
ところで、障害物(クレーンやシャッタなど)や搬送車に積載される荷や搬送車に備えられるマストの高さは、その時々で様々な高さに変化する可能性がある。
【0004】
そのため、上記搬送車では、障害物の高さが障害物センサにより検知できない高さに変化したり、荷やマストの高さが変化して荷やマストの高さが不明になったりすると、荷やマストを障害物に衝突させてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-72249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、障害物や搬送車に積載される荷や搬送車に備えられるマストの高さが変化する場合において、荷やマストが障害物に衝突することを抑制することが可能な搬送車並びにその搬送車に適用される走行監視方法及びマスト監視方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である搬送車は、荷が車体に積載される搬送車またはマストを備える搬送車であって、障害物センサと、搬送車の走行を制御する制御部とを備える。
【0008】
制御部は、障害物センサの検知結果を用いて障害物センサの高さを基準とする荷またはマストの高さを算出し、障害物センサから搬送車の走行方向に第1距離離れた位置を通る方向と、障害物センサから搬送車の走行方向に第1距離離れ、さらに荷またはマストの高さの方向に荷またはマストの高さの距離離れた位置を通る方向とがなす角度の範囲に、障害物センサにより障害物が検知されると、搬送車の走行を禁止または停止させる。
【0009】
これにより、搬送車の走行方向において荷あるいはマストの高さと同じ位置の障害物または荷あるいはマストの高さより低い位置の障害物を障害物センサが検知して搬送車の走行を禁止または停止させることができるため、障害物や荷やマストの高さが変化する場合であっても、荷やマストが障害物に衝突することを抑制することができる。
【0010】
また、制御部は、障害物センサから搬送車の走行方向に第1距離より長い第2距離離れた位置を通る方向と、障害物センサから搬送車の走行方向に第2距離離れ、さらに荷またはマストの高さの方向に荷またはマストの高さの距離離れた位置を通る方向とがなす角度の範囲に、障害物センサにより障害物が検知されると、搬送車の走行方向に障害物がある旨を、搬送車の走行を制御する上位制御装置に送信するように構成してもよい。
【0011】
これにより、上位制御装置は、搬送車の走行方向に障害物がある旨を受信すると、搬送車の走行を禁止または停止させたり、搬送車の走行経路を変更させたりすることができるため、荷やマストが障害物に衝突することを抑制することができる。
【0012】
また、制御部は、荷の高さが変動した場合、荷の高さが変動した旨を、搬送車の走行を制御する上位制御装置に送信するように構成してもよい。
【0013】
これにより、上記制御装置は、荷の高さが変動した旨を受信したときの搬送車の現在位置が移載場所でない場合、搬送車の走行を禁止または停止させることができるため、荷崩れなどが発生して荷の高さがさらに変動することを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る一つの形態である搬送車は、マストと、障害物センサと、マストの昇降を制御する制御部とを備える。
【0015】
制御部は、障害物センサの検知結果を用いて障害物センサの高さを基準とする搬送車の上方向にある障害物までの高さよりも低い第1の高さを算出するとともに、障害物センサの検知結果を用いて障害物センサの高さを基準とするマストの上端部までの第2の高さを算出し、第2の高さが第1の高さ以上になると、マストの上昇を禁止または停止させる。
【0016】
これにより、マストが天井などの障害物に衝突する前にマストの上昇を禁止または停止させることができるため、マストが天井などの障害物に衝突することを抑制することができる。
【0017】
本発明に係る一つの形態である搬送車は、マストと、搬送車の車体上面に設けられる障害物センサと、マストの昇降を制御する制御部とを備える。
【0018】
制御部は、障害物センサを基準としてマストの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車の車体上面との交点を通る方向と、障害物センサから最大上昇時のマストの上端部を通る方向とがなす角度の範囲に、障害物センサによりマスト以外の障害物が検知されると、マストの上昇を禁止させる。
【0019】
これにより、マストの上昇開始直前において、マストが天井などの障害物に衝突する可能性があるときにマストの上昇を禁止させることができるため、マストが天井などの障害物に衝突することを抑制することができる。
【0020】
本発明に係る一つの形態である走行監視方法は、荷が車体に積載される搬送車またはマストを備える搬送車の制御部により実行される走行監視方法であって、制御部が、障害物センサの検知結果を用いて障害物センサの高さを基準とする荷またはマストの高さを算出し、障害物センサから搬送車の走行方向に第1距離離れた位置を通る方向と、障害物センサから搬送車の走行方向に第1距離離れ、さらに荷またはマストの高さの方向に荷またはマストの高さの距離離れた位置を通る方向とがなす角度の範囲に、障害物センサにより障害物が検知されると、搬送車の動向を禁止または停止させる。
【0021】
これにより、搬送車の走行方向において荷あるいはマストの高さと同じ位置の障害物または荷あるいはマストの高さより低い位置の障害物を障害物センサが検知して搬送車の走行を禁止または停止させることができるため、障害物や荷やマストの高さが変化する場合であっても、荷やマストが障害物に衝突することを抑制することができる。
【0022】
本発明に係る一つの形態であるマスト監視方法は、マストと、障害物センサと、マストの昇降を制御する制御部とを備える搬送車において、制御部により実行されるマスト監視方法であって、制御部が、障害物センサの検知結果を用いて障害物センサの高さを基準とする搬送車の上方向にある障害物までの高さよりも低い第1の高さを算出するとともに、障害物センサの検知結果を用いて障害物センサの高さを基準とするマストの上端部までの第2の高さを算出し、第2の高さが第1の高さ以上になると、マストの上昇を禁止または停止させる。
【0023】
これにより、マストが天井などの障害物に衝突する前にマストの上昇を禁止または停止させることができるため、マストが天井などの障害物に衝突することを抑制することができる。
【0024】
本発明に係る一つの形態であるマスト監視方法は、マストと、搬送車の車体上面に設けられる障害物センサと、マストの昇降を制御する制御部とを備える搬送車において、制御部により実行されるマスト監視方法であって、制御部が、障害物センサを基準としてマストの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車の車体上面との交点を通る方向と、障害物センサから最大上昇時のマストの上端部を通る方向とがなす角度の範囲に、障害物センサによりマスト以外の障害物が検知されると、マストの上昇を禁止させる。
【0025】
これにより、マストの上昇開始直前において、マストが天井などの障害物に衝突する可能性があるときにマストの上昇を禁止させることができるため、マストが天井などの障害物に衝突することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、障害物や搬送車に積載される荷や搬送車に備えられるマストの高さが変化する場合において、荷やマストが障害物に衝突することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態の搬送車を示す図である。
図2】第1実施形態の走行監視方法を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態の搬送車を示す図である。
図4】第2実施形態の走行監視方法を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態の搬送車を示す図である。
図6】第3実施形態のマスト監視方法を示すフローチャートである。
図7】第4実施形態の搬送車を示す図である。
図8】第4実施形態のマスト監視方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の搬送車を示す図である。
【0029】
図1に示す搬送車Veは、車体に荷Aを積載して走行する無人搬送車または有人搬送車などであり、障害物センサ1と、制御部2とを備える。
【0030】
障害物センサ1は、レーザー式障害物センサまたはステレオカメラなどにより構成される。また、障害物センサ1は、搬送車Veの車体上面に設けられ、車体の上方向において少なくとも180度の範囲の障害物(シャッタやクレーンなど)を検知する。
【0031】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、障害物センサ1の検知結果を用いて、搬送車Veの走行(速度など)を制御する。
【0032】
また、制御部2は、搬送車Veの状態を示す情報を上位制御装置3に送信し、その情報に基づいて上位制御装置3から送信される制御信号により、搬送車Veの速度や走行経路などを制御する。
【0033】
また、制御部2は、制御タイミング毎に、走行監視方法を実行する。
図2は、第1実施形態の走行監視方法を示すフローチャートである。なお、図2に示すフローチャートは、搬送車Veの走行開始直前または走行中に実行されるものとする。
【0034】
まず、制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて、障害物センサ1の高さ(搬送車Veの車体上面の高さ)を基準とする荷Aの高さH1を算出する(ステップS11)。例えば、制御部2は、障害物センサ1を基準として荷Aの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車Veの車体上面との交点a(荷Aの下端部)を通る方向a1と、障害物センサ1から荷Aの上端部を通る方向a2とがなす角度θaを取得し、高さH1=tan(θa)×(障害物センサ1から交点aまでの距離La)を計算することにより、高さH1を求める。
【0035】
次に、制御部2は、高さH1が変動したか否かを判断する(ステップS12)。例えば、制御部2は、前回の制御タイミングで算出した高さH1と今回の制御タイミングで算出した高さH1との差が閾値以上である場合、高さH1が変動したと判断し、差が閾値より小さい場合、高さH1が変動していないと判断する。
【0036】
次に、制御部2は、高さH1が変動したと判断すると(ステップS12:Yes)、高さH1が変動した旨を上位制御装置3に送信し(ステップS13)、今回の走行監視方法を終了する。上位制御装置3は、高さH1が変動した旨を受信すると、搬送車Veの現在位置が移載場所であるか否かを判断し、搬送車Veの現在位置が移載場所でないと判断すると、搬送車Veの走行を禁止または停止させる指示を制御部2に送信する。
【0037】
一方、制御部2は、高さH1が変動していないと判断すると(ステップS12:No)、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lb(第2距離)離れた位置を通る方向b1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lb離れ、さらに高さH1方向に高さH1の距離離れた位置を通る方向b2とがなす角度θbを算出する(ステップS14)。例えば、制御部2は、tan(θb)=高さH1/一定距離Lbを計算することにより、角度θbを求める。
【0038】
次に、制御部2は、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lc(第1距離)離れた位置を通る方向c1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lc離れ、さらに高さH1方向に高さH1の距離離れた位置を通る方向c2とがなす角度θcを算出する(ステップS15)。例えば、制御部2は、tan(θb)=高さH1/一定距離Lcを計算することにより、角度θcを求める。なお、一定距離Lc<一定距離Lbとする。また、一定距離Lcは、搬送車Veを減速させてから搬送車Veを停止させるまでに搬送車Veが移動する距離より長い距離とする。また、ステップS14とステップS15の順番を入れ替えてもよい。
【0039】
次に、制御部2は、障害物センサ1により角度θbの範囲に障害物が検知されていない場合(ステップS16:No)、ステップS11の処理に戻り、障害物センサ1により角度θbの範囲に障害物が検知された場合(ステップS16:Yes)、搬送車Veの走行方向において障害物センサ1から一定距離Lb離れた位置と障害物センサ1から一定距離Lc離れた位置との間に荷Aと衝突するおそれがある障害物がある旨を上位制御装置3に送信する(ステップS17)。
【0040】
そして、制御部2は、障害物センサ1により角度θcの範囲に障害物が検知されていない場合(ステップS18:No)、障害物センサ1により角度θcの範囲に障害物が検知されたか否かを繰り返し判断し、障害物センサ1により角度θcの範囲に障害物が検知された場合(ステップS18:Yes)、搬送車Veの走行を禁止または停止させて(ステップS19)、今回の走行監視方法を終了する。
【0041】
なお、制御部2は、ステップS19において、搬送車Veを減速させた後、搬送車Veを停止させるように構成してもよい。
【0042】
また、ステップS12及びステップS13を省略してもよい。
また、ステップS14、ステップS16、及びステップS17を省略してもよい。
【0043】
このように、第1実施形態の制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて障害物センサ1の高さを基準とする荷Aの高さH1を算出し、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lc離れた位置を通る方向c1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lc離れ、さらに高さH1方向に高さH1の距離離れた位置を通る方向c2とがなす角度θcの範囲に、障害物センサ1により障害物が検知されると、搬送車Veの走行を禁止または停止させる構成である。
【0044】
これにより、搬送車Veの走行方向において荷Aの高さH1と同じ位置の障害物または荷Aの高さH1より低い位置の障害物を障害物センサ1が検知して搬送車Veの走行を禁止または停車させることができるため、障害物や荷Aの高さが変化する場合であっても、障害物と荷Aとの衝突を抑制することができる。
【0045】
また、第1実施形態の制御部2は、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lb離れた位置を通る方向b1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lb離れ、さらに高さH1方向に高さH1の距離離れた位置を通る方向b2とがなす角度θbの範囲に、障害物センサ1により障害物が検知されると、搬送車Veの走行方向に障害物がある旨を、上位制御装置3に送信する構成である。
【0046】
これにより、上位制御装置3は、搬送車Veの走行方向に障害物がある旨を受信すると、搬送車Veの走行を禁止または停止させたり、搬送車Veの走行経路を変更させたりすることができるため、荷Aと障害物との衝突を抑制することができる。
【0047】
また、第1実施形態の制御部2は、荷Aの高さが変動した場合、荷Aの高さが変動した旨を、上位制御装置3に送信する構成である。
【0048】
これにより、上記制御装置3は、荷Aの高さが変動した旨を受信したときの搬送車Veの現在位置が移載場所でない場合、搬送車Veの走行を禁止または停止させることができるため、荷崩れなどが発生して荷Aの高さがさらに変動することを抑制することができる。
【0049】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の搬送車を示す図である。なお、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図3に示す搬送車Veは、フォークリフトまたは無人搬送車または有人搬送車などであり、マストMと、障害物センサ1と、制御部2とを備える。なお、マストMとともに昇降するフォークに荷が積載されてもよい。
【0051】
図4は、第2実施形態の走行監視方法を示すフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートは、搬送車Veの走行開始直前または走行中に実行されるものとする。
【0052】
まず、制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて、障害物センサ1の高さを基準とするマストMの高さH2を算出する(ステップS21)。例えば、制御部2は、障害物センサ1を基準としてマストMの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車Veの車体上面との交点dを通る方向d1と、障害物センサ1からマストMの上端部を通る方向d2とがなす角度θdを取得し、高さH2=tan(θd)×(障害物センサ1から交点dまでの距離Ld)を計算することにより、高さH2を求める。
【0053】
次に、制御部2は、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Le(第2距離)離れた位置を通る方向e1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Le離れ、さらに高さH2方向に高さH2の距離離れた位置を通る方向e2とがなす角度θeを算出する(ステップS22)。例えば、制御部2は、tan(θe)=高さH2/一定距離Leを計算することにより、角度θeを求める。
【0054】
次に、制御部2は、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lf(第1距離)離れた位置を通る方向f1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lf離れ、さらに高さH2方向に高さH2の距離離れた位置を通る方向f2とがなす角度θfを算出する(ステップS23)。例えば、制御部2は、tan(θf)=高さH2/一定距離Lfを計算することにより、角度θfを求める。なお、一定距離Lf<一定距離Leとする。また、一定距離Lfは、搬送車Veを減速させてから搬送車Veを停止させるまでに搬送車Veが移動する距離より長い距離とする。また、ステップS21~S23の順番は特に限定されない。
【0055】
次に、制御部2は、障害物センサ1により角度θeの範囲に障害物が検知されていない場合(ステップS24:No)、ステップS21の処理に戻り、障害物センサ1により角度θeの範囲に障害物が検知された場合(ステップS24:Yes)、搬送車Veの走行方向において障害物センサ1から一定距離Le離れた位置と障害物センサ1から一定距離Lf離れた位置との間にマストMと衝突するおそれがある障害物がある旨を上位制御装置3に送信する(ステップS25)。
【0056】
そして、制御部2は、障害物センサ1により角度θfの範囲に障害物が検知されていない場合(ステップS26:No)、障害物センサ1により角度θfの範囲に障害物が検知されたか否かを繰り返し判断し、障害物センサ1により角度θfの範囲に障害物が検知された場合(ステップS26:Yes)、搬送車Veの走行を禁止または停止させて(ステップS27)、今回の走行監視方法を終了する。
【0057】
なお、制御部2は、ステップS27において、搬送車Veを減速させた後、搬送車Veを停止させるように構成してもよい。
また、ステップS22、ステップS24、及びステップS25を省略してもよい。
【0058】
このように、第2実施形態の制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて障害物センサ1の高さを基準とするマストMの高さH2を算出し、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lf離れた位置を通る方向f1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Lf離れ、さらに高さH2方向に高さH2の距離離れた位置を通る方向f2とがなす角度θfの範囲に、障害物センサ1により障害物が検知されると、搬送車Veの走行を禁止または停止させる構成である。
【0059】
これにより、搬送車Veの走行方向においてマストMの高さH2と同じ位置の障害物またはマストMの高さH2より低い位置の障害物を障害物センサ1が検知して搬送車Veの走行を禁止または停車させることができるため、障害物やマストMの高さが変化する場合であっても、障害物とマストMとの衝突を抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態の制御部2は、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Le離れた位置を通る方向e1と、障害物センサ1から搬送車Veの走行方向に一定距離Le離れ、さらに高さH2方向に高さH2の距離離れた位置を通る方向e2とがなす角度θeの範囲に、障害物センサ1により障害物が検知されると、搬送車Veの走行方向に障害物がある旨を、上位制御装置3に送信する構成である。
【0061】
これにより、上位制御装置3は、搬送車Veの走行方向に障害物がある旨を受信すると、搬送車Veの走行を禁止または停止させたり、搬送車Veの走行経路を変更させたりすることができるため、障害物とマストMとの衝突を抑制することができる。
【0062】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態の搬送車を示す図である。なお、図3に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
図5に示す搬送車Veは、フォークリフトまたは無人搬送車または有人搬送車などであり、マストMと、障害物センサ1と、制御部2とを備える。なお、マストMとともに昇降するフォークに荷が積載されてもよい。
【0064】
制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いてマストMの昇降動作を制御する。
また、制御部2は、制御タイミング毎に、マスト監視方法を実行する。
【0065】
図6は、第3実施形態のマスト監視方法を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは、マストMの上昇開始直前または上昇中に実行されるものとする。
【0066】
まず、制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて、障害物センサ1の高さを基準として搬送車Veの上方向にある障害物(天井など)までの高さH3を算出する(ステップS31)。例えば、制御部2は、障害物センサ1を基準としてマストMの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車Veの車体上面との交点gを通る方向g1と、障害物センサ1から搬送車Veの上方にある障害物を通る方向g2とがなす角度θgを取得し、高さH3=tan(θg)×(障害物センサ1から交点gまでの距離Lg)を計算することにより、高さH3を求める。
【0067】
次に、制御部2は、高さH3より低い高さH4(第1の高さ)を算出する(ステップS32)。例えば、制御部2は、高さH3から所定距離x1を減算した結果を、高さH4として求める。
【0068】
次に、制御部2は、高さH4より低い高さH5を算出する(ステップS33)。例えば、制御部2は、高さH4から所定距離x2を減算した結果を、高さH5として求める。
【0069】
次に、制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて、障害物センサ1の高さを基準とするマストMの上端部までの高さH6(第2の高さ)を算出する(ステップS34)。例えば、制御部2は、障害物センサ1から交点gを通る方向g1と、障害物センサ1からマストMの上端部を通る方向hとがなす角度θhを取得し、高さH6=tan(θh)×(距離Lg)を計算することにより、高さH6を求める。
【0070】
次に、制御部2は、高さH6が高さH5より低い場合(ステップS35:No)、ステップS31の処理に戻り、高さH6が高さH5以上になると(ステップS35:Yes)、マストMの上昇方向においてマストMが障害物と衝突するおそれがある旨を上位制御装置3に送信する(ステップS36)。これにより、上位制御装置3は、マストMが障害物と衝突するおそれがある旨を受信すると、マストMの上昇を禁止または停止させることができるため、障害物とマストMとの衝突を抑制することができる。
【0071】
そして、制御部2は、再度、高さH6を算出し(ステップS37)、高さH6が高さH4より低い場合(ステップS38:No)、繰り返しステップS37及びステップS38を実行し、高さH6が高さH4以上になると(ステップS38:Yes)、マストMの上昇を禁止または停止させて(ステップS39)、今回のマスト監視方法を終了する。
なお、ステップS33~S36を省略してもよい。
【0072】
このように、第3実施形態の制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて障害物センサ1の高さを基準とする搬送車Veの上方向にある障害物までの高さH3より低い高さH4を算出するとともに、障害物センサ1の検知結果を用いて障害物センサ1の高さを基準とするマストMの上端部までの高さH6を算出し、高さH6が高さH4以上になると、マストMの上昇を禁止または停止させる構成である。
【0073】
これにより、マストMが天井などの障害物に衝突する前にマストMの上昇を禁止または停止させることができるため、マストMが天井などの障害物に衝突することを抑制することができる。
【0074】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態の搬送車を示す図である。なお、図5に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
図7に示す搬送車Veは、フォークリフトまたは無人搬送車または有人搬送車などであり、マストMと、障害物センサ1と、制御部2とを備える。なお、マストMとともに昇降するフォークに荷が積載されてもよい。
【0076】
制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いてマストMの昇降動作を制御する。
図8は、第4実施形態のマスト監視方法を示すフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートは、マストMの上昇開始直前に実行されるものとする。
【0077】
まず、制御部2は、障害物センサ1の検知結果を用いて、障害物センサ1を基準としてマストMの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車Veの車体上面との交点gを通る方向g1と、障害物センサ1から最大上昇時のマストMの上端部を通る方向iとがなす角度θiを算出する(ステップS41)。例えば、制御部2は、tan(θi)=(最大上昇時のマストMの上端部から交点gまでの高さH7)/(障害物センサ1から交点gまでの距離Lg)を計算することにより、角度θiを求める。
【0078】
次に、制御部2は、障害物センサ1により角度θiの範囲にマストM以外の障害物が検知されていない場合(ステップS42:No)、今回のマスト監視方法を終了し、障害物センサ1により角度θiの範囲にマストM以外の障害物が検知されると(ステップS42:Yes)、マストMの上昇を禁止させて(ステップS43)、今回のマスト監視方法を終了する。
【0079】
このように、第4実施形態の制御部2は、障害物センサ1を基準としてマストMの上端部から下方に伸びる垂線と搬送車Veの車体上面との交点gを通る方向g1と、障害物センサ1から最大上昇時のマストMの上端部を通る方向iとがなす角度θiの範囲に、障害物センサ1によりマストM以外の障害物が検知されると、マストMの上昇を禁止させる構成である。
【0080】
これにより、マストMの上昇開始直前において、マストMが天井などの障害物に衝突する可能性があるときにマストMの上昇を禁止させることができるため、マストMが天井などの障害物に衝突することを抑制することができる。
【0081】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 障害物センサ
2 制御部
3 上位制御装置
Ve 車両
A 荷
M マスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8