(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】産業車両の制動制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20231011BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20231011BHJP
B60L 7/24 20060101ALI20231011BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231011BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231011BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20231011BHJP
【FI】
B60T8/17 C
B60T7/12 Z
B60L7/24 D
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/10
(21)【出願番号】P 2020168470
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】松木 孝憲
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-20775(JP,A)
【文献】特開2015-30427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60L 15/20
B60L 50/60
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生制動力を生じる走行モータと機械制動力を生じる機械ブレーキとを制動部として備え、前記回生制動力でバッテリが充電される産業車両の制動制御装置であって、
地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記産業車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記産業車両の走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記地図情報と前記位置情報と前記走行情報とに基づいて、前記産業車両の要求減速度の算出を含む自動運転制御を実行する自動運転制御部と、
前記要求減速度に基づいて、前記回生制動力と前記機械制動力との配分を変更可能に前記制動部を制御する制動力制御部と、
を備え、
前記制動力制御部は、
前記地図情報と前記位置情報とに基づいて、前記産業車両が降坂を開始してから所定の第1時間が経過したとの第1条件、又は、前記産業車両が所定勾配以上の下り坂の降坂中であるとの第2条件が満たされるか否かを判定し、
前記産業車両の自動運転中に、前記第1条件又は前記第2条件が満たされた場合、前記第1条件及び前記第2条件の何れもが満たされない場合の第2配分と比べて前記機械制動力の配分が大きい第1配分で前記制動部を制御する、産業車両の制動制御装置。
【請求項2】
前記制動力制御部は、
前記第1条件が満たされてから所定の第2時間が経過したか、又は、前記第2条件が満たされてから前記降坂が終了したとの解除条件が満たされるか否かを判定し、
前記第1配分での前記制動部の制御中に前記解除条件が満たされた場合、前記第1配分での前記制動部の制御を終了する、請求項1に記載の産業車両の制動制御装置。
【請求項3】
前記制動力制御部は、前記走行モータの回生電流に基づいて、前記第1条件又は前記第2条件が満たされるか否かを判定する、請求項1又は2に記載の産業車両の制動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両の制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば限られたエリア内で自動運転可能な電動車として、トーイングトラクタ又はフォークリフト等の産業車両を構成することが試みられている。このような産業車両は、回生制動力を生じる走行モータと機械制動力を生じる機械ブレーキとを制動部として備えており、例えば下り坂を自動運転で走行中に走行モータによる回生によって制動を行うことができる。
【0003】
ところで、産業車両の制動制御装置として、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の産業車両の制動制御装置は、走行モータによる回生電力が充電されるバッテリの端子電圧に基づいて、走行モータの回生トルク指令値を制限するようにインバータ制御装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような自動運転可能な電動車として構成された産業車両では、下り坂の影響として、バッテリが満充電状態ではバッテリ保護のために回生制動力を得られないことがある。しかしながら、自動運転の走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮して予め走行計画が生成されているとは限らないため、バッテリの満充電状態で下り坂のある走行ルートを産業車両が自動運転する場合、回生制動力を得られず、所望の要求制動力と実現できない可能性がある。一方、回生による充電を可能とするために予めバッテリの充電量を制限すると、産業車両の稼働時間が短くなるおそれがある。
【0006】
本発明は、必ずしも自動運転の走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮して予め走行計画を生成することなく、バッテリの満充電状態での下り坂の走行であっても適切に制動することができる産業車両の制動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る産業車両の制動制御装置は、回生制動力を生じる走行モータと機械制動力を生じる機械ブレーキとを制動部として備え、回生制動力でバッテリが充電される産業車両の制動制御装置であって、地図情報を取得する地図情報取得部と、産業車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、産業車両の走行情報を取得する走行情報取得部と、地図情報と位置情報と走行情報とに基づいて、産業車両の要求減速度の算出を含む自動運転制御を実行する自動運転制御部と、要求減速度に基づいて、回生制動力と機械制動力との配分を変更可能に制動部を制御する制動力制御部と、を備え、制動力制御部は、地図情報と位置情報とに基づいて、産業車両が降坂を開始してから所定の第1時間が経過したとの第1条件、又は、産業車両が所定勾配以上の下り坂の降坂中であるとの第2条件が満たされるか否かを判定し、産業車両の自動運転中に、第1条件又は第2条件が満たされた場合、第1条件及び第2条件の何れもが満たされない場合の第2配分と比べて機械制動力の配分が大きい第1配分で制動部を制御する。
【0008】
本発明の一態様に係る産業車両の制動制御装置では、制動力制御部によって制動部が制御される。制動部の制御において、要求減速度に基づいて回生制動力と機械制動力との配分が変更可能である。制動力制御部によって、位置情報と地図情報とに基づいて、産業車両が降坂を開始してから所定の第1時間が経過したとの第1条件、又は、産業車両が所定勾配以上の下り坂の降坂中であるとの第2条件が満たされるか否かが判定される。このような第1条件又は第2条件の判定により、走行ルートを予め定めない自動運転においても、産業車両が下り坂の走行中であることが判定される。また、産業車両の自動運転中に第1条件又は第2条件が満たされた場合、産業車両の自動運転中に第1条件及び第2条件の何れもが満たされない場合の第2配分と比べて機械制動力の配分が大きい第1配分で制動部が制御される。これにより、下り坂の走行中の産業車両において回生電流が抑制されるため、例えば下り坂を通ることを想定して予め充電量を制限することが不要となる。したがって、この産業車両の制動制御装置によれば、必ずしも自動運転の走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮して予め走行計画を生成することなく、バッテリの満充電状態での下り坂の走行であっても、適切に制動することができる。
【0009】
一実施形態において、制動力制御部は、第1条件が満たされてから所定の第2時間が経過したか、又は、第2条件が満たされてから上記降坂が終了したとの解除条件が満たされるか否かを判定し、第1配分での制動部の制御中に解除条件が満たされた場合、第1配分での制動部の制御を終了してもよい。この場合、第1条件が満たされてからの所定時間、又は、第2条件が満たされてからの勾配に基づいて、第1配分での制動部の制御を終了することができる。
【0010】
一実施形態において、制動力制御部は、走行モータの回生電流に基づいて、第1条件又は第2条件が満たされるか否かを判定してもよい。この場合、例えば走行モータの回生電流が所定の電流閾値以上となった場合に産業車両が降坂中であると判定することで、第1条件又は第2条件が満たされるか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、必ずしも自動運転の走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮して予め走行計画を生成することなく、バッテリの満充電状態での下り坂の走行であっても、適切に制動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る産業車両の制動制御装置が適用された産業車両の概略構成図である。
【
図2】
図1の産業車両の制動制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の産業車両の制動制御装置の動作例を示す図である。
【
図4】
図1の産業車両の制動制御装置の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る産業車両の制動制御装置が適用された産業車両の概略構成図である。
図1に示される産業車両1は、例えば電動トーイングトラクタであり、空港、工場内、港湾等で貨物を搭載したコンテナを牽引するために用いられる。
【0015】
産業車両1は、自動運転制御を実行可能に構成されている。自動運転とは、例えば運行管理システム等からの搬送司令に従って自動で産業車両1を走行させる車両制御を実行する運転状態である。運行管理システムは、産業車両1に対し、搬送司令、運行の監視、及び車両状態の監視等を行ういわゆる管制システムである。自動運転では、作業者が運転操作を行う必要が無く、自動で車両が走行する。
【0016】
ここでの自動運転は、例えば空港における滑走路、離着陸区域、誘導路、エプロン、管制塔、格納庫、荷捌き場、充電場等を含む所定のエリアにおいて実施される。産業車両1は、所定のエリア内で、走行ルートを予め定めない自動運転、又は、走行ルートを予め定めるものの走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮しない走行計画を生成する自動運転が可能である。
【0017】
[産業車両1の走行及び制動に係る構成]
産業車両1は、車体の前部に配置されたFLタイヤ2及びFRタイヤ3と、車体の後部に配置されたRLタイヤ4及びRRタイヤ5と、を備えている。産業車両1は、走行モータとして、RLタイヤ4を駆動する左走行モータ6と、RRタイヤ5を駆動する右走行モータ7とを備えている。走行モータは、回生制動力を生じる制動部8としても機能する。
【0018】
左走行モータ6及び右走行モータ7は、発電機としても機能する交流モータである。左走行モータ6とRLタイヤ4との間には、減速機である左ドライブユニット6aが介在している。右走行モータ7とRRタイヤ5との間には、減速機である右ドライブユニット7aが介在している。
【0019】
左走行モータ6は、左モータドライバ6bを介してコンタクタ9と電気的に接続されている。右走行モータ7は、右モータドライバ7bを介してコンタクタ9と電気的に接続されている。左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bは、例えばインバータを有しており、コントローラ10と電気的に接続されている。左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bでは、左走行モータ6及び右走行モータ7の力行及び回生がコントローラ10によって制御される。なお、左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bは、左走行モータ6及び右走行モータ7の回生電流をそれぞれ検出してもよい。
【0020】
コンタクタ9は、バッテリBと電気的に接続されている。また、コンタクタ9は、コントローラ10と電気的に接続されている。コンタクタ9では、非常停止を含むバッテリBの電力供給がコントローラ10によって制御される。
【0021】
バッテリBは、左走行モータ6及び右走行モータ7に対する電力供給源である。バッテリBは、例えば鉛蓄電池で構成され、左走行モータ6及び右走行モータ7の回生制動により生成される回生電力を蓄電可能な蓄電池である。
【0022】
左走行モータ6を回転駆動させると、左走行モータ6の駆動力が左ドライブユニット6aを介してRLタイヤ4に伝わり、RLタイヤ4が回転する。また、左走行モータ6は、発電機としても機能する。具体的には、産業車両1の制動時には、RLタイヤ4の回転によって左走行モータ6が発電機として動作する。つまり、左走行モータ6の回生制動が行われ、左走行モータ6から回生電力が発生すると共に、RLタイヤ4は回生制動力で制動される。
【0023】
右走行モータ7を回転駆動させると、右走行モータ7の駆動力が右ドライブユニット7aを介してRRタイヤ5に伝わり、RRタイヤ5が回転する。また、右走行モータ7は、発電機としても機能する。具体的には、産業車両1の制動時には、RRタイヤ5の回転によって右走行モータ7が発電機として動作する。つまり、右走行モータ7の回生制動が行われ、右走行モータ7から回生電力が発生すると共に、RRタイヤ5は回生制動力で制動される。
【0024】
産業車両1は、制動部8のうちの機械ブレーキとして、車体の前部に配置され、FLタイヤ2及びFRタイヤ3のそれぞれを制動可能に取り付けられたFLディスクブレーキ8a及びFRディスクブレーキ8bを備えている。産業車両1は、車体の後部に配置され、RLタイヤ4及びRRタイヤ5のそれぞれを制動可能に取り付けられたRLドラムブレーキ8c及びRRドラムブレーキ8dを備えている。
【0025】
産業車両1は、ブレーキペダル30と、マスターシリンダ31と、ESCユニット32とを備えている。ブレーキペダル30は、作業者が運転する時(手動運転時)に作業者により踏み込み操作が行われる。
【0026】
マスターシリンダ31は、作業者による踏み込み操作に応じて油圧を発生する。マスターシリンダ31は、ESCユニット32と油圧回路で接続されている。ESCユニット32は、例えば、プロセッサ、モータ、ポンプ、及びバルブが一体となった油圧制御ユニットである。プロセッサは、例えばCPU[Central Processing Unit]等の演算器である。プロセッサは、例えば、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、及び通信インターフェイスを統括的に制御する。
【0027】
ESCユニット32は、コントローラ10と電気的に接続されている。ESCユニット32には油圧センサが内蔵されており、油圧センサによって検出された油圧情報は、コントローラ10に送信される。ESCユニット32は、例えば油圧情報に基づくコントローラ10からの制御信号に応じてコントローラ10によって制御される。
【0028】
ESCユニット32は、FLディスクブレーキ8a及びFRディスクブレーキ8bと前輪制動用の油圧回路33で接続されている。ESCユニット32は、RLドラムブレーキ8c及びRRドラムブレーキ8dと後輪制動用の油圧回路34で接続されている。
【0029】
作業者によりブレーキペダル30が踏み込まれると、マスターシリンダ31のシリンダチューブ内に配置されたピストンが押され、マスターシリンダ31からESCユニット32に作動油が流れ出る。ESCユニット32に流入した作動油は、油圧回路33及び油圧回路34のそれぞれに独立して供給される。これにより、FLディスクブレーキ8a及びFRディスクブレーキ8bに作動油が供給され、FLディスクブレーキ8a及びFRディスクブレーキ8bが作動して、FLタイヤ2及びFRタイヤ3が機械制動力で制動される。また、前輪の制動とは独立して、RLドラムブレーキ8c及びRRドラムブレーキ8dに作動油が供給され、RLドラムブレーキ8c及びRRドラムブレーキ8dが作動して、RLタイヤ4及びRRタイヤ5が機械制動力で制動される。
【0030】
産業車両1は、左走行モータ6及び右走行モータ7のそれぞれを制動可能に取り付けられた左電磁ブレーキ6c及び右電磁ブレーキ7cを備えている。左電磁ブレーキ6c及び右電磁ブレーキ7cは、コントローラ10と電気的に接続されており、産業車両1の駐車時のパーキングブレーキとして用いられる。
【0031】
[産業車両1の自動運転制御及び制動制御に係る構成]
図2は、
図1の産業車両の制動制御装置の機能構成を示すブロック図である。産業車両の制動制御装置100は、産業車両1の制動制御と自動運転制御とを統括するコントローラ10を有している。コントローラ10は、CPU、ROM、RAM等を有する電子制御ユニットである。コントローラ10では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。コントローラ10は、バッテリBの電圧を検出してもよい。なお、コントローラ10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0032】
コントローラ10は、GNSS受信機21、周辺状況センサ22、走行情報センサ23、及び地図データベース24と接続されている。
【0033】
GNSS受信機21は、3個以上のGSNN衛星から信号を受信することにより、産業車両1の地図上の位置(例えば産業車両1の緯度及び経度)を測定する。GNSS受信機21は、測定した産業車両1の位置情報をコントローラ10へ送信する。
【0034】
周辺状況センサ22は、車両の周辺の状況を検出する車載の検出器である。周辺状況センサ22は、カメラ及びライダー[LiDAR:Light Detection And Ranging]を含む。カメラの撮像情報は、例えば、路面パターン認識及びマッチングのために用いられる。ライダーで検出した障害物情報は、例えば、産業車両1の危険回避のために用いられる。周辺状況センサ22は、産業車両1の周辺状況に関する情報をコントローラ10へ送信する。
【0035】
走行情報センサ23は、産業車両1の走行状態を検出する検出器である。走行情報センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサ(ジャイロセンサ)を含む。車速センサは、産業車両1の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、左走行モータ6及び右走行モータ7のそれぞれに設けられ、左走行モータ6の回転速度及び右走行モータ7の回転速度を検出するスピードセンサが用いられる。走行情報センサ23は、検出した走行情報をコントローラ10に送信する。
【0036】
地図データベース24は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース24は、例えば、産業車両1に搭載された記憶装置(例えばHDD[Hard Disk Drive]等)内に形成されている。地図情報には、例えば空港における滑走路、離着陸区域、誘導路、エプロン、管制塔、格納庫、荷捌き場、充電場等を含む所定のエリアにおける情報として、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率、道路の勾配等)、交差点及び分岐点の位置情報、及び構造物の位置情報等が含まれる。地図情報には、産業車両1の位置認識に用いる路面パターンの位置情報が含まれている。なお、地図データベース24は、産業車両1と通信可能なサーバに形成されていてもよい。
【0037】
次に、コントローラ10の機能的構成について説明する。コントローラ10は、地図情報取得部11、位置情報取得部12、走行情報取得部13、自動運転制御部14、及び、制動力制御部15を有している。なお、以下に説明するコントローラ10の機能の一部は、車両と通信可能なサーバにおいて実行される態様であってもよい。
【0038】
地図情報取得部11は、地図データベース24に記憶された地図情報を取得する。地図情報取得部11は、産業車両1の位置認識に用いる路面パターンの位置情報と、道路の勾配情報と、を少なくとも取得する。
【0039】
位置情報取得部12は、GNSS受信機21の受信結果と周辺状況センサ22の検出結果と地図データベース24の地図情報とに基づいて、及び産業車両1の位置情報を取得する。位置情報取得部12は、地図情報に含まれる路面パターンの位置情報と周辺状況センサ22で検出した産業車両1に対する路面パターンの相対位置情報とに基づいて、産業車両1の自己位置を取得する。なお、位置情報取得部12は、例えばSLAM[Simultaneous Localization And Mapping]手法を用いて、産業車両1の自己位置を推定してもよい。
【0040】
走行情報取得部13は、走行情報センサ23の検出結果に基づいて、産業車両1の走行情報を取得する。ここでの走行情報取得部13は、左走行モータ6及び右走行モータ7のそれぞれに設けられたスピードセンサの検出結果に基づいて、産業車両1の車速を取得する。走行情報取得部13は、ジャイロセンサの検出結果に基づいて、産業車両1の向きを取得してもよい。
【0041】
自動運転制御部14は、位置情報と走行情報と地図情報とに基づいて、産業車両1の要求減速度の算出を含む自動運転制御を実行する。自動運転制御部14は、GNSS受信機21の測定した産業車両1の位置情報、地図データベース24の地図情報、周辺状況センサ22の検出結果から認識された産業車両1の周辺状況(障害物の位置等)、及び走行情報センサ23の検出結果から認識された走行状態(車速、ヨーレート等)に基づいて、目標ルートに沿った走行計画を生成する。目標ルートは、運行管理システムの搬送司令等に応じて設定される。
【0042】
自動運転制御部14は、走行計画に沿って自動運転を実行する。走行計画には、例えば、目標速度、要求加速度、及び要求減速度が含まれる。ここでの自動運転制御部14は、左ドライブユニット6a、右ドライブユニット7a、及びESCユニット32に制御信号を送信することで、目標速度、要求加速度、及び要求減速度が実現されるように自動運転制御及び制動制御を実行する。
【0043】
自動運転制御部14は、一例として、産業車両1の位置に応じて目標速度を設定する。自動運転制御部14は、例えば下り坂を産業車両1が降坂する場合において、目標速度を所定の一定速度(例えば15km/h等)に設定すると共に、産業車両1の車速を目標速度で維持するような要求減速度として0の減速度を算出する。この場合、例えば下り坂が一定勾配であれば、必要制動力は略一定の制動力として算出される。必要制動力は、要求減速度を実現するために必要とされる制動力を意味する。
【0044】
制動力制御部15は、要求減速度に基づいて、回生制動力と機械制動力との配分を変更可能に制動部8を制御する。制動力制御部15は、産業車両1の位置情報と地図データベース24の地図情報とに基づいて、回生制動力と機械制動力との配分を変更する。
【0045】
本実施形態において、回生制動力と機械制動力との配分の変更とは、機械制動力を変化させることに応じて回生制動力が変化することを意味する。具体的には、制動力制御部15は、スピードセンサで検出された左走行モータ6及び右走行モータ7のそれぞれの回転速度の変化率に基づいて、回生制動力を算出する。制動力制御部15は、要求減速度(産業車両1の負の加速度)が生じるような目標回転速度を算出し、検出された回転速度の変化率が当該目標回転速度となるように、回生制動力を算出する(例えば所定秒後に回転速度を所定量落とす等)。したがって、機械制動力が併存する場合、機械制動力に起因して生じる減速度分を差し引いた減速度に対応した目標回転速度が算出される。そのため、機械制動力の配分が大きくなるほど、回生制動力の配分は小さくなり、機械制動力の配分が小さくなるほど、回生制動力の配分は大きくなる。
【0046】
制動力制御部15は、例えば産業車両1の位置情報及び産業車両1が走行する道路の勾配情報に基づいて、産業車両1が降坂を開始してから所定の第1時間が経過したとの第1条件、又は、産業車両1が所定勾配以上の下り坂の降坂中であるとの第2条件が満たされるか否かを判定する。第1条件及び第2条件は、回生制動力と機械制動力との配分を変更するか否かを切替えるための条件である。第1条件及び第2条件は、産業車両1が走行する道路の勾配情報に基づいてリアルタイムで判定されることから、必ずしも自動運転の走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮して予め走行計画を生成することなく回生制動を抑制するための条件ということもできる。
【0047】
所定の第1時間は、産業車両1が降坂を開始してから降坂が継続していることを確認するための確認時間に相当する。第1時間は、例えば数秒程度の定数値であってもよいし、下り勾配が大きくなるほど短くなってもよい。
【0048】
所定勾配は、産業車両1が降坂中に回生電流が一定程度以上に大きくなることに相当する勾配の値である。所定勾配は、地図データベース24に基づき取得された勾配情報と比較される。所定勾配は、例えば、所定の回生電流値に相当する下り勾配の大きさとして定数値であってもよいし、バッテリBが満充電に近くなるほど小さい勾配値としてもよい。
【0049】
なお、制動力制御部15は、左走行モータ6及び右走行モータ7の回生電流に基づいて、第1条件又は第2条件が満たされるか否かを判定してもよい。例えば、所定勾配と勾配情報とを比較する手法に代えて、左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bで検出された回生電流(後述の第2配分R2の回生制動による回生電流)に基づいて、産業車両1が降坂中に回生電流が一定程度以上に大きくなっているか否かが判定されてもよい。
【0050】
制動力制御部15は、例えば、産業車両1が平地を走行している場合など、第1条件及び第2条件の何れもが満たされない場合、回生制動力と機械制動力との配分を第2配分として制動部8を制御する。第2配分は、産業車両1が平地の走行中、又は、産業車両1が上記所定勾配未満の下り坂の走行中などに用いられる通常の制動力の配分である。第2配分は、例えば、回生制動力よりも機械制動力を小さくするような配分であってもよい(
図3(a)の符号R2参照)。
【0051】
図3は、
図1の産業車両の制動制御装置の動作例を示す図である。
図3に示されるように、時刻t0から時刻t1までは、例えば産業車両1が平地を走行している場合など、第1条件及び第2条件の何れもが満たされていない。この場合、制動力制御部15は、第2配分R2で制動部8を制御する。なお、
図3の例では、下り坂の勾配が一定であり且つ目標車速が一定であると想定し必要制動力Breqは一定とされているが、必要制動力は時間的に変化してもよい。
【0052】
制動力制御部15は、例えば、産業車両1の自動運転中に、第1条件又は第2条件が満たされた場合、上記第2配分R2と比べて機械制動力の配分が大きい第1配分R1で制動部8を制御する。第1配分R1は、産業車両1が回生制動を抑制すべき下り坂の走行中に用いられる制動力の配分である。第1配分R1は、例えば、回生制動力よりも機械制動力を大きくするような配分であってもよいし、回生制動力をなくして機械制動力のみとするような配分であってもよい(
図3(a)の符号R1参照)。
【0053】
図3の例では、時刻t1にて第1条件又は第2条件が満たされたと制動力制御部15は判定している。時刻t1でのバッテリ電圧V1は、満充電状態のバッテリ電圧VL以下である。つまり、第1条件又は第2条件は、バッテリ電圧VLを超えるバッテリ電圧となる前に制動力制御部15にて充足と判定されるような条件とすることができる。満充電状態のバッテリ電圧VLとは、それ以上充電するとバッテリBが過充電状態となって劣化を招くような上限のバッテリ電圧に相当する。したがって、第1配分R1で制動部8を制御することにより、バッテリBの電圧がバッテリ電圧VLに達することを抑制でき、回生制動中にバッテリBの電圧がバッテリ電圧VLに達してしまって例えばバッテリBの保護のために回生制動が中断されるといった事態を避けることができる。
【0054】
制動力制御部15は、第1条件が満たされてから所定の第2時間が経過したか、又は、第2条件が満たされてから降坂が終了したとの解除条件が満たされるか否かを判定し、第1配分R1での制動部8の制御中に解除条件が満たされた場合、第1配分R1での制動部8の制御を終了する。解除条件は、回生制動力を抑制するように増加させていた機械制動力の配分を元に戻すか否かを切替えるための条件である。
【0055】
所定の第2時間は、産業車両1が降坂を開始してから一定時間が経過したことで降坂が終了しているであろう見込み時間に相当する。第2時間は、第1時間よりも大きい時間であって、例えば10秒程度の定数値であってもよい。
【0056】
第2条件が満たされてから降坂が終了したとは、例えば、地図データベース24に基づき取得された勾配情報に基づいて、第2条件が満たされてからの勾配情報が上記所定勾配未満となったことを意味する。なお、所定勾配と勾配情報とを比較する手法に代えて、左モータドライバ6b及び右モータドライバ7bで検出された回生電流に基づいて上記第2条件を判定していた場合においても、第1配分R1とされることで回生電流が抑制されているため、地図データベース24に基づき取得された勾配情報に基づく手法で降坂が終了したことを判定してもよい。
【0057】
図3の例では、時刻t3にて解除条件が満たされたと制動力制御部15は判定している。時刻t3でのバッテリ電圧は、バッテリ電圧V1よりも小さいバッテリ電圧V2である。制動力制御部15は、時刻t3にて解除条件が満たされたと判定し、第1配分R1での制動部8の制御を終了し、例えば第2配分R1で制動部8を制御するように配分を変化させる。
【0058】
なお、制動力制御部15は、回生制動力と機械制動力との配分を変更する場合、
図3の時刻t1から時刻t2までのように、変更前の配分R2から変更後の配分R1まで連続的に機械制動力の配分を増加させてもよい。同様に、
図3の時刻t3から時刻t4までのように、変更前の配分R1から変更後の配分R2まで連続的に機械制動力の配分を減少させてもよい。これにより、制動部8の回生制動力が機械制動力の変化に追従し易くなるため、急激に配分を変更する場合と比べて、制動部8全体で発生する制動力の安定化を図ることができる。
【0059】
[コントローラ10による演算処理の一例]
次に、コントローラ10による演算処理の一例について説明する。
図4は、
図1の産業車両の制動制御装置の処理例を示すフローチャートである。
図4に示される処理は、例えば産業車両1の自動運転中に実行される。
【0060】
図4に示されるように、コントローラ10は、S01において、位置情報取得部12により、産業車両1の位置情報の取得を行う。位置情報取得部12は、例えば、GNSS受信機21の受信結果と周辺状況センサ22の検出結果と地図データベース24の地図情報とに基づいて、産業車両1の位置情報を取得する。
【0061】
コントローラ10は、S02において、走行情報取得部13により、産業車両1の走行情報の取得を行う。走行情報取得部13は、例えば、走行情報センサ23の検出結果に基づいて、産業車両1の走行情報を取得する。
【0062】
コントローラ10は、S03において、制動力制御部15により、産業車両1の走行する道路の勾配情報の取得を行う。制動力制御部15は、例えば、位置情報取得部12で取得した位置情報と地図データベース24の地図情報に含まれる勾配情報とに基づいて、産業車両1の走行する道路の勾配情報を取得する。なお、制動力制御部15は、左走行モータ6及び右走行モータ7の回生電流(第2配分R2の回生制動による回生電流)に基づいて、産業車両1の走行する道路の勾配情報を取得してもよい。取得した勾配情報は、第1条件又は第2条件が満たされるか否かの判定のために用いられる。
【0063】
コントローラ10は、S04において、自動運転制御部14により、産業車両1の走行計画の取得を行う。自動運転制御部14は、例えば、位置情報取得部12で取得した位置情報と走行情報取得部13で取得した走行情報とに基づいて、産業車両1の走行計画を取得する。自動運転制御部14は、産業車両1と通信可能な運行管理システムで搬送司令として生成された走行計画を取得してもよい。
【0064】
コントローラ10は、S05において、自動運転制御部14により、産業車両1の要求減速度の取得を行う。自動運転制御部14は、例えば、走行情報取得部13で取得した走行情報と自動運転制御部14で取得した走行計画とに基づいて、産業車両1の要求減速度を取得する。
【0065】
コントローラ10は、S06において、制動力制御部15により、第1条件が充足されているか否かの判定を行う。制動力制御部15は、例えば、位置情報と地図情報とに基づいて、産業車両1が降坂を開始してから所定の第1時間が経過したとの第1条件が満たされるか否かを判定する。
【0066】
S06において第1条件が満たされていないと制動力制御部15により判定された場合、コントローラ10は、S07において、制動力制御部15により、第2条件が充足されているか否かの判定を行う。制動力制御部15は、例えば、位置情報と地図情報とに基づいて、産業車両1が所定勾配以上の下り坂の降坂中であるとの第2条件が満たされるか否かを判定する。
【0067】
S07において第2条件が満たされていないと制動力制御部15により判定された場合、コントローラ10は、S08において、制動力制御部15により、第2配分での制動部8の制御を行う。制動力制御部15は、例えば、第2配分で制動部8を制御する。その後、コントローラ10は、
図4の処理を終了する。
【0068】
一方、S06において第1条件が満たされていると制動力制御部15により判定された場合、又は、S07において第2条件が満たされていると制動力制御部15により判定された場合、コントローラ10は、S09において、制動力制御部15により、解除条件が非充足であるか否かの判定を行う。制動力制御部15は、例えば、第1条件が満たされてから所定の第2時間が経過したか、又は、第2条件が満たされてから降坂が終了したとの解除条件が満たされるか否かを判定する。
【0069】
S09において解除条件が非充足ではない(解除条件が満たされている)と制動力制御部15により判定された場合、コントローラ10は、S08の処理を行う。制動力制御部15は、例えば、第1配分での制動部8の制御中に解除条件が満たされた場合、第1配分での制動部8の制御を終了し、第2配分で制動部8を制御する。
【0070】
S09において解除条件が非充足である(解除条件が満たされていない)と制動力制御部15により判定された場合、コントローラ10は、S10の処理を行う。制動力制御部15は、例えば、第1条件及び第2条件の何れもが満たされない場合の第2配分と比べて機械制動力の配分が大きい第1配分で制動部8を制御する。その後、コントローラ10は、
図4の処理を終了する。
【0071】
[作用及び効果]
以上、本実施形態に係る産業車両の制動制御装置100では、制動力制御部15によって制動部8が制御される。制動部8の制御において、要求減速度に基づいて回生制動力と機械制動力との配分が変更可能である。制動力制御部15によって、位置情報と地図情報とに基づいて、産業車両1が降坂を開始してから所定の第1時間が経過したとの第1条件、又は、産業車両1が所定勾配以上の下り坂の降坂中であるとの第2条件が満たされるか否かが判定される。このような第1条件又は第2条件の判定により、走行ルートを予め定めない自動運転においても、産業車両1が下り坂の走行中であることが判定される。また、産業車両1の自動運転中に第1条件又は第2条件が満たされた場合、産業車両1の自動運転中に第1条件及び第2条件の何れもが満たされない場合の第2配分と比べて機械制動力の配分が大きい第1配分で制動部8が制御される。これにより、下り坂の走行中の産業車両1において回生電流が抑制されるため、例えば下り坂を通ることを想定して予め充電量(充電率SOC)を制限することが不要となる。したがって、この産業車両の制動制御装置100によれば、必ずしも自動運転の走行ルートに存在する下り坂の影響を考慮して予め走行計画を生成することなく、バッテリの満充電状態での下り坂の走行であっても、適切に制動することができる。
【0072】
なお、例えば、回生制動力が主体での減速中にバッテリBが満充電状態に達して回生制動が利用不可能となり、制動力が不足する事態(いわゆる回生抜け)が発生することを抑制できる。また、産業車両1では、同等の下り勾配の下り坂であっても、牽引又は荷役している荷の重量に応じて必要制動力の取り得る値が多岐に亘るところ、産業車両の制動制御装置100によれば、必要制動力を全体の制動力として機械制動力の配分を大きくするように制動部8を制御するため、荷の重量に応じて適切に制動することができる。
【0073】
産業車両の制動制御装置100では、制動力制御部15は、第1条件が満たされてから所定の第2時間が経過したか、又は、第2条件が満たされてから上記降坂が終了したとの解除条件が満たされるか否かを判定し、第1配分での制動部の制御中に解除条件が満たされた場合、第1配分での制動部8の制御を終了する。これにより、第1条件が満たされてからの所定時間、又は、第2条件が満たされてからの勾配に基づいて、第1配分での制動部8の制御を終了することができる。
【0074】
産業車両の制動制御装置100では、制動力制御部15は、左走行モータ6及び右走行モータ7の回生電流に基づいて、第1条件又は第2条件が満たされるか否かを判定する。これにより、例えば左走行モータ6及び右走行モータ7の回生電流が所定の電流閾値以上となった場合に産業車両1が降坂中であると判定することで、第1条件又は第2条件が満たされるか否かを判定することができる。
【0075】
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0076】
上記実施形態では、
図1のような電動トーイングトラクタを産業車両1として例示したが、これに限定されず、産業車両1は、例えば電動フォークリフトであってもよいし、ハイブリッド式の産業車両であってもよい。要は、回生制動によるバッテリBの充電が可能であり、回生制動力を生じる走行モータと機械制動力を生じる機械ブレーキとを制動部として備え、要求減速度に基づいて回生制動力と機械制動力との配分を変更可能な産業車両であればよい。
【0077】
また、機械制動力を生じる機械ブレーキのシステムとして、ESCユニット32を用いる構成を例示したが、その他の油圧制御デバイスを用いてもよい。機械ブレーキとしては、油圧を用いたディスクブレーキ及びドラムブレーキに限定されず、左電磁ブレーキ6c及び右電磁ブレーキ7cの制動力を機械制動力として扱ってもよい。
【0078】
産業車両1の自動運転のための構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、周辺状況センサ22にてライダーを用いていたが、別のセンサで代用してもよい。また、地図データベース24の地図情報には勾配情報が含まれていたが、第1条件及び第2条件の判定のために回生電流を用いる場合には、地図データベース24から勾配情報が省かれてもよい。
【0079】
上記実施形態では、
図3に示されるように、制動力制御部15は、回生制動力と機械制動力との配分を、第1配分R1と第2配分R2との2段階のうちの何れかとしたが、3段階以上としてもよい。要は、第1条件又は第2条件が満たされた場合に、第1条件又は第2条件が満たされない場合と比べて、回生制動力が抑制されればよい。
【0080】
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…産業車両、6…左走行モータ(走行モータ)、7…右走行モータ(走行モータ)、8…制動部、8a…FLディスクブレーキ(機械ブレーキ)、8b…FRディスクブレーキ(機械ブレーキ)、8c…RLドラムブレーキ(機械ブレーキ)、8d…RRドラムブレーキ(機械ブレーキ)、10…コントローラ、11…地図情報取得部、12…位置情報取得部、13…走行情報取得部、14…自動運転制御部、15…制動力制御部、100…産業車両の制動制御装置、R1,R2…第2配分、R1…第1配分、R1,R2…配分。