(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20231011BHJP
F04C 27/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F04B39/00 104Z
F04C27/00
(21)【出願番号】P 2020183214
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】島田 賢
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
(72)【発明者】
【氏名】榊原 健吾
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/123130(WO,A1)
【文献】特開2005-188441(JP,A)
【文献】実開昭59-175656(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するインバータと、
前記圧縮部及び前記電動モータを収容する第1室、及び前記インバータを収容する第2室を有するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記第1室を区画する第1部材及び第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材と協働して前記第2室を区画する第3部材と、を有し、
前記第1部材は、第1面と、前記第1面に対して交差する方向に延びる第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続するとともに前記第1面及び前記第2面それぞれに対して交差する方向に延びる第1面取り部と、を有し、
前記第2部材は、前記第1面に対向する第3面と、前記第3面に対して交差する方向に延びる第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続するとともに前記第3面及び前記第4面それぞれに対して交差する方向に延び、前記第1面取り部に対して前記第1面と前記第3面との対向方向で隣り合う第2面取り部と、を有し、
前記第3部材は、前記第2面、前記第4面、前記第1面取り部、及び前記第2面取り部それぞれに対向する第5面を有し、
前記第1面と前記第3面との間をシールする金属ガスケットと、
前記第2面、前記第4面、前記第1面取り部、及び前記第2面取り部と前記第5面との間をシールする弾性シール部材と、を備え、
前記弾性シール部材は、
前記第2面及び前記第5面に密着する第1シール部と、
前記第4面及び前記第5面に密着する第2シール部と、
前記第1シール部及び前記第2シール部よりも前記金属ガスケットに向けて突出し、前記第1面取り部、前記第2面取り部、及び前記金属ガスケットに密着する突出部を有し、前記第5面に密着する第3シール部と、を有している電動圧縮機であって、
前記弾性シール部材には、前記第1部材及び前記第2部材に密着するシール面に潰し代となる溝が形成されており、
前記突出部に対応する部位における前記溝は、前記第1シール部及び前記第2シール部それぞれに対応する部位における前記溝よりも深いことを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記突出部に対応する部位における前記溝の底面は、前記第1面取り部に対向する第1底面と、前記第2面取り部に対向する第2底面と、を有し、
前記第1底面は、前記第1面取り部に平行に延びており、前記第2底面は、前記第2面取り部に平行に延びていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記突出部に対応する部位における前記溝の底面は、前記第1面取り部に対向する第1底面と、前記第2面取り部に対向する第2底面と、を有し、
前記第1底面と前記第1面取り部との間の隙間は、前記第1底面が前記第1シール部から離間するにつれて徐々に大きくなっていくとともに、
前記第2底面と前記第2面取り部との間の隙間は、前記第2底面が前記第2シール部から離間するにつれて徐々に大きくなっていくことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記突出部は、前記金属ガスケットが挿入される凹部を有していることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記金属ガスケットは、前記突出部の外側面から突出していることを特徴とする請求項4に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するインバータと、圧縮部、電動モータ、及びインバータを収容するハウジングと、を備えている。ハウジングは、圧縮部及び電動モータを収容する第1室、及びインバータを収容する第2室を有している。
【0003】
ハウジングは、第1室を区画する第1部材及び第2部材と、第1部材及び第2部材と協働して第2室を区画する第3部材と、を有している場合がある。この場合、第1部材は、第1面と、第1面に対して交差する方向に延びる第2面と、第1面と第2面とを接続するとともに第1面及び第2面それぞれに対して交差する方向に延びる第1面取り部と、を有している。第2部材は、第1面に対向する第3面と、第3面に対して交差する方向に延びる第4面と、第3面と第4面とを接続するとともに第3面及び第4面それぞれに対して交差する方向に延び、第1面取り部に対して第1面と第3面との対向方向で隣り合う第2面取り部と、を有している。第3部材は、第2面、第4面、第1面取り部、及び第2面取り部それぞれに対向する第5面を有している。
【0004】
ここで、第1部材、第2部材、及び第3部材それぞれの間をシールするために、例えば特許文献1のように、第1面と第3面との間をシールする金属ガスケットと、第2面、第4面、第1面取り部、及び第2面取り部と第5面との間をシールする弾性シール部材と、を用いることが知られている。弾性シール部材は、第2面及び第5面に密着する第1シール部と、第4面及び第5面に密着する第2シール部と、第1シール部及び第2シール部よりも金属ガスケットに向けて突出し、第1面取り部、第2面取り部、及び金属ガスケットに密着する突出部を有し、第5面に密着する第3シール部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、弾性シール部材は、弾性域を超えて塑性域まで変形しない範囲で潰れるように潰し代が予め設定されている。ここで、例えば、第1部材及び第2部材それぞれに寸法公差が生じる場合がある。すると、弾性シール部材によって、第2面、第4面、第1面取り部、及び第2面取り部と第5面との間をシールする前の状態において、例えば、第2面と第5面との間の隙間、及び第4面と第5面との間の隙間の一方が他方よりも小さくなる場合がある。この場合、第1シール部及び第2シール部の一方が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまったり、第1面取り部及び第2面取り部の一方が突出部を押し潰し過ぎることにより、突出部が局所的に弾性域を超えて塑性域まで変形してしまったりして、シール性が悪化してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータと、前記圧縮部及び前記電動モータを収容する第1室、及び前記インバータを収容する第2室を有するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記第1室を区画する第1部材及び第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材と協働して前記第2室を区画する第3部材と、を有し、前記第1部材は、第1面と、前記第1面に対して交差する方向に延びる第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続するとともに前記第1面及び前記第2面それぞれに対して交差する方向に延びる第1面取り部と、を有し、前記第2部材は、前記第1面に対向する第3面と、前記第3面に対して交差する方向に延びる第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続するとともに前記第3面及び前記第4面それぞれに対して交差する方向に延び、前記第1面取り部に対して前記第1面と前記第3面との対向方向で隣り合う第2面取り部と、を有し、前記第3部材は、前記第2面、前記第4面、前記第1面取り部、及び前記第2面取り部それぞれに対向する第5面を有し、前記第1面と前記第3面との間をシールする金属ガスケットと、前記第2面、前記第4面、前記第1面取り部、及び前記第2面取り部と前記第5面との間をシールする弾性シール部材と、を備え、前記弾性シール部材は、前記第2面及び前記第5面に密着する第1シール部と、前記第4面及び前記第5面に密着する第2シール部と、前記第1シール部及び前記第2シール部よりも前記金属ガスケットに向けて突出し、前記第1面取り部、前記第2面取り部、及び前記金属ガスケットに密着する突出部を有し、前記第5面に密着する第3シール部と、を有している電動圧縮機であって、前記弾性シール部材には、前記第1部材及び前記第2部材に密着するシール面に潰し代となる溝が形成されており、前記突出部に対応する部位における前記溝は、前記第1シール部及び前記第2シール部それぞれに対応する部位における前記溝よりも深い。
【0008】
これによれば、弾性シール部材における第1部材及び第2部材に密着するシール面に潰し代となる溝が形成されていない場合に比べると、第1シール部、第2シール部、及び突出部を有する第3シール部が弾性域の範囲内で潰れ易くなる。したがって、第1シール部、第2シール部、及び第3シール部の潰し代が確保され易くなり、第1シール部、第2シール部、及び第3シール部が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうことが回避され易くなる。また、突出部に対応する部位における溝が、第1シール部及び第2シール部それぞれに対応する部位における溝よりも深い。このため、例えば、突出部に対応する部位における溝の深さが、第1シール部及び第2シール部それぞれに対応する部位における溝の深さ以下である場合に比べると、第1面取り部及び第2面取り部の一方が突出部を押し潰し過ぎることにより、突出部が局所的に弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうといったことが回避され易くなる。以上により、シール性を良好なものとすることができる。
【0009】
上記電動圧縮機において、前記突出部に対応する部位における前記溝の底面は、前記第1面取り部に対向する第1底面と、前記第2面取り部に対向する第2底面と、を有し、前記第1底面は、前記第1面取り部に平行に延びており、前記第2底面は、前記第2面取り部に平行に延びているとよい。
【0010】
これによれば、突出部に対応する部位における溝の形状が複雑化しないため、突出部に対応する部位における溝が、第1シール部及び第2シール部それぞれに対応する部位における溝よりも深い弾性シール部材を容易に製造することができる。
【0011】
上記電動圧縮機において、前記突出部に対応する部位における前記溝の底面は、前記第1面取り部に対向する第1底面と、前記第2面取り部に対向する第2底面と、を有し、前記第1底面と前記第1面取り部との間の隙間は、前記第1底面が前記第1シール部から離間するにつれて徐々に大きくなっていくとともに、前記第2底面と前記第2面取り部との間の隙間は、前記第2底面が前記第2シール部から離間するにつれて徐々に大きくなっていくとよい。
【0012】
突出部の先端部は、突出部において、第1面取り部及び第2面取り部によって押し潰されることにより最も押し潰される量が大きくなる部分である。そこで、第1底面と第1面取り部との間の隙間が、第1底面が第1シール部から離間するにつれて徐々に大きくなっていくようにし、第2底面と第2面取り部との間の隙間が、第2底面が第2シール部から離間するにつれて徐々に大きくなっていくようにした。これによれば、突出部の先端部に対応する部位における溝を最も深くすることができるため、突出部の先端部が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうといったことが回避され易くなる。その結果、シール性をさらに良好なものとすることができる。
【0013】
上記電動圧縮機において、前記突出部は、前記金属ガスケットが挿入される凹部を有しているとよい。
これによれば、第1面取り部及び第2面取り部によって突出部が押し潰されて、凹部の内面が金属ガスケットに密着することで、突出部における金属ガスケットに対する密着性がさらに向上する。その結果、シール性をさらに良好なものとすることができる。
【0014】
上記電動圧縮機において、前記金属ガスケットは、前記突出部の外側面から突出しているとよい。
これによれば、金属ガスケットを突出部の外側面から突出させない構成である場合に比べると、金属ガスケットに対する弾性シール部材の組み付けを容易なものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、シール性を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態における電動圧縮機を示す側断面図。
【
図5】電動圧縮機の一部分を拡大して示す分解斜視図。
【
図6】電動圧縮機の一部分を拡大して示す分解断面図。
【
図9】金属ガスケットが凹部に挿入されている状態を示す断面図。
【
図11】別の実施形態における電動圧縮機の一部分を拡大して示す断面図。
【
図12】別の実施形態における電動圧縮機の一部分を拡大して示す断面図。
【
図13】別の実施形態における電動圧縮機の一部分を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図10にしたがって説明する。実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、電動圧縮機10は、圧縮部11と、電動モータ12と、インバータ13と、ハウジング14と、を備えている。圧縮部11は、流体である冷媒を圧縮する。圧縮部11は、例えば、スクロール式である。電動モータ12は、圧縮部11を駆動する。インバータ13は、電動モータ12を駆動する。ハウジング14は、第1室15及び第2室16を有している。第1室15は、圧縮部11及び電動モータ12を収容する。第2室16は、インバータ13を収容する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、ハウジング14は、第1室15を区画する第1部材20及び第2部材30と、第1部材20及び第2部材30と協働して第2室16を区画する第3部材40と、を有している。第1部材20、第2部材30、及び第3部材40は、金属製であり、例えば、アルミニウム製である。したがって、ハウジング14は、金属製であり、例えば、アルミニウム製である。第1部材20及び第2部材30は、四角ブロック状である。第3部材40は、平板状である。
【0019】
図1、
図2及び
図3に示すように、第1部材20は、長四角ブロック状である。第1部材20は、第1面21と、第1面21に対して交差する方向に延びる第2面22と、を有している。第1面21は、第1部材20の長手方向の一方に位置する端面である。第2面22は、第1面21に対して直交する方向に延びている。第2面22は、第1部材20における長手方向に位置する端面以外の4つの外面のうちの1つの外面である。
【0020】
第1部材20には、円孔状の第1室形成凹部23が形成されている。第1室形成凹部23は、第1部材20の第1面21から第1部材20の長手方向に延びている。第1室形成凹部23は、第1部材20の第1面21に開口している。第1部材20の第2面22には、第2室形成凹部24が形成されている。第2室形成凹部24は、第1部材20の第1面21から第1部材20の長手方向に延びている。第2室形成凹部24は、平面視すると、長四角形状である。第2室形成凹部24の長手方向は、第1部材20の長手方向に一致している。第2室形成凹部24の長手方向における第1面21側の端部は、第1部材20の第1面21に開口している。
【0021】
第1部材20は、第1面取り部25を2つ有している。2つの第1面取り部25は、例えば、第1面21を平面視すると、第1面21における第2面22側の端部であって、且つ第2室形成凹部24を挟んだ両側にそれぞれ位置している。また、2つの第1面取り部25は、例えば、第2面22を平面視すると、第2面22における第1面21側の端部であって、且つ第2室形成凹部24を挟んだ両側にそれぞれ位置している。そして、各第1面取り部25は、第1面21と第2面22とを接続するとともに第1面21及び第2面22それぞれに対して交差する方向に延びている。各第1面取り部25は、平坦面状の傾斜面である。2つの第1面取り部25は、互いに平行に延びている。
【0022】
第2面22には、雌ねじ孔26が2つ形成されている。2つの雌ねじ孔26は、第2面22において、第1部材20の長手方向で各第1面取り部25とは反対側の端部に位置している。第2面22を平面視すると、第2面22の四隅のうち、第1部材20の長手方向の一方に位置する2箇所に各第1面取り部25が連続しており、第2面22の四隅のうち、第1部材20の長手方向の他方に位置する2箇所に各雌ねじ孔26が配置されている。
【0023】
第1面21には、雌ねじ孔27が4つ形成されている。各雌ねじ孔27は、第1面21を平面視すると、第1室形成凹部23を取り囲む位置であって、対角線上にそれぞれ配置されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、第2部材30は、長四角ブロック状である。第2部材30は、第1部材20に対して、第2部材30の短手方向が第1部材20の長手方向に一致するように配置されている。
【0025】
第2部材30は、第3面31と、第3面31に対して交差する方向に延びる第4面32と、を有している。第3面31は、第2部材30の短手方向の一方に位置する端面である。第3面31は、第1面21に対向している。第4面32は、第3面31に対して直交する方向に延びている。第4面32は、第2部材30における短手方向に位置する端面以外の4つの外面のうちの1つの外面である。第4面32は、第2面22と同一平面上に位置している。第4面32の長手方向の長さは、第2面22の短手方向の長さと同じである。
【0026】
第2部材30には、円孔状の第1室形成凹部33が形成されている。第1室形成凹部33は、第2部材30の第3面31から第2部材30の短手方向に延びている。第1室形成凹部33は、第2部材30の第3面31に開口している。第1室形成凹部33の孔径は、第1部材20の第1室形成凹部23の孔径と同じである。第1室形成凹部33は、第1部材20の第1室形成凹部23に連通している。
【0027】
第2部材30の第4面32には、第2室形成凹部34が形成されている。第2室形成凹部34は、第2部材30の第3面31から第2部材30の短手方向に延びている。第2室形成凹部34は、平面視すると、長四角形状である。第2室形成凹部34の短手方向は、第2部材30の短手方向に一致している。第2室形成凹部34の短手方向における第3面31側の端部は、第2部材30の第3面31に開口している。第2室形成凹部34の長手方向の長さは、第1部材20の第2室形成凹部24の短手方向の長さと同じである。第2室形成凹部34は、第1部材20の第2室形成凹部24に連通している。
【0028】
第2部材30は、第2面取り部35を2つ有している。2つの第2面取り部35は、例えば、第3面31を平面視すると、第3面31における第4面32側の端部であって、且つ第2室形成凹部34を挟んだ両側にそれぞれ位置している。また、2つの第2面取り部35は、例えば、第4面32を平面視すると、第4面32における第3面31側の端部であって、且つ第2室形成凹部34を挟んだ両側にそれぞれ位置している。そして、各第2面取り部35は、第3面31と第4面32とを接続するとともに第3面31及び第4面32それぞれに対して交差する方向に延びている。各第2面取り部35は、平坦面状の傾斜面である。2つの第2面取り部35は、互いに平行に延びている。各第2面取り部35は、各第1面取り部25に対して第1面21と第3面31との対向方向でそれぞれ隣り合っている。
【0029】
第4面32には、雌ねじ孔36が2つ形成されている。2つの雌ねじ孔36は、第4面32において、第2部材30の短手方向で各第2面取り部35とは反対側の端部に位置している。第4面32を平面視すると、第4面32の四隅のうち、第2部材30の短手方向の一方に位置する2箇所に各第2面取り部35が連続しており、第4面32の四隅のうち、第2部材30の長手方向の他方に位置する2箇所に各雌ねじ孔36が配置されている。
【0030】
第2部材30には、挿通孔37が4つ形成されている。各挿通孔37は、第2部材30を短手方向に貫通している。各挿通孔37は、第3面31を平面視すると、第1室形成凹部33を取り囲む位置であって、対角線上にそれぞれ配置されている。各挿通孔37は、各雌ねじ孔27に対応するように第2部材30にそれぞれ形成されている。
【0031】
図1、
図2及び
図4に示すように、電動圧縮機10は、第1面21と第3面31との間をシールする金属ガスケット50を備えている。金属ガスケット50は、薄板四角平板状である。
【0032】
金属ガスケット50には、連通孔51が形成されている。連通孔51は、金属ガスケット50を厚み方向に貫通している。連通孔51の孔径は、第1部材20の第1室形成凹部23の孔径、及び第2部材30の第1室形成凹部33の孔径と同じである。第1部材20の第1室形成凹部23と第2部材30の第1室形成凹部33とは、連通孔51を介して互いに連通している。
【0033】
金属ガスケット50は、4つの外縁のうちの1つの外縁に形成される切欠凹部52を有している。切欠凹部52は、金属ガスケット50を平面視すると、長四角形状である。切欠凹部52の長手方向の長さは、第1部材20の第2室形成凹部24の短手方向の長さ、及び第2部材30の第2室形成凹部34の長手方向の長さと同じである。第1部材20の第2室形成凹部24と第2部材30の第2室形成凹部34とは、切欠凹部52を介して互いに連通している。
【0034】
金属ガスケット50における切欠凹部52の両側にそれぞれ位置する部分は、第1面21における第2室形成凹部24を挟んだ両側にそれぞれ位置する部位と、第3面31における第2室形成凹部34を挟んだ両側にそれぞれ位置する部位との間をシールする一対のシール突起部53である。各シール突起部53それぞれの幅H1は同じである。各シール突起部53それぞれの幅H1は、第1面21における第2室形成凹部24を挟んだ両側にそれぞれ位置する部位の幅、及び第3面31における第2室形成凹部34を挟んだ両側にそれぞれ位置する部位の幅と同じである。各シール突起部53の先端部は、各第1面取り部25と各第2面取り部35との間に突出している。
【0035】
金属ガスケット50には、挿通孔54が4つ形成されている。各挿通孔54は、金属ガスケット50の厚み方向に貫通している。各挿通孔54は、金属ガスケット50を平面視すると、連通孔51を取り囲む位置であって、対角線上にそれぞれ配置されている。各挿通孔54は、第1部材20の各雌ねじ孔27、及び第2部材30の各挿通孔37にそれぞれ連通している。
【0036】
第2部材30及び金属ガスケット50は、第1部材20に対して、4つのボルトB1によって固定されている。具体的には、第2部材30及び金属ガスケット50は、各ボルトB1が、第2部材30の各挿通孔37及び金属ガスケット50の各挿通孔54をそれぞれ通過して、第1部材20の各雌ねじ孔27に螺合されることにより、第1部材20に対して固定されている。そして、金属ガスケット50が第1面21と第3面とによって挟み込まれることで、第1面21と第3面31との間が金属ガスケット50によってシールされ、第1部材20及び第2部材30によって、第1室15が区画される。
【0037】
図1、
図2及び
図3に示すように、第3部材40は、長四角平板状である。第3部材40の長手方向の長さは、第1部材20の長手方向の長さと、金属ガスケット50の厚みと、第2部材30の短手方向の長さとを足し合わせた長さと同じである。第3部材の短手方向の長さは、第2面22の短手方向の長さ、及び第4面32の長手方向の長さと同じである。第3部材40は、第2面22、第4面32、各第1面取り部25、及び各第2面取り部35それぞれに対向する第5面41を有している。第5面41は、第3部材40の厚み方向の一方に位置する面である。
【0038】
第3部材40には、挿通孔42が4つ形成されている。各挿通孔42は、第3部材40の四隅をそれぞれ第3部材40の厚み方向に貫通している。各挿通孔42は、第1部材20の各雌ねじ孔26、及び第2部材30の各雌ねじ孔36に第3部材40の厚み方向でそれぞれ重なっている。
【0039】
電動圧縮機10は、第2面22、第4面32、各第1面取り部25、及び第2面取り部35と第5面41との間をシールする弾性シール部材60を備えている。弾性シール部材60は、長四角環状のゴム製である。
【0040】
図5、
図6、
図7及び
図8に示すように、弾性シール部材60は、第1シール部61と、第2シール部62と、第3シール部63と、を有している。第1シール部61は、弾性シール部材60において、第2面22上を第1部材20の第2室形成凹部24の外縁に沿って延びる部分である。第1シール部61は、一定の厚みである。第1シール部61は、第2面22及び第5面41に密着している。第2シール部62は、弾性シール部材60において、第4面32上を第2部材30の第2室形成凹部34の外縁に沿って延びる部分である。第2シール部62は、一定の厚みである。第2シール部62は、第4面32及び第5面41に密着している。第1シール部61の厚みと第2シール部62の厚みとは同じである。
【0041】
第3シール部63は、弾性シール部材60において、第1シール部61の一端と第2シール部62の一端とを繋ぐ部分、及び第1シール部61の他端と第2シール部62の他端とを繋ぐ部分である。したがって、弾性シール部材60は、第3シール部63を2つ有している。各第3シール部63は、第1シール部61及び第2シール部よりも金属ガスケット50の各シール突起部53に向けて突出し、各第1面取り部25、各第2面取り部35、及び金属ガスケット50の各シール突起部53に密着する突出部64をそれぞれ有している。そして、各第3シール部63は、第5面41に密着している。
【0042】
第1シール部61における弾性シール部材60の内側面である内周面60aから外側面である外周面60bに向かう方向の幅は、一定の幅である。第2シール部62における弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅は、一定の幅である。第1シール部61における弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅と、第2シール部62における弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅とは、同じ幅である。各第3シール部63における弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう幅は、第1シール部61における弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅、及び第2シール部62における弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅と同じである。したがって、弾性シール部材60における内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅H2は、一定の幅である。
【0043】
第1シール部61における第5面41に対向する面と、第2シール部62における第5面41に対向する面と、各第3シール部63における第5面41に対向する面とは、それぞれ同一平面上に位置している。各第3シール部63における第5面41に対向する面は、第1シール部61における第5面41に対向する面、及び第2シール部62における第5面41に対向する面それぞれに連続している。
【0044】
弾性シール部材60において、第1部材20及び第2部材30に対向する面は、第1部材20及び第2部材30に密着するシール面65になっている。具体的には、シール面65は、第1シール部61における第2面22に密着する面である第1平坦面65aと、第2シール部62における第4面32に密着する面である第2平坦面65bと、を有している。さらに、シール面65は、各第3シール部63の各突出部64における各第1面取り部25に密着する面である第1傾斜面65cと、各第3シール部63の各突出部64における各第2面取り部35に密着する面である第2傾斜面65dと、を有している。
【0045】
第1平坦面65aと第2平坦面65bとはそれぞれ同一平面上に位置している。第1傾斜面65cは、第1平坦面65aに対して交差する方向に延びるとともに、第1面取り部25に沿って延びている。第1傾斜面65cは、第1平坦面65aに連続している。第2傾斜面65dは、第2平坦面65bに対して交差する方向に延びるとともに、第2面取り部35に沿って延びている。第2傾斜面65dは、第2平坦面65bに連続している。
【0046】
弾性シール部材60のシール面65には、潰し代となる溝66が形成されている。溝66は、第1平坦面65aと、第2平坦面65bと、第1傾斜面65cと、第2傾斜面65dと、に連続して延びるように形成されている。弾性シール部材60には、溝66が、弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向に並んで2つ形成されている。各溝66は、弾性シール部材60における内周面60aと外周面60bとの間の部位に形成されている。したがって、溝66は、弾性シール部材60の内周面の一部を形成しておらず、弾性シール部材60の外周面60bの一部を形成していない。
【0047】
図8に示すように、第1シール部61に対応する部位における溝66の底面66aは、第2面22に平行に延びている。第1平坦面65aから第1シール部61に対応する部位における溝66の底面66aまでの深さD1は、一定である。また、第2シール部62に対応する部位における溝66の底面66bは、第4面32に平行に延びている。第2平坦面65bから第2シール部62に対応する部位における溝66の底面66bまでの深さD2は、一定である。第1平坦面65aから第1シール部61に対応する部位における溝66の底面66aまでの深さD1と、第2平坦面65bから第2シール部62に対応する部位における溝66の底面66bまでの深さD2とは同じである。
【0048】
図5、
図6、
図7及び
図8に示すように、各突出部64は、金属ガスケット50の各シール突起部53が挿入される凹部67をそれぞれ有している。凹部67は、突出部64の先端部に開口している。凹部67は、突出部64における第1傾斜面65cと第2傾斜面65dとの間に位置している。各凹部67は、弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向に延びている。各凹部67は、各溝66が延びる方向に対して直交する方向に延びている。各凹部67の両内面67aは、弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに向かう方向に平行に延びている。各凹部67は、各突出部64において、弾性シール部材60の内周面60aから外周面60bに亘って延びている。各凹部67の一端は、弾性シール部材60の内周面60aに開口しており、各凹部67の他端は、弾性シール部材60の外周面60bに開口している。各凹部67の底面67eは、平坦面状である。各凹部67は、各溝66に連通している。
【0049】
金属ガスケット50の各シール突起部53における厚み方向の両端面は、各凹部67の両内面67aそれぞれに密着している。金属ガスケット50の各シール突起部53の先端は、各凹部67の底面67eに密着している。
【0050】
図9及び
図10に示すように、弾性シール部材60における内周面60aから外周面60bに向かう方向の幅H2は、金属ガスケット50の各シール突起部53の幅H1よりも小さい。各突出部64の凹部67に挿入された金属ガスケット50の各シール突起部53は、弾性シール部材60の外周面60bにおける各突出部64に対応する部位から突出している。したがって、金属ガスケット50の各シール突起部53は、各突出部64の外側面から突出している。
【0051】
図8に示すように、各突出部64に対応する部位における溝66の底面は、第1面取り部25に対向する第1底面68aと、第2面取り部35に対向する第2底面68bと、を有している。第1底面68aは、平坦面状の傾斜面である。第1底面68aは、第1面取り部25に平行に延びている。第1底面68aと第1面取り部25との間の隙間は、一定である。第1底面68aは、第1シール部61に対応する部位における溝66の底面66aと凹部67の底面67eとを繋いでいる。第2底面68bは、平坦面状の傾斜面である。第2底面68bは、第2面取り部35に平行に延びている。第2底面68bと第2面取り部35との間の隙間は、一定である。第2底面68bは、第2シール部62に対応する部位における溝66の底面66bと凹部67の底面67eとを繋いでいる。
【0052】
突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第1傾斜面65cから突出部64に対応する部位における溝66の第1底面68aまでの深さD3は、一定である。「深さD3」とは、突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第1底面68aに対して直交する方向に延びて、第1底面68aと第1傾斜面65cとを最短距離で結ぶ直線の長さである。第1傾斜面65cから突出部64に対応する部位における溝66の第1底面68aまでの深さD3は、第1平坦面65aから第1シール部61に対応する部位における溝66の底面66aまでの深さD1よりも深い。
【0053】
突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第2傾斜面65dから突出部64に対応する部位における溝66の第2底面68bまでの深さD4は、一定である。「深さD4」とは、突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第2底面68bに対して直交する方向に延びて、第2底面68bと第2傾斜面65dとを最短距離で結ぶ直線の長さである。第2傾斜面65dから突出部64に対応する部位における溝66の第2底面68bまでの深さD4は、第2平坦面65bから第2シール部62に対応する部位における溝66の底面66bまでの深さD2よりも深い。したがって、各突出部64に対応する部位における溝66は、第1シール部61及び第2シール部62それぞれに対応する部位における溝66よりも深い。
【0054】
図2に示すように、第3部材40は、第2面22、第4面32、各第1面取り部25、及び各第2面取り部35と第5面41との間に弾性シール部材60を介在させた状態で、第1部材20及び第2部材30に対して、4つのボルトB2によって固定されている。具体的には、第3部材40は、各ボルトB2が、第1部材20の各雌ねじ孔26、及び第2部材30の各雌ねじ孔36にそれぞれねじ込まれることにより、弾性シール部材60を介して第1部材20及び第2部材30に固定されている。
【0055】
したがって、第3部材40の第5面41は、弾性シール部材60を介して、第2面22、第4面32、各第1面取り部25、及び各第2面取り部35それぞれに対向している。そして、弾性シール部材60が、第2面22、第4面32、各第1面取り部25、及び各第2面取り部35と第5面41とによって挟み込まれることにより、第2面22、第4面32、各第1面取り部25、及び各第2面取り部35と第5面41との間が弾性シール部材60によってシールされる。さらに、第1部材20の第2室形成凹部24、第2部材30の第2室形成凹部34、及び第3部材40によって、第2室16が区画される。
【0056】
図1に示すように、インバータ13は、インバータ13の大部分が第1部材20の第2室形成凹部24の内側に配置され、インバータ13の一部分が金属ガスケット50の切欠凹部52の内側に配置され、インバータ13のその他の部分が第2部材30の第2室形成凹部34の内側に配置されている。したがって、インバータ13は、第1部材20の第1面21、金属ガスケット50、及び第2部材30の第3面31を跨った状態で、第2室16に収容されている。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。
弾性シール部材60における第1部材20及び第2部材30に密着するシール面65に潰し代となる溝66が形成されている。このため、弾性シール部材60における第1部材20及び第2部材30に密着するシール面65に潰し代となる溝66が形成されていない場合に比べると、第1シール部61、第2シール部62、及び突出部64を有する第3シール部63が弾性域の範囲内で潰れ易くなる。したがって、第1シール部61、第2シール部62、及び第3シール部63の潰し代が確保され易くなり、第1シール部61、第2シール部62、及び第3シール部63が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうことが回避され易くなる。
【0058】
ところで、例えば、第1部材20及び第2部材30それぞれに寸法公差が生じる場合がある。すると、弾性シール部材60によって、第2面22、第4面32、第1面取り部25、及び第2面取り部35と第5面41との間をシールする前の状態において、例えば、第2面22と第5面41との間の隙間、及び第4面32と第5面41との間の隙間の一方が他方よりも小さくなる場合がある。
【0059】
このとき、弾性シール部材60における第1部材20及び第2部材30に密着するシール面65に潰し代となる溝66が形成されているため、第1シール部61及び第2シール部62の一方が他方よりも押し潰され過ぎて、第1シール部61及び第2シール部62の一方が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうといったことが回避され易くなる。
【0060】
また、突出部64に対応する部位における溝66が、第1シール部61及び第2シール部62それぞれに対応する部位における溝66よりも深い。例えば、突出部64に対応する部位における溝66の深さが、第1シール部61及び第2シール部62それぞれに対応する部位における溝66の深さ以下である場合を考える。この場合に比べると、第1面取り部25及び第2面取り部35の一方が突出部64を押し潰し過ぎることにより、突出部64が局所的に弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうといったことが回避され易くなる。
【0061】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)弾性シール部材60における第1部材20及び第2部材30に密着するシール面65に潰し代となる溝66が形成されている。これによれば、弾性シール部材60における第1部材20及び第2部材30に密着するシール面65に潰し代となる溝が形成されていない場合に比べると、第1シール部61、第2シール部62、及び突出部64を有する第3シール部63が弾性域の範囲内で潰れ易くなる。したがって、第1シール部61、第2シール部62、及び第3シール部63の潰し代が確保され易くなり、第1シール部61、第2シール部62、及び第3シール部63が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうことが回避され易くなる。
【0062】
また、突出部64に対応する部位における溝66が、第1シール部61及び第2シール部62それぞれに対応する部位における溝66よりも深い。例えば、突出部64に対応する部位における溝66の深さが、第1シール部61及び第2シール部62それぞれに対応する部位における溝66の深さ以下である場合を考える。この場合に比べると、第1面取り部25及び第2面取り部35の一方が突出部64を押し潰し過ぎることにより、突出部64が局所的に弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうといったことが回避され易くなる。以上により、シール性を良好なものとすることができる。
【0063】
(2)突出部64に対応する部位における溝66の第1底面68aは、第1面取り部25に平行に延びており、突出部64に対応する部位における溝66の第2底面68bは、第2面取り部35に平行に延びている。これによれば、突出部64に対応する部位における溝66の形状が複雑化しないため、突出部64に対応する部位における溝66が、第1シール部61及び第2シール部62それぞれに対応する部位における溝66よりも深い弾性シール部材60を容易に製造することができる。
【0064】
(3)突出部64は、金属ガスケット50が挿入される凹部67を有している。これによれば、第1面取り部25及び第2面取り部35によって突出部64が押し潰されて、凹部67の両内面67aが金属ガスケット50に密着することで、突出部64における金属ガスケット50に対する密着性がさらに向上する。その結果、シール性をさらに良好なものとすることができる。
【0065】
(4)金属ガスケット50の各シール突起部53は、各突出部64の外側面から突出している。これによれば、金属ガスケット50の各シール突起部53を各突出部64の外側面から突出させない構成である場合に比べると、金属ガスケット50に対する弾性シール部材60の組み付けを容易なものとすることができる。
【0066】
(5)インバータ13を、第1部材20の第1面21、金属ガスケット50、及び第2部材30の第3面31を跨った状態で、第2室16に収容することができるため、インバータ13の配置スペースを確保するために、例えば、第1部材20を第2部材30とは反対側へ延ばす必要が無い。したがって、電動圧縮機10の小型化を図ることができる。
【0067】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
○
図11に示すように、弾性シール部材60は、第1底面68aと第1面取り部25との間の隙間が、第1底面68aが第1シール部61から離間するにつれて徐々に大きくなっていくとともに、第2底面68bと第2面取り部35との間の隙間が、第2底面68bが第2シール部62から離間するにつれて徐々に大きくなっていく構成であってもよい。突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第1傾斜面65cから突出部64に対応する部位における溝66の第1底面68aまでの深さは、第1シール部61から離間するにつれて徐々に深くなっていく。「突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第1傾斜面65cから突出部64に対応する部位における溝66の第1底面68aまでの深さ」とは、突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第1底面68aに対して直交する方向に延びて、第1底面68aと第1傾斜面65cとを最短距離で結ぶ直線の長さである。また、突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第2傾斜面65dから突出部64に対応する部位における溝66の第2底面68bまでの深さは、第2シール部62から離間するにつれて徐々に深くなっていく。「突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第2傾斜面65dから突出部64に対応する部位における溝66の第2底面68bまでの深さ」とは、突出部64を溝66が延びる方向で切断した断面視において、第2底面68bに対して直交する方向に延びて、第2底面68bと第2傾斜面65dとを最短距離で結ぶ直線の長さである。
【0069】
突出部64の先端部は、突出部64において、第1面取り部25及び第2面取り部35によって押し潰されることにより最も押し潰される量が大きくなる部分である。そこで、第1底面68aと第1面取り部25との間の隙間が、第1底面68aが第1シール部61から離間するにつれて徐々に大きくなっていくようにし、第2底面68bと第2面取り部35との間の隙間が、第2底面68bが第2シール部62から離間するにつれて徐々に大きくなっていくようにした。これによれば、突出部64の先端部に対応する部位における溝66を最も深くすることができるため、突出部64の先端部が弾性域を超えて塑性域まで変形してしまうといったことが回避され易くなる。その結果、シール性をさらに良好なものとすることができる。
【0070】
○
図12に示すように、第1面取り部25及び第2面取り部35が、例えば、弧状に湾曲するように凹む湾曲面であってもよい。この場合、突出部64における第1面取り部25に密着する面は、第1面取り部25に沿って延びる弧状に湾曲する湾曲面であり、突出部64における第2面取り部35に密着する面は、第2面取り部35に沿って延びる弧状に湾曲する湾曲面である。このように、第1面取り部25、第2面取り部35、及び突出部64それぞれの形状は、特に限定されるものではない。
【0071】
○
図13に示すように、各突出部64が、金属ガスケット50の各シール突起部53が挿入される凹部67を有していなくてもよい。この場合であっても、金属ガスケット50の各シール突起部53の先端部が各突出部64の先端部に密着していることが好ましい。
【0072】
○ 実施形態において、金属ガスケット50の各シール突起部53の先端が、各凹部67の底面67eに密着していなくてもよい。この場合であっても、金属ガスケット50の各シール突起部53における厚み方向の両端面は、各凹部67の両内面67aそれぞれに密着していることが好ましい。
【0073】
○ 実施形態において、金属ガスケット50の各シール突起部53の先端が、各凹部67の底面67eに密着していなくてもよい。さらに、金属ガスケット50の各シール突起部53における厚み方向の両端面が、各凹部67の両内面67aそれぞれに密着していなくてもよい。この場合、例えば、各凹部67に液状ガスケットを注入し、液状ガスケットによって、金属ガスケット50の各シール突起部53と各凹部67との間をシールするようにしてもよい。
【0074】
○ 実施形態において、金属ガスケット50の各シール突起部53における厚み方向の両端面が各凹部67の両内面67aそれぞれに密着しており、金属ガスケット50の各シール突起部53の先端が各凹部67の底面67eに密着している状態で、凹部67に液状ガスケットが注入されていてもよい。
【0075】
○ 実施形態において、金属ガスケット50の各シール突起部53が各突出部64の外側面から突出していなくてもよい。
○ 実施形態において、第2面22が、第1面21に対して斜交する方向に延びていてもよい。要は、第2面22は、第1面21に対して交差する方向に延びていればよい。
【0076】
○ 実施形態において、第4面32が、第3面31に対して斜交する方向に延びていてもよい。要は、第4面32は、第3面31に対して交差する方向に延びていればよい。
○ 実施形態において、弾性シール部材60に形成される溝66の数は、特に限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0077】
○ 実施形態において、弾性シール部材60の形状は、環状に限定されるものではなく、例えば、第3部材40と同じような形状である板状であってもよい。
○ 実施形態において、ハウジング14は、第1部材20の第2室形成凹部24と第2部材30の第2室形成凹部34とが連通している構成であったが、第1部材20の第2室形成凹部24と、第2部材30の第2室形成凹部24とが仕切られている構成であってもよい。
【0078】
○ 実施形態において、全ての溝66が、弾性シール部材60における内周面60aと外周面60bとの間の部位に形成されていなくてもよい。例えば、2つの溝66の一方が、弾性シール部材60の内周面の一部を形成していてもよい。また、例えば、2つの溝66の他方が、弾性シール部材60の外周面60bの一部を形成していてもよい。
【0079】
○ 実施形態において、圧縮部11は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置に用いられていたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部11により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…電動圧縮機、11…圧縮部、12…電動モータ、13…インバータ、14…ハウジング、15…第1室、16…第2室、20…第1部材、21…第1面、22…第2面、25…第1面取り部、30…第2部材、31…第3面、32…第4面、35…第2面取り部、40…第3部材、41…第5面、50…金属ガスケット、60…弾性シール部材、60b…外側面である外周面、61…第1シール部、62…第2シール部、63…第3シール部、64…突出部、65…シール面、66…溝、67…凹部、68a…第1底面、68b…第2底面。