(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】OTAマスタ、センタ、システム、更新方法、更新プログラム、及び車両
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20231011BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
(21)【出願番号】P 2021073967
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2022-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智康
(72)【発明者】
【氏名】谷森 俊介
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-27628(JP,A)
【文献】特開2001-60906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電子制御ユニットのソフトウェア更新を制御するOTAマスタであって、
1つの格納領域を有する第1種別の不揮発性メモリを搭載した
第1電子制御ユニットに向けた
第1更新データと、2つの格納領域を有する第2種別の不揮発性メモリを搭載した
第2電子制御ユニットに向けた
第2更新データとを、センタから受信する通信部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信部による前記第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後に前記第2電子制御ユニットに前記第2更新データを書き込み、第1タイミングにおいて前記第2更新データの有効化を行わせる制御と、
前記通信部による前記第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後であって前記第1タイミングとは異なる第2タイミングにおいて、前記第1電子制御ユニットへの前記第1更新データの書き込みと前記第1更新データの有効化とをひと続きに行わせる制御と、を行う、OTAマスタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部による前記第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後に前記第2電子制御ユニットに前記第2更新データを書き込んだ後、前記第2タイミングにおいて前記第1電子制御ユニットへの前記第1更新データの書き込みと前記第1更新データの有効化とをひと続きに行わせ、さらにその後の前記第1タイミングにおいて前記第2更新データの有効化を行わせる、請求項1に記載のOTAマスタ。
【請求項3】
車両に搭載された電子制御ユニットのソフトウェア更新を制御するOTAマスタであって、
1つの格納領域を有する第1種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットに向けた更新データと、2つの格納領域を有する第2種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットに向けた更新データとを、センタから受信する通信部と、
前記通信部による前記更新データの受信が完了した後に前記第2種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットに前記更新データを書き込み、第1タイミングで前記第1種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットに前記更新データを書き込む制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットに前記更新データの書き込みを行ってから前記第1種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットへの前記更新データの書き込み及び前記書き込んだ更新データの有効化を行い、その後に前記第2種別の不揮発性メモリを搭載した前記電子制御ユニットに書き込んだ前記更新データの有効化を行う
、OTAマスタ。
【請求項4】
前記通信部は、
ソフトウェアの更新対象となる電子制御ユニットが搭載した不揮発性メモリが前記第1種別か前記第2種別かを示す種別情報を前記センタから取得する、請求項1
乃至3のいずれか1項に記載のOTAマスタ。
【請求項5】
前記種別情報を記憶する記憶部をさらに備える、請求項
4に記載のOTAマスタ。
【請求項6】
前記
第1タイミングが前記センタから指示される、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のOTAマスタ。
【請求項7】
車両に搭載された電子制御ユニットのソフトウェア更新を制御するOTAマスタが実行する更新方法であって、
1つの格納領域を有する第1種別の不揮発性メモリを搭載した
第1電子制御ユニットに向けた
第1更新データと、2つの格納領域を有する第2種別の不揮発性メモリを搭載した
第2電子制御ユニットに向けた
第2更新データとを、センタから受信するステップと、
前記
第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後に、前記第
2電子制御ユニットに前記
第2更新データを書き込
み、第1タイミングにおいて前記第2更新データの有効化を行わせるステップと、
前記第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後であって前記第1タイミング
とは異なる第2タイミングにおいて、前記第
1電子制御ユニット
への前記
第1更新データ
の書き込
みと前記第1更新データの有効化とをひと続きに行わせるステップと、を含む、更新方法。
【請求項8】
車両に搭載された電子制御ユニットのソフトウェア更新を制御するOTAマスタのコンピューターが実行する更新プログラムであって、
1つの格納領域を有する第1種別の不揮発性メモリを搭載した
第1電子制御ユニットに向けた
第1更新データと、2つの格納領域を有する第2種別の不揮発性メモリを搭載した
第2電子制御ユニットに向けた
第2更新データとを、含む配信パッケージをセンタから受信するステップと、
前記
第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後に、前記第
2電子制御ユニットに前記
第2更新データを書き込
み、第1タイミングにおいて前記第2更新データの有効化を行わせるステップと、
前記第1更新データ及び前記第2更新データの受信が完了した後であって前記第1タイミング
とは異なる第2タイミングにおいて、前記第
1電子制御ユニット
への前記
第1更新データを
のき込
みと前記第1更新データの有効化とをひと続きに行わせるステップと、を含む、更新プログラム。
【請求項9】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のOTAマスタを搭載した、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子制御ユニットのソフトウェアの更新を制御するセンタ及びOTAマスタなどに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両の動作を制御するための複数の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)が搭載されている。電子制御ユニットは、プロセッサと、RAMのような一時的な記憶部と、フラッシュROMのような不揮発性の記憶部である不揮発性メモリとを備え、プロセッサが不揮発性メモリに記憶されるソフトウェアを実行することにより電子制御ユニットの制御機能を実現する。各電子制御ユニットが記憶するソフトウェアは書き換え可能であり、より新しいバージョンのソフトウェアに更新することにより、各電子制御ユニットの機能を改善したり、新たな車両制御機能を追加したりすることができる。
【0003】
電子制御ユニットのソフトウェアを更新する技術として、車載ネットワークに接続された車載通信機器とインターネットなどの通信ネットワークとを無線で接続し、車両のソフトウェアの更新処理を担う装置が、無線通信を介してサーバからソフトウェアをダウンロードし、ダウンロードしたソフトウェアを電子制御ユニットにインストールすることにより、電子制御ユニットのソフトウェア更新や追加を行うOTA(Over The Air)技術が知られている。例えば、特許文献1を参照。
【0004】
電子制御ユニットに搭載される不揮発性メモリの種別として、ソフトウェアなどのデータを格納するための1つの格納領域を有するメモリ(以下「シングルバンクメモリ」という)と、ソフトウェアなどのデータを格納するための2つの格納領域を有するメモリ(以下「デュアルバンクメモリ」という)とがあり、電子制御ユニットの仕様などに応じて使い分けられる場合がある。デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットは、2つの格納領域に新旧2つのバージョンのデータをそれぞれ格納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両に設けられた制御機能の中には、例えば自動運転のように、複数の電子制御ユニット(あるいはアクチュエータ)が協調的に動作することにより実現されるものがある。また、この協調的な動作が要求される複数の電子制御ユニットに、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとの両方が含まれる場合がある。この場合、自動運転機能を実行させるためには、自動運転を実現する複数の電子制御ユニットのソフトウェアの制御機能が互いに整合している必要がある。このため、例えば、協調的な動作が要求される複数の電子制御ユニットの一部においてソフトウェアの更新処理が遅れてしまうと、その間の自動運転機能が実行できないといった制限が生じてしまう。
【0007】
このような理由から、車両に対してソフトウェア更新を行うイベントであるキャンペーンにおいて、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとが更新対象となる電子制御ユニットとして混在するキャンペーンを車両に適用する場合には、更新対象となる電子制御ユニットのメモリ構造に応じてダウンロード、インストール、及びアクティベートなどを適切に実行しないと、複数の電子制御ユニットによる協調的な動作が要求される機能などが制限される時間が長くなるおそれがある。
【0008】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット及びデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットのそれぞれに適応したソフトウェア更新を実行することができる、センタ及びOTAマスタなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、車両に搭載された電子制御ユニットのソフトウェア更新を制御するOTAマスタであって、1つの格納領域を有する第1種別の不揮発性メモリを搭載した電子制御ユニットに向けた更新データと、2つの格納領域を有する第2種別の不揮発性メモリを搭載した電子制御ユニットに向けた更新データとを、センタから受信する通信部と、通信部による更新データの受信が完了した後に第2種別の不揮発性メモリを搭載した電子制御ユニットに更新データを書き込み、所定のタイミングで第1種別の不揮発性メモリを搭載した電子制御ユニットに更新データを書き込む制御部と、を備える、OTAマスタである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット及びデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットのそれぞれに適応したソフトウェア更新を実行することができるOTAマスタなどを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るネットワークシステムの全体構成を示すブロック図
【
図6A】電子制御ユニットの概略構成の一例を示すブロック図
【
図6B】電子制御ユニットの概略構成の一例を示すブロック図
【
図8】センタ及びOTAマスタが行うダウンロード処理手順のフローチャート
【
図9】OTAマスタ及びターゲット電子制御ユニットが行う具体例1によるインストール処理手順のフローチャート
【
図10】OTAマスタ及びターゲット電子制御ユニットが行う具体例2によるインストール処理手順のフローチャート
【
図11】OTAマスタ及びターゲット電子制御ユニットが行うアクティベート処理手順のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の電子制御ユニットのソフトウェアを更新するためのネットワークシステムでは、OTAマスタは、シングルバンクメモリ搭載の電子制御ユニット向け更新データと、デュアルバンクメモリ搭載の電子制御ユニット向け更新データとを、センタから受信する。そして、OTAマスタは、デュアルバンクメモリ搭載の電子制御ユニット向け更新データのインストールを更新データの受信後に行い、シングルバンクメモリ搭載のターゲット電子制御ユニット向け更新データのインストールを所定のタイミングで行う。これにより、デュアルバンクメモリ搭載の電子制御ユニットのインストールが失敗し、シングルバンクメモリ搭載のターゲット電子制御ユニットのインストールが成功するといったケースを回避でき、各メモリを搭載した電子制御ユニットのそれぞれに適応したソフトウェア更新を実行することができる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
<実施形態>
[システム構成]
図1は、本開示の一実施形態に係るネットワークシステムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すネットワークシステムは、車両に搭載された複数の電子制御ユニット(ECU)50a~50dのソフトウェアを更新するためのシステムであり、車両外にあるセンタ10と、車両内に構築される車載ネットワーク90と、を備える。
【0014】
(1)センタ
センタ10は、ネットワーク100を介して、車載ネットワーク90が備える後述のOTAマスタ30と通信可能であり、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データの送信や、ソフトウェア更新処理の進捗状況を示す通知の受信などを行って、OTAマスタ30に接続された複数の電子制御ユニット50a~50dのソフトウェア更新を制御及び管理することができる。このセンタ10は、いわゆるサーバとしての機能を有する。
【0015】
図2は、
図1におけるセンタ10の概略構成を示すブロック図である。
図2で示すように、センタ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶装置13と、通信装置14と、を備える。記憶装置13は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などの読み書き可能な記憶媒体を備えた装置であり、ソフトウェアの更新管理を実行するためのプログラム、ソフトウェアの更新制御及び更新管理に用いる情報、及び各電子制御ユニットのソフトウェアの更新データなどを記憶する。センタ10において、CPU11は、記憶装置13から読み出したプログラムを、RAM12を作業領域として用いて実行することにより、ソフトウェア更新に関する所定の処理を実行する。通信装置14は、ネットワーク100を介してOTAマスタ30と通信を行うための装置である。
【0016】
図3は、
図2に示したセンタ10の機能ブロック図である。
図3で示すセンタ10は、記憶部16と、通信部17と、制御部18と、を備える。記憶部16は、
図2に示した記憶装置13によって実現される。通信部17及び制御部18は、
図2に示したCPU11がRAM12を用いて記憶装置13に記憶されるプログラムを実行することによって実現される。
【0017】
記憶部16は、車両に搭載された1つ以上の電子制御ユニットのソフトウェア更新処理に関する情報を記憶する。ソフトウェア更新処理に関する情報として、記憶部16は、車両を識別する車両識別情報(車両ID)ごとに、電子制御ユニット50a~50dで利用可能なソフトウェアを示す情報を関連付けた更新管理情報と、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データとを、少なくとも記憶する。電子制御ユニット50a~50dで利用可能なソフトウェアを示す情報としては、例えば、複数の電子制御ユニット50a~50dの各ソフトウェアの最新のバージョン情報の組み合わせが定義される。また、ソフトウェア更新処理に関する情報として、記憶部16は、車両で実施されているソフトウェアの更新状態を示す更新ステータスを記憶することができる。
【0018】
通信部17は、OTAマスタ30との間で、データ、情報、及び要求などの送信及び受信を行う送信部及び受信部として機能する。通信部17は、OTAマスタ30からソフトウェアの更新確認要求を受信する(受信部)。更新確認要求は、例えば、車両において電源又はイグニッションがオンされた(以下「電源ON」という)ときに、OTAマスタ30からセンタ10へと送信される情報であって、後述する車両構成情報に基づいて電子制御ユニット50a~50dの更新データがあるか否かの確認をセンタ10に要求するための情報である。また、通信部17は、OTAマスタ30から受信した更新確認要求に応答して、更新データの有無を示す情報をOTAマスタ30に送信する(送信部)。また、通信部17は、OTAマスタ30からの配信パッケージの送信要求(ダウンロード要求)を受信する(受信部)。また、通信部17は、配信パッケージのダウンロード要求を受信すると、後述する制御部18で生成される電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データを含む配信パッケージを、OTAマスタ30に送信する。
【0019】
制御部18は、通信部17がOTAマスタ30から更新確認要求を受信すると、記憶部16に記憶されている更新管理情報に基づいて、更新確認要求に含まれる車両IDで特定される車両に搭載された電子制御ユニット50a~50dについてソフトウェアの更新データがあるか否かを判定する。制御部18による更新データがあるか否かの判定結果は、通信部17によってOTAマスタ30に送信される。制御部18は、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがあると判定した場合、OTAマスタ30から配信パッケージのダウンロード要求を受信すると、記憶部16に記憶されている該当の更新データを含む配信パッケージを生成する。この制御部18は、後述するシングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットに向けた更新データだけの配信パッケージと、後述するデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットに向けた更新データだけの配信パッケージとを、個別に生成してもよい。また、制御部18は、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットに向けた更新データと、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットに向けた更新データとを、含んだ配信パッケージを生成してもよい。
【0020】
(2)車載ネットワーク
車載ネットワーク90は、OTAマスタ30と、複数の電子制御ユニット50a~50dと、表示装置70と、通信モジュール80と、を備える。OTAマスタ30と通信モジュール80とは、バス60aを介して接続されている。OTAマスタ30と電子制御ユニット50a及び50bとは、バス60bを介して接続されている。OTAマスタ30と電子制御ユニット50c及び50dとは、バス60cを介して接続されている。OTAマスタ30と表示装置70とは、バス60dを介して接続されている。
【0021】
OTAマスタ30は、バス60a及び通信モジュール80を介してネットワーク100経由でセンタ10と無線による通信が可能である。また、OTAマスタ30は、バス60b~60dを介して電子制御ユニット50a~50d及び表示装置70と有線による通信が可能である。このOTAマスタ30は、OTA状態を管理し、ソフトウェア更新処理の流れである更新シーケンスを制御して更新対象となる電子制御ユニット(以下「ターゲット電子制御ユニット」という)のソフトウェア更新を実施する機能を有する装置である。OTAマスタ30は、センタ10から取得した更新データなどに基づいて、電子制御ユニット50a~50dのうちターゲット電子制御ユニットのソフトウェア更新を制御する。OTAマスタ30は、セントラルゲートウェイ(CGW)と称される場合もある。
【0022】
図4は、
図1におけるOTAマスタ30の概略構成を示すブロック図である。
図4で示すように、OTAマスタ30は、CPU31と、RAM32と、ROM(Read-Only Memory)33と、記憶装置34と、通信装置36と、を備える。CPU31、RAM32、ROM33、及び記憶装置34は、マイクロコンピューター35を構成する。OTAマスタ30において、CPU31は、ROM33から読み出したプログラムを、RAM32を作業領域として用いて実行することにより、ソフトウェア更新に関する所定の処理を実行する。通信装置36は、
図1に示したバス60a~60dを介して、通信モジュール80、電子制御ユニット50a~50d、及び表示装置70のそれぞれと通信を行うための装置である。
【0023】
図5は、
図4に示したOTAマスタ30の機能ブロック図である。
図5に示すOTAマスタ30は、記憶部37と、通信部38と、制御部39と、を備える。記憶部37は、
図4に示した記憶装置34によって実現される。通信部38及び制御部39は、
図4に示したCPU31がRAM32を用いてROM33に記憶されるプログラムを実行することによって実現される。
【0024】
記憶部37は、複数の電子制御ユニット50a~50dのソフトウェア更新を実行するためのプログラム(OTAマスタ30の制御用プログラム)や、ソフトウェア更新を実行する際に用いる各種データの他、センタ10からダウンロードしたソフトウェアの更新データなどを記憶する。また、記憶部37は、複数の電子制御ユニット50a~50dのそれぞれに搭載される不揮発性メモリの種別に関する情報(後述する)を記憶する。
【0025】
通信部38は、センタ10との間で、データ、情報、及び要求などの送信及び受信を行う送信部及び受信部として機能する。通信部38は、例えば、車両の電源ONを契機として、ソフトウェアの更新確認要求をセンタ10に送信する(送信部)。更新確認要求は、例えば、車両を識別するための車両IDと、車載ネットワーク90に接続される電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの現バージョンに関する情報とを含む。車両ID及び電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの現バージョンは、センタ10が車両IDごとに保持するソフトウェアの最新バージョンとの比較により、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがあるか否かを判定するために用いられる。また、通信部38は、更新確認要求に対する応答としてセンタ10から更新データの有無を示す通知を受信する(受信部)。電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがある場合、通信部38は、ソフトウェアの更新データなどを含む配信パッケージのダウンロード要求をセンタ10に送信し(送信部)、センタ10から送信される配信パッケージを受信(ダウンロード)する(受信部)。また、通信部38は、電子制御ユニット50a~50dが送信するソフトウェアの更新状態を、センタ10に送信する(送信部)。
【0026】
制御部39は、通信部38が受信した更新確認要求に対するセンタ10からの応答に基づいて、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがあるか否かを判定する。また、制御部39は、通信部38がセンタ10から受信(ダウンロード)して記憶部37に格納した配信パッケージの真正性を検証する。また、制御部39は、センタ10から受信(ダウンロード)した更新データを用い、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェア更新処理(各種の検証、インストール、アクティベートなど)を制御する。具体的には、制御部39は、配信パッケージでダウンロードした1つ以上の更新データをターゲット電子制御ユニットに転送し、ターゲット電子制御ユニットに更新データに基づく更新ソフトウェアをインストールさせる。インストールの完了後、制御部39は、ターゲット電子制御ユニットに対して、インストールした更新ソフトウェアを有効化させるアクティベートを指示する。
【0027】
複数の電子制御ユニット50a~50dは、車両の各部の動作を制御するための装置(ECU)である。
図1においては、車載ネットワーク90が4つの電子制御ユニット50a~50dを備えている例を示したが、電子制御ユニットの個数は特に限定されない。また、電子制御ユニット50a~50dをOTAマスタ30に接続するバスの本数も特に限定されない。電子制御ユニット50a~50dの概略構成の一例を、
図6A及び
図6Bに示す。
【0028】
図6Aに示す電子制御ユニット50aは、CPU51と、RAM52と、不揮発性メモリ53aと、通信装置54と、を備える。CPU51は、不揮発性メモリ53aから読み出したプログラムを、RAM52を作業領域として用いて実行することにより、電子制御ユニット50aの機能を実現する。不揮発性メモリ53aは、ソフトウェアなどのデータを格納するための1つの格納領域55を有するシングルバンクメモリである。本実施形態においては、シングルバンクメモリである不揮発性メモリ53aのメモリ種別を「第1種別」と記して他と区別することがある。格納領域55には、電子制御ユニット50aの機能を実現するためのソフトウェアの他に、バージョン情報やパラメータデータ、起動用のブートプログラム、ソフトウェア更新用のプログラムなどが格納される場合がある。通信装置54は、OTAマスタ30や車載ネットワーク90に接続される他の電子制御ユニット50b~50dとの通信を行うための装置である。
【0029】
図6Bに示す電子制御ユニット50bは、電子制御ユニット50aと同様に、CPU51と、RAM52と、不揮発性メモリ53bと、通信装置54と、を備える。ただし、電子制御ユニット50bに搭載される不揮発性メモリ53bは、ソフトウェアなどのデータを格納するための2つの格納領域56a及び56bを有するデュアルバンクメモリである。本実施形態においては、デュアルバンクメモリである不揮発性メモリ53bのメモリ種別を「第2種別」と記して他と区別することがある。格納領域56a及び56bには、電子制御ユニット50bの機能を実現するためのソフトウェアの他に、バージョン情報やパラメータデータ、起動用のブートプログラム、ソフトウェア更新用のプログラムなどが格納される場合がある。電子制御ユニット50bのCPU51は、不揮発性メモリ53bが有する2つの格納領域56a及び56bのうち、いずれか一方を読み出し対象の格納領域(運用面)とし、読み出し対象の格納領域に格納されるソフトウェアを実行する。読み出し対象でない他方の格納領域(非運用面)には、読み出し対象の格納領域(運用面)のプログラムを実行中に、バックグラウンドで更新データに基づく更新ソフトウェア(更新版のプログラム)のインストール(書き込み)が可能である。ソフトウェア更新処理におけるアクティベート(更新ソフトウェアの有効化)時には、電子制御ユニット50bのCPU51によってプログラムの読み出し対象の格納領域を切り替えることにより、更新ソフトウェアをアクティベートすることができる。
【0030】
具体例として、デュアルバンクメモリである不揮発性メモリ53bの格納領域56aに現行のソフトウェアが格納されており、格納領域56bに更新ソフトウェアがインストールされた場合を想定する。OTAマスタ30から更新ソフトウェアのアクティベートが指示されると、例えば電子制御ユニット50bは、CPU51の読み出し開始アドレスを、格納領域56aの先頭アドレスから格納領域56bの先頭アドレスに切り替えることにより、このCPU51の読み出し対象(運用面)の格納領域を切り替え、格納領域56bにインストールされた更新ソフトウェアを実行することができる。なお、本開示においては、1つの格納領域を擬似的に2面に区画して、一方の面に格納されたプログラムを実行中に他方の面にプログラムの書き込みを可能にした「1面サスペンドメモリ」と呼ばれる不揮発性メモリの構成も、第2種別のメモリに分類されるものとする。
【0031】
この電子制御ユニット50a~50dの中には、例えば自動運転のように、1つの機能を実現するために協調的な動作が要求される複数の電子制御ユニットが存在している。そして、その協調的な動作が要求される複数の電子制御ユニットに、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとの両方が含まれる場合がある。例えば、機能Aの実現のために協調的な動作が要求される複数の電子制御ユニットX及びYでは、ソフトウェア更新処理後において、電子制御ユニットXに書き込まれたソフトウェアxのバージョンと電子制御ユニットYに書き込まれたソフトウェアyのバージョンとが所定の組み合わせ(共に最新バージョンなど)でないと、機能Aが正常に発揮されない又は機能Aが実行できないなどの不具合が生じることがある。電子制御ユニットXに書き込まれたソフトウェアxのバージョンと電子制御ユニットYに書き込まれたソフトウェアyのバージョンとが所定の組み合わせでない場合には、ソフトウェア更新処理を実行し直すか又はソフトウェア更新処理前のバージョンまで各ソフトウェアx及びyを戻す(いわゆるロールバックする)などの対応がとられるが、この対応を行っている間は機能Aが制限されてしまう。そこで、後述する本実施形態のソフトウェア更新処理では、電子制御ユニットの不揮発性メモリの種別(第1種別(シングルバンク)/第2種別(デュアルバンク))に基づいて更新シーケンスを好適に制御し、協調的な動作が要求される機能が制限される時間の抑制を可能とする。
【0032】
図7に、複数の電子制御ユニット50a~50dのそれぞれに搭載される不揮発性メモリの種別に関する情報である種別情報の一例を示す。
図7に例示した種別情報では、電子制御ユニットを識別するための番号であるECU_IDと、その電子制御ユニットに搭載される不揮発性メモリの種別(第1種別(シングルバンク)/第2種別(デュアルバンク))とが、対応付けられている。この種別情報は、OTAマスタ30の記憶部37及びセンタ10の記憶部16の一方又は両方に記憶されて管理される。種別情報は、車載ネットワーク90を構成する電子制御ユニット50a~50dの仕様に基づいて予め作成され、車両の製造時などに記憶部37に格納されてもよいし、ソフトウェアの更新処理時にターゲット電子制御ユニットから車載ネットワーク90内の通信によって取得されてもよい。また、種別情報がセンタ10で管理されている場合には、OTAマスタ30がネットワーク100を介してセンタ10から種別情報を取得してもよい。
【0033】
表示装置70は、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新処理時に更新データがあることの表示、車両のユーザーや管理者にソフトウェア更新に対する承諾を求めるための承諾要求画面の表示、及びソフトウェア更新の結果の表示など、各種の表示を行うために用いられるヒューマンマシンインタフェース(HMI)である。表示装置70としては、典型的にはカーナビゲーションシステムの表示装置を用いることができるが、ソフトウェアの更新処理時に必要な情報を表示可能なものであれば特に限定されない。なお、
図1に示すバス60dには、表示装置70に加えて電子制御ユニットなどがさらに接続されていてもよい。
【0034】
通信モジュール80は、センタ10と車両との通信を制御する機能を持ったユニットであり、車載ネットワーク90をセンタ10に接続するための通信機器である。通信モジュール80は、ネットワーク100経由でセンタ10と無線で接続され、OTAマスタ30による車両の認証や更新データのダウンロードなどが行われる。この通信モジュール80は、OTAマスタ30に含まれて構成されてもよい。
【0035】
[ソフトウェア更新処理の概要]
OTAマスタ30は、例えば、車両の電源ONを契機として、ソフトウェアの更新確認要求をセンタ10に送信する。更新確認要求は、車両を識別するための車両IDと、車載ネットワーク90に接続される電子制御ユニット50a~50dのハードウェア及びソフトウェアの現バージョンなどの電子制御ユニットの状態(システム構成)に関する情報である車両構成情報と、を含む。車両構成情報は、車載ネットワーク90に接続される電子制御ユニット50a~50dから電子制御ユニットの識別番号(ECU_ID)と、電子制御ユニットのソフトウェアバージョンの識別番号(ECU_Software_ID)とを、取得することで作成可能である。車両ID及び電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの現バージョンは、センタ10が車両IDごとに保持するソフトウェアの最新バージョンとの比較により、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがあるか否かを判定するために用いられる。また、OTAマスタ30は、更新確認要求に対する応答としてセンタ10から更新データの有無を示す通知を受信する。電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがある場合、OTAマスタ30は、配信パッケージのダウンロード要求をセンタ10に送信し、センタ10から送信される配信パッケージを受信する。配信パッケージは、更新データの他に、更新データの真正性を検証するための検証用データや、更新データの数、種別情報、インストールの順序、アクティベートの順序、ソフトウェア更新時に用いる各種の制御情報などを含んでいてもよい。
【0036】
OTAマスタ30は、センタ10から受信した更新確認要求に対する応答に基づいて、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがあるか否かを判定する。また、OTAマスタ30は、センタ10から受信して記憶装置13に格納した配信パッケージの真正性を検証する。また、OTAマスタ30は、配信パッケージでダウンロードした1つ以上の更新データをターゲット電子制御ユニットに転送し、ターゲット電子制御ユニットに更新データをインストールさせる。インストールの完了後、OTAマスタ30は、ターゲット電子制御ユニットに対して、インストールさせた更新版のソフトウェアを有効とするアクティベートを行うように指示をする。
【0037】
また、OTAマスタ30は、承諾要求処理において、ソフトウェア更新に対して承諾が必要である旨の通知やソフトウェア更新を承諾した旨の入力を促す通知を、出力装置に出力させる。出力装置としては、車載ネットワーク90に設けられた表示装置70や、音声による通知を行う音声出力装置(図示せず)などを利用できる。例えば、承諾要求処理において、表示装置70を出力装置として用いる場合、OTAマスタ30は、ユーザー又は管理者にソフトウェア更新の承諾を求めるための承諾要求画面を表示装置70に表示させたり、ユーザー又は管理者が承諾する場合には承諾ボタンを押下するなどの特定の入力操作を促す通知を表示装置70に表示させたり、することができる。また、OTAマスタ30は、承諾要求処理において、電子制御ユニット50a~50dのソフトウェアの更新データがあることを通知する文言やアイコンなどを表示装置70に表示させたり、ソフトウェア更新処理の実行中における制限事項などを表示装置70に表示させたり、することができる。OTAマスタ30は、ユーザー又は管理者から承諾した旨の入力を受け付けると、上述したインストール及びアクティベートの制御処理を実行し、ターゲット電子制御ユニットのソフトウェアを更新する。
【0038】
ここで、ターゲット電子制御ユニットの不揮発性メモリがシングルバンクメモリである場合は、原則的にインストールとアクティベートとがひと続きに行われるため、インストールの実行前に、ソフトウェア更新に対する承諾要求処理が行われる。また、ターゲット電子制御ユニットの不揮発性メモリがデュアルバンクメモリである場合は、少なくとも、インストールの実行後かつアクティベートの実行前に、ソフトウェア更新に対する承諾要求処理が行われる。なお、ターゲット電子制御ユニットの不揮発性メモリがデュアルバンクメモリである場合には、インストール実行前のソフトウェアの更新に対する承諾要求処理は、行われてもよいし省略されてもよい。
【0039】
ソフトウェア更新処理は、OTAマスタ30がセンタ10から更新データをダウンロードするフェーズ(ダウンロードフェーズ)、ダウンロードした更新データをOTAマスタ30がターゲット電子制御ユニットに転送し、ターゲット電子制御ユニットの格納領域に更新データに基づく更新ソフトウェアをインストールするフェーズ(インストールフェーズ)、及びターゲット電子制御ユニットがインストールした更新ソフトウェアを有効化するフェーズ(アクティベートフェーズ)からなる。
【0040】
ダウンロードは、OTAマスタ30が、センタ10から配信パッケージによって送信された電子制御ユニットのソフトウェアを更新するための更新データを、受信して記憶部37に記憶する処理である。ダウンロードによる更新データの受信については、更新を失敗する確率が比較的低い第2種別の不揮発性メモリ(デュアルバンクメモリ)を搭載した電子制御ユニットに向けた更新データを優先して受信するようにしてもよいし、第1種別の不揮発性メモリ(シングルバンクメモリ)を搭載した電子制御ユニットに向けた更新データと第2種別の不揮発性メモリ(デュアルバンクメモリ)を搭載した電子制御ユニットに向けた更新データとを優劣なく受信するようにしてもよい。ダウンロードフェーズでは、ダウンロードの実行だけでなく、ダウンロードの実行可否判断、更新データの検証など、ダウンロードに関する一連の処理の制御を含む。
【0041】
センタ10からOTAマスタ30に送信される更新データは、電子制御ユニットの更新ソフトウェア(全データ又は差分データ)、更新ソフトウェアを圧縮した圧縮データ、更新ソフトウェア又は圧縮データを分割した分割データのいずれを含んでいてもよい。また、更新データは、ターゲット電子制御ユニットのECU_ID(又はシリアル番号)と、更新前のターゲット電子制御ユニットのECU_Software_IDとを、含んでいてもよい。更新データは、上述した配信パッケージとしてダウンロードされるが、配信パッケージには、単一の電子制御ユニット又は複数の電子制御ユニットの更新データが含まれる。
【0042】
インストールは、OTAマスタ30が、センタ10からダウンロードした更新データに基づいて、複数のターゲット電子制御ユニットの不揮発性メモリ53a及び/又は53bに更新ソフトウェア(更新版のプログラム)を定められた順序で書き込む処理である。インストールフェーズでは、インストールの実行だけでなく、インストールの実行可否判断、更新データの転送及び更新ソフトウェアの検証など、インストールに関する一連の処理の制御を含む。
【0043】
更新データが更新ソフトウェアそのもの(全データ)を含む場合は、インストールフェーズにおいて、OTAマスタ30が更新データ(更新ソフトウェア)をターゲット電子制御ユニットに転送する。また、更新データが更新ソフトウェアの圧縮データ、又は差分データ、あるいは分割データを含む場合は、OTAマスタ30がターゲット電子制御ユニットに更新データを転送し、ターゲット電子制御ユニットが更新データから更新ソフトウェアを生成してもよいし、OTAマスタ30が更新データから更新ソフトウェアを生成してから、更新ソフトウェアをターゲット電子制御ユニットに転送してもよい。ここで、更新ソフトウェアの生成は、圧縮データの解凍や、差分データ又は分割データの組み付け(統合)により行うことができる。
【0044】
更新ソフトウェアのインストールは、OTAマスタ30からのインストール要求に基づいて、ターゲット電子制御ユニットが行うことができる。なお、更新データを受信した特定のターゲット電子制御ユニットについては、OTAマスタ30からの明示の指示を受けることなく、自律的にインストールを行ってもよい。
【0045】
アクティベートは、ターゲット電子制御ユニットが、不揮発性メモリ53a及び/又は53bにインストールした更新ソフトウェアを有効化(アクティベート)する処理である。アクティベートフェーズでは、アクティベートの実行だけでなく、アクティベートの実行可否判断、アクティベートに対する車両のユーザー又は管理者への承諾要求、実行結果の検証など、アクティベートに関する一連の制御を含む。
【0046】
更新ソフトウェアのアクティベートは、OTAマスタ30からのアクティベート要求に基づいて、ターゲット電子制御ユニットが行うことができる。なお、更新データを受信した特定のターゲット電子制御ユニットについては、OTAマスタ30からの明示の指示を受けることなく、インストールの完了後に自律的にアクティベートを行ってもよい。
【0047】
なお、ソフトウェア更新処理は、複数のターゲット電子制御ユニットのそれぞれに対して、連続的あるいは並列的に行うことができる。
【0048】
また、本明細書における「ソフトウェア更新処理」は、ダウンロード、インストール、及びアクティベートの全てを連続して行う処理だけでなく、ダウンロード、インストール、及びアクティベートのうちの一部のみを行う処理も含む。
【0049】
[処理]
次に、
図8、
図9、
図10、及び
図11をさらに参照して、本実施形態に係るネットワークシステムにおいて実行されるソフトウェア更新処理に関する具体例をいくつか説明する。
【0050】
(1)ダウンロードの具体例
図8は、センタ10及びOTAマスタ30が行うダウンロードの具体例による処理手順を説明するフローチャートである。
図8に例示するダウンロードは、センタ10が、OTAマスタ30から配信パッケージのダウンロード要求を受信することによって、開始される。
【0051】
(ステップS801)
センタ10は、ソフトウェアの更新対象となるターゲット電子制御ユニット(以下「ターゲットECU」という)の更新データなどを含む配信パッケージを生成する。ターゲットECUの更新データは、OEMなどから予め提供される。配信パッケージとしては、シングルバンクメモリ搭載のターゲットECUに向けた更新データとデュアルバンクメモリ搭載のターゲットECUに向けた更新データとが混在したパッケージが生成されてもよいし、シングルバンクメモリ搭載のターゲットECUに向けた更新データだけのパッケージとデュアルバンクメモリ搭載のターゲットECUに向けた更新データだけのパッケージとがそれぞれ生成されてもよい。複数の電子制御ユニット50a~50dにそれぞれ搭載される不揮発性メモリの種別をセンタ10が管理している場合は、メモリ種別に関する情報が配信パッケージに含まれてもよい。配信パッケージが生成されると、ステップS802に処理が進む。
【0052】
(ステップS802)
センタ10は、生成した配信パッケージをOTAマスタ30に送信する。配信パッケージが送信されると、ステップS803に処理が進む。
【0053】
(ステップS803)
OTAマスタ30は、センタ10から受信した配信パッケージに含まれる更新データ(及びメモリ種別に関する情報)などを、記憶部37に記憶する。これにより、ダウンロード処理が終了する。
【0054】
(2)インストールの具体例1
図9は、OTAマスタ30及びターゲットECUが行う具体例1によるインストールの処理手順を説明するフローチャートである。本インストールの具体例1は、更新中に停止制御が不要な第2種別の不揮発性メモリ(デュアルバンクメモリ)を搭載したターゲットECU(以下「第2種別のターゲットECU」という)における更新ソフトウェアのインストールが完了したタイミングで、更新中に停止制御が必要な第1種別の不揮発性メモリ(シングルバンクメモリ)を搭載したターゲットECU(以下「第1種別のターゲットECU」という)における更新ソフトウェアのインストールを開始する例である。
【0055】
図9に例示する具体例1のインストール処理は、ターゲットECUの更新データのダウンロードが完了した後、かつ、所定の条件(インストール実行可、更新データの検証OKなど)が満足されることによって開始される。
【0056】
(ステップS901)
OTAマスタ30は、ターゲットECUに搭載される不揮発性メモリの種別(第1種別/第2種別)を取得する。このメモリ種別は、OTAマスタ30が管理している場合には記憶部37に記憶されている種別情報(
図7)を参照することによって取得することができ、センタ10が管理している場合には配信パッケージに含めて送信されてきたメモリ種別の情報を参照することによって取得することができる。ターゲットECUのメモリ種別が取得されると、ステップS902に処理が進む。
【0057】
(ステップS902)
OTAマスタ30及び第2種別のターゲットECUは、更新データに基づいて、第2種別のターゲットECUの不揮発性メモリの格納領域に更新ソフトウェアを書き込む処理であるインストールを開始する。このインストールの開始は、第2種別のターゲットECUの全てについて、一斉に又は所定の順序で行われる。第2種別のターゲットECUに対するインストールが開始されると、ステップS903に処理が進む。
【0058】
(ステップS903)
OTAマスタ30は、第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが完了したか否かを判断する。インストールの完了は、全ての第2種別のターゲットECUについて判断されてもよいし、予め定められた一部の第2種別のターゲットECUのみについて判断されてもよい。OTAマスタ30は、インストールの完了を、第2種別のターゲットECUからの完了通知があったことで判断してもよいし、インストールの開始から所定の時間が経過後したことで判断してもよい。所定の時間は、例えば、各々のインストールに要する最大の時間以上に設定することができる。第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが完了したと判断されると(ステップS903、はい)、ステップS904に処理が進む。
【0059】
(ステップS904)
OTAマスタ30及び第1種別のターゲットECUは、更新データに基づいて、第1種別のターゲットECUの不揮発性メモリの格納領域に更新ソフトウェアを書き込む処理であるインストールを開始する。このインストールの開始は、第1種別のターゲットECUの全てについて、一斉に又は所定の順序で行われる。第1種別のターゲットECUに対するインストールが開始されると、ステップS905に処理が進む。
【0060】
(ステップS905)
OTAマスタ30は、第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが完了したか否かを判断する。インストールの完了は、全ての第1種別のターゲットECUについて判断される。OTAマスタ30は、インストールの完了を、第1種別のターゲットECUからの完了通知があったことで判断してもよいし、インストールの開始から所定の時間が経過後したことで判断してもよい。所定の時間は、例えば、各々のインストールに要する最大の時間以上に設定することができる。第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが完了したと判断されると(ステップS905、はい)、全てのターゲットECUに対するインストールが完了し、本インストール処理が終了する。
【0061】
上記インストールの具体例1では、最初に第2種別のターゲットECUに対するインストールを開始し、第2種別のターゲットECUのインストール完了を判断したタイミングで、第1種別のターゲットECUに対するインストールを開始する。この処理により、更新中に停止制御が不要な第2種別のターゲットECUに対するインストールを、更新中に停止制御が必要な第1種別のターゲットECUに対するインストールよりも先に実行することができる。よって、車両(車載ネットワーク90)内での通信負荷を低減でき、全ての更新ソフトウェアの書き込み完了までに車両の制御を停止させなければならない時間を短縮することができる。
【0062】
(3)インストールの具体例2
図10は、OTAマスタ30及びターゲットECUが行う具体例2によるインストールの処理手順を説明するフローチャートである。本インストールの具体例2は、更新中に停止制御が不要な第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが所定のポイントまで進行したタイミングで、更新中に停止制御が必要な第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールを開始する例である。
【0063】
図10に例示する具体例2のインストール処理は、ターゲットECUの更新データのダウンロードが完了した後、かつ、所定の条件(インストール実行可、更新データの検証OKなど)が満足されることによって開始される。
【0064】
(ステップS1001)
OTAマスタ30は、ターゲットECUに搭載される不揮発性メモリの種別(第1種別/第2種別)を取得する。このメモリ種別は、OTAマスタ30が管理している場合には記憶部37に記憶されている種別情報(
図7)を参照することによって取得することができ、センタ10が管理している場合には配信パッケージに含めて送信されてきたメモリ種別の情報を参照することによって取得することができる。ターゲットECUのメモリ種別が取得されると、ステップS1002に処理が進む。
【0065】
(ステップS1002)
OTAマスタ30及び第2種別のターゲットECUは、更新データに基づいて、第2種別のターゲットECUの不揮発性メモリの格納領域に更新ソフトウェアを書き込む処理であるインストールを開始する。このインストールの開始は、第2種別のターゲットECUの全てについて、一斉に又は所定の順序で行われる。第2種別のターゲットECUに対するインストールが開始されると、ステップS1003に処理が進む。
【0066】
(ステップS1003)
OTAマスタ30は、第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが所定のポイントまで(又は所定のポイントを超えて)処理が進行したか否かを判断する。この所定のポイントは、インストール開始からインストール完了までの間における任意の位置(処理段階)に設定可能であり、例えばインストールが成功する確率が高くなる箇所まで書き込み処理が進んだタイミングや、インストールが失敗しても再インストールの必要なくリカバリーできる箇所まで書き込み処理が進んだタイミングなど、様々に設定することができる。インストールが所定のポイントまで処理が進行したか否かは、全ての第2種別のターゲットECUについて判断されてもよいし、予め定められた一部の第2種別のターゲットECUのみについて判断されてもよい。第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが所定のポイントまで処理が進行したと判断されると(ステップS1003、はい)、ステップS1004に処理が進む。
【0067】
(ステップS1004)
OTAマスタ30及び第1種別のターゲットECUは、更新データに基づいて、第1種別のターゲットECUの不揮発性メモリの格納領域に更新ソフトウェアを書き込む処理であるインストールを開始する。このインストールの開始は、第1種別のターゲットECUの全てについて、一斉に又は所定の順序で行われる。第1種別のターゲットECUに対するインストールが開始されると、ステップS1005に処理が進む。
【0068】
(ステップS1005)
OTAマスタ30は、第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストール及び第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストールが共に完了したか否かを判断する。インストールの完了は、全ての第1種別のターゲットECU及び全ての第2種別のターゲットECUについて判断される。OTAマスタ30は、インストールの完了を、第1種別のターゲットECU及び第2種別のターゲットECUのそれぞれから完了通知があったことで判断してもよいし、インストールの開始から所定の時間が経過後したことで判断してもよい。所定の時間は、例えば、各々のインストールに要する最大の時間以上に設定することができる。第1種別のターゲットECU及び第2種別のターゲットECUについて更新ソフトウェアのインストールが共に完了したと判断されると(ステップS1005、はい)、全てのターゲットECUに対するインストールが完了し、本インストール処理が終了する。
【0069】
上記インストールの具体例2では、最初に第2種別のターゲットECUに対するインストールを開始し、第2種別のターゲットECUにおけるインストールが所定のポイントまで進行したことを判断したタイミングで、第1種別のターゲットECUに対するインストールを開始する。この処理により、更新中に停止制御が不要な第2種別のターゲットECUに対するインストールを、更新中に停止制御が必要な第1種別のターゲットECUに対するインストールよりも先に実行することができる。よって、車両(車載ネットワーク90)内での通信負荷を低減でき、全ての更新ソフトウェアの書き込み完了までに車両の制御を停止させなければならない時間を、インストールの具体例1よりもさらに短縮することができる。
【0070】
なお、上記具体例1及び具体例2では、OTAマスタ30は、記憶部37が記憶する制御用プログラムに基づく自らの判断によって、第1種別のターゲットECU及び第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストール及びアクティベートの順序をそれぞれ制御する例を説明した。しかし、OTAマスタ30は、センタ10から所定の指示を受ける(更新シーケンスに関する情報などを取得する)ことによって、第1種別のターゲットECU及び第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのインストール及びアクティベートの順序をそれぞれ制御してもよい。
【0071】
(4)アクティベートの具体例
図11は、OTAマスタ30及びターゲットECUが行うアクティベートの具体例による処理手順を説明するフローチャートである。本アクティベートの具体例は、更新中に停止制御が必要な第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートを行ってから、更新中に停止制御が不要な第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートを行う例である。
【0072】
図11に例示するアクティベート処理は、第1種別のターゲットECU及び第2種別のターゲットECUそれぞれの更新ソフトウェアのインストールが完了した後、かつ、所定の条件(アクティベート実行可、更新データの検証OKなど)が満足されることによって開始される。
【0073】
(ステップS1101)
OTAマスタ30及び第1種別のターゲットECUは、第1種別のターゲットECUの不揮発性メモリの格納領域に書き込まれた更新ソフトウェアを有効化するアクティベートを開始する。このアクティベートの開始は、第1種別のターゲットECUの全てについて、一斉に又は所定の順序で行われる。第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートが開始されると、ステップS1102に処理が進む。
【0074】
(ステップS1102)
OTAマスタ30は、第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートが完了したか否かを判断する。アクティベートの完了は、全ての第1種別のターゲットECUについて判断される。OTAマスタ30は、アクティベートの完了を、第1種別のターゲットECUからの完了通知があったことで判断してもよいし、アクティベートの開始から所定の時間が経過後したことで判断してもよい。所定の時間は、例えば、各々のアクティベートに要する最大の時間以上に設定することができる。第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートが完了したと判断されると(ステップS1102、はい)、ステップS1103に処理が進む。
【0075】
(ステップS1103)
OTAマスタ30及び第2種別のターゲットECUは、第2種別のターゲットECUの不揮発性メモリの格納領域に書き込まれた更新ソフトウェアを有効化するアクティベートを開始する。このアクティベートの開始は、第2種別のターゲットECUの全てについて、一斉に又は所定の順序で行われる。第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートが開始されると、ステップS1104に処理が進む。
【0076】
(ステップS1104)
OTAマスタ30は、第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートが完了したか否かを判断する。アクティベートの完了は、全ての第2種別のターゲットECUについて判断される。OTAマスタ30は、アクティベートの完了を、第2種別のターゲットECUからの完了通知があったことで判断してもよいし、アクティベートの開始から所定の時間が経過後したことで判断してもよい。所定の時間は、例えば、各々のアクティベートに要する最大の時間以上に設定することができる。第2種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベートが完了したと判断されると(ステップS1104、はい)、全てのターゲット電子制御ユニットに対するアクティベートが完了し、本アクティベート処理が終了する。
【0077】
上記アクティベートの具体例では、最初に第1種別のターゲットECUの更新ソフトウェアに対するアクティベートを開始し、第1種別のターゲットECUにおける更新ソフトウェアのアクティベート完了を判断した後に、第2種別のターゲットECUの更新ソフトウェアに対するアクティベートを開始する。この処理により、シングルバンクメモリを搭載した第1種別のターゲットECUとデュアルバンクメモリを搭載した第2種別のターゲットECUとの両方を構成に含むシステムのソフトウェア更新処理を好適に実行することができる。
【0078】
<作用・効果>
以上のように、本開示の一実施形態に係るネットワークシステムによれば、OTAマスタは、センタから受信するシングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット(第1種別のターゲットECU)に向けた更新データ及びデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット(第2種別のターゲットECU)に向けた更新データのうち、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットの更新データの書き込みを開始した後に、所定のタイミングでシングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットの更新データの書き込みを開始する。
【0079】
この処理によって、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側において新しいバージョンのソフトウェアのインストール完了(100%完了)を確認した後に、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側において新しいバージョンのソフトウェアのインストールを開始させることができる。あるいは、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側において新しいバージョンのソフトウェアのインストールを、インストールの成功確率が高くなる箇所まで書き込み処理が進んだ(例えば50%完了)ことや、インストールが失敗しても再インストールが不要でリカバリーが可能な箇所まで書き込み処理が進んだ(例えば70%完了)ことなどを確認した後に、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側において新しいバージョンのソフトウェアのインストールを開始させることができる。
【0080】
このため、先行するデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側のソフトウェアのインストールが失敗した場合であっても、シングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側においてソフトウェアのインストールをまだ開始していないので、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側のソフトウェアとシングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側のソフトウェアとにおいて、整合がとれた古いバージョンの組み合わせを維持することができる。従って、例えば自動運転機能のように、機能実現のためにシングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとデュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとによる協調的な動作が要求される場合において、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニット側のソフトウェアのインストールが失敗したとしても、デュアルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとシングルバンクメモリを搭載した電子制御ユニットとでソフトウェア更新の手順(シーケンス順序)を考慮しない従来の更新処理と比べて、自動運転機能が制限される時間を短くすることができる。
【0081】
以上、本開示技術の一実施形態を説明したが、本開示は、OTAマスタだけでなく、プロセッサとメモリを備えたOTAマスタが実行する更新方法、更新プログラム、更新プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な非一時的な記憶媒体、OTAマスタを通信可能なセンタ、センタとOTAマスタとを備えるシステム、あるいはOTAマスタを備えた車両など、として捉えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示技術は、電子制御ユニットのソフトウェアを更新するためのネットワークシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0083】
10 センタ
11、31、51 CPU
12、32、52 RAM
13、34 記憶装置
14、36、54 通信装置
16、37 記憶部
17、38 通信部
18、39 制御部
30 OTAマスタ
33 ROM
35 マイクロコンピューター
50a~50d 電子制御ユニット(ECU)
53a、53b 不揮発性メモリ
55、56a、56b 格納領域
60a~60d バス
70 表示装置
80 通信モジュール
90 車載ネットワーク
100 ネットワーク