(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】遠隔操作装置、遠隔操作支援サーバ、遠隔操作支援システムおよび遠隔操作支援方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20231011BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20231011BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231011BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H04N7/18 J
E02F9/26 B
H04M11/00 301
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 331A
(21)【出願番号】P 2020025720
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 真輝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕介
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-207244(JP,A)
【文献】特開2019-167733(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003431(WO,A1)
【文献】特開2019-007139(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013691(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
E02F 9/26
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を遠隔操作するためにオペレータにより操作される遠隔操作機構と、
前記遠隔操作機構の周囲に配置された一または複数の画像出力装置と、
遠隔制御装置と、を備え、
前記遠隔制御装置が、前記作業機械の運転室の内部に搭載されている実機撮像装置により取得された、前記運転室の前方の様子を示す撮像画像を前記一または複数の画像出力装置のうち指定画像出力装置に表示させ、かつ、前記指定画像出力装置において左右のベゼルの間で帯状に延在する指定画像領域に重なる、前記運転室を構成する一対のピラーのうち少なくとも一方のピラーの一部である指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔操作機構の前方に配置されている前記指定画像出力装置としての中央画像出力装置と、前記中央画像出力装置の左右側縁のそれぞれに隣接して、前記遠隔操作機構の左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置されている左側画像出力装置および右側画像出力装置と、を前記複数の画像出力装置として備え、
前記遠隔制御装置が、前記右側画像出力装置、前記中央画像出力装置および前記左側画像出力装置に前記撮像画像を分割して表示させ、かつ、前記右側画像出力装置、前記中央画像出力装置および前記左側画像出力装置における前記撮像画像の分割表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記作業機械を構成する作動機構の作業部が含まれている、帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項3記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記作業部の第1指定期間にわたる位置軌道の一部または全部が含まれている、帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項5】
請求項4記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記作業部の前記第1指定期間にわたる変位方向に対して平行な方向に帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の遠隔操作装置において、
前記オペレータの視線を検知する視線検知装置をさらに備え、
前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記視線検知装置により検知された前記オペレータの第2指定期間にわたる視線の先の軌道の一部または全部が含まれている、帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項7】
請求項6記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記視線検知装置により検知された前記オペレータの前記第2指定期間にわたる視線の先の変位方向に対して平行な方向に帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔制御装置が、前記遠隔操作機構における前記オペレータによる操作態様の相違に応じて、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項9】
請求項8記載の遠隔操作装置において、
前記遠隔制御装置が、前記遠隔操作機構において前記運転室が搭載されている上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるための旋回操作があった場合、左右一対のピラーのうち、前記上部旋回体の旋回方向にある一方のピラーが他方のピラーよりも偏重的に前記指定画像出力装置に表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項10】
遠隔操作装置を通じた作業機械の遠隔操作を支援するための遠隔操作支援サーバであって、
前記作業機械を構成する運転室の内部に搭載されている実機撮像装置により取得された前記運転室の前方の様子を示す撮像画像を、前記作業機械との通信に基づいて取得する第1支援処理要素と、
前記遠隔操作装置との通信に基づき、前記遠隔操作装置を構成する一または複数の画像出力装置のうち指定画像出力装置において左右のベゼルの間で帯状に延在する指定画像領域に重なる、前記運転室を構成する一対のピラーのうち少なくとも一方のピラーの一部である指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御する第2支援処理要素と、を備えていることを特徴とする遠隔操作支援サーバ。
【請求項11】
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の遠隔操作装置と、請求項10記載の遠隔操作支援サーバと、により構成されていることを特徴とする遠隔操作支援システム。
【請求項12】
遠隔操作装置を通じた作業機械の遠隔操作を支援するための方法であって、
前記作業機械を構成する運転室の内部に搭載されている実機撮像装置により取得された前記運転室の前方の様子を示す撮像画像を、前記作業機械との通信に基づいて取得する第1支援処理と、
前記遠隔操作装置との通信に基づき、前記遠隔操作装置を構成する一または複数の画像出力装置のうち指定画像出力装置において左右のベゼルの間で帯状に延在する指定画像領域に重なる、前記運転室を構成する一対のピラーのうち少なくとも一方のピラーの一部である指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御する第2支援処理と、を含んでいることを特徴とする遠隔操作支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の作業員に対して割り当てられたクライアントとの通信により、前記作業員による前記作業機械を用いた作業を支援するための遠隔操作支援サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に搭載されている実機撮像装置により撮像された作業現場の様子を示す撮像画像を、遠隔操作装置を構成する側縁において隣接するように配置された画像出力装置に表示させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実機撮像装置が運転室の内部に配置されている場合、当該運転室の前側にある左右一対のピラーが遠隔操作装置を構成する画像出力装置に表示される撮像画像に映り込み、当該画像出力装置の左右のベゼルと当該一対のピラーとがオペレータにより誤認混同される可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、撮像画像に映り込む運転室の一対のピラーと、当該ピラーが表示される画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認混同される可能性の低減を図りうる遠隔操作装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遠隔操作装置は、作業機械を遠隔操作するためにオペレータにより操作される遠隔操作機構と、前記遠隔操作機構の周囲に配置された一または複数の画像出力装置と、遠隔制御装置と、を備え、前記遠隔制御装置が、前記作業機械の運転室の内部に搭載されている実機撮像装置により取得された、前記運転室の前方の様子を示す撮像画像を前記一または複数の画像出力装置のうち指定画像出力装置に表示させ、かつ、前記指定画像出力装置において左右のベゼルの間で帯状に延在する指定画像領域に重なる、前記運転室を構成する一対のピラーのうち少なくとも一方のピラーの一部である指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することを特徴とする。
【0007】
当該構成の遠隔操作装置によれば、作業機械の運転室の内部に搭載されている実機撮像装置により取得された、運転室の前方の様子を示す撮像画像が指定画像出力装置に表示される。このため、オペレータは、指定画像出力装置に表示される撮像画像を通じて、遠隔操作対象である作業機械または実機の運転室の前方の様子を把握しながら、遠隔操作機構を操作することができる。「運転室」は、作業機械を遠隔操作ではなく直接的に操作するためにオペレータが搭乗する空間を意味するほか、実際にはオペレータが搭乗することはないものの当該空間に相当する空間を意味する。
【0008】
さらに、指定画像出力装置において左右のベゼルの間で帯状に延在する指定画像領域に重なる、運転室を構成する少なくとも一方のピラーの一部である指定部分の全部が表示されるように、指定画像出力装置における撮像画像の表示態様が可変に制御される。これにより、指定画像出力装置の左右のベゼルと、当該少なくとも一方のピラーの一部とが、少なくとも当該左右のベゼルの間で横に延在する指定画像領域において明確に識別可能になる。よって、撮像画像に映り込む運転室の一対のピラーと、当該ピラーが表示される画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【0009】
本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔操作機構の前方に配置されている前記指定画像出力装置としての中央画像出力装置と、前記中央画像出力装置の左右側縁のそれぞれに隣接して、前記遠隔操作機構の左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置されている左側画像出力装置および右側画像出力装置と、を前記複数の画像出力装置として備え、前記遠隔制御装置が、前記右側画像出力装置、前記中央画像出力装置および前記左側画像出力装置に前記撮像画像を分割して表示させ、かつ、前記右側画像出力装置、前記中央画像出力装置および前記左側画像出力装置における前記撮像画像の分割表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0010】
当該構成の遠隔操作装置によれば、中央画像出力装置および左側画像出力装置の間でオペレータの視線が移動する際に、中央画像出力装置の左側ベゼルが、運転室を構成する左側ピラーであるかのように当該オペレータによりにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。同様に、中央画像出力装置および右側画像出力装置の間でオペレータの視線が移動する際に、中央画像出力装置の右側ベゼルが、運転室を構成する右側ピラーであるかのように当該オペレータによりにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【0011】
本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記作業機械を構成する作動機構の作業部が含まれている、帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0012】
当該構成の遠隔操作装置によれば、撮像画像に映り込んでいる少なくとも一方のピラーの指定部分および作業機械を構成する作動機構の作業部のそれぞれを指標として、実空間における当該作業部の位置、方向、姿勢、大きさ、形状および作業対象物等との間隔の認識を含む空間認識が可能になる。前記のように撮像画像に映り込む運転室の一対のピラーと、当該ピラーが表示される指定画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られるため、当該オペレータによる空間認識精度の向上が図られる。
【0013】
同様の観点から、本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記作業部の第1指定期間にわたる位置軌道の一部または全部が含まれている、帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記作業部の前記第1指定期間にわたる変位方向に対して平行な方向に帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0015】
本発明の遠隔操作装置において、前記オペレータの視線を検知する視線検知装置をさらに備え、前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記視線検知装置により検知された前記オペレータの第2指定期間にわたる視線の先の軌道の一部または全部が含まれている、帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0016】
当該構成の遠隔操作装置によれば、撮像画像に映り込んでいる少なくとも一方のピラーの指定部分およびオペレータの視線の先にある物体等を指標または目印として、実空間における当該作業部の位置、方向、姿勢、大きさ、形状および作業対象物等との間隔の認識を含む空間認識が可能になる。前記のように撮像画像に映り込む運転室の一対のピラーと、当該ピラーが表示される画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られるため、当該オペレータによる空間認識精度の向上が図られる。
【0017】
同様の観点から、本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔制御装置が、前記指定画像出力装置において前記視線検知装置により検知された前記オペレータの前記第2指定期間にわたる視線の先の変位方向に対して平行な方向に帯状に延在する画像領域を前記指定画像領域として、前記少なくとも一方のピラーの前記指定部分の全部が表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0018】
本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔制御装置が、前記遠隔操作機構における前記オペレータによる操作態様の相違に応じて、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0019】
当該構成の遠隔操作装置によれば、オペレータによる遠隔操作機構の操作に応じて、作業機械の状態が変化することにより撮像画像により示されている運転室の前方の様子が変化した場合でも、指定画像出力装置において指定画像領域に少なくとも一方のピラーの指定部分の全部が含まれるように撮像画像の表示態様が可変に制御される。これにより、遠隔操作機構の操作に応じて変化する撮像画像に映り込む運転室の一対のピラーと、当該ピラーが表示される画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【0020】
本発明の遠隔操作装置において、前記遠隔制御装置が、前記遠隔操作機構において前記運転室が搭載されている上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるための旋回操作があった場合、前記左右一対のピラーのうち、前記上部旋回体の旋回方向にある一方のピラーが他方のピラーよりも偏重的に前記指定画像出力装置に表示されるように、前記指定画像出力装置における前記撮像画像の表示態様を可変に制御することが好ましい。
【0021】
当該構成の遠隔操作装置によれば、オペレータによる遠隔操作機構の旋回操作に応じて、作業機械の上部旋回体が下部走行体に対して旋回することにより撮像画像により示されている運転室の前方の様子が全体的に当該旋回方向の反対方向に変位した場合、指定画像出力装置において指定画像領域に当該旋回方向にある一方のピラーが、他方のピラーよりも偏重的に表示される。これにより、例えば、指定画像出力装置に表示される撮像画像において、他方のピラーの指定部分の少なくとも一部が表示されないものの、一方のピラーの指定部分の全部が表示される。また、指定画像出力装置における一方のピラーの面積(当該一方のピラーに相当する画像領域を構成する画素数)が、他方のピラーの面積(当該他方のピラーに相当する画像領域を構成する画素数)よりも大きくなるように、指定画像出力装置における撮像装置の表示態様が制御されてもよい。その結果、遠隔操作機構の旋回操作に応じて、当該旋回方向に映り込む運転室の一方のピラーと、当該ピラーが表示される画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態としての遠隔操作支援システムの構成に関する説明図。
【
図4】遠隔操作支援システムの機能に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(遠隔操作支援システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての遠隔操作支援システムは、遠隔操作支援サーバ10と、作業機械40を遠隔操作するための遠隔操作装置20と、により構成されている。遠隔操作支援サーバ10、遠隔操作装置20および作業機械40は相互にネットワーク通信可能に構成されている。遠隔操作支援サーバ10および遠隔操作装置20の相互通信ネットワークと、遠隔操作支援サーバ10および作業機械40の相互通信ネットワークと、は同一であってもよく相違していてもよい。
【0024】
(遠隔操作支援サーバの構成)
遠隔操作支援サーバ10は、データベース102と、第1支援処理要素121と、第2支援処理要素122と、を備えている。データベース102は、撮像画像データ等を記憶保持する。データベース102は、遠隔操作支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。各支援処理要素は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった後述の演算処理を実行する。
【0025】
(遠隔操作装置の構成)
遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、画像出力装置221と、遠隔無線通信機器222と、を備えている。
【0026】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体410を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構430を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0027】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、
図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータが着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0028】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一の操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、
図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、
図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータの操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0029】
画像出力装置221は、例えば
図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212により構成されている。中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。
【0030】
図2に示されているように、中央画像出力装置2210の画面および左側画像出力装置2211の画面が傾斜角度θ1(例えば、120°≦θ1≦150°)をなすように、左側画像出力装置2211の右縁が、中央画像出力装置2210の左縁に隣接している。
図2に示されているように、中央画像出力装置2210の画面および右側画像出力装置2212の画面が傾斜角度θ2(例えば、120°≦θ2≦150°)をなすように、右側画像出力装置2212の左縁が、中央画像出力装置2210の右縁に隣接している。当該傾斜角度θ1およびθ2は同じであっても相違していてもよい。
【0031】
中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する一対の画像出力装置により構成されていてもよい。画像出力装置2210~2212は、スピーカ(音声出力装置)をさらに備えていてもよい。
【0032】
(作業機械の構成)
作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース41と、実機出力インターフェース42と、作動機構440と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0033】
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、
図2に示されているように、クローラ式の下部走行体410と、下部走行体410に旋回機構430を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体420と、を備えている。上部旋回体420の前方左側部にはキャブ424(運転室)が設けられている。上部旋回体420の前方中央部には作業アタッチメント440が設けられている。
【0034】
実機入力インターフェース41は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ424の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ424に設けられている。実機撮像装置412は、例えばキャブ424の内部に設置され、キャブ424の前側にある左右一対のピラー4240(左右を区別する場合には「L」および「R」を符号に含ませる。)により区画されているフロントウィンドウおよび左右一対のサイドウィンドウ越しに作動機構440の少なくとも一部を含む環境を撮像する。フロントウィンドウおよびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。
【0035】
実機出力インターフェース42は、実機無線通信機器422を備えている。
【0036】
作動機構としての作業アタッチメント440は、上部旋回体420に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業アタッチメント440には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0037】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体420との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0038】
(機能)
前記構成の遠隔操作支援システムの機能について
図4に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0039】
遠隔操作装置20において、オペレータOPにより遠隔入力インターフェース210を通じた指定操作の有無が判定される(
図4/STEP202)。「指定操作」は、例えば、鳥瞰作業環境画像において、オペレータOPが遠隔操作を意図する作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210におけるタップなどの操作である。当該判定結果が否定的である場合(
図4/STEP202‥NO)、指定操作の有無の判定以降の処理が繰り返される。その一方、当該判定結果が肯定的である場合(
図4/STEP202‥YES)、遠隔無線通信機器222を通じて、遠隔操作支援サーバ10に対して環境確認要求が送信される(
図4/STEP204)。
【0040】
遠隔操作支援サーバ10において、環境確認要求が受信された場合、第1支援処理要素121により当該環境確認要求が該当する作業機械40に対して送信される(
図4/C10)。
【0041】
作業機械40において、実機無線通信機器422を通じて環境確認要求が受信された場合(
図4/C40)、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて撮像画像を取得する(
図4/STEP402)。実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて、当該撮像画像を表わす撮像画像データが遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP404)。
【0042】
遠隔操作支援サーバ10において、第1支援処理要素121により撮像画像データが受信された場合(
図4/C11)、第2支援処理要素122により撮像画像データが遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP102)。撮像画像データに代えて、撮像画像に基づいて生成された模擬的な環境画像を表わす環境画像データが遠隔操作装置20に対して送信されてもよい。この際、第2支援処理要素122により撮像画像データに応じた撮像画像の、画像出力装置2210~2212における分割表示態様の指令が遠隔操作装置20に対して送信されてもよい。
【0043】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて撮像画像データが受信された場合(
図4/C21)、遠隔制御装置200により、撮像画像データに応じた撮像画像の、3つの画像出力装置2210~2212における分割表示態様が制御される(
図4/STEP206)。
【0044】
これにより、例えば、
図5に示されているように、キャブ424を構成する左側ピラー4240Lおよび右側ピラー4240Rに加えて、当該ピラー4240の前方に作動機構としての作業アタッチメント440の一部であるブーム441、アーム443およびバケット445が映り込んでいる撮像画像が横方向に3分割され、中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212のそれぞれに表示される。
図5では、中央画像出力装置2210の画面に対して垂直な方向から臨んだ際の、中央画像出力装置2210、左側画像出力装置2211および右側画像出力装置2212が示されている。
【0045】
例えば、
図5に示されているように、指定画像出力装置としての中央画像出力装置2210において、作業部としてのバケット445を含み、左側ベゼル2210Lおよび右側ベゼル2210Rの間で横方向に延在する指定画像領域Rに重なる、左側ピラー4240Lの指定部分PPLおよび右側ピラー4240Rの指定部分PPRのそれぞれの全部が表示されるように、当該撮像装置の分割表示態様が制御されている。
【0046】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され(
図4/STEP208)、かつ、遠隔無線通信機器222を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が遠隔操作支援サーバ10に対して送信される(
図4/STEP210)。
【0047】
遠隔操作支援サーバ10において、第2支援処理要素122により第2当該遠隔操作指令が受信された場合、第1支援処理要素121により、当該遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される(
図4/C12)。
【0048】
作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合(
図4/C42)、作業アタッチメント440等の動作が制御される(
図4/STEP406)。例えば、バケット445により作業機械40の前方の土をすくい、上部旋回体420を旋回させたうえでバケット445から土を落とす作業が実行される。
【0049】
(効果)
当該構成の遠隔操作支援システム、ならびに、これを構成する遠隔操作支援サーバ10および遠隔操作装置20によれば、作業機械40のキャブ424の内部に搭載されている実機撮像装置412により取得された、キャブ424の前方の様子を示す撮像画像が中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)に表示される(
図4/STEP402→STEP404→C11→STEP102→C21→STEP206、
図5参照)。このため、オペレータは、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)に表示される撮像画像を通じて、遠隔操作対象である作業機械40または実機のキャブ424の前方の様子を把握しながら、遠隔操作機構211を操作することができる(
図4/STEP208→STEP210→C12→C42→STEP406、
図5参照)。
【0050】
さらに、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)において左右のベゼル2210L、2210Rの間で帯状に延在する指定画像領域Rに重なる、キャブ424を構成する一対のピラー4240Lおよび4240Rのそれぞれの一部である指定部分PPLおよびPPRの全部が表示されるように、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)における撮像画像の表示態様が可変に制御される(
図5参照)。
【0051】
これにより、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)の左右のベゼル2210L、2210Rと、当該ピラー4240L、4240Rの一部PPL、PPRとが、少なくとも当該左右のベゼル2210L、2210Rの間で横に延在する指定画像領域Rにおいて明確に識別可能になる。よって、撮像画像に映り込むキャブ424の一対のピラーと、当該ピラーが表示される中央画像出力装置2210のベゼル2210L、2210Rと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【0052】
特に、中央画像出力装置2210および左側画像出力装置2211の間でオペレータの視線が移動する際に、中央画像出力装置2210の左側ベゼル2210Lが、キャブ424を構成する左側ピラー4240Lであるかのように当該オペレータによりにより誤認または混同される可能性の低減が図られる(
図5参照)。同様に、中央画像出力装置2210および右側画像出力装置2212の間でオペレータの視線が移動する際に、中央画像出力装置2210の右側ベゼル2210Rが、キャブ424を構成する右側ピラー4240Rであるかのように当該オペレータによりにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【0053】
さらに、撮像画像に映り込んでいるピラー4240L、4240Rの指定部分PPL、PPRおよび作業機械40を構成する作業アタッチメント440(作動機構)のバケット445(作業部)のそれぞれを指標として、実空間における当該バケット445の位置、方向、姿勢、大きさ、形状および作業対象物である地面等との間隔の認識を含む空間認識が可能になる。前記のように撮像画像に映り込むキャブ424の一対のピラー4240L、4240Rと、当該ピラー4240L、4240Rが表示される中央画像出力装置2210のベゼル2210L、2210Rと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られるため、当該オペレータによる空間認識精度の向上が図られる。
【0054】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、遠隔操作機構211の前方中央に配置されている中央画像出力装置2210が指定画像出力装置として定義されていたが、付加的または代替的に、遠隔操作機構211の左斜め前方に配置されている左側画像出力装置2211および/または右斜め前方に配置されている右側画像出力装置2212が指定画像出力装置として定義されていてもよい。
【0055】
前記実施形態では、画像出力装置221が、3つの画像出力装置2210、2211および2212(または画像出力装置群)により構成されていたが、他の実施形態として、画像出力装置221が、一の画像出力装置(例えば、中央画像出力装置2210)のみにより構成されていてもよく、2つまたは4つ以上の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0056】
前記実施形態では、バケット445が作業部として定義されていたが、付加的または代替的に、作業アタッチメント440(作動機構)の他の構成要素(例えばブーム441および/またはアーム443)が作業部として定義されていてもよい。
【0057】
遠隔操作装置20が、オペレータの視線を検知する視線検知装置をさらに備えていてもよい。この場合、遠隔制御装置200が、
図6に示されているように、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)において当該視線検知装置により検知されたオペレータの第2指定期間(例えば、1秒~1分)にわたる視線の先の軌道Trの一部または全部が含まれている、横方向に帯状に延在する画像領域を指定画像領域Rとして定義してもよい。そして、遠隔制御装置200が、
図6に示されているように、指定画像領域Rに重なる少なくとも一方のピラー4240L、4240Rの指定部分PPL、PPRの全部が表示されるように、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)における撮像画像の表示態様を可変に制御してもよい。
【0058】
当該構成の遠隔操作装置によれば、撮像画像に映り込んでいる少なくとも一方のピラー4240L、4240Rの指定部分PPL、PPRおよびオペレータの視線の先にある物体等を指標として、実空間におけるバケット445(作業部)の位置、方向、姿勢、大きさ、形状および作業対象物等との間隔の認識を含む空間認識が可能になる。前記のように撮像画像に映り込むキャブ424の一対のピラーと、当該ピラーが表示される画像出力装置のベゼルと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られるため、当該オペレータによる空間認識精度の向上が図られる。
【0059】
指定画像領域Rは、そのほか様々な形態で定義されていてもよい。例えば、遠隔制御装置200が、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)においてバケット445(作業部)の第1指定期間(例えば、1秒~1分)にわたる位置軌道の一部または全部が含まれている、帯状に延在する画像領域を指定画像領域Rとして定義してもよい。
【0060】
さらに、遠隔制御装置200が、指定画像出力装置(例えば、中央画像出力装置2210)において作業機械40を構成する作動機構(例えば、作業アタッチメント440)の作業部(例えば、バケット445)の第1指定期間にわたる変位方向に対して平行な方向に帯状に延在する画像領域を指定画像領域Rとして定義してもよい。これにより、例えば、
図9に示されているように、中央画像出力装置2210においてバケット445(作業部)の第1指定期間にわたる変位方向(太矢印参照)に対して平行な方向(ここでは右斜め上方)に帯状に延在する画像領域が指定画像領域Rとして定義されている。そして、当該指定画像領域Rに重なる左側ピラー4240Lの指定部分PPLおよび右側ピラー4240Rの指定部分PPRの全部が表示されるように、中央画像出力装置2210における撮像画像の表示態様が制御される。
【0061】
さらに、遠隔制御装置200が、指定画像出力装置(例えば、中央画像出力装置2210)において前記視線検知装置により検知されたオペレータの第2指定期間にわたる視線の先の変位方向に対して平行な方向に帯状に延在する画像領域を指定画像領域Rとして定義してもよい。
【0062】
遠隔制御装置200が、遠隔操作機構211におけるオペレータによる操作態様の相違に応じて、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)における撮像画像の表示態様を可変に制御してもよい。
【0063】
当該構成の遠隔操作装置20によれば、オペレータによる遠隔操作機構211の操作に応じて、作業機械40の状態が変化することにより撮像画像により示されているキャブ424の前方の様子が変化した場合でも、中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)において指定画像領域Rに少なくとも一方のピラー4240L、4240Rの指定部分PPL、PPRの全部が含まれるように撮像画像の表示態様が可変に制御される。これにより、遠隔操作機構211の操作に応じて変化する撮像画像に映り込むキャブ424の一対のピラー4240L、4240Rと、当該ピラー4240L、4240Rが表示される中央画像出力装置2210のベゼル2210L、2210Rと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。
【0064】
遠隔制御装置200が、遠隔操作機構211においてキャブ424が搭載されている上部旋回体420を下部走行体410に対して旋回させるための旋回操作があった場合(
図3参照)、左右一対のピラー4240L、4240Rのうち、上部旋回体420の旋回方向にある一方のピラー4240L(または4240R)の指定部分PPL(またはPPR)が他方のピラー4240R(または4240L)の指定部分PPR(またはPPL)よりも偏重的に中央画像出力装置2210(指定画像出力装置)に表示されるように撮像画像の表示態様を可変に制御してもよい。
【0065】
当該構成の遠隔操作装置20によれば、オペレータによる遠隔操作機構211の旋回操作に応じて、作業機械40の上部旋回体420が下部走行体410に対して右旋回した場合、
図7に示されているように、撮像画像により示されているキャブ424の前方の様子が全体的に当該旋回方向(黒矢印参照)の反対方向(白矢印参照)に変位する。この場合、
図7に示されているように、中央画像出力装置2210に表示される撮像画像において、左側ピラー4240Lの指定部分PPLの少なくとも一部が表示されないものの、右側ピラー4240Rの指定部分PPRの全部が表示される。これにより、中央画像出力装置2210に表示される撮像画像において、左側ピラー4240Lの面積よりも右側ピラー4240Rの面積が大きくなっている。
図7では指定画像領域Rは、
図5の実施形態にしたがって定義されているが、
図6またはその他の実施形態にしたがって定義されていてもよい。
【0066】
同様に、オペレータによる遠隔操作機構211の旋回操作に応じて、作業機械40の上部旋回体420が下部走行体410に対して左旋回した場合、
図8に示されているように、撮像画像により示されているキャブ424の前方の様子が全体的に当該旋回方向(黒矢印参照)の反対方向(白矢印参照)に変位する。この場合、
図8に示されているように、中央画像出力装置2210に表示される撮像画像において、左側ピラー4240Lの指定部分PPRの少なくとも一部が表示されないものの、右側ピラー4240Rの指定部分PPRの全部が表示される。これにより、中央画像出力装置2210に表示される撮像画像において、右側ピラー4240Rの面積よりも左側ピラー4240Lの面積が大きくなっている。
図8では指定画像領域Rは、
図6の実施形態にしたがって定義されているが、
図5またはその他の実施形態にしたがって定義されていてもよい。
【0067】
その結果、遠隔操作機構211の旋回操作に応じて、当該旋回方向に映り込むキャブ424の一方のピラー4240Lまたは4240Rと、当該ピラー4240Lまたは4240Rが表示される中央画像出力装置2210のベゼル2210Lまたは2210Rと、がオペレータにより誤認または混同される可能性の低減が図られる。上部旋回体420の右旋回時には、オペレータの視線の先または注意が中央画像出力装置2210の右側に寄り、上部旋回体420の左旋回時には、オペレータの視線の先または注意が中央画像出力装置2210の左側に寄る傾向があるため、当該表示態様の制御は特に有意義である。
【符号の説明】
【0068】
10‥遠隔操作支援サーバ、20‥遠隔操作装置、40‥作業機械、41‥実機入力インターフェース、42‥実機出力インターフェース、102‥データベース、121‥第1支援処理要素、122‥第2支援処理要素、200‥遠隔制御装置、210‥遠隔入力インターフェース、211‥遠隔操作機構、220‥遠隔出力インターフェース、221‥画像出力装置、400‥実機制御装置、410‥下部走行体、420‥上部旋回体、424‥キャブ(運転室)、440‥作業アタッチメント(作動機構)、445‥バケット(作業部)、2210‥中央画像出力装置(指定画像出力装置)、2211‥左側画像出力装置、2212‥右側画像出力装置、4240L‥左側ピラー、4240R‥右側ピラー、PPL、PPR‥ピラーの指定部分。