(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】制御方法、サーバ、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20231011BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231011BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20231011BHJP
【FI】
G08G1/127 B
G08G1/16 D
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2020179984
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】東出 宇史
(72)【発明者】
【氏名】宇野 慶一
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-163359(JP,A)
【文献】特開2021-163375(JP,A)
【文献】特開2020-013379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/127
G08G 1/16
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ運行スケジュールに追従するように自動走行する複数の車両の制御方法であって、
サーバが、
第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定すること、
前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2車両による前記第1車両の追い越しが発生したか否かを判定すること、及び
前記追い越しが発生したと判定された場合、前記第1車両の車速に
上限値を設定すること
を含む、制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の制御方法であって、
前記サーバは、前記第1車両が停止しているときに、前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する、制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の制御方法であって、
前記サーバは、前記第1車両と前記第2車両の車間距離が所定値未満になったときに、前記第1車両の車速に前記
上限値を設定する、制御方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の制御方法であって、
前記
上限値は、前記第1車両に予め許容された速度上限値未満である、制御方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の制御方法であって、
前記サーバが、前記追い越しが発生した以降における前記第2車両の車速に基づいて、前記
上限値を動的に変化させることを更に含む、制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法であって、
前記
上限値は、前記追い越しが発生した以降において前記第2車両の車速が基準値以上である場合、前記第2車両の車速を超えないように動的に変化する、制御方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の制御方法であって、
前記第1車両は、車速が前記
上限値を超えない範囲において、前記運行スケジュールに追従するように自動走行する、制御方法。
【請求項8】
それぞれ運行スケジュールに追従するように自動走行する複数の車両と通信する通信部と、制御部と、を備えるサーバであって、
前記制御部は、
第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定し、
前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2車両による前記第1車両の追い越しが発生したか否かを判定し、
前記追い越しが発生したと判定された場合、前記第1車両の車速に
上限値を設定する、サーバ。
【請求項9】
請求項8に記載のサーバであって、
前記制御部は、前記第1車両が停止しているときに、前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する、サーバ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のサーバであって、
前記制御部は、前記第1車両と前記第2車両の車間距離が所定値未満になったときに、前記第1車両の車速に前記
上限値を設定する、サーバ。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載のサーバであって、
前記
上限値は、前記第1車両に予め許容された速度上限値未満である、サーバ。
【請求項12】
請求項8から11の何れか一項に記載のサーバであって、
前記制御部は、前記追い越しが発生した以降における前記第2車両の車速に基づいて、前記
上限値を動的に変化させる、サーバ。
【請求項13】
請求項12に記載のサーバであって、
前記制御部は、前記追い越しが発生した以降において前記第2車両の車速が基準値以上である場合、前記
上限値が前記第2車両の車速を超えないように前記
上限値を動的に変化させる、サーバ。
【請求項14】
それぞれ運行スケジュールに追従するように自動走行する複数の車両と、前記複数の車両と通信するサーバと、を備えるシステムであって、
前記サーバは、
第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定し、
前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2車両による前記第1車両の追い越しが発生したか否かを判定し、
前記追い越しが発生したと判定された場合、前記第1車両の車速に
上限値を設定する、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記サーバは、前記第1車両が停止しているときに、前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する、システム。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のシステムであって、
前記サーバは、前記第1車両と前記第2車両の車間距離が所定値未満になったときに、前記第1車両の車速に前記
上限値を設定する、システム。
【請求項17】
請求項14から16の何れか一項に記載のシステムであって、
前記
上限値は、前記第1車両に予め許容された速度上限値未満である、システム。
【請求項18】
請求項14から17の何れか一項に記載のシステムであって、
前記サーバは、前記追い越しが発生した以降における前記第2車両の車速に基づいて、前記
上限値を動的に変化させる、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
前記サーバは、前記追い越しが発生した以降において前記第2車両の車速が基準値以上である場合、前記
上限値が前記第2車両の車速を超えないように前記
上限値を動的に変化させる、システム。
【請求項20】
請求項14から19の何れか一項に記載のシステムであって、
前記第1車両は、車速が前記
上限値を超えない範囲において、前記運行スケジュールに追従するように自動走行する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御方法、サーバ、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動走行する複数の車両を制御する技術が知られている。例えば特許文献1には、運行計画に従って自動運転を行う電動車両について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動走行する複数の車両を制御する技術には改善の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、自動走行する複数の車両を制御する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る制御方法は、
それぞれ運行スケジュールに追従するように自動走行する複数の車両の制御方法であって、
サーバが、
第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定すること、
前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2車両による前記第1車両の追い越しが発生したか否かを判定すること、及び
前記追い越しが発生したと判定された場合、前記第1車両の車速に制限値を設定することを含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係るサーバは、
それぞれ運行スケジュールに追従するように自動走行する複数の車両と通信する通信部と、制御部と、を備えるサーバであって、
前記制御部は、
第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定し、
前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2車両による前記第1車両の追い越しが発生したか否かを判定し、
前記追い越しが発生したと判定された場合、前記第1車両の車速に制限値を設定する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るシステムは、
それぞれ運行スケジュールに追従するように自動走行する複数の車両と、前記複数の車両と通信するサーバと、を備えるシステムであって、
前記サーバは、
第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定し、
前記第1車両が前記運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2車両による前記第1車両の追い越しが発生したか否かを判定し、
前記追い越しが発生したと判定された場合、前記第1車両の車速に制限値を設定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、自動走行する複数の車両を制御する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る輸送サービスの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、複数の車両10と、サーバ20と、を備える。複数の車両10及びサーバ20は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク30を介して互いに通信可能である。車両10は、例えばバス等の旅客自動車であるが、これに限られず人間が乗車可能な任意の車両であってもよい。車両10は、例えば一定の基準を満たす環境下又はあらゆる環境下で、ステアリング操作及び加減速操作を自動的に実行可能である。車両10は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル3乃至5等の自動運転が可能であってもよい。サーバ20は、例えばコンピュータ等の情報処理装置である。
【0013】
本実施形態において複数の車両10は、循環ルートを走行する循環バスとして用いられる。サーバ20は、複数の車両10に対して運行スケジュールを通知することによって、複数の車両10の運行管理を行う。複数の車両10は、サーバ20から通知される運行スケジュールに従って運行する。
【0014】
図2を参照して、運行スケジュールに従って運行する各車両10の動作の概要について説明する。複数の車両10のそれぞれは、拠点から循環ルートに投入されると、循環ルートを時計回りに走行しながら、循環ルート上の各バス停X~Zで乗客を乗降させ得る。
図2においては、3台の車両10a~10cが循環ルートを走行中である。複数の車両10のそれぞれは、循環ルートに投入されてから規定周n(nは2以上の自然数。本実施形態では、n=4周)を走行すると、拠点に戻って他の待機中の車両10と交代する。ここで「交代」とは、車両10が循環ルートから拠点に戻るとともに、待機中の他の車両10が拠点から循環ルートに投入されることを示す。以下、車両10が待機中の他の車両10と交代することを「通常入替」ともいう。
図2においては、2台の車両10d~10eが拠点で待機中である。複数の車両10のそれぞれは、循環ルートから拠点に戻ると、例えば燃料補給及びメンテナンス等の作業を受けた後に拠点で待機する。
【0015】
図3を参照して、運行スケジュールについて具体的に説明する。
図3は、7台の車両10a~10gのそれぞれに割り当てられた運行スケジュールを示す。図中の横軸は時刻を示す。時刻=0は、複数の車両10を用いた輸送サービスの営業開始時刻である。右向の矢印が図示されている期間は、車両10が循環ルートを走行中であることを示す。当該矢印の長さは、車両10が循環ルートを1周するのに要する時間(本実施形態では、3t)を示す。当該矢印の内部の数値は、車両10が循環ルートに投入されてから何周目を走行中であるかを示す。内部の数値が「1」である矢印の左端に相当する時刻は、車両10が拠点から循環ルートに投入される時刻を示す。また、当該矢印の右端に相当する時刻は、当該矢印の右側に連続して次の矢印が存在しない場合には、車両10が循環ルートから拠点に戻る時刻を示す。
【0016】
図3に示す運行スケジュールが適用される場合、例えば車両10aは、時刻=0において拠点から循環ルートに投入され、時刻=12tにおいて規定周n(ここでは、n=4周)を走行し終えると拠点に戻り、待機中の車両10dと交代する。車両10dは、時刻=12tにおいて拠点から循環ルートに投入され、時刻=24tにおいて規定周n(ここでは、n=4周)を走行し終えると拠点に戻り、待機中の車両10aと交代する。このようにして、車両10a及び10gは互いに交代しながら運行する。同様に、車両10b及び車両10eが互いに交代しながら運行し、車両10c及び車両10fが互いに交代しながら運行する。ここで、車両10bは時刻=4tにおいて循環ルートに投入され、車両10cは時刻=8tにおいて循環ルートに投入される。
【0017】
結果として、運行スケジュールによれば、時刻=8t以降においては循環ルートを走行中の車両10の台数が規定台数a(ここでは、a=3)に維持される。また、時刻=8t以降においては循環ルートを走行中のa台の車両10が循環ルート上で略等間隔に配置される。また、上述した通常入替が、時刻=12t以降において規定周期P(ここでは、P=4t)で1回ずつ発生する。また、時刻=8t以降においては循環ルートを走行中のa台の車両10の間で同一周目の車両10が同時に複数存在しない(すなわち、循環ルートを走行中のa台の車両10の間で、走行中の周数が互いに異なる)ことになる。例えば、時刻=8tにおいて循環ルートを走行中の車両10a、10b、及び10cは、それぞれ3周目、2周目、及び1周目を走行中である。同一周目の車両10が同時に複数存在しないため、車両10が循環ルートを1周するために要する時間(ここでは、3t)よりも規定周期Pを長くすることができる。通常入替の発生する規定周期Pを長くすることにより、車両10が循環ルートから拠点に戻る頻度(例えば、通常入替が発生する頻度)が低減するので、拠点に戻った車両10に対して燃料補給及びメンテナンス等の作業を行う時間的余裕が増大する。
【0018】
なお例外的に、車両10eは、時刻=tにおいて循環ルートに投入され、時刻=4tにおいて車両10bと交代する。また例外的に、車両10fは、時刻=2tにおいて循環ルートに投入され、時刻=8tにおいて車両10cと交代する。
【0019】
結果として、運行スケジュールによれば、時刻=2t以降においては循環ルートを走行中の車両10の台数が規定台数a(ここでは、a=3)に維持される。また、時刻=2t以降においては循環ルートを走行中のa台の車両10が循環ルート上で略等間隔に配置される。また、上述した通常入替が、時刻=4t以降において規定周期P(ここでは、P=4t)で1回ずつ発生する。なお、輸送サービスの営業開始時刻から一定期間(ここでは、時刻=0から時刻=8tまでの期間)においては例外的に、同一周目の車両10が同時に複数存在することになる。例えば、時刻=5tにおいて循環ルートを走行中の車両10a及び10fは、いずれも2周目を走行中である。しかしながら、通常入替の発生する周期を規定周期P(ここでは、P=4t)に維持すべく、当該一定期間において例外的に投入される車両10e及び10fは、規定周n(ここでは、n=4周)を走行し終える前にそれぞれ車両10b及び車両10cと交代する。
【0020】
本実施形態において、複数の車両10のそれぞれは、運行スケジュールに追従するように自動走行する。具体的には、複数の車両10のそれぞれには、予め許容された速度上限値が設定されている。循環ルートを走行中の車両10は、例えば運行スケジュールに対して遅延している場合、遅延を低減し又は解消するために、車速が速度上限値を超えない範囲において加速し得る。
【0021】
ここで、例えばバス停に停車している第1の車両10に比較的大きな遅延が発生し、運行スケジュール通りに運行している第2の車両10が第1の車両10を追い越した場合を考える。かかる場合、バス停を出発した第1の車両10が遅延を低減し又は解消するために加速すると、第2の車両10を追い越し返す可能性がある。しかしながら、追い越しを行う際の自動運転制御は、通常走行時の自動運転制御と比較して処理の負荷及び難度が高い。このため、車両10同士での追い越しの発生回数が増すことは、安全性の観点から望ましくない場合がある。
【0022】
これに対して、本実施形態に係るサーバ20は、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する。サーバ20は、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2の車両10による第1の車両10の追い越しが発生したか否か(すなわち、第2の車両10が第1の車両10を追い越したか否か)を判定する。そしてサーバ20は、第2の車両10による追い越しが発生したと判定された場合、第1の車両10の車速に制限値を設定する。
【0023】
かかる構成によれば、第2の車両10に追い越された第1の車両10が、遅延を低減し又は解消するために加速した場合であっても、第2の車両10を追い越し返す可能性が低減する。したがって、車両10同士での追い越しの発生回数が減少し安全性が向上する点で、自動走行する複数の車両10を制御する技術が改善される。
【0024】
次に、システム1の各構成について詳細に説明する。
【0025】
(車両の構成)
図4に示すように、車両10は、通信部11と、測位部12と、撮像部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。
【0026】
通信部11は、ネットワーク30に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)若しくは5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られない。本実施形態において、車両10は、通信部11及びネットワーク30を介してサーバ20と通信する。
【0027】
測位部12は、車両10の位置情報を取得する1つ以上の装置を含む。具体的には、測位部12は、例えばGPSに対応する受信機を含むが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応する受信機を含んでもよい。
【0028】
撮像部13は、1つ以上のカメラを含む。撮像部13に含まれる各カメラは、例えば車外又は車内の被写体を撮像可能となるように車両10に設けられてもよい。撮像部13によって生成される画像は、例えば車両10の自動運転制御に利用され得る。
【0029】
記憶部14は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部14に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部14は、車両10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部14は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部14に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0030】
制御部15は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部15は、車両10全体の動作を制御する。例えば、制御部15は、サーバ20から通知された運行スケジュールに従って、車両10の運行を制御する。
【0031】
(サーバの構成)
図5に示すように、サーバ20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0032】
通信部21は、ネットワーク30に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、サーバ20は、通信部21を介して車両10と通信する。
【0033】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含む。記憶部22に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、サーバ20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、地図情報、及び複数の車両10の運行スケジュール等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0034】
制御部23は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部23は、サーバ20全体の動作を制御する。制御部23によって制御されるサーバ20の動作の詳細については後述する。
【0035】
(サーバの動作フロー)
図6を参照して、本実施形態に係るサーバ20の動作について説明する。
【0036】
ステップS100:サーバ20の制御部23は、複数の車両10の運行スケジュールを記憶部22に記憶する。運行スケジュールは、例えば制御部23によって自動的に生成されてもよく、オペレータによって入力されてもよく、或いは通信部21及びネットワーク30を介して外部装置から取得されてもよい。
【0037】
ここでは、
図3に示す例に即して具体的に説明する。ステップS100で記憶される運行スケジュールは、上述したように、複数の車両10を用いた輸送サービスの営業開始時刻から一定期間(ここでは、時刻=0から時刻=2tまでの期間)を除き、循環ルートを走行中の車両10の台数が規定台数a(ここでは、a=3)に維持されるように定められている。また、運行スケジュールは、営業開始時刻から一定期間(ここでは、時刻=0から時刻=2tまでの期間)を除き、循環ルートを走行中のa台の車両10が循環ルート上で略等間隔に配置されるように定められている。また、営業開始時刻から一定期間(ここでは、時刻=0から時刻=8tまでの期間)を除き、同一周目の車両10が同時に複数存在しないように定められている。また、当該運行スケジュールは、規定周n(ここでは、n=4周)を走行し終えた車両10と他の車両10との交代が規定周期P(ここでは、P=4t)で1回ずつ発生するように定められている。
【0038】
ステップS101:制御部23は、複数の車両10の状態の監視を開始する。
【0039】
具体的には、制御部23は、通信部21及びネットワーク30を介して、複数の車両10のそれぞれと通信可能に接続する。制御部23は、ステップS100の運行スケジュールを複数の車両10に通知する。複数の車両10のそれぞれは、サーバ20から通知された運行スケジュールに従って運行する。そして制御部23は、例えば定期的に又は任意のタイミングで、各車両10から車両情報を受信することによって、各車両10の状態を監視する。車両情報は、車両10の位置情報を含むがこれに限られず、例えば車両10の車速、運行スケジュールとの乖離(例えば、遅延時間)を示す情報、及び他の車両10を追い越したことを示す情報等、車両10に関する任意の情報を含んでもよい。
【0040】
ステップS102:制御部23は、監視中に複数の車両10から取得される車両情報に基づいて、循環ルート上の第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する。第1の車両10が遅延していると判定した場合(ステップS102-Yes)、プロセスはステップS103に進む。一方、第1の車両10が遅延していないと判定した場合(ステップS102-No)、プロセスはステップS102を繰り返す。
【0041】
ステップS103:ステップS102で第1の車両10が遅延していると判定した場合(ステップS102-Yes)、制御部23は、循環ルート上の第2の車両10による第1の車両10の追い越しが発生したか否か(すなわち、第2の車両10が第1の車両10を追い越したか否か)を判定する。第2の車両10による追い越しが発生したと判定した場合(ステップS103-Yes)、プロセスはステップS104に進む。一方、第2の車両10による追い越しが発生していないと判定した場合(ステップS103-No)、プロセスはステップS102に戻る。
【0042】
なお、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延している場合であっても走行中である場合には、後続の第2の車両10による追い越しが発生する可能性が比較的低い。このため、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延しているが走行中である場合には、ステップS102とS103が繰り返し実施されることとなってしまい、制御部23の処理負荷が不要に増加してしまう可能性がある。
【0043】
これに対して本実施形態では、上述したステップS102における判定が、第1の車両10が例えばバス停で停止しているときに実行されてもよい。具体的には、ステップS102において制御部23は、第1の車両10が停止しているときに、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する。一方、制御部23は、第1の車両10が停止していない場合、第1の車両10が遅延しているか否かの判定を留保する。かかる構成によれば、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延しているが走行中である場合であっても、ステップS102とS103が繰り返し実施される可能性が低減されるので、制御部23の処理負荷が不要に増加してしまう可能性が低減する。
【0044】
ステップS104:ステップS103で第2の車両10による追い越しが発生したと判定した場合(ステップS103-Yes)、制御部23は、第1の車両10の車速に制限値を設定する。
【0045】
具体的には、制御部23は、通信部21及びネットワーク30を介して第1の車両10に制限値を通知することにより、第1の車両10の車速に制限値を設定する。なお制限値は、第1の車両10に予め許容された速度上限値未満である。第1の車両10は、車速が通知された制限値を超えない範囲で自動走行する。
【0046】
ここで、ステップS104における制限値の設定は、第1の車両10と第2の車両10の車間距離が所定値未満になったときに実行されてもよい。具体的には、制御部23は、例えば第1の車両10及び第2の車両10の位置情報に基づいて車間距離を算出する。制御部23は、算出された車間距離が所定未満になったときに、第1の車両10の車速に制限値を設定する。かかる構成によれば、第1の車両10による第2の車両10の追い越しが発生してしまう可能性を低減しつつ、第1の車両10の遅延を一定程度解消し得る。
【0047】
ステップS105:制御部23は、第2の車両10による第1の車両10の追い越しが発生した以降における第2の車両10の車速に基づいて、第1の車両10の車速の制限値を動的に変化させる。
【0048】
詳細には、制御部23は、第2の車両10による追い越しが発生した以降において第2の車両10の車速が基準値以上である場合、第1の車両10の車速の制限値を、第2の車両10の車速を超えないように動的に変化させる。なお基準値は、第2の車両10に予め許容された速度上限値未満である。かかる構成によれば、第2の車両10の車速が基準値未満である場合(例えば、第2の車両10が停止又は徐行している場合等)を除き、第1の車両10の車速が第2の車両10の車速を超えることがない。このため、第1の車両10による第2の車両10の追い越しが発生してしまう可能性を低減しつつ、第1の車両10の遅延を一定程度解消し得る。
【0049】
上記のステップS105に係る動作は、例えば第1の車両10が循環ルートから拠点に戻るまで継続的に実施される。
【0050】
以上述べたように、本実施形態に係るサーバ20は、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延しているか否かを判定する。サーバ20は、第1の車両10が運行スケジュールに対して遅延していると判定された場合、第2の車両10による第1の車両10の追い越しが発生したか否かを判定する。そしてサーバ20は、第2の車両10による追い越しが発生したと判定された場合、第1の車両10の車速に制限値を設定する。
【0051】
かかる構成によれば、第2の車両10に追い越された第1の車両10が、遅延を低減し又は解消するために加速した場合であっても、第2の車両10を追い越し返す可能性が低減する。したがって、車両10同士での追い越しの発生回数が減少し安全性が向上する点で、自動走行する複数の車両10を制御する技術が改善される。
【0052】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態において、サーバ20の構成及び動作を、互いに通信可能な複数の情報処理装置に分散させた実施形態も可能である。また例えば、サーバ20の一部又は全部の構成要素を車両10に設けた実施形態も可能である。
【0054】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係るサーバ20として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係るサーバ20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本実施形態に係る発明は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 システム
10、10a~10g 車両
11 通信部
12 測位部
13 撮像部
14 記憶部
15 制御部
20 サーバ
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 ネットワーク