(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231011BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231011BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20231011BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20231011BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231011BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231011BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231011BHJP
H04L 67/00 20220101ALI20231011BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231011BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231011BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20231011BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L50/70
B60L53/67
B60L53/68
B60R16/02 660U
H02J13/00 301A
H02J13/00 M
H02J7/00 303E
H04L67/00
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2021029166
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-086450(JP,A)
【文献】特開2013-050862(JP,A)
【文献】特開2022-130175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/14
B60L 50/70
B60L 53/67
B60L 53/68
B60R 16/02
H02J 13/00
H04L 67/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを供給する複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両であって、
前記複数の供給装置の中の少なくとも1つの第1供給装置の第1制御ソフトウェアと対応する前記電動車両の車両制御ソフトウェアが前記電動車両と通信可能なサーバに格納されている場合、前記電動車両が前記第1供給装置より高い頻度で利用する前記複数の供給装置の中の第2供給装置の第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、
前記対応関係がない場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、又は、前記車両制御ソフトウェアを受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、
制御装置を有する電動車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記対応関係がある場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、及び前記車両制御ソフトウェアの受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記電動車両は二次電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして電力を供給する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記電動車両は燃料が水素である燃料電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして前記水素を供給する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項5】
前記第1制御ソフトウェアは前記第2制御ソフトウェアより新しいバージョンである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電動車両。
【請求項6】
電動車両にエネルギーを供給するエネルギー供給装置であって、
前記エネルギー供給装置とは独立して前記電動車両に前記エネルギーを供給し、かつ、前記電動車両が前記エネルギー供給装置より低い頻度で利用する別のエネルギー供給装置の、前記電動車両の車両制御ソフトウェアと対応する第1制御ソフトウェアより新しい前記エネルギー供給装置の第2制御ソフトウェアが前記エネルギー供給装置と通信可能なサーバに格納されている場合、前記第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、
前記対応関係がない場合、前記第2制御ソフトウェアの受信、又は、前記第2制御ソフトウェアを受信した後の前記エネルギー供給装置の前記第2制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、
制御部を有するエネルギー供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記対応関係がある場合、前記第2制御ソフトウェアの受信、及び前記第2制御ソフトウェアを受信した後の前記エネルギー供給装置の前記第2制御ソフトウェアに基づく更新を実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載のエネルギー供給装置。
【請求項8】
エネルギーを供給する複数の供給装置と、前記複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両と、前記複数の供給装置及び前記電動車両と通信可能なサーバとを含むエネルギー供給システムであって、
前記電動車両は、
前記複数の供給装置の中の少なくとも1つの第1供給装置の第1制御ソフトウェアと対応する前記電動車両の車両制御ソフトウェアが前記サーバに格納されている場合、前記電動車両が前記第1供給装置より高い頻度で利用する前記複数の供給装置の中の第2供給装置の第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、
前記対応関係がない場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、又は、前記車両制御ソフトウェアを受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、
制御装置を有することを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記対応関係がある場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、及び前記車両制御ソフトウェアの受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を実行する、
ことを特徴とする請求項8に記載のエネルギー供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電スタンドの位置、利用可能性及びアクセスのしやすさについての情報を含む充電スタンド情報をサーバが電気自動車に提供する技術が知られている。充電スタンド情報は、利用可能性として、充電スタンドと電気自動車との互換性(例えばプラグタイプのサポート)を含んでいる(以上、例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電スタンドを含むエネルギー供給装置と電気自動車を含む電動車両との互換性は、プラグタイプといったハードウェアの互換性に限らず、エネルギー供給装置や電動車両を制御するプログラムといったソフトウェアの互換性もある。
【0005】
公共施設や商業施設等の場所に設置されたエネルギー供給装置であれば、このエネルギー供給装置にサーバが例えば有線通信を介して定期的に最新のソフトウェアを提供することで、このエネルギー供給装置を最新の状態に更新することができる。また、サーバがこの最新のソフトウェアと互換性を有する電動車両用のソフトウェアを例えば無線通信を介して電動車両に提供すれば、電動車両は最新の状態に更新されたエネルギー供給装置からエネルギーが供給されて、エネルギーを補給することができる。
【0006】
しかしながら、電動車両の利用頻度が高い自宅などに設置されたエネルギー供給装置の場合、最新のソフトウェアを手動操作により不定期にサーバから取得することがある。最新のソフトウェアの取得を失念すると、上述した電動車両用のソフトウェアが提供された電動車両と自宅などに設置されたエネルギー供給装置との互いの対応関係が喪失し、電動車両がこのエネルギー供給装置からエネルギーを補給できなくなる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明では、エネルギーの供給と補給を制御する2つのソフトウェアの対応関係の喪失を回避する電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電動車両は、エネルギーを供給する複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両であって、前記複数の供給装置の中の少なくとも1つの第1供給装置の第1制御ソフトウェアと対応する前記電動車両の車両制御ソフトウェアが前記電動車両と通信可能なサーバに格納されている場合、前記電動車両が前記第1供給装置より高い頻度で利用する前記複数の供給装置の中の第2供給装置の第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、前記対応関係がない場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、又は、前記車両制御ソフトウェアを受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、制御装置を有する。
【0009】
上記構成において、前記制御装置は、前記対応関係がある場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、及び前記車両制御ソフトウェアの受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を実行してもよい。
【0010】
上記構成において、前記電動車両は二次電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして電力を供給してもよい。
【0011】
上記構成において、前記電動車両は燃料が水素である燃料電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして前記水素を供給してもよい。
【0012】
上記構成において、前記第1制御ソフトウェアは前記第2制御ソフトウェアより新しいバージョンであってもよい。
【0013】
本発明に係るエネルギー供給装置は、電動車両にエネルギーを供給するエネルギー供給装置であって、前記エネルギー供給装置とは独立して前記電動車両に前記エネルギーを供給し、かつ、前記電動車両が前記エネルギー供給装置より低い頻度で利用する別のエネルギー供給装置の、前記電動車両の車両制御ソフトウェアと対応する第1制御ソフトウェアより新しい前記エネルギー供給装置の第2制御ソフトウェアが前記エネルギー供給装置と通信可能なサーバに格納されている場合、前記第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、前記対応関係がない場合、前記第2制御ソフトウェアの受信、又は、前記第2制御ソフトウェアを受信した後の前記エネルギー供給装置の前記第2制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、制御部を有する。
【0014】
上記構成において、前記制御部は、前記対応関係がある場合、前記第2制御ソフトウェアの受信、及び前記第2制御ソフトウェアを受信した後の前記エネルギー供給装置の前記第2制御ソフトウェアに基づく更新を実行してもよい。
【0015】
本発明に係るエネルギー供給システムは、エネルギーを供給する複数の供給装置と、前記複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両と、前記複数の供給装置及び前記電動車両と通信可能なサーバとを含むエネルギー供給システムであって、前記電動車両は、前記複数の供給装置の中の少なくとも1つの第1供給装置の第1制御ソフトウェアと対応する前記電動車両の車両制御ソフトウェアが前記サーバに格納されている場合、前記電動車両が前記第1供給装置より高い頻度で利用する前記複数の供給装置の中の第2供給装置の第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、前記対応関係がない場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、又は、前記車両制御ソフトウェアを受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、制御装置を有する。
【0016】
上記構成において、前記制御装置は、前記対応関係がある場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、及び前記車両制御ソフトウェアの受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を実行してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エネルギーの供給と補給を制御する2つのソフトウェアの対応関係の喪失を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1はエネルギー供給システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は電動車両の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は車両管理サーバのハードウェア構成の一例である。
【
図4】
図4は車両管理サーバの機能構成の一例である。
【
図5】
図5は車両制御ソフトウェア管理表の一例である。
【
図6】
図6(a)は第1対応表の一例である。
図6(b)は第2対応表の一例である。
【
図7】
図7はスタンド管理サーバの機能構成の一例である。
【
図8】
図8は制御ソフトウェア管理表の一例である。
【
図9】
図9(a)は第1充電スタンドの構成の一例である。
図9(b)は第2充電スタンドの構成の一例である。
【
図10】
図10は第1実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その1)である。
【
図11】
図11は第1実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その2)である。
【
図12】
図12は第2実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その1)である。
【
図13】
図13は第1実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
エネルギー供給システムSTは、電動車両100と、管理サーバ群200と、複数の充電スタンド300とを含んでいる。電動車両100は、エンジンを搭載せずに蓄電装置を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力を用いてモータにより走行可能な電気自動車である。電動車両100にはプラグインEV(Electric Vehicle)も含まれる。なお、電動車両100は、モータに加えてエンジンをさらに搭載したハイブリッド車両であってもよいし、蓄電装置に代えて又は蓄電装置と共に、水素を燃料とする燃料電池をさらに搭載した燃料電池車であってもよい。電動車両100は個人の自家用車であってもよいし、法人が所有する社有車であってもよい。
【0021】
管理サーバ群200はクラウドサービスを提供するデータセンターDC内に設置される。管理サーバ群200は車両管理サーバ210やスタンド管理サーバ220など様々な管理サーバを含んでいる。複数の充電スタンド300は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320を含んでいる。図示しないが、複数の充電スタンド300は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320以外にも、複数の第1充電スタンド及び第2充電スタンドを含んでいる。充電スタンド300は供給装置の一例であり、第1充電スタンド310は第1供給装置及び別のエネルギー供給装置の一例であり、第2充電スタンド320は第2供給装置及びエネルギー供給装置の一例である。
【0022】
車両管理サーバ210及びスタンド管理サーバ220はLAN(Local Area Network)といった有線通信網によって互いに接続されている。また、車両管理サーバ210及びスタンド管理サーバ220は通信ネットワークNWと接続されている。通信ネットワークNWとしては例えばインターネットがある。
【0023】
通信ネットワークNWには携帯基地局BSが接続される。携帯基地局BSの無線通信可能領域内に電動車両100が含まれていれば、携帯基地局BSは電動車両100と無線通信WLにより通信することができる。携帯基地局BSはOTA(Over the Air)により電動車両100と通信できるといってもよい。したがって、電動車両100は通信ネットワークNW、携帯基地局BS、及び無線通信WLを介して車両管理サーバ210などと互いに通信することができる。なお、無線通信WLには例えばLTE(Long Term Evolution)といった広域無線通信の通信規格が利用される。
【0024】
また、通信ネットワークNWには第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320が接続される。第1充電スタンド310は例えば数十キロワットから数百キロワットの直流電力を供給可能な急速充電スタンドである。第1充電スタンド310は公共施設や商業施設の駐車場などに設置される。第1充電スタンド310は通信系統W1と異なる電力系統311を介して200ボルトの三相交流電源312と接続されている。一方、第2充電スタンド320は例えば数キロワットの直流電力を供給可能な普通充電スタンドである。第2充電スタンド320は電動車両100を所有する個人の自宅の車庫や、電動車両100を所有する企業の駐車場に設置される。第2充電スタンド320は通信系統W2と異なる電力系統321を介して100ボルト又は200ボルトの単相交流電源322と接続されている。このように、第2充電スタンド320は個人の自宅の車庫や企業の駐車場に設置されているため、走行経路の途中で一時的に利用される第1充電スタンド310に比べて利用頻度が高い。なお、利用頻度は1時間あたりの利用回数であってもよいし、1日あたりの利用回数であってもよいし、1か月あたりの利用回数であってもよいし、1年あたりの利用回数であってもよい。
【0025】
第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320はいずれも電動車両100にエネルギーとしての電力を独立的に供給する。例えば第1充電スタンド310が設置された駐車場に電動車両100が駐車していれば、第1充電スタンド310が電動車両100に電力を供給する。逆に、第2充電スタンド320が設置された車庫に電動車両100が駐車していれば、第2充電スタンド320が電動車両100に電力を供給する。電動車両100は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320から独立的に電力が供給されて充電することができる。
【0026】
ここで、第1充電スタンド310から電力が供給されて電動車両100が充電する場合を具体的に説明する。第1充電スタンド310から電動車両100に電力が供給される場合、第1充電スタンド310から延びる充電ケーブルの先端に設けられた第1コネクタが電動車両100の第1インレットに接続される。そして、電動車両100又は第1充電スタンド310において外部充電の実行が指示されると、第1充電スタンド310から充電ケーブルを通じて電動車両100に電力が供給される。これにより、電動車両100は第1充電スタンド310から電力を補給して充電することができる。第2充電スタンド320から電動車両100に電力が供給される場合については、基本的に第1充電スタンド310の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
車両管理サーバ210は通信ネットワークNW、携帯基地局BS及び無線通信WLを通じて電動車両100と通信する。車両管理サーバ210は例えば電動車両100から各種の情報を受信する。また、車両管理サーバ210は電動車両100へ電動車両100を制御する車両制御ソフトウェア(具体的には制御プログラムやファームウェアなど)を送信する。車両制御ソフトウェアは電力の補給(即ち充電)に関する動作を制御する補給制御ソフトウェアを含んでいる。一方、スタンド管理サーバ220は通信ネットワークNWを通じて第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320と通信する。スタンド管理サーバ220は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320から各種の情報を受信する。また、スタンド管理サーバ220は第1充電スタンド310へ第1充電スタンド310を制御する制御ソフトウェアを送信する。同様に、スタンド管理サーバ220は第2充電スタンド320へ第2充電スタンド320を制御する制御ソフトウェアを送信する。これらの制御ソフトウェアは電力の供給に関する動作を制御する供給制御ソフトウェアを含んでいる。
【0028】
詳細は後述するが、スタンド管理サーバ220は定期的に一括して第1充電スタンド310へ新版(具体的には最新版)の制御ソフトウェアを送信する。第1充電スタンド310は新版の制御ソフトウェアを受信して更新することにより、最新の状態になる。また、スタンド管理サーバ220による新版の制御ソフトウェアの送信と同期して、この新版の制御ソフトウェアと互換性を有する新版の車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210が電動車両100に送信する。電動車両100は新版の車両制御ソフトウェアを、無線通信WLを介して受信して更新する。これにより電動車両100は最新の状態になる。
【0029】
一方で、スタンド管理サーバ220は第2充電スタンド320からの要求に応じて第2充電スタンド320へ新版の制御ソフトウェアを送信する。例えば、第2充電スタンド320を利用するユーザが第2充電スタンド320を手動操作して新版の制御ソフトウェアの送信を指示すると、第2充電スタンド320はスタンド管理サーバ220に新版の制御ソフトウェアの送信を要求する。制御ソフトウェアの定期送信が高額な通信料を伴う場合、ユーザによっては動的な定期送信を設定せずに、手動操作に基づく送信を第2充電スタンド320に設定している場合もある。第2充電スタンド320が新版の制御ソフトウェアの送信を要求すると、スタンド管理サーバ220は第2充電スタンド320へ新版の制御ソフトウェアを送信する。第2充電スタンド320は新版の制御ソフトウェアを受信して更新する。これにより、第2充電スタンド320は最新の状態になる。第2充電スタンド320が最新の状態になると、第2充電スタンド320は最新の状態になった電動車両100との互換性を有し、電動車両100は第2充電スタンド320から電力を補給することができる。すなわち、電動車両100は第2充電スタンド320から充電することができる。
【0030】
なお、互換性を有するとはソフトウェア同士の対応関係があることをいい、互換性を有しないとはソフトウェア同士の対応関係がないことをいう。充電に関する互換性であれば、上述した制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアに対応関係があることにより、電力及び通信の出力制御及び入力制御が正常に作動する。これにより、例えば最速の充電速度で電動車両100を充電することができる。また、充電が完了するまでの充電完了時間を高精度に算出することができる。その他、外部充電を指示する電動車両100又は第1充電スタンド310の画面案内を正常に表示することができる。したがって、制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアに対応関係がない場合、例えば充電速度が低下する可能性もあれば、充電完了時間の算出精度が低下する可能性もあれば、画面案内の表示精度が低下する可能性もある。
【0031】
図2を参照して、電動車両100の構成を説明する。電動車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレーSMRと、PCU(Power Control Unit)120とを備える。また、電動車両100は、MG(Motor Generator)130と、動力伝達ギヤ135と、駆動輪140と、第1インレット150と、第2インレット152と、充電リレーRYとを備える。さらに、電動車両100は、ECU(Electronic Control Unit)160と、DCM(Data Communication Module)170と、GPS(Global Positioning System)受信機172と、CAN(Controller Area Network)通信部174とを備える。ECU160はCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び入出力I/F(インタフェース)を含んでいる。
【0032】
蓄電装置110は充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の蓄電素子などである。なお、リチウムイオン電池はリチウムを電荷担体とする二次電池である。リチウムイオン電池は電解質が液体であるリチウムイオン電池であってもよいし、電解質が固体である全固体電池であってもよい。
【0033】
蓄電装置110は充電ケーブルを通じて第1インレット150に接続された車両外部の第1充電スタンド310によって充電(外部充電)される。蓄電装置110は充電ケーブルを通じて第2インレット152に接続された車両外部の第2充電スタンド320(
図1参照)によって充電(外部充電)されてもよい。そして、蓄電装置110は、走行時にPCU120を通じてMG130へ電力を供給する。また、蓄電装置110は、車両制動中のMG130の回生発電時にPCU120を通じてMG130の発電電力を受けて充電される。
【0034】
システムメインリレーSMRは蓄電装置110に接続される電力線対PL1,NL1とPCU120との間に設けられ、図示しないスタートスイッチ等により車両システムが起動されるとECU160によってオンされる。
【0035】
PCU120はMG130を駆動する駆動装置であり、コンバータやインバータ等の電力変換装置を含んで構成される。PCU120は、ECU160によって制御され、蓄電装置110から供給される直流電力を、MG130を駆動するための交流電力に変換する。また、PCU120はMG130により発電された交流電力を直流電力に変換して蓄電装置110へ出力する。
【0036】
MG130は交流回転電機であり、例えばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG130はPCU120により駆動されて回転駆動力を発生し、MG130が発生した駆動力は動力伝達ギヤ135を通じて駆動輪140に伝達される。一方、車両の制動時等には、MG130は、発電機として動作し、回生発電を行う。MG130が発電した電力はPCU120を通じて蓄電装置110に供給される。
【0037】
充電リレーRYは第1インレット150や第2インレット152に接続される電力線対DCL1,DCL2と、電力線対PL1,NL1に接続される電力線対PL2,NL2との間に設けられ、外部充電の実行時にECU160によってオンされる。
【0038】
第1インレット150は外部充電時に第1充電スタンド310から供給される電力を受ける。外部充電時、第1インレット150には、第1充電スタンド310の第1コネクタが接続され、第1充電スタンド310から出力される直流電力が、第1インレット150、電力線対DCL1,DCL2、充電リレーRY、電力線対PL2,NL2、及び電力線対PL1,NL1を通じて蓄電装置110に供給される。
【0039】
第2インレット152は外部充電時に第2充電スタンド320(
図1参照)から供給される電力を受ける。外部充電時、第2インレット152には、第2充電スタンド320の第2コネクタが接続され、第2充電スタンド320から出力される直流電力が、第2インレット152、電力線対DCL1,DCL2、充電リレーRY、電力線対PL2,NL2、及び電力線対PL1,NL1を通じて蓄電装置110に供給される。
【0040】
DCM170は車両管理サーバ210(
図1参照)と通信を行なうための車載通信機である。DCM170は無線通信WL、携帯基地局BS、及び通信ネットワークNWを通じて電動車両100(具体的にはECU160)と車両管理サーバ210との間で双方向通信を行うことができる。GPS受信機172は人工衛星からの電波に基づいて現在位置を特定し、特定された位置情報をECU160へ出力する。GPS受信機172により特定される位置情報は例えばナビゲーション装置(不図示)等において利用される。
【0041】
CAN通信部174は外部充電時に電動車両100(具体的にはECU160)と第1充電スタンド310や第2充電スタンド320との間でCAN通信を行なう。本実施形態では、チャデモ(CHAdeMO)(登録商標)方式に従ってDC充電が行なわれる例が示されており、電動車両100と第1充電スタンド310との間の通信も、チャデモで採用されているCANの通信プロトコルに従って行なわれる。
【0042】
なお、本実施形態に係る電動車両100で採用可能な充電方式は、チャデモ方式に限定されず、例えば欧州及び米国が中心になって標準化が進められているコンボ(Combined Charging System)方式も採用可能である。そして、電動車両100と第1充電スタンド310や第2充電スタンド320との間の通信も、チャデモ方式で採用されているCAN通信に限定されるものではなく、コンボ方式で採用されているPLC(Power Line Communication:電力線通信)で行なってもよいし、近距離無線通信で行なってもよい。
【0043】
ECU160は、電動車両100の走行時には、システムメインリレーSMRをオンにするとともにPCU120を制御することにより、MG130の駆動及び蓄電装置110の充放電を制御する。また、ECU160は、外部充電時には、充電リレーRYをオンにするとともに、CAN通信部174を通じて第1充電スタンド310や第2充電スタンド320へ充電開始要求や充電電流指令値等を送信することにより、外部充電を実行する。さらに、ECU160は、蓄電装置110のSOC(State Of Charge)を算出し、SOCが所定の上限値に達すると、CAN通信部174を通じて第1充電スタンド310や第2充電スタンド320へ充電停止要求を送信するとともに充電リレーRYをオフにする。なお、SOCの算出方法については、OCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すOCV-SOCカーブ(マップ等)を用いた手法や、充放電電流の積算値を用いた手法、残容量/満充電容量×100等、公知の各種手法を用いることができる。
【0044】
第1充電スタンド310の充電ケーブルには、電動車両100の第1インレット150に接続可能な第1コネクタが設けられている。第1コネクタが第1インレット150に接続されている状態において、第1充電スタンド310から電動車両100へ直流電力を供給可能であり、また、第1充電スタンド310と電動車両100との間でCAN通信が可能となる。第2充電スタンド320については第1充電スタンド310と基本的に同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0045】
なお、第1充電スタンド310の第1コネクタが第1インレット150に接続されている状態において、電動車両100から第1充電スタンド310へ送信されるデータには、たとえば、充電開始要求や、充電停止要求、充電電流指令値、充電電圧上限値等が含まれる。また、第1充電スタンド310から電動車両100へ送信されるデータには、たとえば、最大出力情報(出力可能電流値、出力可能電圧値等)や、現在出力情報(現在出力電流値、現在出力電圧値等)等が含まれる。第2充電スタンド320についても第1充電スタンド310と基本的に同様である。
【0046】
図3を参照して、車両管理サーバ210のハードウェア構成を説明する。尚、スタンド管理サーバ220については基本的に車両管理サーバ210と同様のハードウェア構成であるため、説明を省略する。
図3に示すように、車両管理サーバ210は、プロセッサとしてのCPU210Aと、メモリとしてのRAM210B及びROM210C、並びにネットワークI/F210Dを含んでいる。車両管理サーバ210は、必要に応じて、HDD(Hard Disk Drive)210E、入力I/F210F、出力I/F210G、入出力I/F210H、ドライブ装置210Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU210Aからドライブ装置210Iまでは、内部バス210Jによって互いに接続されている。
【0047】
入力I/F210Fには入力装置710が接続される。入力装置710としてはキーボードやマウス(不図示)がある。出力I/F210Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては液晶ディスプレイがある。入出力I/F210Hには、半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F210Hは半導体メモリ730に記憶されたプログラムやデータを読み取る。入力I/F210F及び入出力I/F210Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F210Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0048】
ドライブ装置210Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置210Iは可搬型記録媒体740に記録されたプログラムやデータを読み込む。ネットワークI/F210Dは例えばLANポートを備えている。ネットワークI/F210Dは上述した通信ネットワークNWと接続される。
【0049】
上述したRAM210BにはROM210CやHDD210Eに記憶されたプログラムがCPU210Aによって一時的に格納される。RAM210Bには可搬型記録媒体740に記録されたプログラムがCPU210Aによって一時的に格納される。格納されたプログラムをCPU210Aが実行することにより、CPU210Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。尚、プログラムは後述する処理シーケンス図に応じたものとすればよい。
【0050】
図4乃至
図6(a)及び(b)を参照して、車両管理サーバ210の機能構成を説明する。なお、
図4では車両管理サーバ210の機能の要部が示されている。
【0051】
図4に示すように、車両管理サーバ210は記憶部211、処理部212、入力部213、及び通信部214を備えている。記憶部211は上述したRAM210BやHDD210Eなどによって実現することができる。処理部212は上述したCPU210Aによって実現することができる。入力部213は上述した入力I/F210Fによって実現することができる。通信部214は上述したネットワークI/F210Dによって実現することができる。したがって、記憶部211、処理部212、入力部213、及び通信部214は互いに接続されている。
【0052】
記憶部211は車両制御ソフトウェア(以下SWと表記)記憶部215及び互換性記憶部216を構成要素として含んでいる。車両制御SW記憶部215及び互換性記憶部216の少なくとも一方を車両管理サーバ210と異なる別の管理サーバに設けてもよい。この場合、車両管理サーバ210が別の管理サーバにアクセスし、車両制御SW記憶部215及び互換性記憶部216の記憶内容を参照してもよい。
【0053】
車両制御SW記憶部215は車両制御ソフトウェア管理表により車両制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、
図5に示すように、車両制御SW記憶部215は、車両機種ID、車両制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。車両機種IDは電動車両100を識別する識別子である。バージョン及びリリース日は、車両制御ソフトウェアの版及び提供可能日である。第1実施形態ではバージョン「V1」が車両制御ソフトウェアの旧版を表し、バージョン「V2」が車両制御ソフトウェアの新版を表している。
【0054】
互換性記憶部216は電動車両100と第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320との互換性に関する互換性データを記憶する。具体的には、
図6(a)及び(b)に示すように、互換性記憶部216は互換性データを第1対応表及び複数の第2対応表により管理する。
【0055】
第1対応表は、
図6(a)に示すように、スタンド機種IDと車両機種IDの複数の組合せを互換性データとして管理する。スタンド機種IDは充電スタンド300を識別する識別子である。第1実施形態では、第1充電スタンド310にスタンド機種ID「S1」が割り当てられ、第2充電スタンド320にスタンド機種ID「S2」が割り当てられている。第1対応表によりスタンド機種IDと車両機種IDの組合せを一意に特定することができる。なお、電動車両100の利用頻度が高い充電スタンド300のスタンド機種IDには所定識別子が設定されている。所定識別子は手動で設定されてもよいし、後述する車両制御SW管理部217が利用頻度を算出して動的に設定されてもよい。例えば、スタンド機種ID「S2」と車両機種ID「E1」の組合せには所定識別子「#」が設定されている。これにより、車両機種ID「E1」が割り当てられた電動車両100は利用頻度が高い第2充電スタンド320を一意に特定することができる。電動車両100と異なる別の電動車両(不図示)についても同様に利用頻度が高い充電スタンド300のスタンド機種IDに所定識別子が設定されている。
【0056】
第2対応表は、
図6(b)に示すように、スタンド機種IDが割り当てられた充電スタンド300の制御ソフトウェアのバージョンと車両機種IDが割り当てられた電動車両100の車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性をスタンド機種IDと車両機種IDの組合せ毎に互換性データとして管理する。互換性「YES」は制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアの互換性があることを示し、互換性「NO」は制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアの互換性がないことを示している。したがって、スタンド機種ID「S2」が割り当てられた第2充電スタンド320の制御ソフトウェアのバージョン「V2」と車両機種ID「E1」が割り当てられた電動車両100の車両制御ソフトウェアのバージョン「V1」との間では互換性がないことが示されている。第2対応表により、制御ソフトウェアのバージョンと車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性を一意に特定することができる。
【0057】
処理部212は車両制御SW管理部217を含んでいる。車両制御SW管理部217は記憶部211の構成要素に選択的にアクセスして、各種の処理を実行する。例えば、車両制御SW管理部217は電動車両100から新版の車両制御ソフトウェアの送信要求を受け付けると、電動車両100の車両機種IDに応じた新版の車両制御ソフトウェアを電動車両100に送信する。なお、車両制御SW管理部217の詳細については、エネルギー供給システムSTの動作を説明する際に詳しく記載する。
【0058】
図7及び
図8を参照して、スタンド管理サーバ220の機能構成を説明する。なお、
図7ではスタンド管理サーバ220の機能の要部が示されている。
【0059】
図7に示すように、スタンド管理サーバ220は記憶部221、処理部222、入力部223、及び通信部224を備えている。記憶部221は上述したRAM210BやHDD210Eなどによって実現することができる。処理部222は上述したCPU210Aによって実現することができる。入力部223は上述した入力I/F210Fによって実現することができる。通信部224は上述したネットワークI/F210Dによって実現することができる。したがって、記憶部221、処理部222、入力部223、及び通信部224は互いに接続されている。
【0060】
記憶部221はスタンド制御SW記憶部225及び互換性記憶部226を構成要素として含んでいる。スタンド制御SW記憶部225及び互換性記憶部226の少なくとも一方をスタンド管理サーバ220と異なる別の管理サーバに設けてもよい。この場合、スタンド管理サーバ220が別の管理サーバにアクセスし、スタンド制御SW記憶部225及び互換性記憶部226の記憶内容を参照してもよい。
【0061】
スタンド制御SW記憶部225は制御ソフトウェア管理表により充電スタンド300を制御する制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、
図8に示すように、スタンド制御SW記憶部225は、スタンド機種ID、制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。バージョン及びリリース日は、制御ソフトウェアの版及び提供可能日である。車両制御ソフトウェアと同様に、バージョン「V1」が制御ソフトウェアの旧版を表し、バージョン「V2」が制御ソフトウェアの新版を表している。なお、互換性記憶部226は、上述した互換性記憶部216と同様に、互換性データを記憶する。このため、互換性記憶部226の詳細な説明は省略する。
【0062】
処理部222はスタンド制御SW管理部227を含んでいる。スタンド制御SW管理部227は記憶部221の構成要素に選択的にアクセスして、各種の処理を実行する。例えば、スタンド制御SW管理部227は第2充電スタンド320から新版の制御ソフトウェアの送信要求を受け付けると、第2充電スタンド320のスタンド機種IDに応じた新版の制御ソフトウェアを第2充電スタンド320に送信する。なお、スタンド制御SW管理部227の詳細については、エネルギー供給システムSTの動作を説明する際に詳しく記載する。
【0063】
図9(a)を参照して、第1充電スタンド310の構成について説明する。第1充電スタンド310は、AC/DCコンバータ315、高周波インバータ316、昇圧トランス317、整流器318、及び第1充電コントローラ319を含んでいる。第1充電コントローラ319はCPU、RAM、ROM、入出力I/Fなどを含んでいる。AC/DCコンバータ315には電力系統311を介して三相交流電源312が接続されている。整流器318には第1電力線対313の一端が接続され、第1充電コントローラ319には第1通信線314の一端が接続される。第1電力線対313の他端及び第1通信線314の他端は第1コネクタC1が接続される。第1コネクタC1は電動車両100の第1インレット150に接続することができる。なお、第1電力線対313及び第1通信線314は第1充電スタンド310から延びる充電ケーブルの一部であり、この充電ケーブルに含まれる。
【0064】
AC/DCコンバータ315は三相交流電源312からの電力供給を受けて、交流電力を直流電力に変換する。高周波インバータ316は昇圧効率を高めのために直流電力を高周波(矩形波)交流電力に変換する。昇圧トランス317は高周波交流電力を昇圧する。整流器318は高周波交流電力を昇圧した昇圧交流電力の整流・平滑化を行い、第1コネクタC1を介して直流電力を出力する。第1充電コントローラ319は、電動車両100のECU160(
図2参照)と蓄電装置110の現在のSOCなどの情報を交換しながら、AC/DCコンバータ315及び高周波インバータ316の動作を制御する。
【0065】
図9(b)を参照して、第2充電スタンド320の構成について説明する。第2充電スタンド320は、第1フィルタ325、AC/DCコンバータ326、DC/DCコンバータ327、第2フィルタ328、及び第2充電コントローラ329を含んでいる。第2充電コントローラ329はCPU、RAM、ROM、入出力I/Fなどを含んでいる。第1フィルタ325には電力系統321を介して単相交流電源322が接続されている。第2フィルタ328には第2電力線対323の一端が接続され、第2充電コントローラ329には第2通信線324の一端が接続される。第2電力線対323の他端及び第2通信線324の他端は第2コネクタC2が接続される。第2コネクタC2は電動車両100の第2インレット152に接続することができる。なお、第2電力線対323及び第2通信線324は第2充電スタンド320から延びる充電ケーブルの一部であり、この充電ケーブルに含まれる。
【0066】
第1フィルタ325は単相交流電源322からの電力供給を受けつつ、単相交流電源322からのノイズの流入や、単相交流電源322へのノイズの流出を抑制する。AC/DCコンバータ326は第1フィルタ325が受けた交流電力を直流電力に変換する。DC/DCコンバータ327はAC/DCコンバータ326から出力された直流電力を電圧が異なる直流電力へ変換する。第2フィルタ328は直流電力の平滑化を行い、第2コネクタC2を介して直流電力を出力する。第2充電コントローラ329は、電動車両100のECU160(
図2参照)と蓄電装置110の現在のSOCなどの情報を交換しながら、AC/DCコンバータ326及びDC/DCコンバータ327の動作を制御する。
【0067】
図10及び
図11を参照して、第1実施形態に係るエネルギー供給システムSTの動作について説明する。なお、
図10及び
図11では文字「A」や文字「B」などで処理が連続することを示している。
【0068】
まず、
図10に示すように、スタンド管理サーバ220のスタンド制御SW管理部227は第1充電スタンド310の動作を制御する制御ソフトウェアの新版が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。制御ソフトウェアの新版が入力されると(ステップS1:YES)、スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェアの新版をスタンド制御SW記憶部225に格納する(ステップS2)。したがって、例えば第1充電スタンド310の制御ソフトウェア「S1制御プログラム」の新版「V2」が入力されると、スタンド制御SW記憶部225はこれを記憶する(
図8参照)。
【0069】
スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェアの新版を格納すると、これを第1充電スタンド310に動的に送信する(ステップS3)。スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェアの新版が入力されてからこれを格納する前に送信してもよいし、制御ソフトウェアの新版を格納した後に送信してもよい。また、スタンド制御SW管理部227は事前に定めた設定日時や設定時刻等に基づいて、制御ソフトウェアの新版を送信してもよい。
【0070】
制御ソフトウェアの新版が送信されると、第1充電スタンド310の第1充電コントローラ319は制御ソフトウェアの新版を受信する(ステップS4)。第1充電コントローラ319は制御ソフトウェアの新版を受信すると、制御ソフトウェアの旧版を制御ソフトウェアの新版に更新する(ステップS5)。例えば制御ソフトウェア「S1制御プログラム」の旧版「V1」が第1充電スタンド310にインストールされている場合、第1充電コントローラ319はこれを制御ソフトウェア「S1制御プログラム」の新版「V2」に更新する。これにより、第1充電コントローラ319は最新の状態になる。
【0071】
一方、車両管理サーバ210の車両制御SW管理部217は電動車両100の動作を制御する車両制御ソフトウェアの新版が入力されるまで待機する(ステップS6:NO)。車両制御ソフトウェアの新版が入力されると(ステップS6:YES)、車両制御SW管理部217は車両制御ソフトウェアの新版を車両制御SW記憶部215に格納する(ステップS7)。したがって、例えば電動車両100の車両制御ソフトウェア「E1制御プログラム」の新版「V2」が入力されると、車両制御SW記憶部215はこれを記憶する(
図5参照)。
【0072】
電動車両100のECU160はステップS6,S7の処理と前後して、DCM170を通じて、車両制御ソフトウェアの新版があるか否かを定期的に車両制御SW管理部217に確認する(ステップS8)。そして、ECU160は車両制御ソフトウェアの新版があることを確認するまで待機する(ステップS9:NO)。ECU160は車両制御ソフトウェアの新版があることを確認すると(ステップS9:YES)、互換性を車両制御SW管理部217に確認する(ステップS10)。より詳しくは、ECU160は車両制御ソフトウェアと第2充電スタンド320を制御する制御ソフトウェアとの互換性を確認する。ECU160は互換性を確認する際、ECU160又はDCM170に割り当てられた車両機種IDを車両制御SW管理部217に送信する。
【0073】
車両制御SW管理部217は、ECU160から互換性の確認を求められると、ECU160に互換性があるか否かを通知する(ステップS11)。より詳しくは、車両制御SW管理部217は互換性の確認を求められると、第1対応表(
図6(a)参照)にアクセスし、互換性を確認する際に送信された車両機種IDに応じたスタンド機種IDの中から所定識別子が設定されたスタンド機種IDを特定する。本実施形態では、車両機種ID「E1」が送信されるため、スタンド機種ID「S1」、「S2」、・・・の中から所定識別子「#」が設定されたスタンド機種ID「S2」を特定する。車両制御SW管理部217はスタンド機種ID「S2」を特定すると、スタンド機種ID「S2」の第2充電スタンド320にインストールされた制御ソフトウェア及びその現在の版をスタンド制御SW管理部227に要求する。これにより、スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェア管理表(
図8参照)にアクセスし、スタンド機種IDに関連付けられた制御ソフトウェア及び現在の版を車両制御SW管理部217に通知する。本実施形態では、スタンド制御SW管理部227はスタンド機種ID「S2」に関連付けられた制御ソフトウェア「S2制御プログラム」及びその現在の版「V1」を車両制御SW管理部217に通知する。
【0074】
車両制御SW管理部217は、スタンド制御SW管理部227から制御ソフトウェア及びその現在の版が通知されると、車両機種IDとスタンド機種IDの組合せに応じた第2対応表(
図6(b)参照)を特定する。車両制御SW管理部217は第2対応表を特定すると、特定した第2対応表と、ECU160がステップS8,S9の処理で確認して判断した車両制御ソフトウェアの更新予定の新版と、スタンド制御SW管理部227から通知された現在の版と、に基づいて、ECU160に互換性があるか否かを通知する。
【0075】
図11に移り、ECU160は車両制御SW管理部217からの通知に基づき互換性の有無を判断する(ステップS12)。例えば、互換性「NO」が通知された場合、ECU160は互換性がないと判断する(ステップS12:NO)。本実施形態では、スタンド機種ID「S2」に関連付けられた制御ソフトウェア「S2制御プログラム」は現時点で版「V1」であり、車両機種ID「E1」に関連付けられた車両制御ソフトウェア「E1制御プログラム」は新版「V2」である。このため、第2対応表(
図6(b)参照)に基づけば、これら2つのソフトウェアには互換性がない。したがって、互換性「NO」が通知され、ECU160は互換性がないと判断する。
【0076】
互換性がない場合、ECU160は代替策があるか否かを判断する(ステップS13)。互換性がない場合、ECU160は後続の処理を制限(例えば中止や停止など)してもよい。例えば、ECU160は代替策として第2充電スタンド320の制御ソフトウェアを更新すれば車両制御ソフトウェアの新版と互換性を有するか否かを判断する。この場合、ECU160は代替策の有無を車両制御SW管理部217に確認し、車両制御SW管理部217が第2対応表に基づいて代替策の有無をECU160に通知する。代替策がない場合(ステップS13:NO)、ECU160は処理を終了する。
【0077】
一方、代替策がある場合(ステップS13:YES)、ECU160は第2充電スタンド320の制御ソフトウェアの新版の送信を車両制御SW管理部217に要求する(ステップS14)。車両制御SW管理部217はECU160から新版の送信が要求されると、制御ソフトウェアはスタンド管理サーバ220が管理するため、新版の送信をスタンド制御SW管理部227に要求する(ステップS15)。制御ソフトウェア管理表にスタンド機種ID「S2」と関連付けられた新版「V1」より新しい別の新版「V2」が管理されていれば、第2対応表に基づき、互換性を確保することができる。したがって、スタンド制御SW管理部227は第2充電スタンド320の制御ソフトウェアのこの新版を第2充電スタンド320の第2充電コントローラ329に送信する(ステップS16)。
【0078】
第2充電コントローラ329はスタンド制御SW管理部227から送信された制御ソフトウェアの新版を受信すると(ステップS17)、受信した制御ソフトウェアの新版に基づいて、制御ソフトウェアを更新する(ステップS18)。すなわち、スタンド制御SW管理部227によって第2充電スタンド320は強制的に更新される。これにより、第2充電スタンド320は電動車両100と互換性を有する最新の状態になる。
【0079】
一方、上述したステップS12の処理において、互換性「YES」が通知された場合、ECU160は互換性があると判断する(ステップS12:YES)。例えば、第2対応表(
図6(b)参照)において、車両機種ID「E1」の版「V2」とスタンド機種ID「S2」の版「V1」の組合せに対し、互換性「YES」が管理されていれば、互換性「YES」が通知される。このように、互換性がある場合や、ステップS14の処理が完了した場合には、ECU160は車両制御SW管理部217に車両制御ソフトウェアの新版を要求する(ステップS19)。すなわち、ECU160は車両制御ソフトウェアの新版の受信と受信した車両制御ソフトウェアに基づく更新を許可する。これにより、車両制御SW管理部217は車両制御ソフトウェアの新版をECU160に送信する(ステップS20)。本実施形態では、車両制御SW管理部217は車両制御ソフトウェア「E1制御プログラム」の新版「V2」を送信する。
【0080】
ECU160は車両制御SW管理部217から送信された車両制御ソフトウェアの新版を受信すると(ステップS21)、受信した車両制御ソフトウェアの新版に基づいて、車両制御ソフトウェアの旧版を新版に更新する(ステップS22)。すなわち、ECU160は更新を実行する。これにより、電動車両100は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320の双方と互換性を有する最新の状態になる。この結果、電力の供給を制御する制御ソフトウェアと電力の補給を制御する車両制御ソフトウェアの互換性の喪失を回避することができる。
【0081】
(第2実施形態)
続いて、
図12及び
図13を参照して、第2実施形態に係るエネルギー供給システムSTの動作について説明する。なお、
図12及び
図13では文字「P」や文字「Q」などで処理が連続することを示している。
【0082】
まず、
図12に示すように、スタンド管理サーバ220のスタンド制御SW管理部227は第2充電スタンド320の動作を制御する制御ソフトウェアの新版が入力されるまで待機する(ステップS31:NO)。制御ソフトウェアの新版が入力されると(ステップS31:YES)、スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェアの新版をスタンド制御SW記憶部225に格納する(ステップS32)。したがって、例えば第2充電スタンド320の制御ソフトウェア「S2制御プログラム」の新版「V2」が入力されると、スタンド制御SW記憶部225はこれを記憶する。
【0083】
一方、第2充電スタンド320の第2充電コントローラ329はステップS31,S32の処理と前後して、通信ネットワークNWを通じて、制御ソフトウェアの新版があるか否かを定期的にスタンド制御SW管理部227に確認する(ステップS33)。そして、第2充電コントローラ329は制御ソフトウェアの新版があることを確認するまで待機する(ステップS34:NO)。第2充電コントローラ329は制御ソフトウェアの新版があることを確認すると(ステップS34:YES)、互換性をスタンド制御SW管理部227に確認する(ステップS35)。より詳しくは、第2充電コントローラ329は車両制御ソフトウェアと第2充電スタンド320を制御する制御ソフトウェアとの互換性を確認する。第2充電コントローラ329は互換性を確認する際、第2充電コントローラ329に割り当てられたスタンド機種IDをスタンド制御SW管理部227に送信する。
【0084】
スタンド制御SW管理部227は、第2充電コントローラ329から互換性の確認を求められると、第2充電コントローラ329に互換性があるか否かを通知する(ステップS36)。より詳しくは、スタンド制御SW管理部227は互換性の確認を求められると、互換性記憶部216と同様に管理された互換性記憶部226の第1対応表(
図6(a)参照)にアクセスし、互換性を確認する際に送信されたスタンド機種IDに応じた車両機種IDの中から所定識別子が設定された車両機種IDを特定する。本実施形態では、スタンド機種ID「S2」が送信されるため、車両機種ID「E1」、「E2」、・・・の中から所定識別子「#」が設定された車両機種ID「E1」を特定する。スタンド制御SW管理部227は車両機種ID「E1」を特定すると、車両機種ID「E1」の電動車両100にインストールされた車両制御ソフトウェア及びその現在の版を車両制御SW管理部217に要求する。これにより、車両制御SW管理部217は車両制御ソフトウェア管理表(
図5参照)にアクセスし、車両機種IDに関連付けられた車両制御ソフトウェア及びその現在の版をスタンド制御SW管理部227に通知する。例えば、車両制御SW管理部217は車両機種ID「E1」に関連付けられた車両制御ソフトウェア「E1制御プログラム」及びその現在の版「V1」をスタンド制御SW管理部227に通知する。
【0085】
スタンド制御SW管理部227は、車両制御SW管理部217から車両制御ソフトウェア及びその現在の版が通知されると、スタンド機種IDと車両機種IDの組合せに応じた互換性記憶部226の第2対応表(
図6(b)参照)を特定する。スタンド制御SW管理部227は第2対応表を特定すると、特定した第2対応表と、第2充電コントローラ329がステップS33,S34の処理で確認して判断した制御ソフトウェアの更新予定の新版と、車両制御SW管理部217から通知された現在の版と、に基づいて、第2充電コントローラ329に互換性があるか否かを通知する。
【0086】
図13に移り、第2充電コントローラ329はスタンド制御SW管理部227からの通知に基づき互換性の有無を判断する(ステップS37)。例えば、互換性「NO」が通知された場合、第2充電コントローラ329は互換性がないと判断する(ステップS37:NO)。例えば、車両機種ID「E1」に関連付けられた車両制御ソフトウェア「E1制御プログラム」は現時点で版「V1」であり、スタンド機種ID「S2」に関連付けられた制御ソフトウェア「S2制御プログラム」は更新予定の版は版「V2」である。このため、第2対応表(
図6(b)参照)に基づけば、これら2つのソフトウェアには互換性がない。したがって、互換性「NO」が通知され、第2充電コントローラ329は互換性がないと判断する。
【0087】
互換性がない場合、第2充電コントローラ329は代替策があるか否かを判断する(ステップS38)。互換性がない場合、第2充電コントローラ329は後続の処理を制限(例えば中止や停止など)してもよい。例えば、第2充電コントローラ329は代替策として電動車両100の車両制御ソフトウェアを更新すれば、制御ソフトウェアの新版と互換性を有するか否かを判断する。この場合、第2充電コントローラ329は代替策の有無をスタンド制御SW管理部227に確認し、スタンド制御SW管理部227が第2対応表に基づいて代替策の有無を第2充電コントローラ329に通知する。代替策がない場合(ステップS38:NO)、第2充電コントローラ329は処理を終了する。
【0088】
一方、代替策がある場合(ステップS38:YES)、第2充電コントローラ329は電動車両100の車両制御ソフトウェアの新版の送信をスタンド制御SW管理部227に要求する(ステップS39)。スタンド制御SW管理部227は第2充電コントローラ329から新版の送信が要求されると、車両制御ソフトウェアは車両管理サーバ210が管理するため、新版の送信を車両制御SW管理部217に要求する(ステップS40)。車両制御ソフトウェア管理表に車両機種ID「E1」と関連付けられた新版「V1」より新しい別の新版「V2」が管理されていれば、第2対応表に基づき、互換性を確保することができる。したがって、車両制御SW管理部217は電動車両100の車両制御ソフトウェアのこの新版を電動車両100のECU160に送信する(ステップS41)。
【0089】
ECU160は車両制御SW管理部217から送信された車両制御ソフトウェアの新版を受信すると(ステップS42)、受信した車両制御ソフトウェアの新版に基づいて、車両制御ソフトウェアを更新する(ステップS43)。すなわち、車両制御SW管理部217によって電動車両100は強制的に更新される。
【0090】
一方、上述したステップS37の処理において、互換性「YES」が通知された場合、第2充電コントローラ329は互換性があると判断する(ステップS37:YES)。例えば、第2対応表(
図6(b)参照)において、スタンド機種ID「S2」のバージョン「V2」と車両機種ID「E1」のバージョン「V1」の組合せに対し、互換性「YES」が管理されていれば、互換性「YES」が通知される。このように、互換性がある場合や、ステップS39の処理が完了した場合には、第2充電コントローラ329はスタンド制御SW管理部227に制御ソフトウェアの新版を要求する(ステップS44)。すなわち、第2充電コントローラ329は制御ソフトウェアの新版の受信と受信した制御ソフトウェアに基づく更新を許可する。これにより、スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェアの新版を第2充電コントローラ329に送信する(ステップS45)。本実施形態では、スタンド制御SW管理部227は制御ソフトウェア「S2制御プログラム」の新版「V2」を送信する。
【0091】
第2充電コントローラ329はスタンド制御SW管理部227から送信された制御ソフトウェアの新版を受信すると(ステップS46)、受信した制御ソフトウェアの新版に基づいて、制御ソフトウェアの旧版を新版に更新する(ステップS47)。すなわち、第2充電コントローラ329は更新を実行する。これにより、第2充電スタンド320は電動車両100と互換性を有する最新の状態になる。この結果、電力の供給を制御する制御ソフトウェアと電力の補給を制御する車両制御ソフトウェアの互換性の喪失を回避することができる。
【0092】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0093】
例えば、上述した実施形態では、第1充電スタンド310を第1供給装置及び別のエネルギー供給装置の一例として説明し、第2充電スタンド320を第2供給装置及びエネルギー供給装置の一例として説明したが、電動車両100が燃料電池車である場合には、充電スタンド300に代えて、エネルギーとして水素を供給する水素ステーションを採用してもよい。このような実施形態であれば、水素の供給を制御する制御ソフトウェアと水素の補給を制御する車両制御ソフトウェアの互換性の喪失を回避することができる。
【0094】
また、上述した第1実施形態では、電動車両100が互換性を確認し、車両制御ソフトウェアの更新等を制限したり実行したりしたが、車両管理サーバ210が同様の処理を実行してもよい。さらに、上述した第1実施形態では、電動車両100は無線通信WLを介して車両制御プログラムを受信したが、例えば第2充電スタンド320から延びる充電ケーブルに含まれる第2通信線324など、有線通信を介して車両制御プログラムを受信してもよい。
【0095】
以上の実施形態に関し、以下の付記を開示する。
【0096】
(付記1)
エネルギーを補給する電動車両に複数の供給装置が独立的に前記エネルギーを供給するエネルギー供給方法であって、
前記電動車両の制御装置は、
前記複数の供給装置の中の少なくとも1つの第1供給装置の第1制御ソフトウェアと対応する前記電動車両の車両制御ソフトウェアが前記電動車両と通信可能なサーバに格納されている場合、前記電動車両が前記第1供給装置より高い頻度で利用する前記複数の供給装置の中の第2供給装置の第2制御ソフトウェアと前記車両制御ソフトウェアとの対応関係を確認し、
前記対応関係がない場合、前記サーバとの通信を介した前記車両制御ソフトウェアの受信、又は、前記車両制御ソフトウェアを受信した後の前記電動車両の前記車両制御ソフトウェアに基づく更新を制限する、
ことを特徴とするエネルギー供給方法。
【符号の説明】
【0097】
ST エネルギー供給システム
100 電動車両
160 ECU(制御装置)
210 車両管理サーバ
220 スタンド管理サーバ
300 充電スタンド(供給装置)
310 第1充電スタンド(第1供給装置、別のエネルギー供給装置)
320 第2充電スタンド(第2供給装置、エネルギー供給装置)
329 第2充電コントローラ(制御部)