(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20231011BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20231011BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20231011BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20231011BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H01L27/04 D
H01L21/88 Z
H01L27/04 A
(21)【出願番号】P 2021562407
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2019047688
(87)【国際公開番号】W WO2021111604
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 淳
(72)【発明者】
【氏名】武野 紘宜
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェンゼン
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0187642(US,A1)
【文献】特開平5-206420(JP,A)
【文献】特開平11-102910(JP,A)
【文献】特開2014-165358(JP,A)
【文献】国際公開第2019/194007(WO,A1)
【文献】特開昭53-26689(JP,A)
【文献】特開2009-302198(JP,A)
【文献】特開2012-44042(JP,A)
【文献】特開2011-159810(JP,A)
【文献】特開2000-223575(JP,A)
【文献】特開2018-190760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/3205
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の第1の面上に形成された第1の配線層と、を有する第1のチップと、
前記基板の前記第1の面とは反対側の第2の面上に形成された第2の配線層と、
を有し、
前記第2の配線層は、
第1の電源電位が供給される第1の電源線と、
第2の電源電位が供給される第2の電源線と、
第3の電源電位が供給される第3の電源線と、
前記第1の電源線と前記第2の電源線との間に接続された第1のスイッチと、
前記第1の電源線又は前記第3の電源線の一方上に設けられた第2のスイッチと、
を有し、
前記第1のチップは、
前記第1の電源線と前記第3の電源線との間に設けられた第1の回路を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2のスイッチは、前記第1の電源線上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2のスイッチは、
電気的に前記第1の回路側の第1の端子と、
電気的に前記第1の端子とは反対側の第2の端子と、
を有し、
前記第1のチップは、
前記第2の端子と、前記第1の電源線又は前記第3の電源線の他方との間に接続された第2の回路と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の回路は、
前記第1のスイッチを制御する第1の制御バッファと、
前記第2のスイッチを制御する第2の制御バッファと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の配線層は、
第4の電源電位が供給される第4の電源線と、
前記第3の電源線と前記第4の電源線との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1の電源線又は前記第3の電源線の他方上に設けられた第4のスイッチと、
を有し、
前記第1の回路は、前記第4の電源線と前記第
2の電源線との間に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の配線層は、
第4の電源電位が供給される第4の電源線と、
前記第3の電源線と前記第4の電源線との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1の電源線又は前記第3の電源線の他方上に設けられた第4のスイッチと、
を有し、
前記第1の回路は、前記第4の電源線と前記第
2の電源線との間に接続されており、
前記第2のスイッチは、
電気的に前記第1の回路側の第1の端子と、
電気的に前記第1の端子とは反対側の第2の端子と、
を有し、
前記第4のスイッチは、
電気的に前記第1の回路側の第3の端子と、
電気的に前記第3の端子とは反対側の第4の端子と、
を有し、
前記第1のチップは、前記第2の端子と前記第4の端子との間に接続された第2の回路を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4のスイッチは前記第3の電源線上に設けられ、
前記第2のスイッチは前記第1の電源線上に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の回路は、
前記第1のスイッチを制御する第1の制御バッファと、
前記第2のスイッチを制御する第2の制御バッファと、
前記第3のスイッチを制御する第3の制御バッファと、
前記第4のスイッチを制御する第4の制御バッファと、
を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3の電源線は、接地電位が供給される接地配線であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の電源線は、第1の配線及び第2の配線を有し、
前記第2の電源線は、第3の配線を有し、
前記第2のスイッチは、前記第1の配線と前記第2の配線との間に設けられ、
前記第1のスイッチは、前記第2の配線と前記第3の配線との間に設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の配線及び前記第2の配線は、平面視で第1の方向に延在し、
複数の前記第2のスイッチが、前記第1の方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の配線及び前記第3の配線は、平面視で前記第1の方向に延在し、
前記第2の配線と前記第3の配線は、平面視で前記第1の方向とは異なる第2の方向で交互に複数配置され、
前記第1のスイッチは、前記第2の配線と前記第3の配線との間に複数配置されている
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第3の電源線は、前記第1の配線、前記第2の配線及び前記第3の配線の上方に配置され、平面視で前記第2の方向に延在する第4の配線を有し、
前記第1の電源線は、前記第1の配線に接続し、前記第1の配線の上方に配置され、平面視で前記第2の方向に延在する第5の配線を有し、
前記第2の電源線は、前記第3の配線に接続し、前記第2の配線及び前記第3の配線の上方に配置され、平面視で前記第2の方向に延在する第6の配線を有し、
前記第5の配線は、前記第2の方向に沿って、前記第6の配線の延長線上に配置されている
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の配線は、平面視で、前記第1の回路を含む第1の領域を取り囲むように配置され、
前記第2の配線は、平面視で、少なくとも一部が前記第1の領域と重なって配置されることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2の配線層は、互いに積層された複数のサブ配線層を有し、
前記第2のスイッチは、前記複数のサブ配線層に設けられていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には各種回路領域が含まれており、回路領域の一例としてスタンダードセル領域がある。スタンダードセル領域には各種論理回路が含まれる。半導体装置にVDDの電源電位が供給される場合に、スタンダードセル領域の論理回路にVVDDの電源電位が供給され、VDDの電源線とVVDDの電源線との間にトランジスタ等のスイッチが接続されることがある。
【0003】
スイッチは、論理回路のトランジスタへのVVDDの電源電位の供給のオン/オフを切り替える。スイッチを用いることで、論理回路を動作させる必要のないときに電源供給をオフとし、論理回路を構成するトランジスタで生じるリーク電流を抑制し、消費電力の低減が可能となる。
【0004】
また、主たる半導体チップの裏側に、配線を含む従たる半導体チップを貼り付け、従たる半導体チップの配線を介して主たる半導体チップのトランジスタに電源電位を供給する技術が提案されている。このような技術はBS-PDN(backside-power delivery network)とよばれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2015/0162448号明細書
【文献】米国特許第9754923号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0145030号明細書
【文献】米国特許第8530273号明細書
【文献】特許第6469269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのところ、配線を含む従たる半導体チップ内にスイッチを設ける場合の具体的な構成について、詳細な検討はされていない。
【0007】
本開示の目的は、適切にスイッチを設けることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術に係る半導体装置は、基板と、前記基板の第1の面上に形成された第1の配線層と、を有する第1のチップと、前記基板の前記第1の面とは反対側の第2の面上に形成された第2の配線層と、を有し、前記第2の配線層は、第1の電源電位が供給される第1の電源線と、第2の電源電位が供給される第2の電源線と、第3の電源電位が供給される第3の電源線と、前記第1の電源線と前記第2の電源線との間に接続された第1のスイッチと、前記第1の電源線又は前記第3の電源線の一方上に設けられた第2のスイッチと、を有し、前記第1のチップは、前記第1の電源線と前記第3の電源線との間に設けられた第1の回路を有する。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、適切にスイッチを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示が適用される半導体装置の概要を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1のチップのレイアウトを示す図である。
【
図3】
図3は、半導体装置に含まれる回路の一例の構成を示す回路図である。
【
図4】
図4は、駆動バッファの構成を示す回路図である。
【
図5】
図5は、駆動バッファの一例の平面構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、インバータの構成を示す回路図である。
【
図7】
図7は、インバータの平面構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る半導体装置の平面構成を示す模式図(その1)である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る半導体装置の平面構成を示す模式図(その2)である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その1)である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その2)である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
【
図14】
図14は、第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態の第4の変形例に係る半導体装置に含まれる回路の一例の構成を示す回路図である。
【
図16】
図16は、第1の実施形態の第5の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図(その1)である。
【
図17】
図17は、第1の実施形態の第5の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図(その2)である。
【
図18】
図18は、第1の実施形態の第6の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係る半導体装置の平面構成を示す模式図(その1)である。
【
図20】
図20は、第2の実施形態に係る半導体装置の平面構成を示す模式図(その2)である。
【
図21】
図21は、第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その1)である。
【
図22】
図22は、第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その2)である。
【
図23】
図23は、スイッチトランジスタの断面構成の例を示す断面図(その1)である。
【
図24】
図24は、スイッチトランジスタの断面構成の例を示す断面図(その2)である。
【
図25】
図25は、スイッチトランジスタの断面構成の例を示す断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明において、基板の表面に平行で互いに直交する2つの方向をX方向、Y方向とし、基板の表面に垂直な方向をZ方向とする。また、本開示での配置の一致とは、厳密に、製造上のばらつきに起因して不一致となったものを排除するものではなく、製造上のばらつきで配置にずれが生じている場合でも、配置が一致しているものとみなすことができる。
【0012】
(本開示が適用される半導体装置の概要)
先ず、本開示が適用される半導体装置の概要について説明する。
図1は、本開示が適用される半導体装置の概要を示す断面図である。
図1に示す半導体装置は、第1のチップ10及び第2のチップ20を含む。
【0013】
第1のチップ10は、例えば半導体チップであり、基板11及び第1の配線層12を含む。基板11は、例えばシリコン基板であり、基板11の表面側にトランジスタ等の半導体素子が形成されている。トランジスタは、例えばソース、ドレイン及びチャネルにフィン13を含むFinFETである。第1の配線層12は基板11の表面上に形成され、配線14及び絶縁層15を含む。配線14の一部はフィン13に接続される。更に、例えば基板11の表面側に、配線14に接続される電源線16が形成されており、基板11に、電源線16から基板11の裏面に達するビア17が設けられている。ビア17は、例えばシリコン貫通ビア(through-silicon via:TSV)である。なお、
図1に示すように、配線14の一部がビアのような形状を持ち、電源線16に接続してもよい。また、配線14および電源線16の材料は、例えば銅、タングステン、コバルト、ルテニウム、モリブデンなどである。
【0014】
第2のチップ20は、例えば半導体チップであり、第1のチップ10の基板11の裏面に対向して配置される。第2のチップ20は、例えば、第2の配線層22及びパッド23を含む。第2の配線層22は、配線24及び絶縁層25を含む。第2の配線層22の上面は、例えば第1のチップ10の基板11の裏面に対向する。すなわち、基板11は第1の配線層12と第2の配線層22との間に位置する。第2の配線層22は、
図1に示すように、複数の配線24を有してもよい。複数の配線24は、第2の配線層22に設けられたビア28を介して接続されてもよい。パッド23は、例えば配線基板やボード等に接続する外部接続端子である。配線24の一部はビア17に接続される。パッド23は第2の配線層22の裏面に設けられており、ビア28を通じて配線24に接続されている。パッド23を介して第2の配線層22に、電源電位の供給や信号の伝達が行われる。なお、配線24及びビア28の材料は、例えば銅、タングステン、コバルト、ルテニウム、モリブデンなどである。
【0015】
第2のチップ20は第1のチップ10と同程度のサイズを有していてもよく、第1のチップ10より大きなサイズを有していてもよい。また、パッド23が、第1のチップ10に対向する側の第2のチップ20の面において、平面視で第1のチップ10の外側に設けられていてもよい。以下、本明細書において平面視とは、第1のチップ10の主面の平面視をいう。
【0016】
第2の配線層22は、基板11の裏面上に配線24及び絶縁層25等を形成して設けられたものであってもよい。第2の配線層22は、TSVが形成された第2の基板上に形成されていてもよく、第2の基板の裏面にパッド23が設けられていてもよい。
【0017】
なお、
図1に示す断面図は半導体装置の概要を示すものであり、詳細は
図10、
図11等に示す。
【0018】
次に、第1のチップ10のレイアウトについて説明する。
図2は、第1のチップ10のレイアウトを示す図である。
【0019】
図2に示すように、第1のチップ10は、第1のパワードメイン31Aと、第2のパワードメイン31Bと、入出力(I/O)セル領域32とを含む。I/Oセル領域32は、例えば、第1のパワードメイン31A及び第2のパワードメイン31Bの周辺に配置されている。第1のパワードメイン31Aの数及び第2のパワードメイン31Bの数は2以上であってもよい。
【0020】
[半導体装置に含まれる回路]
次に、半導体装置に含まれる回路について説明する。
図3は、半導体装置に含まれる回路の一例の構成を示す回路図である。
【0021】
図3に示すように、半導体装置は、第1のパワードメイン31A内に、第1の駆動バッファ41と、第2の駆動バッファ42と、第3の駆動バッファ43と、第4の駆動バッファ44とを有する。半導体装置は、第2のパワードメイン31B内に、スタンダードセル56を有する。半導体装置は、VDDの電源電位が供給されるVDD配線と、VVDDの電源電位が供給されるVVDD配線と、VSSの電源電位が供給されるVSS配線と、VVSSの電源電位が供給されるVVSS配線とを有する。例えば、VSSの電源電位は接地電位であり、VSS配線は接地配線である。
【0022】
第1のパワードメイン31A内の第1~第4の駆動バッファ41~44には、VDDの電源電位及びVSSの電源電位が供給される。
【0023】
第2のパワードメイン31B内のスタンダードセル56には、VVDDの電源電位及びVVSSの電源電位が供給される。スタンダードセル56は、例えば、NAND回路、インバータ等の各種論理回路を含む。スタンダードセル56に、SRAM(Static Random Access Memory)やマクロが含まれてもよい。なお、
図3において、VVDD配線を設けず代わりにVDD配線がスタンダードセル56に接続されるか、またはVVSS配線を設けず代わりにVSS配線がスタンダードセル56に接続されていてもよい。この場合、スタンダードセル56には、VVDDの電源電位及びVSSの電源電位が供給されるか、またはVDDの電源電位及びVVSSの電源電位が供給される。
【0024】
半導体装置は、第1のスイッチトランジスタ51と、第2のスイッチトランジスタ52と、第3のスイッチトランジスタ53と、第4のスイッチトランジスタ54とを有する。
【0025】
第1のスイッチトランジスタ51は、例えばPチャネルMOSトランジスタである。例えば、第1の駆動バッファ41からの制御信号が第1のスイッチトランジスタ51のゲートに入力される。第1のスイッチトランジスタ51のソース(VDD接続部)がVDD配線に接続され、ドレイン(VVDD接続部)がVVDD配線に接続される。
【0026】
第2のスイッチトランジスタ52は、例えばPチャネルMOSトランジスタである。例えば、第2の駆動バッファ42からの制御信号が第2のスイッチトランジスタ52のゲートに入力される。第2のスイッチトランジスタ52はVDD配線上に設けられている。第2のスイッチトランジスタ52の第1の端子(ドレイン)521が第1のスイッチトランジスタ51のソースに接続される。第1の端子521及び第1のスイッチトランジスタ51のソースに第1の電源パッド81が接続される。第1の電源パッド81には、外部からVDDの電源電位が供給される。第2のスイッチトランジスタ52の第2の端子(ソース)522に第2の電源パッド82が接続される。第2の電源パッド82には、外部からVDDの電源電位が供給される。
【0027】
第3のスイッチトランジスタ53は、例えばNチャネルMOSトランジスタである。例えば、第3の駆動バッファ43からの制御信号が第3のスイッチトランジスタ53のゲートに入力される。第3のスイッチトランジスタ53のソース(VSS接続部)がVSS配線に接続され、ドレイン(VVSS接続部)がVVSS配線に接続される。
【0028】
第4のスイッチトランジスタ54は、例えばNチャネルMOSトランジスタである。例えば、第4の駆動バッファ44からの制御信号が第4のスイッチトランジスタ54のゲートに入力される。第4のスイッチトランジスタ54はVSS配線上に設けられている。第4のスイッチトランジスタ54の第1の端子(ドレイン)541が第3のスイッチトランジスタ53のソースに接続される。第1の端子541及び第3のスイッチトランジスタ53のソースに第3の電源パッド83が接続される。第3の電源パッド83には、外部からVSSの電源電位が供給される。第4のスイッチトランジスタ54の第2の端子(ソース)542に第4の電源パッド84が接続される。第4の電源パッド84には、外部からVSSの電源電位が供給される。
【0029】
第1~第4の駆動バッファ41~44は制御回路(図示せず)に接続されており、第1~第4のスイッチトランジスタ51~54に動作は、第1~第4の駆動バッファ41~44を介して制御回路により制御される。例えば、制御回路は第1のパワードメイン31A内に設けられ、制御回路には、VDDの電源電位及びVSSの電源電位が供給される。制御回路により第1のスイッチトランジスタ51のオン/オフが切り替えられ、VDD配線とVVDD配線との間の導通が制御される。制御回路により第3のスイッチトランジスタ53のオン/オフが切り替えられ、VSS配線とVVSS配線との間の導通が制御される。制御回路により第2及び第4のスイッチトランジスタ52及び54のオン/オフが切り替えられ、第1のパワードメイン31Aと第2のパワードメイン31Bとの間の導通が制御される。
【0030】
詳細は後述するが、第2の配線層22は、第1のサブ配線層201と第2のサブ配線層202とを有する。第1のサブ配線層201は第2のサブ配線層202よりも第1のチップ10側に位置する。第1の実施形態では、第1~第4のスイッチトランジスタ51~54は第2のサブ配線層202に設けられている。
【0031】
第1~第4のスイッチトランジスタ51~54は、薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)から構成されていてもよく、微小電気機械システム(micro electro mechanical systems:MEMS)スイッチであってもよい。
【0032】
[第1~第4の駆動バッファ41~44]
次に、第1~第4の駆動バッファ41~44の構成について説明する。
図4は、第1の駆動バッファ41の構成を示す回路図である。
図5は、第1の駆動バッファ41の一例の平面構成を示す模式図である。
【0033】
図4に示すように、第1の駆動バッファ41は、インバータ61及びインバータ62を有する。インバータ61に入力信号INが入力され、インバータ61の出力がインバータ62に入力され、インバータ62から出力信号OUTが出力される。インバータ61はPチャネルMOSトランジスタ610P及びNチャネルMOSトランジスタ610Nを含む。インバータ62はPチャネルMOSトランジスタ620P及びNチャネルMOSトランジスタ620Nを含む。
【0034】
図5に示す一例では、例えば、VDD配線に相当する電源線1110と、VSS配線に相当する電源線1130とが設けられている。電源線1110及び1130はX方向に延在する。電源線1110の電源線1130側に、X方向に延びる半導体のフィン651が設けられている。フィン651は、例えば2本設けられている。フィン651の電源線1130側に、X方向に延びる半導体のフィン652が設けられている。フィン652は、例えば2本設けられている。ビア681を介して電源線1110に接続され、Y方向に延在し、フィン651に接続されるローカル配線631が設けられている。ビア682を介して電源線1130に接続され、Y方向に延在し、フィン652に接続されるローカル配線632が設けられている。ローカル配線631及び632よりX方向正側に、フィン651及び652に接続されるローカル配線634が設けられている。ローカル配線631及び632よりX方向負側に、フィン651及び652に接続されるローカル配線636が設けられている。
【0035】
ローカル配線631とローカル配線634との間、及びローカル配線632とローカル配線634との間でゲート絶縁膜(図示せず)を介してフィン651及び652と交差するゲート電極612が設けられている。ローカル配線631とローカル配線636との間、及びローカル配線632とローカル配線636との間でゲート絶縁膜(図示せず)を介してフィン651及び652と交差するゲート電極622が設けられている。ゲート電極612はローカル配線633及びビア641を介して配線611に接続されている。ゲート電極622はローカル配線635及びビア643を介して配線692に接続されている。配線692はローカル配線634にも接続されている。ローカル配線636はビア644を介して配線621に接続されている。配線611に入力信号INが入力され、配線621から出力信号OUTが出力される(
図4参照)。
【0036】
配線692が第1のスイッチトランジスタ51のゲートに接続されてもよい。配線692に代わり、配線611又は配線621のいずれか一方が第1のスイッチトランジスタ51のゲートに接続されてもよい。すなわち、インバータ61の出力が第1のスイッチトランジスタ51のゲートに入力されてもよい。インバータ61の出力に代わり、インバータ61の入力又はインバータ62の出力のいずれか一方が第1のスイッチトランジスタ51のゲートに接続されてもよい。
【0037】
第2~第4の駆動バッファ42~44は、第1の駆動バッファ41と同様の構成を備えることができる。
【0038】
なお、インバータ61及び62の構成は一例であり、例えば、インバータ61及び62に含まれるPチャネルMOSトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタの対は2以上であってもよい。
【0039】
[スタンダードセル56]
次に、スタンダードセル56に含まれる回路の一例として、インバータの構成について説明する。
図6は、インバータの構成を示す回路図である。
図7は、インバータの平面構成を示す模式図である。
【0040】
図6に示すように、インバータ70はPチャネルMOSトランジスタ710P及びNチャネルMOSトランジスタ710Nを含む。
【0041】
例えば、
図7に示すように、VVDD配線に相当する電源線2120と、VVSS配線に相当する電源線2130とが設けられている。電源線2120及び2130はX方向に延在する。電源線2120の電源線2130側に、X方向に延びる半導体のフィン751が設けられている。フィン751は、例えば2本設けられている。フィン751の電源線2130側に、X方向に延びる半導体のフィン752が設けられている。フィン752は、例えば2本設けられている。ビア781を介して電源線2120に接続され、Y方向に延在し、フィン751に接続されるローカル配線731が設けられている。ビア782を介して電源線2130に接続され、Y方向に延在し、フィン752に接続されるローカル配線732が設けられている。ローカル配線731及び732よりX方向正側に、フィン751及び752に接続されるローカル配線734が設けられている。電源線2120及び2130が3本以上の領域にわたって回路が設けられていてもよい。つまり、いわゆるマルチハイトの回路が設けられていてもよい。
【0042】
ローカル配線731とローカル配線734との間、及びローカル配線732とローカル配線734との間でゲート絶縁膜(図示せず)を介してフィン751及び752と交差するゲート電極712が設けられている。ゲート電極712はローカル配線733及びビア741を介して配線711に接続されている。ローカル配線734はビア742を介して配線760に接続されている。配線711に入力信号INが入力され、配線760から出力信号OUTが出力される(
図6参照)。
【0043】
図5及び
図7には、フィンを用いたトランジスタ(FinFET)を例示しているが、バッファ等の論理回路に、プレーナ型のトランジスタ、相補型電界効果トランジスタ(Complementary Field Effect Transistor:CFET)、ナノワイヤを用いたトランジスタ等が設けられてもよい。
【0044】
なお、少なくともVVDD配線又はVVSS配線のいずれか一方が設けられていればよい。例えば、VVDD配線が設けられていれば、VVSS配線ではなくVSS配線が設けられていてもよい。この場合、第3の駆動バッファ43と第3のスイッチトランジスタ53との組み合わせが設けられていなくてもよい。また、例えば、VVSS配線が設けられていれば、VVDD配線ではなくVDD配線が設けられていてもよい。この場合、第1の駆動バッファ41と第1のスイッチトランジスタ51との組み合わせが設けられていなくてもよい。
【0045】
更に、第2の駆動バッファ42と第2のスイッチトランジスタ52との組み合わせ、又は第4の駆動バッファ44と第4のスイッチトランジスタ54との組み合わせのいずれか一方が設けられていれば、他方が設けられていなくてもよい。例えば、第2の駆動バッファ42と第2のスイッチトランジスタ52との組み合わせが設けられていれば、第4の駆動バッファ44と第4のスイッチトランジスタ54との組み合わせが設けられていなくてもよい。
【0046】
(第1の実施形態)
ここで、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、
図3に示す回路のうちで、VVSS配線と、第3の駆動バッファ43と、第3のスイッチトランジスタ53と、第4のスイッチトランジスタ54とが設けられていない。
図8及び
図9は、第1の実施形態に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
図10及び
図11は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図8は、第1のチップ10及び第2のチップ20の内部構成を示し、
図9は、第2のチップ20の内部構成を示す。
図10は、
図8及び
図9中のY11-Y21線に沿った断面図に相当し、
図11は、
図8及び
図9中のY12-Y22線に沿った断面図に相当する。
【0047】
[第1のチップ10]
第1のチップ10には、X方向に延在する制御信号線3110が含まれる。
図8の例では、第1のチップ10には、制御信号線3110よりY方向正側に配置された、X方向に延在する電源線2160と、X方向に延在する電源線2170とが含まれる。
図8の例では、電源線2160は電源線2170よりも制御信号線3110側に位置する。例えば、電源線2160はVVDD配線に相当し、電源線2170はVSS配線に相当する。制御信号線3110は、第1の駆動バッファ41と第1のスイッチトランジスタ51のゲートとの間に接続される。電源線2160と電源線2170とが交互に複数組配置されていてもよい。電源線2160と電源線2170とは第2のパワードメイン31B内に配置される。制御信号線3110も第2のパワードメイン31B内に配置されてよい。
【0048】
図8の例では、第1のチップ10には、制御信号線3110よりもY方向負側に配置された、X方向に延在する制御信号線3120と、X方向に延在する電源線1120と、X方向に延在する電源線1130とが含まれる。
図8の例では、制御信号線3120は電源線1120よりも制御信号線3110側に位置し、電源線1120は電源線1130よりも制御信号線3110側に位置する。例えば、電源線1120は第2の電源パッド82に電気的に接続されるVDD配線に相当し、電源線1130はVSS配線に相当する。制御信号線3120は、第2の駆動バッファ42と第2のスイッチトランジスタ52のゲートとの間に接続される。制御信号線3120と電源線1120と電源線1130とは第2のパワードメイン31B外に配置される。なお、各制御信号線や各電源線の配置は
図8の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0049】
図10及び
図11に示すように、基板11にX方向に延在する複数の溝が形成され、制御信号線3110、電源線2160、電源線2170、制御信号線3120、電源線1120及び電源線1130は、これら溝内に形成されている。このような構造の電源線2160、電源線2170、電源線1120及び電源線1130は、BPR(Buried Power Rail)とよばれることがある。基板11の表面に素子分離膜(図示せず)が形成されていてもよい。素子分離膜は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。素子分離膜の表面は基板11の表面と面一であってもよいし、面一でなくてもよい。
【0050】
図8~
図11での図示を省略するが、第2のパワードメイン31B内において、電源線2160と電源線2170との間に、スタンダードセル56等の回路が接続される。
【0051】
また、
図8~
図11での図示を省略するが、第2のパワードメイン31B外に第1のパワードメイン31Aが配置され、第1のパワードメイン31A内において、電源線1120と電源線1130との間に、第1の駆動バッファ41、第2の駆動バッファ42及びこれらの制御回路等の回路が接続される。
【0052】
第1の配線層12には、制御信号線3110、電源線2160、電源線2170、制御信号線3120、電源線1120及び電源線1130の上方に配置された制御信号線4110及び4120が含まれる。第1の配線層12には、制御信号線4110と制御信号線3110とを接続するビア4111と、制御信号線4120と制御信号線3120とを接続するビア4121とが形成されている。ビア4111は制御信号線4110の下に形成され、ビア4121は制御信号線4120の下に形成されている。
【0053】
基板11には、基板11を裏面まで貫通するビア1121、1131、2161、2171、3111及び3121が形成されている。ビア1121は電源線1120の下に形成され、ビア1131は電源線1130の下に形成され、ビア2161は電源線2160の下に形成され、ビア2171は電源線2170の下に形成されている。ビア3111は制御信号線3110の下に形成され、ビア3121は制御信号線3120の下に形成されている。
【0054】
[第2のチップ20]
図10及び
図11に示すように、第2のチップ20は、例えば、絶縁層25と、絶縁層25の表層部に形成された第1のサブ配線層201と、絶縁層25の内部に形成された第2のサブ配線層202とを有する。
【0055】
第1のサブ配線層201は、電源線5120と、電源線5130と、電源線5160と、制御信号線7110と、制御信号線7120とを含む。電源線5120と、電源線5130と、電源線5160と、制御信号線7110と、制御信号線7120とはY方向に延在する。例えば、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内において、電源線5160は、2つの制御信号線7110の間に位置し、制御信号線7110は、電源線5130と電源線5160との間に位置する。例えば、電源線5130は、電源線2160及び2170の下方から電源線1130の下方にわたって形成されている。例えば、電源線5160は平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内に形成されている。例えば、電源線5120は、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、電源線5160の延長線上に形成されている。例えば、電源線5120は第2の電源パッド82に電気的に接続されるVDD配線に相当し、電源線5130はVSS配線に相当し、電源線5160はVVDD配線に相当する。
【0056】
第2のサブ配線層202は、電源線6110と、電源線6120と、電源線6160とを含む。電源線6110と、電源線6120と、電源線6160とはX方向に延在する。例えば、電源線6110は電源線2170の下方に位置し、電源線6160は電源線2160の下方に位置する。電源線6120は、平面視で電源線5120と重なる部分を有する。絶縁層25には、電源線5120と電源線6120とを接続するビア5121と、電源線5160と電源線6160とを接続するビア5161とが形成されている。例えば、電源線6110は第1の電源パッド81に電気的に接続されるVDD配線に相当し、電源線6120は第2の電源パッド82に電気的に接続されるVDD配線に相当し、電源線6160はVVDD配線に相当する。
【0057】
絶縁層25には、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内において、隣り合う電源線6110及び6160の対と平面視で重なる複数の半導体層213が形成されている。半導体層213は、電源線6110及び6160に接続する。半導体層213上にゲート絶縁膜214が形成され、ゲート絶縁膜214上にゲート電極215が形成されている。ゲート絶縁膜214は半導体層213及びゲート電極215に接する。ゲート電極215は、平面視で電源線6110と電源線6160との間に位置する。絶縁層25には、制御信号線7110と各ゲート電極215とを接続するビア7111が形成されている。半導体層213と、ゲート絶縁膜214と、ゲート電極215とが第1のスイッチトランジスタ51に含まれる。
【0058】
絶縁層25には、隣り合う電源線6110及び6120の対と平面視で重なる複数の半導体層223が形成されている。なお、半導体層223は、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外に配置されてもよいし、領域内に配置されてもよい。半導体層223は、電源線6110及び6120に接続する。半導体層223上にゲート絶縁膜224が形成され、ゲート絶縁膜224上にゲート電極225が形成されている。ゲート絶縁膜224は半導体層223及びゲート電極225に接する。ゲート電極225は、平面視で電源線6110と電源線6120との間に位置する。絶縁層25には、制御信号線7120と各ゲート電極225とを接続するビア7121が形成されている。半導体層223と、ゲート絶縁膜224と、ゲート電極225とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0059】
第2のチップ20の裏面に設けられた複数のパッド23を通じて、外部からVDDの電源電位及びVSSの電源電位が供給される。また、半導体装置による処理後の信号が複数のパッド23を通じて外部に出力される。
【0060】
このように構成された第1の実施形態に係る半導体装置では、スタンダードセル56を動作させる必要のないときに、第1のスイッチトランジスタ51がオフ状態とされる。すなわち、ゲート電極215に、電源線6110と電源線6160との間を非導通とする制御信号が入力される。この結果、電源線6160(VVDD配線)は第1の電源パッド81及び第2の電源パッド82から絶縁され、電源線6110(VDD配線)から電源線6160(VVDD配線)への電源電位の供給が遮断される。
【0061】
また、スタンダードセル56を動作させようとする際には、第2のスイッチトランジスタ52がオフ状態とされた後に、第1のスイッチトランジスタ51がオン状態とされる。すなわち、ゲート電極225に、電源線6110と電源線6120との間を非導通とする制御信号が入力された後に、ゲート電極215に、電源線6110と電源線6160との間を導通とする制御信号が入力される。この結果、電源線6120(VDD配線)が電源線6110(VDD配線)から絶縁された上で、電源線6160(VVDD配線)は電源線6110(VDD配線)を介して第1の電源パッド81に電気的に接続され、電源線6160(VVDD配線)にVDDの電源電位が供給される。
【0062】
電源線6160(VVDD配線)にVDDの電源電位が供給されると、スタンダードセル56が動作し始める。この時、第2のスイッチトランジスタ52がオン状態となっていると、第2のパワードメイン31Bに第2の電源パッド82からもVDDの電源電位が供給され、急激な電源電位の供給に伴ってノイズが発生し、このノイズが第1のパワードメイン31Aに及ぶおそれがある。このような急激な電源電位の供給はラッシュカレントとよばれることがある。これに対し、本実施形態では、第2のスイッチトランジスタ52がオフ状態となっているため、ラッシュカレントが抑制され、ノイズの発生が抑制される。
【0063】
スタンダードセル56が動作し始めた後、第2のパワードメイン31Bに供給されるVDDの電源電位の変動が落ち着くと、第2のスイッチトランジスタ52がオン状態とされる。すなわち、ゲート電極225に、電源線6110と電源線6120との間を導通とする制御信号が入力される。この結果、第1のパワードメイン31A及び第2のパワードメイン31Bに、安定したVDDの電源電位が供給されるようになる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、動作中のドメインへのラッシュカレントに伴うノイズの影響を抑制することができる。
【0065】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。第1の変形例は、主に、第2のスイッチトランジスタのレイアウトの点で第1の実施形態と相違する。
図12は、第1の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
図12には、主に、第1の変形例の第1の実施形態と相違する部分を示し、その他の部分の図示を省略する。
【0066】
図12に示すように、第1の変形例では、平面視で第2のパワードメイン31BのY方向正側及びY方向負側の両方に、X方向に延在する電源線6120が配置されている。そして、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、Y方向で隣り合う電源線6110及び6120の対と平面視で重なる複数の半導体層223が形成されている。半導体層223上にゲート絶縁膜224(
図11参照)及びゲート電極225が形成されている。半導体層223と、ゲート絶縁膜224と、ゲート電極225とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0067】
また、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内にX方向に延在する複数の電源線6110が配置されている。平面視で第2のパワードメイン31BのX方向正側及びX方向負側の両方で、これら電源線6110の延長線上に、X方向に延在する電源線6120が配置されている。そして、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、X方向で隣り合う電源線6110及び6120の対と平面視で重なる複数の半導体層223が形成されている。半導体層223上にゲート絶縁膜224(
図11参照)及びゲート電極225が形成されている。半導体層223と、ゲート絶縁膜224と、ゲート電極225とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0068】
平面視で第2のパワードメイン31BのX方向正側及びX方向負側の両方に、Y方向に延在する電源線5120が配置されている。電源線5120は平面視で複数の電源線6120と直交しており、電源線5120と、当該電源線5120と直交する電源線6120とはビア5121を介して接続されている。
【0069】
なお、
図12の第2のスイッチトランジスタ52において、ビア7121及び制御信号線7120等の図示が省略されている。即ち、第2のスイッチトランジスタ52の各々において、ビア7121及び制御信号線7120等が配置される。また、
図12では図示を省略しているが、Y方向で隣り合う電源線6110と電源線6160との間には第1のスイッチトランジスタ51が接続される。
【0070】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0071】
第1の変形例によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
なお、第2のスイッチトランジスタ52は、第2のパワードメイン31BのX方向正側、X方向負側、Y方向正側、Y方向負側のすべてに配置されている必要はない。例えば、第2のスイッチトランジスタ52が第2のパワードメイン31BのX方向正側及びX方向負側のみに配置されていてもよい。また、第2のスイッチトランジスタ52が第2のパワードメイン31BのY方向正側及びY方向負側のみに配置されていてもよい。
【0073】
また、電源線6110、6120の一部が第2のスイッチトランジスタ52に直接接続されていなくてもよく、他の配線を介して第2のスイッチトランジスタ52に接続されていてもよい。
【0074】
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。第2の変形例は、主に、第2のスイッチトランジスタのレイアウトの点で第1の実施形態と相違する。
図13は、第1の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
図13には、主に、第2の変形例の第1の実施形態と相違する部分を示し、その他の部分の図示を省略する。
【0075】
図13に示すように、第2の変形例では、第1の変形例における複数の電源線6110のX方向正側の端部が互いに接続され、また、第1の変形例における複数の電源線6110のX方向負側の端部が互いに接続されている。すなわち、電源線6110が梯子状の平面形状を有する。電源線6110は、平面視で、環状の部分と、環状の部分の内側でX方向に延在し、環状の部分に繋がる部分とを有する。また、電源線6110の環状の部分の外側に、平面視で環状の電源線6120が配置されている。
【0076】
Y方向で隣り合う電源線6110の一部及び6120の一部の対と平面視で重なる半導体層223がX方向に延在するようにして形成されている。半導体層223上にX方向に延在するゲート絶縁膜224(
図11参照)及びゲート電極225が形成されている。半導体層223と、ゲート絶縁膜224と、ゲート電極225とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0077】
また、X方向で隣り合う電源線6110の一部及び6120の一部の対と平面視で重なる半導体層223がY方向に延在するようにして形成されている。半導体層223上にY方向に延在するゲート絶縁膜224(
図11参照)及びゲート電極225が形成されている。半導体層223と、ゲート絶縁膜224と、ゲート電極225とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0078】
なお、
図13の第2のスイッチトランジスタ52において、ビア7121及び制御信号線7120等の図示が省略されている。即ち、第2のスイッチトランジスタ52の各々において、ビア7121及び制御信号線7120等が配置される。また、
図13では図示を省略しているが、Y方向で隣り合う電源線6110と電源線6160との間には第1のスイッチトランジスタ51が接続される。
【0079】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0080】
第2の変形例によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
なお、電源線6110が環状の部分を有さずに、X方向に延在する部分と、Y方向に延在する部分とを有し、X方向に延在する半導体層223と、Y方向に延在する半導体層223とが配置されていてもよい。また、電源線6120が環状の平面形状を有さずに、X方向に延在する部分と、Y方向に延在する部分とを有し、X方向に延在する半導体層223と、Y方向に延在する半導体層223とが配置されていてもよい。
【0082】
また、第1のスイッチトランジスタ51に含まれる半導体層213、ゲート絶縁膜214及びゲート電極215がX方向に延在していてもよい。
【0083】
(第1の実施形態の第3の変形例)
次に、第1の実施形態の第3の変形例について説明する。第3の変形例は、主に、第2の配線層22の構成の点で第1の実施形態と相違する。
図14は、第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図14には、主に、第3の変形例の第1の実施形態と相違する部分を示し、その他の部分の図示を省略する。
【0084】
図14に示すように、第3の変形例では、第2の配線層22が第2のサブ配線層202の下方に第3のサブ配線層203を更に含む。すなわち、第3のサブ配線層203は、第2のサブ配線層202よりも第1のチップ10から離間して形成されている。第3のサブ配線層203は、例えば、電源線8110と、電源線8120とを含む。電源線8110と、電源線8120とはY方向に延在する。電源線8110は、平面視で電源線6110と重なる部分を有する。電源線8120は、平面視で電源線
6120と重なる部分を有する。絶縁層25には、電源線6110と電源線8110とを接続するビア6111と、電源線6120と電源線8120とを接続するビア6121とが形成されている。例えば、電源線8110は第1の電源パッド81に電気的に接続されるVDD配線に相当し、電源線8120は第2の電源パッド82に電気的に接続されるVDD配線に相当する。
【0085】
絶縁層25には、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、隣り合う電源線8110及び8120の対と平面視で重なる複数の半導体層233が形成されている。半導体層233は、電源線8110及び8120に接続する。半導体層233上にゲート絶縁膜234が形成され、ゲート絶縁膜234上にゲート電極235が形成されている。ゲート絶縁膜234は半導体層233及びゲート電極235に接する。ゲート電極235は、平面視で電源線8110と電源線8120との間に位置する。絶縁層25には、制御信号線7120とゲート電極235とを接続するビア等(図示せず)が形成されている。半導体層233と、ゲート絶縁膜234と、ゲート電極235とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0086】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0087】
第3の変形例によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。第3の変形例によれば、より電源電位を安定させることができる。
【0088】
なお、半導体層233、ゲート絶縁膜234及びゲート電極235が設けられていなくてもよい。
【0089】
(第1の実施形態の第4の変形例)
次に、第1の実施形態の第4の変形例について説明する。第4の変形例は、主に、第2の配線層22の構成の点で第1の実施形態と相違する。
図15は、第1の実施形態の第4の変形例に係る半導体装置に含まれる回路の一例の構成を示す回路図である。
図15には、主に、第4の変形例の第1の実施形態と相違する部分を示し、その他の部分の図示を省略する。
【0090】
図15に示すように、第4の変形例では、第2の配線層22が第1のサブ配線層201と第2のサブ配線層202とを含む。そして、第1のスイッチトランジスタ51及び第3のスイッチトランジスタ53が第1のサブ配線層201に配置されている。また、第2のスイッチトランジスタ52及び第4のスイッチトランジスタ54が第1のサブ配線層201及び第2のサブ配線層202の両方に配置されている。
【0091】
このような回路構成を備えた第4の変形例によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(第1の実施形態の第5の変形例)
次に、第1の実施形態の第5の変形例について説明する。第5の変形例は、主に、スイッチトランジスタの構成の点で第1の実施形態と相違する。
図16及び
図17は、第1の実施形態の第5の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
図16は、第1のチップ10及び第2のチップ20の内部構成を示し、
図17は、第2のチップ20の内部構成を示す。
図16及び
図17には、主に、第5の変形例の第1の実施形態と相違する部分を示し、その他の部分の図示を省略する。
【0093】
図16及び
図17に示すように、第5の変形例では、第2のサブ配線層202が、X方向に延在する電源線6130を有する。例えば、電源線6130はVSS配線に相当する。電源線6130は平面視で電源線5130と直交しており、電源線5130と、当該電源線5130と直交する電源線6130とはビア5131を介して接続されている。
【0094】
第1のサブ配線層201が、Y方向に延在する電源線5170を有する。例えば、電源線5170は第1の電源パッド81に電気的に接続されるVDD配線に相当する。例えば、電源線5170は、電源線6110と直交しており、電源線5170と、当該電源線5170と直交する電源線6110とはビア5171を介して接続されている。
【0095】
平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内において、電源線5160と電源線5170との間に制御信号線7110が配置されている。半導体層213は、電源線6130よりも上方に、平面視で、電源線5160と、制御信号線7110と、電源線5170と重なるようにして形成されている。制御信号線7110の下方において、半導体層213上にゲート絶縁膜214(
図11参照)及びゲート電極215が形成されている。ゲート電極215はビア7111を介して制御信号線7110に接続されている。また、半導体層213は、ゲート電極215よりもX方向負側において電源線5160にビア5162を介して接続され、ゲート電極215よりもX方向正側において電源線5170にビア5172を介して接続されている。ビア5162は電源線5160の下に形成され、ビア5172は電源線5170の下に形成されている。
【0096】
平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、電源線5120と電源線5170との間に制御信号線7120が配置されている。半導体層223は、平面視で、電源線5120と、制御信号線7120と、電源線5170と重なるようにして形成されている。制御信号線7120の下方において、半導体層223上にゲート絶縁膜224(
図11参照)及びゲート電極225が形成されている。ゲート電極225はビア7121を介して制御信号線7120に接続されている。また、半導体層223は、ゲート電極225よりもX方向負側において電源線5120にビア5123を介して接続され、ゲート電極225よりもX方向正側において電源線5170にビア5173を介して接続されている。ビア5123は電源線5120の下に形成され、ビア5173は電源線5170の下に形成されている。
【0097】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0098】
第5の変形例によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
なお、第1の変形例(
図12参照)又は第2の変形例(
図13参照)のような平面構成が採用されてもよい。また、第2のサブ配線層202にも第1のスイッチトランジスタ51及び第2のスイッチトランジスタ52が形成されていてもよい。
【0100】
(第1の実施形態の第6の変形例)
次に、第1の実施形態の第6の変形例について説明する。第6の変形例は、主に、第4のスイッチトランジスタを含む点で第1の実施形態と相違する。
図18は、第1の実施形態の第6の変形例に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
図18には、主に、第6の変形例の第1の実施形態と相違する部分を示し、その他の部分の図示を省略する。
【0101】
第6の変形例に係る半導体装置は、第1のスイッチトランジスタ51及び第2のスイッチトランジスタ52に加えて、第4のスイッチトランジスタ54が設けられている。
【0102】
図18に示すように、第6の変形例では、平面視で第2のパワードメイン31BのY方向正側及びY方向負側の両方に、X方向に延在する電源線6220が配置されている。また、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内において、X方向に延在する複数の電源線6210が配置されている。電源線6210及び6220は第2のサブ配線層202に含まれる。例えば、電源線6210は第3の電源パッド83に電気的に接続されるVSS配線に相当し、電源線6220は第4の電源パッド84に電気的に接続されるVSS配線に相当する。そして、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、Y方向で隣り合う電源線6210及び6220の対と平面視で重なる複数の半導体層243が形成されている。半導体層243上にゲート絶縁膜(図示せず)及びゲート電極245が形成されている。半導体層243と、ゲート絶縁膜(図示せず)と、ゲート電極245とが第4のスイッチトランジスタ54に含まれる。
【0103】
第1のサブ配線層201がY方向に延在する電源線5220を有する。例えば、電源線5220はVSS配線に相当する。電源線5220は平面視で複数の電源線6210と直交しており、電源線5220と、当該電源線5220と直交する電源線6210とはビア5221を介して接続されている。
【0104】
なお、
図18の第2のスイッチトランジスタ52において、ビア7121及び制御信号線7120等の図示が省略されている。即ち、第2のスイッチトランジスタ52の各々において、ビア7121及び制御信号線7120等が配置される。
図18の第4のスイッチトランジスタ54において、ゲート電極245に接続されるビア及び制御信号線等の図示が省略されている。即ち、第4のスイッチトランジスタ54の各々において、ビア及び制御信号線等が配置される。また、
図18では図示を省略しているが、Y方向で隣り合う電源線6110と電源線6160との間には第1のスイッチトランジスタ51が接続される。
【0105】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0106】
このように構成された第6の変形例に係る半導体装置では、スタンダードセル56を動作させる必要のないときに、第1のスイッチトランジスタ51がオフ状態とされる。この結果、電源線6160(VVDD配線)は第1の電源パッド81及び第2の電源パッド82から絶縁され、電源線6110(VDD配線)から電源線6160(VVDD配線)への電源電位の供給が遮断される(
図8~
図11参照)。
【0107】
また、スタンダードセル56を動作させようとする際には、第2のスイッチトランジスタ52及び第4のスイッチトランジスタ54がオフ状態とされた後に、第1のスイッチトランジスタ51がオン状態とされる。すなわち、ゲート電極225に、電源線6110と電源線6120との間を非導通とする制御信号が入力され、ゲート電極245に、電源線6210と電源線6220との間を非導通とする制御信号が入力された後に、ゲート電極215に、電源線6110と電源線6160との間を導通とする制御信号が入力される。この結果、電源線6120(VDD配線)が電源線6110(VDD配線)から絶縁され、かつ電源線6220(VSS配線)が電源線6210(VSS配線)から絶縁された上で、電源線6160(VVDD配線)にVDDの電源電位が供給される。
【0108】
電源線6160(VVDD配線)にVDDの電源電位が供給されると、スタンダードセル56が動作し始める。この時、第2のスイッチトランジスタ52及び第4のスイッチトランジスタ54の両方がオン状態となっていると、第2のパワードメイン31Bに第2の電源パッド82からもVDDの電源電位が供給され、急激な電源電位の供給に伴ってノイズが発生し、このノイズが第1のパワードメイン31Aに及ぶおそれがある。このような急激な電源電位の供給はラッシュカレントとよばれることがある。これに対し、本実施形態では、第2のスイッチトランジスタ52及び第4のスイッチトランジスタ54の両方がオフ状態となっているため、動作中のドメインへのラッシュカレントによる影響を抑制することができる。また、第2のスイッチトランジスタ52及び第4のスイッチトランジスタ54がオフ状態となっているため、第2のスイッチトランジスタ52又は第4のスイッチトランジスタ54のいずれかのみがオフ状態となっている時よりもノイズの発生を抑制することができる。
【0109】
スタンダードセル56が動作し始めた後、第2のパワードメイン31Bに供給されるVDDの電源電位の変動が落ち着くと、第2のスイッチトランジスタ52及び第4のスイッチトランジスタ54がオン状態とされる。すなわち、ゲート電極225に、電源線6110と電源線6120との間を導通とする制御信号が入力され、ゲート電極245に、電源線6210と電源線6220との間を導通とする制御信号が入力される。この結果、第1のパワードメイン31A及び第2のパワードメイン31Bに、安定したVDDの電源電位が供給されるようになる。
【0110】
このように、第6の変形例によっても、ラッシュカレントに伴うノイズの発生を抑制することができる。
【0111】
他の実施形態及び変形例においても、第2のスイッチトランジスタ52に加えて第4のスイッチトランジスタ54が設けられていてもよい。第4のスイッチトランジスタ54が設けられていれば、第2のスイッチトランジスタ52が設けられていなくてもよい。
【0112】
また、第1のスイッチトランジスタ51に加えて第3のスイッチトランジスタ53が設けられていてもよい。第3のスイッチトランジスタ53が設けられていれば、第1のスイッチトランジスタ51が設けられていなくてもよい。
【0113】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、主に、スイッチトランジスタの配置の点で第1の実施形態と相違する。
図19及び
図20は、第2の実施形態に係る半導体装置の平面構成を示す模式図である。
図21及び
図22は、第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図19は、主に、上層側の電源線を示し、
図20は、主に下層側の電源線を示す。
図21は、
図19及び
図20中のY13-Y23線に沿った断面図に相当し、
図22は、
図19及び
図20中のY14-Y24線に沿った断面図に相当する。
【0114】
第2の実施形態に係る半導体装置は、単一のチップ30から構成される。チップ30は、基板31と、基板31上の配線層36を有する。配線層36は、絶縁層35と、絶縁層35内に形成された複数の電源線及びビアを含む。
【0115】
チップ30には、X方向に延在する電源線2160と、X方向に延在する電源線2170とが含まれる。例えば、電源線2160はVVDD配線に相当し、電源線2170はVSS配線に相当する。電源線2160と電源線2170とが交互に複数組配置されていてもよい。電源線2160と電源線2170とは第2のパワードメイン31B内に配置される。
【0116】
チップ30には、電源線2160及び2170よりもY方向負側に配置された、X方向に延在する電源線1120と、X方向に延在する電源線1130とが含まれる。電源線1120は電源線1130よりも電源線2170側に位置する。例えば、電源線1120は第2の電源パッド82に電気的に接続されるVDD配線に相当し、電源線1130はVSS配線に相当する。
【0117】
図21及び
図22に示すように、基板31にX方向に延在する複数の溝が形成され、電源線2160、電源線2170、電源線1120及び電源線1130は、これら溝内に形成されている。
【0118】
図19~
図22での図示を省略するが、第2のパワードメイン31B内において、電源線2160と電源線2170との間に、スタンダードセル56等の回路が接続される。
【0119】
また、
図19~
図22での図示を省略するが、第2のパワードメイン31B外に第1のパワードメイン31Aが配置され、第1のパワードメイン31A内において、電源線1120と電源線1130との間に、第1の駆動バッファ41、第2の駆動バッファ42及びこれらの制御回路等の回路が接続される。
【0120】
配線層36には、制御信号線7310、制御信号線7320、電源線5320、電源線5330及び電源線5360が含まれる。制御信号線7310、制御信号線7320、電源線5320、電源線5330及び電源線5360はY方向に延在する。電源線5320は、平面視で電源線1120と直交し、電源線5330は、平面視で電源線1130又は2170と直交し、電源線5360は、平面視で電源線2160と直交する。絶縁層35には、電源線5320と電源線1120とを接続するビア1321と、電源線5330と電源線1130とを接続するビア1331とが形成されている。絶縁層35には、電源線5330と電源線2170とを接続するビア2371と、電源線5360と電源線2160とを接続するビア2361とが形成されている。制御信号線7310は、平面視で電源線2160及び2170と直交する。
【0121】
電源線2170の上方に電源線6310が形成され、電源線2160の上方に電源線6360が形成されている。電源線6310及び6360はX方向に延在する。絶縁層35には、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域内において、隣り合う電源線6310及び6360の対と平面視で重なる複数の半導体層273が形成されている。半導体層273下にゲート絶縁膜274が形成され、ゲート絶縁膜274下にゲート電極275が形成されている。ゲート絶縁膜274は半導体層273及びゲート電極275に接する。ゲート電極275は、平面視で電源線6310と電源線6360との間に位置する。絶縁層35には、半導体層273と電源線6310とを接続するビア6313と、半導体層273と電源線6360とを接続するビア6363と、制御信号線7310と各ゲート電極275とを接続するビア7311とが形成されている。半導体層273と、ゲート絶縁膜274と、ゲート電極275とが第1のスイッチトランジスタ51に含まれる。
【0122】
平面視で電源線1120と電源線2170との間において、電源線6310及び6360と同じサブ配線層に電源線6320が形成されている。電源線6320はX方向に延在する。絶縁層35には、平面視で第2のパワードメイン31Bと重なる領域外において、隣り合う電源線6310及び6320の対と平面視で重なる複数の半導体層283が形成されている。半導体層283下にゲート絶縁膜284が形成され、ゲート絶縁膜284下にゲート電極285が形成されている。ゲート絶縁膜284は半導体層283及びゲート電極285に接する。ゲート電極285は、平面視で電源線6310と電源線6320との間に位置する。絶縁層35には、半導体層283と電源線6310とを接続するビア6313と、半導体層283と電源線6320とを接続するビア6323と、制御信号線7320と各ゲート電極285とを接続するビア7321とが形成されている。半導体層283と、ゲート絶縁膜284と、ゲート電極285とが第2のスイッチトランジスタ52に含まれる。
【0123】
電源線5360と電源線6360との間にY方向に延在する電源線4360が形成されている。絶縁層35には、電源線6360と電源線4360とを接続するビア4361と、電源線4360と電源線5360とを接続するビア5361とが形成されている。
【0124】
電源線5320と電源線6320との間にY方向に延在する電源線4320が形成されている。絶縁層35には、電源線6320と電源線4320とを接続するビア4321と、電源線4320と電源線5320とを接続するビア5321とが形成されている。
【0125】
Y方向に並ぶ複数の電源線5330の上方にY方向に延在する電源線4330が形成されている。電源線4330は、例えば電源線4320及び4360と同一のサブ配線層に形成されている。絶縁層35には、電源線4330と電源線5330とを接続するビア5331が形成されている。
【0126】
図19及び
図20での図示を省略するが、電源線6310及び6360の上方にY方向に延在する電源線8310が形成されていてもよく、電源線8310と電源線6310とを接続するビア6311が形成されていてもよい。また、電源線6320の上方に電源線8320が形成されていてもよく、電源線8320と電源線6320とを接続するビア6321が形成されていてもよい。
【0127】
第2の実施形態においても、スタンダードセル56を動作させようとする際には、第2のスイッチトランジスタ52がオフ状態とされた後に、第1のスイッチトランジスタ51がオン状態とされる。すなわち、ゲート電極285に、電源線6310と電源線6320との間を非導通とする制御信号が入力された後に、ゲート電極275に、電源線6310と電源線6360との間を導通とする制御信号が入力される。
【0128】
電源線6360(VVDD配線)にVDDの電源電位が供給されると、スタンダードセル56が動作し始める。この時、本実施形態では、第2のスイッチトランジスタ52がオフ状態となっているため、ラッシュカレントが抑制され、ノイズの発生が抑制される。
【0129】
スタンダードセル56が動作し始めた後、第2のパワードメイン31Bに供給されるVDDの電源電位の変動が落ち着くと、第2のスイッチトランジスタ52がオン状態とされる。すなわち、ゲート電極285に、電源線6310と電源線6320との間を導通とする制御信号が入力される。この結果、第1のパワードメイン31A及び第2のパワードメイン31Bに、安定したVDDの電源電位が供給されるようになる。
【0130】
このように、本実施形態によっても、ラッシュカレントに伴うノイズの発生を抑制することができる。
【0131】
ここで、スイッチトランジスタの断面構成の概要について説明する。
図23~
図25は、スイッチトランジスタの断面構成の例を示す断面図である。
【0132】
図23に示す第1の例では、絶縁層101中に下地絶縁膜102が設けられ、下地絶縁膜102上に半導体層103、ゲート絶縁膜104及びゲート電極105が設けられている。絶縁層101の表層部に、制御信号線110と、VDD配線に相当する電源線120と、VVDD配線に相当する電源線130が設けられている。半導体層103は、チャネル103Cと、チャネル103Cを間に挟むソース103S及びドレイン103Dを有する。電源線120とソース103Sとがビア121を介して接続され、電源線130とドレイン103Dとがビア131を介して接続されている。下地絶縁膜102の下に、VDD配線に相当する電源線123と、VVDD配線に相当する電源線133とが設けられている。電源線120と電源線123とがビア122を介して接続され、電源線130と電源線133とがビア132を介して接続されている。制御信号線110はビア111を介してゲート電極105に接続されている。
【0133】
図24に示す第2の例では、下地絶縁膜102にゲート絶縁膜204が設けられ、ゲート絶縁膜204の上に半導体層103が設けられ、ゲート絶縁膜204の下にゲート電極205が設けられている。他の構成は第1の例と同様である。
【0134】
図25に示す第3の例では、電源線123が半導体層103のソース103Sの下面に接続するように設けられ、電源線133が半導体層103のドレイン103Dの下面に接続するように設けられている。電源線120はビア121を介して電源線123に接続され、電源線130はビア131を介して電源線133に接続されている。他の構成は第1の例と同様である。
【0135】
下地絶縁膜の材料は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化炭化シリコン等である。半導体層の材料は、例えばInGaZnO(IGZO)、ZnO、ZnSnO、InZnO等である。ゲート絶縁膜の材料は、例えばSiO2、SiOxNy、SiN、Al2O3等である。ゲート電極の材料は、例えばモリブデン、チタン、クロム、タンタル、マグネシウム、銀、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、ルテニウム、スカンジウム等の金属である。ゲート電極の材料がグラフェン等であってもよい。
【0136】
ゲート電極と半導体層との積層関係及び半導体層とVDD配線との接続関係の観点から上記の各実施形態に設けられた第1~第4のスイッチトランジスタ51~54を第1~第3の例に分類すると、次のようになる。すなわち、第1の実施形態、第1の実施形態の第1~第4の変形例及び第1の実施形態の第6の変形例に設けられた第1~第4のスイッチトランジスタ51~54は、第3の例に分類される。第1の実施形態の第5の変形例に設けられた第1~第4のスイッチトランジスタ51~54は、第1の例に分類される。第2の実施形態に設けられた第1~第4のスイッチトランジスタ51~54は、第2の例に分類される。
【0137】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0138】
10:第1のチップ
20:第2のチップ
31A、31B:パワードメイン
41、42、43、44:駆動バッファ
51、52、53、54:スイッチトランジスタ
56:スタンダードセル