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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20231011BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B65G1/00 521D
B65G1/04 505Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020083692
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021178701
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-02-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮本 康平
(72)【発明者】
【氏名】梶浦 哲宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-027855(JP,U)
【文献】特開2012-096906(JP,A)
【文献】特開平11-292211(JP,A)
【文献】特開2007-297196(JP,A)
【文献】特開2003-065577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに物品が収容される複数の収容部と、前記物品を搬送する搬送装置と、を備えていると共に、前記収容部に向けてフィルタを通過させた気体を供給するファンフィルタユニットが複数の前記収容部のそれぞれに設けられた物品搬送設備において用いられる計測装置であって、
前記搬送装置によって搬送可能、かつ、複数の前記収容部のそれぞれに収容可能に構成された支持部と、
前記支持部に支持されて、パーティクルの量を計測する計測機と、
前記計測機に取り付けられた集気ダクトと、を備え、
前記集気ダクトは、前記支持部が複数の前記収容部のいずれかに収容された状態で、当該収容部に設けられた前記ファンフィルタユニットの気体出口の全体を覆うと共に、当該気体出口から供給された気体を前記計測機の吸引口へ導くように形成され
前記集気ダクトは、前記計測機に対して着脱可能に構成され、
前記ファンフィルタユニットのリーク検査を行う場合には、前記集気ダクトが前記計測機に取り付けられ、
前記搬送装置による前記支持部の搬送範囲における任意の場所において前記支持部の周辺のパーティクルの量を計測する場合には、前記集気ダクトが前記計測機から取り外される、計測装置。
【請求項2】
前記集気ダクトは、前記気体出口を正面から見た正面視で当該気体出口の全体を覆うように、前記気体出口に対向して配置された対向部と、当該対向部から前記計測機の前記吸引口に向かうに従って流路断面積が縮小するように形成されたテーパ部と、を備えている、請求項に記載の計測装置。
【請求項3】
前記計測機の位置を検出する位置検出装置を更に備えている、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記計測機が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報を取得する計測結果取得部と、
前記位置検出装置が検出した前記計測機の位置を示す計測位置情報を取得する位置取得部と、
前記計測結果情報及び前記計測位置情報に基づいて、パーティクルの量が前記物品搬送設備のレイアウトに関連付けて示されたパーティクル情報マップを作成する処理部と、
作業者が操作する操作端末に設けられ、前記処理部で作成した前記パーティクル情報マップを表示する表示部と、を更に備えている、請求項に記載の計測装置。
【請求項5】
作業者が操作する操作端末と、
前記支持部に支持されて、前記計測機が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報を取得可能に構成されていると共に、前記操作端末と無線通信可能に構成された通信ユニットと、を更に備え、
前記通信ユニットは、前記計測結果情報、及び前記計測機の状態を示す計測状態情報を前記操作端末に送信する、請求項1からのいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記通信ユニットは、前記作業者によって前記操作端末に入力された作動指令及び停止指令を受信し、当該指令に応じて、前記計測機の状態を作動状態及び停止状態のいずれかに切り替える、請求項に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれに物品が収容される複数の収容部と、物品を搬送する搬送装置と、を備えていると共に、収容部に向けてフィルタを通過させた気体を供給するファンフィルタユニットが複数の収容部のそれぞれに設けられた物品搬送設備において用いられる計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような計測装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、この背景技術の説明(「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明)では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の計測装置(2)は、搬送装置(40)によって搬送可能、かつ、複数の収容部(22)のそれぞれに収容可能に構成された支持部(4)と、当該支持部に支持されて、パーティクルの量を計測する計測機(16)と、を備えている。
【0004】
特許文献1の計測装置(2)によれば、支持部(4)がいずれかの収容部(22)に収容された状態で、パーティクルの量を計測機(16)によって計測することにより、作業者が収容部(22)に立ち入ることなく、容易に収容部(22)の清浄度を測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-297196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の計測装置(2)が用いられる物品搬送設備では、各ファンフィルタユニット(28)により各収容部の清浄度が適切に維持されているが、いずれかのファンフィルタユニット(28)に異常が生じた場合、当該ファンフィルタユニットが設けられた収容部(22)の清浄度が不十分となるおそれがある。そのため、計測機(16)によって計測されたパーティクルの量が規定の閾値よりも多い場合等であって、ファンフィルタユニット(28)の不具合が予想される場合には、ファンフィルタユニット(28)のフィルタの検査(リーク検査)を行うことがある。
【0007】
このようなファンフィルタユニットのリーク検査は、これまで、作業者が収容部に立ち入り、ファンフィルタユニットの全体に集気ダクトを当てた状態で、当該集気ダクトによって集めたファンフィルタユニットからの供給気体に含まれるパーティクルの量を、計測機を用いて計測する、というような作業を行っていた。しかしながら、作業者が収容部に立ち入る必要があるため、作業が煩雑になったり、清浄度の低下を招いたりするという課題があった。
【0008】
そこで、ファンフィルタユニットのリーク検査を、作業者が収容部に立ち入ることなく遠隔で適切に行うことができる計測装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記に鑑みた、計測装置の特徴構成は、
それぞれに物品が収容される複数の収容部と、前記物品を搬送する搬送装置と、を備えていると共に、前記収容部に向けてフィルタを通過させた気体を供給するファンフィルタユニットが複数の前記収容部のそれぞれに設けられた物品搬送設備において用いられる計測装置であって、
前記搬送装置によって搬送可能、かつ、複数の前記収容部のそれぞれに収容可能に構成された支持部と、
前記支持部に支持されて、パーティクルの量を計測する計測機と、
前記計測機に取り付けられた集気ダクトと、を備え、
前記集気ダクトは、前記支持部が複数の前記収容部のいずれかに収容された状態で、当該収容部に設けられた前記ファンフィルタユニットの気体出口の全体を覆うと共に、当該気体出口から供給された気体を前記計測機の吸引口へ導くように形成され
前記集気ダクトは、前記計測機に対して着脱可能に構成され、
前記ファンフィルタユニットのリーク検査を行う場合には、前記集気ダクトが前記計測機に取り付けられ、
前記搬送装置による前記支持部の搬送範囲における任意の場所において前記支持部の周辺のパーティクルの量を計測する場合には、前記集気ダクトが前記計測機から取り外される点にある。
【0010】
この特徴構成によれば、ファンフィルタユニットの気体出口から供給された気体のほぼ全てを、集気ダクトにより集めて計測機の吸引口へ導くことができる。そのため、例えばファンフィルタユニットが備えるフィルタのごく一部に損傷がある場合であっても、当該損傷に起因して増加するパーティクルの量を計測機によって適切に計測することができる。つまり、ファンフィルタユニットのリーク検査を適切に行うことができる。そして、このような集気ダクトが取り付けられた計測機は支持部に支持されており、搬送装置によって任意の収容部に搬送される。したがって、作業者が収容部に立ち入ってリーク検査のための作業を行う必要がない。このように、本構成によれば、ファンフィルタユニットのリーク検査を、作業者が収容部に立ち入ることなく遠隔で適切に行うことができる。
また、本特徴構成によれば、集気ダクトを計測機に取り付けた場合には、上述したように、支持部が複数の収容部のいずれかに収容された状態で、当該収容部に設けられたファンフィルタユニットのリーク検査を行うことができる。一方、集気ダクトを計測機から取り外した場合には、任意の場所において支持部の周辺のパーティクルの量を計測機によって計測することができる。このように、本構成によれば、ファンフィルタユニットのリーク検査を行う場合と、それ以外で支持部の周辺のパーティクルの量を計測する場合とを、容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る物品搬送設備の平面図
図2】実施形態に係る物品搬送設備の収容倉庫の平面図
図3】実施形態に係る物品の斜視図
図4】実施形態に係る計測装置の一部を示す斜視図
図5】収容部に収容された支持部、及び当該支持部に支持された装置を示す側面図
図6】収容部に収容された支持部、及び当該支持部に支持された装置を示す正面図
図7】実施形態に係る計測装置の構成を示すブロック図
図8】表示部が表示した計測結果情報及び計測状態情報の一例を示す図
図9】パーティクル情報マップの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、実施形態に係る計測装置100について、図面を参照して説明する。計測装置100は、物品搬送設備10において用いられる。
【0013】
まず、物品搬送設備10について説明する。図1に示すように、物品搬送設備10は、それぞれに物品Aが収容される複数の収容部Sと、物品Aを搬送する搬送装置Tと、を備えている。
【0014】
本実施形態では、複数の収容部Sを含む収容倉庫STが、互いに離間して複数配置されている。複数の収容倉庫STのそれぞれは、壁体Wによって周囲を囲まれている。
【0015】
本実施形態では、搬送装置Tは、複数の収容倉庫STのそれぞれに配置され、複数の収容部Sのいずれかとの間で物品Aの受け渡しを行うと共に、レールR1に沿って物品Aを搬送するスタッカクレーンT1と、隣接する一対の収容倉庫STを接続するように配置された倉庫間コンベヤT2と、収容倉庫STへ物品Aを入庫するための入庫コンベヤT3と、収容倉庫STから物品Aを出庫するための出庫コンベヤT4と、物品搬送設備10の天井に設置された天井レールR2に沿って走行し、入庫コンベヤT3及び出庫コンベヤT4との間で物品Aの受け渡しを行う天井搬送車T5と、を含む。
【0016】
スタッカクレーンT1による物品Aの搬送元は、収容部S、倉庫間コンベヤT2、及び入庫コンベヤT3を含む。また、スタッカクレーンT1による物品Aの搬送先は、収容部S、倉庫間コンベヤT2、及び出庫コンベヤT4を含む。
【0017】
図2に示すように、本実施形態では、スタッカクレーンT1は、一対のレールR1に沿って走行する走行台車T11と、当該走行台車T11に立設された一対のマストT12と、当該一対のマストT12に案内された状態で昇降移動する昇降台T13と、当該昇降台T13に取り付けられ、複数の収容部Sのいずれかとの間で物品Aの受け渡しを行う移載機構T14と、を備えている。移載機構T14は、物品Aを下方から支持するフォーク部T14aと、当該フォーク部T14aを収容部Sに対して出退移動させるアーム部T14bと、を備えている。
【0018】
本実施形態では、複数の収容部Sが、レールR1に沿って水平方向に並んで配置されていると共に、鉛直方向に並ぶように複数段に配置されている。また、本例では、複数の収容部Sを備えた収容棚SRが、レールR1を挟んで対向するように配置されている。
【0019】
以下の説明では、収容部SにおけるレールR1に沿う方向を、収容部Sの「幅方向X」とする。また、平面視で幅方向Xに直交する方向を、収容部Sの「奥行方向Y」とする。そして、奥行方向Yにおいて、レールR1の側を「手前側Y1」とし、その反対側を「奥側Y2」とする。また、鉛直方向に沿う方向を「上下方向Z」とする。
【0020】
本実施形態では、複数の収容部Sのそれぞれは、上下方向Zに延在するように形成された複数の支柱S1と、当該複数の支柱S1に固定され、物品Aを下方から支持する支持部材S2と、を備えている。図2に示す例では、奥行方向Yに互いに離間して配置された3本1組の支柱S1が、幅方向Xに離間しつつ幅方向Xに並ぶように複数組設けられている。そして、奥行方向Yに延在する支持部材S2のそれぞれが、各組における手前側Y1の2本の支柱S1に支持されている。幅方向Xに隣り合う2組の支柱S1に支持されて、当該2組の支柱S1の幅方向Xの間において同じ高さに配置された一対の支持部材S2により、収容部Sのそれぞれが構成されている。
【0021】
複数の収容部Sのそれぞれには、ファンフィルタユニットFが設けられている。ファンフィルタユニットFは、対応する収容部Sに向けて清浄気体を供給するように構成されている。具体的には、ファンフィルタユニットFは、ファンF1の回転によって、対応する収容部Sの外部から取り込まれた気体がフィルタF2を通り、対応する収容部Sの内部を向く気体出口Faから放出されるように構成されている。上記の清浄気体は、フィルタF2を通過した気体である。
【0022】
本実施形態では、ファンフィルタユニットFは、対応する収容部Sの奥側Y2から内部に向けて清浄気体を供給するように配置されている。図2に示す例では、ファンフィルタユニットFは、対応する収容部Sにおいて互いに幅方向Xに離間して配置された、最も奥側Y2の一対の支柱S1の間に位置するように、当該一対の支柱S1に支持されている。
【0023】
図3に示すように、本実施形態では、物品Aは、ガラス基板を収容する直方体状の容器である。そして、物品Aは、容器の上面部分を構成する容器上枠部A1と、容器の下面部分を構成する容器下枠部A2と、容器の対向する一対の側面部分のそれぞれを構成する容器側枠部A3と、容器におけるガラス基板を出し入れするための前面部分を構成する容器開口部A4と、容器における前面部分の側とは反対側の後面部分を構成する容器後枠部A5と、を有している。
【0024】
本実施形態では、容器上枠部A1及び容器下枠部A2のそれぞれは、平面視で矩形状の外枠を有する格子状に形成されている。一対の容器側枠部A3のそれぞれは、容器上枠部A1と容器下枠部A2とを連結する複数本(ここでは5本)の縦枠を有している。容器後枠部A5は、容器上枠部A1と容器下枠部A2とを連結する一対の縦枠と、当該一対の縦枠を水平方向に連結する一対の横枠と、を有している。容器開口部A4は、物品A(容器)の内部と外部との間でガラス基板を出し入れするための出入口として構成されている。そのため、容器開口部A4には、例えば容器後枠部A5が有するような枠は設けられていない。
【0025】
また、本実施形態では、物品Aは、各容器側枠部A3の各縦枠から物品Aの内部に向けて水平方向に突出する第1支持部材A3aと、容器後枠部A5の各縦枠から物品Aの内部に向けて水平方向に突出する第2支持部材A5aと、を有している。複数の第1支持部材A3aと複数の第2支持部材A5aとは、互いに同じ高さに配置されており、ガラス基板を下方から支持するように構成されている。そして、このような複数の第1支持部材A3aと複数の第2支持部材A5aとの組が、上下方向Zに沿って複数組配置されている。これにより、物品Aは、複数のガラス基板を上下方向Zの複数段に亘って収納することが可能となっている。
【0026】
図4に示すように、計測装置100は、搬送装置Tによって搬送可能、かつ、複数の収容部Sのそれぞれに収容可能に構成された支持部1と、当該支持部1に支持されて、パーティクルの量を計測する計測機2と、当該計測機2に取り付けられた集気ダクト3と、を備えている。
【0027】
支持部1は、搬送装置Tによって搬送可能、かつ、各収容部Sに収容可能な外形を有している。本実施形態では、支持部1は、搬送装置Tの搬送対象かつ各収容部Sの収容対象である物品Aと同様の外形を有している。具体的には、本実施形態では、支持部1は、容器上枠部A1と同様に構成された上枠部11と、容器下枠部A2と同様に構成された下枠部12と、一対の容器側枠部A3と同様に構成された一対の側枠部13と、容器開口部A4と同様に構成された開口部14と、容器後枠部A5と同様に構成された後枠部15と、を有している。また、本実施形態では、支持部1は、計測機2を支持する支持板16を有している。支持板16は、下枠部12を覆う板状に形成されている。支持板16は、下枠部12に載置された状態で、当該下枠部12に固定されている。
【0028】
なお、支持部1は、物品Aに設けられている複数の第1支持部材A3a及び複数の第2支持部材A5a(図3参照)を有していない。一方で、上述したように、支持部1は、物品Aには設けられていない支持板16を有している。つまり、本実施形態では、複数の第1支持部材A3a及び複数の第2支持部材A5aを物品Aから取り除くと共に、支持板16を物品Aに追加することで、支持部1を形成している。
【0029】
計測機2は、当該計測機2の周囲のパーティクルの量を計測する機器である。本実施形態では、計測機2は、当該計測機2の周囲の気体を吸引口2aから取り込み、当該気体に含まれるパーティクルの粒径及び数量を計測するパーティクルカウンタである。計測機2は、支持部1に支持されている。本実施形態では、計測機2は、支持板16に載置された状態で、当該支持板16に固定されている。また、本実施形態では、計測機2は、支持板16に支持された蓄電装置(図示を省略)と電気的に接続されており、当該蓄電装置を電源として作動する。
【0030】
集気ダクト3は、計測機2の吸引口2aに連通するように、計測機2に取り付けられている。本実施形態では、集気ダクト3は、計測機2に対して着脱可能に構成されている。また、本実施形態では、集気ダクト3は、支持板16から上方に延在するように形成されたダクト支持体3aによって下方から支持されている。集気ダクト3と計測機2との着脱機構としては、例えば、ボルトとナット(或いは雌ねじ)を用いた機構、嵌合を用いた機構、クランプ機構等、公知の各種の機構を用いることができる。
【0031】
図5に示すように、集気ダクト3は、支持部1が複数の収容部Sのいずれかに収容された状態で、当該収容部Sに設けられたファンフィルタユニットFの気体出口Faの全体を覆うと共に、当該気体出口Faから供給された気体を計測機2の吸引口2aへ導くように形成されている。本実施形態では、集気ダクト3は、ファンフィルタユニットFの気体出口Faに対向して配置された対向部31と、気体出口Faから供給された気体を案内するように内面32aがテーパ状に形成されたテーパ部32と、を備えている。
【0032】
テーパ部32の内面32aは、対向部31から計測機2の吸引口2aに向かうに従って先細りとなるテーパ状に形成されている。つまり、テーパ部32は、対向部31から計測機2の吸引口2aに向かうに従って、気体の流路断面積が縮小するように形成されている。
【0033】
図6に示すように、対向部31は、ファンフィルタユニットFの気体出口Faを正面から見た正面視で当該気体出口Faの全体を覆うように、気体出口Faに対向して配置されている。つまり、上記正面視で、集気ダクト3の外縁よりも内側に、ファンフィルタユニットFの気体出口Faが配置されている。
【0034】
図7に示すように、本実施形態では、計測装置100は、計測機2の位置を検出する位置検出装置4と、作業者P(図1参照)が操作する操作端末5と、計測機2と信号を送受信可能に構成されていると共に操作端末5と無線通信可能に構成された第1通信ユニット6と、位置検出装置4と信号を送受信可能に構成されていると共に操作端末5と無線通信可能に構成された第2通信ユニット7と、を更に備えている。
【0035】
本実施形態では、位置検出装置4は、ビーコン信号を発信する発信機41と、当該発信機41から発信されたビーコン信号を受信する複数の受信機42と、を備えている。
【0036】
図4及び図5に示すように、発信機41は、支持部1に支持されている。本実施形態では、発信機41は、支持板16に載置された状態で、当該支持板16に固定されている。複数の受信機42は、互いに規定の距離を空けて、物品搬送設備10の異なる箇所に配置されている。図1に示す例では、一方の収容倉庫STを囲む壁体Wの外側に隣接して1つの受信機42が配置され、他方の収容倉庫STを囲む壁体Wの外側に隣接する2箇所のそれぞれに受信機42が配置されている。このような位置検出装置4として、例えば、発信機41から発信されるビーコン信号を3箇所以上の受信機42により受信し、各受信機42での信号強度に基づいて3点測位の原理で発信機41の位置情報を取得する装置等を採用可能である。
【0037】
第1通信ユニット6は、支持部1に支持されている。本実施形態では、第1通信ユニット6は、支持板16に載置された状態で、当該支持板16に固定されている。図7に示すように、本実施形態では、第1通信ユニット6は、計測機2が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報Irを取得する計測結果取得部61と、当該計測結果取得部61が取得した計測結果情報Irを操作端末5に送信する第1通信部62と、を備えている。このように、第1通信ユニット6は、支持部1に支持されて、計測機2が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報Irを取得可能に構成されていると共に、操作端末5と無線通信可能に構成された「通信ユニット」に相当する。
【0038】
第2通信ユニット7は、物品搬送設備10における規定の箇所に配置されている。本実施形態では、第2通信ユニット7は、位置検出装置4が検出した計測機2の位置を示す計測位置情報Ipを取得する位置取得部71と、当該位置取得部71が取得した計測位置情報Ipを操作端末5に送信する第2通信部72と、を備えている。本実施形態では、位置取得部71は、複数の受信機42の少なくとも一部が受信した、発信機41からのビーコン信号に基づいて、計測機2の位置を示す計測位置情報Ipを算出する。
【0039】
本実施形態では、操作端末5は、作業者Pが入力を行う入力部51と、種々の情報処理を行う処理部52と、当該処理部52が処理した情報を表示する表示部53と、第1通信ユニット6及び第2通信ユニット7と無線通信を行う端末側通信部54と、を備えている。本例では、操作端末5は、入力部51と処理部52と表示部53と端末側通信部54とが一体的に構成されたタブレット型コンピュータである。
【0040】
図8に示すように、本実施形態では、表示部53は、計測機2が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報Ir、計測機2の状態を示す計測状態情報Isを表示する。具体的には、まず、第1通信ユニット6の計測結果取得部61が、計測機2の出力信号に基づいて計測結果情報Ir及び計測状態情報Isを取得する。次に、第1通信ユニット6の第1通信部62が、それら計測結果情報Ir及び計測状態情報Isを端末側通信部54に送信する。そして、処理部52が、端末側通信部54から計測結果情報Ir及び計測状態情報Isを取得し、これら計測結果情報Ir及び計測状態情報Isを表示部53が表示する。このように、本実施形態では、第1通信ユニット6は、計測結果情報Ir、及び計測機2の状態を示す計測状態情報Isを操作端末5に送信する。
【0041】
なお、図8は、タブレット型コンピュータである操作端末5の表示部53に表示された計測結果情報Ir及び計測状態情報Isの一例を示している。図8に示す例では、計測結果情報Irとして、パーティクルの粒径と、当該粒径に対応するパーティクルの数量とが表示されている。また、計測状態情報Isとして、計測機2の電源として機能する上記蓄電装置の残容量(State of Charge)と、計測機2の計測データを記憶する記憶装置の空き容量の比率とが表示されている。
【0042】
本実施形態では、操作端末5は、作業者Pにより入力部51を介して、計測機2を作動させるための作動指令C1と、計測機2を停止させるための停止指令C2とを入力可能に構成されている。図8に示す例では、入力部51と表示部53とが一体化されたタッチパネルに、作動指令C1を入力するための「ON」ボタンと、停止指令C2を入力するための「OFF」ボタンとが表示されている。また、本実施形態では、第1通信ユニット6は、計測機2の状態を切り替える状態切替部63を更に備えている。
【0043】
このような構成において、作業者Pが入力部51を介して作動指令C1又は停止指令C2を入力した場合、当該作動指令C1又は停止指令C2を処理部52が取得する。そして、処理部52が取得した作動指令C1又は停止指令C2を、端末側通信部54が第1通信ユニット6の第1通信部62に送信する。続いて、状態切替部63は、第1通信部62が受信した作動指令C1又は停止指令C2に応じて、計測機2の状態を作動状態及び停止状態のいずれかに切り替える。具体的には、第1通信部62が作動指令C1を受信した場合、状態切替部63は、計測機2の状態を作動状態に切り替える。一方、第1通信部62が停止指令C2を受信した場合、状態切替部63は、計測機2の状態を停止状態に切り替える。このように、本実施形態では、第1通信ユニット6は、作業者Pによって操作端末5に入力された作動指令C1及び停止指令C2を受信し、当該指令C1,C2に応じて、計測機2の状態を作動状態及び停止状態のいずれかに切り替える。
【0044】
また、本実施形態では、処理部52は、計測結果情報Ir及び計測位置情報Ipに基づいて、パーティクル情報マップMを作成する。そして、表示部53は、処理部52で作成したパーティクル情報マップMを表示する。なお、本実施形態では、上述したように、計測位置情報Ipは、第2通信ユニット7により取得され、第2通信部72から端末側通信部54に送信される。そして、処理部52は、端末側通信部54から計測位置情報Ipを取得する。図9に示すように、パーティクル情報マップMは、パーティクルの量が物品搬送設備10のレイアウトに関連付けて示された情報である。図9に示す例では、計測結果情報Irに基づくパーティクルの量が3段階で相対的に表されている。ここでは、計測位置情報Ipに基づく搬送装置Tによる支持部1の搬送経路が矢印で表されている。そして、この矢印が、パーティクルの3段階の量に応じて、3種類の色又は模様が付与された状態で表示されている。
【0045】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、集気ダクト3が計測機2に対して着脱可能である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、集気ダクト3が計測機2と一体的に構成され、集気ダクト3が計測機2から取り外せない構成であっても良い。
【0046】
(2)上記の実施形態では、集気ダクト3が、ファンフィルタユニットFの気体出口Faを正面から見た正面視で当該気体出口Faの全体を覆うように、気体出口Faに対向して配置された対向部31を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、対向部31が、正面視で気体出口Faの一部を覆うように形成された構成としても良い。この場合、ファンフィルタユニットFのリークが発生し易い場所、例えばファンフィルタユニットFの周縁部を覆うように形成されていると好適である。
【0047】
(3)上記の実施形態では、集気ダクト3が、対向部31から計測機2の吸引口2aに向かうに従って流路断面積が縮小するように形成されたテーパ部32を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、テーパ部32が、対向部31から計測機2の吸引口2aに向かうに従って流路断面積が変化しない構成又は増減を繰り返す構成としても良い。
【0048】
(4)上記の実施形態では、位置検出装置4が、発信機41から発信されるビーコン信号を3箇所以上の受信機42により受信し、各受信機42での信号強度等に基づいて3点測位の原理で発信機41の位置情報を取得する装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、位置検出装置4が、発信機41から発信されたビーコンを最も近くで(最も強い信号強度で)受信した受信機42に紐づけられた位置情報を発信機41の位置情報とする、いわゆる近接性方式を用いた装置であっても良い。また、位置検出装置4を備えていない構成としても良い。
【0049】
(5)上記の実施形態では、発信機41が支持部1に支持され、複数の受信機42が物品搬送設備10の異なる箇所に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、発信機41と受信機42との関係を逆にしても良い。すなわち、受信機42が支持部1に支持され、複数の発信機41が物品搬送設備10の異なる箇所に配置されている構成としても良い。
【0050】
(6)上記の実施形態では、パーティクル情報マップMを作成する処理部52が操作端末5に設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、処理部52が第1通信ユニット6又は第2通信ユニット7に設けられていても良い。或いは、処理部52が物品搬送設備10における規定の箇所に配置された別の演算処理装置に設けられていても良い。
【0051】
(7)上記の実施形態では、操作端末5がタブレット型コンピュータである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、操作端末5がデスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータであっても良い。また、操作端末5を備えていない構成としても良い。この場合、第1通信ユニット6及び第2通信ユニット7を備えていなくても良い。
【0052】
(8)上記の実施形態では、第1通信ユニット6が作動指令C1及び停止指令C2に応じて、計測機2の状態を作動状態及び停止状態のいずれかに切り替える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、計測機2の状態を遠隔で切り替えることなく、作業者Pが計測機2を直接操作して状態を切り替える構成としても良い。
【0053】
(9)上記の実施形態では、処理部52が、計測結果情報Ir及び計測位置情報Ipに基づいて、パーティクル情報マップMを作成し、表示部53が、処理部52で作成したパーティクル情報マップMを表示する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、処理部52が、計測結果情報Ir及び計測位置情報Ipに基づいて、パーティクルの量の計測位置と、当該計測位置におけるパーティクルの量とを示す表を作製し、当該表を表示部53が表示する構成としても良い。
【0054】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0055】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した計測装置の概要について説明する。
【0056】
計測装置は、
それぞれに物品が収容される複数の収容部と、前記物品を搬送する搬送装置と、を備えていると共に、前記収容部に向けてフィルタを通過させた気体を供給するファンフィルタユニットが複数の前記収容部のそれぞれに設けられた物品搬送設備において用いられる計測装置であって、
前記搬送装置によって搬送可能、かつ、複数の前記収容部のそれぞれに収容可能に構成された支持部と、
前記支持部に支持されて、パーティクルの量を計測する計測機と、
前記計測機に取り付けられた集気ダクトと、を備え、
前記集気ダクトは、前記支持部が複数の前記収容部のいずれかに収容された状態で、当該収容部に設けられた前記ファンフィルタユニットの気体出口の全体を覆うと共に、当該気体出口から供給された気体を前記計測機の吸引口へ導くように形成されている。
【0057】
この構成によれば、ファンフィルタユニットの気体出口から供給された気体のほぼ全てを、集気ダクトにより集めて計測機の吸引口へ導くことができる。そのため、例えばファンフィルタユニットが備えるフィルタのごく一部に損傷がある場合であっても、当該損傷に起因して増加するパーティクルの量を計測機によって適切に計測することができる。つまり、ファンフィルタユニットのリーク検査を適切に行うことができる。そして、このような集気ダクトが取り付けられた計測機は支持部に支持されており、搬送装置によって任意の収容部に搬送される。したがって、作業者が収容部に立ち入ってリーク検査のための作業を行う必要がない。このように、本構成によれば、ファンフィルタユニットのリーク検査を、作業者が収容部に立ち入ることなく遠隔で適切に行うことができる。
【0058】
ここで、前記集気ダクトは、前記計測機に対して着脱可能に構成されていると好適である。
【0059】
この構成によれば、集気ダクトを計測機に取り付けた場合には、上述したように、支持部が複数の収容部のいずれかに収容された状態で、当該収容部に設けられたファンフィルタユニットのリーク検査を行うことができる。一方、集気ダクトを計測機から取り外した場合には、任意の場所において支持部の周辺のパーティクルの量を計測機によって計測することができる。このように、本構成によれば、ファンフィルタユニットのリーク検査を行う場合と、それ以外で支持部の周辺のパーティクルの量を計測する場合とを、容易に切り替えることができる。
【0060】
また、前記集気ダクトは、前記気体出口を正面から見た正面視で当該気体出口の全体を覆うように、前記気体出口に対向して配置された対向部と、当該対向部から前記計測機の前記吸引口に向かうに従って流路断面積が縮小するように形成されたテーパ部と、を備えていると好適である。
【0061】
この構成によれば、支持部が複数の収容部のいずれかに収容された状態で、当該収容部に設けられたファンフィルタユニットの気体出口から供給された気体のほぼ全てを、集気ダクトにより集めて計測機の吸引口へ導くことができる。したがって、ファンフィルタユニットのリーク検査を精度良く行うことができる。
【0062】
また、前記計測機の位置を検出する位置検出装置を更に備えていると好適である。
【0063】
この構成によれば、計測機がリーク検査を行った位置を測定することができる。したがって、どのファンフィルタユニットのリーク検査を行ったかを容易に把握することができる。
【0064】
前記位置検出装置を備えた構成において、
前記計測機が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報を取得する計測結果取得部と、
前記位置検出装置が検出した前記計測機の位置を示す計測位置情報を取得する位置取得部と、
前記計測結果情報及び前記計測位置情報に基づいて、パーティクルの量が前記物品搬送設備のレイアウトに関連付けて示されたパーティクル情報マップを作成する処理部と、
作業者が操作する操作端末に設けられ、前記処理部で作成した前記パーティクル情報マップを表示する表示部と、を更に備えていると好適である。
【0065】
この構成によれば、表示部に表示されたパーティクル情報マップを作業者が視認することで、物品搬送設備の各所のパーティクルの量を容易に把握することができる。
【0066】
また、作業者が操作する操作端末と、
前記支持部に支持されて、前記計測機が計測したパーティクルの量を示す計測結果情報を取得可能に構成されていると共に、前記操作端末と無線通信可能に構成された通信ユニットと、を更に備え、
前記通信ユニットは、前記計測結果情報、及び前記計測機の状態を示す計測状態情報を前記操作端末に送信すると好適である。
【0067】
この構成によれば、計測機によるパーティクルの量の計測結果と、計測機の状態とを、遠隔で取得することができる。したがって、作業者が計測機を回収する作業等を行うことなく、計測機によるパーティクルの量の計測結果と、計測機の状態とを、容易に取得することができる。
【0068】
前記操作端末と前記通信ユニットとを備えた構成において、
前記通信ユニットは、前記作業者によって前記操作端末に入力された作動指令及び停止指令を受信し、当該指令に応じて、前記計測機の状態を作動状態及び停止状態のいずれかに切り替えると好適である。
【0069】
この構成によれば、作業者が遠隔で計測機の状態を作動状態及び停止状態のいずれかに切り替えることができる。したがって、計測機の状態を作動状態又は停止状態とする作業を容易に行うことができる。また、計測機が蓄電装置を電源として用いている場合には、計測が不要な場合に停止状態とすることで、蓄電装置の電力消費を抑え、計測機の稼働時間を長く確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る技術は、それぞれに物品が収容される複数の収容部と、物品を搬送する搬送装置と、を備えていると共に、収容部に向けてフィルタを通過させた気体を供給するファンフィルタユニットが複数の収容部のそれぞれに設けられた物品搬送設備において用いられる計測装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 :計測装置
1 :支持部
2 :計測機
2a :吸引口
3 :集気ダクト
10 :物品搬送設備
A :物品
S :収容部
T :搬送装置
F :ファンフィルタユニット
Fa :気体出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9