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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】解析装置、解析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20231011BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B23/02 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021038048
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138264
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江間 伸明
(72)【発明者】
【氏名】神戸 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】石 建信
(72)【発明者】
【氏名】安念 正人
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169759(JP,A)
【文献】特開2001-306106(JP,A)
【文献】特開2021-022290(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/159883(JP,A1)
【文献】特開2020-035107(JP,A)
【文献】特表2015-530652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの稼働条件に応じた前記プラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶する変動モデル記憶部と、
解析対象プラントの構造モデルを示す構造情報を取得し、前記構造モデルに対応する前記変動モデルを抽出するモデル抽出部と、
前記解析対象プラントの構造モデルと、前記モデル抽出部が抽出した前記変動モデルとに基づいて、前記解析対象プラントを解析する解析部と
を備え
前記変動モデル記憶部は、複数の既存プラントの実動作結果から生成された前記変動モデルを記憶し、
前記解析部は、異なる既存プラントの前記変動モデルを組み合わせて、前記解析対象プラントを解析する、
解析装置。
【請求項2】
前記モデル抽出部は、前記解析対象プラントに含まれる機器ごとの前記変動モデルである部分変動モデルを組み合わせて、前記解析対象プラントの全体の前記変動モデルである全体変動モデルを構築し、
前記機器ごとの前記部分変動モデルは、それぞれ1つまたは複数の元の前記プラントに対応付けられ、
前記モデル抽出部は、前記全体変動モデルにおいて元の前記プラントにおける前記部分変動モデルの数が最多となるように、前記機器ごとの前記部分変動モデルを抽出する、
請求項1に記載の解析装置。
【請求項3】
前記モデル抽出部は、前記解析対象プラントに含まれる機器ごとの前記変動モデルである部分変動モデルを組み合わせて、前記解析対象プラントの全体の前記変動モデルである全体変動モデルを構築し、
一の種類の前記機器が一の部分変動モデルおよび一の元の前記プラントに対応付けられ、前記一の種類の前記機器が他の部分変動モデルおよび他の元の前記プラントに対応付けられ、他の種類の前記機器がさらに他の部分変動モデルおよび他の元の前記プラントに対応付けられている場合、前記モデル抽出部は、前記一の種類の前記機器に対して前記他の部分変動モデルを抽出する、
請求項1に記載の解析装置。
【請求項4】
前記変動モデル記憶部は、前記プラントの機器の特性の経時的な変動から生成した前記変動モデルを記憶する
請求項1から3のいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項5】
プラントの前記構造モデルを複数記憶する構造モデル記憶部を更に備え、
前記解析部は、前記構造情報に応じて前記構造モデル記憶部から選択された前記構造モデルを用いて、前記解析対象プラントを解析する
請求項1から4のいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項6】
前記変動モデル記憶部は、前記プラントの1つまたは複数の機器を含むブロック単位で前記変動モデルを記憶し、
前記モデル抽出部は、前記解析対象プラントの前記構造モデルに含まれる対象ブロックに対応する前記変動モデルを、前記変動モデル記憶部から抽出する
請求項1から5のいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項7】
前記変動モデル記憶部は、前記変動モデルと、前記ブロックの構造とを対応付けて記憶し、
前記モデル抽出部は、前記対象ブロックの構造と、前記変動モデルに対応する前記ブロックの構造の類似度に基づいて、前記対象ブロックに対応する前記変動モデルを抽出する
請求項に記載の解析装置。
【請求項8】
前記解析部は、前記解析対象プラントに対して異なる解析を行う複数の解析モジュールを有し、前記変動モデルに応じた解析モジュールを選択して、前記解析対象プラントを解析する
請求項からのいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項9】
既存プラントの構造モデルおよび各機器の動作情報を収集し、前記変動モデルを生成するモデル生成部を更に備える
請求項1からのいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項10】
前記動作情報には、各機器の特性の経時的な変動を示すデータが含まれる、請求項9に記載の解析装置。
【請求項11】
変動モデル記憶部が、プラントの稼働条件に応じた前記プラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶する変動モデル記憶ステップと
モデル抽出部が、解析対象プラントの構造モデルを示す構造情報を取得し、前記構造モデルに対応する前記変動モデルを抽出する構造モデル取得ステップと
解析部が、前記解析対象プラントの構造モデルと、前記変動モデルとに基づいて、前記解析対象プラントを解析する動作解析ステップと、
を備え、
変動モデル記憶ステップは、前記変動モデル記憶部が、複数の既存プラントの実動作結果から生成された前記変動モデルを記憶するステップであり、
前記動作解析ステップは、前記解析部が、異なる既存プラントの前記変動モデルを組み合わせて、前記解析対象プラントを解析するステップである、
解析方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項11に記載の解析方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解析装置、解析方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントの挙動を解析するシミュレータ等のソフトウェアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2019-121112号公報
特許文献2 特開2009-163507号公報
特許文献3 特開2013-109711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プラントに含まれる機器の特性は、経時的な劣化等により変動しうる。このため、機器の初期特性を用いた解析では、プラントの挙動を精度よく解析できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、解析装置を提供する。解析装置は、プラントの稼働条件に応じたプラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶する変動モデル記憶部を備えてよい。解析装置は、解析対象プラントの構造モデルを示す構造情報を取得し、構造モデルに対応する変動モデルを抽出するモデル抽出部を備えてよい。解析装置は、解析対象プラントの構造モデルと、モデル抽出部が抽出した変動モデルとに基づいて、解析対象プラントを解析する解析部を備えてよい。
【0005】
本発明の第2の態様においては、解析方法を提供する。解析方法においては、プラントの稼働条件に応じたプラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶してよい。解析方法においては、解析対象プラントの構造モデルを示す構造情報を取得し、構造モデルに対応する前記変動モデルを抽出してよい。解析方法においては、解析対象プラントの構造モデルと、変動モデルとに基づいて、解析対象プラントを解析してよい。
【0006】
本発明の第3の態様においては、コンピュータに、第2の態様に係る解析方法を実行させるためのプログラムを提供する。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プラントの動作を解析する解析装置100の構成例を示す。
図2】解析対象プラント110の構成例を示す。
図3】全体変動モデル120に含まれる情報の一例を示す図である。
図4】変動モデル記憶部20が記憶する情報の一例である。
図5】構造モデル記憶部30が記憶する情報の一例である。
図6】解析対象プラント110の他の構成例を示す。
図7】全体変動モデル120に含まれる情報の他の例を示す図である。
図8】変動モデル記憶部20が記憶する情報の他の例である。
図9】構造モデル記憶部30が記憶する情報の他の例である。
図10】解析装置100の他の構成例を示す。
図11】解析装置100の他の構成例を示す。
図12】解析対象プラントの解析方法の一例を示す図である。
図13】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されうるコンピュータ1200の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、プラントの動作を解析する解析装置100の構成例を示す。解析装置100は、既に存在するプラントの動作を解析してよく、将来建設するプラントの動作を解析してもよい。プラントは、例えば、水処理施設、生産施設、発電施設、および、貯蔵施設等の施設の少なくとも一部である。
【0011】
本例の解析装置100は、所定のデータ処理を行うコンピュータである。コンピュータは、当該コンピュータを解析装置100の各部として機能させるためのプログラムを実行してよい。本例の解析装置100は、解析対象プラントの構造を示す構造情報を取得する。構造情報は、プラントの配管計装図(P&ID)、または、機器および配管等の設備の配置を示すCADデータであってよい。本明細書では、特に明示的に区別していなければ、機器および配管等の設備を、単に機器と称する。解析装置100は、構造情報に対応する構造モデルおよび変動モデルに基づいて、プラントの動作を解析する。各モデルは、プラントの各機器の動作を模擬するためのデータ群またはプログラムであってよい。データ群またはプログラムは、方程式または行列式等の演算式を含んでよい。
【0012】
プラントの構造モデルとは、プラントの構造から定まるモデルであって、各機器の特性の変動を考慮しないモデルである。構造モデルにおいては、プラントにおいて機器の変更を行わない場合、各機器の特性は、例えばプラントの建設時の特性等の所定の特性値から変化しないものとして扱う。構造モデルは、機器の変更を行う場合には、当該機器変更に応じて変更される。構造モデルは、プラントの配管計装図(P&ID)、または、機器および配管等の設備の配置を示すCADデータから生成されてよい。構造モデルは、プラントの配管計装図(P&ID)またはCADデータ自体を含んでもよい。
【0013】
また、構造モデルは、プラントの動作を模擬するモデルのうち、各機器の特性変動の影響を受けない部分であってよい。例えば構造モデルは、各機器を動作させる順序を示した手順制御モデルを含んでよい。手順制御モデルは、各機器に対する制御情報を時系列に示す情報を含んでよく、各機器が示すべき内部温度、内部圧力等の状態を時系列に示す情報を含んでよい。例えば制御情報は、特定の機器が、最大スペックに対してどのような比率で動作するかを設定する制御値を含んでよい。構造モデルは、当該制御値の時系列のデータを含んでもよい。構造モデルは、プロセスフロー図(PFD:Process Flow Diagram)で示されるモデルを含んでもよい。プロセスフロー図に含まれる情報のうち、機器の特性変動の影響を受ける部分は、変動モデルとして用いてもよい。
【0014】
プラントの変動モデルとは、プラントの各機器の特性の変動を模擬したモデルである。変動モデルは、各機器の構造から推定したモデルであってよく、過去の実動作データから生成したモデルであってもよい。変動モデルは、既存のプラントの機器の特性の経時的な変動から生成されたモデルであってよい。変動モデルは、プラントの各機器に対する負荷に応じて、各機器の特性の変動を模擬してよい。機器に対する負荷とは、機器を制御する制御情報、機器の周囲温度、機器の内部温度、機器を通過する流体の流量、稼働時間、稼働率(つまり、稼働時間と停止時間の比率)等、機器の特性に可逆的または不可逆的な劣化を与えうる各指標を含む。可逆的な劣化とは、例えば汚れまたは異物の堆積等のように、洗浄工程等によって回復可能な劣化である。変動モデルは、所定の制御情報に基づいて機器を制御した場合に、期待される機器の特性に対する、実際の機器の特性の変動を示すモデルであってよい。変動モデルは、機器または配管等の設備における劣化、汚れ、堆積物等による影響を模擬したモデルであってよい。
【0015】
なお本明細書において、プラント全体の構造モデルを全体構造モデル、プラントの一部分の構造モデルを部分構造モデルと称する場合がある。同様に、プラント全体の変動モデルを全体変動モデル、プラントの一部分の変動モデルを部分変動モデルと称する場合がある。
【0016】
解析装置100は、解析対象プラントに含まれる機器に対応する部分構造モデルおよび部分変動モデルを組み合わせて、全体構造モデルおよび全体変動モデルを構築してよい。解析装置100は、全体または部分の構造モデルおよび変動モデルに基づいて、将来のある時刻における、プラントの全体または一部の動作を解析する。解析装置100は、構造モデルに基づいて各機器の接続関係、特性の初期値等を解析し、変動モデルに基づいて、各機器の将来の特性値を解析することで、プラントの動作を解析してよい。本例の解析装置100は、モデル抽出部10、解析部40および変動モデル記憶部20を備える。解析装置100は、構造モデル記憶部30を更に備えてよい。
【0017】
変動モデル記憶部20は、プラントの稼働条件に応じた当該プラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶する。変動モデル記憶部20は、全体変動モデルを記憶してよく、部分変動モデルを記憶してもよい。
【0018】
プラントの稼働条件とは、プラントに含まれる機器の特性に影響を与える条件である。上述したように、プラントの稼働条件とは、各機器に対する負荷を示す条件であってよい。一例としてプラントの稼働条件とは、各機器の特性の経時劣化に影響を与える条件である。プラントの稼働条件とは、プラントの将来の稼働計画から抽出される条件であってもよい。例えばプラントの稼働条件は、将来のある時点におけるプラントの稼働時間、プラントの稼働率(すなわち稼働時間と停止期間の比率)、プラントの生産品の累積生産量、プラントに投入される材料の累積投入量、プラントが消費する電力または水等の資源の累積消費量を含む。これらの指標により、プラントの各機器の劣化度合いが変化しうる。また、これらの指標により、プラントの各機器の汚れ度合いまたは異物の堆積度合いが変化し得る。変動モデル記憶部20は、各機器の劣化度合いに応じた変動モデルと、各機器における汚れまたは堆積物に応じた変動モデルとを別の種類のモデルとして記憶してよい。解析部40は、一つの機器に対して、複数種類の変動モデルを組み合わせたモデルを生成してよい。
【0019】
また稼働条件は、各機器の将来の制御情報を含んでよい。制御情報とは、機器の動作を制御するために各機器に入力する制御データを含んでよい。例えば制御データは、バルブの開度等を制御するデータである。制御情報から、将来における機器に対する負荷を解析でき、機器の特性変動を推定できる。
【0020】
稼働条件は、プラントまたは機器の周囲環境を示す条件を含んでよい。周囲環境は、例えば気温、湿度、雨量等の天候データであってよい。寒冷地と温暖地のように、周囲環境によっては、各機器を同様に制御した場合であっても、各機器の劣化度合いが変化しうる。
【0021】
稼働条件は、プラントの各機器を操作するオペレータに関する指標を含んでもよい。稼働条件は、オペレータの熟練度を示す指標を含んでよい。プラントの生産量等の運転計画が同様であっても、オペレータの習熟度によって各機器への負荷が変化して、各機器の劣化度合いが変化しうる。オペレータの習熟度は、オペレータが所定の操作を開始してから終了するまでに要する時間であってよい。
【0022】
稼働条件は、プラントの各機器をメンテナンスする周期、メンテナンスの内容に関する指標を含んでもよい。各機器のメンテナンス周期またはメンテナンスの内容により、各機器の稼働時間が同様であっても、各機器の劣化度合いが変化しうる。
【0023】
変動モデル記憶部20は、既存のプラントの実動作結果から生成された変動モデルを記憶してよい。変動モデルは、上述した各稼働条件の既存プラントにおける実績値と、既存プラントの各機器の劣化度合いとの関係から生成されてよい。各機器の劣化度合いは、例えば機器に対して流量等の指標を目標値に制御すべく制御した場合の、実際の実績値と目標値との乖離であってよい。
【0024】
モデル抽出部10は、解析対象プラントの構造を示す構造情報を取得する。構造情報は、構造モデルを示す情報を含んでよい。モデル抽出部10は、構造情報に対応する変動モデルを変動モデル記憶部20から抽出する。これによりモデル抽出部10は、構造モデルに対応する変動モデルを抽出する。本例のモデル抽出部10は、構造情報に基づいて、解析対象プラントに含まれる機器またはブロック毎に、対応する部分変動モデルを抽出する。構造情報は、構造モデル自体を含んでよく、構造モデル記憶部30が記憶したいずれか1つまたは複数の構造モデルを指定する情報を含んでもよい。
【0025】
構造モデル記憶部30は、複数の構造モデルを記憶する。構造モデル記憶部30は、全体構造モデルを記憶してよく、部分構造モデルを記憶してもよい。構造モデル記憶部30は、既存のプラントを解析するときに用いた構造モデルをデータベース化して記憶してよい。
【0026】
本例のモデル抽出部10は、構造モデルに含まれる機器またはブロックに対応する部分変動モデルを、変動モデル記憶部20から抽出する。モデル抽出部10は、それぞれの機器またはブロックに対応する部分変動モデルを、全体構造モデルに基づいて組み合わせることで、全体変動モデルを生成する。
【0027】
解析部40は、解析対象プラントの構造モデルと、モデル抽出部10が抽出した変動モデルとに基づいて、解析対象プラントを解析する。解析部40には、解析対象プラントの稼働条件を示す条件情報が入力される。解析部40は、将来における解析対象プラントの動作を示す解析結果を出力してよい。例えば解析部40は、解析対象プラントの生産量、原料および資源の消費量、各ノードにおける温度、流量等のパラメータを解析する。解析部40は、構造モデルと変動モデルとを組み合わせることで、解析対象プラントの動作を模擬するシミュレーション用のモジュールを出力してもよい。当該モジュールは、解析対象プラントの条件情報が入力されると、条件情報に応じた動作結果を出力してよい。本例によれば、変動モデルを考慮して解析対象プラントの動作を精度よく解析できる。
【0028】
図2は、解析対象プラント110の構成例を示す。図2の例では、解析対象プラントは、入力部702、出力部704、バルブ706、第1熱交換器712、第2熱交換器714、反応器720、タンク730、コンプレッサ740、バルブ708、第1ポンプ752、第2ポンプ754、バルブ760、および、これらの機器を接続する配管を備える。構造モデル記憶部30は、これらの機器および配管に対応する部分構造モデルを記憶してよい。全体構造モデル110は、プラントの配管計装図(P&ID)のように、機器および配管等の設備の配置および接続関係の情報を含む。また、図2に示す構造は、解析対象プラントの一部分であってよい。入力部702および出力部704は、当該部分と、上流および下流の部分との接続部分を示している。
【0029】
構造モデルは、これらの機器および配管の特性を示す特性情報を含んでよい。上述したように、構造モデルに含まれる特性情報は、経時的に変化しない値であってよい。一例として構造モデルに含まれる特性情報は、各機器および配管の特性の初期値である。
【0030】
図3は、全体変動モデル120に含まれる情報の一例を示す図である。本例のモデル抽出部10は、解析対象プラント110に含まれる機器および配管毎に、対応する変動モデルを変動モデル記憶部20から抽出する。モデル抽出部10は、解析対象プラント110に含まれる機器および配管の名称、種類、機能、性能、オントロジー等の属性情報を、構造情報から取得してよい。モデル抽出部10は、これらの属性情報に基づいて、変動モデル記憶部20から変動モデルを抽出する。変動モデル記憶部20は、それぞれの変動モデルの属性情報を記憶することが好ましい。
【0031】
図3の例では、入力部702、出力部704、バルブ706、第1熱交換器712、第2熱交換器714、反応器720、タンク730、コンプレッサ740、バルブ708、第1ポンプ752、第2ポンプ754、バルブ760に対応する変動モデルとして、部分変動モデル802、804、806、812、814、820、830、840、808、852、854、860を抽出している。配管に対する変動モデルについては、図3では符号を省略している。モデル抽出部10は、機器および配管毎に抽出したそれぞれの部分変動モデルを組み合わせて、全体変動モデル120を構築する。
【0032】
なおオントロジーは、知識を概念と概念間の関係のセットとみなした形式的な表現と説明されることがある。例えば、単語を、複数の概念および概念間の関係として定義することにより、当該単語を、他の単語と識別すること、同音異義の単語と区別すること、異なる表記の単語でも同義であること等を、判別することができ、当該単語を知識として有効に扱うことができ得る。一例として、「パイプ」という単語は、「筒」「管状」「ガス」等の概念と関連付けられることにより、液体および気体等を通すための管の意味であることが分かり、タバコを吸うための道具、管楽器、およびプログラムにおいてデータの値等を受け渡す機能を示す「パイプ」ではないことが判別できる。変動モデル記憶部20は、それぞれの部分変動モデルに対応する機器等をオントロジーで表現した単語を記憶してよい。
【0033】
例えば、ある部分変動モデルに「流量」等の単語が関連付けられており、ある機器に「ポンプ」等の単語が関連付けられている場合、モデル抽出部10は、これらの単語の関係性から、当該部分変動モデルが当該機器に対応していることを判別できる。このように、オントロジーを用いることで、属性情報が一致していない場合であっても、各機器に対応する部分変動モデルを抽出できる。
【0034】
図4は、変動モデル記憶部20が記憶する情報の一例である。変動モデル記憶部20は、複数の部分変動モデル(変動モデルA、B、・・・)を記憶する。また、変動モデル記憶部20は、それぞれの部分変動モデルに対して、1つ以上の属性情報を記憶する。図4の例では、属性情報は機器名、機器種類、元プラント、オントロジー表現、稼働条件の少なくとも一つを含む。機器名および機器種類は、予め定められた機器名リスト、または、機器種類リストから選択されてよい。なお元プラントとは、それぞれの変動モデルの形成に用いた実測データを測定した、既存プラントを識別する情報である。また、オントロジー表現は、各変動モデルに含まれる機器を示すオントロジーであってよく、変動モデルを示すオントロジーであってよく、元プラントを示すオントロジーであってもよい。変動モデルを示すオントロジーとは、例えば「堆積物による流量の変化」のように、変動モデルが模擬する変動の要因および変動するパラメータを含んでよい。上述したように、プラントの稼働条件に応じて各機器の特性の変動の態様は変化し得る。変動モデル記憶部20は、プラントの稼働条件毎に変動モデルを記憶してよい。ただし属性情報は、これらに限定されない。属性情報は、部分変動モデルと、各機器または部分構造モデルを対応付けられる情報であれてよい。また図4の例では、変動モデル記憶部20は、それぞれの変動モデルに対して同一種類の属性情報を記憶しているが、他の例では、変動モデル記憶部20は、変動モデルごとに異なる種類の属性情報を記憶してもよい。
【0035】
モデル抽出部10は、構造モデルに含まれる各機器の属性情報に基づいて、変動モデルを抽出する。モデル抽出部10は、機器の属性情報との類似度が最も高い属性情報を有する部分変動モデルを抽出してよい。モデル抽出部10は、予め定められたアルゴリズムで、属性情報間の類似度を算出してよい。
【0036】
またモデル抽出部10は、一つの解析対象プラントに対しては、同一の元プラントの部分変動モデルを優先して選択してよい。各機器の部分変動モデルとして複数の候補が存在する場合、モデル抽出部10は、全体変動モデルにおいて、元プラントが同一の部分変動モデルの数が最多となるように、それぞれの機器に対する部分変動モデルを抽出してよい。モデル抽出部10は、互いに接続される複数の機器に対しては、同一の元プラントの変動モデルを優先して抽出してよい。例えば種類Dと種類Eの機器が接続されている場合を考える。図4の例では、種類Dの機器に対しては、モデルDおよびモデルEが変動モデルの候補となる。一方で、種類Eの機器に対しては、モデルFが変動モデルの候補となる。この場合、モデル抽出部10は、種類Dの機器に対しては、モデルFと元プラントが同一のモデルEを選択してよい。
【0037】
変動モデル記憶部20が、複数の既存プラントの動作に基づいて生成された複数の変動モデルを記憶するので、多様な変動モデルをデータベース化できる。解析部40は、異なる既存プラントの動作結果から生成した変動モデルを組み合わせて、解析対象プラントを解析できる。このため、解析対象プラントの構造に適した部分変動モデルを適宜組み合わせて、プラント全体の全体変動モデルを構築できる。このため、多様なプラントに対して、変動モデルを考慮した解析が容易になる。
【0038】
図5は、構造モデル記憶部30が記憶する情報の一例である。構造モデル記憶部30は、複数の部分構造モデル(構造モデルA、B、・・・)を記憶する。また、構造モデル記憶部30は、それぞれの部分構造モデルに対して、1つ以上の属性情報を記憶する。図5の例では、属性情報は機器名、機器種類、元プラント、オントロジー表現の少なくとも一つを含む。また図5の例では、構造モデル記憶部30は、それぞれの部分構造モデルに対して同一種類の属性情報を記憶しているが、他の例では、構造モデル記憶部30は、部分構造モデルごとに異なる種類の属性情報を記憶してもよい。また、構造モデル記憶部30は、それぞれの部分構造モデルに対するオントロジー表現を記憶していてもよい。
【0039】
構造情報が構造モデル自体を含んでいない場合、モデル抽出部10は、構造情報に基づいて、構造モデル記憶部30から構造モデルを抽出してよい。構造情報は、構造モデル記憶部30が記憶した構造モデルを指定する情報を含んでよい。モデル抽出部10は、変動モデルと同様に、構造情報に含まれる属性情報に基づいて、対応する構造モデルを抽出してもよい。それぞれの構造モデルは、各機器のメーカー、プラントの設計者等により予め生成されたモデルであってよい。それぞれの構造モデルは、既存のプラントの設計時等に生成されたモデルであってもよい。構造情報が構造モデル自体を含んでいる場合、構造モデル記憶部30は、当該構造モデルを新たに登録してもよい。この場合、構造情報に含まれている属性情報を、構造モデルと対応付けて記憶することが好ましい。モデル抽出部10は、それぞれの構造モデルに対応するオントロジー表現に基づいて、構造モデルを抽出してよい。この場合、構造情報には、構造モデルのオントロジー表現が含まれていてよい。モデル抽出部10は、構造情報のオントロジー情報等に基づいて複数の部分構造モデルを抽出して、複数の部分構造モデルを組み合わせることで、解析対象プラントの全体構造モデルを生成してもよい。
【0040】
モデル抽出部10は、抽出した部分構造モデルを組み合わせることで、全体構造モデルを構築してよい。モデル抽出部10が抽出する部分変動モデルと、部分構造モデルとは、一対一に対応していてよく、対応していなくともよい。モデル抽出部10は、構造情報に基づいて、構造モデルおよび変動モデルをそれぞれ独立に抽出してよい。他の例では、モデル抽出部10は、解析対象プラントの全体構造モデルを構築した後に、全体構造モデルに含まれる機器等に対応する部分変動モデルを抽出してもよい。この場合、モデル抽出部10は、部分構造モデルの属性情報に基づいて、対応する部分変動モデルを抽出してよい。
【0041】
図6は、解析対象プラント110の他の構成例を示す。本例においては、解析対象プラント110が1つ以上のブロック(ブロック770およびブロック772)を有する点で図2の例と相違する。他の点は、図2の例と同様である。
【0042】
それぞれのブロックは、複数の機器を含んでいる。ブロックは、解析装置100の利用者、プラントの設計者、またはモデル抽出部10等により定められた概念的な範囲であり、物理的な筐体等を示すものではない。ブロックは、所定の機能を達成するのに協働する複数の機器を含んでよい。それぞれのブロックには、包含する機器、ブロックの機能、または、オントロジーによる表現を含む属性情報が割り当てられてよい。
【0043】
モデル抽出部10は、ブロック770およびブロック772に対応する構造モデルを取得してよい。構造モデル記憶部30は、ブロック単位の部分構造モデルを記憶してよい。
【0044】
図7は、全体変動モデル120に含まれる情報の他の例を示す図である。本例の全体変動モデル120は、ブロック単位の部分変動モデル870、872を有する点で、図3の例と相違する。他の点は、図3の例と同様である。部分変動モデル870は、ブロック770に対応する変動モデルであり、部分変動モデル872は、ブロック772に対応する変動モデルである。つまり、部分変動モデル870、872は、1つまたは複数の機器を含むブロック単位の変動モデルである。変動モデル記憶部20は、ブロック単位の変動モデルを記憶してよい。同様に、構造モデル記憶部30は、ブロック単位の構造モデルを記憶してよい。
【0045】
モデル抽出部10は、解析対象プラント110の構造モデルに含まれる対象ブロック(例えばブロック770およびブロック772)に対応する変動モデルを、変動モデル記憶部20から抽出してよい。ブロック単位で変動モデルを抽出することで、より適切な変動モデルを抽出できる。
【0046】
図8は、変動モデル記憶部20が記憶する情報の他の例である。本例の変動モデル記憶部20は、ブロック単位の変動モデルを記憶する。変動モデル記憶部20は、図4の例と同様に、機器毎の変動モデルも記憶していてよい。
【0047】
変動モデル記憶部20は、ブロック単位の変動モデルの属性情報として、図4の例における属性情報に加えて、ブロックの構造およびブロックの機能を記憶してよい。ブロックの構造とは、当該ブロックに含まれる機器の構成、機器間の接続関係等を含んでよい。ブロックの機能とは、例えば攪拌、加熱、貯留等の、プラント内を流れる被処理物に対する処理内容の種類であってよい。また、変動モデル記憶部20は、同一構造のブロックに対して、稼働条件毎に変動モデルを記憶してよい。図8の例では、変動モデル記憶部20は、同一構造(機器A、B、・・)のブロックに対して、稼働条件A、B、Cに対応する変動モデルA、B、Cを記憶している。例えばブロック772において、バルブ708およびバルブ760の開度のバランスの違いによって、ポンプ752およびポンプ754の劣化の度合いが変化し得る。変動モデル記憶部20は、ブロックの各機器の稼働条件に対応する変動モデルを記憶してよい。
【0048】
モデル抽出部10は、対象ブロック(例えばブロック770およびブロック772)の構造と、それぞれの変動モデルの構造の類似度に基づいて、対象ブロックに対応する変動モデルを抽出する。構造の類似度は、構成機器の一致度に基づいて算出してよい。各機器には、予め定められた係数が設定されてよい。当該係数がより高い機器の名称または種類が一致している場合に、構造の類似度がより高くなるようなアルゴリズムが、モデル抽出部10に設定されてよい。また構造の類似度は、構成機器間の接続関係の一致度に基づいて算出してもよい。各機器には、予め定められた係数が設定されてよい。当該係数がより高い機器間の接続関係が一致している場合に、構造の類似度がより高くなるようなアルゴリズムが、モデル抽出部10に設定されてよい。これにより、対象ブロックと重要な機器が一致している変動モデルを抽出しやすくなる。また、モデル抽出部10は、対象ブロックのオントロジー表現と、変動モデルのオントロジー表現との類似度に基づいて、変動モデルを抽出してもよい。
【0049】
図9は、構造モデル記憶部30が記憶する情報の他の例である。本例の構造モデル記憶部30は、ブロック単位の構造モデルを記憶する。構造モデル記憶部30は、図5の例と同様に、機器毎の構造モデルも記憶していてよい。
【0050】
構造モデル記憶部30は、ブロック単位の変動モデルの属性情報として、図5の例における属性情報に加えて、図8において説明したブロックの構造およびブロックの機能を記憶してよい。モデル抽出部10は、対象ブロック(例えばブロック770およびブロック772)の構造と、それぞれの構造モデルの構造の類似度に基づいて、対象ブロックに対応する構造モデルを抽出する。構造の類似度の算出方法は、図8の例と同様である。また、モデル抽出部10は、対象ブロックのオントロジー表現と、構造モデルのオントロジー表現との類似度に基づいて、構造モデルを抽出してもよい。
【0051】
図10は、解析装置100の他の構成例を示す。本例の解析装置100は、図1から図9において説明した解析装置100の構成に加え、モデル生成部50を更に備える。他の構成は、図1から図9において説明した解析装置100と同様である。
【0052】
モデル生成部50は、既存プラントの各機器の動作情報に基づいて、変動モデルを生成する。動作情報は、各機器の実動作結果を測定して得られた情報であってよい。モデル生成部50は、既存プラントの構造モデルが、動作情報と対応付けて与えられてよい。
【0053】
モデル生成部50は、複数の既存プラントの動作情報を収集して複数の変動モデルを生成してよい。動作情報には、各機器の特性の経時的な変動を示すデータが含まれてよい。例えば動作情報には、各機器の制御データと動作結果の履歴が含まれる。動作情報には、既存プラントの種類、気温、湿度等のように、変動モデルの属性情報を生成するための情報が含まれてよい。また、モデル生成部50は、複数の既存プラントの動作情報と構造モデルから、変動モデルの属性情報を生成してよい。モデル生成部50は、生成した変動モデルと、入力された構造モデルとを対応付けて、変動モデル記憶部20および構造モデル記憶部30に記憶させてよい。
【0054】
また、既存プラントにおいて機器等を交換している場合、モデル生成部50は、当該機器の交換前後で異なる変動モデルを生成してよい。つまり、機器等を交換した場合、機器交換前の既存プラントの動作情報から変動モデルを生成し、機器交換後の既存プラントの動作情報からも変動モデルを生成する。
【0055】
図11は、解析装置100の他の構成例を示す。本例では、解析部40が複数の解析モジュール42を有する。他の構造は、図1から図10において説明した解析装置100と同様である。
【0056】
それぞれの解析モジュール42は、解析対象プラントに対して異なる解析を行う。それぞれの解析モジュール42は、変動モデルおよび構造モデルと、入力される条件情報とを用いて解析対象プラントの動作をシミュレートするシミュレータであってよい。異なる解析とは、解析処理の少なくとも一部が異なることを指す。それぞれの解析モジュール42に対する入力パラメータおよび出力パラメータは同一であってよく、異なっていてもよい。
【0057】
解析部40は、変動モデルの種類に応じて解析モジュール42を選択して、解析対象プラントを解析する。変動モデルの種類とは、経時的に変化するパラメータの種類であってよい。例えば、配管に異物が徐々に詰まることで配管流量が徐々に減少することを模擬した変動モデルと、ポンプに異物が徐々に蓄積することでポンプ流量が徐々に減少することを模擬した変動モデルとでは、異なる解析モジュール42を用いた解析を行ってよい。それぞれの解析モジュール42は、特定の種類の変動モデルに最適化された処理を行ってよい。これにより、解析の精度および速度を向上させることができる。
【0058】
図12は、解析対象プラントの解析方法の一例を示す図である。解析方法における各処理は、図1から図11において説明した解析装置100の動作と同様である。
【0059】
まず、変動モデル記憶部20に、プラントの稼働条件に応じたプラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶する(段落S1101)。これにより、変動モデルのデータベースを予め構築する。
【0060】
次に、モデル抽出部10が解析対象プラントの構造モデルを取得する(S1102)。モデル抽出部10は、構造モデルを含む構造情報を取得してよく、構造情報に基づいて、構造モデル記憶部30から構造モデルを抽出してもよい。
【0061】
また、モデル抽出部10は、変動モデル記憶部20から変動モデルを抽出する(S1103)。モデル抽出部10は、構造モデルと対応する変動モデルを抽出する。次に解析部40は、構造モデルと変動モデルとに基づいて、解析対象プラントを解析する(S1104)。解析方法においては、図12に示す処理の他、図1から図11において説明した処理を行ってよい。
【0062】
図13は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されうるコンピュータ1200の構成例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。また、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階は、クラウド上で実行されてもよい。
【0063】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェイス1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0064】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0065】
通信インターフェイス1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0066】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0067】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0068】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0069】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0070】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0071】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0073】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
[項目1]
プラントの稼働条件に応じた前記プラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶する変動モデル記憶部と、
解析対象プラントの構造モデルを示す構造情報を取得し、前記構造モデルに対応する前記変動モデルを抽出するモデル抽出部と、
前記解析対象プラントの構造モデルと、前記モデル抽出部が抽出した前記変動モデルとに基づいて、前記解析対象プラントを解析する解析部と、
を備える解析装置。
[項目2]
前記変動モデル記憶部は、前記プラントの機器の特性の経時的な変動から生成した前記変動モデルを記憶する、項目1に記載の解析装置。
[項目3]
プラントの前記構造モデルを複数記憶する構造モデル記憶部を更に備え、
前記解析部は、前記構造情報に応じて前記構造モデル記憶部から選択された前記構造モデルを用いて、前記解析対象プラントを解析する、
項目1または2に記載の解析装置。
[項目4]
前記変動モデル記憶部は、前記プラントの1つまたは複数の機器を含むブロック単位で前記変動モデルを記憶し、
前記モデル抽出部は、前記解析対象プラントの前記構造モデルに含まれる対象ブロックに対応する前記変動モデルを、前記変動モデル記憶部から抽出する、
項目1または2に記載の解析装置。
[項目5]
前記変動モデル記憶部は、前記変動モデルと、前記ブロックの構造とを対応付けて記憶し、
前記モデル抽出部は、前記対象ブロックの構造と、前記変動モデルに対応する前記ブロックの構造の類似度に基づいて、前記対象ブロックに対応する前記変動モデルを抽出する、
項目4に記載の解析装置。
[項目6]
前記変動モデル記憶部は、複数の既存プラントの実動作結果から生成された前記変動モデルを記憶し、
前記解析部は、異なる既存プラントの前記変動モデルを組み合わせて、前記解析対象プラントを解析する、
項目5に記載の解析装置。
[項目7]
前記解析部は、前記解析対象プラントに対して異なる解析を行う複数の解析モジュールを有し、前記変動モデルに応じた解析モジュールを選択して、前記解析対象プラントを解析する、項目4から6のいずれか一項に記載の解析装置。
[項目8]
既存プラントの構造モデルおよび各機器の動作情報を収集し、前記変動モデルを生成するモデル生成部を更に備える、項目1から7のいずれか一項に記載の解析装置。
[項目9]
プラントの稼働条件に応じた前記プラントの特性の変動を示す複数の変動モデルを記憶し、
解析対象プラントの構造モデルを示す構造情報を取得し、前記構造モデルに対応する前記変動モデルを抽出し、
前記解析対象プラントの構造モデルと、前記変動モデルとに基づいて、前記解析対象プラントを解析する、
解析方法。
[項目10]
コンピュータに、項目9に記載の解析方法を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0074】
10 モデル抽出部、20 変動モデル記憶部、30 構造モデル記憶部、40 解析部、42 解析モジュール、50 モデル生成部、100 解析装置、702 入力部、704 出力部、706 バルブ、712 第1熱交換器、714 第2熱交換器、720 、反応器、730 タンク、740 コンプレッサ、708 バルブ、752 第1ポンプ、754 第2ポンプ、760 バルブ、770 ブロック、772 ブロック、802~860 部分変動モデル、870 部分変動モデル、872 部分変動モデル、1200 コンピュータ、1201 DVD-ROM、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インターフェイス、1224 ハードディスクドライブ、1226 DVD-ROMドライブ、1230 ROM、1240 入出力チップ、1242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13