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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】駐車支援方法及び駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20231011BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20231011BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 351
B60R99/00 330
G08G1/16 D
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021543917
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2019035199
(87)【国際公開番号】W WO2021044616
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康啓
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕介
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237511(JP,A)
【文献】特開2014-004930(JP,A)
【文献】特開2006-008009(JP,A)
【文献】特開2005-014778(JP,A)
【文献】特開2019-128643(JP,A)
【文献】特開2019-119234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
B60R 25/00 - 99/00
B60K 35/00 - 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標とする駐車スペースに自車両を駐車させるための駐車支援を行うコントローラを備えた駐車支援装置の駐車支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車両が駐車可能な駐車スペースを検出し、
前記自車両が手動運転により移動している場合に、移動中の前記自車両の現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペース、前記自車両を後退移動のみで駐車させる第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定し、
前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に、乗員に対して、前記第1駐車制御の実行の選択が受け付け可能であることを提示し、
前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースではないと判定した場合に、前記乗員に対して、前進移動及び後退移動で前記自車両を前記駐車スペースに駐車させる第2駐車制御の実行の選択が受け付け可能であることを提示する、駐車支援方法。
【請求項2】
前記自車両を後退移動のみで前記駐車スペースに駐車させる前記第1駐車制御と、前記自車両を前進移動及び後退移動で前記駐車スペースに駐車させる第2駐車制御との二つの制御のうち、いずれか一方の制御により前記自車両の駐車支援を行う前記コントローラを備えた駐車支援装置の駐車支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車両が手動運転により移動している場合に、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記自車両が前記第1駐車制御によって駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定し、
前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に、前記乗員からの前記第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能とする、請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項3】
前記コントローラは、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースではないと判定した場合に、前記第1駐車制御の実行の選択を受け付けない、請求項1又は2に記載の駐車支援方法。
【請求項4】
前記コントローラは、
移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定し、
前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に判定結果を記憶し、
前記判定結果を記憶した後に、前記自車両の走行結果に基づいて駐車制御を開始すると判定した場合に、前記第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項5】
前記コントローラは、
手動駐車が実行されているか否かを判定し、
手動駐車が実行されていると判定した場合に、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能とした場合に、前記乗員の前記第1駐車制御の実行の選択に応じて、前記自車両の後退移動のために設定した経路に沿って前記自車両が走行するための前記第1駐車制御を実行する、請求項1~5のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記自車両が手動運転により移動している場合に、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記自車両を前進移動及び後退移動で駐車させる前記第2駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定し、
前記駐車スペースが、前記第2駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に、前記乗員からの前記第2駐車制御の実行の選択を受け付け可能とし、
前記第2駐車制御の実行の選択を受け付け可能とした場合に、前記乗員の前記第2駐車制御の実行の選択に応じて、前記自車両の前進移動及び後退移動のために設定した経路に沿って前記自車両が走行するための前記第2駐車制御を実行する、請求項1~6のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項8】
前記駐車支援装置に設けられたディスプレイは、前記自車両の前記乗員に案内情報を提示し、
前記ディスプレイは、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合のみ、前記第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報を前記案内情報として提示する、請求項1~7のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項9】
前記駐車支援装置に設けられたディスプレイは、前記自車両の前記乗員に案内情報を提示し、
前記ディスプレイは、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合には、前記第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報と、前記自車両を前進移動及び後退移動で前記駐車スペースに駐車させる前記第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報との両方を前記案内情報として提示する、請求項1~7のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項10】
前記駐車支援装置に設けられたディスプレイは、前記自車両の前記乗員に案内情報を提示し、
前記ディスプレイは、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースではないと判定した場合には、前記第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報とは異なる表示形態により、前記自車両を前進移動及び後退移動で前記駐車スペースに駐車させる前記第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報を提示する、請求項1~9のいずれか一項に駐車支援方法。
【請求項11】
前記ディスプレイは、
移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合には、前記第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す前記第1案内情報を提示し、
移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースではないと判定した場合には、前記自車両を前進移動及び後退移動で目標とする前記駐車スペースに駐車させる前記第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報を提示し、
前記第1案内情報と前記第2案内情報とを、互いに異なる表示態様で表示する、請求項8~10のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項12】
前記ディスプレイは、前記第1案内情報と前記第2案内情報とを、互いに色が異なる表示態様で表示する、請求項11に記載の駐車支援方法。
【請求項13】
前記ディスプレイは、前記第1案内情報と前記第2案内情報とを、互いに表示位置が異なる表示態様で表示する、請求項11又は12に記載の駐車支援方法。
【請求項14】
前記コントローラは、
移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に、前記自車両が停止したか否かを判定し、
前記自車両が停止していないと判定した場合に、前記ディスプレイは、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースが表示されている領域とは異なる位置に、前記第1案内情報を提示する、請求項8~13のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項15】
前記コントローラは、
移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に、前記自車両が停止したか否かを判定し、
前記自車両が停止したと判定した場合に、前記ディスプレイは、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースが表示されている領域に前記第1案内情報を提示する、請求項8~14のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項16】
前記コントローラは、移動中の前記自車両に対する前記駐車スペースの位置及び向きのいずれか一方又は両方に基づいて、前記自車両が前記第1駐車制御によって前記駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する、請求項1~15のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項17】
前記コントローラは、前記自車両の移動軌跡に基づいて、手動駐車が実行されていると判定した場合に、移動中の前記自車両が前記第1駐車制御によって前記駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する、請求項1~16のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項18】
前記コントローラは、前記自車両のギアチェンジの操作に基づいて、手動駐車が実行されていると判定した場合に、移動中の前記自車両が前記第1駐車制御によって前記駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する、請求項1~16のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項19】
目標とする駐車スペースに自車両を駐車させるための駐車支援を行うコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースを検出し、
前記自車両が手動運転により移動している場合に、移動中の前記自車両の現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペース、前記自車両を後退移動のみで駐車させる第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定する駐車判定部を有し、
前記駐車判定部が、前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースであると判定した場合に、乗員に対して、前記第1駐車制御の実行の選択が受け付け可能であることを提示し、
前記駐車判定部が、前記駐車スペースが、前記第1駐車制御によって前記自車両が駐車可能な前記駐車スペースではないと判定した場合に、前記乗員に対して、前進移動及び後退移動で前記自車両を前記駐車スペースに駐車させる第2駐車制御の実行の選択が受け付け可能であることを提示する、駐車支援装置。
【請求項20】
前記第1駐車制御は、前記コントローラが、前記自車両の操舵アクチュエータ及びアクセルアクチュエータを制御することで前記自車両を前記駐車スペースに後退移動のみで駐車させる制御である、請求項1~18のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項21】
前記コントローラは、自動駐車機能を実行する自動駐車制御部を起動した後に前記自車両が手動運転により移動している場合に、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記自車両が前記第1駐車制御によって駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定する、請求項1~18のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【請求項22】
前記コントローラは、前記駐車スペースの駐車枠を検知する目標駐車枠検知部を起動した後に前記自車両が手動運転により移動している場合に、移動中の前記自車両の前記現在位置に基づいて、検出した前記駐車スペースが、前記自車両が前記第1駐車制御によって駐車可能な前記駐車スペースであるか否かを判定する、請求項1~18のいずれか一項に記載の駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の駐車を支援する駐車支援方法及び駐車支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の駐車支援システムでは、複数の駐車スペースの中から自車両にとって最も有利な駐車スペースを選択する。そして、この駐車支援システムは、選択した駐車スペースに自車両が駐車することができるように、自車両の駐車動作の開始から駐車の完了までの間、自動駐車機能を実行して、自車両の駐車を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/143033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の駐車支援システムでは、複数の駐車スペースそれぞれへの駐車軌跡に基づいて駐車時間を比較し、駐車時間が短い駐車スペースを強調して表示しているものの、駐車制御に含まれる駐車動作が駐車時間に大きく影響する点を考慮していなかった。つまり、特許文献1の駐車支援システムでは、目標とする駐車スペースが、前進移動及び後退移動が必要な駐車スペースか、又は、後退移動のみを必要とする駐車スペースかを検出しておらず、その結果、駐車制御に不要な駐車動作が含まれることになり、駐車時間が長くなることがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、目標とする駐車スペースが後退移動のみで駐車可能な駐車スペースか否かを判定することで、不要な前進移動を省き、駐車時間が長くなることを抑制することができる駐車支援方法及び駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駐車支援方法及び駐車支援装置は、移動中の自車両の現在位置に基づいて、検出した駐車スペース、自車両が後退移動のみで駐車可能な駐車スペースであると判定した場合に、乗員に対して、後退移動のみで自車両を駐車スペースに駐車させるための第1駐車制御の実行が受け付け可能であることを提示し、検出した駐車スペースが、第1駐車制御によって自車両が駐車可能な駐車スペースではないと判定した場合に、乗員に対して、前進移動及び後退移動で自車両を駐車スペースに駐車させる第2駐車制御の実行の選択が受け付け可能であることを提示することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車支援装置は、目標とする駐車スペースに対して後退移動のみの駐車制御が実行可能な場合に、後退移動のみの駐車制御を受け付けることができるため、不要な前進移動を省くことができ、駐車時間が長くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る駐車支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る駐車支援方法を示すフローチャートである。
図3図2に示す駐車支援方法における自車両と目標駐車スペースとの位置関係を示す図である。
図4図2に示す駐車支援方法において、第1案内情報を提示する画面を右側に、第2案内情報を提示する画面を左側に示す図である。
図5】第1駐車制御を実行した場合の駐車動作時間と第2駐車制御を実行した場合の駐車動作時間とを比較したグラフを示す図である。
図6図2に示す駐車支援方法において、第1案内情報を提示する画面を右側に、第2案内情報を提示する画面を左側に示す図であって、第1案内情報及び第2案内情報の表示態様の別例を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る駐車支援方法を示すフローチャートである。
図8図7に示す駐車支援方法において、第1案内情報及び第2案内情報の両方を提示する画面を右側に、第2案内情報を提示する画面を左側に示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る駐車支援方法を示すフローチャートである。
図10図9に示す駐車支援方法において、自車両の走行時に第1案内情報又は第2案内情報を画面上に提示するための表示態様を示す図である。
図11図9に示す駐車支援方法において、自車両の停止時に第1案内情報又は第2案内情報を画面上に提示するための表示態様を示す図である。
図12図9に示す駐車支援方法において、駐車可能な駐車スペースの検出状況と第1案内情報及び第2案内情報とをナビゲーション画面上に提示するための表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態に係る駐車支援装置100及び駐車支援装置100を用いた駐車支援方法について図1~5に基づいて説明する。
まず、図1を用いて、車両に搭載される駐車支援装置100の構成について説明する。駐車支援装置100は駐車支援処理の実行を制御するコントローラ15を備える。駐車支援装置100のコントローラ15は、一又は複数のコンピュータを備え、当該コンピュータにインストールされたソフトウェアを実行する。具体的に、駐車支援装置100のコントローラ15は、自車両が自律的に動作して、設定された目標駐車位置に駐車するための制御プログラムを格納したROMと、このROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとを有する。コントローラ15は、目標とする駐車スペースである目標駐車スペースに自車両を駐車させるための駐車支援を行う。また、コントローラ15は、自車両を後退移動のみで目標駐車スペースに駐車させる第1駐車制御と、自車両を前進移動及び後退移動で目標駐車スペースに駐車させる第2駐車制御との二つの制御のうち、いずれか一方の制御により自車両の駐車支援を行う。
【0010】
図1に示すように、駐車支援装置100は、コントローラ15とともに、自動駐車制御部10及び案内情報出力部12を有する。コントローラ15は、目標駐車枠設定部1、現在位置推定部3、目標駐車枠検知部4、駐車経路生成部5、自動駐車制御部10及び駐車判定部11を有する。なお、自車両の駐車モードが自動モードである時又は手動モードである時のいずれの場合であっても、目標駐車枠設定部1、現在位置推定部3、目標駐車枠検知部4、駐車経路生成部5、駐車判定部11及び案内情報出力部12は、各々の機能を実行する。
【0011】
また、自動駐車制御部10は、自車両の駐車モードが自動モードである間、自動駐車機能を実行して、自車両の操舵アクチュエータ及びアクセルアクチュエータを制御する。自動駐車制御部10は、駐車経路追従制御部6、操舵角制御部7、目標速度生成部8及び速度制御部9を有する。自動駐車制御部10は、コントローラ15の指令により、自車両を後退移動のみで目標とする駐車スペースに駐車させる第1駐車制御と、自車両を前進移動及び後退移動で目標とする駐車スペースに駐車させる第2駐車制御とのいずれか一方の制御を実行することが可能である。なお、自動駐車制御部10は、通常は第2駐車制御によって駐車支援を実行しており、ドライバにより第1駐車制御が選択され、コントローラ15を介して、その実行が指示された場合に限り、第1駐車制御によって駐車支援を実行する。
【0012】
目標駐車枠設定部1は、自車両の周辺に存在する駐車枠を探索する。駐車枠は、白線等の駐車区画線によって構成され、駐車スペースを画定する。駐車枠が複数検出された場合、目標駐車枠設定部1は、駐車可能な駐車枠の中からドライバに所望の駐車枠を選択させ、選択した目標駐車枠の位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を駐車経路生成部5に出力する。なお、目標駐車枠設定部1は、ドライバの選択によらず、自動で目標枠を設定してもよい。また、目標駐車枠の内側の領域は目標駐車スペースとして設定される。
【0013】
現在位置推定部3は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどを有する。現在位置推定部3は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、自車両の位置情報を周期的に取得する。そして、現在位置推定部3は、取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を推定する。現在位置推定部3により推定された自車両の位置情報は、所定時間間隔で駐車経路生成部5及び自動駐車制御部10の駐車経路追従制御部6に出力される。
【0014】
また、目標駐車枠検知部4は、自車両の周囲を撮影する複数のカメラ、ソナー又はレーダを有する。目標駐車枠検知部4は、目標駐車枠設定部1によって設定された目標駐車枠を検知し、目標駐車枠の形状や広さ等の情報を駐車経路生成部5及び駐車判定部11に出力する。
【0015】
駐車経路生成部5は、予め記憶されている自車両の特性(車幅、車長などの大きさ及び最小回転半径など)と、目標駐車枠設定部1及び目標駐車枠検知部4から取得した目標駐車枠(目標駐車スペース)の情報と、現在位置推定部3によって推定された現在位置の情報とに基づき、現在位置から目標駐車スペースに至る駐車経路を生成する。駐車経路生成部5は、駐車経路の情報を、自動駐車制御部10の駐車経路追従制御部6及び目標速度生成部8と駐車判定部11とに出力する。
【0016】
駐車判定部11は、駐車経路生成部5によって生成された駐車経路の情報に基づいて、自車両が第1駐車制御による後退移動のみで目標駐車スペースに駐車することが可能か否かを判定する。すなわち、駐車判定部11は、駐車経路生成部5によって生成された駐車経路上に1回以上の切り返しのための軌跡がある場合は、自車両は第2駐車制御により前進移動及び後退移動で目標とする駐車スペースに駐車する。よって、このような場合は、自車両は後退移動のみによる第1駐車制御では目標とする駐車スペースに駐車することができない、すなわち、駐車判定部11は、自車両が「第1駐車制御により現在位置から目標駐車スペースに駐車可能」ではないと判定する。駐車判定部11は、判定の結果を案内情報出力部12に出力する。
【0017】
案内情報出力部12は、自車両の現在位置情報、車両状態に関する情報、交通情報等、ドライバの運転等に利用される情報を出力するユーザインタフェースである。案内情報出力部12は、例えば、ナビゲーション画面に案内情報を表示するとともに、ドライバが画面に触れて操作することにより、各種の指示や選択を入力することができるタッチパネル式ディスプレイである。駐車判定部11によって、自車両は第1駐車制御により目標駐車スペースに駐車可能であると判定された場合には、案内情報出力部12は、第1駐車制御の実行が選択可能であること及び選択された制御の実行の指示が受け付け可能であることを示す案内情報を自車両の乗員に提示する。
【0018】
自動駐車制御部10の駐車経路追従制御部6は、駐車経路生成部5から取得した駐車経路の情報と、現在位置推定部3から取得した自車両の現在位置とに基づいて、自車両が駐車経路に追従するための目標操舵角を演算する。駐車経路追従制御部6は、所定時間間隔で、自車両の現在位置に応じて、目標操舵角を演算し、操舵角制御部7に出力する。操舵角制御部7は、駐車経路追従制御部6から取得した目標操舵角に基づいて、自車両の操舵アクチュエータを制御するための制御信号を生成する。
【0019】
また、自動駐車制御部10の目標速度生成部8は、駐車経路生成部5から取得した駐車経路の情報に基づいて、自車両が駐車経路に追従するための目標車速を演算し、速度制御部9に出力する。速度制御部9は、目標速度生成部8から取得した目標車速に基づいて、自車両のアクセルアクチュエータを制御するための制御信号を生成する。
【0020】
操舵角制御部7による操舵アクチュエータの制御と、速度制御部9によるアクセルアクチュエータの制御が同時に行われることにより、自車両は自律的に動作して、設定された目標駐車位置に駐車するように案内される。
【0021】
また、案内情報出力部12に提示された案内情報に基づいて、第1駐車制御の実行が選択された場合、すなわち、ドライバが自車両の駐車モードを手動モードから自動モードに切り替える指示を案内情報出力部12に入力するとともに、第1駐車制御の実行を選択して、コントローラ15にその実行指示が入力された場合は、自動駐車制御部10は第1駐車制御を実行する。また、ドライバが案内情報出力部12に自車両の駐車モードを自動モードに切り替える指示を入力した際に、第1駐車制御の実行を選択しなかった場合又は第2駐車制御の実行を選択した場合は、自動駐車制御部10は第2駐車制御を実行する。なお、本実施形態の自動駐車制御部10は、第2駐車制御をデフォルトの制御手法として設定し、第1駐車制御の実行が指示された場合に、第1駐車制御を実行するようにしてもよい。
【0022】
次に、駐車支援装置100による自車両の駐車支援方法の一例について、図2~4を用いて説明する。
まず、図2に示すステップS1において、駐車支援装置100は、自車両Vが駐車エリアにいるか否かを判定する。駐車エリアとは、一又は複数の駐車枠が設定された領域である。駐車支援装置100は、現在位置推定部3のGPSユニットを用いて推定した現在位置と、予め記憶された地図情報とを参照して、自車両Vが駐車エリアにいるか否かを判定することができる。また、駐車支援装置100は、カメラ、レーダ等の車載センサを用いて、周囲に他車両及び/又は駐車枠が整列していることが検出された場合に自車両Vが駐車エリアに存在していると判定してもよい。自車両Vが駐車エリア内にいない場合は、制御は終了する。
なお、このステップS1の代わりに、車両が所定車速以下(例えば、20km/h)になった場合に、自車両の目標駐車枠検知部4を起動するようにしてもよい。目標駐車枠検知部4を起動し、自車両の周囲に存在する自車両を駐車可能な駐車スペースを検出した場合に、制御がステップS2に移るようにしてもよい。自車両を駐車可能な駐車スペースを検出した場合、案内情報出力部12は、自車両を駐車可能な駐車スペースが存在することをドライバや乗員に教示するために、自車両を駐車可能な駐車スペースを特定の表示形態で表示するようにしてもよい。また、案内情報出力部12は、自車両を駐車可能な駐車スペースの中で、駐車時間が比較的短くて済む駐車スペースを、ドライバや乗員に推奨するために、その他の駐車スペースと区別して表示するようにしてもよい。
【0023】
ステップS2において、ドライバの手動運転によって手動駐車が実行されているか否かが判定される。手動駐車が実行されていることは、例えば、自車両Vの駐車モードが手動モードとなっている場合に、駐車支援装置100がドライバの意思を推定することにより判定する。具体的には、図3に示すように、自車両Vが駐車エリアPA内にいるとき、自車両Vの移動軌跡R0に基づいて、ドライバが現在位置Gで手動運転により切り返しを行っていること、すなわち、駐車スペース31,32,33のいずれかに駐車しようとしている駐車意思を推定し、手動駐車が実行されていることを判定することができる。また、ギアのポジション情報に基づいて、ドライバがギアチェンジの操作を行ったことが検出された場合にも、駐車支援装置100は、ドライバの駐車意思を推定し、手動駐車が実行されていることを判定することができる。なお、駐車エリアPAの中では、ドライバの駐車意思が推定されると判定されるまで、ステップS2の判定が随時実行される。
また、コントローラ15は、自車両Vの実際の移動軌跡又はギアチェンジの操作(ギアのポジション情報)と、自律的に自車両Vを駐車させたときの移動軌跡又はギアチェンジの操作(ギアのポジション情報)とを比較し、比較量が所定値以上である場合には、手動駐車が実行されていると判断するようにしてもよい。
なお、ステップS1の判定とステップS2の判定とは同時に行われてもよい。
【0024】
ステップS2において、ドライバの駐車意思が推定されると判定された場合、つまり、手動駐車が実行されていると判定された場合は、制御は、ステップS3に移る。ステップS3において、駐車支援装置100の目標駐車枠設定部1は、目標駐車スペースを設定する。目標駐車スペースは、目標駐車枠検知部4の車載カメラ、ソナー、レーダ等によって検出された目標駐車枠の内側に画定される。
【0025】
目標駐車枠設定部1は、自車両Vが最も少ない切り返し回数で駐車可能な駐車スペースを目標駐車スペースとして設定する。ここで、図3に示す例では、駐車支援装置100は、自車両Vが1回の切り返しで駐車スペースに移動して駐車を完了すると仮定した場合の、現在位置Gから駐車スペース31,32,33までの各々の移動軌跡R1,R2,R3を算出する。算出された移動軌跡R1,R2,R3の線形から切り返し回数を取得することができる。移動軌跡R1,R2,R3を比較すると、自車両Vが現在位置Gから移動軌跡R2,R3に沿って駐車スペース32,33に1回の切り返し操作で駐車をすることは困難であるが、自車両Vが移動軌跡R1に沿って駐車スペース31に1回の切替し操作で駐車をすることに困難性はない。すなわち、駐車スペース32,33に駐車するためには2回以上の切り返しが必要となるが、駐車スペース31に駐車するために必要な切り返しの回数は1回のみであるので、目標駐車枠設定部1は、駐車スペース31を目標駐車スペースとして設定する。
【0026】
なお、目標駐車枠設定部1は、切り返し回数の閾値を設定し、自車両Vが駐車を完了させるまでに実行すると推定される切り返し回数が閾値以下となる駐車スペースを目標駐車スペースとして設定してもよい。
また、目標駐車枠設定部1が選出した複数の駐車スペースの中から、ドライバの選択によって目標駐車スペースを設定してもよい。
【0027】
ステップS3において目標駐車スペースを設定した後、制御はステップS4に移り、駐車支援装置100は、自車両Vを後退移動のみで目標駐車スペース31に駐車させることができるか否かを判定する。すなわち、自車両Vがドライバの手動運転により走行している場合に、駐車支援装置100は、自車両Vが第1駐車制御により現在位置から目標駐車スペース31に駐車可能であるか否かを判定する。この判定は、自車両Vに対する目標駐車スペース31の位置及び向きのいずれか一方又は両方に基づいて実行される。具体的には、目標駐車スペース31の位置が自車両Vの後方位置から外れている場合は、自車両Vを第1駐車制御で目標駐車スペース31に駐車させることはできないと判定される。また、自車両Vの向きD1に対する目標駐車スペース31の向きD0の角度が所定角度以上である場合は、自車両Vを第1駐車制御で目標駐車スペース31に駐車させることはできないと判定される。なお、「自車両Vの向きD1に対する目標駐車スペース31の向きD0の角度が所定角度以上である場合」とは、現在位置における自車両Vの向きD1と目標駐車スペース31の向きD0とが異なり、自車両Vが許容される最大の操舵量で旋回しつつ後退移動を行った場合であっても目標駐車スペース31に移動することができない状態である場合をいう。なお、図3に示すように、目標駐車スペース31の向きD0とは、車両が目標駐車スペース31に入出車する際の進退方向である。
【0028】
ステップS4で、第1駐車制御では自車両Vは目標駐車スペース31に駐車することができないと判定された場合には、制御は、ステップS7に移る。駐車支援装置100は、第2駐車制御の実行の選択を受け付け可能となる。ステップS7において、駐車支援装置100の案内情報出力部12は、図4の左側に示すように、第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報を提示する。具体的には、案内情報出力部12のナビゲーション画面の右下に、緑色の第2制御選択ボタン22が第2案内情報として表示される。これにより、駐車支援装置100の自動駐車制御部10が、第2駐車制御の実行の選択を受け付け可能な状態(入力指令を待機している状態)となっていることが提示される。また、図4に示すナビゲーション画面では、駐車を補助するために目標駐車スペースとして選択された駐車スペース31がハイライトされて表示される。
なお、図4に示すナビゲーション画面は、自車両Vの上部の仮想視点から自車両Vを写した仮想視点画像である。案内情報出力部12としてのディスプレイは、図4に示すナビゲーション画面ととも、必要に応じて、バックビューカメラによる撮像画像や広域地図を表示してもよい。
【0029】
次に、制御は、ステップS7からステップS8に移り、ドライバが第2制御選択ボタン22を押して第2駐車制御を選択したか否かが判定される。ドライバが第2駐車制御を選択した場合、制御はステップS9に移り、駐車支援装置100は、第2駐車制御によって、自動モードで自車両Vの駐車支援を行う。具体的には、図4の左側に示すように、駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、自車両Vが前進移動Rf及び後退移動Rbによって目標駐車スペース31に駐車することができるように、自車両Vの駐車を支援する。すなわち、コントローラ15の駐車経路生成部5は、第2駐車制御の実行の選択を受け付け可能とした場合に、目標駐車スペース31に対し、自車両の前進移動のための経路Rf及び後退移動のための経路Rbを生成し、前進移動及び後退移動のための経路Rf,Rbに沿って自車両Vが走行するための制御を実行する。また、コントローラ15は、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能でないと判定した場合に、第1駐車制御の実行の選択を受け付けない。
【0030】
なお、第2制御選択ボタン22は、デッドマンスイッチ式のボタンとして構成される。よって、ドライバが第2制御選択ボタン22を押し続けている間は、自車両Vは自動モードによる駐車動作を行い、ドライバが第2制御選択ボタン22から指を離すと自車両Vの駐車動作は停止する。
また、ドライバがステップS8で第2駐車制御を選択しなかった場合は、自車両Vの駐車モードは手動モードのまま、駐車支援装置100はステップS4の判定を続行する。
【0031】
一方、ステップS4で、第1駐車制御を用いて自車両Vを目標駐車スペースに駐車させることが可能であると判定された場合には、制御は、ステップS5に移る。駐車支援装置100は、第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能となる。ステップS5において、駐車支援装置100の案内情報出力部12は、図4の右側に示すように、第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報を提示する。具体的には、案内情報出力部12のナビゲーション画面の右下に青色の第1制御選択ボタン21が第1案内情報として表示される。すなわち、自車両Vが目標駐車スペース31に対する切り返し位置まで手動の運転で移動した結果、第1駐車制御での駐車が可能になった時点で、ナビゲーション画面の右下に表示されたPマークボタンの表示態様が緑色(第2駐車制御の選択入力ボタン)から青色(第1駐車制御の選択入力ボタン)に切り替わる。これにより、駐車支援装置100の自動駐車制御部10が、第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能な状態(入力指令を待機している状態)となっていることが提示される。 なお、図4の右側に示すように、第1駐車制御を用いて自車両Vを目標駐車スペースに駐車させることが可能であると判定された場合には、第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報のみが案内情報として提示される。これにより、第1駐車制御を用いて自車両Vを目標駐車スペースに駐車させることが可能である場合には、ドライバが第2駐車制御を選択することが困難となるため、駐車時間が長くなることを抑制することができる。
【0032】
次に、制御は、ステップS5からステップS6に移り、ドライバが第1制御選択ボタン21を押して第1駐車制御を選択したか否かが判定される。ドライバが第1駐車制御を選択した場合、制御はステップS9に移り、駐車支援装置100は、第1駐車制御によって、自動モードで自車両Vの駐車支援を行う。具体的には、図4の右側に示すように、駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、自車両Vが後退移動Rbのみによって目標駐車スペース31に駐車することができるように、自車両Vの駐車を支援する。すなわち、コントローラ15の駐車経路生成部5は、第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能とした場合に、目標駐車スペース31に対し、自車両Vの後退移動のための経路Rbを生成し、後退移動のための経路Rbに沿って自車両Vが走行するための制御を実行する。
【0033】
なお、第1制御選択ボタン21は、第2制御選択ボタン22と同様に、デッドマンスイッチ式のボタンである。よって、ドライバが第1制御選択ボタン21を押し続けている間は、自車両Vは自動モードによる駐車動作を行い、ドライバが第1制御選択ボタン21から指を離すと自車両Vの駐車動作は停止する。
【0034】
以上より、本実施形態に係る駐車支援装置100及び駐車支援装置100を用いた駐車支援方法では、コントローラ15の駐車判定部11が、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能であると判定した場合には、自動駐車制御部10は、第1駐車制御の実行の選択が受け付け可能な状態となる。これにより、駐車支援装置100は、手動モードによる自車両の駐車が行われている途中であっても、ドライバの選択を反映して、後退移動による駐車動作のみに対する駐車支援を実行することができるようになる。
【0035】
また、駐車支援装置100のコントローラ15は、自車両Vを後退移動のみで目標駐車スペース31に駐車させる第1駐車制御と、自車両Vを前進移動及び後退移動で目標駐車スペース31に駐車させる第2駐車制御との二つの制御のうち、いずれか一方の制御により自車両Vの駐車支援を行う。これにより、駐車支援装置100は、自車両Vの駐車状況に応じて、第1駐車制御によって自車両Vの駐車支援を行うことも、第2駐車制御によって自車両Vの駐車支援を行うことも可能となる。
【0036】
ここで、第2駐車制御を実行した場合の駐車動作時間と第1駐車制御を実行した場合の駐車動作時間とを比較したグラフを図5に示す。
第2駐車制御による駐車支援を実行する場合には、駐車動作開始時刻t0において、まず、駐車支援装置100の自動駐車制御部10が起動する。そして、カメラ等の車載センサによって周辺の駐車枠が探索され、次に、目標駐車スペースの設定、切り返しを含む駐車経路の算出等の駐車設定が行われる。駐車設定の完了時刻を駐車支援開始時刻t1とする。そして、駐車支援開始時刻t1経過後、駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、自車両Vの前進移動、切り返し及び後退移動の支援を行う。最後に、駐車支援装置100は、目標駐車スペースでの自車両Vの停止確認及びシフトポジションの設定処理などの完了処理を実行した後、駐車動作完了時刻t2において、駐車動作を完了する。
【0037】
一方、第1駐車制御による駐車支援を実行する場合には、駐車動作開始時刻t0において、まず、ドライバの手動運転により駐車動作が開始され、切り返し位置までは、自車両Vは手動モードで前進移動を行う。この時、自車両Vの車速が、所定車速(例えば、20km/h)以下となったタイミングで、カメラ等の車載センサによって周辺の駐車枠の検出が開始される。そして、切り返し位置において、駐車支援装置100の自動駐車制御部10が起動する。そして、駐車支援装置100のコントローラ15は、駐車枠検出の結果に基づいて、駐車枠の探索を実行し、目標駐車スペースの設定及び後退移動に係る駐車経路の設定等の駐車設定を行う。駐車設定の完了時刻を駐車支援開始時刻T1とする。そして、駐車支援開始時刻T1経過後、駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、自車両Vの後退移動による駐車支援を行い、目標駐車スペースでの完了処理を実行した後、駐車動作完了時刻T2において、駐車動作を完了する。
【0038】
なお、第1駐車制御による駐車支援を実行する場合において、駐車動作開始時刻t0に、まず、駐車支援装置100の自動駐車制御部10が起動してもよい。駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、車速が所定車速(例えば、10km/h)の時に、起動するようにしてもよい。そして、カメラ等の車載センサによって周辺の駐車枠が探索され、次に、目標駐車スペースの設定、切り返しを含む駐車経路の算出等が行われる。ドライバの手動運転により駐車動作が開始され、切り返し位置までは、自車両Vは手動モードで前進移動を行う。自車両の動きや行われている操作より、算出された駐車経路に沿って走行しているか否かを判断してもよく、また、駐車経路に対する自車両の位置を判断することにより、ドライバの手動運転による駐車動作が行われているか判断するようにしてもよい。そして、切り返し位置に到達した場合に、自車両Vの後退移動の支援を行い、目標駐車スペースでの完了処理を実行した後、駐車動作完了時刻T2において、駐車動作を完了する。切り返し位置に到達した場合は、切り返し位置に到達したことを、車両の動き、操作、位置により判断し、自車両Vの後退移動の支援を開始するようにしてもよく、また、自車両の乗員が所定の入力や指示を車両に対して行った場合に、自車両Vの後退移動の支援を開始するようにしてもよい。
【0039】
第1駐車制御を実行したときの駐車動作開始時刻t0から駐車支援開始時刻T1までの時間は、第2駐車制御を実行したときの駐車動作開始時刻t0から駐車支援開始時刻t1までの時刻より短い。これは以下の理由(1)、(2)によるものである。
(1)第1駐車制御を実行する場合には、目標駐車スペースの切り返し位置まで、自車両Vを手動モードで前進移動させるため、駐車枠探索の実行時間が不要である。
(2)第1駐車制御を実行する場合には、駐車支援開始前に既に自車両Vが切り返し位置まで移動しているため、駐車設定のための時間が短縮される。
【0040】
また、第1駐車制御を実行したときの駐車支援開始時刻T1から駐車動作完了時刻T2までの時間は、第2駐車制御を実行したときの駐車支援開始時刻t1から駐車動作完了時刻t2までの時刻より短い。これは以下の理由(3)によるものである。
(3)第1駐車制御を実行する場合には、駐車支援装置100による前進移動及び切り返しのための駐車支援が不要である。
【0041】
従って、第1駐車制御を実行した場合の駐車動作時間(駐車動作開始時刻t0~駐車動作完了時刻T2)は、第2駐車制御を実行した場合の駐車動作時間(駐車動作開始時刻t0~駐車動作完了時刻t2)よりも短い。すなわち、本実施形態に係る駐車支援装置100及び駐車支援装置100を用いた駐車支援方法では、駐車動作にかかる時間を短縮させることができる。
【0042】
また、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能でないと判定された場合に、駐車支援装置100のコントローラ15は、第1駐車制御の実行の選択を受け付けない。これにより、後退移動のみでは自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができない場合は、第1駐車制御の実行の選択が制限され、自車両Vは、前進移動及び後退移動によって駐車を実行することになるため、駐車制御の実行の確実性を向上させることができる。
【0043】
また、駐車支援装置100のコントローラ15は、手動駐車が実行されているか否かを判定し、手動駐車が実行されていると判定した場合に、自車両Vが、第1駐車制御により、現在位置から、目標駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する。これにより、駐車支援装置100は、ドライバの選択に応じて、自車両Vの駐車モードを手動モードから自動モードにスムーズに切り替えて、自車両Vの駐車支援を行うことができる。
【0044】
駐車支援装置100のコントローラ15は、第1駐車制御の実行の選択を受け付け可能とした場合に、目標駐車スペース31に対し、自車両Vの後退移動のための経路Rbを生成し、後退移動のための経路Rbに沿って自車両Vが走行するための制御を実行する。これにより、駐車支援装置100は、後退移動のための経路Rbに沿って、よりスムーズに第1駐車制御を実行することができる。
【0045】
また、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能であると判定された場合にのみ、案内情報出力部12としてのディスプレイは、第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報の第1制御選択ボタン21を提示する。これにより、第1駐車制御の実行が可能な状況であるか否かを、ドライバが確認することができる。
【0046】
また、案内情報出力部12としてのディスプレイは、第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報の第1制御選択ボタン21と、第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報の第2制御選択ボタン22とを異なる色で表示する。これにより、自車両Vの位置に応じてボタンの表示態様のうち表示色が切り替わるため、第1駐車制御の実行が可能な状況であるか否かを、ドライバが視認により直感的に確認することができる。また、第1案内情報だけでなく、第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報も、各々、表示形態を変えて提示することにより、案内情報出力部12は、第2駐車制御によって駐車可能な駐車スペースの存在をドライバに教示することができる。
なお、本実施形態では、第1制御選択ボタン21は青色で表示され、第2制御選択ボタン22は緑色で表示されるが、これに限定されず、第1制御選択ボタン21及び第2制御選択ボタン22は、各々、識別可能な別の色で表示されてもよい。
【0047】
案内情報出力部12としてのディスプレイは、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能であると判定された場合のみ、第1案内情報の第1制御選択ボタン21を案内情報として提示する。これにより、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができないと判定された場合において、ドライバの誤操作等によって第1駐車制御の実行が選択されてしまうことを防止することができる。
【0048】
なお、第1駐車制御の実行が可能な状況であるか否かを、ドライバが視認により直感的に確認するためには、その他の方法によって、第2案内情報と第1案内情報とを、互いに異なる表示態様で表示させてもよい。具体的には、図6に示すように、ナビゲーション画面上における第1制御選択ボタン21の表示位置と第2制御選択ボタン22の表示位置とを異なる位置としてもよい。また、第1制御選択ボタン21の形状、大きさ、模様の表示態様と、第2制御選択ボタン22の形状、大きさ、模様の表示態様とを異なるものとしてもよい。また、第1駐車制御の実行が可能な状況になった場合に、第1制御選択ボタン21を点滅させて表示してもよい。
【0049】
また、図3に示すように、駐車判定部11は、自車両Vに対する目標駐車スペース31の位置及び向きのいずれか一方又は両方に基づいて、自車両Vが第1駐車制御により現在位置Gから目標駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する。これにより、第1駐車制御の実行が選択可能となる状況をより適切に判定することができる。
【0050】
また、駐車支援装置100のコントローラ15は、自車両Vの移動軌跡又はギアチェンジの操作(ギアのポジション情報)に基づいてドライバの駐車の意思を推定し、ドライバの手動運転により手動駐車が実行されていると判定する。ドライバが駐車をする意思があることが推定され、手動駐車が実行されていると判定された場合は、駐車判定部11は、自車両Vが第1駐車制御により現在位置から目標駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する。これにより、駐車支援装置100は、ドライバの駐車の意思を反映させた上で、効率よく第1駐車制御による駐車の可否を判定することができる。
【0051】
なお、本実施形態において、案内情報出力部12はナビゲーション画面を表示するディスプレイに限定されず、音声によって第2案内情報及び第1案内情報を出力するスピーカ等でもよい。また、ドライバが発声した指示が音声認識されることによって、第1駐車制御又は第2駐車制御の実行の選択が駐車支援装置100に入力されてもよい。これにより、第1駐車制御又は第2駐車制御の実行を選択する際に、ディスプレイをタッチして操作を行う必要がなくなるため、ドライバはより運転に集中することができる。
【0052】
また、第1制御選択ボタン21及び第2制御選択ボタン22は、デッドマンスイッチ式のボタンに限定されない。すなわち、ドライバが第1制御選択ボタン21又は第2制御選択ボタン22を1回タッチ操作するだけで、第1駐車制御又は第2駐車制御が継続的に実行されてもよい。さらに、ドライバが第1制御選択ボタン21又は第2制御選択ボタン22を再度タッチ操作するだけで、第1駐車制御又は第2駐車制御の実行が停止されてもよい。
【0053】
案内情報出力部12は、ドライバや乗員の所持する携帯端末であってもよい。すなわち、手動駐車の途中でドライバが自車両Vから降車し、携帯端末の操作画面を介して、リモート操作で第1駐車制御又は第2駐車制御の実行を選択してもよい。
【0054】
また、自車両Vを後退移動のみで目標駐車スペースに駐車させることができないと判定された場合であっても、所定距離だけ自車両Vを前進させることで第1駐車制御による駐車が可能となるような場合には、案内情報出力部12は、自車両Vを所定距離だけ前進させる前進指示を提示してもよい。所定距離は、数十センチ乃至数メートル程度の距離である。ドライバは、前進指示が提示された場合には、手動運転で車両を前進させてもよいし、自動駐車制御部10の制御の下に自動的に前進指示を実行させてもよい。案内情報出力部12は、前進指示を提示し、自車両Vの前進が実行された後に、第1案内情報を提示し、第1駐車制御の実行指示を受け付ける。自車両Vの前進が実行されたか否かは、位置の変化、シフトポジションの変化に基づいて判断することができる。
【0055】
また、本実施形態では、第2案内情報は、ステップS4で第1駐車制御による駐車が不可能であると判定された後に提示されているが、これに限定されない。すなわち、ステップS1で自車両Vが駐車エリア内にあると判定された後、又は、ステップS2でドライバの駐車の意思が推定された後に、デフォルトの制御手法である第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報を提示してもよい。
【0056】
また、図2に示すステップS4で、第1駐車制御を用いて自車両Vを目標駐車スペースに駐車させることが可能であると判定された場合には、駐車支援装置100のコントローラ15は、その判定結果を記憶してもよい。具体的には、目標駐車スペース31に対する判定結果は、駐車支援装置100が目標駐車スペース31を検出している途中のタイミング、手動駐車が実行されているタイミング、自車両Vが切り替えし位置で停止しているタイミング、及び、自車両Vの車速が低車速になったタイミングの各々において、所定周期で更新され、記憶される。そして、判定結果が記憶された後に、コントローラ15が、自車両Vの走行結果に基づいて駐車制御を開始すると判定した場合に、ドライバによる第1駐車制御の実行の選択を受け付けが可能となり、制御はステップS5に移る。なお、「自車両の走行結果に基づいて駐車制御を開始すると判定する」とは、切り返し位置での自車両Vの位置や姿勢、又は、駐車制御開始スイッチのONなどに基づいて、自動モードによる駐車支援が開始されると判定することをいう。
これにより、駐車支援装置100は、ドライバによる第1駐車制御の実行の選択を受け付けた後、記憶された判定結果を利用して、すぐに第1駐車制御を実行することができるため、駐車時間をより短縮することができる。
【0057】
また、駐車支援装置100のコントローラ15は、図2に示すステップS4で、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能でないと判定された後で、さらに、自車両Vが、第2駐車制御により、現在位置から、目標駐車スペース31に駐車可能であるか否かを判定してもよい。第2駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車可能であると判定された場合には、第2駐車制御の実行の選択が受け付け可能となる。第2駐車制御の実行の選択が受け付け可能となった場合に、駐車経路生成部5は、目標駐車スペース31に対し、自車両Vの前進移動のための経路Rf及び後退移動のための経路Rbを生成する。コントローラ15は、前進移動及び後退移動のための経路Rf,Rbに沿って自車両Vが走行するための制御を実行する。これにより、第1駐車制御によって自車両Vを目標駐車スペース31に駐車させることができない場合であっても、駐車支援装置100は、第2駐車制御によって、適切に自車両Vの駐車を支援することができる。
【0058】
また、第1駐車制御又は第2駐車制御の実行を選択するのは、ドライバに限定されず、自車両Vに同乗している乗員であってもよい。また、第1駐車制御又は第2駐車制御の実行の選択は、車外のユーザのリモート操作によって行われてもよい。
【0059】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態に係る駐車支援方法について、図7及び8に基づいて説明する。
なお、図1~6に示す符号と同一の符号に係る構成及び制御ステップについては、同一又は同様の特徴を有するものであるので、以下、詳細な説明は省略する。
【0060】
図7に示すように、ステップS4で、自車両Vが第1駐車制御により目標駐車スペースに駐車することが可能であると判定された場合には、制御は、ステップS15に移る。ステップS15において、駐車支援装置100の案内情報出力部12は、図8の右側に示すように、第2駐車制御又は第1駐車制御のうちのいずれか一方の実行を選択可能であることを示す案内情報を提示する。すなわち、案内情報出力部12は、自車両Vが第1駐車制御により目標駐車スペースに駐車することが可能であると判定された場合に、第1案内情報と第2案内情報との両方を案内情報として提示する。具体的には、案内情報出力部12は、ナビゲーション画面の右下に、第1制御選択ボタン21と第2制御選択ボタン22とを上下に並べて表示する。
【0061】
次に、制御は、ステップS15からステップS16に移り、ドライバが第1制御選択ボタン21又は第2制御選択ボタン22を押して第1駐車制御又は第2駐車制御を選択したか否かが判定される。ドライバが第1駐車制御又は第2駐車制御のいずれかを選択した場合、制御はステップS9に移り、駐車支援装置100は、選択した第1駐車制御又は第2駐車制御によって、自動モードで自車両Vの駐車支援を行う。すなわち、ステップS16でドライバが第1駐車制御を選択した場合は、自動駐車制御部10は、自車両Vに後退移動Rbのみを実行させ、目標駐車スペース31に自車両を駐車させる。また、ステップS16でドライバが第2駐車制御を選択した場合は、自動駐車制御部10は、自車両Vに前進移動Rfを実行させた後、切り返しと後退移動Rbを実行させ、目標駐車スペース31に自車両を駐車させる。
【0062】
以上より、本実施形態に係る駐車支援方法では、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペースに駐車可能であると判定された場合には、案内情報出力部12は、第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報と、自車両Vを前進移動及び後退移動で目標駐車スペース31に駐車させる第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報との両方を案内情報として提示する。これにより、後退移動のみによって駐車可能な状況であっても、駐車モードを自動モードに切り替える際に、前進及び後退移動が支援される第2駐車制御と、後退移動のみが支援され、駐車動作時間を短縮することができる第1駐車制御とを、ドライバの好みや運転状況に応じて選択することが可能となる。
【0063】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態に係る駐車支援方法について、図9~12に基づいて説明する。
なお、図1~8に示す符号と同一の符号に係る構成及び制御ステップについては、同一又は同様の特徴を有するものであるので、以下、詳細な説明は省略する。
まず、図9に示すステップS21において、駐車支援装置100は、自車両Vが駐車エリアにいるか否かを判定する。駐車エリアとは、一又は複数の駐車枠が設定された領域である。駐車支援装置100は、現在位置推定部3のGPSユニットを用いて推定した現在位置と、予め記憶された地図情報とを参照して、自車両Vが駐車エリアにいるか否かを判定することができる。また、駐車支援装置100は、カメラ、レーダ等の車載センサを用いて、周囲に他車両及び/又は駐車枠が整列していることが検出された場合に自車両Vが駐車エリアに存在していると判定してもよい。自車両Vが駐車エリア内にいない場合は、制御は終了する。このステップS21の代わりに、車両が所定車速以下(例えば、20km/h)になった場合に、自車両の目標駐車枠検知部4を起動するようにしてもよい。
【0064】
ステップS22において、目標駐車枠検知部4を起動し、自車両の周囲に存在する自車両を駐車可能な駐車スペースの検出を開始する。目標駐車枠検知部4が、自車両を駐車可能な駐車スペースを検出した場合に、制御は、ステップS23に移る。目標駐車枠検知部4が、自車両を駐車可能な駐車スペースを検出しない場合は、自車両を駐車可能な駐車スペースの検出が継続される。なお、ステップS21の判定とステップS22の判定とは同時に行われてもよい。
【0065】
ステップS22において、自車両を駐車可能な駐車スペースが検出された場合、制御は、ステップS23に移る。ステップS23において、案内情報出力部12は、自車両を駐車可能な駐車スペースが存在することをドライバや乗員に提示する。案内情報出力部12は、自車両を駐車可能な駐車スペースを特定の表示形態で表示する。また、案内情報出力部12は、自車両を駐車可能な駐車スペースの中で、駐車時間が比較的短くて済む駐車スペースを、ドライバや乗員に推奨するために、その他の駐車スペースと区別して表示するようにしてもよい。目標駐車スペースは、自車両を駐車可能な駐車スペースの中から選択され、設定される。目標駐車スペースは、案内情報出力部12に表示された情報に基づいてドライバが選択してもよく、駐車支援装置100によって自動的に設定されてもよい。
【0066】
ステップS23の後、制御はステップS24に移り、駐車支援装置100は、自車両を後退移動のみで目標駐車スペースに駐車させることができるか否かを判定する。すなわち、駐車支援装置100は、自車両が第1駐車制御により現在位置から目標駐車スペースに駐車可能であるか否かを判定する。この判定は、自車両Vに対する目標駐車スペースの位置及び向きのいずれか一方又は両方に基づいて実行される。
【0067】
ステップS24で、第1駐車制御では自車両Vは目標駐車スペースに駐車することができないと判定された場合には、制御は、ステップS27に移る。ステップS27において、駐車支援装置100の案内情報出力部12は、案内情報出力部12のナビゲーション画面に、第2駐車制御の実行が選択可能であることを示す第2案内情報を提示する。ここで、コントローラ15は、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができないと判定した場合に、自車両Vが停止したか否かを判定する。自車両Vが停止したか否かの判定結果によって、案内情報出力部12のナビゲーション画面での第2案内情報の表示形態は異なる。具体的には、自車両Vが停止していないと判定された場合、すなわち、徐行運転で走行している場合、図10に示す車両上部の仮想視点から写した仮想視点画像のように、案内情報出力部12のナビゲーション画面の上側に、緑色の第2制御選択ボタン22が第2案内情報として表示される。また、自車両が停止したと判定された場合、図11に示すように、案内情報出力部12のナビゲーション画面には、目標駐車スペース31の位置に合わせて、又は、目標駐車スペース31に重ねて、緑色の第2制御選択ボタン22が第2案内情報として提示される。すなわち、第2制御選択ボタン22は、目標駐車スペース31が表示されている領域に表示される。これにより、自車両Vが停止しているか否かに合わせて、案内情報出力部12は、第1駐車制御では自車両Vは目標駐車スペース31に駐車することができないこと及び第2駐車制御の実行が選択可能であることを乗員に提示する。
【0068】
また、図12に示す案内情報出力部12のナビゲーション画面における別の表示形態では、駐車スペースを検出したことを示す緑色の駐車スペース検出ボタン23が、地図画像の上で、第2案内情報として表示される。すなわち、自車両Vを駐車可能な駐車スペースが検出され、かつ、第1駐車制御では自車両Vは検出された駐車スペースのいずれにも駐車することができないと判定された場合には、駐車スペース検出ボタン23は、緑色に表示される。これによって、第1駐車制御の実行は選択することができないが、第2駐車制御の実行は選択可能であることが示される。
【0069】
次に、制御は、ステップS27からステップS28に移り、ドライバが第2制御選択ボタン22を押して第2駐車制御を選択したか否かが判定される。ドライバが第2駐車制御を選択した場合、制御はステップS29に移り、駐車支援装置100は、第2駐車制御によって、自動モードで自車両Vの駐車支援を行う。具体的には、図10,11の矢印Rf,Rbに示すように、駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、自車両Vが前進移動Rf及び後退移動Rbによって目標駐車スペース31に駐車することができるように、自車両Vの駐車を支援する。なお、第2制御選択ボタン22は、デッドマンスイッチ式のボタンとして構成してもよい。よって、ドライバが第2制御選択ボタン22を押し続けている間は、自車両Vは自動モードによる駐車動作を行い、ドライバが第2制御選択ボタン22から指を離すと自車両Vの駐車動作は停止する。
また、ドライバがステップS28で第2駐車制御を選択しなかった場合は、ステップS27における表示を継続してもよいし、自車両Vの駐車モードは手動モードのまま、駐車支援装置100はステップS24の判定を続行するようにしてもよい。
【0070】
一方、ステップS24で、第1駐車制御を用いて自車両Vを目標駐車スペースに駐車させることが可能であると判定された場合には、制御は、ステップS25に移る。ステップS25において、駐車支援装置100の案内情報出力部12は、第1駐車制御の実行が選択可能であることを示す第1案内情報を提示する。ここで、コントローラ15は、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができると判定した場合に、自車両Vが停止したか否かを判定する。自車両Vが停止したか否かの判定結果によって、案内情報出力部12のナビゲーション画面での第1案内情報の表示形態は異なる。具体的には、自車両Vが停止していないと判定された場合、すなわち、自車両Vが徐行運転で走行している場合、図10に示す車両上部の仮想視点から写した仮想視点画像のように、案内情報出力部12のナビゲーション画面の上側に、青色の第1制御選択ボタン21が第1案内情報として表示される。また、自車両が停止したと判定された場合、図11に示すように、案内情報出力部12のナビゲーション画面には、目標駐車スペース31の位置に合わせて、又は、目標駐車スペース31に重ねて、青色の第1制御選択ボタン21が第1案内情報として提示される。すなわち、第1制御選択ボタン21は、目標駐車スペース31が表示されている領域とは異なる位置に表示される。これにより、自車両Vが停止しているか否かに合わせて、案内情報出力部12は、自車両Vは第1駐車制御によって目標駐車スペース31に駐車することが可能であること及び第1駐車制御の実行が選択可能であることを乗員に提示する。
【0071】
また、図12に示す案内情報出力部12のナビゲーション画面における別の表示形態では、駐車スペースを検出したことを示す青色の駐車スペース検出ボタン23が、地図画像の上で、第1案内情報として表示される。すなわち、自車両Vを駐車可能な駐車スペースが検出され、かつ、第1駐車制御を用いて自車両Vを検出された駐車スペースのいずれかに駐車させることが可能であると判定された場合には、駐車スペース検出ボタン23は、第2案内情報を示す緑色とは異なる青色に表示される。これによって、第1駐車制御の実行が選択可能であることが示される。
なお、上述した、第2案内情報及び第1案内情報として表示される色は、区別できる色であれば、緑色や青色に限定されない。
【0072】
次に、制御は、ステップS25からステップS26に移り、ドライバが第1制御選択ボタン21を押して第1駐車制御を選択したか否かが判定される。ドライバが第1駐車制御を選択した場合、制御はステップS29に移り、駐車支援装置100は、第1駐車制御によって、自動モードで自車両Vの駐車支援を行う。具体的には、図10,11の矢印Rbに示すように、駐車支援装置100の自動駐車制御部10は、自車両Vが後退移動Rbのみによって目標駐車スペース31に駐車することができるように、自車両Vの駐車を支援する。なお、第1制御選択ボタン21は、第2制御選択ボタン22と同様に、デッドマンスイッチ式のボタンである。よって、ドライバが第1制御選択ボタン21を押し続けている間は、自車両Vは自動モードによる駐車動作を行い、ドライバが第1制御選択ボタン21から指を離すと自車両Vの駐車動作は停止する。
【0073】
以上より、本実施形態に係る駐車支援方法では、駐車支援装置100のコントローラ15は、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができると判定した場合に、自車両Vが停止したか否かを判定する。自車両Vが停止していないと判定された場合に、案内情報出力部12としてのディスプレイは、目標駐車スペース31が表示されている領域とは異なる位置に、第1案内情報の第1制御選択ボタン21を提示する。従って、自車両Vの走行中に、案内情報出力部12のナビゲーション画面上で、目標駐車スペース31の位置と第1制御選択ボタン21の位置とを重畳させる必要がない。そのため、自車両Vの移動に合わせてナビゲーション画面の表示が変化する場合でも、第1制御選択ボタン21は、ナビゲーション画面上の所定位置(画面の上側)に表示され(図10参照)、タイムラグによって生じる目標駐車スペース31との位置ずれの影響を受けない。よって、ドライバは、第1制御選択ボタン21を容易に把握することができる。
【0074】
また、自車両Vが停止していと判定された場合に、案内情報出力部12としてのディスプレイは、目標駐車スペース31が表示されている領域に、第1案内情報の第1制御選択ボタン21を提示する(図11参照)。このように、目標駐車スペース31と第1制御選択ボタン21とを重畳させて表示することにより、目標駐車スペース31の位置及び目標駐車スペース31が第1駐車制御によって駐車可能であることをより強調してドライバに提示することができる。なお、自車両Vが停止している場合は、ナビゲーション画面の表示も動かないため、タイムラグによって目標駐車スペース31と第1制御選択ボタン21との間に位置ずれが生じるおそれはない。
【0075】
本実施形態では、上述のように、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができないと判定された場合も、自車両Vが停止したか否かが判定され、判定結果によって第2案内情報の表示形態が異なる。しかしながら、これに限定されず、第1駐車制御によって自車両Vが目標駐車スペース31に駐車することができると判定された場合にのみ、自車両Vが停止したか否かが判定され、判定結果によって、第1案内情報のみが、図10又は図11に示すように表示されてもよい。
【0076】
なお、第3実施形態は、第1または第2実施形態と組み合わせて実施することが可能である。第3実施形態のステップS27、S25で第2案内情報又は第1案内情報を提示した後、制御を、図2又は図7に示すステップS2につなげて実行してもよい。また、ナビゲーション画面に、図4図6に示す第2案内情報又は第1案内情報を表示する場合、それまで表示されていた図11に示す案内情報や、図12に示す案内情報も、継続して表示させてもよい。また、図11に示す案内情報や、図12に示す案内情報を消して、図4図6に示す第2案内情報又は第1案内情報を案内情報出力部12のナビゲーション画面に表示するようにしてもよい。
【0077】
なお、案内情報出力部12のナビゲーション画面上の第1制御選択ボタン21及び第2制御選択ボタン22の表示は、図4,6,8,10,11に示すものに限定されない。例えば、自車両Vが駐車動作を実行している間は、図8の右側に示すように、第1制御選択ボタン21及び第2制御選択ボタン22を常に表示し、第1駐車制御の実行の選択が受け付け可能となった場合にのみ、第1制御選択ボタン21を操作することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
100…駐車支援装置
10…自動駐車制御部
11…駐車判定部
12…案内情報出力部(ディスプレイ)
15…コントローラ
21…第1制御選択ボタン(第1案内情報)
22…第2制御選択ボタン(第2案内情報)
23…駐車スペース検出ボタン(第1案内情報、第2案内情報)
31…目標駐車スペース
V…自車両
Rb…後退移動のための経路
Rf…前進移動のための経路
図1
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図5
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