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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B65H3/06 340D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020028647
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021134005
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】大崎 功二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大地
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-169574(JP,A)
【文献】特開昭59-186841(JP,A)
【文献】特開平08-133506(JP,A)
【文献】特開平11-334904(JP,A)
【文献】特開2007-126228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向に沿う回転軸を中心に回転し、媒体を搬送する第1のローラと、
前記第1のローラに対し前記媒体の搬送方向下流側に配置され、回転軸を中心に回転し、前記媒体を搬送する第2のローラと、
前記第1のローラを回転可能に保持する第1の保持部と、
前記第1のローラ及び前記第2のローラを挟んで、前記回転軸方向に関し前記第1の保持部の逆側に設けられ、前記第2のローラを回転可能に保持する第2の保持部と、
前記第1の保持部を前記回転軸方向に沿った第1の方向に付勢する第1の付勢部材と、
前記第2の保持部を前記第1の方向の反対方向である第2の方向に付勢する第2の付勢部材と
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記第1の保持部は、
前記第1のローラに対して前記第2の方向に移動可能に設けられ、
前記第2の保持部は
前記第2のローラに対して前記第1の方向に移動可能に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記第1の保持部は、
前記第1のローラ及び前記第2のローラの少なくとも一部を覆う外装部から外部へ突出する第1の把持部が形成され、
前記第2の保持部は、
前記外装部から外部へ突出する第2の把持部が形成される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1のローラを挟んで、前記回転軸方向に関し前記第1の保持部の逆側に設けられ、前記第1のローラを位置決めする第1の位置決め部と、
前記第2のローラを挟んで、前記回転軸方向に関し前記第2の保持部の逆側に設けられ、前記第2のローラを位置決めする第2の位置決め部と
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第2のローラにおける前記第2の方向側において前記第2のローラを支持し、駆動源から伝達された駆動力により前記第2のローラを回転させる駆動シャフト
をさらに有し、
前記第1のローラは、前記駆動シャフトから駆動伝達機構により伝達された駆動力により回転する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記駆動伝達機構は、
前記第1のローラ及び前記第2のローラに対する前記第2の方向側に設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記第2の保持部は、前記第2のローラに嵌まり込む可動シャフトであり、
前記第1の保持部は、前記第1のローラの軸部を保持する軸受けである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記第1のローラと前記第2のローラは、
それぞれ異なる形状である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記第2のローラは、
第2のローラ軸部と、
前記第2のローラ軸部の外周部に配され前記媒体と当接する第2のローラ媒体当接部と
を有し、
前記第1のローラは、
シャフトと、前記第2のローラ側から駆動力が伝達されるギヤとを有する第1のローラ軸部と、
前記第1のローラ軸部の外周部に配され前記媒体と当接する第1のローラ媒体当接部と
を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の前記媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置を収容し、前記媒体搬送装置に対し前記回転軸方向と直交する方向に形成され前記媒体搬送装置の少なくとも一部分を外部に露出させる筐体開口部が形成された筐体と
を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体搬送装置及び画像形成装置に関し、用紙を収容する用紙カセットから用紙を繰り出し画像形成装置の筐体から着脱可能なローラが設けられた画像形成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、印刷に使用される用紙を収納する用紙カセットから画像形成部に向かって用紙を搬送する給紙装置が設けられている。このような給紙装置は、用紙カセットに収納された用紙最上面と接し搬送方向下流側へと用紙を搬送する給紙サブローラと、給紙サブローラに対し搬送方向下流側に隣接し、分離ローラとの間に用紙を挟持することにより、給紙サブローラから複数枚重なって搬送された用紙を1枚ずつに分離して搬送する給紙ローラとを有している。この2つのローラは、少なくとも表面層がゴムのような高摩擦係数を有する部材で形成されており、摩耗によって経時変化で搬送性能が低下するため、容易に交換可能な構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-98055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の画像形成装置では、給紙ローラ又は給紙サブローラの少なくとも何れか一方を交換する際に、例えば給紙ローラ及び給紙サブローラ周辺の視認性が悪い場合等に、ローラの取り外しや取り付け作業が行いにくい場合があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ローラの交換作業性を向上し得る媒体搬送装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の媒体搬送装置においては、回転軸方向に沿う回転軸を中心に回転し、媒体を搬送する第1のローラと、第1のローラに対し媒体の搬送方向下流側に配置され、回転軸を中心に回転し、媒体を搬送する第2のローラと、第1のローラを回転可能に保持する第1の保持部と、第1のローラ及び第2のローラを挟んで、回転軸方向に関し第1の保持部の逆側に設けられ、第2のローラを回転可能に保持する第2の保持部と、第1の保持部を回転軸方向に沿った第1の方向に付勢する第1の付勢部材と、第2の保持部を第1の方向の反対方向である第2の方向に付勢する第2の付勢部材とを設けるようにした。
【0007】
また本発明の画像形成装置においては、前述した媒体搬送装置と、媒体搬送装置を収容し、媒体搬送装置に対し回転軸方向と直交する方向に形成され媒体搬送装置の少なくとも一部分を外部に露出させる筐体開口部が形成された筐体とを設けるようにした。
【0008】
これにより本発明は、第1の保持部と第2の保持部とを回転軸方向に関し十分に離隔させ、回転軸方向に直交する方向から見た際に第1の保持部と第2の保持部とが重ならないようにできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ローラの交換作業性を向上し得る媒体搬送装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の構成を示す左側面図である。
図2】給紙ユニットの構成(1)を示す斜視図である。
図3】給紙ユニットの構成(2)を示し、図2における給紙ローラの回転軸でのA-A矢視断面図である。
図4】給紙ユニットの構成(3)を示し、図2における給紙サブローラの回転軸でのB-B矢視断面図である。
図5】給紙ユニットの構成(4)を示し、図2における給紙ローラの回転軸と給紙サブローラの回転軸とでのC-C矢視断面図である。
図6】給紙ローラ及び給紙サブローラの構成を示す略線的底面図である。
図7】給紙ローラ及び給紙サブローラの交換方法を示す略線的底面図である。
図8】給紙ローラ中心と給紙サブローラ中心との回転軸方向の位置ずれを示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.画像形成装置の構成]
図1に左側面図を示すように、画像形成装置1は、モノクロ用電子写真式プリンタであり、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる1枚のシート状の紙である用紙Pに対し、所望のモノクロ画像を印刷する。画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。また以下では、用紙Pが搬送される方向に関し、任意の位置から見て用紙Pの供給源となる用紙カセット11(後述する)に近い位置を搬送方向上流側と呼び、用紙カセット11から遠い位置を搬送方向下流側と呼ぶ。また以下では、用紙Pが進行する方向を搬送方向と呼び、この搬送方向と該用紙Pの厚さ方向とに直交する左右方向を搬送幅方向(回転軸方向)と呼ぶ。
【0013】
画像形成装置1は、筐体2の内部に、例えば用紙Pに対して画像を転写する画像形成部3と、この画像形成部3の搬送方向上流側に位置し、画像形成部3へ用紙Pを供給する印刷媒体供給部10とが設けられている。
【0014】
印刷媒体供給部10は、用紙カセット11、給紙ユニット40、分離ローラ14、レジストローラ17、プレッシャローラ18、給入センサ19及び書き出しセンサ20を有する。給紙ユニット40は、給紙ローラ12、給紙サブローラ(ピックアップローラ)13、中間搬送ローラ15及びピンチローラ16を有する。
【0015】
筐体2の前面側において給紙ローラ12及び給紙サブローラ13の前方には、筐体開口部2Aが形成されている。筐体開口部2Aは、左右方向に長い孔部であり、筐体2の前面板の前方と後方、すなわち、筐体2により囲まれた内部空間と外部とを連通させる。画像形成装置1は、筐体開口部2Aから、筐体2に対し用紙カセット11が着脱可能に装着される。この筐体開口部2Aは、筐体2に用紙カセット11が装着された際に、該用紙カセット11により塞がれる。
【0016】
用紙カセット11は、筐体2内部の下部において筐体2に対し着脱自在に装着されており、複数の用紙Pを積層した状態で収納する。この用紙カセット11は、水平方向に沿う前後方向である用紙カセット挿抜方向へ移動可能に構成されていることにより、筐体2に対し着脱可能になっている。
【0017】
画像形成装置1は、印刷処理を行う場合には筐体2内部に用紙カセット11が収容されることにより、用紙カセット装着状態となり、該用紙カセット11に集積された用紙Pを繰り出して該用紙Pに画像を形成する。
【0018】
一方、画像形成装置1は、用紙Pが補充される用紙補充作業時や給紙ローラ12又は給紙サブローラ13が交換されるローラ交換作業等の保守作業時には、用紙カセット装着状態から、用紙カセット挿抜方向のうちの前方向である用紙カセット取外方向に向かって筐体2から引き出され、筐体2から外部へ用紙カセット11が取り外された用紙カセット取外状態となる。続いて画像形成装置1は、用紙カセット11に用紙Pが補充されたり給紙ローラ12又は給紙サブローラ13が交換されたりした後に、用紙カセット取外状態から、用紙カセット挿抜方向のうちの後方向である用紙カセット装着方向に向かって用紙カセット11が筐体2へ押し込まれ、用紙カセット装着状態となる。このローラ交換作業時において作業者は、筐体開口部2Aの前方から後方へ給紙ローラ12及び給紙サブローラ13の可動部材把持部51G及び可動部材把持部66G(後述する)を目視し、筐体開口部2Aを介し前方から後方へ向かって筐体2内部へ手を入れ、給紙ローラ12又は給紙サブローラ13を交換する。
【0019】
給紙ローラ12、給紙サブローラ13及び分離ローラ14は、用紙カセット11に収納されている複数の用紙Pのうち、最上層に位置する用紙Pを1枚ずつ分離して順次取り出し、中間搬送ローラ15へ向けて繰り出す給紙機構である。これにより画像形成装置1は、用紙カセット11の最上層に位置する用紙Pを、その下層に位置する他の用紙Pから確実に分離する。
【0020】
中間搬送ローラ15及びピンチローラ16は、給紙ローラ12、給紙サブローラ13及び分離ローラ14から繰り出された用紙Pを対になって挟持して搬送方向下流側へ搬送する。レジストローラ17及びプレッシャローラ18は、中間搬送ローラ15及びピンチローラ16から搬送された用紙Pを対になって挟持し、その用紙Pの斜行を修正しつつ搬送方向下流側へ搬送する。レジストローラ17及びプレッシャローラ18の搬送方向上流側には、給入センサ19が設けられている。給入センサ19は、用紙Pの位置を検知する。レジストローラ17及びプレッシャローラ18の搬送方向下流側には、書き出しセンサ20が設けられている。書き出しセンサ20は、用紙Pへ画像を形成するタイミングを画像形成部3に対し指示する際、用紙Pの位置を検知する。
【0021】
図1に示したように画像形成部3は、トナーカートリッジ21、イメージドラム22、露光ヘッド23、転写ローラ24及び定着ユニット25を有しており、例えば黒色のトナー(現像剤)を用いて、用紙P上に黒色の画像(トナー像)を形成する。
【0022】
トナーカートリッジ21は、所定の色のトナーが収容されている容器である。すなわち、この画像形成部3の例では、トナーカートリッジ21内にはブラックトナーが収容されている。
【0023】
イメージドラム22は、静電潜像を表面に担持する部材であり、感光体(例えば有機系感光体)を用いて構成されている。このイメージドラム22は、所定の周速度で回転するようになっており、トナーカートリッジ21から例えばブラックトナーが供給される。したがって、イメージドラム22には、静電潜像にブラックトナーが付着した黒色の画像(トナー像)が形成される。
【0024】
露光ヘッド23は、例えば、照射光を発する複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザ素子等の光源と、この照射光をイメージドラム22の表面に結像させるレンズアレイとを含んで構成されている。この露光ヘッド23は、イメージドラム22の表面に照射光を照射してイメージドラム22の表面を露光することにより、イメージドラム22の表面に静電潜像を形成する。
【0025】
転写ローラ24は、例えば、発泡性の半導電性弾性ゴム材により構成されている。この転写ローラ24は、イメージドラム22と対向配置され、イメージドラム22で形成された例えば黒色の画像(トナー像)を、用紙P上に静電的に転写する。
【0026】
定着ユニット25は、転写ローラ24から搬送された用紙P上のトナー(トナー像)に対して熱及び圧力を付与することにより、トナー像を用紙Pに定着させる。定着ユニット25は、ヒートローラ26及び加圧ローラ27を含んで構成されている。ヒートローラ26は、その内部にハロゲンランプ等の加熱ヒータ26Aを含んで構成されており、用紙P上のトナーに対して熱を付与する。加圧ローラ27は、ヒートローラ26との間に圧接部が形成されるように配置されており、用紙P上のトナーに対して圧力を付与する。
【0027】
画像形成装置1は、画像形成部3の搬送方向下流側に、排出センサ28、排出ローラ29及び30、ピンチローラ31及び32並びに排出トレイ33をさらに備えている。
【0028】
排出センサ28は、定着ユニット25から排出された用紙Pを検知する。排出ローラ29及び30は、それぞれピンチローラ31及び32と対向して配置され、定着ユニット25によってトナーが定着された用紙Pを挟持し、画像形成装置1の外部である排出トレイ33へ排出する。
【0029】
[2.画像形成装置の動作]
かかる構成において画像形成装置1は、用紙Pに対してトナー像を転写する際、まず、用紙カセット11に収納されている用紙Pを、給紙サブローラ13により最上部から1枚ずつピックアップし、搬送方向下流側の給紙ローラ12の方向へ繰り出す。次に画像形成装置1は、給紙サブローラ13から繰り出された用紙Pを、給紙ローラ12及び分離ローラ14により搬送し、中間搬送ローラ15及びピンチローラ16へ向かわせる。次に画像形成装置1は、中間搬送ローラ15及びピンチローラ16を経由してレジストローラ17及びプレッシャローラ18に用紙Pを到達させてから、これらレジストローラ17及びプレッシャローラ18により斜行を矯正しつつ搬送方向下流側の画像形成部3へ搬送する。
【0030】
画像形成部3は、所定の印加電圧が供給される帯電ローラ(図示せず)により、イメージドラム22の表面を一様に帯電させる。次に画像形成部3は、イメージドラム22の表面に向けて露光ヘッド23から照射光を照射し露光させることにより、印刷パターンに応じた静電潜像をイメージドラム22上に形成する。次に画像形成部3は、イメージドラム22上の静電潜像に対して、図示しない現像ローラからトナーを付着させる。次に画像形成部3は、イメージドラム22上のトナー(トナー像)を、イメージドラム22と転写ローラ24との間の電界により、用紙P上に転写する。このような電子写真プロセスにより、画像形成部3は、黒色のトナー像を用紙P上に形成する。
【0031】
その後、画像形成装置1は、用紙P上のトナー(トナー像)を、定着ユニット25において熱及び圧力を付与することにより、用紙Pに定着させる。続いて画像形成装置1は、排出ローラ29及び30等により、トナーが定着された用紙Pを排出トレイ33へ排出する。
【0032】
[3.給紙ユニットの構成]
図2に示すように給紙ユニット40は、外装を形成する給紙ユニット外装部39の内部において、給紙フレーム42に、前後方向に互いに隣り合うように配置された給紙ローラ12及び給紙サブローラ13と、給紙シャフト41等とが固定されている。この給紙ローラ12及び給紙サブローラ13は、搬送される用紙Pにおける搬送幅方向のほぼ中央部分に1個ずつ配置されている。
【0033】
[3-1.給紙ローラ周辺の構成]
図2図3図5図6及び図8に示すように、給紙シャフト41は、例えば金属製の円柱部材であり、走査方向(回転軸方向)に沿って延在する。この給紙シャフト41は、給紙ユニット40に立設する給紙フレーム42に取り付けられた1対の軸受46及び47により、回転可能に支持されている。軸受46は、軸受本体部46M及び軸受フランジ部46Fにより構成されている。軸受本体部46Mは、略円筒形状であり、給紙フレーム42における第2の位置決め部としての給紙ローラ側フレーム支持部43に形成された円筒形状の孔部である給紙ローラ側軸受嵌合孔43Aに嵌まり込んでいる。軸受フランジ部46Fは、軸受本体部46Mよりも外周側へ突出しており、該軸受本体部46Mよりも外径が大きく形成され、その右端面が、給紙ローラ側フレーム支持部43の左端面に当接している。
【0034】
また給紙シャフト41の左端部には、ギヤ48とカップリング49とが固定されている。給紙シャフト41の右端部には、モータ(図示せず)が直接的又は間接的に接続されている。給紙シャフト41は、給紙ローラ12に嵌まり込んでおり、給紙ローラ12を支持している。またカップリング49は、ワンウェイクラッチが内蔵されており給紙ローラ12に嵌まり込むことにより、該給紙ローラ12に駆動力を伝達する。このため給紙ローラ12は、モータからの駆動力により、給紙シャフト41及びギヤ48と共に、矢印R1(図2)の方向へ回転する。
【0035】
給紙ローラ12は、給紙サブローラ13の回転によりピックアップされた用紙Pを1枚ずつ分離ローラ14(図1)との間に挟持し、矢印R1の方向へ回転することにより、その用紙Pを搬送方向下流側へ繰り出す。給紙ローラ12は、給紙ローラ軸部54と、給紙ローラゴム56とにより構成されている。
【0036】
第2のローラ軸部としての給紙ローラ軸部54は、例えば樹脂製であり、回転中心部において回転軸方向に沿う円柱形状の貫通孔である嵌合部54Mが形成された、略円筒形状の部材である。この給紙ローラ軸部54には、外周面に給紙ローラゴム56を保持する給紙ローラゴム保持部54Kが形成されている。また給紙ローラ軸部54における給紙ローラゴム保持部54Kに対し回転軸方向の両外側には、給紙ローラゴム56の内径よりも外径が大きく、該給紙ローラゴム56の回転軸方向の移動を規制する、給紙ローラ軸部フランジ54Fが形成されている。この左側及び右側の給紙ローラ軸部フランジ54Fは、どちらも同じ回転軸方向の厚さを有している。
【0037】
第2のローラ媒体当接部としての給紙ローラゴム56は、例えば合成ゴム等の弾性材料により形成され、給紙ローラ軸部54の周囲における、回転軸方向において左右の給紙ローラ軸部フランジ54Fの間、すなわち給紙ローラゴム保持部54Kを、回転方向において連続して覆っている。
【0038】
給紙ローラ軸部54は、給紙ローラ12が画像形成装置1に装着された給紙ローラ装着状態(図3図5及び図6)において、嵌合部54Mにおける右側端部に給紙シャフト41が嵌まり込んで固定されることにより、右端部が給紙シャフト41により支持されると共に、カップリング49により給紙シャフト41の回転が伝達される。また給紙ローラ軸部54は、給紙ローラ装着状態において、嵌合部54Mにおける左側端部に可動シャフト50が嵌まり込むことにより、左端部が可動シャフト50により支持される。このように給紙ローラ軸部54は、給紙ローラ装着状態において、給紙シャフト41と可動シャフト50とにより、回転軸方向の両端部が支持されている。
【0039】
可動シャフト50は、例えば金属製の円柱部材であり、回転軸方向に関し給紙ローラ12を挟んで給紙シャフト41の反対側において給紙シャフト41と同軸上に、回転軸方向に沿って延在する。この可動シャフト50は、給紙フレーム42により、給紙ローラ付勢方向Du1(右方向)及び給紙ローラ退避方向De1(左方向)へ、回転軸方向に沿って移動可能に支持されている。
【0040】
可動シャフト50における左端部よりもやや右側には、可動部材51が固定されている。この可動部材51と、該可動部材51の左側に対向する給紙フレーム42との間には、圧縮ばねであるばね52が、通常状態よりも圧縮された状態で取り付けられている。このため可動部材51は、ばね52の付勢力により、右方向である給紙ローラ付勢方向Du1に向かって付勢されており、可動シャフト50を給紙ローラ12に向かって給紙ローラ付勢方向Du1へ押し込んでいる。
【0041】
このように、給紙ローラ12、カップリング49、ギヤ48及び軸受46は、ばね52の付勢力により給紙ローラ付勢方向Du1へ押し付けられ、給紙ローラ側フレーム支持部43に軸受フランジ部46Fが押し付けられることにより、給紙ローラ12の回転軸方向の位置が保持される。
【0042】
可動部材51は、給紙ユニット外装部39に形成された孔部を介し該給紙ユニット外装部39から下方へ突出するレバーである可動部材把持部51Gが形成されている。この第2の把持部としての可動部材把持部51Gは、作業者が手で摘みやすい形状となっている。作業者により可動部材51の可動部材把持部51Gがばね52の付勢力に逆らって給紙ローラ付勢方向Du1(右方向)とは逆方向の給紙ローラ退避方向De1(左方向)へ向かって移動されると、可動シャフト50は、可動部材51と共に給紙ローラ退避方向De1(左方向)へ向かって移動する。これにより可動シャフト50は、給紙ローラ12の給紙ローラ軸部54よりも左側へ離隔し、給紙ローラ軸部54を給紙ローラ付勢方向Du1(右方向)へ付勢しない状態となる。
【0043】
[3-2.給紙サブローラ周辺の構成]
図2図4図5図6及び図8に示すように給紙サブローラ13は、矢印R2の方向へ回転することにより用紙Pを1枚ずつピックアップし、その用紙Pを給紙ローラ12へ受け渡す。給紙サブローラ13における給紙サブローラゴム62の表面は、用紙カセット11に収納された複数の用紙Pのうち、最上層に位置する1枚の用紙Pの上面と当接した状態となっている。給紙サブローラ13は、給紙サブローラ軸部60と、給紙サブローラゴム62とにより構成されている。
【0044】
第1のローラ軸部としての給紙サブローラ軸部60は、例えば樹脂製であり、回転中心部において回転軸方向に沿う円柱形状の給紙サブローラ軸部シャフト60Sが形成されている。給紙サブローラ軸部シャフト60Sは、右端部が給紙サブローラ軸部シャフト一端部60S1、左端部が給紙サブローラ軸部シャフト他端部60S2となっている。
【0045】
この給紙サブローラ軸部60には、外周面に給紙サブローラゴム62を保持する給紙サブローラゴム保持部60Kが形成されている。また給紙サブローラ軸部60における給紙サブローラゴム保持部60Kに対し回転軸方向の両外側には、給紙サブローラゴム62の内径よりも外径が大きく、該給紙サブローラゴム62の回転軸方向の移動を規制する、給紙サブローラ軸部フランジ60Fが形成されている。この左側及び右側の給紙サブローラ軸部フランジ60Fは、どちらも同じ回転軸方向の厚さを有している。
【0046】
また給紙サブローラ軸部60における右側の給紙サブローラ軸部フランジ60Fと、給紙サブローラ軸部シャフト一端部60S1との間には、給紙サブローラ軸部ギヤ60Gが形成されている。給紙サブローラ軸部ギヤ60Gは、給紙シャフト41のギヤ48と駆動伝達機構としてのアイドルギヤ70を介し噛み合っている。このためモータの駆動力は、給紙シャフト41、ギヤ48、アイドルギヤ70を介して給紙サブローラ軸部ギヤ60Gへ伝達される。これにより給紙ローラ12及び給紙サブローラ13は、互いに同期して同方向へ回転する。このように給紙ユニット40は、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13に対する回転軸方向の一方向側のみにおいて、給紙ローラ12を回転させる駆動力を給紙サブローラ13に伝達させるようにした。
【0047】
第1のローラ媒体当接部としての給紙サブローラゴム62は、例えば合成ゴム等の弾性材料により形成され、給紙サブローラ軸部60の周囲における、回転軸方向において左右の給紙サブローラ軸部フランジ60Fの間、すなわち給紙サブローラゴム保持部60Kを回転方向において連続して覆っており、その外周面が用紙カセット11に収納された用紙Pと接している。
【0048】
給紙サブローラ軸部60は、給紙サブローラ13が画像形成装置1に装着された給紙サブローラ装着状態において、給紙サブローラ軸部シャフト60Sの給紙サブローラ軸部シャフト他端部60S2が、第1の位置決め部としての給紙サブローラ側フレーム支持部64に形成された円柱形状の凹部である給紙サブローラ側軸受嵌合孔64Aに嵌まり込むことにより、左端部が給紙サブローラ側フレーム支持部64により回転可能に支持される。また給紙サブローラ軸部60は、給紙サブローラ装着状態において、給紙サブローラ軸部シャフト60Sの給紙サブローラ軸部シャフト一端部60S1が、可動部材66に嵌まり込むことにより、右端部が可動部材66により回転可能に支持される。このように給紙サブローラ軸部60は、給紙サブローラ装着状態において、給紙サブローラ側フレーム支持部64と可動部材66とにより、回転軸方向の両端部が支持されている。因みに給紙サブローラ側フレーム支持部64は、用紙カセット11に収納された用紙の最上面から給紙サブローラ軸部60が受ける上向きの力を、給紙サブローラ側軸受嵌合孔64Aにおける上側内側面により受けている。
【0049】
可動部材66は、軸受であり、回転軸方向に関し給紙サブローラ13を挟んで給紙サブローラ軸部シャフト他端部60S2の反対側において給紙サブローラ軸部シャフト60Sに固定されている。この可動部材66は、給紙フレーム42により、給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)及び給紙サブローラ退避方向De2(右方向)へ、回転軸方向に沿って移動可能に支持されている。
【0050】
この可動部材66と、該可動部材66の右側に対向する給紙フレーム42との間には、圧縮ばねであるばね68が、通常状態よりも圧縮された状態で取り付けられている。このため可動部材66は、ばね68の付勢力により、給紙ローラ付勢方向Du1とは逆方向の左方向である給紙サブローラ付勢方向Du2に向かって付勢されており、給紙サブローラ軸部60を給紙サブローラ側フレーム支持部64に向かって給紙サブローラ付勢方向Du2へ押し込んでいる。
【0051】
このように、給紙サブローラ13は、ばね68の付勢力により給紙サブローラ付勢方向Du2へ押し付けられ、給紙サブローラ側フレーム支持部64に給紙サブローラ軸部シャフト60Sが押し付けられることにより、給紙サブローラ13の回転軸方向の位置が保持される。
【0052】
可動部材66は、給紙ユニット外装部39に形成された孔部を介し該給紙ユニット外装部39から下方へ突出する可動部材把持部66Gが形成されている。この第1の把持部としての可動部材把持部66Gは、作業者が手で摘みやすい形状となっている。作業者により可動部材66の可動部材把持部66Gがばね68の付勢力に逆らって給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)とは逆方向の給紙サブローラ退避方向De2(右方向)へ向かって移動されると、可動部材66は、給紙サブローラ13の給紙サブローラ軸部シャフト60Sよりも右側へ離隔し、給紙サブローラ軸部60を給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)へ付勢しない状態となる。
【0053】
このように給紙ユニット40は、ばね52により給紙ローラ12を給紙ローラ付勢方向Du1(右方向)に向かって、ばね68により給紙サブローラ13を給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)に向かって、それぞれ付勢するようにした。すなわち給紙ユニット40は、給紙ローラ12と給紙サブローラ13とを、回転軸方向に関し、互いに反対側に付勢するようにした。
【0054】
また給紙ユニット40は、給紙ローラ12を回転可能に保持する可動部材51を、給紙サブローラ13及び給紙ローラ12の左側に、給紙サブローラ13を回転可能に保持する可動部材66を、給紙サブローラ13及び給紙ローラ12の右側に、それぞれ配置するようにした。すなわち給紙ユニット40は、可動部材51と可動部材66とを、回転軸方向に関し、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13を挟んで互いに反対側に配置するようにした。このため、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gともまた、回転軸方向に関し、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13を挟んで互いに反対側に配置されることとなる。
【0055】
[4.給紙ローラ中心及び給紙サブローラ中心について]
図8に、給紙ローラ12における回転軸方向の中心である給紙ローラ中心12Cと、給紙サブローラにおける回転軸方向の中心である給紙サブローラ中心13Cとの回転軸方向のずれ量の算出方法を示す。
【0056】
給紙ローラゴム56における回転軸方向の中心である給紙ローラゴム中心56Cから給紙ローラゴム56の右端部までの回転軸方向の距離を、給紙ローラゴム中心端部距離D1、給紙ローラ軸部54の給紙ローラ軸部フランジ54Fの回転軸方向の厚さを、給紙ローラ軸部フランジ厚さD2、カップリング49の回転軸方向の幅を、カップリング幅D3、ギヤ48の回転軸方向の幅を、ギヤ幅D4、軸受46の軸受フランジ部46Fの回転軸方向の厚さを、軸受フランジ部厚さD5、給紙サブローラゴム62における回転軸方向の中心である給紙サブローラゴム中心62Cから給紙サブローラゴム62の左端部までの距離を、給紙サブローラゴム中心端部距離D8、給紙サブローラ軸部60の左側の給紙サブローラ軸部フランジ60Fの右端面から給紙サブローラ軸部シャフト他端部60S2の左端部までの距離を、給紙サブローラフランジ軸部端部距離D7、給紙フレーム42において給紙ローラ12の軸受フランジ部46Fを受ける部分である給紙ローラ側フレーム支持部43における左端面から、給紙フレーム42において給紙サブローラ13の給紙サブローラ軸部60を受ける部分である給紙サブローラ側フレーム支持部64の給紙サブローラ側軸受嵌合孔64Aにおける右端面までの回転軸方向の距離を、フレーム支持部間距離D6としたとき、給紙ローラ中心12Cと給紙サブローラ中心13Cとの回転軸方向の位置ずれのずれ量DVは、以下の式により算出される。
【0057】
ずれ量DV=(給紙ローラゴム中心端部距離D1+給紙ローラ軸部フランジ厚さD2+カップリング幅D3+ギヤ幅D4+軸受フランジ部厚さD5)-(フレーム支持部間距離をD6-(給紙サブローラフランジ軸部端部距離D7+給紙サブローラゴム中心端部距離D8))
【0058】
画像形成装置1は、このずれ量DVの絶対値を可能な限り小さくすることにより、給紙ローラ中心12Cと給紙サブローラ中心13Cとの回転軸方向の位置ずれをなくし、用紙Pを安定的に搬送させるようにしている。
【0059】
[5.給紙ローラ及び給紙サブローラの交換方法について]
ここで、画像形成装置1における、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13の交換方法について説明する。まず作業者は、画像形成装置1本体の電源を落としてから、用紙カセット11を筐体2から前方へ完全に抜き出す。これにより筐体開口部2A(図1)が開放され、作業者は、図2に示したように筐体2の外部から給紙ローラ12及び給紙サブローラ13を視認可能となる。
【0060】
まず、給紙ローラ12の交換方法について説明する。作業者は、図6に示した給紙ローラ装着状態から、図7(A)に示すように、可動部材51の可動部材把持部51Gを把持し給紙ローラ退避方向De1(左方向)に移動させる。これにより、可動シャフト50が給紙ローラ12の給紙ローラ軸部54から給紙ローラ退避方向De1(左方向)へ離隔し、給紙ローラ12をカップリング49から取り外し可能な状態である給紙ローラ着脱可能状態となる。続いて作業者は、図7(B)に示すように、給紙ローラ12を左方向へ動かしてカップリング49から離隔させてから下方向へ取り外す。
【0061】
続いて作業者は、給紙ローラ着脱可能状態において、新たな給紙ローラ12をカップリング49の下側から上方向へ向けて移動させて、カップリング49の左側に対向した状態とし、可動部材51の可動部材把持部51Gから手を離す。これにより可動部材51はばね52により給紙ローラ付勢方向Du1(右方向)へ付勢されて給紙ローラ12がカップリング49へ付勢され、図6に示した給紙ローラ装着状態となる。
【0062】
次に、給紙サブローラ13の交換方法について説明する。作業者は、図6に示した給紙サブローラ装着状態から、図7(A)に示すように、可動部材66の可動部材把持部66Gを把持し給紙サブローラ退避方向De2(右方向)に移動させる。これにより、可動部材66が給紙サブローラ13の給紙サブローラ軸部シャフト60Sから給紙サブローラ退避方向De2(右方向)へ離隔し、給紙サブローラ13が給紙サブローラ側フレーム支持部64から取り外し可能な状態である給紙サブローラ着脱可能状態となる。続いて作業者は、図7(B)に示すように、給紙サブローラ13を右方向へ動かして給紙サブローラ側フレーム支持部64から離隔させてから下方向へ取り外す。
【0063】
続いて作業者は、給紙サブローラ着脱可能状態において、新たな給紙サブローラ13を給紙サブローラ側フレーム支持部64の下側から上方向へ向けて移動させて、給紙サブローラ側フレーム支持部64の右側に対向した状態とし、可動部材66の可動部材把持部66Gから手を離す。これにより可動部材66はばね68により給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)へ付勢され、給紙サブローラ13が給紙サブローラ側フレーム支持部64へ付勢されて図6に示した給紙サブローラ装着状態となる。
【0064】
なお、以上は、給紙ローラ12、給紙サブローラ13の順番で交換される場合について説明したが、給紙サブローラ13、給紙ローラ12の順番で交換されても良い。また、給紙ローラ12と給紙サブローラ13との両方が交換される場合について説明したが、給紙ローラ12又は給紙サブローラ13の何れか一方が交換される場合は、片方のローラの交換作業のみが行われる。
【0065】
[6.効果等]
以上の構成において画像形成装置1は、給紙ユニット40において、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとを、回転軸方向に関し、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13を挟んで互いに反対側に配置するようにした。このため画像形成装置1は、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとを回転軸方向に関し十分に離隔させることができる。
【0066】
よって画像形成装置1は、用紙カセット挿抜方向に沿って筐体2の前方から後方に向かって給紙ユニット40を見た際に、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとが重ならないようにできる。これにより画像形成装置1は、ローラ交換作業時において、作業者に対し、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとの視認性及び操作性を向上させ、ユーザビリティを向上できる。
【0067】
このように画像形成装置1は、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13の前方に形成された筐体開口部2Aの外部からしか覗き込んだり手を入れたりすることができないような、目視できる方向が限られており、視認性と作業性とが比較的悪い給紙ユニット40に対し、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとを見分けやすく且つ探しやすくでき、さらに操作しやすくできる。
【0068】
また従来の給紙ユニットにおいては、交換を容易とするために、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13が、回転軸方向に関し片側からのみ支持される片持ち支持構造になっているものがある。しかしながら、片持ち支持構造の場合、用紙カセットから用紙が搬送される際に、用紙の搬送幅方向の中心に対しローラの搬送幅方向の中心がずれて斜行が発生したり、最初に用紙とローラとの搬送幅方向の中心が一致した位置で真っ直ぐ搬送されても、途中の用紙走行路から受ける用紙走行抵抗の左右の偏りで用紙に傾く力が働き、その力にローラが追従して軸移動し、2つのローラの位置がずれてしまい、斜行を抑制することができなったりしてしまう。また、給紙ローラが片持ち支持である場合、支持されていない側が振れるため、分離ローラとの当接位置が安定せず、斜行が発生しやすい構造となっている。
【0069】
これに対し画像形成装置1は、給紙ユニット40において、給紙ローラ12を可動シャフト50と給紙シャフト41とにより回転軸方向の両側で支持する両持ち支持構造にすると共に、給紙サブローラ13を可動部材66と給紙サブローラ側フレーム支持部64とにより回転軸方向の両側で支持する両持ち支持構造にした。このため画像形成装置1は、2つのローラを両持ち支持構造とすることにより、ローラを回転軸が傾けさせることなく、用紙を回転軸方向と垂直に、すなわち斜行せずに搬送できる。
【0070】
また画像形成装置1は、給紙ユニット40において、給紙ローラ12をばね52の付勢力により給紙ローラ側フレーム支持部43に向かって給紙ローラ付勢方向Du1へ押し付けると共に、給紙サブローラ13をばね68の付勢力により給紙サブローラ側フレーム支持部64に向かって給紙サブローラ付勢方向Du2へ押し付けるようにした。
【0071】
このように画像形成装置1は、ばねを用いて2つのローラが装着される共通の給紙フレーム42で逆方向の付勢力を受ける構造とすることにより、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13の回転軸方向のがたつきである軸ぶれをなくして、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13の搬送幅方向の中心を合わせやすくし、搬送不良を発生しにくくでき、搬送性能を向上できる。
【0072】
このように画像形成装置1は、給紙ローラ12と給紙サブローラ13とのそれぞれを回転軸方向の一方から他方に向けて付勢して給紙フレーム42に突き当てることにより、ローラの位置決め精度を向上できると共に、給紙ローラ12と給紙サブローラ13とのそれぞれを両持ち支持構造とすることにより、用紙の斜行を発生しにくくできる。
【0073】
さらに画像形成装置1は、給紙ユニット40において、給紙ローラ12をばね52の付勢力により給紙ローラ側フレーム支持部43に向かって給紙ローラ付勢方向Du1へ押し付けるようにした。このため画像形成装置1は、可動部材把持部51Gをばね52の付勢力に逆らって給紙ローラ退避方向De1へ向かって移動されるだけで、可動シャフト50を可動部材51と共に給紙ローラ退避方向De1へ向かって移動させて給紙ローラ12をカップリング49から離隔させ、給紙ローラ12をカップリング49から容易に取り外し可能にできる。
【0074】
さらに画像形成装置1は、給紙ユニット40において、給紙サブローラ13をばね68の付勢力により給紙サブローラ側フレーム支持部64に向かって給紙サブローラ付勢方向Du2へ押し付けるようにした。このため画像形成装置1は、可動部材把持部66Gをばね68の付勢力に逆らって給紙サブローラ退避方向De2へ向かって移動されるだけで、可動部材66を給紙サブローラ13から離隔させ、給紙サブローラ13を給紙サブローラ側フレーム支持部64から容易に取り外し可能にできる。
【0075】
このように画像形成装置1は、用紙を斜行させずに安定的に搬送するように搬送性能を保ちつつ、給紙ローラ12及び給紙サブローラ13それぞれを容易に交換可能にし、交換作業性を向上できる。
【0076】
また画像形成装置1は、給紙ローラゴム保持部54K及び給紙ローラ軸部フランジ54Fからなる給紙ローラ軸部54と、給紙ローラゴム56とにより、給紙ローラ12を形成する一方、給紙サブローラ軸部シャフト60S、給紙サブローラゴム保持部60K、給紙サブローラ軸部フランジ60F及び給紙サブローラ軸部ギヤ60Gからなる給紙サブローラ軸部60と、給紙サブローラゴム62とにより、給紙サブローラ13を形成するようにした。これにより画像形成装置1は、給紙ローラ12と給紙サブローラ13との見た目を異なる形状にでき、作業者に対し、給紙ローラ12と給紙サブローラ13との見分けをつけやすくでき、交換作業性を向上できる。
【0077】
以上の構成によれば給紙ユニット40は、回転軸方向に沿う回転軸を中心に回転し、媒体としての用紙Pを搬送する給紙サブローラ13と、給紙サブローラ13に対し用紙Pの搬送方向下流側に配置され、回転軸を中心に回転し、用紙Pを搬送する給紙ローラ12と、給紙サブローラ13を回転可能に保持する可動部材66と、給紙サブローラ13及び給紙ローラ12を挟んで、回転軸方向に関し可動部材66の逆側に設けられ、給紙ローラ12を回転可能に保持する可動部材51と、可動部材66を回転軸方向に沿った第1の方向である給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)に付勢するばね68と、可動部材51を給紙サブローラ付勢方向Du2(左方向)の反対方向である給紙ローラ付勢方向Du1(右方向)に付勢するばね52と設けるようにした。
【0078】
また画像形成装置1は、給紙ユニット40と、該給紙ユニット40を収容し、給紙ユニット40に対し回転軸方向と直交する方向である前方に形成され給紙ユニット40の少なくとも一部分を外部に露出させる筐体開口部2Aが形成された筐体2とを設けるようにした。
【0079】
これにより画像形成装置1は、可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとを回転軸方向に関し十分に離隔させ、回転軸方向に直交する方向から見た際に可動部材把持部51Gと可動部材把持部66Gとが重ならないようにできる。
【0080】
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、可動部材51に可動部材把持部51Gが、可動部材66に可動部材把持部66Gが、それぞれ一体に形成される場合について述べた。本発明はこれに限らず、可動部材把持部51Gは、少なくとも、該可動部材把持部51Gが操作された際に可動部材51を連動して移動させることができれば良い。また可動部材把持部66Gは、少なくとも、該可動部材把持部66Gが操作された際に可動部材66を連動して移動させることができれば良い。
【0081】
また上述した実施の形態においては、アイドルギヤ70により、モータの駆動力を給紙シャフト41から給紙サブローラ軸部ギヤ60Gへ伝達させ給紙サブローラ13を回転させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の種々の機構からなる駆動伝達機構により、モータの駆動力を給紙シャフト41から給紙サブローラ13へ伝達させても良い。
【0082】
さらに上述した実施の形態においては、搬送される用紙Pにおける搬送幅方向のほぼ中央部分に1個の給紙ローラ12及び給紙サブローラ13を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、搬送幅方向の長さよりも短い間隔を空けて、複数個の給紙ローラ12及び給紙サブローラ13を配置しても良い。
【0083】
さらに上述した実施の形態においては、用紙に画像を形成する画像形成装置1の印刷媒体供給部10に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば用紙に画像を形成せずに、ラベルを貼り付ける装置のフィーダー等に本発明を適用しても良い。
【0084】
さらに上述した実施の形態においては、ブラックの色に対応した1個のトナーカートリッジ21を有する画像形成部3においてモノクロ印刷を行うモノクロプリンタである画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラックの1色に対応した1個のトナーカートリッジを有する画像形成装置や、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応した4個のトナーカートリッジを有する画像形成部においてカラー印刷を行うカラープリンタである画像形成装置や、3個以下や5個以上のトナーカートリッジを有する画像形成装置等、種々の画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0085】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ファクシミリ機、MFP(MultiFunction Printer:複合機)、複写機等の装置にも本発明を適用して良い。
【0086】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0087】
さらに上述した実施の形態においては、第1のローラとしての給紙サブローラ13と、第2のローラとしての給紙ローラ12と、第1の保持部としての可動部材66と、第2の保持部としての可動シャフト50と、第1の付勢部材としてのばね68と、第2の付勢部材としてのばね52とによって、媒体搬送装置としての給紙ユニット40を構成し、さらに、媒体搬送装置としての給紙ユニット40と、筐体としての筐体2とによって、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1のローラと、第2のローラと、第1の保持部と、第2の保持部と、第1の付勢部材と、第2の付勢部材とによって、媒体搬送装置を構成し、その他種々の構成でなる媒体搬送装置と、筐体とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、画像形成装置に画像を印刷させるコンピュータの他、イメージスキャナやファクシミリ装置、或いは複写機等、画像に関する種々の処理を行う種々の電子機器でも利用できる。
【符号の説明】
【0089】
1……画像形成装置、2……筐体、2A……筐体開口部、3……画像形成部、10……印刷媒体供給部、11……用紙カセット、12……給紙ローラ、12C……給紙ローラ中心、13……給紙サブローラ、13C……給紙サブローラ中心、14……分離ローラ、15……中間搬送ローラ、16……ピンチローラ、17……レジストローラ、18……プレッシャローラ、19……給入センサ、20……書き出しセンサ、21……トナーカートリッジ、22……イメージドラム、23……露光ヘッド、24……転写ローラ、25……定着ユニット、26……ヒートローラ、27……加圧ローラ、28……排出センサ、29、30……排出ローラ、31、32……ピンチローラ、33……排出トレイ、39……給紙ユニット外装部、40……給紙ユニット、41……給紙シャフト、42……給紙フレーム、43……給紙ローラ側フレーム支持部、43A……給紙ローラ側軸受嵌合孔、46……軸受、46M……軸受本体部、46F……軸受フランジ部、48……ギヤ、49……カップリング、50……可動シャフト、51……可動部材、51G……可動部材把持部、52……ばね、54……給紙ローラ軸部、54K……給紙ローラゴム保持部、54F……給紙ローラ軸部フランジ、54M……嵌合部、56……給紙ローラゴム、56C……給紙ローラゴム中心、60……給紙サブローラ軸部、60K……給紙サブローラゴム保持部、60F……給紙サブローラ軸部フランジ、60G……給紙サブローラ軸部ギヤ、60S……給紙サブローラ軸部シャフト、60S1……給紙サブローラ軸部シャフト一端部、60S2……給紙サブローラ軸部シャフト他端部、62……給紙サブローラゴム、62C……給紙サブローラゴム中心、64……給紙サブローラ側フレーム支持部、64A……給紙サブローラ側軸受嵌合孔、66……可動部材、66G……可動部材把持部、68……ばね、70……アイドルギヤ、DV……ずれ量、D1……給紙ローラゴム中心端部距離、D2……給紙ローラ軸部フランジ厚さ、D3……カップリング幅、D4……ギヤ幅、D5……軸受フランジ部厚さ、D6……フレーム支持部間距離、D7……給紙サブローラフランジ軸部端部距離、D8……給紙サブローラゴム中心端部距離、P……用紙、Du1……給紙ローラ付勢方向、De1……給紙ローラ退避方向、Du2……給紙サブローラ付勢方向、De2……給紙サブローラ退避方向。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8