(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、車両、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20231011BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231011BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231011BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2020187534
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100217113
【氏名又は名称】高坂 晶子
(72)【発明者】
【氏名】浅井 健太郎
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106573(JP,A)
【文献】特開2017-117489(JP,A)
【文献】特開2017-222302(JP,A)
【文献】特開2013-055392(JP,A)
【文献】特開2010-130670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を示す第1位置データと、端末装置の位置を示す第2位置データとを参照して、前記端末装置が前記車両の中に存在するかどうかを判定し、前記端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記車両の運転状態に応じて、前記端末装置に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定する制御部を備え
、
前記制御部は、前記運転状態として、前記車両が自律運転を行っているかどうかを判定し、前記車両が自律運転を行っていないと判定された場合に、前記車両のハンドルが両手で把持されているかどうかに応じて、前記第1操作を禁止するかどうかを決定する、制御装置。
【請求項2】
車両の位置を示す第1位置データと、端末装置の位置を示す第2位置データとを参照して、前記端末装置が前記車両の中に存在するかどうかを判定し、前記端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記車両の運転状態に応じて、前記端末装置に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定する制御部を備え、
前記制御部は、前記第2位置データとして、複数台の端末装置の位置を示すデータを参照し、前記複数台の端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記第1操作として、前記複数台の端末装置の全てに対して行われる操作を禁止するかどうかを決定する、制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記運転状態として、前記車両のハンドルが両手で把持されているかどうかを判定する、請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ハンドルが両手で把持されていると判定された場合に、前記第1操作を禁止しないと決定する、請求項
1又は請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ハンドルが両手で把持されていないと判定された場合に、前記第1操作を禁止すると決定する、請求項
1、請求項3
、及び請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両が自律運転を行っていると判定された場合に、前記第1操作を禁止しないと決定する、請求項
1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記車両には、前記端末装置と接続可能な車載表示装置であって、前記端末装置が前記車載表示装置に接続されているときは、前記車載表示装置に対して行われる第2操作により前記第1操作の少なくとも一部を代替するように構成された車載表示装置が搭載されており、
前記制御部は、前記第1操作を禁止するかどうかに関わらず、前記第2操作を禁止しないことを決定する、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の制御装置と、
前記制御装置と通信を行う端末装置と
を備える制御システム。
【請求項9】
請求項
7に記載の制御装置と、
前記制御装置と通信を行う端末装置と、
前記端末装置と接続可能な車載表示装置であって、前記端末装置が前記車載表示装置に接続されているときは、前記車載表示装置に対して行われる第2操作により前記第1操作の少なくとも一部を代替するように構成された車載表示装置と
を備える制御システム。
【請求項10】
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の制御装置を搭載した車両。
【請求項11】
請求項
7に記載の制御装置と、
前記端末装置と接続可能な車載表示装置であって、前記端末装置が前記車載表示装置に接続されているときは、前記車載表示装置に対して行われる第2操作により前記第1操作の少なくとも一部を代替するように構成された車載表示装置と
を搭載した車両。
【請求項12】
制御装置により、車両の位置を示す第1位置データと、端末装置の位置を示す第2位置データとを参照して、前記端末装置が前記車両の中に存在するかどうかを判定することと、
前記端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記車両の運転状態に応じて、前記端末装置に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定することと
を含む制御方法
であって、
前記制御装置により、前記運転状態として、前記車両が自律運転を行っているかどうかを判定することを更に含み、
前記決定することは、前記制御装置により、前記車両が自律運転を行っていないと判定された場合に、前記車両のハンドルが両手で把持されているかどうかに更に応じて、前記第1操作を禁止するかどうかを決定することを含む、制御方法。
【請求項13】
制御装置により、車両の位置を示す第1位置データと、端末装置の位置を示す第2位置データとを参照して、前記端末装置が前記車両の中に存在するかどうかを判定することと、
前記端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記車両の運転状態に応じて、前記端末装置に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定することと
を含む制御方法であって、
前記制御装置により、前記第2位置データとして、複数台の端末装置の位置を示すデータを参照することと、
前記複数台の端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記第1操作として、前記複数台の端末装置の全てに対して行われる操作を禁止するかどうかを決定することと
を更に含む制御方法。
【請求項14】
前記制御装置により、前記運転状態として、前記車両のハンドルが両手で把持されているかどうかを判定することを
更に含む、請求項
13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記制御装置により、前記ハンドルが両手で把持されていると判定された場合に、前記第1操作を禁止しないと決定することを含む、請求項12又は請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記制御装置により、前記ハンドルが両手で把持されていないと判定された場合に、前記第1操作を禁止すると決定することを含む、請求項12、請求項14、及び請求項15のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項17】
前記制御装置により、前記車両が自律運転を行っていると判定された場合に、前記第1操作を禁止しないと決定することを含む、請求項
12又は請求項13に記載の制御方法。
【請求項18】
前記車両には、前記端末装置と接続可能な車載表示装置であって、前記端末装置が前記車載表示装置に接続されているときは、前記車載表示装置に対して行われる第2操作により前記第1操作の少なくとも一部を代替するように構成された車載表示装置が搭載されており、
前記制御装置により、前記第1操作を禁止するかどうかに関わらず、前記第2操作を禁止しないことを決定することを含む請求項
12から請求項
17のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御システム、車両、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像装置により撮像された画像に基づいて車両の運転者の状態を監視する運転者監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、画像解析による判定は撮影環境等の影響を受けやすく、正確な判定が困難である。そのため、特許文献1に記載の技術では、端末装置を操作しようとする運転者の状態を正確に判定できない場合がある。
【0005】
本開示の目的は、運転者により端末装置に対する操作が行われることを防止しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、
車両の位置を示す第1位置データと、端末装置の位置を示す第2位置データとを参照して、前記端末装置が前記車両の中に存在するかどうかを判定し、前記端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記車両の運転状態に応じて、前記端末装置に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定する制御部を備える。
【0007】
本開示に係る制御方法は、
制御装置により、車両の位置を示す第1位置データと、端末装置の位置を示す第2位置データとを参照することと、
前記端末装置が前記車両の中に存在するかどうかを判定し、前記端末装置が前記車両の中に存在すると判定された場合に、前記車両の運転状態に応じて、前記端末装置に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定することと
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、運転者により端末装置に対する操作が行われることを防止しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る制御システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0011】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係る制御システム10の構成を説明する。
【0013】
制御システム10は、制御装置20、少なくとも1台の端末装置30、及び車載表示装置50を備える。
【0014】
制御装置20は、ネットワーク60を介して、端末装置30及び車載表示装置50と通信可能である。制御装置20は、ネットワーク60を介して車両40と通信可能であってもよい。
【0015】
制御装置20は、データセンタなどの施設に設置される。制御装置20は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバコンピュータである。
【0016】
端末装置30は、ユーザによって保持され、ユーザによって利用される。端末装置30は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、若しくはタブレットなどのモバイル機器、又はPCである。「PC」は、personal computerの略語である。
【0017】
車両40は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV、PHV、EV、又はFCVなどの任意の種類の自動車である。「HV」は、hybrid vehicleの略語である。「PHV」は、plug-in hybrid vehicleの略語である。「EV」は、electric vehicleの略語である。「FCV」は、fuel cell vehicleの略語である。車両40は、本実施形態では、運転手によって運転されるか、又は、任意のレベルで運転が自動化されている。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略語である。車両40は、MaaS専用車両でもよい。「MaaS」は、Mobility as a Serviceの略語である。
【0018】
ネットワーク60は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク60は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0019】
車載表示装置50は、例えば、ディスプレイオーディオである。車載表示装置50は、車両40に搭載されている。車載表示装置50は、音声入力機能を備えてよい。車載表示装置50は、端末装置30と接続可能である。
【0020】
本実施形態において、車載表示装置50は、車載表示装置50に端末装置30が接続されているときは、車載表示装置50に対して行われる第2操作により、端末装置30に対して行われる第1操作の少なくとも一部を代替するように構成されている。第1操作は、端末装置30に備えられた物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクロフォンなどのインタフェースを介して行われる入力操作を含む。マイクロフォンを介して行われる音声入力操作は、第1操作から除外されてもよい。第1操作の例として、地図上で目的地を設定する操作、端末装置30に記憶された音楽の中から曲を選択する操作、電話をかける操作、又はメッセージを入力する操作が挙げられる。第2操作は、車載表示装置50に備えられた物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクロフォンなどのインタフェースを介して行われる入力操作を含む。端末装置30のユーザは、車載表示装置50に端末装置30が接続されているときは、端末装置30に対して第1操作を行わなくても、車載表示装置50に対して、目的地を設定する操作、曲を選択する操作、電話をかける操作、又はメッセージを入力する操作を第2操作として行うことにより、端末装置30に対して第1操作を行った場合と同様に端末装置30を動作させることができる。第2操作により第1操作の全てが代替されなくてもよい。例えば、ウェブブラウザを利用する操作は、第1操作に含まれていても、第2操作により代替できなくてよい。
【0021】
車載表示装置50は、カーナビゲーションシステムに組み込まれていてもよい。
【0022】
【0023】
制御装置20は、車両40の位置を示す第1位置データと、端末装置30の位置を示す第2位置データとを参照して、端末装置30が車両40の中に存在するかどうかを判定する。制御装置20は、端末装置30が車両40の中に存在すると判定された場合に、車両40の運転状態に応じて、端末装置30に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定する。
【0024】
本実施形態によれば、運転者により端末装置30に対する操作が行われることを防止しやすくなる。その結果、安全性が向上する。
【0025】
図2を参照して、本実施形態に係る制御装置20の構成を説明する。
【0026】
制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。
【0027】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、制御装置20の各部を制御しながら、制御装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0028】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、制御装置20の動作に用いられるデータと、制御装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0029】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部23は、制御装置20の動作に用いられるデータを受信し、また制御装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0030】
制御装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、制御装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、制御装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを制御装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って制御装置20の動作を実行することにより制御装置20として機能する。
【0031】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0032】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0033】
制御装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
図3を参照して、本実施形態に係る制御システム10の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る制御方法に相当する。
【0035】
ステップS101において、制御装置20の制御部21は、車両40の位置を示す第1位置データと、端末装置30の位置を示す第2位置データとを参照して、端末装置30が車両40の中に存在するかどうかを判定する。第1位置データは任意の方法で取得されてよい。一例として、制御部21は、車両40に備えられた測位センサにより測定された位置を示すデータを、通信部23を介して車両40から受信する。測位センサは、少なくとも1つのGNSS受信機を含む。GNSSは、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、又はGalileoである。「GNSS」は、global navigation satellite systemの略語である。「GPS」は、Global Positioning Systemの略語である。「QZSS」は、Quasi-Zenith Satellite Systemの略語である。QZSSの衛星は、準天頂衛星と呼ばれる。「GLONASS」は、Global Navigation Satellite Systemの略語である。第2位置データは任意の方法で取得されてよい。一例として、制御部21は、端末装置30に備えられた測位センサにより測定された位置を示すデータを、通信部23を介して端末装置30から受信する。測位センサは、少なくとも1つのGNSS受信機を含む。GNSSは、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、又はGalileoである。
【0036】
本実施形態において、制御装置20の制御部21は、第1位置データで示される第1座標と第2位置データで示される第2座標とが略一致する場合に、端末装置30が車両40の中に存在すると判定する。具体的には、制御部21は、第1座標と第2座標との差が車両40の全長未満である場合に、端末装置30が車両40の中に存在すると判定する。
【0037】
本実施形態の一変形例として、制御装置20の制御部21は、第2位置データとして、複数台の端末装置の位置を示すデータを参照して、複数台の端末装置のそれぞれが端末装置30として車両40の中に存在するかどうかを判定してもよい。
【0038】
ステップS101において、端末装置30が車両40の中に存在すると判定されると、制御部21は、ステップS102の処理を行う。端末装置30が車両40の中に存在しないと判定されると、制御部21は処理を終了する。
【0039】
ステップS102において、制御装置20の制御部21は、車両40の運転状態として、車両40が自律運転を行っているかどうかを判定する。本実施形態において、「自律運転」とは、車両40の運転に関わる全ての操作が自動的に行われていることを意味する。例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル3以上が自律運転に該当する。車両40が自律運転を行っているかどうかの判定は任意の方法で行われてよい。1つの方法として、制御部21は、車両40において任意のドライバー支援機能が動作しているかどうかを判定する。ドライバー支援機能の例として、ADAS機能が挙げられる。「ADAS」は、advanced driver-assistance systemsの略語である。ステップS102において、車両40が自律運転を行っていないと判定されると、ステップS103の処理が行われる。ステップS102において、車両40が自律運転を行っていると判定されると、ステップS105の処理が行われる。ステップS105の処理については後述する。
【0040】
ステップS103において、制御装置20の制御部21は、車両40の運転状態として、車両40のハンドルが両手で把持されているかどうかを更に判定する。ハンドルが両手で把持されているかどうかの判定は任意の方法で行われてよい。1つの例として、制御部21は、ハンドルに予め取り付けられた接触センサ、圧力センサ、又はこれら両方により計測されたセンサ値に基づいて判定を行う。具体的には、制御部21は、センサ値がハンドルの少なくとも2箇所で接触及び加圧があったことを示している場合に、ハンドルが両手で把持されていると判定する。ステップS103において、ハンドルが両手で把持されていないと判定されると、ステップS104の処理が行われる。ステップS103において、ハンドルが両手で把持されていると判定されると、ステップS105の処理が行われる。ステップS105の処理については後述する。
【0041】
ステップS104において、制御装置20の制御部21は、第1操作を禁止すると決定する。本実施形態の一変形例として、ステップS101において複数台の端末装置が端末装置30として車両40の中に存在すると判定されていた場合、制御部21は、第1操作として、複数台の端末装置の全てに対して行われる操作を禁止する。第1操作は任意の手順で禁止されてよいが、本実施形態では、以下の手順で禁止される。
【0042】
制御装置20の制御部21は、端末装置30に対する第1操作を禁止することを通知する通知データを通信部23に送信させる。通信部23は、通知データを端末装置30に送信する。
【0043】
端末装置30は、LTE、4G規格、又は5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェースを介して、送信された通知データを制御装置20から受信する。端末装置30は、通知データを受信すると、LCD又は有機ELディスプレイなどのディスプレイを暗転させる。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electro luminescenceの略語である。本実施形態において、端末装置30のディスプレイを暗転させるとは、ディスプレイのバックライトを消灯して、端末装置30を動作させる際にユーザにより選択されるアイコンなどが画面上に表示されないようにすることである。画面上にアイコンなどが表示されなくなると、ユーザはアイコンなどを選択できなくなり、端末装置30に所望の機能を発揮させることができなくなる。すなわち、ユーザは端末装置30に対して、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、又はディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンなどのインタフェースを介して、アイコンを選択する操作ができなくなる。よって、端末装置30に対する第1操作が禁止される。
【0044】
ステップS105において、制御装置20の制御部21は、第1操作を禁止しないと決定する。第1操作を禁止しないと判定されると、制御部21は処理を終了する。
【0045】
上述のように、本実施形態では、制御装置20の制御部21は、車両40の運転状態に応じて、端末装置30に対して行われる第1操作を禁止するかどうかを決定する。例えば、ハンドルが両手で把持されていない場合に、第1操作が禁止される。よって、運転者により端末装置30に対する操作が行われることがより確実に防止されて、安全性が向上する。運転者に対して両手で運転することを動機付けられる点でも、安全性の向上が期待できる。車両40が自律運転を行っている場合には、第1操作が禁止されないため、運転者に対して端末装置30を使用する必要があるときは自律運転に切り替えることを動機付けられる点でも、安全性の向上が期待できる。
【0046】
本実施形態の一変形例として、車両40に複数台の端末装置が持ち込まれた場合には、いずれの端末装置が運転者のものであるかを判断することなく、車両40の運転状態に応じて、第1操作が一律に禁止される。よって、運転者による端末装置30に対する操作がより確実に禁止される。
【0047】
制御装置20の制御部21は、車載表示装置50に端末装置30が接続されているときは、第1操作を禁止するかどうかに関わらず、第2操作を禁止しないことを決定する。例えば、ステップS101において複数台の端末装置が車両40の中に存在すると判定され、複数台の端末装置のうちの1台が車載表示装置50に接続されているとする。制御部21は、ステップ104において、複数台の端末装置全てのディスプレイを暗転させても、車載表示装置50のディスプレイは暗転させない。よって、ユーザは、車載表示装置50の画面に表示されるアイコンを選択する操作を第2操作として行うことで、車載表示装置50に接続された端末装置を間接的に操作することができる。ユーザは、車載表示装置50に対する第2操作として、音声による操作を行ってもよい。本変形例によれば、ユーザは、端末装置に対する直接の操作ができなくても、端末装置の機能を利用することができるため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0048】
本実施形態の一変形例として、ステップS104において第1操作を禁止する方法として、端末装置30のディスプレイを暗転させる代わりに、端末装置30を強制的に休止状態としてもよい。ただし、車載表示装置50に端末装置30が接続されているときは、端末装置30を強制的に休止状態とすると、第2操作も行えなくなってしまうため、端末装置30のディスプレイを暗転させるなど、別の方法で第1操作を禁止する。例えば、ステップS101において複数台の端末装置が車両40の中に存在すると判定され、複数台の端末装置のうちの1台が車載表示装置50に接続されているとする。この場合、制御装置20の制御部21は、車載表示装置50に接続されている端末装置を除いて複数台の端末装置全てを強制的に休止状態とすると決定してもよい。すなわち、制御部21は、車載表示装置50に接続された端末装置に対しては他の方法で第1操作を禁止すると決定してもよい。
【0049】
本実施形態の一変形例として、車両40が自律運転機能を有していない場合には、ステップS102の処理は行われなくてよい。本変形例において、ステップS101において、端末装置30が車両40の中に存在すると判定されると、ステップS103の処理が行われる。
【0050】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 制御システム
20 制御装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 端末装置
40 車両
50 車載表示装置
60 ネットワーク