(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】歩行補助装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20231011BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20231011BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61H3/00 B
A61H1/02 R
B25J11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020021462
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】前北 智江
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第5316708(JP,B2)
【文献】特開2019-55016(JP,A)
【文献】特開2016-106955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
A61H 1/02
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脚部に装着される歩行補助装置であって、
前記脚部の膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパと、
前記ユーザの歩行サイクルにおける切替タイミングを検出するセンサと、
第1屈曲モードと、前記第1屈曲モードよりも前記抵抗力を大きくする第2屈曲モードと、が交互に繰り返されるように、前記切替タイミングに応じて前記ダンパのモードを切り替える制御部と、
を備え、
前記制御部は、
所定のユーザにおける階段の上りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度で前記第2屈曲モードから前記第1屈曲モードへ切替え、
前記所定のユーザにおける階段の下りの場合には、前記平地の場合よりも大きい前記屈曲角度で前記第2屈曲モードから前記第1屈曲モードへ切替え、
前記屈曲角度は、前記膝関節が伸展して上腿及び下腿が伸びた状態から前記下腿が屈曲した角度である、
歩行補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩行動作を補助する歩行補助装置が開示されている。特許文献1の歩行補助装置は、平地、昇段、降段等を含む歩行シーン毎に、脚がどの区分の歩行動作状態にあるかを検出し、歩行シーンに対応する締付力で各装着部を締め付けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行補助装置を装着したユーザは、階段を一足一段、通常歩行で歩行する場合に、歩行補助装置の制御タイミングが合わず、違和感を感じる場合がある。
【0005】
本発明は、そのような課題を解決するためになされたものであり、制御タイミングの不整合により生じる違和感を抑制することができる歩行補助装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態にかかる歩行補助装置は、ユーザの脚部に装着される歩行補助装置であって、前記脚部の膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパと、前記ユーザの歩行サイクルにおける切替タイミングを検出するセンサと、第1屈曲モードと、前記第1屈曲モードよりも前記抵抗力を大きくする第2屈曲モードと、が交互に繰り返されるように、前記切替タイミングに応じて前記ダンパのモードを切り替える制御部と、を備え、前記制御部は、階段の上りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度で前記第2屈曲モードから前記第1屈曲モードへ切替え、階段の下りの場合には、前記平地の場合よりも大きい前記屈曲角度で前記第2屈曲モードから前記第1屈曲モードへ切替え、前記屈曲角度は、前記膝関節が伸展して上腿及び下腿が伸びた状態から前記下腿が屈曲した角度である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、制御タイミングの不整合により生じる違和感を抑制することができる歩行補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)~(c)は、歩行補助装置を装着したユーザの平地及び階段での動作を例示した図であり、(a)は、平地での動作を示し、(b)は、階段の上りでの動作を示し、(c)は、階段の下りでの動作を示す。
【
図2】実施形態に係る歩行補助装置を例示した正面図である。
【
図3】実施形態に係る歩行補助装置を例示した側面図である。
【
図4】実施形態に係る歩行補助装置の制御系を示すブロック図である。
【
図5】実施形態にかかる歩行補助装置の別の制御系を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る歩行補助装置を用いた歩行サイクルにおいて、歩行動作及びモード切替のタイミングを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
まず、発明者が見出した課題を説明する。
図1(a)~(c)は、歩行補助装置を装着したユーザの階段での動作を例示した図であり、(a)は、平地での動作を示し、(b)は、階段の上りでの動作を示し、(c)は、階段の下りでの動作を示す。
【0011】
図1(a)に示すように、平地において、歩行補助装置は、装着された脚部の足裏が離地した遊脚期及び足裏が接地した立脚期における所定のタイミングに基づいて、ダンパを作動させる。
図1では、歩行補助装置を装着した脚部を斜線で示し、歩行補助装置を省略している。また、ダンパは、脚部の膝関節が屈曲する屈曲方向に抵抗力を与える。
【0012】
例えば、歩行補助装置は、立脚時から遊脚期の直前まで、ダンパによって、脚部の膝関節の屈曲方向に抵抗力を与える。そして、歩行補助装置は、遊脚期の直前のタイミングにおいて、ダンパをオフにする。例えば、歩行補助装置は、
図1(a)に示す下腿の屈曲角度で、ダンパをオフにする。屈曲角度は、膝関節が伸展して上腿及び下腿が伸びた状態から、下腿が屈曲した角度を呼ぶ。ダンパを作動するモードをダンパモードと呼ぶ。ダンパをオフにするモードをフリーモードと呼ぶ。
【0013】
このように、歩行補助装置は、立脚時から遊脚期に切り替わる切替タイミングを下腿の屈曲角度で検出する。そして、歩行補助装置は、検出した切替タイミングに応じて、ダンパをオフにして、フリーモードに切り替える。このような制御タイミングにより、歩行補助装置を装着されたユーザは、平地において、歩行訓練を行うことができる。
【0014】
しかしながら、
図1(b)に示すように、階段の上りでは、足裏が離地する遊脚期の直前のタイミングにおいて、下腿の屈曲角度は、平地に比べて小さい。よって、平地の場合に、ダンパがオフされるように設定した屈曲角度まで下腿が屈曲しないので、ダンパがオフにされない場合がある。そうすると、足が階段に引っ掛かる恐れがある。
【0015】
また、
図1(c)に示すように、階段の下りでは、足裏が離地する遊脚期の直前のタイミングにおいて、下腿の屈曲角度は、平地に比べて大きい。よって、まだ、脚部にユーザの体重がかかっている時に、ダンパがオフにされる場合がある。そうすると、脚部がユーザの体重を支えられない恐れがある。
【0016】
そこで、本実施形態の歩行補助装置は、ダンパをオフするタイミングを、平地、階段の上り及び階段の下りで変更させる。具体的には、例えば、階段の上りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度でダンパをオフする。一方、下りの場合には、平地の場合よりも大きい屈曲角度でダンパをオフする。以下、実施形態において、歩行補助装置の構成を説明する。その後、歩行補助装置の動作を詳細に説明する。
【0017】
(実施形態)
実施形態に係る歩行補助装置を説明する。本実施形態に係る歩行補助装置は、例えば、歩行訓練を行う訓練者に装着される。ユーザである訓練者が歩行補助装置を装着した状態で歩行訓練を行う。
【0018】
図2は、実施形態に係る歩行補助装置を例示した正面図である。
図3は、実施形態に係る歩行補助装置を例示した側面図である。
図4は、実施形態に係る歩行補助装置1の制御系を示すブロック図である。
図2~
図4に示すように、歩行補助装置1は、上腿サポータ11、下腿サポータ12、上腿フレーム13、下腿フレーム14、ダンパ15、センサ17、制御部18を備えている。歩行補助装置1は、平地の歩行の際に使用する伸展アシスト手段16をさらに備えてもよい。歩行補助装置1の下側には、短下肢装具が取り付けられていてもよい。歩行補助装置1は、ユーザの脚部に装着される。以下で、歩行補助装置1の各構成を説明する。
【0019】
<上腿サポータ及び下腿サポータ>
上腿サポータ11は、ユーザの脚部の上腿に巻き付けるように装着され、下腿サポータ12は、ユーザの脚部の下腿に巻き付けるように装着される。よって、上腿サポータ11及び下腿サポータ12は、膝関節の周辺、具体的には、上腿及び下腿に渡って配置されている。なお、上腿は股関節から膝関節までの部分を示し、下腿は、膝関節から足首関節までの部分を示す。下腿は、すねを含む。足首関節から下側、つまり、脚部の先端側の部分を足平とする。
【0020】
上腿サポータ11及び下腿サポータ12は、樹脂材料や繊維材料などの伸縮可能な材料により形成されている。上腿サポータ11及び下腿サポータ12は、それぞれ、上腿及び下腿に巻き付けて歩行補助装置1を装着させる。上腿サポータ11及び下腿サポータ12は、上腿及び下腿に装着するための面ファスナ11a及び12aを有してもよい。ユーザは、上腿サポータ11及び下腿サポータ12を、脚部の周りに巻き回して、面ファスナ11a及び12aで固定する。
【0021】
面ファスナ11aは、上腿の前側に設けられている。面ファスナ12aは、下腿の前側に設けられている。面ファスナ11a及び12aを用いることで、ユーザは、歩行補助装置1を容易に脱着することができる。さらに、歩行補助装置1がユーザの膝関節からずれるのを防止できる。面ファスナ11a及び12aにより、ユーザは、圧迫度合いを調整することができる。さらに、面ファスナ11a及び12aが外れたり、上腿サポータ11及び下腿サポータ12がずれたりするのを防止するために、固定バンドを設けてもよい。
【0022】
なお、歩行補助装置1の脚部への固定は、面ファスナ11a及び12aに限られるものではない。例えば、ベルト、ボタン、ピン、バンドなどの固定手段を用いて、歩行補助装置1を、上腿及び下腿に固定してもよい。このような固定手段を用いても、ユーザが歩行補助装置1を装着することができる。
【0023】
<上腿フレーム及び下腿フレーム>
上腿サポータ11の側部には上腿フレーム13が取り付けられている。上腿フレーム13は、上腿に沿って配置されている。下腿サポータ12の側部には下腿フレーム14が取り付けられている。下腿フレーム14は、下腿に沿って配置されている。上腿フレーム13と下腿フレーム14とが、ダンパ15を介して連結されている。具体的には、ダンパ15の回転軸Axが膝関節の軸とほぼ一致するように、膝関節の高さにダンパ15が配置される。上腿フレーム13及び下腿フレーム14は、ダンパ15の回転軸Ax周りに回転可能なリンク機構を構成している。
【0024】
なお、ダンパ15と同様に、膝関節に伸展アシスト手段16が配置されてもよい。その場合には、伸展アシスト手段16の回転軸Axが膝関節の軸とほぼ一致するように、膝関節の高さに伸展アシスト手段16が配置される。
【0025】
<ダンパ>
ダンパ15は、ユーザの脚部における膝関節の屈曲方向に抵抗力を与える。屈曲方向は、膝関節の回転方向において、膝関節が屈曲する向きである。ダンパ15は、例えば、ロータリーダンパであり、膝関節の側部に位置する。ダンパ15は、例えば、オイル等の流体の粘性抵抗、バネ等の弾性抵抗、ディスク等の摩擦抵抗等を利用して、膝関節の屈曲方向の回転を減速させる。ダンパ15は、抵抗を可変とすることにより、抵抗力を切替えることができる。ダンパ15は、抵抗力を徐々に変化させることができる。
【0026】
ダンパ15は、一方向にのみ抵抗力を与える一方向ダンパとすることが好ましい。よって、ダンパ15は、膝関節の伸展方向には抵抗力を与えないようにフリーとなっている。伸展方向は、膝関節の回転方向において、膝関節が伸展する向きである。後述するように、ダンパ15は、制御部18によって、第1屈曲モードと、第1屈曲モードよりも屈曲方向の抵抗力を大きくする第2屈曲モードとに切替可能となっている。第1屈曲モードは、屈曲方向に抵抗力を与えないフリーモードでもよい。第1屈曲モードがフリーモードの場合には、第2屈曲モードをダンパモードと呼ぶ。第2屈曲モードは、第1屈曲モードの抵抗力から徐々に抵抗力が増加する期間を含む。
【0027】
<進展アシスト手段>
伸展アシスト手段16は、例えば、平地を歩行する場合に、脚部の膝関節の伸展方向にアシスト力を与える。アシスト力は、上腿と下腿とが直線状に伸びるように、膝関節に対して伸展方向に作用する力である。伸展アシスト手段16は、例えば、アクチュエータであり、膝関節の側部に位置する。よって、伸展アシスト手段16は、膝伸展を行える位置に配置されている。伸展アシスト手段16は、ダンパと同様に膝関節の軸の近傍に配置されている。なお、伸展アシスト手段16は、膝関節に対して伸展方向に力を作用できれば、アクチュエータに限らず、バネ等の弾性体を含んでもよい。伸展アシスト手段16は、アシスト力を可変とすることにより、アシスト力を切替えることができる。伸展アシスト手段16は、アシスト力を徐々に変化させることができる。
【0028】
伸展アシスト手段16は、後述するように、制御部18によって、第1伸展モードと、第1伸展モードよりも伸展方向のアシスト力を大きくする第2伸展モードとに切替可能となっている。第1伸展モードは、伸展方向にアシスト力を与えないフリーモードでもよい。第1伸展モードがフリーモードの場合には、第2伸展モードを伸展アシストモードと呼ぶ。第2伸展モードは、第1伸展モードのアシスト力から徐々にアシスト力が増加する期間を含む。
【0029】
<制御系>
次に、歩行補助装置1の制御系を説明する。
図4に示すように、歩行補助装置1の制御系は、センサ17及び制御部18によって、ダンパ15を制御する。なお、平地を歩行する場合には、センサ17及び制御部18は、伸展アシスト手段16を制御してもよい。ダンパ15、伸展アシスト手段16及びセンサ17は、有線または無線の通信回線により制御部18に接続されている。制御部18は、ダンパ15及び伸展アシスト手段16を含む歩行補助装置1の本体から分離され、通信回線のみ接続されて配置されてもよいし、ダンパ15及び伸展アシスト手段16とともに本体に取付けられてもよい。
【0030】
<センサ>
センサ17は、ユーザの歩行動作におけるタイミングを検出する。具体的には、センサ17は、歩行サイクル(歩行周期)における切替タイミングを検出するために設けられている。例えば、センサ17は、地面と下腿との角度を検出し、検出した角度を検出結果として制御部18に出力する。制御部18は、センサ17での検出結果に基づいて、モードを切替える。
【0031】
具体的には、制御部18は、例えば、地面と下腿との角度に基づいて、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切替える。つまり、制御部18は、センサ17から出力されるタイミング信号に基づいて、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切替える。これにより、歩行サイクルにおける一定のタイミングで、制御部18は、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードの切替を行う。センサ17及び制御部18には、歩行補助装置1に搭載されたバッテリ(不図示)により電源が供給されている。
【0032】
センサ17としては、種々のタイプのセンサを用いることができる。以下、センサ17の具体例について説明する。
【0033】
センサ17は、例えば、地面に対する下腿(すね)の角度を検出するジャイロセンサでもよい。また、センサ17は、脚部の角度、すなわち、膝関節を挟んだ上腿と下腿との間の角度を検出する角度センサでもよい。さらに、センサ17は、上腿と下腿とが直線状に伸びて膝関節が伸展した状態から、下腿が屈曲した屈曲角度を検出する角度センサでもよい。センサ17は、下腿の角度、脚部の角度及び屈曲角度の角速度を検出する角速度センサでもよい。
【0034】
センサ17は、脚部の所定の位置と地面との間の距離を検出する測距センサでもよい。脚部の所定の位置は、例えば、靴、足平、足裏等である。例えば、靴、足平またはその近傍に取り付けられた測距センサをセンサ17として用いることができる。歩行動作に応じて、靴、足平、足裏等から地面までの距離が変わるため、歩行サイクルに応じた波形を検出することができる。なお、測距センサとしては、光学式のセンサを用いることができる。また、地面は、床面を含む。
【0035】
センサ17は、検出した角度、角速度、距離等から、歩行サイクルに応じた波形を検出する。つまり、検出した角度、角速度、距離等は、歩行サイクルに応じて周期的に変化する。センサ17は、検出した角度、角速度、距離等に基づいて、歩行タイミングを検出する。
【0036】
例えば、制御部18は、センサ17の出力値と閾値とを比較して、その比較結果に応じて、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切替えればよい。例えば、制御部18は、センサ17の出力値が閾値を超えたタイミング、または、閾値を下回ったタイミングを示すタイミング信号に応じて、モード切替を行う。
【0037】
なお、ダンパ15において、第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わる切替タイミングを検出するための第1閾値(例えば、下腿の第1角度)と、第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わる切替タイミングを検出するための第2の閾値(例えば、下腿の第2角度)が設定されていてもよい。また、伸展アシスト手段16において、第1伸展モードから第2伸展モードに切り替わる切替タイミングを検出するための第3閾値(例えば、下腿の第3角度)と、第2伸展モードから第1伸展モードに切り替わる切替タイミングを検出するための第4閾値(例えば、下腿の第4角度)が設定されていてもよい。
【0038】
また、センサ17は、足裏の接地タイミングを検出する接地タイミングセンサでもよい。センサ17は、検出した接地タイミングに基づいて、歩行タイミングを検出することができる。例えば、接地タイミングから各モード切替のタイミングまでの時間を予め加算または減算することにより、センサ17は、切替タイミングを検出する。
【0039】
さらに、センサ17は、脚部を撮像する撮像センサでもよい。その場合には、センサ17は、歩行補助装置1の外部から脚部の状態を撮像する。撮像した脚部の状態から、歩行タイミングを検出することができる。なお、センサ17が外部に配置されている場合には、歩行補助装置1が、外部のセンサ17から切替タイミングを示す信号を受信する受信部を備えていればよい。
【0040】
また、複数のセンサ17を組み合わせて、切替タイミングを検出してもよい。例えば、センサ17は、下腿の角度を検出するために設けられた第1センサと、足裏から床面までの距離を検出するために設けられた第2センサの両方を備えていてもよい。もちろん、センサ17の具体例は上記の例に限られるものではない。センサ17は、歩行補助装置1に実装されていることが好ましい。あるいは、センサ17は、歩行補助装置1の外部に実装されていてもよい。
【0041】
センサ17は、平地、階段の上り及び階段の下り等の地面の情報を検出してもよい。例えば、ジャイロセンサは、角速度等により、地面の情報を検出してもよい。また、測距センサは、靴、足平、足裏等から地面までの距離から地面の情報を検出してもよい。センサ17は、検出した地面の情報を制御部18に出力する。
【0042】
<制御部>
制御部18は、センサ17から出力された切替タイミングに基づいて、ダンパ15及び伸展アシスト手段16を制御する。制御部18は、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切替える。
【0043】
また、制御部18は、地面の情報に基づいて、ダンパ15及び伸展アシスト手段16の切替タイミングを変更する。地面の情報は、センサ17から出力されたものでもよいし、予め歩行補助装置1に入力されたものでもよい。制御部18は、センサ17から出力された地面の情報または予め入力された地面の情報に基づいた切替タイミングに応じて、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切替える。
【0044】
制御部18は、平地、階段の上り及び階段の下り等の地面の情報に基づいて、第1屈曲モードと第2屈曲モードとが交互に繰り返されるように、切替タイミングに応じてダンパ15のモードを切替える。例えば、第1屈曲モードでは、ダンパ15がオフして、屈曲方向に抵抗力を与えないフリーモードとなる。第2屈曲モードでは、ダンパ15がオンして、屈曲方向に抵抗力を与えるダンパモードとなる。あるいは、例えば、第1屈曲モードでは、ダンパ15は、小さい抵抗力を与えるように切替えられ、第2屈曲モードでは、ダンパ15は、大きい抵抗力を与えるように切替えられる。
【0045】
また、制御部18は、例えば、平地の歩行の場合において、第1伸展モードと第2伸展モードとが交互に繰り返されるように、切替タイミングに応じて伸展アシスト手段16のモードを切替える。例えば、第1伸展モードでは、伸展アシスト手段16がオフして、伸展方向にアシスト力を与えないフリーモードとなる。第2伸展モードでは、伸展アシスト手段16がオンして、伸展方向にアシスト力を与える伸展アシストモードとなる。あるいは、例えば、第1伸展モードでは、伸展アシスト手段16は、小さいアシスト力を与えるように切替えられ、第2伸展モードでは、伸展アシスト手段16は、大きいアシスト力を与えるように切替えられる。
【0046】
図5は、実施形態にかかる歩行補助装置1の別の制御系を示すブロック図である。
図5では、
図4の構成に加えて、歩行補助装置1は、メモリ19、送信部20、受信部21を備えている。また、制御部18は、切替器18a及び演算装置18bを有している。なお、ダンパ15、伸展アシスト手段16及びセンサ17については、
図4と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
演算装置18bは、例えば、演算処理、制御処理等を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される演算プログラム、制御プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、各種のデータなどを記憶するRAM(Random Access Memory)、外部と信号の入出力を行うインターフェイス部(I/F)、などからなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェアで構成されている。CPU、ROM、RAM及びインターフェイス部は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0048】
演算装置18bには、センサ17からの出力値が入力されている。演算装置18bは、センサ17の出力値に対して所定の演算処理を行うことで、歩行サイクルにおける切替タイミングを取得する。例えば、演算装置18bは、センサの出力値と閾値を比較することで、切替タイミングを取得する。演算装置18bが取得した切替タイミングを切替器18aに出力すると、切替器18aがダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切替える。メモリ19は、歩行訓練中におけるセンサ17からの出力値のデータを記憶する。
【0049】
演算装置18bには、切替器18aからのモード切替を行ったことを示す切替信号が入力されてもよい。演算装置18bは、切替信号に基づいて切替器18aの切替動作をカウントする。演算装置18bは、切替器18aの切替動作をカウントして、切替回数をメモリ19に書き込む。切替器18aの切替回数は、歩数に対応する。このようにすることで、万歩計(登録商標)などを別途装着せずとも、歩行訓練中の歩数を計数することができる。よって、利便性を向上することができる。さらに、歩数カウント用のセンサを別途追加することなく歩行訓練中の歩数を計数することができる。よって、歩数カウント用のセンサを別途追加する構成と比較して、歩行補助装置1の低コスト化、軽量化を図ることができる。
【0050】
送信部20は、外部機器、例えば、外部サーバ等にデータを送信する。受信部21は、外部機器からのデータを受信する。送信部20及び受信部21は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの通信規格に従って、データを送受信する。送信部20及び受信部21による通信は、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。
【0051】
送信部20は、歩行補助装置1が取得したデータ、例えば、歩行訓練中におけるセンサ17の出力値、及び切替器18aの切替回数などのデータを外部機器に送信する。これにより、外部機器がデータを収集することができる。よって、外部機器との連携や、メモリ19の容量の削減が可能となる。また、訓練中に、送信部20がセンサ17の出力を自動的に送信するようにしてもよい。
【0052】
受信部21は、外部機器、例えば、外部サーバ等からのデータを受信する。これにより、歩行タイミングの検出条件を変更することができる。具体的には、切替タイミングを検出するための閾値などの設定を変更することができる。例えば、閾値の設定を変更する場合には、外部機器が閾値の設定を変えるための指令を送信すればよい。受信部21が設定変更の指令を受信すると、演算装置18bが閾値を変更する。利用者毎に最適な検出条件を設定することができる。これによって、ユーザ毎に最適な検出条件を設定することができる。
【0053】
<動作>
次に、歩行補助装置1の動作を説明する。本実施形態の歩行補助装置1は、平地の歩行、並びに、階段の上り及び階段の下りを含む歩行を補助する。
図6は、実施形態に係る歩行補助装置1を用いた歩行サイクルにおいて、歩行動作及びモード切替のタイミングを例示した図である。
図6には、平地の歩行、並びに、階段の上り及び階段の下りを含む歩行についてのモード切替のタイミングを示している。まず、
図6を参照して、遊脚期及び立脚期を含む1歩行サイクルを説明する。その後、平地を歩行する場合の歩行動作及びモード切替のタイミングを説明する。次に、階段の上りの歩行動作及びモード切替のタイミングを説明する。そして、階段の下りの歩行動作及びモード切替のタイミングを説明する。
【0054】
<1歩行サイクル>
図6に示すように、1歩行サイクルは、左脚の一歩と右脚の一歩との合計2歩を含んでいる。
図6では、1歩行サイクルが(a)~(m)の順番で示されている。(m)のタイミングの後に(a)のタイミングに戻り、次の歩行サイクルとなる。
図6では、(a)~(g)のタイミングで遊脚期となり、(h)~(m)のタイミングで立脚期となる。
【0055】
遊脚期は、歩行補助装置1が装着された脚部の足裏が離地した状態であり、立脚期は、歩行補助装置1が装着された脚部の足裏が接地した状態である。(g)のタイミングと(h)の間で、足裏が着地しており、(m)から(a)に戻るタイミングで足裏が離地している。(a)~(c)のタイミングは膝関節の屈曲角度が大きくなる屈曲期となり、(d)~(g)のタイミングは、膝関節の屈曲角度が小さくなる伸展期となっている。なお、遊脚期、立脚期、屈曲期、及び、伸展期は、歩行補助装置1を装着した患脚を基準としている。
【0056】
<平地の歩行動作:屈曲方向>
次に、平地を歩行する場合の、上記1歩行サイクルにおける歩行動作及びモード切替のタイミングを説明する。まず、膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパ15の動作を説明する。平地の歩行動作では、伸展期において、具体的には、(f)のタイミングにおいて、第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わっている。また、立脚期から遊脚期に変わるタイミング、具体的には、(m)のタイミングと(a)のタイミングとの間で、第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わっている。
【0057】
第1屈曲モードは、膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えないフリーモード、または、第2屈曲モードよりも小さい抵抗力を与えるモードを含む。第2屈曲モードは、膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパモード、または、第1屈曲モードよりも大きい抵抗力を与えるモードを含む。
【0058】
遊脚期においては、患脚は、ユーザの体重を支える必要がない。このため、遊脚期においては、ダンパ15によって膝関節に対する抵抗力を発生する必要が無いか、発生させたとしても小さい抵抗力でよい。よって、遊脚期のほぼ全体において、制御部18は、屈曲方向に対して、フリーモードを含む第1屈曲モードにすることができる。一方、立脚期の全体において、制御部18は、第2屈曲モードにし、ダンパ15に対して屈曲方向に抵抗力を発生させる。
【0059】
さらに、1歩行サイクルにおいて、第1屈曲モード及び第2モードのみが設けられており、歩行動作中に制御部18が第1屈曲モードと第2屈曲モードとに交互に切替えている。つまり、制御部18がタイミング信号に基づいて、ダンパ15を制御している。例えば、フリーモードとダンパモードとをオンオフ制御している。このようにすることで、簡便な構成により、適切な制御を行うことができる。例えば、歩行サイクル毎に歩行動作がばらついた場合、センサ17で検出される切替タイミングがばらつくおそれがある。このような場合でも遊脚期から立脚期に切り替わる前のタイミング、つまり、伸展期における任意のタイミングにおいて、ダンパ15が第1屈曲モードから第2屈曲モードへと切り替わっていればよい。
【0060】
具体的には、(d)~(g)の間の所定のタイミングにおいて、制御部18がモードを切替えていればよい。センサ17で検出される切替タイミングの誤差に対するマージンを広くすることができるため、適切に制御することができる。また、伸展期においては、膝関節が屈曲している状態から徐々に伸展方向に回転していく。このため、ダンパ15が第2屈曲モードとなっていたとしても、抵抗力が発生しない。よって、ダンパ15がユーザの歩行動作を妨げることなく、モード切替を行うことができる。
【0061】
また、ダンパ15は、伸展方向に抵抗力を発生させないフリーとしている。このため、ユーザは、膝関節を自由に伸展させることができる。また、ダンパモードを含む第2屈曲モードと、フリーモードを含む第1屈曲モードとの間に、ダンパ15がロックするロックモードがないため、ダンパ15が歩行動作の妨げとなることを防ぐことができる。ロックモードを介さずに第2屈曲モードから第1屈曲モードに移行するため、容易に適切な制御を行うことができる。
【0062】
センサ17の出力により、遊脚期と立脚期との切替タイミングを検出して、遊脚期を第1屈曲モード、立脚期を第2屈曲モードとしてもよい。つまり、遊脚期から立脚期に変わるタイミングと、立脚期から遊脚期に切り替わるタイミングとを、ダンパ15のモードの切替タイミングとしてもよい。
【0063】
また、第1屈曲モードと第2屈曲モードとの切替えは、急峻でもなめらかでもよい。すなわち、第2屈曲モードは、第1屈曲モードの抵抗力から徐々に抵抗力が増加する期間を含んでもよいし、第1屈曲モードの抵抗力まで徐々に抵抗力が減少する期間を含んでもよい。
【0064】
<平地の歩行動作:伸展方向>
次に、平地を歩行する場合の、膝関節の伸展方向の動作を説明する。平地の歩行動作では、伸展方向の動作は、歩行サイクルの全体において、フリーモードでもよい。なお、伸展方向の動作は、第1伸展モード及び第2伸展モードを含んでもよい。例えば、制御部18は、伸展アシスト手段16を用いて、第1伸展モードと第2伸展モードとが交互に切替わるように制御してもよい。具体的には、制御部18は、伸展期において、例えば、(e)のタイミングにおいて、第1伸展モードから第2伸展モードに切り替えてもよい。また、制御部18は、遊脚期から立脚期に変わるタイミング、具体的には、(g)のタイミングと(h)のタイミングとの間で、第2伸展モードから第1伸展モードに切り替えてもよい。
【0065】
このようにすることによって、膝屈曲位歩行をする人、または、立脚初期にすでに膝が曲がっている人等に対して、伸展期に伸展アシストするので、過度な膝折れを抑制することができる。
【0066】
<階段の上りの歩行動作:屈曲方向>
次に、階段の上りを歩行する場合の、上記1歩行サイクルにおける歩行動作及びモード切替のタイミングを説明する。まず、膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパ15の動作を説明する。
【0067】
階段の上りの歩行サイクルは、(j)~(m)及び(a)~(d)のタイミングで遊脚期となり、(e)~(h)のタイミングで立脚期となる。そして、階段の上りの歩行サイクルは、(e)のタイミングにおいて、第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わっている。平地の場合に、第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わるタイミングは、例えば、(f)~(h)のタイミングである。よって、下腿の屈曲角度を比べると、階段の上りの場合には、平地の場合よりも大きい屈曲角度で第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わっている。
【0068】
一方、階段の上りの歩行サイクルは、(j)のタイミングにおいて、第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わっている。平地の場合に、第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わるタイミングは、例えば、(a)のタイミングである。よって、下腿の屈曲角度を比べると、階段の上りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度で第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わっている。
【0069】
このように、制御部18は、階段の上りの場合には、平地の場合よりも大きい屈曲角度で第1屈曲モードから第2屈曲モードへ切替える。また、制御部18は、階段の上りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度で第2屈曲モードから第1屈曲モードへ切替える。階段の上りでは、足裏が離地する遊脚期の直前のタイミングにおいて、下腿の屈曲角度は、平地に比べて小さい。そこで、階段の上りの場合には、ダンパ15をオフまたは低減する屈曲角度を平地の場合よりも小さくする。これにより、足裏が離地する遊脚期にダンパ15をオフまたは低減することができる。よって、脚部が階段に引掛かかる恐れを低減し、制御タイミングの不整合により生じる違和感を抑制することができる。
【0070】
<階段の上りの歩行動作:伸展方向>
次に、階段の上りを歩行する場合の、膝関節の伸展方向の動作を説明する。階段の上りの歩行動作では、伸展アシスト手段16を作用させていない。また、ダンパ15は伸展方向に抵抗力を発生させない。よって、階段の上りの歩行動作では、伸展方向の動作は、歩行サイクルの全体において、フリーモードである。階段の上りの歩行動作において、伸展アシスト手段16を用いると、接地タイミングがずれることにより、制御タイミングの不整合により違和感が生じる可能性がある。よって、制御部18は、伸展方向をフリーモードとすることが望ましい。
【0071】
<階段の下りの歩行動作:屈曲方向>
次に、階段の下りを歩行する場合の、上記1歩行サイクルにおける歩行動作及びモード切替のタイミングを説明する。まず、膝関節の屈曲方向に抵抗力を与えるダンパ15の動作を説明する。
【0072】
階段の下りの歩行サイクルは、(c)~(g)のタイミングで遊脚期となり、(h)~(m)及び(a)~(b)のタイミングで立脚期となる。そして、階段の下りの歩行サイクルは、(h)のタイミングにおいて、第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わっている。平地の場合に、第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わるタイミングは、例えば、(f)~(h)のタイミングである。よって、下腿の屈曲角度を比べると、階段の下りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度で第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わってもよいし、平地の場合と同じ屈曲角度で第1屈曲モードから第2屈曲モードに切り替わってもよい。
【0073】
一方、階段の下りの歩行サイクルは、(c)のタイミングにおいて、第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わっている。平地の場合に、第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わるタイミングは、例えば、(a)のタイミングである。よって、下腿の屈曲角度を比べると、階段の下りの場合には、平地の場合よりも大きい屈曲角度で第2屈曲モードから第1屈曲モードに切り替わっている。
【0074】
このように、制御部18は、階段の下りの場合には、平地の場合よりも小さいか、または、平地の場合と同じ屈曲角度で第1屈曲モードから第2屈曲モードへ切替える。また、制御部18は、階段の下りの場合には、平地の場合よりも大きい屈曲角度で第2屈曲モードから第1屈曲モードへ切替える。階段の下りでは、足裏が離地する遊脚期の直前のタイミングにおいて、下腿の屈曲角度は、平地に比べて大きい。そこで、階段の下りの場合には、ダンパ15をオフまたは低減する屈曲角度を平地の場合よりも大きくする。これにより、脚部にユーザの体重がかかっている時にダンパ15がオフまたは低減されないようにすることができる。よって、脚部がユーザの体重を支えることができるので、制御タイミングの不整合により生じる違和感を抑制することができる。
【0075】
<階段の下りの歩行動作:伸展方向>
次に、階段の下りを歩行する場合の、膝関節の伸展方向の動作を説明する。階段の下りの歩行動作では、伸展アシスト手段16を作用させていない。また、ダンパ15は伸展方向に抵抗力を発生させない。よって、階段の下りの歩行動作では、伸展方向の動作は、歩行サイクルの全体において、フリーモードである。階段の下りの歩行動作において、伸展アシスト手段16を用いると、接地タイミングがずれることにより、制御タイミングの不整合により違和感が生じる可能性がある。よって、制御部18は、伸展方向をフリーモードとすることが望ましい。
【0076】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の歩行補助装置1では、階段の上りの場合には、平地の場合よりも小さい屈曲角度で第2屈曲モードから第1屈曲モードへ切替える。また、制御部18は、階段の下りの場合には、平地の場合よりも大きい屈曲角度で第2屈曲モードから第1屈曲モードへ切替える。これにより、足裏が離地する遊脚期にダンパをオフすることができるとともに、脚部にユーザの体重がかかっている時にダンパがオフされないようにすることができる。よって、制御タイミングの不整合により生じる違和感を抑制することができる。
【0077】
第1屈曲モードと第2屈曲モードとのモード切替の制御は、オンオフ制御に限られるものではない。モード切替のタイミングにおいて、ダンパ15の抵抗力を徐々に増加又は減少させるようにしてもよい。例えば、第2屈曲モードは、抵抗力が徐々に変化するような期間を含んでもよい。例えば、フリーモードとダンパモードとの切替え時において、抵抗力が段階的に増加、又は減少するようにしてもよい。なお、上記第1屈曲モードと第2屈曲モードとのモード切替の制御は、第1伸展モードと第2伸展モードとの段階的なモード切替にも適用可能である。
【0078】
また、歩行補助装置1は、電源を供給するためのバッテリを搭載していてもよい。バッテリは、充放電可能な二次電池であってもよく、一次電池であってもよい。また、バッテリは、太陽電池であってもよい。この場合、歩行補助装置1の表面に太陽電池の受光部を設けられていればよい。また、制御部18は、ソレノイドスイッチ、半導体スイッチ等の切替器18aを有していてもよい。制御部18は、電子回路を含み、電子回路からの制御信号によって、切替器18aのON/OFFの切替を制御することで、ダンパ15及び伸展アシスト手段16のモードを切り替える構成であってもよい。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 歩行補助装置
11 上腿サポータ
12 下腿サポータ
13 上腿フレーム
14 下腿フレーム
15 ダンパ
16 伸展アシスト手段
17 センサ
18 制御部
18a 切替器
18b 演算装置
19 メモリ
20 送信部
21 受信部