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特許7363780レポート出力プログラム、レポート出力方法、およびレポート出力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】レポート出力プログラム、レポート出力方法、およびレポート出力装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20231011BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020527253
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2019018630
(87)【国際公開番号】W WO2020003758
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2018120747
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 寛
(72)【発明者】
【氏名】阪口 武士
(72)【発明者】
【氏名】姫野 海里
(72)【発明者】
【氏名】寄▲崎▼ 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】遠山 修
(72)【発明者】
【氏名】藤原 浩一
【審査官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-325362(JP,A)
【文献】特開2012-168575(JP,A)
【文献】特開2017-191611(JP,A)
【文献】特開2013-168099(JP,A)
【文献】特開2015-219551(JP,A)
【文献】特開2009-098979(JP,A)
【文献】特開2018-032226(JP,A)
【文献】特開2004-157614(JP,A)
【文献】国際公開第2017/039018(WO,A1)
【文献】米国特許第07113933(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出され、蓄積された、発報された対象者のイベントに応じてスタッフが対応した前記イベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する手順(a)と、
前記手順(a)において取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する手順(b)と、
前記手順(b)において作成された前記レポートを出力する手順(c)と、
を含む処理をコンピューターに実行させるためのレポート出力プログラム。
【請求項2】
前記コンピューターは通信部を有し、
前記検出パラメーターは、前記イベントの通知を前記通信部が送信してから前記イベントへの対応の受諾の応答を前記通信部が受信するまでの応答時間、前記イベントに対応するために移動した前記スタッフの移動歩数、前記イベントに対応するための移動で前記スタッフが昇降した移動階数、前記イベントの内容、および前記スタッフによる前記イベントへの対応に要した業務時間の少なくともいずれかである、請求項1に記載のレポート出力プログラム。
【請求項3】
前記手順(a)は、複数の前記検出パラメーターを選択して取得し、
前記手順(b)は、取得された前記複数の前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による前記負荷が可視化された結果を含む前記レポートを作成する、請求項1または2に記載のレポート出力プログラム。
【請求項4】
検出され、蓄積された、スタッフが対応した対象者のイベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する手順(a)と、
前記手順(a)において取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する手順(b)と、
前記手順(b)において作成された前記レポートを出力する手順(c)と、を含み、
前記検出パラメーターは、前記イベントの通知を通信部が送信してから前記イベントへの対応の受諾の応答を前記通信部が受信するまでの応答時間、前記イベントに対応するために移動した前記スタッフの移動歩数、前記イベントに対応するための移動で前記スタッフが昇降した移動階数、前記イベントの内容、および前記スタッフによる前記イベントへの対応に要した業務時間の少なくともいずれかであり、
前記手順(b)は、取得された、前記業務時間以外の前記検出パラメーターからそれぞれ前記検出パラメーターに対応する係数を算出し、取得された前記業務時間に前記係数を乗算することで前記負荷を算出し、算出された前記負荷が前記スタッフごとに可視化された結果を含む前記レポートを作成する、処理をコンピューターに実行させるためのレポート出力プログラム。
【請求項5】
前記手順(b)は、取得された前記検出パラメーターに基づいて、所定の期間に発生したすべての前記イベントへの対応による前記負荷の総和が、前記スタッフごとに可視化された結果を含む前記レポートを作成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のレポート出力プログラム。
【請求項6】
前記可視化された結果には、図、表、およびグラフの少なくともいずれかが含まれる、請求項1~5のいずれか一項に記載のレポート出力プログラム。
【請求項7】
レポート出力装置により実行されるレポート出力方法であって、
検出され、蓄積された、発報された対象者のイベントに応じてスタッフが対応した前記イベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する段階(a)と、
前記段階(a)において取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する段階(b)と、
前記段階(b)において作成された前記レポートを出力する段階(c)と、
を有するレポート出力方法。
【請求項8】
検出され、蓄積された、発報された対象者のイベントに応じてスタッフが対応した前記イベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する演算部と、
前記演算部により作成された前記レポートを出力する出力部と、
を有するレポート出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレポート出力プログラム、レポート出力方法、およびレポート出力装置に関する。特に、本発明は、介護等の対象者のイベントに対応したスタッフに関するレポートを出力するレポート出力プログラム、レポート出力方法、およびレポート出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢などにより、介護等の対応を必要とする要介護者等の増加が想定される。
【0003】
老人福祉施設や病院等の施設においては、スタッフによる対応が必要な要介護者等の対象者に対する対応のスケジュールが設定され、スタッフはスケジュールに基づいて対象者への対応を行う。また、対象者によるナースコールがあった場合は、各スタッフの携帯端末等に通知され、ナースコールに対応可能なスタッフが、携帯端末等から対応の受諾の応答をし、当該ナースコールに対応する。
【0004】
スタッフによる対象者への対応の実績を表示するための先行技術としては、下記特許文献1に記載されたものがある。すなわち、被介護者宅へ訪問するスタッフが携帯する端末により、訪問先に配置された記録媒体であるNFC(Near Field Communication)タグから読み取った訪問先位置および読み取った時の時刻情報、ならびに当該端末により検出された現在位置を受信する。受信した訪問先位置と現在位置との差異が所定の範囲内のときに、スタッフの行動実績として被介護者宅への入退出時の時刻情報を記録する。そして、被介護者宅への訪問時間帯が示された、スタッフの行動実績のグラフを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-149066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された技術は、スタッフが被介護者宅に訪問していた時間帯は表示できるが、被介護者への対応に要した時間以外の要素を考慮して、被介護者への対応によるスタッフへの負荷を適切に把握できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。すなわち、対象者に対応することによるスタッフごとの負荷が適切に可視化されたレポートを出力することで、各スタッフの業務状況を正確かつ容易に把握可能なレポート出力プログラム、レポート出力方法、およびレポート出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)検出され、蓄積された、発報された対象者のイベントに応じてスタッフが対応した前記イベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する手順(a)と、前記手順(a)において取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する手順(b)と、前記手順(b)において作成された前記レポートを出力する手順(c)と、を含む処理をコンピューターに実行させるためのレポート出力プログラム。
【0010】
(2)前記コンピューターは通信部を有し、前記検出パラメーターは、前記イベントの通知を前記通信部が送信してから前記イベントへの対応の受諾の応答を前記通信部が受信するまでの応答時間、前記イベントに対応するために移動した前記スタッフの移動歩数、前記イベントに対応するための移動で前記スタッフが昇降した移動階数、前記イベントの内容、および前記スタッフによる前記イベントへの対応に要した業務時間の少なくともいずれかである、上記(1)に記載のレポート出力プログラム。
【0011】
(3)前記手順(a)は、複数の前記検出パラメーターを選択して取得し、前記手順(b)は、取得された前記複数の前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による前記負荷が可視化された結果を含む前記レポートを作成する、上記(1)または(2)に記載のレポート出力プログラム。
【0012】
(4)検出され、蓄積された、スタッフが対応した対象者のイベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する手順(a)と、前記手順(a)において取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する手順(b)と、前記手順(b)において作成された前記レポートを出力する手順(c)と、を含み、前記検出パラメーターは、前記イベントの通知を通信部が送信してから前記イベントへの対応の受諾の応答を前記通信部が受信するまでの応答時間、前記イベントに対応するために移動した前記スタッフの移動歩数、前記イベントに対応するための移動で前記スタッフが昇降した移動階数、前記イベントの内容、および前記スタッフによる前記イベントへの対応に要した業務時間の少なくともいずれかであり、前記手順(b)は、取得された、前記業務時間以外の前記検出パラメーターからそれぞれ前記検出パラメーターに対応する係数を算出し、取得された前記業務時間に前記係数を乗算することで前記負荷を算出し、算出された前記負荷が前記スタッフごとに可視化された結果を含む前記レポートを作成する、処理をコンピューターに実行させるためのレポート出力プログラム。
【0013】
(5)前記手順(b)は、取得された前記検出パラメーターに基づいて、所定の期間に発生したすべての前記イベントへの対応による前記負荷の総和が、前記スタッフごとに可視化された結果を含む前記レポートを作成する、上記(1)~(4)のいずれかに記載のレポート出力プログラム。
【0014】
(6)前記可視化された結果には、図、表、およびグラフの少なくともいずれかが含まれる、上記(1)~(5)のいずれかに記載のレポート出力プログラム。
【0015】
(7)レポート出力装置により実行されるレポート出力方法であって、検出され、蓄積された、発報された対象者のイベントに応じてスタッフが対応した前記イベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する段階(a)と、前記段階(a)において取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する段階(b)と、前記段階(b)において作成された前記レポートを出力する段階(c)と、を有するレポート出力方法。
【0016】
(8)検出され、蓄積された、発報された対象者のイベントに応じてスタッフが対応した前記イベントに関する複数の検出パラメーターの中から、少なくとも1つの前記検出パラメーターを選択して取得する取得部と、前記取得部により取得された前記検出パラメーターに基づいて、前記スタッフごとの前記イベントへの対応による負荷が可視化された結果を含むレポートを作成する演算部と、前記演算部により作成された前記レポートを出力する出力部と、を有するレポート出力装置。
【発明の効果】
【0017】
蓄積された、スタッフが対応したイベントに関する検出パラメーターの中から少なくとも1つの検出パラメーターを選択して取得し、取得した検出パラメーターに基づいてスタッフごとの負荷が可視化された結果を含むレポートを作成して出力する。これにより、対象者に対応することによるスタッフごとの負荷が適切に可視化されることで、各スタッフの業務状況を正確かつ容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】見守りシステムの全体構成を示す図である。
図2】対象者の部屋に設置された検出部の例を示す図である。
図3】検出部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】サーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】イベントリストの例を示す図である。
図6】付加情報リストの例を示す図である。
図7A】負荷係数リストの例を示す図である。
図7B】負荷係数リストの例を示す図である。
図7C】負荷係数リストの例を示す図である。
図7D】負荷係数リストの例を示す図である。
図8】スタッフごとの業務負荷の総和が可視化されたグラフを含むレポートの例を示す図である。
図9】管理者端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10】携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図11】サーバーの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
(全体構成)
図1は見守りシステムの全体構成を示す図であり、図2は対象者の部屋のベッド周辺に設置された検出部の例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、見守りシステム1は、複数の検出部10、サーバー20、管理者端末30、および1つ以上のスタッフ端末40を備える。これらは、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続される。ネットワーク50は、通信信号を中継するリピーター、ブリッジ、ルーターまたはクロスコネクト等の中継機を備えてもよい。図1に示す例では、スタッフ端末40は、検出部10、サーバー20、および管理者端末30と、アクセスポイント51を含む無線LAN等(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN)のネットワーク50によって、相互に通信可能に接続されている。サーバー20は、レポート出力装置として機能する。
【0022】
見守りシステム1は、対象者70に応じて適宜な場所に配設される。対象者70(見守り対象者)は、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする患者、高齢による身体能力の低下等によって介護を必要とする被介護者、一人暮らしの独居者、または病院施設に入院している患者等である。特に、早期発見および早期対処を可能にする観点から、対象者70は、例えば異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合に、その発見を必要としている者であり得る。このため、見守りシステム1は、対象者70の種類に応じて、老人福祉施設、病院、および住戸等の建物に好適に配設される。図1に示す例では、見守りシステム1は、複数の対象者70が入居する複数の部屋(居室)やナースステーションを含む複数の部屋を備える施設の建物に配置されている。
【0023】
検出部10は、対象者70の観察領域であるそれぞれの居室に配置される。図1に示す例では、4つの検出部10が対象者70であるAさん、Bさん、CさんおよびDさんの居室にそれぞれ配置されている。検出部10の観察領域にはベッド60が含まれている。対象者70に対して介護または看護等の対応(例えば、ケア)を行うスタッフ80は、それぞれ携帯端末であるスタッフ端末40を持ち歩いている。ただし、見守りシステム1が備える各構成の位置や個数等は、図1に示す例に限定されない。例えば、サーバー20は、ナースステーションに配置されなくてもよく、ネットワーク50に接続されている外部のサーバーユニットであってもよい。
【0024】
(検出部10)
図3は、検出部のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示すように、検出部10は、制御部11、通信部12、カメラ13、ナースコール部14、および音声入出力部15を備え、これらはバスによって、相互に接続されている。
【0025】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリにより構成され、プログラムに従って検出部10の各部の制御および演算処理を行う。なお、制御部11は、メモリとして、さらにHDD(Hard Disk Drive)を備えてもよい。
【0026】
通信部12は、ネットワーク50を介して、例えば、サーバー20、管理者端末30またはスタッフ端末40等の、他の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0027】
カメラ13は、例えば居室の天井、または壁の上部に配置され、観察領域として対象者70のベッド60を含む領域を撮影し、撮影画像(画像データ)を出力する。以下、カメラ13により撮影された画像を、単に「撮影画像」とも称する。撮影画像には対象者70を含む画像が含まれる。撮影画像は、静止画および動画を含む。カメラ13は近赤外線カメラであるが、これに換えて可視光カメラを用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0028】
制御部11は、カメラ13が撮影した撮影画像から、対象者70の行動を認識する。この認識する行動には、ベッド60から起き上がる「起床」、ベッド60から離れる「離床」、ベッド60から転落する「転落」、および床面等に転倒する「転倒」が含まれる。
【0029】
制御部11は、複数の撮影画像(動画像)から画像のシルエット(以下、「人シルエット」と称する)を検出する。人シルエットは、例えば、撮影時刻が前後する画像の差分を抽出する時間差分法により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検出され得る。人シルエットは、撮影画像と背景画像との差分を抽出する背景差分法により検出されてもよい。起床、離床、転倒、転落の別は、検出した人シルエットから対象者70の姿勢(例えば立位、座位および横臥等)、およびベッド60等の居室内の設置物との相対的な位置から認識される。これらの認識は、制御部11のCPUが処理するプログラムにより行ってもよく、組み込み型の処理回路により行うようにしてもよい。また、これに限られずサーバー20側でこれらの認識の全部またはほとんどの処理を行うようにし、制御部11ではサーバー20への撮影画像の送信のみを行うようにしてもよい。制御部11は、いずれかの行動を認識した場合、イベントが発生した旨の通知をサーバー20等に送信する。
【0030】
スタッフ80は、業務に応じた、対象者70への各種の対応を行う者である。業務には、医療業務、介護業務を含み得る。ここで、スタッフ80の業務が、対象者70に対する介護業務である場合に、各イベントに関する対応内容について説明する。イベントとして「起床」を判定し、その判定が所定時間内(施設で設定された起床時間(例えば午前7~8時))であれば、モーニングケアを行う。このモーニングケアには、洗顔、歯磨き介助、義歯装着、着替え介助等が含まれる。また、「離床」のイベントであれば、車椅子移乗、歩行介助が必要となる場合がある。また、検出部10が判定したイベント以外の定期的(定時)なイベントとして、飲料、および食事介助、排泄介助、車椅子移乗、歩行介助、体位変換(褥瘡予防)がある。これらの定期的イベントは、ナースコール部14等により、定時になるとアラートを発生させるようにしてもよい。
【0031】
ナースコール部14は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチが対象者70によって押されることでナースコールを検出する。ナースコールにはケアコール等が含まれる。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりナースコールを検出してもよい。ナースコール部14のスイッチが押された場合、すなわち、ナースコールを検出した場合、制御部11は、通信部12およびネットワーク50を介して、ナースコールがあった旨の通知(ナースコール通知)をサーバー20等に送信する。
【0032】
音声入出力部15は、例えばスピーカーとマイクであり、通信部12を介してスタッフ端末40等との間で音声信号を送受信することで音声通話を可能とする。なお、音声入出力部15は検出部10の外部装置として、通信部12を介して検出部10に接続されてもよい。
【0033】
また、検出部10は、ベッド60の方向に向けてマイクロ波を送受信して対象者70の体動(例えば呼吸動)によって生じたマイクロ波のドップラシフトを検出するドップラシフト方式の体動センサーを、さらに備えてもよい。この体動センサーにより、対象者70の呼吸動作に伴う胸部の体動(胸部の上下動)を検出し、その胸部の体動における周期の乱れや予め設定された閾値以下である胸部の体動における振幅を検知すると、微体動異常であると認識する。
【0034】
本実施形態においては、イベントには、スタッフ80により対象者への対応が行われるべき事象を広く含む。具体的には、イベントには、(1)スタッフ80への発報(報知)が行われることでスタッフ80が対応すべき事象(以下、「第1事象」と称する)、(2)決まった時間にスタッフ80が対応すべき事象(以下、「第2事象」と称する)、および(3)スタッフ80が気付いた際に対応すべき事象(以下、「第3事象」と称する)が含まれる。第1事象には、例えば、ナースコール、ならびに、起床、離床、転倒、転落、および微体動異常が含まれる。第2事象には、例えば、食事、入浴、着替え、および散策等の際の車椅子への移乗が含まれる。第3事象には、例えば、対象者70の口頭での依頼による排泄ケア、発熱が疑われるときの体温測定、および嘔吐していたときの対応が含まれる。
【0035】
検出部10は、検出したイベントの情報(以下、単に「イベント情報」とも称する)および撮影画像をサーバー20へ送信(出力)する。
【0036】
(サーバー20)
図4は、サーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0037】
サーバー20は、制御部21、通信部22、および記憶部23を備える。サーバー20は、対象者70用の居室と同じ建物内に設けられてもよく、遠隔地に設けられてネットワークを介して接続可能であってもよい。例えば、サーバー20は、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーであってもよい。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。制御部21は、通信部22と協働することで取得部として機能する。制御部21は、演算部として機能する。また制御部21は、通信部22と協働することで出力部としても機能する。
【0038】
記憶部23は、本実施形態に係るプログラムを記憶する。サーバー20の上記構成要素は、プログラムに従い、制御部21により制御される。記憶部23は、対象者70やスタッフ80に関する各種情報を記憶し蓄積する。対象者70に関する情報には、イベント情報を含むイベントリストや、介護記録が含まれる。スタッフ80に関する情報には、イベント情報に対応付けされた付加情報リストが含まれる。付加情報リストには、スタッフ80が対応したイベントの内容(種類)、イベントに対応したスタッフ、イベントの通知(以下、「イベント通知」と称する)をスタッフ端末40へ送信してから当該イベントへの対応の受諾の応答を受信するまでの時間(以下、「応答時間」とも称する)、イベントに対応するために移動したスタッフ80の移動歩数、イベントに対応するための移動でスタッフ80が昇降した移動階数、および各イベントへの対応に要した業務上の時間である業務時間等が登録される。イベントの内容、応答時間、移動歩数、移動階数、および業務時間等は検出パラメーターを構成する。付加情報リストには、検出パラメーターが検出されたイベントのイベントIDがさらに登録される。付加情報リストにイベントIDが登録されることで、付加情報リストは、イベントリストと対応付けされている。なお、付加情報リストに登録される情報は、イベントリストに登録されてもよく、この場合は、付加情報リストは不要となる。その他の制御部21、および通信部22は、検出部10の各構成と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
【0039】
図5は、イベントリストの例を示す図である。図6は、付加情報リストの例を示す図である。
【0040】
イベントリストには、発生した各イベントのイベント情報が登録される。イベントリストには、検出部10によりイベントに対応する行動が認識された画像が、タグ付け画像としてさらに登録され得る。タグ付け画像は、イベントに関連付けられた撮影画像であり、例えばイベントが検出された撮影画像である。サーバー20は、消去の指示があるまでタグ付け画像を消去せず保持し得る。
【0041】
図5の例においては、イベントリストには、イベント情報として、イベントID、部屋番号、対象者、イベントの内容、および発生日時(イベント検出時刻)が登録されている。対象者の欄には、対象者を特定する識別情報として氏名を記載しているが、対象者のIDや部屋番号を用いてもよい。
【0042】
イベントID110、111、115は第1事象のイベントであり、イベントID112~114は第2事象のイベントであり、イベントID116、117は第3事象のイベントである。なお、イベントID115~117は、一連のイベントであり、イベントID115のナースコールに対応してAさんの居室を訪問した結果、イベントID116~117の各排泄ケアのイベントへの対応が必要となったという例である。
【0043】
発生日時は次のように検出される。すなわち、第1事象のイベントについては、検出部10等によりイベントが検出され、イベントがあった旨の通知をサーバー20が受信した日時が発生日時として検出される。第2事象のイベントについては、スタッフ端末40においてスタッフ80によりイベントへの対応の受諾の入力がされ、当該受諾をサーバー20が受信した日時が発生日時として検出される。第3事象のイベントについては、スタッフ端末40においてイベント発生の情報が入力され、当該情報をサーバー20が受信した日時が発生日時として検出される。なお、イベント発生日時は、その他の方法で検出されてもよい。例えば、第2事象のイベントについては、スケジュール表等でイベントの発生が予定されている。そこで、スタッフ端末40に備えられたGPS機能等を利用して、スタッフ80の歩行方向および歩行速度を検出し、イベント発生予定日時に、スタッフ80が、担当する対象者70の居室の方向へ、一定の速度で直進している傾向が解析された場合は、スケジュール通りにイベントが発生し対応したとして、スケジュールに設定された日時を発生日時として検出し得る。
【0044】
図6の例においては、付加情報リストに、イベントの内容、イベントに対応したスタッフ、応答時間、移動歩数、移動階数、および業務時間が登録されている。イベントの内容は、例えば、イベントに対応する際に、スタッフ80によりスタッフ端末40の入力部44(図10参照)において入力されるイベントの内容が、スタッフ端末40からサーバー20へ送信されることで、サーバー20により検出される。また、イベントの内容は、上述したように、検出部10により検出されたイベントの内容であり得る。すなわち、例えば、起床、離床、転倒、転落、および微体動異常といったイベントの内容は、検出部10により検出され得る。イベントが検出されたときは、イベント通知がサーバー20からスタッフ端末40へ送信される。応答時間は、例えば、スタッフ80が携帯するスタッフ端末40へイベント通知が送信された時から、スタッフ80によりスタッフ端末40の入力部44において入力されるイベントへの対応の受諾の応答が受信されるまでの時間をサーバー20が備えるタイマー等で計測することで検出される。移動歩数は、例えば、スタッフ端末40が備える歩数センサー46(図10参照)により計測され、サーバー20がスタッフ端末40から受信することでサーバー20により検出される。移動歩数は、例えば、ナースコールのイベントの場合は、イベントへの対応の受諾の応答がサーバー20により受信されてから、スタッフ80が対象者70の居室に備えられた検出部10により検出されるまでの歩数として検出され得る。検出部10により検出された居室内の人数が1人から2人に変化したことで、スタッフ80が検出されてもよい。食事等のイベントの場合は、イベントへの対応の受諾の応答がサーバー20により受信されてから、イベントへの対応の完了がスタッフ端末40においてスタッフ80により入力されサーバー20により受信されるまでの歩数が移動歩数として検出され得る。移動階数は、スタッフ端末40の気圧センサー47により計測され、サーバー20がスタッフ端末40から受信することでサーバー20により検出される。移動階数が気圧計により計測できるのは、スタッフ80が昇階する場合は昇階数に応じて気圧が低くなり、スタッフ80が降階する場合は降階数に応じて気圧が高くなるからである。業務時間は、イベントへの対応を受諾する応答がスタッフ端末40においてスタッフ80により入力されサーバー20により受信された時から、イベントへの対応の完了がスタッフ端末40においてスタッフ80により入力されサーバー20により受信された時までの時間として検出される。
【0045】
図6において、食事のイベントについて応答時間が記載されていないのは、食事のイベントは、決まった時間にスタッフ80が対応すべき第2事象であり、イベントが発生したときにイベント通知が送信されないからである。また、イベントID116~117に関して移動歩数が0歩なのは、上述したように、イベントID115~117は、一連のイベントであり、イベントID115のナースコールのイベントに対応したことで、スタッフ80は対象者70の居室に到着しているからである。
【0046】
付加情報リストに登録された情報は、後述するように、各イベントへの対応によるスタッフ80ごとの負荷(以下、「業務負荷」とも称する)を算出するために用いられる。
【0047】
サーバー20は、検出部10から受信したイベント情報および撮影画像を単独で、または検出部10と協働することで、検出部10が認識した、起床、離床、転倒、ナースコール等のイベントが、どの対象者70に関するものであるかを判定(識別)する。この判定は、イベントを認識した検出部10が設置されている居室番号から、これに対応付けられている対象者70(すなわち、居室の入居者)を判定することで行う。なお、対象者70の判定は、対象者70がICタグを携帯している場合には、このICタグを各居室に設けたRFIDリーダーで読み取ることにより、判定してもよい。なお、相部屋等で、1つの居室に複数の対象者70が存在する場合には、ベッド60ごとに検出部10を配置することで、対象者70を判定してもよい。
【0048】
サーバー20は、検出部10からイベント情報を受信したときは、イベントを発生させた対象者70の氏名、部屋番号、およびイベントの内容を含むイベント通知をスタッフ端末40へ送信することで、スタッフ80にイベントの発生を報知するとともに、イベントへの対応を指示する。
【0049】
サーバー20は、スタッフ80ごとの業務負荷を算出し、業務負荷がスタッフ80ごとに可視化されるレポートを作成して出力する。レポートは定期的(例えば、毎日、または、週もしくは月ごと)に作成され、出力され得る。レポートは、指示があるごとに、不定期に作成され、出力されてもよい。レポートを出力することには、レポートをデータとして管理者端末30等へ送信して表示部にレポートを表示させることや、サーバー200に接続された画像形成装置(図示せず)へデータを送信して印刷物としてレポートを出力させることを含む。また、管理者端末30等から施設のウェブサイトへアクセスすることで、ブラウザーを介して管理者端末30等からレポートを視認できる場所(例えば、クラウドサーバー)へ当該レポートのデータをアップロードすること等も含む。
【0050】
図7A図7Dは、負荷係数リストの例を示す図である。負荷係数リストは、業務負荷を算出するための係数が検出パラメーターごとに登録されたリストである。負荷係数リストは、サーバー20の記憶部23に記憶される。
【0051】
図7A図7Dの例においては、検出パラメーターである、応答時間、移動歩数、移動階数、およびイベントの内容の、それぞれに対応する係数が示されている。なお、業務時間については、検出パラメーターに対応する係数(業務時間係数)は業務時間の値(例えば、1時間であれば1)とされる。図7Aには、応答時間ごとに設定された応答時間係数が示されている。図7Bには、移動歩数ごとに設定された移動歩数係数が示されている。図7Cには、移動階数ごとに設定された移動階数係数が示されている。図7Dには、イベントの内容ごとに設定されたイベント内容係数が示されている。
【0052】
イベントごとの業務負荷は、イベントに要した業務時間と当該イベントに関する検出パラメーターに対応する係数との積として算出される。具体的には、下記式によりイベントごとの業務負荷を算出する。なお、上述したように、業務時間については、検出パラメーターに応じた係数(業務時間係数)は業務時間の値とされる。従って、イベントごとの業務負荷は、イベントに要した業務時間に対応する係数(業務時間係数)と、当該イベントに関する、当該業務時間以外の検出パラメーターに対応する係数との積として算出されると言うこともできる。
【0053】
業務負荷=業務時間(業務時間係数)×応答時間係数×移動歩数係数×移動階数係数×イベント内容係数
イベントによっては、応答時間、移動歩数、移動階数、および内容係数のうちのいずれかの検出パラメーターが、付加情報リストに登録されていない場合がある(図6の例においては、イベントID112~114、116、117に関して、応答時間の検出パラメーターが登録されていない)。この場合、登録されていない検出パラメーターについては、係数を1として業務負荷が算出される。なお、この場合、負荷情報リストにいずれかの検出パラメーターが登録されていないイベントに関しては、業務負荷を算出するための上記式に、登録されていない検出パラメーターの係数を業務時間に乗じる係数として含めないとしてもよい。
【0054】
なお、図7Aにおいて、応答時間が短いほど応答時間係数が大きくなっている。すなわち、応答時間が短いほど業務負荷が大きくなるものとされている。これは、スタッフ80が短い時間でイベント通知に対し応答するためには、勤務時間中にある程度の緊張感を持続する必要があることから、応答時間と業務負荷との間に相関関係があると考えられるからである。
【0055】
レポートにおいて可視化されるスタッフ80ごとの負荷は、所定期間(例えば1日)にスタッフ80がそれぞれ対応したすべてのイベントについて算出された業務負荷の総和とし得る。
【0056】
図8は、スタッフごとの業務負荷の総和が可視化されたグラフを含むレポートの例を示す図である。
【0057】
図8の例においては、スタッフA、スタッフB、およびスタッフCが1日にそれぞれ対応したすべてのイベントについて算出された業務負荷の総和がスタッフ80ごとに可視化された結果であるグラフを含むレポートが示されている。図8によれば、スタッフCに対する負荷が相対的に大きく、スタッフBに対する負荷が相対的に小さくなっていることが、一見して把握可能に可視化されている。なお、図8の例に示すグラフに代えて、各スタッフが1日にそれぞれ対応したすべてのイベントについて算出された業務負荷の総和が数字として示された表がレポートに含まれてもよい。また、図8の例に示すグラフに代えて、各スタッフが1日にそれぞれ対応したすべてのイベントについて算出された業務負荷の総和が、スタッフごとに、図形の大きさ等により認識可能に可視化された図がレポートに含まれてもよい。
【0058】
(管理者端末30)
図9は、管理者端末のハードウェア構成を示すブロック図である。管理者端末30は、いわゆるPC(Personal Computer)であり、制御部31、通信部32、表示部33、および入力部34を備え、これらはバスにより相互に接続される。制御部31は、検出部10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を備える。
【0059】
通信部32は、イーサネット(登録商標)等の規格による有線通信のネットワークインターフェースや、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワーク50に接続した各端末との通信を行う。
【0060】
表示部33は、例えば液晶ディスプレイであり、各種情報を表示する。
【0061】
入力部34は、キーボード、テンキー、マウス等を備えており、各種情報の入力を行う。
【0062】
本実施形態では、管理者端末30は、管理者90用の端末として用いられる。管理者90は、例えば、スタッフ80を統括するマネージャーである。
【0063】
管理者端末30は、出力するレポートの対象とするイベントの発生期間の指定を受け付け、サーバー200へ送信する。管理者端末30は、例えば、イベントの発生期間の指定を、出力するレポートの対象とするイベントの指定として受け付け得る。指定されるイベントの発生期間は、1日(例えば、昨日1日)とし得る。指定されるイベントの発生期間は、1週間、1月、1年等であってもよい。例えば、1週間と指定されることで、過去1週間に発生したイベントがレポートの対象となる。なお、レポートが定期的に(例えば、毎日、毎週、または毎年)サーバー200から出力される場合等においては、管理者端末30は、レポートの対象とするイベントの発生期間の指定を受け付けなくてもよい。
【0064】
管理者端末30は、業務負荷の算出に用いる検出パラメーターの選択を受け付け、サーバー200へ送信する。管理者端末30は、検出パラメーターの選択候補を、各検出パラメーターを選択するためのボタンとともに表示し、ボタンにより選択された検出パラメーターを、業務負荷の算出に用いる検出パラメーターとして受け付け得る。
【0065】
(スタッフ端末40)
図10は、スタッフ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。スタッフ端末40は、制御部41、無線通信部42、表示部43、入力部44、音声入出力部45、歩数センサー46、および気圧センサー47を備え、これらはバスにより相互に接続される。制御部41は、検出部10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を備える。無線通信部42により、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の規格を用いた無線通信が可能であり、アクセスポイント51を経由して、または直接的に各装置と無線通信する。表示部43、および入力部44は、タッチパネルであり、液晶等で構成される表示部43の表示面に、入力部44としてのタッチセンサーを重畳させたものである。表示部43、入力部44によって、スタッフ80に対して、各種指示が表示される。また、表示部43、入力部44によって、イベント通知を表示した操作画面を表示したり、操作画面を通じてイベントへの対応の受諾の応答の入力や、介護記録の入力等の各種の操作を受け付けたりする。音声入出力部45は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部42を介して他のスタッフ端末40との間でスタッフ80による音声通話を可能にする。スタッフ端末40は、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォンまたは携帯電話等の、持ち運び可能な通信端末機器によって構成できる。歩数センサー46は、加速度センサー等により構成され、スタッフ端末40を携帯するスタッフ80の歩数を検出する。気圧センサー47は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等により構成され、スタッフ端末40を携帯するスタッフ80の周辺の気圧を検出する。
【0066】
なお、検出部10、サーバー20、管理者端末30、およびスタッフ端末40は、上記の構成要素以外の構成要素を含んでもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部を含まなくてもよい。
【0067】
見守りシステムにおけるサーバー20の動作について説明する。
【0068】
図11は、サーバーの動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、サーバー20の記憶部23に記憶されたプログラムに従い、制御部21により実行され得る。
【0069】
制御部21は、スタッフ80が対応した、所定期間に発生した対象者70の各イベントについて、業務時間を取得する(S101)。制御部21は、記憶部23に記憶された付加情報リストから業務時間を読み出すことで、各スタッフ80が対応した各イベントの業務時間を取得し得る。以下、説明を簡単にするために、スタッフC(図6参照)の、イベントへの対応による負荷が可視化されたレポートを出力するものとして説明する。なお、通常は、施設のすべてのスタッフ80または一部の複数のスタッフ80について、スタッフ80ごとの、イベントへの対応による負荷が可視化されたレポートを出力する。
【0070】
制御部21は、スタッフCが対応した各イベントについて、蓄積された検出パラメーターの中から、業務負荷の算出に用いる検出パラメーターを選択して取得する(S102)。検出パラメーターの選択は、例えば、管理者端末30において受け付けられた検出パラメーターの選択に従って実行される。制御部21は、選択した検出パラメーターを、記憶部23に記憶された付加情報リストから読み出すことで取得し得る。例えば、検出パラメーターのうち、移動歩数、移動階数、およびイベントの内容が選択されて取得され得る。以下、説明を簡単にするために、付加情報リストに登録された検出パラメーターのすべてが選択されたものとして説明する。
【0071】
制御部21は、スタッフCが対応したイベントごとに取得した各検出パラメーターについて係数を算出する。制御部21は、イベントごとに、各検出パラメーターから算出した係数を業務時間に乗じることで、イベントごとの業務負荷を算出する(S103)。図6に示す、イベントID113、およびイベントID115を例に説明する。
【0072】
イベントID113についての検出パラメーターは、イベントの内容が「食事」、移動歩数が「150歩」、移動階数が「1階下降」である。また、業務時間は、0.8時間である。各検出パラメーターから算出される係数は、図7A図7Dに示す負荷係数リストを参照すれば、イベントの内容、移動歩数、移動階数について、それぞれ、1.4、1.2、1.2である。このため、イベントID113についての業務負荷は、上述した式(1)により、1.6128(0.8(時間)×1.4×1.2×1.2)と算出される。なお、上述したように、登録されていない検出パラメーターについては、係数を1として業務負荷が算出される。従って、イベントID113については、応答時間係数は1として業務負荷が算出される。
【0073】
同様に、イベントID115についての検出パラメーターは、イベントの内容が「ナースコール」、応答時間が「5秒」、移動歩数が「100歩」、移動階数が「1階下降」である。また、業務時間は、0.1時間である。従って、各検出パラメーターから算出される係数は、負荷係数リストを参照すれば、イベントの内容、応答時間、移動歩数、移動階数について、それぞれ、1.0、2.0、1.2、1.2である。このため、イベントID115についての業務負荷は、式(1)により、0.288(0.1(時間)×1.0×2.0×1.2×1.2)と算出される。
【0074】
制御部21は、所定期間に対応したすべてのイベントの業務負荷の総和をスタッフ80ごとに算出する(S104)。図6の付加情報リストを参照すれば、スタッフCは、少なくとも1日の間にイベントID110、113、115~117のイベントに対応している。このため、仮に、所定期間が1日であり、当該所定期間に対応したイベントが、イベントID110、113、115~117のイベントのみである場合は、これらのイベントIDのイベントごとに算出した業務負荷の和を、業務負荷の総和として算出する。
【0075】
制御部21は、業務負荷の総和(負荷)がスタッフ80ごとに可視化される図または表を含むレポートを作成する(S105)。なお、レポートには、管理者90によるスタッフごとの業務負荷に関するコメントが含まれてもよい。コメントは、例えば、管理者端末30において管理者90により入力され、サーバー200へ送信され得る。
【0076】
制御部21は、作成したレポートを出力する(S106)。
【0077】
本実施形態は以下の効果を奏する。
【0078】
検出され、蓄積された、スタッフが対応したイベントに関する検出パラメーターの中から少なくとも1つの検出パラメーターを選択して取得し、取得した検出パラメーターに基づいてスタッフごとの負荷が可視化される図または表を含むレポートを作成して出力する。これにより、対象者に対応することによるスタッフごとの負荷が適切に可視化されることで、各スタッフの業務状況を正確かつ容易に把握できる。
【0079】
さらに、検出パラメーターを、応答時間、移動歩数、移動階数、イベントの内容、および業務時間の少なくともいずれかとする。これにより、より適切かつ効率的にスタッフごとの負荷を把握できる。
【0080】
さらに、複数の検出パラメーターに基づいて、スタッフごとのイベントへの対応による負荷が可視化される図または表を含むレポートを作成する。これにより、より正確にスタッフごとの負荷を把握できる。
【0081】
さらに、業務時間以外の検出パラメーターからそれぞれ検出パラメーターに対応する係数を算出し、業務時間に当該係数を乗算することで負荷を算出し、算出された負荷がスタッフごとに可視化される図または表を含むレポートを作成する。これにより、より容易にスタッフごとの負荷を把握できる。
【0082】
さらに、所定の期間に発生したすべてのイベントへの対応による負荷の総和が、スタッフごとに可視化される図または表を含むレポートを作成する。これにより、より客観的にスタッフごとの負荷の状態を把握できる。
【0083】
以上に説明した見守りシステムの構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な見守りシステムが備える構成を排除するものではない。
【0084】
例えば、サーバー20が有する機能を、管理者端末30、または検出部10が備えるようにしてもよい。
【0085】
また、検出部10、サーバー20、管理者端末30およびスタッフ端末40は、それぞれ複数の装置により構成されてもよく、いずれか複数の装置が単一の装置として構成されてもよい。
【0086】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0087】
また、検出パラメーターには、実施形態において例示されたもの以外のものが含まれてもよい。例えば、勤務時間帯を検出パラメーターとし、昼間勤務の係数を1、夜間勤務の係数を1より大きい値に設定してもよい。
【0088】
また、実施形態では、業務負荷を算出する式において、業務時間については、業務時間の値を用いたが、業務負荷を算出する際に業務時間について重み付けをするために、業務時間に対応する係数(業務時間係数)として業務時間の値以外を用いてもよい。例えば、業務負荷に対する業務時間の寄与を大きくする場合は、1時間の業務時間に対し係数を1.1等とし得る。また、業務負荷に対する業務時間の寄与を小さくする場合は、1時間の業務時間に対し係数を0.9等とし得る。
【0089】
また、上述した実施形態に係る見守りシステム1における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0090】
本出願は、2018年6月26日に出願された日本特許出願(特願2018-120747号)に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11