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特許7363500鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法
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  • 特許-鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法 図1
  • 特許-鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法 図2
  • 特許-鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 23/02 20060101AFI20231011BHJP
   B22C 9/08 20060101ALI20231011BHJP
   B22D 18/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B22C23/02 D
B22C9/08 B
B22D18/04 W
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020004629
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021109225
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】三吉 博晃
(72)【発明者】
【氏名】明本 晴生
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-043268(JP,A)
【文献】特開平09-253820(JP,A)
【文献】特開平02-307659(JP,A)
【文献】特開昭51-048718(JP,A)
【文献】特開昭57-079042(JP,A)
【文献】実開平05-013644(JP,U)
【文献】実開平02-122036(JP,U)
【文献】実開平02-032354(JP,U)
【文献】実開昭63-069542(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 23/02
B22C 9/08
B22D 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型および下方に湯口を有する下型を含み、前記上型及び下型が型合わせされることで金型キャビティを形成可能な金型を備え、前記金型の下方に配置された保持炉内の溶湯を前記湯口を介して前記金型キャビティに充填させるよう構成された鋳造装置に使用される鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部を潤滑剤に浸漬する潤滑剤供給部と、
前記潤滑剤塗布部を挿入可能な開口を有する筒状の受台と、
を備え、
前記潤滑剤供給部は、前記潤滑剤を貯留する容器状の本体と、前記潤滑剤塗布部の下面を覆った状態で前記潤滑剤に浸漬する前記鋳造装置用湯口閉塞部材の上下移動に倣って昇降移動する昇降カバーを有し、
前記昇降カバーは、前記本体の底面から上方に向けて付勢する弾性体の一端を係止してカバーするものであって、
前記受台は、挿入された前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面に向けて圧縮エアを吹き付ける液切り部を有することを特徴とする鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置であって、
前記昇降カバーは、伸長時に上面が前記潤滑剤の液面よりも上方に配置され、縮小時に前記上面が前記潤滑剤に液没することを特徴とする鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置であって、
前記受台は、前記潤滑剤供給部の外径よりも大きい内径を有し、内部に前記潤滑剤供給部を収容して上下方向に伸縮するテレスコピック構造とし、前記受台が前記潤滑剤供給部に接近して前記受台の開口から前記昇降カバーの上面が突出する下方位置と、前記受台が前記潤滑剤供給部から離間して前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面と伸長した前記昇降カバーの上面の間に液切りスペースが生じる上昇位置を切り替える昇降部を有することを特徴とする鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置。
【請求項4】
上型及び下方に湯口を有する下型を含み、前記上型及び下型が型合わせされることで金型キャビティを形成可能な金型を備え、前記金型の下方に配置された保持炉内の溶湯を前記湯口を介して前記金型キャビティに充填させるように構成された鋳造装置における前記湯口を閉塞する鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部に潤滑剤を供給する潤滑剤供給方法であって、
前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面をカバーで覆いながら前記潤滑剤に浸漬する工程と、
浸漬後に前記カバーを外して前記鋳造装置用湯口閉塞部材を筒状の受台に支持させて前記受台内で前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面に圧縮エアを吹き付けて液切りする工程と、を有することを特徴とする潤滑剤供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造装置用湯口閉塞部材に使用される潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金等の鋳造品を製造するための竪型鋳造装置として、上型及び下方に湯口を有する下型を含み、上型及び下型が型合わせされることで金型キャビティを形成可能な金型を備え、金型の下方に配置された保持炉内の溶湯を湯口を介して金型キャビティに充填させるように構成されたものがある。
このような竪型鋳造装置の鋳造サイクルは以下の工程から成り立っている。金型キャビティで鋳造品を鋳造する(鋳造工程)。上型に鋳造品を保持させた状態で下型及び上型を型開きさせる(型開き工程)。製品取出機構の把持部で上型に保持させた鋳造品を把持させて鋳造装置から取り出す(製品取出工程)。金型用スプレで下型及び上型の型面に離型剤を塗布する(離型剤塗布工程)。
従来、離型剤塗布工程で型面に塗布した離型剤が湯口を介してストーク内に滴下する不具合を解消するために、本出願人は、湯口内への離型剤の滴下を防止することができる鋳造装置用湯口閉塞部材の技術を開示している(特許文献1)。
特許文献1では型開き工程と製品取出工程の間で鋳造装置用湯口閉塞部材を湯口に装着させる湯口閉塞工程を行っている。このとき閉塞部材は潤滑剤塗布部を備え、装着時に湯口の内周面に潤滑剤を塗布できるように構成されている。
【0003】
しかしながら、待機中の閉塞部材は湯口閉塞部材保持部で、潤滑剤塗布部が潤滑剤に浸漬された状態で保持されているが、閉塞部材の移動中に潤滑剤保持部から潤滑剤が滴下しないように閉塞部材を上下動させて余分な潤滑剤を振り切らせると潤滑剤が飛び散り製造現場が汚れる不具合が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-43268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、鋳造装置用湯口閉塞部材に供給する潤滑剤を液切りするときの飛び散りを防止できる鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、上型および下方に湯口を有する下型を含み、前記上型及び下型が型合わせされることで金型キャビティを形成可能な金型を備え、前記金型の下方に配置された保持炉内の溶湯を前記湯口を介して前記金型キャビティに充填させるよう構成された鋳造装置に使用される鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部を潤滑剤に浸漬する潤滑剤供給部と、
前記潤滑剤塗布部を挿入可能な開口を有する筒状の受台と、
を備え、
前記潤滑剤供給部は、前記潤滑剤を貯留する容器状の本体と、前記潤滑剤塗布部の下面を覆った状態で前記潤滑剤に浸漬する前記鋳造装置用湯口閉塞部材の上下移動に倣って昇降移動する昇降カバーを有し、
前記昇降カバーは、前記本体の底面から上方に向けて付勢する弾性体の一端を係止してカバーするものであって、
前記受台は、挿入された前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面に向けて圧縮エアを吹き付ける液切り部を有することを特徴とする鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部から滴下する潤滑剤を鋳造装置の周囲に飛び散らすことなく液切りできる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記昇降カバーは、伸長時に上面が前記潤滑剤の液面よりも上方に配置され、縮小時に前記上面が前記潤滑剤に液没することを特徴とする鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、潤滑剤の浸漬時に液中で鋳造装置用湯口閉塞部材の下面に潤滑剤が付着することを防止して液切りする量を最小化できる。従って、鋳造装置用湯口閉塞部材の下面の液切りを短時間かつ効率的に実行できる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記受台は、前記潤滑剤供給部の外径よりも大きい内径を有し、内部に前記潤滑剤供給部を収容して上下方向に伸縮するテレスコピック構造とし、前記受台が前記潤滑剤供給部に接近して前記受台の開口から前記昇降カバーの上面が突出する下方位置と、前記受台が前記潤滑剤供給部から離間して前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面と伸長した前記昇降カバーの上面の間に液切りスペースが生じる上昇位置を切り替える昇降部を有することを特徴とする鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、第1及び第2の手段の効果に加えて、ほぼ密閉した状態の潤滑剤供給部の潤滑剤の揮発化防止、又は異物混入を回避できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、上型及び下方に湯口を有する下型を含み、前記上型及び下型が型合わせされることで金型キャビティを形成可能な金型を備え、前記金型の下方に配置された保持炉内の溶湯を前記湯口を介して前記金型キャビティに充填させるように構成された鋳造装置における前記湯口を閉塞する鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部に潤滑剤を供給する潤滑剤供給方法であって、
前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面をカバーで覆いながら前記潤滑剤に浸漬する工程と、
浸漬後に前記カバーを外して前記鋳造装置用湯口閉塞部材を筒状の受台に支持させて前記受台内で前記鋳造装置用湯口閉塞部材の下面に圧縮エアを吹き付けて液切りする工程と、を有することを特徴とする潤滑剤供給方法を提供することにある。
上記第4の手段によれば、鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部から滴下する潤滑剤を鋳造装置の周囲に飛び散らすことなく液切りできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤塗布部から滴下する潤滑剤を鋳造装置の周囲に飛び散らすことなく液切りできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置の説明図である。
図2】変形例1の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置の説明図である。
図3】本発明の潤滑剤供給方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置、潤滑剤供給方法の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
潤滑剤の供給対象となる鋳造装置用湯口閉塞部材1は、棒状に形成されたロッド部2と、ロッド部2の中途部に設けられた湯口蓋部3と、湯口蓋部3よりも下方側に設けられ、湯口内に挿入可能に構成された付着物除去部4と、湯口蓋部3と付着物除去部4との間に設けられた潤滑剤塗布部5とを備えている。
【0013】
[鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置10]
図1は、本発明の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置の説明図である。図示のように本発明の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置10(以下単に潤滑剤供給装置10ということあり)は、鋳造装置用湯口閉塞部材1の付着物除去部4及び潤滑剤塗布部5を挿入可能な開口を有する受台20と、鋳造装置用湯口閉塞部材1の潤滑剤塗布部5を潤滑剤に浸漬して供給する潤滑剤供給部30を備えている。
受台20は、鋳造装置用湯口閉塞部材1を着脱する製品取出機構の可動範囲内であって、鋳造装置と干渉することがない待機位置に配置している。受台20は、上面開口を有し、この開口径を鋳造装置用湯口閉塞部材1の湯口蓋部3の外径よりも小さく、潤滑剤塗布部5の外径よりも大きく設定し、筒状又は容器状に形成している。このような受台20は、鋳造装置用湯口閉塞部材1を把持した製品取出機構の上下移動によって鋳造装置用湯口閉塞部材1の付着物除去部4及び潤滑剤塗布部5が容器内に挿入されて収納でき、上面開口が湯口蓋部3で覆われる。その後、製品取出機構の把持状態を解除したとき鋳造装置用湯口閉塞部材1は受台20上で直立した状態で支持される。
【0014】
また受台20には液切り部40を設けている。液切り部40は、受台20内に収納した鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面と受台底面の間に設けた所定間隔の液切りスペースに設けている。液切り部40は、鋳造装置用湯口閉塞部材1の付着物除去部4の下面に向けて圧縮エアを吹き付けるエア供給手段である。具体的な液切り部40の構成は、受台20内であって、内部に収納された付着物除去部4に向けて圧縮エアを供給するスプレノズル42と、配管44を介して接続する外部に設けたエア供給源46からなる。この他、液切り部40は、受台20の側面であって、付着物除去部4の主面に沿って圧縮エアを供給するスプレノズル42aの構成としても良い。このような構成の液切り部40は、潤滑剤塗布部5に潤滑剤を供給した後、受台20内部に収納された付着物除去部4に付着して滴下する潤滑剤に対して圧縮エアを吹き付けて液切りでき、後工程で製品取出機構により把持した状態で鋳造装置用湯口閉塞部材1を搬送させている間に潤滑剤が鋳造装置の周辺に滴下することを防止できる。
潤滑剤供給部30は、上面開口を有する容器状の本体の内部に所定量の潤滑剤を貯留できるタンクである。
【0015】
潤滑剤供給部30は、本体内部に昇降カバー32を設けている。昇降カバー32は容器状の潤滑剤供給部30の軸心に沿って底面を貫通し、上方に進退移動可能な円柱状の本体を有している。昇降カバー32は、上面に鋳造装置用湯口閉塞部材1の付着物除去部4が嵌る凹部を設けている。また昇降カバー32は、内部にコイルばねなどの弾性体34を設けて容器状の潤滑剤供給部30の底面から上面開口へ向けて付勢している。昇降カバー32は、伸長時に上面が潤滑剤の液面よりも上方に配置され、縮小時に上面が潤滑剤に液没する。
このような構成の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置10は、受台20と潤滑剤供給部30が互いに分離した構造を採用している。潤滑剤を供給する際、鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面を潤滑剤供給部30内部の潤滑剤から突出している昇降カバー32の上面に接触させてから押し込み、潤滑剤塗布部5を液中に浸漬させて、潤滑剤を供給することができる。このとき、鋳造装置用湯口閉塞部材1に倣って昇降カバー32も上下移動する。また、受台20に設けた液切り部40によって鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面に付着した余剰の潤滑剤に対して圧縮エアを吹き付けて液切りできる。
【0016】
(変形例1)
図2は、変形例1の鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置の説明図である。同図に示すように変形例1の潤滑剤供給装置10Aは、受台20Aと潤滑剤供給部30の一体型構造を採用している。より具体的な構造は、筒状の受台20Aの内径を潤滑剤供給部30の外径よりも大きくし、内部に潤滑剤供給部30を収容して上下方向に伸縮移動するテレスコピック構造としている。潤滑剤供給装置10Aは、受台20Aが潤滑剤供給部30に接近して受台20Aの上面開口から昇降カバー32の上面が突出する下方位置と、受台20Aが潤滑剤供給部30から離間して鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面と伸長した昇降カバー32の上面の間に液切りスペースが生じる上昇位置を切り替える昇降部22を有している。
昇降部22は、一端が潤滑剤供給部30を設けたベース35に接続し、他端が受台20Aに接続するシリンダ機構を有している。昇降部22のロッドが縮小すると潤滑剤供給部30に受台20Aが近接し、ロッドが伸長すると、潤滑剤供給部30と受台20Aの間に液切りするための液切りスペースが生じる。また潤滑剤供給部30の上面開口は受台20Aの伸縮移動のとき、常に受台20Aで覆われているため、潤滑剤の揮発防止、又は異物の混入を回避できる。
受台20Aと潤滑剤供給部30の間に液切りスペースが生じる位置で、かつ鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面に沿った側方に液切り部40Aを設けている。液切り部40Aは、付着物除去部4の主面に沿って圧縮エアを供給するスプレノズルを有している。
【0017】
このような構成の変形例1の潤滑剤供給装置10Aは、潤滑剤供給部30内部の潤滑剤から突出し、かつ受台20Aの上面開口からも突出している昇降カバー32の上面に鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面を接触させてから押し込み、潤滑剤塗布部5を液中に浸漬させて、潤滑剤を供給することができる。このとき、鋳造装置用湯口閉塞部材1に倣って昇降カバー32も上下移動する。また、受台20Aの底面に設けた液切り部40Aによって鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面に付着した余剰の潤滑剤に対して圧縮エアを吹き付けて液切りできる。
【0018】
[潤滑剤供給方法]
上記構成による鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給方法について以下説明する。図3は本発明の潤滑剤塗布方法の説明図である。
図3(1)に示すように、鋳造工程は、下型9及び上型7を型閉じさせて金型キャビティを形成した後、ガス圧によって保持炉内の密閉空間を加圧することで湯口8を介して保持炉内の溶湯を金型キャビティ内に充填させる。充填後、湯口8を閉塞させて金型キャビティ内の溶湯を加圧して凝固収縮分の溶湯を湯溜りから供給させて、金型キャビティ内で鋳造品Aを鋳造する。
鋳造工程のとき鋳造装置の待機位置に設けた受台20は鋳造装置用湯口閉塞部材1の付着物除去部4及び潤滑剤塗布部5を収納し支持している。受台20と分離した潤滑剤供給部30、又は一体型の潤滑剤供給部30により潤滑剤を供給された潤滑剤塗布部5に、受台20内で圧縮エアを吹き付けて鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面に付着した潤滑剤を吹き飛ばして液切りする。このとき、受台20内部で潤滑剤を吹き飛ばしているため、鋳造装置の周辺にまき散らすことがない(潤滑剤供給工程(鋳造工程))。
【0019】
図3(2)に示すように、上型7に鋳造品Aを保持させた状態で下型9及び上型7を型開きさせ(型開き工程)、製品取出機構60によって鋳造装置用湯口閉塞部材1を下型9と上型7の間に搬入させる。
鋳造装置用湯口閉塞部材1が搬入された後、図3(3)に示すように付着物除去部4及び潤滑剤塗布部5が湯口8内に挿入され、かつ、湯口蓋部3によって湯口8を覆うようにハンドを下降させて、鋳造装置用湯口閉塞部材1を湯口8に装着させる(湯口閉塞工程)。この際、付着物除去部4によって湯口8の内周面に付着したアルミ凝固片やアルミかす等の付着物が除去される。また潤滑剤塗布部5によって湯口8の内周面に潤滑剤が塗布される。
鋳造装置用湯口閉塞部材1が湯口8に装着された後、製品取出機構60のハンドによる鋳造装置用湯口閉塞部材1の把持状態を解除させて、図3(4)に示すように、製品取出機構60のハンドが下型9と対向した状態から上型7に対向した状態に反転し、再び、製品取出機構60のハンドに、上型7に保持させた鋳造品Aを把持させて、鋳造品Aを鋳造装置の外部に取り出す(製品取出工程)。
鋳造品Aが鋳造装置から取り出された後、図3(5)に示すように鋳造装置用湯口閉塞部材1によって湯口8が閉塞された状態において、エアブロー等によって下型9及び上型7の型面を清掃した後、金型スプレ(ロボット)等の潤滑剤自動塗布装置70によって下型9及び上型7の型面にそれぞれ離型剤を塗布する(離型剤塗布工程)。
【0020】
その後、製品取出機構60のハンドを再び下型9及び上型7の間に搬入させ、湯口8から鋳造装置用湯口閉塞部材1を取り外し、鋳造装置の待機位置まで移動させて、待機位置に設けた潤滑剤供給装置10の昇降カバー32上に鋳造装置用湯口閉塞部材1の下面を接触させて押し込み、潤滑剤中に潤滑剤塗布部5を浸漬させる。
以上の工程により、1回の鋳造サイクルが終了する。そして、以上の鋳造サイクルを繰り返し実行することにより、鋳造品Aが連続的に鋳造される。
これにより、潤滑剤供給工程(鋳造工程)において鋳造装置用湯口閉塞部材1の潤滑剤塗布部5に潤滑剤を供給した後に、滴下する潤滑剤を鋳造装置の周囲に飛び散らすことなく液切りできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 鋳造装置用湯口閉塞部材
2 ロッド部
3 湯口蓋部
4 付着物除去部
5 潤滑剤塗布部
7 上型
8 湯口
9 下型
10,10A 鋳造装置用湯口閉塞部材の潤滑剤供給装置
20,20A 受台
22 昇降部
30 潤滑剤供給部
32 昇降カバー
34 弾性体
35 ベース
40,40A 液切り部
42,42a スプレノズル
44 配管
46 エア供給源
60 製品取出機構
70 潤滑剤自動塗布装置
図1
図2
図3