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特許7363778活性光線硬化型インク、インクセット、画像形成物、および画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】活性光線硬化型インク、インクセット、画像形成物、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20231011BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231011BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20231011BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C09D11/101
B41J2/01 501
B41J2/01 129
B41J2/01 123
B41M5/00 120
B41M5/00 100
C09D5/00 D
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020525398
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2019020701
(87)【国際公開番号】W WO2019244561
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2018116049
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】三輪 英也
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-045909(JP,A)
【文献】特開2012-021106(JP,A)
【文献】特開2015-150739(JP,A)
【文献】特開2013-010236(JP,A)
【文献】特開2015-199782(JP,A)
【文献】特開2013-119585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
B41J 2/01
B41M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成
するための活性光線硬化型インクであって
基を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含む、活性光線硬化型インク。
【請求項2】
基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであって、
第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含み、
前記活性光線硬化型インクの水酸基価は、15mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である、
活性光線硬化型インク。
【請求項3】
基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであって、
第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含み、
ホモポリマーとしたときのガラス転移点が80℃より高い光重合性化合物を、活性光線硬化型インクの全質量に対して25質量%以上70質量%以下含む、
活性光線硬化型インク。
【請求項4】
基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであって、
第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含み、
インクジェット法により吐出可能である、活性光線硬化型インク。
【請求項5】
前記水素結合性の光重合性化合物は、水酸基を有する光重合性化合物である、請求項2~4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
【請求項6】
前記活性光線硬化型インクの水酸基価は、15mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である、請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
【請求項7】
ホモポリマーとしたときのガラス転移点が80℃より高い光重合性化合物を、活性光線硬化型インクの全質量に対して25質量%以上70質量%以下含む、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
【請求項8】
インクジェット法により吐出可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
【請求項9】
前記水素結合性の光重合性化合物は多官能の光重合性化合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
【請求項10】
活性光線硬化型インクと、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクと、を含むインクセットであって、
前記活性光線硬化型インクは、基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであり、
前記活性光線硬化型インクは、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含み、
前記光輝性インクは、インクジェット法により吐出可能である、インクセット。
【請求項11】
活性光線硬化型インクと、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクと、を含むインクセットであって、
前記活性光線硬化型インクは、基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであり、
前記活性光線硬化型インクは、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含み、
前記金属粒子は金属ナノ粒子である、インクセット。
【請求項12】
請求項1~のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクと、
高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクと、を含むインクセット。
【請求項13】
前記水素結合性の光重合性化合物は多官能の光重合性化合物である、請求項10又は11に記載のインクセット。
【請求項14】
前記光輝性インクは、インクジェット法により吐出可能である、請求項11又は12に記載のインクセット。
【請求項15】
前記金属粒子は金属ナノ粒子である、請求項10又は12に記載のインクセット。
【請求項16】
基材と、
請求項1~のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを前記基材の表面に付与し、硬化させてなる下地層と、
前記下地層の表面に接して形成された、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、を含む画像形成物。
【請求項17】
活性光線硬化型インクを、基材の表面に、インクジェット法で付与し、付与された前記活性光線硬化型インクに活性光線を照射して下地層を形成する工程と、
高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクを、前記形成された下地層の表面に付与して、前記下地層の表面に接した光輝層を形成する工程と、を含む画像形成方法であって、
前記活性光線硬化型インクは、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含む、
画像形成方法。
【請求項18】
活性光線硬化型インクを基材の表面に付与し、付与された前記活性光線硬化型インクに活性光線を照射して下地層を形成する工程と、
高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクを、前記形成された下地層の表面に、インクジェット法で付与して、前記下地層の表面に接した光輝層を形成する工程と、を含む画像形成方法であって、
前記活性光線硬化型インクは、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含む、
画像形成方法。
【請求項19】
請求項1~のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを基材の表面に付与し、付与された前記活性光線硬化型インクに活性光線を照射して下地層を形成する工程と、
高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクを前記形成された下地層の表面に付与して、前記下地層の表面に接した光輝層を形成する工程と、を含む画像形成方法。
【請求項20】
前記水素結合性の光重合性化合物は多官能の光重合性化合物である、請求項17又は18に記載の画像形成方法。
【請求項21】
前記活性光線硬化型インクは、インクジェット法で前記基材の表面に付与される、請求項18又は19に記載の画像形成方法。
【請求項22】
前記光輝性インクは、インクジェット法で前記下地層の表面に付与される、請求項17又は19に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性光線硬化型インク、インクセット、画像形成物、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ラベル、パッケージ、広告印刷物や写真等の記録物において、金属光沢調の印刷の需要が高まっている。金属光沢調の印刷技術として、従来はオフセット印刷、グラビア印刷、またはスクリーン印刷等のアナログ印刷が用いられてきた。これに対し、より微細な画像を形成でき、デジタル印刷が可能なインクジェット法による印刷技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、銀粒子を含有する水系インク組成物をインクジェット方式で付与し、金属光沢を有する記録物を得る方法を開示している。
【0004】
しかし、インクジェット方式で金属光沢調の画像を形成するとき、普通紙等の平滑性の低い基材上に金属粒子を含む光輝性インクを付与すると、基材の凹凸のために画像に入射した光が散乱してしまい、画像の光輝性が損なわれることが知られている。そこで、光輝性が損なわれないように、基材上の光輝性インクが吐出される領域に、あらかじめ平滑な下地層を形成し、下地層上に金属粒子を含有する光輝性インクを吐出する方法が知られている。
【0005】
例えば、特許文献2は、活性光線硬化型インクを記録媒体に付与し、付与された活性光線硬化型インクを活性光線によって重合・硬化させて基材上に平滑な下地層を形成し、形成された下地層の表面に光輝性インクを付与して、金属光沢調の画像を形成する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-134935号公報
【文献】特開2013-10236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載のように、平滑な下地層を予め形成しておき、形成された下地層の表面に光輝性インクを付与して画像を形成すれば、形成された画像の光輝性を高めることができると期待される。
【0008】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献2に記載の方法で形成した画像は、密着性が低く、画像に切り傷などが生じたときに上記切り傷などからはがれやすいことがあった。一方で、下地層の組成を調整して画像の密着性を高めようとすると、画像形成物にタッキングが生じやすいこともあった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであり、金属粒子を含有する光輝性インクを用いて画像を形成するときの、基材への密着性がより高い画像を形成することができ、かつ、画像形成物へのタッキングの発生を抑制することができる下地層を形成するための活性光線硬化型インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の手段により解決されるものである。
[1]基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、の間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであって、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、前記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含む、活性光線硬化型インク。
[2]前記水素結合性の光重合性化合物は、水酸基を有する光重合性化合物である、[1]に記載の活性光線硬化型インク。
[3]前記活性光線硬化型インクの水酸基価は、15mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である、[1]または[2]に記載の活性光線硬化型インク。
[4]前記水素結合性の光重合性化合物は多官能の光重合性化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の活性光線硬化型インク。
[5]ホモポリマーとしたときのガラス転移点が80℃より高い光重合性化合物を、活性光線硬化型インクの全質量に対して25質量%以上70質量%以下含む、[1]~[4]のいずれかに記載の活性光線硬化型インク。
[6]インクジェット法により吐出可能である、[1]~[5]のいずれかに記載の活性光線硬化型インク。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクと、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクと、を含むインクセット。
[8]前記光輝性インクは、インクジェット法により吐出可能である、[7]に記載のインクセット。
[9]前記金属粒子は金属ナノ粒子である、[7]または[8]に記載のインクセット。
[10]基材と、[1]~[6]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクを前記基材の表面に付与し、硬化させてなる下地層と、前記下地層の表面に接して形成された、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層と、を含む画像形成物。
[11][1]~[6]のいずれかに記載の活性光線硬化型インクを基材の表面に付与し、付与された前記活性光線硬化型インクに活性光線を照射して下地層を形成する工程と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクを前記形成された下地層の表面に付与して、前記下地層の表面に接した光輝層を形成する工程と、を含む画像形成方法。
[12]前記活性光線硬化型インクは、インクジェット法で前記基材の表面に付与される、[11]に記載の画像形成方法。
[13]前記光輝性インクは、インクジェット法で前記下地層の表面に付与される、[11]に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属粒子を含有する光輝性インクを用いて画像を形成するときの、基材への密着性がより高く、かつ、画像形成物へのタッキングの発生を抑制することができる下地層を形成できる活性光線硬化型インクが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、基材と、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層との間に配置される下地層を形成するための活性光線硬化型インクであって、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を、上記活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下含む、活性光線硬化型インクに関する。
【0013】
本発明の活性光線硬化型インクによって、基材への密着性がより高く、かつ、画像形成物へのタッキングの発生を抑制できる下地層が得られる理由は、必ずしも明らかではないものの、以下のように考えられる。
【0014】
第二級アミド基、ウレタン結合、または水酸基のような極性を有する官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物(以下、水素結合性の光重合性化合物ともいう)を含む活性光線硬化型インクにより形成された下地層は、基材の極性部分や光輝層中の分散剤の極性部分と、上記水素結合性の光重合性化合物に由来する極性部分とが相互作用することで密着性が高まると考えられる。特に、第二級アミド、ウレタン結合、水酸基は水素を有し、水素結合を形成する能力を有しているので、密着性が高まると考えられる。したがって、これらの重合性化合物を、活性光線硬化型インクのその全質量に対して10質量%以上含む活性光線硬化型インクを用いて形成された下地層は、基材および光輝層との密着性がより良好になる。一方で、上記水素結合性の光重合性化合物の含有量を活性光線硬化型インクの全質量に対して40質量%以下にすると、下地層が過剰に柔らかくなり画像形成物の表面も過剰に柔らかくなることによるタッキングの発生を、抑制できると考えられる。
【0015】
1. 活性光線硬化型インク
本発明の一実施形態に関する活性光線硬化型インクは、第二級アミド基、ウレタン結合および水酸基からなる群より選ばれた少なくとも1つの官能基または構造を有する水素結合性の光重合性化合物を含む。
【0016】
1-1. 水素結合性の光重合性化合物
水素結合性の光重合性化合物は、活性光線の照射により重合および架橋するものであれば特に制限されない。水素結合性の光重合性化合物の例には、上記官能基または構造を有するラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物が含まれるが、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0017】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物)である。ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物およびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタンなどが含まれる。不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などが含まれる。
【0019】
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイロキシ」は、アクリロイロキシまたはメタクリロイロキシを意味する。
【0020】
ラジカル重合性化合物は、エチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基を有するように変性された(メタ)アクリレート(以下、単に「変性(メタ)アクリレート」ともいう。)を含むことが好ましい。変性(メタ)アクリレートは、感光性がより高い。また、変性(メタ)アクリレートは、高温下でも他の成分とより相溶しやすい。さらには、変性(メタ)アクリレートは、硬化収縮が少ないため活性光線照射時の基材のカールがより生じにくい。
【0021】
カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物などが含まれる。
【0022】
第二級アミド基を有する光重合性化合物は、-C(=O)-NH-Rにおいて、RがHではない構造を有する光重合性化合物である。第二級アミド基を有する光重合性化合物は、光重合性化合物が第二級アミド基を有していれば特に制限されない。
【0023】
第二級アミド基を有する光重合性化合物の例には、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0024】
ウレタン結合を有する光重合性化合物は、光重合性化合物がウレタン結合を有していれば特に制限されない。
【0025】
ウレタン結合を有する光重合性化合物の例には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ポリエステル系ウレタンモノマー、ポリエーテル系ウレタンモノマー、ポリカーボネート系ウレタンモノマーが含まれる。
【0026】
水酸基を有する光重合性化合物は、光重合性化合物が水酸基を有していれば特に制限されない。なお、上記水酸基には、カルボキシル基は含まれない。
【0027】
水酸基を有する光重合性化合物の例には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0028】
水素結合性の光重合性化合物は、基材への画像形成物の密着性をより高める観点から、水酸基を有する光重合性化合物であることが好ましい。
【0029】
このとき、上記活性光線硬化型インクの水酸基価は、基材への画像形成物の密着性をより高める観点から、15mgKOH/g以上であることが好ましく、画像形成物へのタッキングの発生をより抑制する観点から、150mgKOH/g以下であることが好ましい。上記活性光線硬化型インクの水酸基価は、30mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
【0030】
上記活性光線硬化型インクの水酸基価は、活性光線硬化型インク1gに含まれる水酸基を無水酢酸でアセチル化し、アセチル化によって生じた酢酸を中和させるために必要な水酸化カリウムの量(mg)である。インク組成物の水酸基価は、JIS K 0070に記載される方法に準ずる計算により得ることができる。
【0031】
また、活性光線硬化型インクの水酸基価は、活性光線硬化型インク1g中における水酸基を有する光重合性化合物の配合組成から計算によりその理論値を得ることができる。具体的には、水酸基を有する光重合性化合物をA、B・・・とした場合、下記式(1)で水酸基価を得ることができる。
水酸基価[mgKOH/g]=(MA×αA+MB×αB+・・・)×56000…(1)
ここで、式(1)において、MA、MBは活性光線硬化型インク1g中におけるA、Bの物質量(単位:モル)をそれぞれ表し、αA、αBはA、Bの1分子が有する水酸基数をそれぞれ表す。
【0032】
また、水素結合性の光重合性化合物は多官能の光重合性化合物であることが好ましい。水素結合性の光重合性化合物が活性光線の照射により重合または架橋可能な官能基を2個以上有すると、基材への画像形成物の密着性をより高めることができる。多官能である水素結合性の光重合性化合物の例には、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0033】
上記水素結合性の光重合性化合物の含有量は、活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下である。水素結合性の光重合性化合物の含有量は、下地層と、基材および光輝層のそれぞれとの密着性をより高める観点から、活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより好ましい。また、水素結合性の光重合性化合物の含有量は、画像へのタッキングの発生を抑制する観点からは、活性光線硬化型インクの全質量に対して40質量%以下が好ましい。
【0034】
1-2. その他の成分
活性光線硬化型インクは、上記以外のその他の光重合性化合物を含んでもよく、また、界面活性剤、重合開始剤を含んでもよい。
【0035】
(その他の光重合性化合物)
その他の光重合性化合物は、活性光線により重合するものであれば特に制限されない。その他の光重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物が含まれるが、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0036】
ラジカル重合性化合物であるその他の光重合性化合物の例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを含む単官能の(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどを含む2官能のアクリレート、ならびに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどを含む三官能以上のアクリレートなどが含まれる。
【0037】
(メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物である(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリプロピレンエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどを含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ならびにカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレートなどが含まれる。
【0038】
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、および直鎖(メタ)アクリルオリゴマーなどが含まれる。
【0039】
カチオン重合性化合物であるその他の光重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、およびオキセタン化合物などでありうる。カチオン重合性化合物は、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0040】
ビニルエーテル化合物の例には、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルおよびアダマンチルビニルエーテルなどを含む単官能のビニルエーテル化合物、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソバイニルジビニルエーテル、ジビニルレゾルシンおよびジビニルハイドロキノンなどを含む2官能のビニルエーテル化合物、ならびに、グリセリントリビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテルおよびジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテルなどならびにこれらのオキシエチレン付加物などを含む三官能以上のビニルエーテル化合物などが含まれる。
【0041】
エポキシ化合物の例には、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェノール(ポリエチレンオキシ)5-グリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ラウリルグリシジルエーテル、1,2-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンおよびノルボルネンオキシドなどを含む単官能のエポキシ化合物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルおよび1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどを含む2官能のエポキシ化合物、ならびに、ポリグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどを含む三官能以上のエポキシ化合物などが含まれる。
【0042】
オキセタン化合物の例には、2-(3-オキセタニル)-1-ブタノール、3-(2-(2-エチルヘキシルオキシエチル))-3-エチルオキセタンおよび3-(2-フェノキシエチル)-3-エチルオキセタンなどを含む単官能のオキセタン化合物、ならびに、キシリレンビスオキセタンおよび3,3’-(オキシビスメチレン)ビス(3-エチルオキセタン)などを含む多官能のオキセタン化合物などが含まれる。
【0043】
(界面活性剤)
界面活性剤は、公知の界面活性剤(表面調整剤)でよい。界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
界面活性剤の含有量は、下地層が形成されれば特に限定されないが、活性光線硬化型インクの全質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0045】
(重合開始剤)
重合開始剤は、上記光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物であるときは、光ラジカル開始剤を含み、上記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物であるときは、光酸発生剤を含む。光重合開始剤は、本発明のインク中に、一種のみが含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
【0046】
光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
【0047】
開裂型ラジカル開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、および2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノンなどを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテルなどを含むベンゾイン系の開始剤、2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドなどを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジル、ならびにメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
【0048】
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどを含むベンゾフェノン系の開始剤、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、および2,4-ジクロロチオキサントンなどを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトンおよび4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノンなどを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、ならびにカンファーキノンなどが含まれる。
【0049】
光酸発生剤の例には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ヨードニウム(4-メチルフェニル)(4-(2-メチルプロピル)フェニル)ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、および3-メチル-2-ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどが含まれる。
【0050】
上記活性光線硬化型インクにおける重合開始剤の含有量は、インク硬化時に照射する光や光重合性化合物の種類などにもよるが、活性光線硬化型インクの全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
【0051】
1-3. 光重合性化合物のガラス転移点
画像形成物の耐候性を高める観点から、活性光線硬化型インクは、ホモポリマーとしたときのガラス転移点が80℃より高い光重合性化合物(以下、Tgが80℃より高い光重合性化合物ともいう)を、活性光線硬化型インクの全質量に対して25質量%以上70質量%以下含むことが好ましい。画像形成物を大気中に長期間放置すると、画像形成物の光輝性が損なわれることがある。これは、基材側から侵入したガス(特に、硫黄化合物)が下地層を通って光輝層に到達し、光輝層中の金属粒子を冒すということ(バックアタック)が起こるからであると考えられる。しかし、活性光線硬化型インク中にTgが80℃より高い光重合性化合物を含ませると、硬化して形成された下地層のTgが上昇する。すなわち、下地層内の分子間の相互作用が強固になるため、上記ガスの侵入を阻害してガスバリア性に優れ、耐候性に優れるようになると考えられる。
【0052】
Tgが80℃より高い光重合性化合物の含有量は、画像形成物の耐候性を高める観点から、活性光線硬化型インクの全質量に対して25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。Tgが80℃より高い光重合性化合物の含有量は、下地層内の分子間の相互作用が強固になり画像形成物の屈曲性が低下することを抑制する観点から、活性光線硬化型インクの全質量に対して70質量%以下であることが好ましい。
【0053】
Tgが80℃より高い光重合性化合物の例には、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド(Tg:134℃)、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド(Tg:104)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg:98℃)、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(Tg:122℃)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(トリエステル55%)、イソボルニルアクリレート(Tg:97℃)、ジプロピレングリコールジアクリレート(Tg:110℃)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Tg:190℃)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(Tg:92℃)が含まれる。
【0054】
1-4. 物性
上記活性光線硬化型インクは、インクジェット法により基材の表面に付与されるとき、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性をより高める観点からは、粘度が1cP以上100cP未満であることが好ましく、1cP以上50cP以下であることがより好ましく、1cP以上15cP以下であることがさらに好ましい。
【0055】
このとき、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性を高める観点からは、上記活性光線硬化型インクの表面張力は20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。
【0056】
2. インクセット
本発明の一実施形態に関するインクセットは、上述した活性光線硬化型インクと、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝性インクとを含む。
【0057】
2-1. 光輝性インク
光輝性インクは高分子分散剤および金属粒子を含む水系の液体であり、溶媒として水を含む。溶媒は、粘度調整などのために任意に公知の有機溶媒を含んでいてもよい。
【0058】
2-1-1. 高分子分散剤
高分子分散剤を構成する樹脂は、親水性モノマーの単独重合体または共重合体が好ましい。高分子分散剤は、親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体であってもよい。
【0059】
親水性モノマーの例には、カルボキシル基または酸無水物基を含有するモノマー((メタ)アクリル酸、マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸、ならびに無水マレイン酸など)、ならびにエチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど)などが含まれる。
【0060】
疎水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、側鎖に炭素数3以上6以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレン、α-メチルスチレンおよびビニルトルエンなどのスチレン系モノマー、エチレン、プロピレンおよび1-ブテンなどのα-オレフィン系モノマー、ならびに、酢酸ビニルおよび酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが含まれる。
【0061】
高分子分散剤は、共重合体である場合、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびくし型共重合体などとすることができる。中でも、金属粒子の分散性をより高める観点からは、高分子分散剤は、くし型ブロック共重合体であることが好ましい。
【0062】
くし型ブロック共重合体とは、主鎖を形成する直鎖状のポリマーと、主鎖を構成するモノマー由来の構成単位に対してグラフト重合した別の種類のポリマーとを含むコポリマーを意味する。くし型ブロック共重合体の好ましい例には、主鎖が(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含み、かつ、側鎖がポリアルキレンオキサイド基(エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合基などを含む長鎖ポリアルキレンオキサイド基)を含む、くし型ブロック共重合体が含まれる。くし型ブロックコポリマーは、グラフト重合した側鎖が立体障害を生じるため、金属粒子同士の凝集をより高度に抑制しうる。それにより、金属粒子の分散性が高まるので、凝集した金属粒子による吐出不良をより抑制しやすい。
【0063】
また、上記高分子分散剤は、酸価が1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。上記酸価が1mgKOH/g以上であると、金属インクのピニング性が高まりやすい。また、上記酸価が1mgKOH/g以上であると、高分子分散剤は親水性の傾向を有するため、金属インク中での金属粒子の分散性を高めることができ、金属インクの吐出安定性もより高めることができる。一方で、上記酸価が100mgKOH/g以下であっても、金属インクはピニング性が高まりやすい。また、上記酸価が100mgKOH/g以下であると、インクジェットヘッド中で上記高分子分散剤が膨潤することによる、インクジェットヘッドからの吐出安定性の顕著な低下を抑制することもできる。上記観点からは、上記高分子分散剤の酸価は3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることがより好ましく、7mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
【0064】
高分子分散剤の酸価は、JIS K 0070に準じて測定することができる。具体的には、高分子分散剤の酸価は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)により、高分子分散剤の種類(たとえば、積層体の作製に用いた高分子分散剤の製品名など)を特定し、同一の分散剤の酸価をJIS K 0070に準じて測定すればよい。また、H-NMRおよびガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)によって分散剤の種類を特定してもよい。
【0065】
高分子分散剤は、重量平均分子量が1000以上100000以下であることが好ましく、2000以上50000以下であることがより好ましく、10000以上30000以下であることが特により好ましい。
【0066】
上記重量平均分子量は、GPCにより測定され、標準ポリスチレン換算で較正された値とすることができる。
【0067】
酸価が1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である市販の高分子分散剤の例には、DISPERBYK-102、DISPERBYK-187、DISPERBYK-190、DISPERBYK-191、DISPERBYK-194N、DISPERBYK-199、DISPERBYK-2015、およびDISPERBYK-2069(いずれもビックケミー社製、「DISPERBYK」は同社の登録商標)、EFKA 6220(BASF社製、「EFKA」は同社の登録商標)、ならびにソルスパース32000、ソルスパース44000、ソルスパース46000(ルーブリゾール社製)、フローレンTG-750W(共栄社化学社製)などが含まれる。
【0068】
後述する界面活性剤と高分子分散剤との親和性を高めて、界面活性剤の析出および凝集による金属粒子の配列の乱れを抑制する観点からは、高分子分散剤は、親水性基および疎水性基の両方を有することが好ましい。界面活性剤と高分子分散剤との親和性をより高める観点からは、界面活性剤が有する親水性基と高分子分散剤が有する親水性基は同一の官能基であり、界面活性剤が有する疎水性基と高分子分散剤が有する疎水性基とは同一の官能基であることが好ましい。たとえば、界面活性剤が有する親水性基と高分子分散剤が有する親水性基はいずれもエチレンオキサイド基であり、界面活性剤が有する疎水性基と高分子分散剤が有する疎水性基とはいずれもプロピレンオキサイド基であることが好ましい。
【0069】
2-1-2. 金属粒子
金属粒子は、金属を主成分とする粒子であり、金属光沢を発現することができる粒子であれば特に制限されない。金属粒子を構成する金属の例には、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、およびタングステンなどが含まれる。これらの中で、高い光沢を発現可能であり、かつ、安価であることから、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、スズ、鉛、クロム、亜鉛およびアルミニウムが好ましく、金、銀、銅、スズ、クロム、鉛およびアルミニウムがより好ましく、金および銀がさらに好ましく、銀が特に好ましい。これらの金属は、1種を単独で、または2種類以上を合金または混合物として用いることができる。また、金属の種類または組成が異なる2種類以上の金属粒子を組み合わせて用いてもよい。金属粒子は、これらの金属を主成分とすればよく、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、分散安定性を高めるためにクエン酸などで表面処理されていてもよい。また、これらの金属は、酸化物を含有してもよい。
【0070】
金属粒子の平均粒子径は特に限定されないが、光輝性インク中での分散安定性および保存安定性を高める観点、ならびにグラデーションの視認性の観点からは、金属粒子は、平均粒子径がナノサイズである金属ナノ粒子であることが好ましい。金属粒子の平均粒子径は、3nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上80nm以下であることがより好ましく、10nm以上60nm以下であることがさらに好ましく、15nm以上55nm以下であることが特に好ましい。
【0071】
金属粒子の平均粒子径は、金属粒子分散液をSEMにより観察し、金属粒子の体積平均粒子径を求める方法で測定すればよい。具体的には、金属粒子の平均粒子径は、以下の手順で測定すればよい。
【0072】
1)ガラス板上に分散液を塗布した後、真空脱気して溶媒成分を揮発させてサンプルを得る。得られたサンプルの分散液について、走査電子顕微鏡JSM-7401F(日本電子株式会社製)を用いてSEM観察を行い、任意の300個の金属粒子の粒径をそれぞれ測定する。
2)得られた測定データに基づいて、画像処理ソフトImage Jを用いて体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒径(体積平均粒子径)とする。
【0073】
2-1-3. 界面活性剤
光輝性インクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、光輝性インクの表面張力を低くして、付与された光輝性インクの接触角を小さくする作用を有する。
【0074】
界面活性剤は、公知の界面活性剤(表面調整剤)でよく、界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
光輝性インクの界面活性剤の含有量は、光輝性インクの全質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0076】
2-1-4. アニオン性樹脂のエマルション
光輝性インクは、アニオン性樹脂のエマルションを含有してもよい。当該エマルションは、バインダー樹脂として作用し、金属粒子の表面に吸着した高分子分散剤と相互作用して、金属粒子の下地層への密着性を高め得る。
【0077】
上記アニオン性樹脂は、高分子分散剤との親和性が高い樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(例えばポリ塩化ビニル重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体)、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体(例えばスチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)、および酢酸ビニル共重合体(例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体等)などから適宜選択して使用することができる。形成される画像の耐水性をより高める観点からは、上記アニオン性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体、および酢酸ビニル共重合体などから選択されることが好ましく、ウレタン樹脂および(メタ)アクリル樹脂から選択されることが好ましい。
【0078】
2-1-5. 溶媒
上述のように、光輝性インクは水系の液体であり、溶媒として水を含む。溶媒は、粘度調整などのために任意に公知の有機溶媒を含んでもよい。
【0079】
有機溶媒の例には、多価アルコール、多価アルコール誘導体、アルコール、アミド、ケトン、ケトアルコール、エーテル、含窒素溶剤、含硫黄溶剤、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、および1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが含まれる。上記多価アルコールの例には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロプレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、および1,2,6-ヘキサントリオールなどが含まれる。上記多価アルコール誘導体の例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、およびトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテルなどが含まれる。上記アルコールの例には、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、およびベンジルアルコールなどが含まれる。上記アミドの例には、ジメチルホルムアミド、およびジメチルアセトアミドなどが含まれる。上記ケトンの例には、アセトンなどが含まれる。上記ケトアルコールの例には、ジアセトンアルコールなどが含まれる。上記エーテルの例には、テトラヒドロフラン、およびジオキサンなどが含まれる。上記含窒素溶剤の例には、ピロリドン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、およびトリエタノールアミンなどが含まれる。上記含硫黄溶剤の例には、チオジエタノール、チオジグリコール、チオジグリセロール、スルホラン、およびジメチルスルホキシドなどが含まれる。これらの有機溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
インクジェットヘッドからの吐出時にノズル近傍で光輝性インクが乾燥することによるノズル詰まりの発生を抑制する観点からは、上記有機溶媒は、多価アルコールを含むことが好ましい。このとき、光輝性インク中の多価アルコールの含有量は、光輝性インクの全質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0081】
2-2. 物性
光輝性インクは、インクジェット法により下地層の表面に付与されるとき、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性をより高める観点からは、粘度が1cP以上100cP未満であることが好ましく、1cP以上50cP以下であることがより好ましく、1cP以上15cP以下であることがさらに好ましい。
【0082】
このとき、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性を高める観点からは、光輝性インクの表面張力は20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。濡れ性を高めて、形成される画像をより高精細にする観点からは、光輝性インクの表面張力は20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。
【0083】
3. 画像形成物
本発明の一実施形態に関する画像形成物は、基材と、上述した活性光線硬化型インクを基材上に付与し、硬化させてなる下地層と、下地層上に形成された、高分子分散剤および金属粒子を含む光輝層とを含む。
【0084】
3-1. 基材
基材は、下地層が形成され得るものであれば特に制限されず、吸水性の高い紙基材でもよいし、グラビアまたはオフセット印刷用のコート紙など吸水性の低い基材でもよいし、フィルム、プラスチックボード(軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、アクリル板、ポリオレフィン系など)、ガラス、タイルおよびゴムなどの非吸水性の基材であってもよい。
【0085】
3-2. 下地層
下地層は、上述した活性光線硬化型インクを基材上に付与し、硬化させてなるものである。下地層の厚さは、基材の表面の凹凸によらず平滑な面をつくりだせる限りにおいて特に限定されないものの、10μm以上40μm以下とすることができ、20μm以上30μm以下とすることが好ましい。
【0086】
下地層は、基材の表面のうち、少なくとも光輝層が形成されて金属光沢を発現すべき領域に形成されればよいが、基材の表面の全面に形成されてもよい。
【0087】
3-3. 光輝層
光輝層は高分子分散剤および金属粒子を含み、下地層上に形成されるものである。光輝層の厚さは、特に限定されないものの、100nm以上とすることができる。光輝層の厚さの上限は、インクジェット法により形成することができる限りにおいて特に限定されないものの、400nmとすることができる。
【0088】
3-4. オーバーコート層
光輝層はオーバーコート層によって被覆されてもよい。オーバーコート層は光輝層を被覆するものであれば特に制限されず、光輝層の全面を被覆しても一部を被覆してもよい。オーバーコート層は、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびアルキド樹脂などの樹脂を含む層とすることができる。オーバーコート層は、これらの樹脂を、1種単独で含んでいてもよいし、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0089】
4. 画像形成方法
本発明の一実施形態に関する画像形成方法は、上述した活性光線硬化型インクを基材の表面に付与し、付与された上記活性光線硬化型インクに活性光線を照射して下地層を形成する工程と、上述した光輝性インクを上記形成された下地層の表面に付与して、上記下地層の表面に接した光輝層を形成する工程と、を含む。
【0090】
4-1. 下地層を形成する工程
下地層は、上述した活性光線硬化型インクを基材の表面に付与し、活性光線を照射することにより形成される。
【0091】
上記活性光線硬化型インクの付与方法は特に限定されず、ロールコーターやスピンコーターなどを用いて上記活性光線硬化型インクを基材の表面に塗布してもよいし、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷などの方法で上記活性光線硬化型インクを基材の表面に付与してもよいし、インクジェット法で上記活性光線硬化型インクの液滴をノズルから吐出して基材の表面に着弾させてもよい。これらのうち、より精細な記録物を形成する観点からは、インクジェット法が好ましい。
【0092】
インクジェット法によるインクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型等の電気-機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気-熱変換方式等のいずれでもよい。
【0093】
活性光線硬化型インクの付量は特に限定されないが、下地層の厚さが10μm以上40μm以下、好ましくは20μm以上30μm以下となるように調整することが好ましい。
【0094】
活性光線硬化型インクを硬化させる工程は活性光線の照射により行われる。活性光線は、光重合性化合物を硬化させることができれば特に限定されず、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などが含まれる。安全性をより高める観点、および前記重合および架橋をより低いエネルギー量でも発生させやすくする観点から、活性光線は、紫外線または電子線であることが好ましい。
【0095】
4-2. 光輝層を形成する工程
光輝層は、上述した光輝性インクを上記形成された下地層の表面に付与することにより形成される。
【0096】
上記光輝性インクの付与方法は特に限定されず、ロールコーターやスピンコーターなどを用いて上記光輝性インクを基材の表面に塗布してもよいし、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷などの方法で上記光輝性インクを基材の表面に付与してもよいし、インクジェット法で上記光輝性インクの液滴をノズルから吐出して基材の表面に着弾させてもよい。これらのうち、より精細な記録物を形成する観点からは、インクジェット法が好ましい。
【0097】
光輝性インクの着弾後に、着弾した光輝性インクを乾燥させてもよい。乾燥は、赤外線ランプ乾燥、熱風乾燥、バックヒート乾燥、および減圧乾燥などの公知の方法で行うことができる。乾燥の効率をより高める観点からは、これらの乾燥方法のうち2種以上を組み合わせて基材を乾燥させてもよい。
【0098】
上述した方法によれば、下地層により平滑化された表面に光輝性インクが付与されるため、表面形状がより平滑な光輝層を形成することができる。
【実施例
【0099】
以下、本実施形態の具体的な実施例を比較例とともに説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0100】
1. 活性光線硬化型インク
1-1. 光重合性化合物
活性光線硬化型インクに含まれる光重合性化合物は以下のものを用いた。
【0101】
1-1-1. 第二級アミド基を有する光重合性化合物
・NIPAM(KJケミカルズ社製):N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド(Tg:134℃)
・NBMA(MCCユニテック社製):N-n-ブトキシメチルアクリルアミド(Tg:104℃)
【0102】
1-1-2. ウレタン結合を有する光重合性化合物
・UA-306H(共栄社化学社製): ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(Tg:なし)
・UA-4400(新中村化学工業社製): ポリエステル系ウレタンモノマー(Tg:なし)
【0103】
1-1-3. 水酸基を有する光重合性化合物
・4HBA(三菱ケミカル社製):4-ヒドロキシブチルアクリレート(Tg:-40℃)
・CHDMMA(三菱ケミカル社製):1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(Tg:18℃)
・HEAA(KJケミカルズ社製):ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg:98℃)
(第二級アミド基を有する光重合性化合物でもある。)
・701A(新中村化学工業社製):2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(Tg:122℃)
・A-TMM-3L(新中村化学工業社製):ペンタエリスリトールトリアクリレート(トリエステル55%)(Tg:250℃超)
【0104】
1-1-4. ホモポリマーとしたときのガラス転移点(Tg)が80℃より高いその他の光重合性化合物
・IBOA-B(ダイセル・オルネクス社製):イソボルニルアクリレート(Tg:97℃)
・DPGDA(ダイセル・オルネクス社製):ジプロピレングリコールジアクリレート(Tg:110℃)
・EBECRYL 130(ダイセル・オルネクス社製):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Tg:190℃)
・TMPEOTA(ダイセル・オルネクス社製):トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(Tg:92℃)
【0105】
1-1-5. ホモポリマーとしたときのガラス転移点(Tg)が80℃より低いその他の光重合性化合物
・EBECRYL 11(ダイセル・オルネクス社製):PEG600ジアクリレート(Tg:-43℃)
・TPGDA(ダイセル・オルネクス社製):トリプロピレングリコールジアクリレート(Tg:55℃)
【0106】
1-2. 界面活性剤
活性光線硬化型インクに含まれる界面活性剤として、以下のものを使用した。
・BYK-307(ビックケミー社製)
【0107】
1-3. 重合開始剤
活性光線硬化型インクに含まれる重合開始剤として、以下のものを使用した。
・IRGACURE819(BASF社製):ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド
【0108】
1-4. 混合調製
下記表1に記載の組成に従い、上記した、光重合性化合物、界面活性剤、および重合開始剤を混合した後にADVANTEC社製テフロン(「テフロン」はデュポン社の登録商標)3μmメンブレンフィルターで濾過し、活性光線硬化型インクU1~U31を調製した。なお、表の成分の単位は質量%である。
1-5. 水酸基価の測定
活性光線硬化型インクの水酸基価は、水酸基を有する光重合性化合物をA、B・・・とし、以下の式(1)により求めた。
水酸基価[mgKOH/g]=(MA×αA+MB×αB+・・・)×56000…(1)
ここで、式(1)において、MA、MBは活性光線硬化型インク1g中におけるA、Bの物質量(単位:モル)をそれぞれ表し、αA、αBはA、Bの1分子が有する水酸基数をそれぞれ表す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
2.光輝性インク
2-1. 溶剤
光輝性インクに含まれる溶媒は、以下のものを使用した。
・水
・プロピレングリコール
・ジプロプレングリコールモノメチルエーテル
【0113】
2-2. 銀ナノ粒子分散液の調製
光輝性インクに含まれる銀ナノ粒子分散液は以下のように調製した。
【0114】
2-2-1. 高分子分散剤
(高分子分散剤の製造)
500ml四つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素導入管、コンデンサー、滴下ロートをセットし、イソプロピルアルコール50g、メチルエチルケトン150gをフラスコに加え、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流した。滴下ロートに、メタクリル酸メチル34g、スチレン60g、メタクリル酸6g、および開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.9gを混合溶解したものを入れ、約2時間かけ加熱還流させた状態で、滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流し、更に、AIBNを0.1g含むメチルエチルケトン溶液を、15分かけ滴下した。この後さらに5時間加熱還流し、スチレン-アクリル樹脂を得た。
【0115】
このスチレン-アクリル樹脂の反応液を減圧にしながら加熱を続け、重合反応で用いたメチルエチルケトン及びイソプロピルアルコールを留去した。トルエン300ml、ポリエチレングリコール#400/ポリプロピレングリコール#400=7/3(以下、ポリエチレングリコール#400をPEG#400、PPG#400と略す。#のうしろの数字は平均分子量を示す。)混合物150gを添加し、窒素ガスをバブリングしながら加熱還流し、残留水分をトルエンとともに留去した(トルエン留分は100mlであった)。トルエン100ml、イソプロピルチタネート0.7gを添加後、2時間加熱し、エステル交換により生成したメタノールをトルエンとともに留去しエステル交換を行った。その後、イソプロピルチタネート0.7gを追加し、さらに2時間加熱し、エステル交換により生成したメタノールをトルエンとともに留去しエステル交換を行った。この反応で、スチレン-アクリル樹脂1はPEG#400よりポリエチレンオキサイド構造を、PPG#400よりポリプロピレンオキサイド構造が付与された。
【0116】
反応後、トルエンを減圧下、留去し、残渣をメタノール中で分散後、アセトンに注加して樹脂固体を析出させた。溶剤をろ過で除いた後、乾燥し高分子分散剤を得た。得られた高分子分散剤の酸価はJIS K-0070の酸価測定、加水分解酸価測定(全酸価測定)により、重量平均分子量はGPCによる測定で求めた。その結果、酸価は9mgKOH/gで重量平均分子量は15000であった。
【0117】
2-2-2. 銀ナノ粒子分散液の調製
(銀ナノ粒子分散液の製造)
2Lのコルベンに、2-2-1で製造した高分子分散剤5g、およびイオン交換水420gを投入した。上記コルベンをウォーターバスに入れ、高分子分散剤が溶解するまで50℃で攪拌した。その後、上記コルベンに、420gのイオン交換水に溶解させた100gの硝酸銀を攪拌しながら投入して、70℃で10分間攪拌した。その後、上記コルベンに、262gのジメチルアミノエタノールを加え、70℃を保ちながら2時間攪拌を続け、銀ナノ粒子を含む反応液を得た。
【0118】
得られた反応液を1Lのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。その後、上記反応液をステンレスカップに入れて、更に2Lのイオン交換水を投入してから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。その後、濃縮して固形分30%の銀ナノ粒子分散液を得た。
【0119】
なお、限外濾過装置は、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成株式会社製、分画分子量:50000、使用膜本数:400本)、マグネットポンプ、および下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないだものを使用した。
【0120】
2-3. エマルション
光輝性インクに含まれるエマルションは以下のものを使用した。
・大成ファインケミカル社製 ウレタンエマルション(WBR-2101)
【0121】
2-4. フッ素系界面活性剤の合成
光輝性インクに含まれるフッ素系界面活性剤は以下のように合成した。窒素置換した反応容器に、メタノール67質量部、2,2’-ビピリジル0.961質量部、塩化第一銅0.305質量部を仕込み、室温で60分撹拌した。その後、2-(トリデカフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(以下、「TFMA」と略記する。)3.33質量部、ポリ(1,2-オキシプロプレン)オキシエチレンモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマー50PEP-350B」;オキシプロピレンの平均繰り返し数2、オキシエチレンの平均繰り返し数5)13.3質量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマーPE-200」;オキシエチレンの平均繰り返し数4.5)20質量部及び2-ブロモイソ酪酸エチル0.6質量部を加え、窒素気流下、60℃で10時間反応させた。次いで、得られた反応物に、活性アルミナ30質量部を加えて攪拌した。活性アルミナを濾過後、溶媒を減圧留去してフッ素系界面活性剤を得た。このフッ素系界面活性剤の分子量をGPCで測定した結果、重量平均分子量(Mw)17,000、数平均分子量(Mn)13,000、分散度(Mw/Mn)1.31であった。
【0122】
2-5. 混合調製
表4に記載の組成に従い、上記各成分を混合した後、ADVATEC社製テフロン(「テフロン」はデュポン社の登録商標)3μmメンブレンフィルターで濾過し、光輝性インクを調製した。なお、表の成分の単位は質量%である。
【0123】
【表4】
【0124】
3. 画像形成物の作製
3-1. 基材
活性光線硬化型インクU1~U31、光輝性インクM1を用いて、以下の基材に画像を形成した。
・OKトップコート紙(128g/m)(王子製紙社製)
【0125】
3-2. 画像形成物の作製条件
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が活性光線硬化型インクを使用する場合は80℃±2℃、光輝性インクを使用する場合は25℃±2℃となるように温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で駆動した。活性光線硬化型インクの着弾後はUV光を露光面照度1,200mW/cmに集光し、記録媒体上に活性光線硬化型インクが着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。紫外線ランプには、LEDランプ((株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0126】
活性光線硬化型インクU1~U31を用いて、上記画像形成の条件で上記基材に対し5cm×5cmのベタ印字部分を形成し、下地層を作成した。さらに光輝性インクM1を用いて、上記画像形成の条件でそれぞれの下地層の表面に5cm×5cmのベタ印字部分を形成し、画像形成物1~31を作成した。
【0127】
4. 評価
以下の基準で、密着性を評価した。
【0128】
4-1. 基材/下地層の密着性
活性光線硬化型インクU1~31を用いて、基材上に下地層を形成した評価サンプルに対して、JIS-K5400に準拠した碁盤目接着性試験を行った。尚、本試験の評価の基準は表5に示す通りであり、10点を◎、8点を〇、6点を△、4点以下を×とした。
【0129】
4-2. 下地層/光輝層の密着性
画像形成物1~31の評価サンプルに対して、JIS-K5400に準拠した碁盤目接着性試験を行った。なお、本試験の評価の基準は表5に示す通りであり、10点を◎、8点を〇、6点を△、4点以下を×とした。
【0130】
【表5】
【0131】
4-3. 耐候性
システムグラフィ社のコールドラミネータ(GCL-650)を用いて得られた画像形成物1~31の表面のみをラミネートした。その後、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(U-4100)を用いて画像形成物1~31の反射率を380nm~780nmの範囲で測定し、550nmにおける反射率を求めた。さらに、上記画像形成物を大気中に6か月放置し、前述の条件で550nmにおける反射率を求め、放置前後での反射率の変化量を求めた。
◎:反射率の変化量は5より小さい
〇:反射率の変化量は5以上10以下である
△:反射率の変化量は10より大きく15以下である
×:反射率の変化量は15より大きい
【0132】
4-4. タッキング性
画像形成物1~31の画像部を指でなぞりタッキング性を評価した。
〇:一切べたつきを感じない
△:わずかにべたつきを感じるが、実用上問題ない
×:明らかにべたつきを感じる
【0133】
4-5. 屈曲性
画像形成物1~31をφ5mmの円筒に巻き付け1時間放置した後の画像の表面を観察した。
〇:顕微鏡で観察した際もクラックが確認できなかった
△:顕微鏡で観察した際にわずかにクラックが生じていたが、実用に問題ない
×:目視で明らかにクラックが確認された
【0134】
【表6】
【0135】
画像形成物1~28は、第二級アミド基、ウレタン結合、水酸基のいずれかを含む光重合性化合物が活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下である活性光線硬化型インクU1~U28で形成された下地層を有し、基材と下地層の密着性、下地層と光輝層の密着性、耐候性、タッキング性、屈曲性のすべてが問題ないレベルであった。
【0136】
これに対して、画像形成物29~31は、第二級アミド基または水酸基を含む光重合性化合物が、活性光線硬化型インクの全質量に対して10質量%以上40質量%以下の範囲にない活性光線硬化型インクU29~U31で形成された下地層を有し、密着性またはタッキング性が悪く問題が生じた。具体的には、以下のようなものであった。
【0137】
水酸基を含む光重合性化合物が、活性光線硬化型インクの全質量に対して5%である活性光線硬化型インクU29で形成された下地層では、基材および光輝層との密着性が悪かった。
【0138】
水酸基を含む光重合性化合物が、活性光線硬化型インクの全質量に対して50%である活性光線硬化型インクU30で形成された下地層では、基材および光輝層との密着性はよいものの、タッキング性が悪かった。
【0139】
第二級アミド基を含む光重合性化合物が、活性光線硬化型インクの全質量に対して50%である活性光線硬化型インクU31で形成された下地層も、基材および光輝層との密着性はよいものの、タッキング性が悪かった。
【0140】
画像形成物6~28は、水酸基を有する光重合性化合物を含む活性光線硬化型インク6~28で形成された下地層を有し、水酸基を有さない光重合性化合物を含む活性光線硬化型インク1~5で形成された下地層を有する画像形成物1~5よりも基材および光輝層との密着性がより良好であった。
【0141】
画像形成物6、7、9~28は、水酸基価が15~150mgKOH/gの範囲内である活性光線硬化型インクU6、U7、U9~28で形成された下地層を有し、下地層と基材との密着性、下地層と光輝層との密着性、およびタッキング性が良好であった。これに対して、画像形成物8、30は、水酸基価が150mgKOH/gを超えた活性光線硬化型インクU8、U30で形成された下地層を有し、タッキング性が悪かった。また、画像形成物29は、水酸基価が15mgKOH/g未満である活性光線硬化型インクU29で形成された下地層を有し、下地層は基材および光輝層との密着性が悪かった。
【0142】
画像形成物14~28は、水酸基を有する多官能の光重合性化合物を含む活性光線硬化型インクU14~28で形成された下地層を有し、水酸基を有する単官能の活性光線硬化型インクU6~U13で形成された下地層を有する画像形成物6~13と比べて基材および光輝層との密着性がより良好であった。
【0143】
画像形成物16、19、25~28は、ホモポリマーとしたときのガラス転移点が80℃より高い光重合性化合物を、活性光線硬化型インクの全質量に対して25質量%以上含む活性光線硬化型インクU16、19、25、26で形成された下地層を有し、耐候性が良好であった。
【0144】
また、ホモポリマーとしたときのガラス転移点が80℃より高い光重合性化合物の含有量を、活性光線硬化型インクの全質量に対して70質量%を超えて含む活性光線硬化型インクU27、28で形成された下地層を有する画像形成物27、28は、屈曲性が悪かった。
【0145】
本出願は、2018年6月19日出願の特願2018-116049に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の活性光線硬化型インクによれば、基材および光輝層との密着性に優れ、得られる画像形成物のタッキング性を優れたものにすることができる下地層を形成することができる。そのため、本発明は、光輝性を有する画像形成物の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。