(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
F24C7/02 301J
F24C7/02 501G
(21)【出願番号】P 2020020380
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】藤原 望
(72)【発明者】
【氏名】津田 隼輔
(72)【発明者】
【氏名】菅ヶ谷 啓希
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】船井 慎二
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-27771(JP,A)
【文献】特開2019-100663(JP,A)
【文献】特開2006-132793(JP,A)
【文献】特開2019-124423(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0070155(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得する取得手段と、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出する扉監視手段と、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う警告手段と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記警告条件は、前記対象時間帯に少なくとも1つの電子タグが検出されたことである請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記警告条件は、前記対象時間帯にいずれかの電子タグが検出され、かつ、前記検出された電子タグに電子レンジに対応している旨の情報が記憶されていないことである請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記対象時間帯は、前記オープンタイミングより所定時間前の時点から、前記オープンタイミングより所定時間後の時点までの時間帯である請求項1から3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記所定位置は、前記対象電子レンジで温める物品を持った人が前記対象電子レンジの扉を開く時に存在する位置を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記扉監視手段は、前記対象電子レンジの扉が閉じられたことを検出し、
前記警告手段は、前記オープンタイミングに基づき特定される前記対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が前記警告条件を満たし、かつ、前記オープンタイミングの直後に前記対象電子レンジの扉が閉じられたクローズタイミングに基づき特定される付加対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が付加警告条件を満たす場合、前記出力装置を介して警告を行う請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記付加対象時間帯は、前記クローズタイミングより後の時間帯である請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記付加警告条件は、前記付加対象時間帯にいずれの電子タグも検出されていないことである請求項6又は7に記載の処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得し、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出し、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得する取得手段、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出する扉監視手段、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う警告手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、電子タグが付されたまま物品を電子レンジで加熱する不都合を抑制する技術を開示している。
【0003】
特許文献1は、電子レンジの庫内に電磁波を送信し、当該電磁波に対する応答を電子タグから受信すると、加熱処理を実行不可とする加熱調理機を開示している。
【0004】
特許文献2は、電子レンジの投入口の前方領域に向けて電磁波を送信し、当該電磁波に対する応答結果に応じて報知処理を行う無線タグ検出装置を開示している。当該無線タグ検出装置は、報知条件の設定に応じた処理を行う。
【0005】
報知条件に「開放設定」が設定されている場合、無線タグ検出装置は、電子レンジの扉が開放されていることを検知したことを条件に、上記電磁波を送信する。そして、無線タグ検出装置は、電子タグから受信した電磁波が商品コードを示す場合、電子タグを検出したと判定し、報知処理を行う。
【0006】
報知条件に「通常設定」が設定されている場合、無線タグ検出装置は、電子レンジの扉の開閉に関わらず、上記電磁波を送信する。そして、無線タグ検出装置は、電子タグから受信した電磁波が商品コードを示す場合、電子タグを検出したと判定し、報知処理を行う。
【0007】
報知条件に「対象商品設定」が設定されている場合、無線タグ検出装置は、電子レンジの扉の開閉に関わらず、上記電磁波を送信する。そして、無線タグ検出装置は、電子タグから受信した電磁波が商品コードを示し、かつ、その商品コードが報知対象テーブルに登録されている場合、電子タグを検出したと判定し、報知処理を行う。報知対象テーブルには、お弁当等のように電子レンジで加熱される可能性がある商品の商品コードが登録され、文房具等のように電子レンジで加熱される可能性がない商品の商品コードは登録されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-27771号公報
【文献】特開2019-100663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示の技術のように、電子レンジの庫内に電磁波を送信して電子タグを検出する構成の場合、加熱室内に設けたアンテナが、加熱対象物の加熱により発生した熱、水蒸気、加熱対象物から飛散した液体等で劣化してしまう恐れがある。また、スペース等の問題から、加熱室内にアンテナを設けることは難しい。
【0010】
特許文献2に開示の技術のように、電子レンジの庫外に電磁波を送信して電子タグを検出する構成の場合、今から電子レンジで温めようとしている物品に付された電子タグのみならず、単に電磁波が送信されるエリアを通過しただけであり、電子レンジでの温めの対象でない物品に付された電子タグをも検出してしまう。そして、不要なタイミングで報知処理を行うという問題がある。
【0011】
特許文献2に開示の「開放設定」のように、電子レンジの扉が開放されていることを検知したことを条件に電磁波を送信する場合、単に電磁波が送信されるエリアを通過しただけであり、電子レンジでの温めの対象でない物品に付された電子タグを検出する不都合を抑制できる。しかし、この構成の場合、電子レンジの扉を開いて物品を庫内に入れる動作を素早く行うと、電磁波の送信が間に合わず、電子タグが検出される前に物品が庫内に入れられてしまう。その結果、電子タグの検出漏れが発生し得るという問題がある。
【0012】
「対象商品設定」のように報知対象テーブルに登録されていることを条件に報知することで、衣類や文房具などのように電子レンジで温めることがない物品に付された電子タグの検出に応じて報知処理を行う不都合を抑制できる。しかし、報知対象テーブルに登録されている物品が必ず電子レンジで温められるわけでない。このため、依然、電子レンジでの温めの対象でない物品に付された電子タグを検出し、不要なタイミングで報知処理を行うという問題は残る。
【0013】
本発明は、電子レンジの庫外に電磁波を送信して電子タグを検出することにより、電子タグが付されたまま物品を電子レンジで加熱する不都合を抑制する技術において、不要なタイミングでの警告を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得する取得手段と、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出する扉監視手段と、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う警告手段と、
を有する処理装置が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得し、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出し、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う処理方法が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得する取得手段、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出する扉監視手段、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う警告手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子レンジの庫外に電磁波を送信して電子タグを検出することにより、電子タグが付されたまま物品を電子レンジで加熱する不都合を抑制する技術において、不要なタイミングでの警告を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の処理装置の利用例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態の処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の処理装置の機能ブロック図の一例である。
【
図4】本実施形態の処理装置の処理を説明するための図である。
【
図5】本実施形態の処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の処理装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の処理装置の処理を説明するための図である。
【
図8】本実施形態の処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて、本実施形態の処理装置10の全体像及び概要を説明する。
【0020】
前提として、図示するように、物品4には電子タグ5が取り付けられている。例えば、物品4を製造等した事業者や、物品4を販売等する事業者等が、物品4に電子タグ5を取り付ける。電子タグ5には物品4に関する各種情報が記憶されている。例えば、電子タグ5には、物品4の識別情報(商品コード等)が記憶されていてもよい。電子タグ5を取り付けられる物品4は、お弁当やおにぎり等のように電子レンジでの温めの対象となる物品のみならず、日用品、雑貨等のように電子レンジでの温めの対象とならない物品をも含む。
【0021】
本実施形態のシステムは、電子タグ5が取り付けられた物品4を、電子タグ5を取り付けたまま電子レンジで温める不都合を抑制する機能を有する。
【0022】
図示するように、本実施形態のシステムは、対象電子レンジ1と、処理装置10と、電子タグリーダ3とを有する。対象電子レンジ1と処理装置10とは、物理的及び/又は論理的に一体となっていてもよいし、物理的及び論理的に分かれていてもよい。例えば、処理装置10は、対象電子レンジ1に内蔵されていてもよい。その他、処理装置10は、対象電子レンジ1に外付けられる付属品であり、有線及び/又は無線で対象電子レンジ1と通信可能に構成されていてもよい。
【0023】
本実施形態のシステムは、商品を温めるサービスを提供する店舗に設置されてもよいし、一般家庭等の消費者側に設置されてもよい。
【0024】
対象電子レンジ1は、任意の場所に設置される。図示する例では、台2の上に対象電子レンジ1が設置されている。
【0025】
電子タグリーダ3は、対象電子レンジ1の庫外の所定位置に向けて電磁波を送信するように設置される。例えば、図示するように、対象電子レンジ1の扉側の前方領域に向けて電磁波を送信するように電子タグリーダ3のアンテナが設置される。図示するように複数のアンテナが設置されてもよいし、1つのアンテナが設置されてもよい。
【0026】
処理装置10は、電子タグリーダ3の読み取り結果を取得する。読み取り結果は、電子タグ5から送信された電磁波を受信したこと(電子タグ5を検出したこと)等を示す。また、処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出する。そして、処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が開かれたオープンタイミングの前後の時間帯にいずれかの電子タグ5が検出された場合、警告処理を行う。
【0027】
次に、処理装置10の構成を詳細に説明する。まず、処理装置10のハードウエア構成の一例を説明する。本実施形態の処理装置10が備える機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
図2は、本実施形態の処理装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、処理装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。なお、周辺回路4Aは有さなくてもよい。なお、処理装置10は物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0029】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイス等を含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、タッチパネル、物理ボタン、カメラ等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0030】
次に、処理装置10の機能構成を説明する。
図3に、処理装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、処理装置10は、取得部11と、扉監視部12と、警告部13とを有する。
【0031】
取得部11は、対象電子レンジ1の庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダ3の読み取り結果を取得する。
【0032】
所定位置は、対象電子レンジ1で温める物品4を持った人が対象電子レンジ1の扉を開く時に存在する位置、例えば対象電子レンジ1の扉側の前方領域を含む。また、所定位置は、物品4を対象電子レンジ1で温める人が、対象電子レンジ1の扉を開く時に物品4を置く位置、例えば対象電子レンジ1の上面や、対象電子レンジ1の近くにある台等を含んでもよい。
【0033】
電子タグリーダ3は、アンテナからの電磁波の送信を常時行う。電磁波が送信されるエリアに電子タグ5が存在すると、電子タグ5は、当該電磁波によって起動し、電磁波を送信する応答処理を行う。そして、電子タグリーダ3は、電子タグ5から送信された電磁波を受信する。電子タグ5が送信する電磁波は、電子タグ5に記憶されている情報を示してもよい。
【0034】
電子タグリーダ3は、リアルタイム処理で、読み取り結果を処理装置10に送信する。取得部11は、電子タグリーダ3から送信されてきた読み取り結果を取得する。読み取り結果は、電子タグ5から送信された電磁波を受信したこと(電子タグ5を検出したこと)等を示す。読み取り結果は、電子タグ5が送信した電磁波が示す電子タグ5に記憶されている情報を含んでもよい。
【0035】
扉監視部12は、対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出する。例えば、対象電子レンジ1が、扉の開閉を検出する機能を有してもよい。そして、扉監視部12は、対象電子レンジ1から扉の開閉の検出結果を受信することで、対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出してもよい。その他、扉監視部12は、扉が開いた状態、及び、扉が閉じた状態各々で異なる信号を生成するセンサから当該信号を受信し、当該信号に基づき対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出してもよい。センサの種類は特段制限されず、扉の開閉の検出に用いられるあらゆるセンサを利用することができる。
【0036】
警告部13は、対象電子レンジ1の扉が開かれたオープンタイミングに基づき対象時間帯を特定し、特定した対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う。
【0037】
オープンタイミングは、対象電子レンジ1の扉が開かれたタイミングであり、例えば扉監視部12により対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出されたタイミングである。対象時間帯は、オープンタイミングの前後の時間帯である。すなわち、対象時間帯は、
図4に示すように、オープンタイミングより所定時間t1前の時点から、オープンタイミングより所定時間t2後の時点までの時間帯である。t1とt2は同じであってもよいし、異なってもよい。t1及びt2は、数秒から数十秒程度が例示されるが、これに限定されない。
【0038】
警告条件は、対象時間帯に少なくとも1つの電子タグ5が検出されたことである。
【0039】
出力装置は、対象電子レンジ1の利用者に警告を通知することができるものであればよく、例えば、ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ等が例示される。出力装置は、対象電子レンジ1が備えてもよいし、処理装置10が備えてもよい。また、対象電子レンジ1及び処理装置10とは論理的及び/又は物理的に分かれ、処理装置10と有線及び/又は無線で通信可能に構成された出力装置が、対象電子レンジ1の近傍の任意の位置に設置されてもよい。
【0040】
警告部13は、例えば「電子タグを検出しました。温める物品に電子タグが付いていないかご確認ください。」等の文章をディスプレイやスピーカを介して出力させてもよい。その他、警告部13は、スピーカを介して警告音を出力させてもよい。その他、警告部13は、警告ランプを点灯させたり、点滅させたりしてもよい。
【0041】
次に、
図5のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。図示しないが、電子タグリーダ3は、常時対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信し、読み取り結果をリアルタイム処理で処理装置10に送信する処理を実行している。そして、処理装置10は、電子タグリーダ3からの読み取り結果の受信を継続している。
【0042】
処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出すると(S10のYes)、対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき対象時間帯を特定し、特定した対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が警告条件を満たすか判断する(S11)。警告条件は、対象時間帯に少なくとも1つの電子タグ5が検出されたことである。
【0043】
警告条件を満たす場合(S11のYes)、処理装置10は、出力装置を介して警告を行う(S12)。一方、警告条件を満たさない場合(S11のNo)、処理装置10は、出力装置を介した警告を行わない。
【0044】
以降、処理を終了する入力がなければ(S13のNo)、S10に戻って対象電子レンジ1の扉が開かれたことの検出待ちとなる。
【0045】
ここで、本実施形態の変形例を説明する。当該変形例の前提として、
図6に示すように、電子レンジに対応している電子タグ5には、電子レンジに対応している旨の情報が記憶されている。電子レンジに対応している電子タグ5は、当該電子タグ5を電子レンジの庫内に入れた状態で温め処理を行っても問題ない(事故が起きる可能性がないか又は低い)電子タグ5である。
【0046】
そして、変形例の警告条件は、対象時間帯にいずれかの電子タグ5が検出され、かつ、検出された電子タグ5に電子レンジに対応している旨の情報が記憶されていないことである。
【0047】
なお、電子レンジに対応している旨の情報を電子タグ5に記憶させる構成に代えて、電子タグ5には電子タグ5の種類を識別する情報を記憶させてもよい。そして、処理装置10は、電子タグ5から受信した情報に基づき検出した電子タグ5の種類を特定すると、処理装置10内に記憶されたデータ又はインターネット上のデータに基づき、特定した電子タグ5の種類が電子レンジに対応しているか否かを判定してもよい。上記処理装置10内に記憶されたデータ又はインターネット上のデータは、各種電子タグ5が電子レンジに対応しているか否かを示す。
【0048】
他の変形例を説明する。処理装置10は、警告条件を満たす場合に行う処理として、出力装置を介した警告に加えて又は代えて、温め処理(加熱処理)を実行できないように対象電子レンジ1を制御してもよい。その後、例えば、警告後に警告内容を確認した旨の入力を受付けたことに応じて、温め処理(加熱処理)を実行できる状態に戻してもよい。警告内容を確認した旨の入力は、例えば対象電子レンジ1や処理装置10が備える入力装置を介して実現される。
【0049】
次に、本実施形態の処理装置10の作用効果を説明する。
【0050】
本実施形態の処理装置10によれば、対象電子レンジ1の扉が開かれたオープンタイミングの前後の対象時間帯に所定位置で電子タグ5が検出された場合に、警告を行うことができる。このような本実施形態の処理装置10によれば、「電子レンジの庫外に電磁波を送信して電子タグを検出することにより、電子タグが付されたまま物品を電子レンジで加熱する不都合を抑制する技術」において、不要なタイミングでの警告を抑制することができる。
【0051】
また、オープンタイミングの後のみならず、オープンタイミングの前も含む対象時間帯における電子タグ5の検出結果に基づき警告を行う本実施形態の処理装置10によれば、対象電子レンジ1の扉を開いて物品4を庫内に入れる動作を素早く行った場合であっても、電子タグ5の検出漏れが発生し難くなる。
【0052】
また、対象電子レンジ1で温める物品4を持った人が対象電子レンジ1の扉を開く時に存在する位置や、物品4を対象電子レンジ1で温める人が、対象電子レンジ1の扉を開く時に物品4を置く位置等に向けて電磁波を送信する電子タグリーダ3の読み取り結果に基づき警告を行う本実施形態の処理装置10によれば、今から対象電子レンジ1で温めようとしている物品4に付された電子タグ5を精度よく検出することができる。
【0053】
また、上述した変形例のように、警告条件を、「対象時間帯にいずれかの電子タグ5が検出され、かつ、検出された電子タグ5に電子レンジに対応している旨の情報が記憶されていないこと」とした本実施形態の処理装置10によれば、電子レンジに対応した電子タグ5の検出に応じた不要な警告を抑制できる。
【0054】
また、上述した変形例のように、警告条件を満たす場合、温め処理(加熱処理)を実行できないように対象電子レンジ1を制御する本実施形態の処理装置10によれば、電子タグ5が取り付けられた物品4を、電子タグ5を取り付けたまま電子レンジで温める不都合をより効果的に抑制できる。
【0055】
<第2の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が開かれたタイミングに基づき特定される対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が警告条件を満たし、かつ、対象電子レンジ1の扉が閉じられたタイミングに基づき特定される付加対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が付加警告条件を満たす場合、出力装置を介した警告を行う。以下、詳細に説明する。
【0056】
まず、本実施形態のシステムにおいては、電子タグリーダ3は、対象電子レンジ1の扉を閉じた状態で、対象電子レンジ1の庫内に入れられた電子タグ5を検出できない。すなわち、対象電子レンジ1の扉を閉じた状態で、電子タグリーダ3が送信した電磁波は対象電子レンジ1の庫内に到達しない。このような構成は、例えば、電磁波を透過しない材料で対象電子レンジ1の筐体を構成することで実現されてもよい。
【0057】
扉監視部12は、対象電子レンジ1の扉が閉じられたことを検出する。例えば、対象電子レンジ1が、扉の開閉を検出する機能を有してもよい。そして、扉監視部12は、対象電子レンジ1から扉の開閉の検出結果を受信することで、対象電子レンジ1の扉が閉じられたことを検出してもよい。その他、扉監視部12は、扉が開いた状態、及び、扉が閉じた状態各々で異なる信号を生成するセンサから当該信号を受信し、当該信号に基づき対象電子レンジ1の扉が閉じられたことを検出してもよい。センサの種類は特段制限されず、扉の開閉の検出に用いられるあらゆるセンサを利用することができる。
【0058】
警告部13は、オープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が警告条件を満たし、かつ、当該オープンタイミングの直後に対象電子レンジ1の扉が閉じられたクローズタイミングに基づき特定される付加対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が付加警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う。
【0059】
オープンタイミング、対象時間帯及び警告条件は、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0060】
クローズタイミングは、対象電子レンジ1の扉が閉じられたタイミングであり、例えば扉監視部12により対象電子レンジ1の扉が閉じられたことを検出されたタイミングである。付加対象時間帯は、クローズタイミングより後の時間帯である。
図7に、オープンタイミング、クローズタイミング、対象時間帯及び付加対象時間帯の関係を示す。図示するように、付加対象時間帯は、クローズタイミングから、クローズタイミングより所定時間t3後の時点までの時間帯であってもよい。その他、図示しないが、付加対象時間帯は、クローズタイミングより所定時間t4後の時点から、クローズタイミングより所定時間t5後の時点までの時間帯であってもよい(t4<t5)。t3乃至t5の値は設計的事項である。なお、図では対象時間帯と付加対象時間帯が重なっていないが、対象時間帯と付加体対象時間帯は重なっていてもよい。すなわち、クローズタイミングは、オープンタイミングの後であり、かつ、オープンタイミングより所定時間t2後の時点より前であってもよい。
【0061】
付加警告条件は、付加対象時間帯にいずれの電子タグ5も検出されていないことである。その他、付加警告条件は、対象時間帯に検出された電子タグ5が付加対象時間帯に検出されていないことであってもよい。例えば、電子タグ5に記憶されている情報に基づき、対象時間帯に検出された電子タグ5と、付加対象時間帯に検出された電子タグ5との同一性を特定することができる。
【0062】
次に、
図8のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。図示しないが、電子タグリーダ3は、常時対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信し、読み取り結果をリアルタイム処理で処理装置10に送信する処理を実行している。そして、処理装置10は、電子タグリーダ3からの読み取り結果の受信を継続している。
【0063】
処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が開かれたことを検出すると(S20のYes)、対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき対象時間帯を特定し、特定した対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が警告条件を満たすか判断する(S21)。警告条件は、対象時間帯に少なくとも1つの電子タグ5が検出されたことである。
【0064】
警告条件を満たす場合(S21のYes)、処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が閉じられることの検出待ちとなる(S22)。
【0065】
そして、処理装置10は、対象電子レンジ1の扉が閉じられたことを検出すると(S22のYes)、対象電子レンジの扉が閉じられたクローズタイミングに基づき付加対象時間帯を特定し、特定した付加対象時間帯における電子タグリーダ3の読み取り結果が付加警告条件を満たすか判断する(S23)。付加警告条件は、付加対象時間帯にいずれの電子タグ5も検出されていないこと、又は、対象時間帯に検出された電子タグ5が付加対象時間帯に検出されていないことである。
【0066】
付加警告条件を満たす場合(S23のYes)、処理装置10は、出力装置を介して警告を行う(S24)。
【0067】
なお、警告条件を満たさない場合(S21のNo)、また、付加警告条件を満たさない場合(S23のNo)には、処理装置10は、出力装置を介した警告を行わない。
【0068】
以降、処理を終了する入力がなければ(S25のNo)、S20に戻って対象電子レンジ1の扉が開かれたことの検出待ちとなる。
【0069】
本実施形態の対象電子レンジ1、処理装置10及び電子タグリーダ3を有するシステムのその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0070】
次に、本実施形態の処理装置10の作用効果を説明する。本実施形態の処理装置10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0071】
また、第1の実施形態で説明した警告条件のみならず、上述した付加警告条件を満たす場合に警告を行う本実施形態の処理装置10によれば、不要な警告をより抑制することができる。
【0072】
今から対象電子レンジ1で温めようとしている物品4に付された電子タグ5を取り外す場所の一例として、対象電子レンジ1の前が挙げられる。すなわち、今から対象電子レンジ1で温めようとしている物品4を対象電子レンジ1の前まで持って行った後、その場で電子タグ5を取り外し、電子タグ5を取り外した物品4を対象電子レンジ1の庫内に入れる。
【0073】
このように電子タグ5の存在に気付いており、対象電子レンジ1の前で取り外そうとしている人に対する警告は不要であり、このような警告を煩わしく感じる人もいる。
【0074】
これに対し、本実施形態の処理装置10は、対象電子レンジ1の扉を開いた前後の時間帯に電子タグ5を検出していたが、対象電子レンジ1の扉を閉じた後の時間帯に電子タグ5(又はその電子タグ5)を検出できない場合、すなわち対象電子レンジ1の扉を開いた前後の時間帯に検出された電子タグ5が対象電子レンジ1の庫内に入れられた可能性が高い場合に、警告を行う。このような本実施形態の処理装置10によれば、不要な警告をより効果的に抑制できる。
【0075】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0076】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. 対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得する取得手段と、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出する扉監視手段と、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う警告手段と、
を有する処理装置。
2. 前記警告条件は、前記対象時間帯に少なくとも1つの電子タグが検出されたことである1に記載の処理装置。
3. 前記警告条件は、前記対象時間帯にいずれかの電子タグが検出され、かつ、前記検出された電子タグに電子レンジに対応している旨の情報が記憶されていないことである1に記載の処理装置。
4. 前記対象時間帯は、前記オープンタイミングより所定時間前の時点から、前記オープンタイミングより所定時間後の時点までの時間帯である1から3のいずれかに記載の処理装置。
5. 前記所定位置は、前記対象電子レンジで温める物品を持った人が前記対象電子レンジの扉を開く時に存在する位置を含む1から4のいずれかに記載の処理装置。
6. 前記所定位置は、物品を前記対象電子レンジで温める人が、前記対象電子レンジの扉を開く時に前記物品を置く位置を含む1から5のいずれかに記載の処理装置。
7. 前記扉監視手段は、前記対象電子レンジの扉が閉じられたことを検出し、
前記警告手段は、前記オープンタイミングに基づき特定される前記対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が前記警告条件を満たし、かつ、前記オープンタイミングの直後に前記対象電子レンジの扉が閉じられたクローズタイミングに基づき特定される付加対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が付加警告条件を満たす場合、前記出力装置を介して警告を行う1から6のいずれかに記載の処理装置。
8. 前記付加対象時間帯は、前記クローズタイミングより後の時間帯である7に記載の処理装置。
9. 前記付加警告条件は、前記付加対象時間帯にいずれの電子タグも検出されていないことである7又は8に記載の処理装置。
10. 前記付加警告条件は、前記対象時間帯に検出された電子タグが記付加対象時間帯に検出されていないことである7又は8に記載の処理装置。
11. コンピュータが、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得し、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出し、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う処理方法。
12. コンピュータを、
対象電子レンジの庫外の所定位置に向けて電磁波を送信する電子タグリーダの読み取り結果を取得する取得手段、
前記対象電子レンジの扉が開かれたことを検出する扉監視手段、
前記対象電子レンジの扉が開かれたオープンタイミングに基づき特定される対象時間帯における前記電子タグリーダの前記読み取り結果が警告条件を満たす場合、出力装置を介して警告を行う警告手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス
1 対象電子レンジ
2 台
3 電子タグリーダ
4 物品
5 電子タグ
10 処理装置
11 取得部
12 扉監視部
13 警告部