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特許7363617通信装置、情報処理方法、およびシステム
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  • 特許-通信装置、情報処理方法、およびシステム 図1
  • 特許-通信装置、情報処理方法、およびシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】通信装置、情報処理方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20231011BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20231011BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20231011BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20231011BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W4/44
H04W48/18 110
H04W88/02 150
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020045274
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150672
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 一成
【審査官】倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-048822(JP,A)
【文献】特開2001-285508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0122788(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0265038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる通信装置であって、
前記通信装置の起動時において前記通信装置が正常に起動した場合、パケット通信方式による通信を開始することと、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、前記通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を回線交換方式によって所定のサーバ装置に送信することと、
を実行する制御部を備え、
前記制御部は、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、先ず、前記通知情報の前記パケット通信方式による前記所定のサーバ装置への送信を実行し、
前記パケット通信方式による前記通知情報の送信に成功した場合、前記回線交換方式よる前記通知情報の送信を実行しない、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が所定回数以上繰り返されたときに、前記通知情報を前記回線交換方式によって前記所定のサーバ装置に送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記パケット通信方式によって前記所定のサーバ装置へ前記通知情報の送信を完了することができなかった場合、前記通知情報のデータ容量を小さくして、前記通知情報を前記回線交換方式によって前記所定のサーバ装置に送信する、
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通知情報は、前記通信装置に生じた異常の原因を特定するためのエラー情報を含む、
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
車両に設けられる通信装置が実行する情報処理方法であって、
前記通信装置の起動時において前記通信装置が正常に起動した場合、パケット通信方式による通信を開始することと、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、前記通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を回線交換方式によって所定のサーバ装置に送信することと、
を含み、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、先ず、前記通知情報の前記パケット通信方式による前記所定のサーバ装置への送信を実行し、
前記パケット通信方式による前記通知情報の送信に成功した場合、前記回線交換方式よる前記通知情報の送信を実行しない、
情報処理方法。
【請求項6】
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が所定回数以上繰り返されたときに、前記通知情報を前記回線交換方式によって前記所定のサーバ装置に送信する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記パケット通信方式によって前記所定のサーバ装置へ前記通知情報の送信を完了することができなかった場合、前記通知情報のデータ容量を小さくして、前記通知情報を前記回線交換方式によって前記所定のサーバ装置に送信する、
請求項5又は6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記通知情報は、前記通信装置に生じた異常の原因を特定するためのエラー情報を含む、
請求項5又は6に記載の情報処理方法。
【請求項9】
車両に設けられる通信装置と、サーバ装置とを含むシステムであって、
前記通信装置は、
前記通信装置の起動時において前記通信装置が正常に起動した場合、パケット通信方式による通信を開始し、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、前記通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を回線交換方式によって前記サーバ装置に送信し、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、先ず、前記通知情報の前記パケット通信方式による前記サーバ装置への送信を実行し、
前記パケット通信方式による前記通知情報の送信に成功した場合、前記回線交換方式よる前記通知情報の送信を実行しない、
システム。
【請求項10】
前記通信装置は、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が所定回数以上繰り返されたときに、前記通知情報を前記回線交換方式によって前記サーバ装置に送信する、
請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記パケット通信方式によって前記サーバ装置へ前記通知情報の送信を完了することができなかった場合、前記通知情報のデータ容量を小さくして、前記通知情報を前記回線交換方式によって前記サーバ装置に送信する、
請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記通知情報は、前記通信装置に生じた異常の原因を特定するためのエラー情報を含む、
請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項13】
前記サーバ装置は、前記通信装置から前記通知情報を受信したとき、前記車両のユーザに関連する端末に前記通信装置に異常が生じていることを通知する、
請求項から12のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、情報処理方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エラーコード出力装置に関する技術が開示されている。特許文献1に開示されているエラーコード出力装置は、稼働用BIOS(Basic Input Output System)を利用してのコンピュータの起動不良が所定回数以上連続して発生した後に、稼働用BIOSの実行に伴うテストプログラムで発生したエラーコードを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-113616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両に設けられる通信装置に異常が生じていることを通知することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る通信装置は、
車両に設けられる通信装置であって、
前記通信装置の起動時において前記通信装置が正常に起動した場合、パケット通信方式による通信を開始することと、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、前記通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を回線交換方式によって所定のサーバ装置に送信することと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第2の態様に係る情報処理方法は、
車両に設けられる通信装置が実行する情報処理方法であって、
前記通信装置の起動時において前記通信装置が正常に起動した場合、パケット通信方式による通信を開始することと、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、前記通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を回線交換方式によって所定のサーバ装置に送信することと、
を含む。
【0007】
本開示の第3の態様に係るシステムは、
車両に設けられる通信装置と、サーバ装置とを含むシステムであって、
前記通信装置は、
前記通信装置の起動時において前記通信装置が正常に起動した場合、パケット通信方式による通信を開始し、
前記通信装置の起動時において前記通信装置の再起動が生じた場合、前記通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を回線交換方式によって前記サーバ装置に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、車両に設けられる通信装置に異常が生じていることを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報管理システムの概略構成を示す図である。
図2】通信装置の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る通信装置の起動時における処理のフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る通信装置の起動時における処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係る通信装置は、車両に設けられる通信装置である。また、本開示の第1の態様に係る通信装置は、パケット通信方式および回線交換方式の少なくとも2つの方式によって通信が可能な機能を有する。そして、通信装置が正常に起動すると、制御部は、パケット通信方式による通信を開始する。ここで、通信装置が異常な状態(故障している状態)にあると、通信装置の起動時に通信装置が再起動を繰り返す場合がある。そこで、通信装置の起動時において再起動が生じた場合、制御部は、通信装置に異常が生じていることを通知するための通知情報を所定のサーバ装置に送信する。しかしながら、通信装置の再起動が繰り返されるような状態では、通信装置から所定のサーバ装置への通知情報の送信に時間がかかると、該通知情報の送信が完了する前に通信装置が再び再起動してしまう場合がある。この場合、所定のサーバ装置が通知情報を正常に受信できないことになる。
【0011】
ここで、通信装置が正常に起動した場合の通信と同様、所定のサーバ装置への通知情報の送信もパケット通信方式によって行うことが考えられる。このとき、パケット通信方式では、送信前に送信対象となる情報を複数のパケットに分割する前処理が行われる。そのため、所定のサーバ装置へ通知情報を送信する場合にも、通知情報を複数のパケットに分割する前処理が必要となる。さらに、通信装置の起動時には種々の情報(本来、通信装置の起動時に送信されるべき情報)がパケット通信方式によって送信される場合がある。そのため、パケット通信方式による通信では、通知情報の送信よりも通知情報以外の情報の送信が優先されてしまう可能性もある。したがって、所定のサーバ装置への通知情報の送信がパケット通信方式によって行われると、該通知情報の送信に時間がかかるために、該通知情報の送信が完了する前に通信装置が再び再起動してしまう虞がある。
【0012】
そこで、本開示の第1の態様に係る通信装置は、制御部が、所定のサーバ装置への通知情報の送信を回線交換方式によって行う。回線交換方式による通信では、パケット通信方式において必要となる上記のような通知情報に対する前処理が不要となる。また、通信装置が正常に起動した際に通信が開始されるパケット通信方式とは異なる回線交換方式を用いることで、通知情報以外の情報よりも優先して通知情報を送信することが可能となる。そのため、制御部が所定のサーバ装置に回線交換方式によって通知情報を送信することで、パケット通信方式によって送信する場合に比べて、該通知情報の送信をより早期に完了させることができる。したがって、通信装置の再起動が繰り返されるような状態において、所定のサーバ装置への通知情報の送信が完了する前に通信装置が再び再起動してしまうことを抑制することができる。その結果、車両に設けられる通信装置に異常が生じていることを通知することが可能になる。
【0013】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限
りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
(システムの概略)
本実施形態における情報管理システム1について図1に基づいて説明する。図1は、情報管理システム1の概略構成を示す図である。情報管理システム1は、車両に搭載されている通信装置100と、通信装置100から送信される情報を管理する管理サーバ200と、を含んで構成されている。情報管理システム1においては、通信装置100と管理サーバ200とは、ネットワークN1およびネットワークN2によって相互に接続されている。
【0015】
ここで、通信装置100と管理サーバ200との間のネットワークN1を介した通信は、回線交換方式によって行われる。ネットワークN1には、例えば、携帯電話等の電話通信網が採用される。また、通信装置100と管理サーバ200との間のネットワークN2を介した通信は、パケット通信方式によって行われる。ネットワークN2には、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)が採用される。このように、通信装置100は、ネットワークN1を介した回線交換方式による通信と、ネットワークN2を介したパケット通信方式による通信と、が可能な機能を有する通信装置である。なお、本実施形態における管理サーバ200が、本開示に係る「所定のサーバ装置」に相当する。
【0016】
通信装置100は、プロセッサ110、主記憶部120、および補助記憶部130を有するコンピュータを含んで構成される。プロセッサ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。主記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部130は、例えば、ROM(Read
Only Memory)である。また、補助記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、またはCD-ROM、DVDディスク、もしくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。また、補助記憶部130は、リムーバブルメディア(可搬記憶媒体)であってもよい。ここで、リムーバブルメディアとして、例えば、USBメモリまたはSDカードが例示される。
【0017】
通信装置100において、補助記憶部130には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。また、通信装置100において、プロセッサ110が、補助記憶部130に記憶されたプログラムを主記憶部120にロードして実行することによって、後述するような各種の機能を実現することができる。ただし、通信装置100における一部または全部の機能はASICまたはFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、通信装置100は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。また、管理サーバ200も通信装置100と同様、コンピュータを含んで構成される。
【0018】
そして、情報管理システム1においては、通信装置100が正常に起動したとき、通信装置100は、ネットワークN2を介した管理サーバ200との通信を開始する。つまり、通信装置100が正常に起動したとき、通信装置100は、パケット通信方式による通信を開始する。通信装置100は、ネットワークN2を介して管理サーバ200と通信することによって、通信装置100の作動に関する情報等を送受信している。通信装置100の作動に関する情報として、通信装置100が正常に起動したことを示す情報等が例示できる。また、通信装置100がネットワークN2を介して管理サーバ200に送信する情報としては、通信装置100が搭載された車両の位置情報を例示することができる。な
お、通信装置100はネットワークN2を介して、管理サーバ200とは異なるサーバとも通信を行ってもよい。
【0019】
ここで、通信装置100が故障によって異常な状態にあると、通信装置100の起動時に通信装置100が再起動を繰り返す場合がある。このような場合において、通信装置100は、通信装置100に異常が生じていることを通知するための通知情報を管理サーバ200に送信する。しかしながら、通信装置100の再起動が繰り返されるような状態では、通信装置100による通知情報の管理サーバ200への送信に時間がかかると、該通知情報の送信が完了する前に、通信装置100が再び再起動してしまう場合がある。この場合、管理サーバ200が通知情報を正常に受信できないことになる。
【0020】
ここで、仮に、通信装置100が正常に起動した場合の通信と同様、通信装置100がネットワークN2を介したパケット通信方式によって通知情報を管理サーバ200に送信するとする。この場合、通知情報の送信に対する前処理として、通知情報を複数のパケットに分割する前処理が必要となる。さらに、上述したように、通信装置100が起動すると、通信装置100の作動に関する情報以外の情報がネットワークN2を介して管理サーバ200に送信される。そのため、通信装置100の再起動時に通知情報を送信しようとしても、ネットワークN2を介した通信では、通知情報の送信よりも通知情報以外の情報の送信が優先されてしまう可能性もある。したがって、管理サーバ200への通知情報の送信がネットワークN2を介して行われると、通知情報の送信に時間がかかるために、該通知情報の送信が完了する前に通信装置100が再び再起動してしまう虞がある。
【0021】
そこで、本実施形態において、通信装置100の起動時に通信装置100が再起動を繰り返した場合、通信装置100は、ネットワークN2とは異なる通信方式によって、通知情報を管理サーバ200に送信する。つまり、通信装置100は、ネットワークN1を介した回線交換方式によって通知情報を管理サーバ200に送信する。回線交換方式による通信では、パケット通信方式において必要となる前処理が不要となる。したがって、通知情報の送信時においても、通知情報を複数のパケットに分割する前処理が行われることなく、通知情報が管理サーバ200に送信される。また、通信装置100が正常に起動した際に種々の情報の送信が開始されるネットワークN2(パケット通信方式)とは異なるネットワークN1(回線交換方式)を用いることで、通知情報のみを管理サーバ200に送信することができる。つまり、通知情報以外の情報よりも優先して通知情報を管理サーバ200に送信することが可能となる。そのため、ネットワークN1を介して通知情報を管理サーバ200に送信することで、ネットワークN2を介して通知情報を送信するよりも、該通知情報の送信をより早期に完了させることができる。
【0022】
(システム構成)
次に、本実施形態に係る情報管理システム1に含まれる、通信装置100の機能構成について図2に基づいて説明する。図2は、通信装置100の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。通信装置100は、制御部101、第1通信部102、第2通信部103、記憶部104、および異常検出部105を含んで構成される。
【0023】
制御部101は、通信装置100を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部101は、プロセッサ110によって実現することができる。第1通信部102は、通信装置100をネットワークN1に接続する機能を有する。また、第2通信部103は、通信装置100をネットワークN2に接続する機能を有する。つまり、第1通信部102を経由して送受信される情報は、回線交換方式によって送受信される。また、第2通信部103を経由して送受信される情報は、パケット通信方式によって送受信される。第1通信部102と第2通信部103とは、無線通信装置によって実現できる。
【0024】
異常検出部105は、通信装置100に生じた異常を検出する機能を有する。また、異常検出部105は、通信装置100に生じた異常の検出時に、通信装置100を再起動させる機能を有する。ここで、通信装置100に生じる異常として、例えば、通信装置100における回路に異常電圧が生じることが例示できる。このとき、異常検出部105は、例えば、サーキットブレーカ等によって実現される。また、通信装置100に生じる異常として、例えば、通信装置100の異常な発熱が例示できる。このとき、異常検出部105は、例えば、熱センサ等によって実現される。なお、通信装置100に生じる異常を検出する装置として、公知の装置を採用することができる。また、異常検出部105が通信装置100を再起動させる方法として、公知の方法を採用することができる。異常検出部105は、例えば、通信装置100の再起動を指示する信号を通信装置100におけるリセット端子に送信することによって、通信装置100を再起動させてもよい。
【0025】
記憶部104は、エラー情報とログ情報とを記憶する機能を有する。記憶部104は、補助記憶部130によって実現できる。ここで、エラー情報は、通信装置100に生じた異常の原因を特定するための情報である。また、ログ情報は、異常検出部105が通信装置100を再起動させたことを示す情報である。異常検出部105は、通信装置100に異常が生じていることを検出すると、エラー情報とログ情報とを生成する。そして、異常検出部105は、通信装置100を再起動させる前に、ログ情報とエラー情報とを記憶部104に記憶させる。
【0026】
(起動時における処理)
次に、本実施形態に係る情報管理システム1において、通信装置100の起動時に制御部101によって実行される処理について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態に係る通信装置100の起動時における処理のフローチャートである。起動時における処理では、先ず、S101において、記憶部104に記憶されているログ情報に基づいて通信装置100が所定回数以上再起動したか否かが判別される。ここで、所定回数は、所定の複数回数であって、通信装置100に異常が生じていることで再起動が繰り返されていると判断することができる回数である。なお、通信装置100の異常によって再起動が生じると、再起動が繰り返されることが想定される場合もある。この場合、所定回数は1回でもよい。
【0027】
S101において肯定判定がされた場合、S102において、第1通信部102によって通信装置100がネットワークN1に接続される。そして、ネットワークN1を介した回線交換方式によって通知情報が管理サーバ200に送信される。ここで、送信される通知情報は記憶部104に記憶されているエラー情報を含んでいる。次に、S103において、第2通信部103によって通信装置100がネットワークN2に接続される。そして、ネットワークN2を介した通信が開始される。ただし、通信装置100の再起動が繰り返されていれば、S103での処理が実行されても、ネットワークN2への接続が遮断されることになる。一方で、通信装置100が再起動を繰り返した後に正常に起動した場合には、S103での処理が実行された以降においては、ネットワークN2を介したパケット通信方式による通信が継続される。そして、起動時における処理は終了される。
【0028】
また、S101において否定判定がされた場合、S103での処理が実行される。つまり、通信装置100の再起動の回数が所定回数未満であるとき、S103での処理が実行される。これにより、通信装置100が正常であって、通信装置100が再起動することなく正常に起動したときには、ネットワークN2を介した通信が開始される。一方で、通信装置100に異常が生じているために再起動が繰り返されている状態のときに、再起動の回数が未だ所定回数未満である場合も、S103での処理が実行される。ただし、この場合は、S103での処理が実行されても、通信装置100が再起動するため、ネットワークN2への接続が遮断されることになる。その後、通信装置100の再起動の回数が所
定回数に達したときに、S101において肯定判定され、ネットワークN1を介して通知情報を送信することになる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態における制御部101は、通信装置100が再起動したとき、ネットワークN1を介した回線交換方式によって通知情報を管理サーバ200に送信する。そのため、上述の通り、ネットワークN2を介したパケット通信方式によって通知情報を送信する場合に比べて、該通知情報の送信をより早期に完了させることができる。したがって、通信装置100の再起動が繰り返されるような状態において、管理サーバ200への通知情報の送信が完了する前に通信装置100が再び再起動してしまうことを抑制することができる。その結果、車両に設けられる通信装置100に異常が生じていることを通知することが可能となる。
【0030】
(変形例)
なお、管理サーバ200は、通信装置100から通知情報を受信したとき、通信装置100が搭載されている車両のユーザに関連する端末に通信装置100に異常が生じていることを通知してもよい。ここで、ユーザに関連する端末として、該ユーザが所持する、スマートフォン、携帯情報端末、またはコンピュータ等が例示できる。ユーザに関連する端末は、管理サーバ200から通信装置100に異常が生じていることを通知されると、それらが有するディスプレイ等の表示部に通信装置100に異常が生じていることを表示してもよい。これにより、通信装置100が搭載されている車両のユーザが通信装置100に異常が生じていることを把握することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態における通信装置100に生じる異常は、電圧異常または異常発熱等のハードウェアに関する異常である。しかしながら、通信装置100に生じる異常は、ハードウェアに関する異常に限られない。通信装置100に生じる異常は、ソフトウェアに関する異常であってもよい。ソフトウェアに関する異常は、例えばウォッチドッグタイマによって検出される。例えば、制御部101がウォッチドッグタイマを一定時間リセットしない場合には、ウォッチドッグタイマはソフトウェアシステムに異常が生じていると判定する。そして、ウォッチドッグタイマは、通信装置100のリセットを指示する信号を制御部101に送信する。そして、通信装置100のリセットを指示する信号を受信した制御部101は、通信装置100を再起動させる。このとき、制御部101は、エラー情報とログ情報とを記憶部104に記憶させる。
【0032】
また、本実施形態における制御部101は、異常検出部105によってログ情報が記憶部104に記憶されることによって、通信装置100が再起動したことを把握する。しかしながら、通信装置100が再起動したことを制御部101が把握する方法については、公知の方法を採用することができる。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態においては、通信装置100は、通信装置100が所定回数再起動したとき、先ず、ネットワークN2を介したパケット通信方式による通知情報の送信を実行する。このとき、ネットワークN2を介した通知情報の送信が完了する前に通信装置100が再起動することによって、通信装置100が通知情報の送信が完了できない場合がある。この場合、通信装置100は、ネットワークN1を介した回線交換方式によって通知情報を管理サーバ200に送信する。
【0034】
制御部101は、ネットワークN2を介した通知情報の送信の完了時に、ネットワークN2を介した通知情報の送信が完了したことを示す完了情報を記憶部104に記憶させる。このとき、第1実施形態において説明したように、制御部101がネットワークN2を介した通知情報の送信を完了する前に、通信装置100が再び再起動してしまう場合があ
る。この場合においては、記憶部104には完了情報が記憶されない。したがって、制御部101は、記憶部104における完了情報の有無によって、パケット通信方式による通知情報の送信が完了したか否かを判別することができる。
【0035】
(起動時における処理)
次に、本実施形態に係る情報管理システム1において、通信装置100の起動時に制御部101によって実行される処理について、図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態に係る通信装置100の起動時における処理のフローチャートである。ここで、本フローチャートにおけるS101からS103での処理は、それぞれ図3に示すフローチャートにおけるS101からS103での処理と同様である。そのため、これらのステップでの処理についての説明は省略する。
【0036】
起動時における処理では、S101において肯定判定された場合、S201において、ログ情報に基づいて通信装置100の今回の再起動の回数が所定回数であるか否かが判別される。S201において肯定判定された場合、S103の処理が実行される。そして、S203において、通知情報に対する前処理が行われてから、ネットワークN2を介したパケット通信方式によって通知情報が管理サーバ200に送信される。このように、制御部101は、通信装置100が所定回数再起動したときには、先ず、ネットワークN2を介して通知情報の送信を行う。そして、ネットワークN2を介した管理サーバ200への通知情報の送信が完了した場合、記憶部104に完了情報が記憶される。一方で、S103およびS203の処理を実行しても、通知情報の送信が完了する前に通信装置100が再起動すると、ネットワークN2への接続が遮断される。この場合、管理サーバ200への通知情報の送信が完了していないため、記憶部104に完了情報は記憶されない。
【0037】
また、S201において否定判定された場合(すなわち、所定回数よりも多く通信装置100が再起動している場合)、S202において、記憶部104に完了情報が記憶されているか否かの判別が実行される。つまり、通信装置100が所定回数再起動したときに、ネットワークN2を介した通知情報の送信が完了したか否かが判別される。S202において肯定判定(完了情報が記憶されていると判定)された場合、S103およびS203での処理が実行される。また、S202において否定判定(すなわち、完了情報が記憶されていないと判定)がされた場合、S102での処理が実行される。これにより、ネットワークN1を介した回線交換方式によって通知情報が管理サーバ200に送信される。
【0038】
このように、本実施形態における制御部101は、通信装置100が所定回数再起動したときに、ネットワークN2を介して通知情報を管理サーバ200へ送信する。そして、制御部101は、ネットワークN2を介した通知情報の送信に成功した場合、ネットワークN1を介した通知情報の送信を実行しない。また、制御部101は、ネットワークN2を介した通知情報の送信に失敗した場合、次回の再起動時にネットワークN1を介した通知情報の送信を実行する。このような方法によっても、車両に設けられる通信装置100に異常が生じていることを通知することが可能になる。
【0039】
(変形例)
なお、回線交換方式による情報の送信においては、パケット通信方式の場合と異なり、送信可能なデータ容量が制限されている場合がある。そこで、制御部101は、ネットワークN2を介した通知情報の送信が完了できなかった場合、通知情報のデータ容量を小さくする。そして、制御部101は、ネットワークN1を介してデータ容量を小さくした通知情報を管理サーバ200に送信する。例えば、管理サーバ200に送信される通知情報に、通信装置100に生じた異常の原因を特定するためのエラー情報が含まれていなくても、通信装置100に異常が生じていること自体を通知することはできる。そこで、ネットワークN2を介した通知情報の送信が完了できなかったために、ネットワークN1を介
して通知情報を送信する場合、通知情報からエラー情報を削除してもよい。これによれば、通知情報がエラー情報を含んでいると通知情報のデータ容量がネットワークN1によって送信可能な上限を超えてしまうような場合であっても、通信装置100に異常が生じていることを管理サーバ200に通知することができる。
【0040】
<その他の実施形態>
上述の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理および手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0041】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0042】
本開示は、上述の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、またはハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、またはブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0043】
1・・・・・情報管理システム
100・・・通信装置
101・・・制御部
102・・・第1通信部
103・・・第2通信部
200・・・管理サーバ
図1
図2
図3
図4