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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】基地局および拡声機能制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20231011BHJP
   H04W 48/04 20090101ALI20231011BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W48/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021156786
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2018037252の分割
【原出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2022000975
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】高宮 和貴
(72)【発明者】
【氏名】細野 英一
(72)【発明者】
【氏名】萬浪 一貴
(72)【発明者】
【氏名】冨安 恵巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保馬
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 広晴
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010883(JP,A)
【文献】特開2014-200063(JP,A)
【文献】特開2015-177298(JP,A)
【文献】国際公開第2014/036321(WO,A2)
【文献】特開2015-126269(JP,A)
【文献】特開2014-087036(JP,A)
【文献】特開2011-040959(JP,A)
【文献】特開2006-050574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクから集音した音をスピーカから拡声して放音する拡声機能を有する無線機が基地
局を介して無線通信を行う無線通信システムの基地局であって、
前記基地局は、
前記無線機から位置情報と前記拡声機能の音量情報を受信し、
第1の無線機の前記拡声機能による拡声音声の伝達を受ける少なくとも1つの第2の無
線機に対して、前記第1の無線機の前記音量情報に基づいて所定距離を決定し、前
記第1の無線機と前記第2の無線機との間の距離が前記所定距離以内の場合に、前記第2
の無線機に対する第3の無線機からの発呼許可要求を不許可と判定し、前記第3の無線機
に発呼不許可とする回答を送信することを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記第1の無線機から前記拡声機能の開始の通知を受信してから、前記発呼許可要求の
機能の制限を開始することを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
マイクから集音した音をスピーカから拡声して放音する拡声機能を有する無線機が基地
局を介して無線通信を行う無線通信システムの基地局の拡声機能制御方法であって、
前記無線機から位置情報と前記拡声機能の音量情報を受信し、
第1の無線機の前記拡声機能による拡声音声の伝達を受ける少なくとも1つの第2の無
線機に対して、前記第1の無線機の前記音量情報に基づいて所定距離を決定し、前記第1
の無線機と前記第2の無線機との間の距離が前記所定距離以内の場合に、前記第2の無線
機に対する第3の無線機からの発呼許可要求を不許可と判定し、前記第3の無線機に発呼
不許可とする回答を送信することを特徴とする拡声機能制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基地局および拡声機能制御方法に関し、特に、無線機による発呼を抑制する範囲を制御する基地局および拡声機能制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機による発呼を抑制する技術が知られている。特許文献1には、着信先の移動局が位置するエリアが音声着信不可エリアである場合に、音声による着信が許容されていない旨を発信元の移動局に通知する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術により、音声着信不可エリアに位置する移動局に対する発呼を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-234082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者は、無線機が所定の機能を使用している際に、この無線機の近くに位置する無線機から音声が再生されると、所定の機能が妨げられることに想到した。特許文献1に開示の技術では、予め設定された音声着信不可エリアに位置する移動局に対する発呼を抑制することはできるが、所定の機能を使用している無線機を基準とした発呼の抑制を行うことはできないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、拡声機能を使用している無線機を基準とした発呼の抑制を行う範囲を制御することができる基地局および拡声機能制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、マイクから集音した音をスピーカから拡声して放音する拡声機能を
有する無線機が基地局を介して無線通信を行う無線通信システムの基地局であって、前記
基地局は、前記無線機から位置情報と前記拡声機能の音量情報を受信し、第1の無線機の
前記拡声機能による拡声音声の伝達を受ける少なくとも1つの第2の無線機に対して、
記第1の無線機の前記音量情報に基づいて所定距離を決定し、前記第1の無線機と前記第
2の無線機との間の距離が前記所定距離以内の場合に、前記第2の無線機に対する第3の
無線機からの発呼許可要求を不許可と判定し、前記第3の無線機に発呼不許可とする回答
を送信することを特徴とする基地局、を提供する。
【0007】
また、本発明は、マイクから集音した音をスピーカから拡声して放音する拡声機能を有
する無線機が基地局を介して無線通信を行う無線通信システムの基地局の拡声機能制御方
法であって、前記無線機から位置情報と前記拡声機能の音量情報を受信し、第1の無線機
前記拡声機能による拡声音声の伝達を受ける少なくとも1つの第2の無線機に対して、
前記第1の無線機の前記音量情報に基づいて所定距離を決定し、前記第1の無線機と前記
第2の無線機との間の距離が前記所定距離以内の場合に、前記第2の無線機に対する第3
の無線機からの発呼許可要求を不許可と判定し、前記第3の無線機に発呼不許可とする回
答を送信することを特徴とする拡声機能制御方法、を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、所定の機能を使用している無線機を基準とした発呼の抑制を行う位置
囲を制御することができる基地局および拡声機能制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる無線システムの構成例を示す模式図である。
図2】実施の形態1にかかる無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1にかかる無線システムの具体例を説明するための図である。
図4A】実施の形態1にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図4B】実施の形態1にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】実施の形態2にかかる無線システムの具体例を説明するための図である。
図6A】実施の形態2にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図6B】実施の形態2にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】実施の形態3にかかる無線システムの具体例を説明するための図である。
図8A】実施の形態3にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図8B】実施の形態3にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0011】
実施の形態1
まず、図1の模式図を用いて、本実施の形態1にかかる無線システム1000の構成について説明する。図1に示すように、無線システム1000は、無線通信装置1と、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E103と、記憶部500と、を備えている。なお、無線システム1000は、例えば、業務用無線システムであるが、これに限らない。無線システム1000は、例えば携帯電話回線等の公衆回線を用いた無線通信システムであってもよい。
【0012】
無線通信装置1は、無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E103のそれぞれと無線通信を行うことができる装置である。無線通信装置1は、例えば、基地局、リピータ(Repeater)等である。
【0013】
無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E103は、無線通信装置1を介して無線通信を行うことができる装置である。なお、無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E103の自身を特定するUnit ID(以下、UIDと呼ぶ)は、それぞれ100、200、101、102、103とする。なお、各無線機は、自位置を検出する手段を備える。自位置を検出する手段は、例えば衛星等からの信号により自位置を測位するものであるが、これに限らない。自位置を検出する手段は、周知の位置検出技術のいずれにより構成されてもよい。
【0014】
無線機A100には、所定の機能が実装されている。なお、所定の機能とは、例えば、無線機A100の近距離に音声を伝達する機能である。所定の機能の具体例としては、例えば、マイクで集音した音声を拡声してスピーカから出力する拡声機能や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能である。なお、拡声機能のことをPA(Public Address)機能とも呼ぶ。なお、無線機A100は、例えば、車載型の無線機であるが、これに限らない。無線機A100のことを第1の無線機とも呼ぶ。
【0015】
記憶部500は、無線通信装置1によるアクセスが可能な記憶媒体である。記憶部500は、例えば、基地局に備えられるものである。すなわち、無線通信装置1が基地局である場合には、記憶部500は、無線通信装置1に備えられる構成であってもよい。
【0016】
続いて、図2のブロック図を用いて、本実施の形態1にかかる無線通信装置1の構成について説明する。本実施の形態1にかかる無線通信装置1は、第1の受信部10と、第2の受信部20と、取得部30と、判定部40と、送信部50と、を備えている。
【0017】
第1の受信部10は、第1の無線機(無線機A100)から所定の機能の開始通知及び所定の機能の終了通知を受信する。また、第1の受信部10は、受信された所定の機能の開始通知及び所定の機能の終了通知を判定部40へ出力する。
【0018】
第2の受信部20は、第2の無線機への個別音声通信(以下、Individual Callとも呼ぶ)発呼許可要求を第3の無線機から受信する。また、第2の受信部20は、受信されたIndividual Call発呼許可要求を判定部40へ出力する。
【0019】
取得部30は、第1の無線機と第2の無線機との間の距離を取得する。例えば、取得部30は、CPU(Central Processing Unit)等にプログラムを実行させることにより、第1の無線機の位置と第2の無線機の位置との間の距離を算出することによって距離を取得する。また、取得部30は、取得された距離を判定部40へ出力する。なお、取得部30による距離の取得は、判定部40から距離取得依頼を受け取った場合に行うようにしてもよい。
【0020】
判定部40は、所定の機能の開始通知を受信してから所定の機能の終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合、取得部30から受け取った距離を参照する。そして、判定部40は、取得部30から受け取った距離が所定距離以内か否かに基づいて、Individual Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定する。具体的には、判定部40は、取得部30から受け取った距離が所定距離以内のときには、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。また、判定部40は、取得部30から受け取った距離が所定距離以内でないときには、Individual Call発呼許可要求に対して許可と判定する。なお、判定部40の処理は、CPU等にプログラムを実行させることによって実現できる。判定部40は、Individual Call発呼許可要求に対する判定結果を送信部50へ出力する。なお、判定部40は、所定の機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合に、第1の無線機と第2の無線機との間の距離の取得を依頼する距離取得依頼を取得部30へ出力するようにしてもよい。
【0021】
送信部50は、判定結果を判定部40から受け取る。そして、送信部50は、Individual Call発呼許可要求に対する回答、すなわち許可又は不許可を第3の無線機へ送信する。
【0022】
第3の無線機は、Individual Call発呼許可要求に対する不許可の回答を受信することにより、第2の無線機への個別音声通信の発呼を行うことができない。このため、第2の無線機は、第3の無線機との個別音声通信による音声再生をすることはない。
【0023】
無線通信装置1は、上述した構成を備えることにより、第1の無線機で所定の機能を使用している間は、第1の無線機との距離が所定距離以内である第2の無線機への発呼を不許可にすることができる。これにより、第1の無線機の所定の機能が、第2の無線機の音声再生によって妨げられることを防ぐことができる。
【0024】
続いて、図3図4A及び図4Bを用いて、実施の形態1の具体例について説明する。なお、図3図4A及び図4Bにおいて、同じステップ番号では同じ処理が実行される。本例では、所定の機能として拡声機能を用いている。また、本例では、無線機C101が第2の無線機であり、無線機B200が第3の無線機である。
【0025】
図4A及び図4Bのシーケンス図を用いて、無線システム1000の処理の流れの具体例を説明する。まず、各無線機は、電源がオンされると、定期的に自身の位置情報を取得し、位置情報と自身を特定するUIDを無線通信装置1へ送信する(ステップS101)。なお、位置情報の具体例は、緯度・経度情報である。
【0026】
次に、無線通信装置1は、各無線機から受信された位置情報及びUIDを記憶部500のテーブル501へ記憶する(ステップS102)。なお、テーブル501は、各無線機のUIDと位置情報とを対応付けて記憶するテーブルである。
【0027】
この段階では、無線機A100による拡声機能は開始されていない。このため、無線通信装置1は、無線機B200から無線機C101を発呼先とするIndividual Call発呼許可要求を受信すると(ステップSa)、Individual Call発呼許可を無線機B200へ送信する(ステップSb)。これにより、無線機B200は、Individual Callの発呼を行い(ステップSc)、無線通信装置1は、Individual Callの発呼を無線機C101へ中継する(ステップSd)。なお、Individual Call発呼許可要求には、発呼先の無線機C101のUID(101)が含まれている。
【0028】
次に、無線機A100のユーザは、拡声機能を使用するため、無線機A100の図示しない拡声ボタンを押下する(ステップS103a)。拡声ボタンが押下されると無線機A100は、自身のUID(100)を含む拡声機能開始通知を無線通信装置1へ送信する(ステップS103b)。すなわち、無線通信装置1は、第1の受信部10により、無線機A100のUIDを含む拡声機能開始通知を無線機A100から受信する。
【0029】
次に、無線通信装置1は、ステップS103bで受信した拡声機能開始通知に含まれるUID(100)を記憶部500のテーブル502へ記憶する(ステップS104)。なお、テーブル502は、拡声機能を使用中の無線機のUIDを記憶するテーブルである。
【0030】
次に、無線通信装置1は、拡声機能開始確認を無線機A100へ送信する(ステップS105)。
【0031】
拡声機能開始確認を受信した無線機A100は、例えばビープ音を鳴らす等により、拡声機能開始確認を受信した旨をユーザに伝える(ステップS106a)。また、この時点より、無線機A100は、マイクで集音した音声を拡声してスピーカから出力する(ステップS106b)。無線機A100のユーザは、発話して拡声機能による音声伝達を開始する(ステップS106c)。
【0032】
次に、無線機B200のユーザは、無線機C101とIndividual Callを行うため、無線機C101のUIDを指定操作後、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを押下する。無線機B200は、PTTボタンを押下されると、発呼先の無線機C101のUID(101)を含むIndividual Call発呼許可要求を無線通信装置1へ送信する(ステップS107)。すなわち、無線通信装置1は、第2の受信部20により、発呼先の無線機C101のUIDを含むIndividual Call発呼許可要求を無線機B200から受信する。
【0033】
次に、無線通信装置1は、判定部40により、テーブル502に拡声機能を使用中の無線機のUIDとして100が記憶されていることから、無線機A100で拡声機能が使用されていると判断する。また、無線通信装置1は、取得部30により、テーブル501を参照して、無線機A100の位置(地点A)とIndividual Callの発呼先である無線機C101の位置(地点C)との距離を取得する。そして、無線通信装置1は、判定部40により、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離が所定距離以内か否かを判定する。なお本例における所定距離は10mである。本例では、図3に示すように、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離は10m以内である。このため、無線通信装置1は、判定部40により、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離は所定距離以内であると判定する。これにより、無線通信装置1は、判定部40により、無線機B200のIndividual Call発呼許可要求に対して発呼不許可と判定する(ステップS108)。
【0034】
次に、無線通信装置1は、送信部50により、Individual Call発呼不許可を無線機B200へ送信する(ステップS109)。
【0035】
無線機B200は、Individual Call発呼不許可を受信した場合、その旨をユーザに伝えるとともに、Individual Callの発呼を行わない(ステップS110)。
【0036】
なお、ステップS107において、無線通信装置1が、無線機E103を発呼先としたIndividual Call発呼許可要求を受信した場合には、図3に示すように、無線機A100と無線機E103との距離は、所定距離10m以内ではない。この場合、無線通信装置1は、Individual Call発呼許可を無線機B200へ送信する。これにより、Individual Call発呼許可を受信した無線機B200は、無線機E103を発呼先としたIndividual Callを発呼する。
【0037】
無線機A100のユーザは、発話が終了すると(ステップS111a)、拡声ボタンを解放して(ステップS111b)、拡声機能による音声伝達を終了する(ステップS111c)。無線機A100は、拡声ボタンが解放されると、無線機A100のUIDを含む拡声機能終了通知を無線通信装置1へ送信する(ステップS111d)。すなわち、無線通信装置1は、第1の受信部10により、無線機A100のUIDを含む拡声機能終了通知を無線機A100から受信する。
【0038】
無線通信装置1は、拡声機能終了通知を受信すると、ステップS105で送信した拡声機能開始確認により開始された拡声機能が終了したと判断し、テーブル502に拡声機能使用中無線機のUIDとして記録されている100をクリアする(ステップS112)。
【0039】
上記ステップS101~S112により、図4Bに示すIndividual Call発呼制限期間において、Individual Callの発呼が制限される。なお、図4AのステップSa~Sdは、Individual Call発呼制限期間ではないため、無線機C101へIndividual Callの発呼が行われる。
【0040】
以上のように、本実施の形態1にかかる無線通信装置1は、第1の無線機から拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、第2の無線機へのIndividual Call発呼許可要求を第3の無線機から受信したかを判断する構成としている。また、無線通信装置1は、拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合、第1の無線機と第2の無線機との間の距離が所定距離以内か否かを判定する構成としている。また、無線通信装置1は、第1の無線機と第2の無線機との間の距離が所定距離以内のときには、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定し、Individual Call発呼許可要求に対して不許可であることを示す回答を第3の無線機へ送信する構成としている。これにより、本実施の形態1にかかる無線通信装置1では、第1の無線機で拡声機能を使用している間は、第1の無線機との距離が所定距離以内の無線機における個別音声通信の受信を抑制制御することができる。このため、無線通信装置1は、第1の無線機の拡声機能による拡声音声の伝達に不都合が生じることを抑えることができる。
【0041】
なお、所定の機能が拡声機能である場合に、無線通信装置1は、拡声機能の音量も受信し、この音量にも基づいてIndividual Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定するようにしてもよい。この場合、無線通信装置1は、第1の受信部10により、拡声機能の開始通知とともに拡声機能の音量を第1の受信機から受信する。また、無線通信装置1は、判定部40により、Individual Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかの判定に拡声機能の音量も用いる。例えば、無線通信装置1は、拡声機能の音量に基づいて、所定距離を変化させるようにしてもよい。具体的には、拡声機能の音量が大きくなるほど所定距離の値を大きくするようにしてもよい。これにより、拡声機能の音量に応じた範囲の無線機における個別音声通信の受信を抑制制御することができる。なお、以下に説明する他の実施の形態にも拡声機能の音量に基づく制御を適用することができる。
【0042】
実施の形態1の変形例
続いて、実施の形態1の変形例について説明する。実施の形態1は、個別音声通信を抑制することについての実施の形態であったが、実施の形態1の変形例は、グループ音声通信(以下、Group Callとも呼ぶ)を抑制することについての実施の形態である。
【0043】
実施の形態1の変形例にかかる無線システム1000Aは、無線通信装置1Aと、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E103と、記憶部500と、を備えている。なお、無線システム1000Aの構成は、図1の無線システム1000の構成と同様であり、図示を省略する。
【0044】
本例では、無線機B200、無線機C101、及び無線機D102には、同一のグループID(以下、GIDとも呼ぶ)として300が設定されているものとする。同一のGIDが設定されている複数の無線機間では、Group Callを行うことができる。
【0045】
続いて、無線通信装置1Aの構成について説明する。無線通信装置1Aは、第1の受信部10と、第2の受信部20Aと、取得部30Aと、判定部40Aと、送信部50Aと、を備えている。なお、無線通信装置1Aの構成は、図2の無線通信装置1の構成と同様であり、図示を省略する。
【0046】
第2の受信部20Aは、複数の第2の無線機で構成される無線機グループへのGroup Call発呼許可要求を第3の無線機から受信する。また、第2の受信部20Aは、受信されたGroup Call発呼許可要求を判定部40Aへ出力する。
【0047】
取得部30Aは、第1の無線機と複数の第2の無線機との間の各距離を取得する。また、取得部30Aは、取得された各距離を判定部40Aへ出力する。
【0048】
判定部40Aは、所定の機能の開始通知を受信してから所定の機能の終了通知を受信するまでの間に、Group Call発呼許可要求を受信した場合、取得部30Aから受け取った各距離を参照する。そして、判定部40Aは、取得部30Aから受け取った各距離に基づいて、Group Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定する。例えば、判定部40Aは、各距離のうち1つでも所定距離以内の距離がある場合に、Group Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。判定部40Aは、Group Call発呼許可要求に対する判定結果を送信部50Aへ出力する。なお、判定の方法は、上述した方法に限らない。例えば、判定部40Aは、各距離のうち1つでも所定距離以内ではない距離がある場合に、Group Call発呼許可要求に対して許可と判定するようにしてもよい。
【0049】
送信部50Aは、判定結果を判定部40Aから受け取る。そして、送信部50Aは、Group Call発呼許可要求に対する回答、すなわち許可又は不許可を第3の無線機へ送信する。
【0050】
第3の無線機は、Group Call発呼許可要求に対する不許可の回答を受信することにより、複数の第2の無線機で構成される無線機グループへのグループ音声通信の発呼を行うことができない。このため、複数の第2の無線機は、第3の無線機とのグループ音声通信による音声再生をすることはない。
【0051】
続いて、具体例について説明する。なお、本例では、第1の無線機と複数の第2の無線機との間の各距離のうち1つでも所定距離以内の距離がある場合に、Group Call発呼許可要求に対して不許可と判定するものとして説明する。
【0052】
無線通信装置1Aは、第1の受信部10により無線機A100から拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、第2の受信部20AによりGIDが300であるグループへのGroup Call発呼許可要求を無線機B200から受信したとする。この場合、無線通信装置1Aは、取得部30Aにより、無線機A100とGIDが300であるグループを構成する無線機C101及び無線機D102との各距離を取得する。
【0053】
次に、無線通信装置1Aは、判定部40Aにより、無線機A100と無線機C101との距離、及び無線機A100と無線機D102との距離のうち1つでも所定距離以内の距離がある場合に、Group Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。
【0054】
そして、無線通信装置1Aは、送信部50Aにより、不許可としたGroup Call発呼許可要求に対する回答を無線機B200へ送信する。
【0055】
以上のように、本実施の形態1の変形例にかかる無線通信装置1Aは、上述した構成により、第1の無線機で所定の機能を使用している間は、第1の無線機と複数の第2の無線機との間の各距離に基づいて、複数の第2の無線機で構成される無線機グループへのグループ音声通信の発呼を不許可にすることができる。これにより、第1の無線機の所定の機能が、第2の無線機の音声再生によって妨げられることを防ぐことができる。
【0056】
実施の形態2
続いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる無線システム1000Bは、無線通信装置1Bと、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E103と、記憶部500Bと、を備えている。なお、無線システム1000Bの構成は、図1の無線システム1000の構成と同様であり、図示を省略する。
【0057】
本例では、無線機A100、無線機B200、無線機C101、及び無線機D102には、同一のGIDが設定されているものとする。
【0058】
続いて、無線通信装置1Bの構成について説明する。無線通信装置1Bは、第1の受信部10と、第2の受信部20と、取得部30Bと、判定部40Bと、送信部50と、を備えている。なお、無線通信装置1Bの構成は、図2の無線通信装置1の構成と同様であり、図示を省略する。
【0059】
取得部30Bは、第1の無線機が属するグループのIDである第1GIDと、第2の無線機が属するグループのIDである第2GIDとを取得する。また、取得部30Bは、第1GID及び第2GIDを判定部40Bへ出力する。
【0060】
判定部40Bは、所定の機能の開始通知を受信してから所定の機能の終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合、取得部30Bから受け取った第1GID及び第2GIDを参照する。そして、判定部40Bは、第1GIDと第2GIDとを比較することにより、Individual Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定する。具体的には、判定部40Bは、第1GIDと第2GIDとが一致するときには、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。また、判定部40Bは、第1GIDと第2GIDとが一致しないときには、Individual Call発呼許可要求に対して許可と判定する。判定部40Bは、Individual Call発呼許可要求に対する判定結果を送信部50へ出力する。
【0061】
無線通信装置1Bは、上述した構成を備えることにより、第1の無線機で所定の機能を使用している間は、第1の無線機と同じグループに属する第2の無線機へのIndividual Callの発呼を不許可にすることができる。同じグループに属する無線機同士は、近くに位置することがあり得る。このため、第1の無線機と同じグループに属する第2の無線機へのIndividual Callの発呼を不許可にすることにより、第1の無線機の所定の機能が、第2の無線機の音声再生によって妨げられることを防ぐことができる。
【0062】
続いて、図5図6A及び図6Bを用いて、実施の形態2の具体例について説明する。なお、この例では、無線機C101が第2の無線機であり、無線機B200が第3の無線機である。
【0063】
図6A及び図6Bのシーケンス図を用いて、無線システム1000Bの処理の流れの具体例を説明する。まず、各無線機は、電源がオンされると、定期的に自身を特定するUIDと自身が属するグループのGIDを無線通信装置1Bへ送信する(ステップS201)。
【0064】
次に、無線通信装置1Bは、各無線機から受信されたUID及びGIDを記憶部500Bのテーブル503へ記憶する(ステップS202)なお、テーブル503は、各無線機のUIDとGIDとを対応付けて記憶するテーブルである。本例では、図5のテーブル503に示されるように、無線機A100、無線機B200、無線機C101、及び無線機D102のGIDは300と記憶され、無線機E103のGIDは400と記憶される。
【0065】
次に、無線機A100のユーザは、拡声機能を使用するため、無線機A100の図示しない拡声ボタンを押下する(ステップS203a)。拡声ボタンが押下されると無線機A100は、自身のGID(300)を含む拡声機能開始通知を無線通信装置1Bへ送信する(ステップS203b)。すなわち、無線通信装置1Bは、第1の受信部10により、無線機A100のGIDを含む拡声機能開始通知を無線機A100から受信する。
【0066】
次に、無線通信装置1Bは、ステップS203bで受信した拡声機能開始通知に含まれるGID(300)を記憶部500Bのテーブル504へ記憶する(ステップS204)。なお、テーブル504は、拡声機能を使用中の無線機のGIDを記憶するテーブルである。
【0067】
ステップS205~S207は、図4BのステップS105~S107と同様であり、説明を省略する。
【0068】
次に、無線通信装置1Bは、取得部30Bにより、テーブル504を参照して、拡声機能を使用中の無線機のGIDとして記憶されている300を取得する。また、無線通信装置1Bは、取得部30Bにより、テーブル503を参照して、Individual Call発呼許可要求の発呼先である無線機C101のGIDとして300を取得する。そして、無線通信装置1Bは、判定部40Bにより、拡声機能を使用中の無線機のGIDとIndividual Call発呼許可要求の発呼先である無線機C101のGIDとが同一であると判定する。これにより、無線通信装置1Bは、判定部40Bにより、無線機B200のIndividual Call発呼許可要求に対して発呼不許可と判定する(ステップS208)。
【0069】
ステップS209~S211は、図4BのステップS109~S111と同様であり、説明を省略する。
【0070】
無線通信装置1Bは、拡声機能終了通知を受信すると、ステップS205で送信した拡声機能開始確認により開始された拡声機能が終了したと判断し、テーブル504に拡声機能使用中無線機のGIDとして記録されている300をクリアする(ステップS212)。
【0071】
なお、ステップS207において、無線通信装置1Bが、無線機E103を発呼先としたIndividual Call発呼許可要求を受信した場合には、拡声機能使用中無線機のGIDである300と無線機E103のGIDである400とが異なる。このため、無線通信装置1Bは、Individual Call発呼許可を無線機B200へ送信する。これにより、Individual Call発呼許可を受信した無線機B200は、無線機E103を発呼先としたIndividual Callを発呼する。
【0072】
以上のように、本実施の形態2にかかる無線通信装置1Bは、第1の無線機から拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、第2の無線機へのIndividual Call発呼許可要求を第3の無線機から受信したかを判断する構成としている。また、無線通信装置1Bは、拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合、拡声機能を使用中のGIDとIndividual Call発呼許可要求の発呼先の無線機のGIDとが一致するか否かを判定する。また、無線通信装置1Bは、両者のGIDが一致するときには、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定し、Individual Call発呼許可要求に対して不許可であることを示す回答を第3の無線機へ送信する構成としている。これにより、本実施の形態2にかかる無線通信装置1Bでは、第1の無線機で拡声機能を使用している間は、第1の無線機と同一のグループの無線機における個別音声通信の受信を抑制制御することができる。このため、無線通信装置1Bは、第1の無線機の拡声機能による拡声音声の伝達に不都合が生じることを抑えることができる。
【0073】
なお、本実施の形態2が実施されるケースとしては、例えば、以下のような場合である。チーム等の特定の単位で同一のGIDを有することが一般に想定される。無線機A100のユーザは、無線機A100と同一のGIDが設定されているチームのメンバーに対して音声伝達を行いたいと考える。また、無線機A100のユーザは、チームのメンバーが拡声機能による拡声音声が聞こえる範囲に集まっていることを認識する。このような場合、無線通信によるトラフィックを軽減するために、無線機A100のユーザは、無線機A100により、Group Callを行う代わりに拡声機能による音声伝達を行う。
【0074】
また、無線機A100のユーザが拡声機能による音声伝達を行っている間に、無線機B200のユーザは、無線機C101に対しIndividual Callをしようと考え、Individual Call発呼許可要求を送信する。この場合、無線機C101は拡声機能を使用している無線機A100と同一のグループであるため、無線通信装置1Bは、無線機C101に対する無線機B200のIndividual Callを抑制制御する。これにより、無線機A100は、無線トラフィックは使用していないが、拡声機能によって仮想的に無線トラフィックを使用しているが如くチームのメンバーに対して音声伝達を行うことができる。
【0075】
実施の形態2の変形例
続いて、実施の形態2の変形例について説明する。実施の形態2は、個別音声通信を抑制することについての実施の形態であったが、実施の形態2の変形例は、グループ音声通信を抑制することについての実施の形態である。
【0076】
実施の形態2の変形例にかかる無線システム1000Cは、無線通信装置1Cと、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E103と、記憶部500Bと、を備えている。なお、無線システム1000Cの構成は、図1の無線システム1000の構成と同様であり、図示を省略する。
【0077】
本例では、無線機A100、無線機B200、無線機C101、及び無線機D102には、同一のGIDとして300が設定されているものとする。
【0078】
続いて、無線通信装置1Cの構成について説明する。無線通信装置1Cは、第1の受信部10と、第2の受信部20Aと、取得部30Cと、判定部40Cと、送信部50Aと、を備えている。なお、無線通信装置1Cの構成は、図2の無線通信装置1の構成と同様であり、図示を省略する。
【0079】
取得部30Cは、第1の無線機が属するグループのIDである第1GIDと、Group Callの宛先のグループのIDである第2GIDとを取得する。また、取得部30Cは、第1GID及び第2GIDを判定部40Cへ出力する。
【0080】
判定部40Cは、所定の機能の開始通知を受信してから所定の機能の終了通知を受信するまでの間に、Group Call発呼許可要求を受信した場合、取得部30Cから受け取った第1GID及び第2GIDを参照する。そして、判定部40Cは、第1GIDと第2GIDとが一致するときには、Group Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。判定部40Cは、Group Call発呼許可要求に対する判定結果を送信部50Aへ出力する。
【0081】
続いて、具体例について説明する。無線通信装置1Cは、第1の受信部10により無線機A100から拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、第2の受信部20AによりGIDが300であるグループへのGroup Call発呼許可要求を無線機B200から受信したとする。この場合、無線通信装置1Cは、取得部30Cにより、無線機A100が属するグループのGIDである300と、Group Callの宛先のグループのIDである300とを取得する。
【0082】
次に、無線通信装置1Cは、判定部40Cにより、無線機A100が属するグループのGIDである300と、Group Callの宛先のグループのIDである300とが一致するため、Group Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。
【0083】
そして、無線通信装置1Cは、送信部50Aにより、不許可としたGroup Call発呼許可要求に対する回答を無線機B200へ送信する。
【0084】
以上のように、本実施の形態2の変形例にかかる無線通信装置1Cは、上述した構成を備えることにより、第1の無線機で所定の機能を使用している間は、第1の無線機と同じグループに属する複数の第2の無線機へのGroup Callの発呼を不許可にすることができる。このため、第1の無線機の所定の機能が、第2の無線機の音声再生によって妨げられることを防ぐことができる。
【0085】
実施の形態3
続いて、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態1の距離に基づく個別音声通信の抑制と、実施の形態2のGIDに基づく個別音声通信の抑制とを組み合わせた実施の形態である。
【0086】
実施の形態3にかかる無線システム1000Dは、無線通信装置1Dと、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E103と、記憶部500Dと、を備えている。なお、無線システム1000Dの構成は、図1の無線システム1000の構成と同様であり、図示を省略する。なお、本例では、無線機A100、無線機B200、無線機C101、及び無線機D102には、同一のGIDが設定されているものとする。
【0087】
続いて、無線通信装置1Dの構成について説明する。無線通信装置1Dは、第1の受信部10と、第2の受信部20と、取得部30Dと、判定部40Dと、送信部50と、を備えている。なお、無線通信装置1Dの構成は、図2の無線通信装置1の構成と同様であり、図示を省略する。
【0088】
取得部30Dは、実施の形態1の取得部30の機能、及び実施の形態2の取得部30Bの機能の両方を併せ持つ取得部である。すなわち、取得部30Dは、第1の無線機と第2の無線機との間の距離と、第1の無線機が属するグループのIDである第1GIDと、第2の無線機が属するグループのIDである第2GIDとを取得する。また、取得部30Dは、取得された距離、第1GID、及び第2GIDを判定部40Dへ出力する。
【0089】
判定部40Dは、所定の機能の開始通知を受信してから所定の機能の終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合、取得部30Dから受け取った距離、第1GID、及び第2GIDを参照する。そして、判定部40Dは、取得部30Dから受け取った距離が所定距離以内か否か及び第1GIDと第2GIDとが一致するか否かに基づいて、Individual Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定する。例えば、判定部40Dは、取得部30Dから受け取った距離が所定距離以内であり、且つ第1GIDと第2GIDとが一致する場合に、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。なお、判定部40Dは、取得部30Dから受け取った距離が所定距離以内であること、及び第1GIDと第2GIDとが一致することのいずれか一方を満たす場合に、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定するようにしてもよい。判定部40Dは、Individual Call発呼許可要求に対する判定結果を送信部50へ出力する。
【0090】
続いて、図7図8A及び図8Bを用いて、実施の形態3の具体例について説明する。なお、この例では、無線機C101が第2の無線機であり、無線機B200が第3の無線機である。
【0091】
図8A及び図8Bのシーケンス図を用いて、無線システム1000Dの処理の流れの具体例を説明する。まず、各無線機は、電源がオンされると、定期的に自身の位置情報を取得し、位置情報、自身を特定するUID、及び自身が属するグループのGIDを無線通信装置1Dへ送信する(ステップS301)。
【0092】
次に、無線通信装置1Dは、各無線機から受信された位置情報、UID、及びGIDを記憶部500Dのテーブル505へ記憶する(ステップS302)。なお、テーブル505は、各無線機のUIDと位置情報とGIDとを対応付けて記憶するテーブルである。
【0093】
次に、無線機A100のユーザは、拡声機能を使用するため、無線機A100の図示しない拡声ボタンを押下する(ステップS303a)。拡声ボタンが押下されると無線機A100は、自身のUID(100)及びGID(300)を含む拡声機能開始通知を無線通信装置1Dへ送信する。すなわち、無線通信装置1Dは、第1の受信部10により、無線機A100のUID及びGIDを含む拡声機能開始通知を無線機A100から受信する(ステップS303b)。
【0094】
次に、無線通信装置1Dは、ステップS303bで受信した拡声機能開始通知に含まれるUID(100)、GID(300)を、それぞれ記憶部500Dのテーブル502、テーブル504へ記憶する(ステップS304)。
【0095】
ステップS305~S307は、図4BのステップS105~S107と同様であり、説明を省略する。
【0096】
次に、無線通信装置1Dは、判定部40Dにより、テーブル502を参照して無線機A100で拡声機能が使用されていると判断する。また、無線通信装置1Dは、取得部30Dにより、テーブル505を参照して、無線機A100の位置(地点A)とIndividual Callの発呼先である無線機C101の位置(地点C)との距離を取得する。そして、無線通信装置1Dは、判定部40Dにより、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離が所定距離以内か否かを判定する。本例では、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離は10m以内であるため、無線通信装置1Dは、判定部40Dにより、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離は所定距離以内であると判定する。
【0097】
また、無線通信装置1Dは、取得部30Dにより、テーブル504を参照して、拡声機能を使用中の無線機のGIDとして記憶されている300を取得する。また、無線通信装置1Dは、取得部30Dにより、テーブル505を参照して、Individual Call発呼許可要求の発呼先である無線機C101のGIDとして300を取得する。そして、無線通信装置1Dは、判定部40Dにより、拡声機能使用中無線機のGIDとIndividual Call発呼許可要求の発呼先である無線機C101のGIDとが同一であると判定する。
【0098】
すなわち、無線機A100の位置と無線機C101の位置との距離が所定距離以内であり、且つ拡声機能使用中無線機のGIDと発呼先の無線機C101のGIDとが同一であるため、無線通信装置1Dは、発呼不許可と判定する(ステップS308)。
【0099】
ステップS309~S311は、図4BのステップS109~S111と同様であり、説明を省略する。
【0100】
無線通信装置1Dは、拡声機能終了通知を受信すると、ステップS305で送信した拡声機能開始確認により開始された拡声機能が終了したと判断し、テーブル502のUID(100)及びテーブル504のGID(300)をクリアする(ステップS312)。
【0101】
以上のように、本実施の形態3にかかる無線通信装置1Dは、第1の無線機から拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、第2の無線機へのIndividual Call発呼許可要求を第3の無線機から受信したかを判断する構成としている。また、無線通信装置1Dは、拡声機能の開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間に、Individual Call発呼許可要求を受信した場合、第1の無線機と第2の無線機との間の距離が所定距離以内か否かを判定する。また、この場合に、拡声機能使用中のGIDとIndividual Call発呼許可要求の発呼先の無線機のGIDとが一致するか否かも判定する。さらに、無線通信装置1Dは、距離の判定結果及びGIDの判定結果に基づいて、Individual Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定する構成としている。例えば、第1の無線機と第2の無線機との間の距離が所定距離以内であり、且つ拡声機能使用中のGIDとIndividual Call発呼許可要求の発呼先の無線機のGIDとが一致する場合に、Individual Call発呼許可要求に対して不許可と判定する。これにより、無線通信装置1Dでは、第1の無線機で拡声機能を使用している間は、第1の無線機との距離が所定距離以内であり、且つ第1の無線機と同一のグループの無線機における個別音声通信の受信を抑制制御することができる。すなわち、無線通信装置1Dは、第1の無線機と同一のグループの無線機であっても、第1の無線機との距離が所定距離以内ではない無線機に対する発呼許可要求は許可しつつ、第1の無線機による拡声音声の伝達に不都合が生じることを抑えることができる。
【0102】
実施の形態3の変形例
続いて、実施の形態3の変形例について説明する。実施の形態3は、個別音声通信を抑制することについての実施の形態であったが、実施の形態3の変形例は、グループ音声通信を抑制することについての実施の形態である。
【0103】
実施の形態3の変形例にかかる無線システム1000Eは、無線通信装置1Eと、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E103と、記憶部500Dと、を備えている。なお、無線システム1000Eの構成は、図1の無線システム1000の構成と同様であり、図示を省略する。
【0104】
続いて、無線通信装置1Eの構成について説明する。無線通信装置1Eは、第1の受信部10と、第2の受信部20Aと、取得部30Eと、判定部40Eと、送信部50Aと、を備えている。なお、無線通信装置1Eの構成は、図2の無線通信装置1の構成と同様であり、図示を省略する。
【0105】
取得部30Eは、第1の無線機と複数の第2の無線機との間の各距離と、第1の無線機が属するグループのIDである第1GIDと、Group Callの宛先のグループのIDである第2GIDとを取得する。また、取得部30Eは、取得された各距離、第1GID、及び第2GIDを判定部40Eへ出力する。
【0106】
判定部40Eは、所定の機能の開始通知を受信してから所定の機能の終了通知を受信するまでの間に、Group Call発呼許可要求を受信した場合、取得部30Eから受け取った各距離、第1GID、及び第2GIDを参照する。そして、判定部40Eは、取得部30Eから受け取った各距離が所定距離以内か否か及び第1GIDと第2GIDとが一致するか否かに基づいて、Group Call発呼許可要求に対して不許可とするか許可とするかを判定する。判定の方法は、実施の形態3と同様であり説明を省略する。そして、判定部40Eは、Group Call発呼許可要求に対する判定結果を送信部50Aへ送信する。
【0107】
以上のように、本実施の形態3の変形例にかかる無線通信装置1Eは、上述した構成を備えることにより、各距離の判定結果及びGIDの判定結果に基づいて、Group Call発呼許可要求に対して不許可と判定することができる。このため、第1の無線機の所定の機能が、第2の無線機の音声再生によって妨げられることを防ぐことができる。
【0108】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B、1C、1D、1E 無線通信装置
10 第1の受信部
20、20A 第2の受信部
30、30A、30B、30C、30D、30E 取得部
40、40A、40B、40C、40D、40E 判定部
50、50A 送信部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B