(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/954 20060101AFI20231011BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G01N21/954 A
G01N21/89 Z
(21)【出願番号】P 2020059924
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163857(JP,A)
【文献】特開2012-211836(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218234(JP,U)
【文献】特開2013-195169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
A47K 10/16
B65B 57/10
B07C 1/00 - B07C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒軸に沿って柱状の内部空間を有する筒状のコアの外周に、衛生用紙が巻回されてなるロール状の紙製品を検査対象として良否を判定する装置であって、
前記筒軸に沿って光学的に前記内部空間の状態を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された状態に基づいて前記検査対象の良否を判定する判定部と、を備え
、
前記検査対象は、前記検査対象の長手方向を一定に保持しつつ、前記検査対象の外周面を搬送路に接触させて前記搬送路を転がりながら搬送され、
前記検出部は、前記搬送路に沿って設置され、前記検査対象が前記搬送路を転がりながら搬送される前記検査対象における前記内部空間の状態を検出する
ことを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記筒軸に沿って前記内部空間を光線が貫通するか否かを検出し、
前記判定部は、前記検出部によって前記筒軸に沿って前記内部空間を光線が貫通しないことが検出された場合に、前記検査対象を不良品と判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記検出部によって前記筒軸に沿って前記内部空間を光線が貫通することが検出された場合に、前記検査対象を良品と判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記内部空間に対して一側から他側へ向けて検査光を投光する光電センサを有する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の判定装置。
【請求項5】
前記光電センサは、前記内部空間に対して前記一側に設けられるとともに前記筒軸に沿って前記内部空間の前記一側から前記他側へ向けて検査光を投光する投光部と、前記内部空間に対して前記他側に設けられるとともに前記投光部から投光された検査光を受光する受光部とを有する透過型光電センサである
ことを特徴とする請求項4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記光電センサは、前記内部空間に対して前記一側に設けられるとともに前記筒軸に沿って前記内部空間の前記一側から前記他側へ向けて検査光を投光する投光部と、前記内部空間に対して前記一側に設けられるとともに前記投光部から投光された検査光の反射光を受光する受光部とを有する反射型光電センサである
ことを特徴とする請求項
4に記載の判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記検出部によって検出された出力信号が、一旦減少しその後に増大した後再び減少するように変化した場合の増大時の出力信号の最大レベルを予め設定された閾値と比較して前記良否を判定する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の判定装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記筒軸に沿う光軸で前記内部空間の画像を撮像する撮像部を有する
ことを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載の判定装置
。
【請求項9】
前記搬送路を搬送される前記検査対象が検出箇所に到達したことを検出するトリガー部と、
前記トリガー部によって前記検査対象が前記検出箇所に到達したことが検出された場合に、前記撮像部によって前記内部空間の画像を撮像させるシャッター部と、を備えた
ことを特徴とする請求項
8に記載の判定装置。
【請求項10】
前記判定部によって不良品の前記検査対象が判定されると、不良品と判定された前記検査対象の製造ラインからの排出,前記検査対象が不良品であることの報知,および,不良品と判定された前記検査対象の製造ラインの停止の少なくとも何れかを実施する出力部を備えた
ことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の判定装置。
【請求項11】
筒軸に沿って柱状の内部空間を有する筒状のコアの外周に、衛生用紙が巻回されてなるロール状の紙製品を検査対象として良否を判定する判定工程を有するロール状の紙製品の製造方法であって、
前記判定工程では、請求項1~10の何れか1項に記載の判定装置を用いて良否を判定する
ことを特徴とするロール状の紙製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットロール等の、衛生用紙をコアに巻き取って製品とするロール状衛生用紙のコアの良否を判定する判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、トイレットロール(ロール状のトイレットペーパー)やロール状のペーパータオルなど、衛生用紙をコア(芯管)に巻き取ってロール状の製品としたものがある。
トイレットロールの場合、ジャンボロールから送り出された幅広原紙をワインダーにより長尺のコアに巻き取り、幅広のログを製造し、その後、ログを製品長さに切断することで、製品としてのトイレットロールを得ている。
【0003】
ロール状の衛生用紙の場合、コアに変形や損傷があると、使用に支障を来したり外観を損ねたりするため、不良品として処理しなくてはならない。
そこで、ロール状の衛生用紙のコアの良否を速やかに判定できるようにする技術の開発が望まれている。
【0004】
なお、特許文献1には、コアの良否判定ではないが、ロール状の紙製品について、コア中心に対する巻取りロールの偏心量を、カメラを用いて非接触で計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術は、ロール状の衛生用紙のコアに着目したものではないが、当該技術のように、コアの外周に衛生用紙が巻回されてなるロール状の紙製品自体に接触することなくコアの良否判定を実現できるようにすることが望まれている。
【0007】
本件は、このような課題に着目して創案されたもので、ロール状の紙製品(検査対象)に接触することなくコアの状態を検出して製品の良否判定を行うことができるようにした判定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件の判定装置は、筒軸に沿って柱状の内部空間を有する筒状のコアの外周に、衛生用紙が巻回されてなるロール状の紙製品を検査対象として良否を判定する装置であって、前記筒軸に沿って光学的に前記内部空間の状態を検出する検出部と、前記検出部によって検出された状態に基づいて前記検査対象の良否を判定する判定部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
前記検出部は、前記筒軸に沿って前記内部空間を光線が貫通するか否かを検出し、前記判定部は、前記検出部によって前記筒軸に沿って前記内部空間を光線が貫通しないことが検出された場合に、前記検査対象を不良品と判定することが好ましい。
前記判定部は、前記検出部によって前記筒軸に沿って前記内部空間を光線が貫通することが検出された場合に、前記検査対象を良品と判定することが好ましい。
前記検出部は、前記内部空間に対して一側から他側へ向けて検査光を投光する光電センサを有することが好ましい。
前記光電センサは、前記内部空間に対して前記一側に設けられるとともに前記筒軸に沿って前記内部空間の前記一側から前記他側へ向けて検査光を投光する投光部と、前記内部空間に対して前記他側に設けられるとともに前記投光部から投光された検査光を受光する受光部とを有する透過型光電センサであることが好ましい。
前記光電センサは、前記内部空間に対して前記一側に設けられるとともに前記筒軸に沿って前記内部空間の前記一側から前記他側へ向けて検査光を投光する投光部と、前記内部空間に対して前記一側に設けられるとともに前記投光部から投光された検査光の反射光を受光する受光部とを有する反射型光電センサであることが好ましい。
前記検出部は、前記筒軸に沿う光軸で前記内部空間の画像を撮像する撮像部を有することが好ましい。
前記検出部は、前記検査対象が搬送路を転がりながら搬送される前記検査対象における前記内部空間の状態を検出することが好ましい。
前記搬送路を搬送される前記検査対象が検出箇所に到達したことを検出するトリガー部と、前記トリガー部によって前記検査対象が前記検出箇所に到達したことが検出された場合に、前記撮像部によって前記内部空間の画像を撮像させるシャッター部と、を備えたことが好ましい。
前記判定部によって不良品の前記検査対象が判定されると、不良品と判定された前記検査対象の製造ラインからの排出,前記検査対象が不良品であることの報知,および,不良品と判定された前記検査対象の製造ラインの停止の少なくとも何れかを実施する出力部を備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本件の判定装置によれば、コアの内部空間の状態を光学的に検出することで、ロール状の紙製品に接触することなく製品の良否判定を行うことができ、不良品の出荷を未然に防ぐなど、製品を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る検査対象としてのログ及びログのコアの良否を判定する判定装置を示す斜視図及びブロック図である。
【
図2】各実施形態に係るトイレットロールの製造工程を示す模式的斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る検査対象であるログの内部空間の横断面形状と、これに応じた受光部の出力信号及び判定部の良否判定結果の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係る判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る検査対象であるログの内部空間の横断面形状と、これに応じた受光部の出力信号及び判定部の良否判定結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態としての判定装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、或いは適宜組み合わせることができる。
【0013】
各実施形態では、筒軸に沿って柱状の内部空間を有する筒状のコアの外周に、衛生用紙が巻回されてなるトイレットロール(ロール状のトイレットペーパー)のログを検査対象とする。ただし、検査対象は、トイレットロールのログに限るものではなく、例えばロール状のペーパータオルのログなど、筒軸に沿って柱状の内部空間を有する筒状のコアの外周に、衛生用紙が巻回されたロール状の紙製品に関するものであれば広く適用しうる。また、製品の製造途中のログに限らず、製品自体の検査に適用してもよい。
以下の説明では、まず、判定装置の検査対象に係るトイレットロールの製造工程について説明し、その後、判定装置について説明する。
【0014】
[1]トイレットロールの製造工程
まず、
図2を参照して、各実施形態に係る判定装置を用いたトイレットロールの製造工程を説明する。
図2に示すように、製造工程は、ログ形成工程10と、切断工程20と、包装工程30と、箱詰め工程40とを備えている。各工程では、それぞれ以下の処理を行う。
【0015】
[1-1]ログ形成工程
ログ形成工程10では、幅広原紙2が大径に捲回されたジャンボロール1から幅広原紙2を送り出し、この幅広原紙2をワインダー11により筒状のコア(長尺芯管)31に巻き取ることにより、幅広のロール状衛生用紙であるログ3を得る。このログ3は、製品のトイレットロール4と同一径であるが、長さはジャンボロール1と等しい長さである。また、コア31は、筒軸(コア中心軸)Sに沿った柱状の内部空間32(
図3~
図7参照)を有している。
【0016】
[1-2]切断工程
切断工程20では、まず、ログ3を、一旦、アキュームレーター21に蓄積する。
次いで、アキュームレーター21からログ3を順次取り出して、複数本(この例では2本)のログ3を基台24上に並置して、これらのログ3を並走するように基台24から順次送り出し、切断装置としてのログソー50によって製品長さにカットして、トイレットロール4を得る。なお、並走させるログの数は限定されるものではなく、例えば4本とする場合もある。
【0017】
アキュームレーター21からログ3を基台24上に並置する過程で、ログ3は水平又は略水平な搬送路25上を、その長手方向を一定に保持しつつ、外周面を搬送路25に接触させて転がりながら基台24上の所定位置まで移動する。各実施形態に係る判定装置60A,60Bは、この搬送路25に沿って検出部70A,70Bを装備し、搬送路25を移動中のログ3を検査対象として、このログ3のコア31の内部空間の状態を検出し、コア31の良否を判定する。
【0018】
[1-3]包装工程
図5に示すように、包装工程30では、ログソー50によりカットして得られたトイレットロール4は、例えば、8~24個(4~12個×2段)を1組として包装袋5に挿入し、開口部を封着して包装体6とする。
【0019】
[1-4]箱詰め工程
箱詰め工程40では、複数個の包装体6を一組として段ボール箱7に箱詰めして箱詰め体8として、出荷する。
【0020】
[2]第1実施形態
[2-1]判定装置
第1実施形態に係る判定装置60Aは、
図1に示すように、ログ3が基台24に向けて転がりながら搬送される搬送路25に沿って設置された検出部70Aと、検出部70Aからの検出情報を処理して検査対象のログ3の良否を判定する判定部81Aを有する処理装置80Aとを備えている。
【0021】
図1,
図3に示すように、検出部70Aは、筒軸Sに沿ってコア31の内部空間32を光線が貫通するか否かを検出する。本実施形態では、検出部70Aは、内部空間32に対して一側から他側へ向けて検査光を投光する光電センサ71Aを有している。
【0022】
光電センサ71Aには、内部空間32に検査光を投光する投光部72と、投光部72からの検査光を受光する受光部73とを有する透過型光電センサが適用されている。投光部72は、内部空間32の一側(即ち、搬送路25の一側)に、搬送路25上を転がるコア31の内部空間32の高さに対応した所定の高さで、転がるコア31の筒軸Sに対して平行に内部空間32の一側から他側へ向けて検査光を投光するように配置される。受光部73は、内部空間32の他側(即ち、搬送路25の他側)において、検査光の光軸上に配置されている。
【0023】
光電センサ71Aは、投光部72と受光部73との間に遮蔽物が存在しなければ、受光部73では最大レベル(最大光量)で検査光を受光するが、投光部72と受光部73との間に遮蔽物が存在すると、受光部73では遮蔽物の遮蔽度合いに応じて検査光の受光量が減少する。投光部72と受光部73との間を検査対象のログ3が転がりながら通過すると、受光部73での受光量は、コア31の外周の衛生用紙33の通過で一旦減少し、コア31の内部空間32の通過で増大した後、再びコア31の外周の衛生用紙33の通過で一旦減少する。受光部73では、こうした受光量に対応したレベルの検出信号(例えば電圧)を出力する。
【0024】
処理装置80Aは、例えば、CPU、プログラムや各種データが格納されるハードディスク、プログラムやデータの読み書きに供されるメインメモリ等を含んでなるパーソナルコンピュータにより構成されている。処理装置80Aには、検査対象のログ3の良否を判定する判定部81Aが備えられる。
【0025】
この判定部81Aは、検出部70Aによって内部空間32を光線が貫通しないことが検出された場合に、検査対象のログ3を不良品と判定し、内部空間32を光線が貫通することが検出された場合に、検査対象のログ3を良品と判定する。
本実施形態では、光線が貫通したか否かを、検出部70Aによって検出された光線の光量を予め設定された閾値と比較して判定する。光線の光量が閾値以上であればログ3を良品と判定し、光線の光量が閾値未満であればログ3を不良品と判定する。
【0026】
具体的には、受光部73では、受光した光量に応じたレベルの信号を出力するが、前述のように、光電センサ71Aの前をコア31が通過すると、この出力信号は衛生用紙33の部分の通過で一旦減少し、コア31の内部空間32の通過で増大した後、再び衛生用紙33の部分の通過で一旦減少する。判定部81Aはこのように変動する受光部73からの出力信号のうち、コア31の内部空間32の通過で増大する部分に着目し、例えば、この出力信号が増大する部分の最大レベル(ピーク値)を予め設定された閾値と比較して判定する。
【0027】
図4(a)~(c)は、コア31の内部空間32の横断面形状と、これに対応した受光部73の出力信号と、判定部81Aによる良否判定結果とを、それぞれ上から順に示す図である。
図4(a)はコア31の内部空間32の横断面形状が適正な真円の場合を示し、
図4(b)はコア31が大きく変形して内部空間32の横断面形状が大きく歪んだ場合を示し、
図4(c)はコア31が僅かに変形して内部空間32の横断面形状が僅かに歪んだ場合を示している。
【0028】
図4(a)に示すように、コア31の内部空間32の横断面形状が適正な真円の場合は、光電センサ71Aの前をコア31の内部空間32が通過する際の受光部73からの出力信号が大きく増大し、最大出力信号レベルが閾値レベルを上回る。この場合、判定部81Aでは、検査対象のログ3のコア31を良品と判定する。
【0029】
図4(b)に示すように、コア31が大きく変形して内部空間32の横断面形状が大きく歪んだ場合は、光電センサ71Aの前をコア31の内部空間32が通過する際の受光部73からの出力信号の増大が抑制され、最大出力信号レベルが閾値レベルを下回る。この場合、判定部81Aでは、検査対象のログ3のコア31を不良品と判定する。
【0030】
図4(c)に示すように、コア31が僅かに変形して内部空間32の横断面形状が僅かに歪んだ場合は、光電センサ71Aの前をコア31の内部空間32が通過する際の受光部73からの出力信号の増大がやや抑えられる。このとき、最大出力信号レベルが閾値レベル以上であれば、判定部81Aでは、コア31の変形は許容限度内として、検査対象のログ3のコア31を良品と判定する。
【0031】
また、処理装置80Aは、判定部81Aによって不良品の検査対象が判定されると、不良品と判定された検査対象のログ3が不良品であることの報知、不良品と判定された検査対象のログ3を製造ラインから排出する指令、及び、不良品と判定された検査対象のログ3の製造ラインを停止する指令の、少なくともいずれか1つを実施する出力部82を備えている。
【0032】
本実施形態では、出力部82は、不良品と判定された検査対象のログ3が不良品であることを報知すると共に、不良品と判定された検査対象のログ3を製造ラインから排出する指令を実施する。出力部82は、検査対象のログ3が不良品であることの報知のみを行ってもよく、不良品と判定された検査対象のログ3を製造ラインから排出する指令のみを行ってもよい。また、出力部82は、該当するログ3を製造ラインから排出する指令に替えて、或いはこの指令と共に、該当するログ3の製造ラインの停止を指令してもよい。
【0033】
また、図示しないが、製造ラインの例えば搬送路25の側部に、指定された不良ログを製造ラインから排除する不良品排除装置が備えられ、出力部82から検査対象のログ3を製造ラインから排出する指令があると、不良品排除装置が該当するログ3を製造ラインから排出する。或いは、該当するログ3の製造ラインの停止が指令されたら、製造ラインの作動を監理する図示しない管理装置が、該当するログ3の製造ラインを停止する。
【0034】
[2-2]作用及び効果
本実施形態に係る判定装置によれば、搬送路25上を転がりながら移動中のログ3を検査対象として、このログ3のコア31の内部空間32の状態を光学的に検出して、コア31の良否を判定するので、ログ3に非接触でログ3の移動を妨げることなく良否判定を行うことができる。
【0035】
本実施形態では、検出部70Aによって検出された光線の光量(受光部73で受光した光量に応じた信号レベル)を予め設定された閾値と比較して良否判定を行うので、閾値を操作することで、良否判定基準、即ち、コア31の変形の許容度を変更することができ、製品の種類等に応じて適切な良否判定を実施することができる。
【0036】
コア31の変形が許容度を超える場合には、該当するログ3が不良品であることを報知し、該当するログ3を製造ラインからの排出や、該当するログ3の製造ラインの停止を行なうので、不良品のログ3を用いて不良品のトイレットロールが製造され出荷されてしまうといった事態が回避され、出荷する製品の品質を向上させることができる。
【0037】
[2-3]変形例
本実施形態では、
図1,
図3に示すように、光電センサに、投光部72と受光部73とを有する透過型光電センサ71Aを適用しているが、これに替えて、光電センサに反射型光電センサ71Bを適用してもよい。
【0038】
反射型光電センサ71Bは、
図5に示すように、内部空間32の一側に設けられ筒軸Sに沿って内部空間32の一側から他側へ向けて検査光を投光する投光部74aと、内部空間32の他側に設けられ投光部から投光された検査光を反射させる反射板75と、反射板75からの反射光を受光する受光部74bとを有する。本実施形態では、投光部74aと受光部74bとは、これらが一体化された投受光部74として構成されている。
【0039】
このような反射型光電センサ71Bによっても透過型光電センサ71Aと同様に、ログ3のコア31の内部空間の状態を光学的に検出し、コア31の良否を判定し、ログ3に非接触でログ3の移動を妨げることなく良否判定を行うことができる。
また、切断工程20で切断された各トイレットロール4に対して不良を検知することも考えられるが、各トイレットロール4のコアの状態を検出するには、検出部の配置スペースの確保が困難である上、検査対象の数が膨大に増加するため、極めて高速での検出が必要になり、検出精度の確保も困難になる。この点、ログ3の段階でコア31の状態を検出するため、検出部の配置スペースの確保や検出精度の確保が容易になる。
【0040】
[3]第2実施形態
[3-1]判定装置
第2実施形態に係る判定装置60Bは、検出部70Bと、検出部70Bの検出データを処理する処理装置80Bとが第1実施形態と異なっており、他の部分は第1実施形態と同様に構成されている。そこで、検出部70B及び処理装置80Bについて説明する。
【0041】
図6に示すように、検出部70Bには、第1実施形態の光電センサ71A,71Bに替えて、筒軸Sに沿う光軸で内部空間32の画像を撮像するカメラ(撮像部)76が適用されている。カメラ76は内部空間32の一側に設けられ筒軸Sに沿って内部空間32の一側から他側へ向けて撮像する。内部空間32の他側には、ログ3のコア31の外周の衛生用紙33に対して色識別が良好な所定色のバックボード77が装備される。
【0042】
搬送路25を搬送される検査対象のログ3が検出箇所に到達したことを検出する接近センサ(トリガー部)90がカメラ76の近傍に設けられている。
処理装置80Bは、接近センサ90によって検査対象のログ3が検出箇所に到達したことが検出された場合に、カメラ76に内部空間32の画像を撮像させる撮像指令部(シャッター部)83と、検出部70Bとによって検出された状態に基づいて検査対象のログ3の良否を判定する判定部81Bと、を備えている。
【0043】
したがって、検査対象のログ3が検出箇所に到達したカメラ76によりコア31の内部空間32の画像が撮像され、この撮像された画像から判定部81Bが検査対象のログ3の良否を判定する。
判定部81Bでは、内部空間32の画像を基準画像と比較して内部空間32の形状の変形から良否判定を行ってもよいが、本実施形態では、内部空間32の画像のピクセル数Paを閾値P0と比較して、ピクセル数Paが閾値P0以上(Pa≧P0)であれば良品、ピクセル数Paが閾値P0未満(Pa<P0)であれば不良品と判定する。ピクセル数Paは、コア31の内部空間32の面積に比例するため、内部空間32が真円の場合に値が最大になり、コア31の変形が大きくなるほど値が小さくなる。
【0044】
図7(a)~(c)は、コア31の内部空間32の横断面形状と、これに対応したカメラ76により撮像した内部空間32の画像と、判定部81Bによる良否判定結果とを、それぞれ上から順に示す図である。
図7(a)はコア31の内部空間32の横断面形状が適正な真円の場合を示し、
図7(b)はコア31が大きく変形して内部空間32の横断面形状が大きく歪んだ場合を示し、
図7(c)はコア31が僅かに変形して内部空間32の横断面形状が僅かに歪んだ場合を示している。
【0045】
図7(a)に示すように、コア31の内部空間32の横断面形状が適正な真円の場合は、内部空間32の画像のピクセル数Paは閾値P
0よりも大きく(Pa>P
0)となる。この場合、判定部81Bでは、検査対象のログ3のコア31を良品と判定する。
【0046】
図7(b)に示すように、コア31が大きく変形して内部空間32の横断面形状が大きく歪んだ場合は、内部空間32の画像のピクセル数Paは減少して未満(Pa<P
0)となる。この場合、判定部81Aでは、検査対象のログ3のコア31を不良品と判定する。
【0047】
図7(c)に示すように、コア31が僅かに変形して内部空間32の横断面形状が僅かに歪んだ場合は、内部空間32の画像のピクセル数Paは減少するが減少はわずかでピクセル数Paは閾値P
0以上(Pa≧P
0)となる。この場合、判定部81Bでは、検査対象のログ3のコア31を良品と判定する。
【0048】
[3-2]作用及び効果
本実施形態に係る判定装置によれば、搬送路25上を転がりながら移動中のログ3を検査対象として、このログ3のコア31の内部空間32の状態を、カメラ76を用いて第1実施形態と同様に光学的に検出し、コア31の良否を判定するので、ログ3に非接触でログ3の移動を妨げることなく良否判定を行うことができる。
【0049】
[4]その他
以上、本件に係る実施形態を説明したが、判定装置の構成は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【0050】
例えば、上記の実施形態では、搬送路25を移動中のログ3のコア31の内部空間32の状態を光学的に検出しているが、製造ラインの他の箇所で内部空間32の検出を行ってもよく、また、移動中でなく、停止中に内部空間32の状態を検出してもよい。
【0051】
また、光学的な検出情報を判定に用いる手法も上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態では、内部空間32が通過した時に得られる光電センサ71A,71Bの受光部73,74bの出力信号の最大レベル(ピーク値)に基づいてコア31の状態を判定しているが、内部空間32が通過した時に得られる受光部73,74bの出力信号の平均値や積算値を用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ジャンボロール
2 幅広原紙
3 ログ(紙製品)
4 トイレットロール
5 包装袋
6 包装体
7 段ボール箱
8 箱詰め体
10 ログ形成工程
11 ワインダー
20 切断工程
21 アキュームレーター
24 基台
25 搬送路
30 包装工程
31 コア(長尺芯管)
32 内部空間
40 箱詰め工程
40 箱詰め工程
50 ログソー
60A,60B 判定装置
70A,70B 検出部
71A 透過型光電センサ(光電センサ)
71B 反射型光電センサ(光電センサ)
72,74a 投光部
73,74b 受光部
74 投受光部
75 反射板
76 カメラ(撮像部)
77 バックボード
80A,80B 処理装置
81A 判定部
82 出力部
83 撮像指令部(シャッター部)
90 接近センサ(トリガー部)
S 筒軸