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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】エステル交換油脂
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20231011BHJP
   A23G 1/38 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A23D9/00 500
A23G1/38
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020510696
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2019011153
(87)【国際公開番号】W WO2019188492
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2018058002
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 慎平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安寿子
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/129590(WO,A1)
【文献】特開2010-142152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D、A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(F)を全て満たし、(B)と(E)の合計が10質量%~20質量%であることを特徴とする、CN30~CN38の含有量が18~50質量%及びCN48以上の含有量が35質量%以下である、エステル交換油脂。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が30~50質量%
(E)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(F)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
ただし、原料油脂として炭素数20以上の飽和脂肪酸を30%以上含む油脂を使用しない、
脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する。
CN30~CN38:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が30~38のトリグリセリド
CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
【請求項2】
下記(G)及び(H)を満たす、請求項1に記載のエステル交換油脂。
(G)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
(H)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
ただし、脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する。
【請求項3】
(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が30以下である、請求項1又は請求項2に記載のエステル交換油脂。
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリド
【請求項4】
CN48以上の含有量が30質量%以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエステル交換油脂。
CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
【請求項5】
下記SFC%を全て満たす、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のエステル交換油脂。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~75%
30℃のSFCが、25%~55%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、10%以下
【請求項6】
下記SFC%を全て満たす、請求項3に記載のエステル交換油脂。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、10%以下
【請求項7】
下記SFC%を全て満たす、請求項4に記載のエステル交換油脂。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、5%以下
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のエステル交換油脂を含有する、チョコレート用油脂。
【請求項9】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のエステル交換油脂を含有する、チョコレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステル交換油脂および該エステル交換油脂を使用した油性食品、特にテンパリング操作を実施しないチョコレートに関する。
【背景技術】
【0002】
カカオバター代用脂として広く利用されているハードバターは、固化・成型時に温調操作を実施するテンパリング型ハードバターと、温調操作を実施しない非テンパリング型ハードバターに大別される。テンパリング型ハードバターは、ココアバター中に多く含有されるSUS型トリグリセリド(S:炭素数16~18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の一価不飽和脂肪酸)を多く含み、ココアバターと類似の性質物性を持つ。そのためココアバターとの相溶性が高く、またココアバターと類似の食感が得られるが、テンパリング操作には厳密な温度制御が必要となるため、省略することが望まれている。
【0003】
一方、非テンパリング型ハードバターは、煩雑なテンパリング操作を必要としないことから、パンや洋菓子などとチョコレートを組み合わせた様々な組み合わせ食品に好適に使用することができ、トランス脂肪酸型ハードバターや、エステル交換・分別型ハードバター、さらにラウリン酸型ハードバターに大別することができる。
【0004】
非テンパリング型ハードバターのうち、大豆油や菜種油などの液状油を水素添加して得られるトランス酸型ハードバターは、良好な口溶けやココアバターとの高い相溶性から広く利用されてきた。しかし近年、トランス脂肪酸の健康に及ぼすリスクが明らかとなり、トランス脂肪酸を含まない低トランス脂肪酸型ハードバターが望まれている。
【0005】
前述のように低トランス酸型ハードバターが望まれる中で近年、エステル交換・分別型ハードバターの開発が進められている(特許文献1~4)。このエステル交換・分別型ハードバターは、トランス脂肪酸含量が極めて低い原料油脂、例えば大豆油や菜種油の極度硬化油や、パーム油などの固形脂を原料として化学的に、もしくは酵素的にエステル交換を実施した後に、分別を実施することで良好な口溶けを有するものである。しかし、その製造法の複雑さからコストが高く、より安価なハードバターが望まれている。
【0006】
ラウリン酸型ハードバターは、ラウリン酸を多く含むトリグリセリドを豊富に含む油脂を原料として古くから製造されており、パーム核油分別硬質油やヤシ油が例示できる。これらはカカオバターと極めて類似した食感や物性が得られ、艶も良好であるなど様々な利点があるが、保存中にはブルームやグレーニングが激しく発現するため、カカオ分やココアバターを多く配合できない。
【0007】
トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を含有するチョコレート用油脂組成物に関して、特許文献5~9が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2005-507028号公報
【文献】特表2010-532802号公報
【文献】特開2007-319043号公報
【文献】国際公開WO2011/138918号
【文献】特開2008-182961号公報
【文献】特開2010-142152号公報
【文献】特開2010-142153号公報
【文献】特開2011-115075号公報
【文献】特開2016-116486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、消費者のチョコレートに対する要望は、美味しさを求める傾向が強くなってきている。作業性の良さから、非テンパリング型ハードバターが望まれる、被覆用途のチョコレートにおいても同様に、作業性、固化速度といった物性面だけでなく、カカオ感、チョコレート感といった風味を追求した品質が求められている。カカオ感とは、チョコレート中のカカオマスの配合比率を上げることで、より強く感じられるチョコレート風味のことであり、カカオ感の付与、美味しいチョコレート風味には、カカオマスが欠かせないが、カカオマスの約55質量%はカカオ脂であり、カカオマスを多量に配合すると、同時にカカオ脂を多く含むことになり、テンパリングを行わない被覆工程ではファットブルームが発生するため、カカオマスの配合比率に限度があった。
【0010】
本発明者らは、トランス酸含有量が低いエステル交換油脂の品質と機能の向上について考察した。トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を含まない、チョコレート用油脂組成物である、特許文献1~4は口どけが劣る傾向であった。特許文献5~9は、比較的口どけが良いものの、ココアバターの配合限度と耐ブルーム性、口どけが悪い点を含め、さらなる品質向上が必要であると考えた。
【0011】
かかる従来技術を認識した上で、本発明の目的は、トランス脂肪酸含有量を低減しながら、シャープな融解特性を有する、エステル交換油脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量を10質量%以下とし、他の脂肪酸組成を規定した含有量に調整することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1) 下記(A)~(F)を全て満たし、(B)と(E)の合計が10質量%~20質量%であることを特徴とする、CN30~CN38の含有量が18~50質量%およびCN48以上の含有量が35質量%以下である、エステル交換油脂、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が30~50質量%
(E)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(F)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
ただし、脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する、
CN30~CN38:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が30~38のトリグリセリド
CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
(2) 下記(G)および(H)を満たす、(1)のエステル交換油脂、
(G)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
(H)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
ただし、脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する、
(3) (CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が30以下である、(1)または(2)のエステル交換油脂、
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリド
(4) CN48以上の含有量が30質量%以下である、(1)~(3)のいずれかのエステル交換油脂、
CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
(5) 下記SFC%を全て満たす、(1)~(4)のいずれかのエステル交換油脂、
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~75%
30℃のSFCが、25%~55%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、10%以下
(6) 下記SFC%を全て満たす、(3)のエステル交換油脂、
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、10%以下
(7) 下記SFC%を全て満たす、(4)のエステル交換油脂、
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、5%以下
(8) (1)~(7)のいずれかのエステル交換油脂を含有する、チョコレート用油脂、
(9) (1)~(7)のいずれかのエステル交換油脂を含有する、チョコレート、である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、シャープな融解特性を有する、エステル交換油脂を得ることができる。
好ましい態様として、本発明のエステル交換油脂は、口どけを悪化させる炭素数16以上の飽和脂肪酸含量を低減しながら、固化速度が早く、チョコレートに使用した場合に作業性に優れている。
好ましい態様として、本発明のエステル交換油脂をチョコレートに使用することで、トランス脂肪酸含有量を低減しながら、テンパリング操作が不要で、ココアバターとの相溶性と耐ブルーム性に優れ、口溶けの良好なチョコレートを製造することができる。
さらに好ましい態様として、本発明のエステル交換油脂を被覆用チョコレートに使用した場合、カカオマスを多量に配合しても、テンパリング作業が不要で、かつ口溶け良好でカカオ感のある美味しい被覆用チョコレートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明のエステル交換油脂に使用可能な油脂類は、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)、シア脂、サル脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
【0017】
本発明のエステル交換油脂は、下記(A)~(F)を全て満たし、(B)と(E)の合計が10質量%~20質量%であることを特徴とする、CN30~CN38の含有量が18~50質量%及びCN48以上の含有量が35質量%以下である、エステル交換油脂である。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が30~50質量%
(E)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(F)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
ただし、脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する。
CN30~CN38:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が30~38のトリグリセリド
CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
【0018】
本発明のエステル交換油脂の特徴は、前記(E)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%、好ましくは1~9質量%、より好ましくは1~8質量%、さらに好ましくは1~7質量%であることが、従来技術で得られるノーテンパーハードバターと比較して、重要な相違点として挙げられる。不飽和脂肪酸含有量が10質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが増加するため望ましくない。0.5質量%未満では、低融点のトリグリセリドが少なすぎる場合がある。また、オレイン酸含量としては、好ましくは0.5~7質量%、より好ましくは1~6質量%である。オレイン酸含有量が7質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが増加するため望ましくない。0.5質量%未満では、低融点のトリグリセリドが少なすぎる場合がある。
【0019】
推測ではあるが、前記(E)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量を0.5~10質量%とし、替わりに、構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量を6~18質量%とすることで、エステル交換油脂の低融点化を抑制しシャープな融解特性が得られる。低融点トリグリセリドの生成が低減できるため、高融点トリグリセリドの必要量も最少にできるためチョコレートを作製した場合には良好な口どけが得られる。かかる低融点トリグリセリドの生成低減と高融点トリグリセリドの生成低減は、分別を実施することなくシャープな融解特性が得られることにも繋がっている。炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が18質量%を超えると、得られるエステル交換油脂中の低融点のトリグリセリドが増加してしまうため望ましくない。また6質量%未満では所望する中融点のトリグリセリドが減少しシャープな融解特性が得られないため望ましくない。炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量は好ましくは6~18質量%、より好ましくは6~15質量%、さらに好ましくは7~15質量%、最も好ましくは8~15質量%である。
【0020】
本発明のエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、前記(B)炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量と(E)不飽和脂肪酸含有量の合計が10質量%~20質量%である。かかる範囲内とすることで、シャープな融解特性が得られる。20質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが増加するため望ましくない。
【0021】
本発明のエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%、好ましくは95~99質量%である。90質量%未満では、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない。99.5質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが少なすぎる場合がある。
【0022】
本発明のエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量は20~50質量%、好ましくは25~50質量%、より好ましくは25~45質量%、さらに好ましくは30~45質量%である。20質量%未満では、飽和脂肪酸含有量における相対的なステアリン酸やパルミチン酸の含有量が高くなってしまい、口溶けが悪化し、シャープな融解特性が得られない。ラウリン酸の含有量が50質量%を超えると、飽和脂肪酸含有量における相対的なステアリン酸やパルミチン酸含有量が低くなってしまい、全温度域のSFC%が低下してしまい、シャープな融解特性が得られない。
【0023】
本発明のエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が30~50質量%、好ましくは35~50質量%である。30質量%未満では、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない。50質量%を超えると口溶けが悪化するため望ましくない。
【0024】
本明細書において、油脂の脂肪酸組成は、吉永らにより報告されている「The Collaborative Study on the Enzymatic Analysis of Positional Distribution of Short- and Medium- chain Fatty Acids in Milk Fat Using Immobilized Candida Antarctica Lipase B」記載の方法に準じて脂肪酸残基をプロピルエステル化し測定した。通常行なわれている、強アルカリ-メタノール溶液を使用して脂肪酸残基をメチルエステル化する方法では、特に、C6~C8といった短鎖の脂肪酸含有量において、分析して得られた数値が少なく検出されたり、精度が劣ったりする場合がある。プロピル化による脂肪酸組成分析を行なうことで、前記課題を緩和することができ、精度の高い測定が実施できる。
【0025】
本発明のエステル交換油脂は、CN30~CN38(油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が30~38のトリグリセリド)の含有量が18~50質量%、好ましくは20~40質量%である。18~50質量%とすることで、シャープな融解特性が得られる。18質量%未満では25℃~35℃のSFC%が低下するため望ましくない。
【0026】
本発明のエステル交換油脂は、CN48以上(油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド)の含有量が35質量%以下、好ましくは5~35質量%、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは5~30質量%である。35質量%を超えると、飽和脂肪酸の含有量が多い場合では高融点のトリグリセリドが増加したり、不飽和脂肪酸の含有量が多い場合では低融点のトリグリセリドが増加したり、する場合があるため、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない場合がある。
【0027】
本発明のエステル交換油脂は、好ましくは、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が30以下である、好ましくは1.5~30、より好ましくは2~30、さらに好ましくは2~20である。かかる範囲内とすることで、所望するシャープな融解特性が簡便に得られるので好ましい。
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリド
【0028】
本発明のエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が好ましくは35~60質量%、より好ましくは35~50質量%である。35質量%未満では、相対的に炭素数16以上の飽和脂肪酸含有量が増加した場合には口溶けが悪くなる場合がある。相対的に炭素数16以上の不飽和脂肪酸含有量が増加した場合には、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない場合がある。また60質量%を超えた場合にも、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない場合がある。
【0029】
本発明のエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。本発明の、エステル交換油脂は、炭素数20以上の飽和脂肪酸が1質量%以下であっても、シャープな融解特性と、良好な固化速度を得ることができる。
【0030】
本発明のエステル交換油脂は、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はないが、好ましくは、エステル交換の原料油脂が下記油脂成分X及び油脂成分Yを混合してエステル交換したものである。
油脂成分Xは、ヤシ油、パーム核油及びこれらを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂
油脂成分Yは、非ラウリンの高融点油脂
【0031】
油脂成分Xとして使用できる、ヤシ油、パーム核油及びこれらを加工した油脂としては、硬化ヤシ油、パーム核分別硬化油、及びパーム核分別油選が例示できる。
前記油脂類を単独若しくは1種以上を混合して使用しても良い。
【0032】
油脂成分Yとして使用できる、非ラウリンの高融点油脂としては、非ラウリン油脂類の硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油や、非ラウリン油脂のエステル交換油や、非ラウリン油脂のエステル交換油の加工油脂類も使用することができる。非ラウリンの分別高融点油脂として、パーム油を分別して得られるパームステアリンが例示できる。
前記油脂類を単独若しくは1種以上を混合して使用しても良い。
【0033】
エステル交換方法としては、トリグリセリドの1位と3位に結合する脂肪酸のみを酵素(リパーゼ)を用いて特異的に交換する方法(1,3位特異的エステル交換法)と、酵素もしくは金属触媒(例えばナトリウムメチラート)を用いて結合位置に関係なく不特定に交換する方法(ランダムエステル交換)に分けられる。本発明におけるエステル交換とは、後者のランダムエステル交換が好ましい。これはより多くのトリグリセリド種が得られることにより、テンパリングをしないチョコレートにおいて長期にわたり品質が安定化するため好ましい。
【0034】
本発明のエステル交換油脂の好ましい態様として、チョコレート類用の油脂として望まれる良好な固化速度を有している。固化速度は高融点油脂を増やすことで増加できるが、あまり増加しすぎると口どけが悪くなる傾向がある。本発明のエステル交換油脂は、良好な口どけを有しかつ、良好な固化速度も有している。
【0035】
本発明のエステル交換油脂は、チョコレート類に使用することができる。本発明のエステル交換油脂の好ましい態様として、エステル交換後に、分別工程を実施しなくてもシャープな油脂物性が得られ、チョコレート類に使用することができる。本発明のエステル交換油脂の使用量はチョコレート全体に対して、10~65質量%、好ましくは10~50質量%であり、さらに好ましくは15~45質量%である。本発明のエステル交換油脂が10質量%未満の場合、被覆用途に使用した場合に、固化速度及び固化後のつや、食した際の被覆物からのはがれ落ちにくさといった特性が得られない場合がある。65質量%を超えると、前述の特性は得られるものの良好な風味が得られない場合があり、また油性感が強くなる場合があるため好ましくない。
【0036】
また、ここで言うチョコレート類とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、およびチョコレート利用食品に限定されるものではなく、油脂類を必須成分とし、カカオマス、ココア、カカオバター、カカオバター代用脂、ハードバター等を利用した油脂加工食品をも包含するものである。
【0037】
本発明のエステル交換油脂は、好ましくは、下記SFC%を全て満たす。チョコレート類に使用した際に、口溶けがシャープで後残り感がない特徴が得られるので、好ましい 。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~75%
30℃のSFCが、25%~55%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、10%以下
【0038】
本発明のエステル交換油脂は、加えて(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が30以下を満たすことで、より好ましい態様として、下記SFC%を全て満たす。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、10%以下
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド、
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリドを示す
【0039】
本発明のエステル交換油脂は、加えてCN48以上の含有量が30質量%以下を満たすことで、さらに好ましい態様として、下記SFC%を全て満たす。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、49%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、5%以下
【0040】
チョコレート類中の油脂分としては、30~70質量%が好ましく、より好ましくは40~60質量%である。油脂分が少ないとチョコレート類の粘性が高すぎて被覆用途で用いた場合に、被覆作業が困難となる場合がある。また油脂分が多すぎるとチョコレート風味が薄くなり、油っぽくなる場合があるため、好ましくない。
【0041】
本発明のエステル交換油脂を使用したチョコレート類の製造法としては、一般的なチョコレート類を製造する要領で行うことができる。具体的には、本発明のエステル交換油脂を必須とし、糖類、カカオマス、カカオバター、ココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、乳化剤、香料、色素等の原料を適宜選択して混合し、ロール掛け及びコンチング処理を行い、得ることができる。
【0042】
本発明のエステル交換油脂を使用したチョコレート類には、通常チョコレート類の製造に使用される乳化剤を使用することができる。ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが例示できる。これらは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0043】
本発明のエステル交換油脂の好ましい用途は、被覆用チョコレート類である。本発明において、被覆用チョコレート類とは、油脂が連続相をなす油脂加工食品であり、菓子、ベーカリー製品等の表面をコーティングあるいはカバリングするための被覆チョコレート類が例示できる。
【0044】
本発明において、被覆チョコレート類を利用して被覆してなる複合食品としては、菓子、ベーカリー製品であれば、特に限定されるものではないが、菓子としては、まんじゅう、蒸しようかん、カステラ、どら焼き、今川焼き、たい焼き、きんつば、ワッフル、栗まんじゅう、月餅、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、ドーナツ、スポンジケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュークリーム、エクレア、ミルフィユ、アップルパイ、タルト、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、ピザパイ、クレープ、スフレー、ベニェなどや、バナナ、りんご、イチゴなどの果物に油脂組成物を被覆した菓子が挙げられ、パンとしては、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、コーンブレッド、バターロール、ハンバーガーバンズ、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー、ナンなどが例示できる。アイス冷菓用にも使用できるが、好ましくは常温で使用されるほうが本発明の効果が得られる。
【0045】
本発明のエステル交換油脂を使用した被覆用チョコレート類は、溶融した被覆用チョコレート類をテンパリング処理することなしに被覆作業を行うが、被覆させる条件は、融解状態から被覆後、冷蔵温度15℃以下で冷却し、速やかに固化させるのが好ましい。
【実施例
【0046】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部はいずれも質量基準を意味する。
【0047】
(分析方法)
(プロピル化による脂肪酸組成分析方法)
油脂の脂肪酸組成は、吉永らにより報告されている「The Collaborative Study on the Enzymatic Analysis of Positional Distribution of Short- and Medium- chain Fatty Acids in Milk Fat Using Immobilized Candida Antarctica Lipase B」記載の方法に準じて通常のメチルエステル化ではなくプロピルエステル化し。ガスクロマトグラフによる分析は日本油化学協会基準油脂分析試験法に準じて測定した。
(トリグリセリド組成分析方法)
油脂中のトリグリセリドを構成している脂肪酸の総炭素数の測定は、日本油化学会制定‘基準油脂分析試験法2.4.6 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)’に準じて実施した。
(SFC測定方法)
(各温度のSFC)(固化速度)の測定において、SFCは、IUPAC.2 150 SOLID CONTENT DETERMINATION IN FATS BY NMRに準じて測定する。分析装置はBruker社製“minispec mq20”を使用する。
(各温度のSFC Parallel measurements)
溶解特性を評価するため、油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、0℃に1時間保持して固化させる。さらに、所定の温度(10℃、20℃、20℃、30℃、35℃、40℃)に30分保持した後にSFC(固体脂含量)を測定する。
(固化速度)
油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、20℃にて安定化し、3分後~30分後のSFC(固体脂含量)を測定する。
【0048】
表1に記載の割合にて調合した原料油脂1.0kgに、ナトリウムメチラートを触媒として1.5g添加し、80℃にて30分ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行いエステル交換油脂を得た。中鎖脂肪酸結合油脂としては、n-オクタン酸(炭素数8)n-デカン酸(炭素数10)を構成脂肪酸とし、これらの重量比が60:40であるMCT-64(不二製油株式会社製)を使用した。
前記脂肪酸組成分析方法に従い脂肪酸組成を分析した結果を表1に示す。また前記トリグリセリド組成分析方法に従いトリグリセリド組成を分析した結果を表3に示す。なお表1においてヨウ素価をIVと表記した。
【0049】
【表1】
【0050】
表2に記載の割合にて調合した原料油脂1.0kgに、ナトリウムメチラートを触媒として1.5g添加し、80℃にて30分ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行いエステル交換油脂を得た。中鎖脂肪酸結合油脂としては、n-オクタン酸(炭素数8)n-デカン酸(炭素数10)を構成脂肪酸とし、これらの重量比が60:40であるMCT-64(不二製油株式会社製)を使用した。
前記脂肪酸組成分析方法に従い脂肪酸組成を分析した結果を表2に示す。また前記トリグリセリド組成分析方法に従いトリグリセリド組成を分析した結果を表3に示す。なお表2においてヨウ素価をIVと表記した。
【0051】
【表2】
【0052】
(脂肪酸組成分析値の評価)
下記(A)~(H)の数値で評価した。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が30~50質量%
(E)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(F)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
(G)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
(H)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
【0053】
(表1の考察)
・実施例1~実施例13のエステル交換油は、前記(A)~(H)の数値範囲を全て満たす。また、(B)と(E)の合計は10質量%~20質量%の範囲内であった。
【0054】
(表2の考察)
・比較例1~3、5は、(A)を満たさないものであった。
・比較例3は、(B)を満たさないものであった。
・比較例1~3、5は、(E)を満たさないものであった。
・比較例1~5は、重要視している(B)と(E)の合計が10質量%~20質量%の数値範囲を満たさないものであった。
【0055】
【表3】
【0056】
(トリグリセリド分析値の評価)
1、CN30~CN38の含有量が18~50質量%
2、CN48以上の含有量が35質量%以下
3、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が30以下
【0057】
(表3の考察)
・実施例1~実施例11は、前記1~3の数値範囲を全て満たす。
・実施例12~実施例13は、前記1~2の数値範囲を全て満たすが、3の数値範囲を満たさないものであった。
・実施例11は、前記2の数値が、30.9で30質量%を超えるものであった。
・比較例1~比較例4は、前記1の数値範囲を満たさないものであった。
・比較例1、3、4は、前記2の数値範囲を満たさないものであった。
・比較例1、3、4は、前記3の数値範囲を満たさないものであった。
【0058】
前記(各温度のSFC)測定方法に従い、各油脂における、各温度のSFCを測定した、結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
(SFC%の評価)
下記数値範囲を全て満たすことでシャープな融解特性の指標とした。
・10℃のSFCが、85%~100%
・20℃のSFCが、65%~80%
・25℃のSFCが、49%~75%
・30℃のSFCが、25%~55%
・35℃のSFCが、5%~30%
・40℃のSFCが、10%以下
下記数値範囲を全て満たすことで、より好ましいシャープな融解特性の指標とした。
・10℃のSFCが、85%~100%
・20℃のSFCが、65%~80%
・25℃のSFCが、49%~70%
・30℃のSFCが、25%~50%
・35℃のSFCが、5%~30%
・40℃のSFCが、10%以下
下記数値範囲を全て満たすことで、さらに好ましいシャープな融解特性の指標とした。
・10℃のSFCが、85%~100%
・20℃のSFCが、65%~80%
・25℃のSFCが、49%~70%
・30℃のSFCが、25%~50%
・35℃のSFCが、5%~30%
・40℃のSFCが、5%以下
【0061】
(表4の考察)
・実施例1~実施例13は、シャープな融解特性が得られた。
・実施例1~実施例11は、より好ましいシャープな融解特性が得られた。
・実施例1~実施例10は、さらに好ましいシャープな融解特性が得られた。
・(B)と(E)の合計が20質量%を超える、比較例1~3、5は、シャープな融解特性が得られなかった。
・(B)と(E)の合計が10質量%未満である、比較例4は、シャープな融解特性が得られなかった。
【0062】
前記(固化速度)測定方法に従い、固化速度を測定した、結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
(表5の考察)
・前記SFC%の評価において、シャープな融解特性が得られチョコレート類用での使用に適する実施例1~実施例13は、10分後の固体脂含量が30%を超えており、固化速度においても良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明により、シャープな溶解性状を示す、エステル交換油脂および該エステル交換油脂を使用した油性食品、特にテンパリング操作を実施しないチョコレートに好適に利用することができる。