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特許7364015回転電機の結線切替装置、回転電機及び回転電機の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】回転電機の結線切替装置、回転電機及び回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20231011BHJP
   H02P 25/18 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H02K5/22
H02P25/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022185368
(22)【出願日】2022-11-21
【審査請求日】2022-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】垣見 悠太
(72)【発明者】
【氏名】梅田 隆司
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3435540(EP,A1)
【文献】国際公開第2020/234955(WO,A1)
【文献】特開昭62-293794(JP,A)
【文献】特開2012-110169(JP,A)
【文献】特開2020-58112(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078842(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02P 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と、
前記第1の配線部材又は前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態の種類を常に表示している結線表示部と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線され
前記結線表示部は、前記プレート部の前記一方の面及び前記他方の面にそれぞれ設けられる回転電機の結線切替装置。
【請求項2】
回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線され、
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が1Y結線となるように配線される回転電機の結線切替装置。
【請求項3】
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が1Y結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が2Y結線となるように配線される請求項1に記載の回転電機の結線切替装置。
【請求項4】
回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線され、
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が2Y結線となるように配線される回転電機の結線切替装置。
【請求項5】
前記端子と前記第1の配線部材との接続又は前記端子と前記第2の配線部材との接続を保持する固定手段と
をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
【請求項6】
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記プレート部の表面に取り付けられ
る請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
【請求項7】
前記プレート部は、前記一方の面側から前記他方の面側を視認できる窓を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
【請求項8】
前記固定手段に対する前記プレート部の取付方向を表示する方向表示部と
をさらに備える請求項5に記載の回転電機の結線切替装置。
【請求項9】
前記固定手段は、前記端子と前記第1の配線部材とが又は前記端子と前記第2の配線部材とが接続されるように前記プレート部をガイドするガイド部を有する請求項5に記載の回転電機の結線切替装置。
【請求項10】
巻線を有する固定子と、
前記巻線の端部に電気的に接続された端子と、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と、
前記第1の配線部材又は前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態の種類を常に表示している結線表示部と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線され
前記結線表示部は、前記プレート部の前記一方の面及び前記他方の面にそれぞれ設けられる回転電機。
【請求項11】
巻線を有する固定子と、
前記巻線の端部に電気的に接続された端子と、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線され、
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が1Y結線となるように配線される回転電機。
【請求項12】
巻線を有する固定子と、
前記巻線の端部に電気的に接続された端子と、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線され、
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が2Y結線となるように配線される回転電機。
【請求項13】
固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、
プレート部の一方の面に第1の配線部材が設けられ、前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態が前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と異なるように前記プレート部の他方の面に前記第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の前記第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方を前記端子に接続する第2工程と
を有し、
前記第1の配線部材又は前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態の種類が常に前記プレート部の前記一方の面及び前記他方の面それぞれ表示される回転電機の製造方法。
【請求項14】
固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、
プレート部の一方の面に第1の配線部材が設けられ、前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態が前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と異なるように前記プレート部の他方の面に前記第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の前記第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方を前記端子に接続する第2工程と
を有し、
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が1Y結線となるように配線される回転電機の製造方法。
【請求項15】
固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、
プレート部の一方の面に第1の配線部材が設けられ、前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態が前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と異なるように前記プレート部の他方の面に前記第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の前記第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方を前記端子に接続する第2工程と
を有し、
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が2Y結線となるように配線される回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機の結線切替装置、回転電機及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機の結線切替装置は、巻線に接続された端子及び電源に通じる端子が配設された基台と、プラグ端子が配設された結線プレートを備える。結線プレートの一方側から基台に差し込むと巻線がΔ結線される。また、結線プレートを180度回転させ、結線プレートの他方側から基台に差し込むと巻線が2Y結線される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭48-037603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の回転電機の結線切替装置では、結線プレートをその一方側から基台に差し込んだときと、その他方側から基台に差し込んだときとで巻線の結線状態が異なるように結線プレートの一方の面に複数の配線部材を設ける必要がある。そのため、結線プレートが大型化するという課題があった。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、結線プレートを小型化することができる回転電機の結線切替装置、回転電機及びその製造方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる回転電機の結線切替装置は、回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、絶縁性を有するプレート部と、プレート部の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材と、第1の配線部材又は第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態の種類を常に表示している結線表示部とを備え、第2の配線部材が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、第1の配線部材及び第2の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線され、前記結線表示部は、前記プレート部の前記一方の面及び前記他方の面にそれぞれ設けられる。
また、本開示にかかる回転電機の結線切替装置は、回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、絶縁性を有するプレート部と、プレート部の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材とを備え、第2の配線部材が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、第1の配線部材及び第2の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線され、第1の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたとき巻線がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材は、第2の配線部材が端子に接続されたとき巻線が1Y結線となるように配線される。
さらに、本開示にかかる回転電機の結線切換装置は、回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、絶縁性を有するプレート部と、プレート部の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材とを備え、第2の配線部材が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、第1の配線部材及び第2の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線され、第1の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたとき巻線がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材は、第2の配線部材が端子に接続されたとき巻線が2Y結線となるように配線される。
【0007】
本開示にかかる回転電機は、巻線を有する固定子と、巻線の端部に電気的に接続された端子と、絶縁性を有するプレート部と、プレート部の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材と、第1の配線部材又は第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態の種類を常に表示している結線表示部とを備え、第2の配線部材が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、第1の配線部材及び第2の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線され、前記結線表示部は、前記プレート部の前記一方の面及び前記他方の面にそれぞれ設けられる。
また、本開示にかかる回転電機は、巻線を有する固定子と、巻線の端部に電気的に接続された端子と、絶縁性を有するプレート部と、プレート部の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材とを備え、第2の配線部材が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、第1の配線部材及び第2の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線され、第1の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたとき巻線がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材は、第2の配線部材が端子に接続されたとき巻線が1Y結線となるように配線される。
さらに、本開示にかかる回転電機は、巻線を有する固定子と、巻線の端部に電気的に接続された端子と、絶縁性を有するプレート部と、プレート部の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材とを備え、第2の配線部材が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、第1の配線部材及び第2の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線され、第1の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたとき巻線がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材は、第2の配線部材が端子に接続されたとき巻線が2Y結線となるように配線される。
【0008】
本開示にかかる回転電機の製造方法は、固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、一方の面に第1の配線部材が設けられ、端子に接続されたときの巻線の結線状態が第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と異なるように他方の面に第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方が端子に接続されるように結線切替装置を配置する第2工程とを有し、第1の配線部材又は第2の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態の種類が常に前記プレート部の前記一方の面及び前記他方の面それぞれ表示される。
また、本開示にかかる回転電機の製造方法は、固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、プレート部の一方の面に第1の配線部材が設けられ、端子に接続されたときの巻線の結線状態が第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と異なるようにプレート部の他方の面に第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方を端子に接続する第2工程とを有し、第1の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたとき巻線がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材は、第2の配線部材が端子に接続されたとき巻線が1Y結線となるように配線される。
さらに、本開示にかかる回転電機の製造方法は、固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、プレート部の一方の面に第1の配線部材が設けられ、端子に接続されたときの巻線の結線状態が第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と異なるようにプレート部の他方の面に第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方を端子に接続する第2工程と
を有し、第1の配線部材は、第1の配線部材が端子に接続されたとき巻線がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材は、第2の配線部材が端子に接続されたとき巻線が2Y結線となるように配線される。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる回転電機の結線切替装置、回転電機及びその製造方法は、結線プレートを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における回転電機の端面図である。
図2】実施の形態1における回転電機のA―A’断面図である。
図3】実施の形態1における結線切替装置の斜視図である。
図4】実施の形態1における基台の平面図である。
図5】実施の形態1における結線プレートの平面図である。
図6】実施の形態1における結線切替装置の側面図である。
図7】実施の形態1における巻線がΔ結線されたときの回路図である。
図8】実施の形態1における巻線が1Y結線されたときの回路図である。
図9】実施の形態1における結線切替装置の変形例を示す側面図である。
図10】実施の形態1における結線プレートの変形例を示す平面図である。
図11】実施の形態1における基台の変形例を示す平面図である。
図12】実施の形態1における結線切替装置の変形例を示す斜視図である。
図13】実施の形態2における結線切替装置の斜視図である。
図14】実施の形態2における結線切替装置の変形例を示す斜視図である。
図15】実施の形態2における結線切替装置の変形例を示す斜視図である。
図16】実施の形態3における基台の斜視図である。
図17】実施の形態3における基台の平面図である。
図18】実施の形態3における結線プレートの平面図である。
図19】実施の形態3における巻線が1Y結線されたときの回路図である。
図20】実施の形態3における巻線が2Y結線されたときの回路図である。
図21】実施の形態4における基台の斜視図である。
図22】実施の形態4における基台の平面図である。
図23】実施の形態4における結線プレートの平面図である。
図24】実施の形態4における巻線がΔ結線されたときの回路図である。
図25】実施の形態4における巻線が2Y結線されたときの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下に実施の形態1にかかる回転電機1の結線切替装置9を詳細に説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成を表している。
【0012】
図1に示すように、回転電機1は、ハウジング2、回転軸3、一対の軸受4、回転子5、固定子6及び図1に図示しない結線切替装置9を備える。回転軸3は、一対の軸受4を介してハウジング2に回転自在に支持されている。ハウジング2の内部には、回転子5及び固定子6が設けられる。回転子5は、回転軸3に固定される。回転子5は、磁性体である円柱状の回転子コア5a及び永久磁石5bを有する。永久磁石5bは、回転子コア5aの周囲に配置される。回転子5の周囲には、固定子6が配置される。
【0013】
図2に示すように、固定子6は、円環状の固定子コア7及び巻線8を有する。固定子コア7の内周側には、回転軸3の方向に向かって延びる複数のティース部7aが設けられる。ティース部7aには、巻線8が巻き付けられる。なお、巻線8は集中巻きされても、分布巻きされてもよい。
【0014】
巻線8は、固定子コア7の円環に沿うように配置されたU相巻線81、V相巻線82及びW相巻線83を有する。U相巻線81は、第1のU相巻線81a及び第2のU相巻線81bを有する。第2のU相巻線81bは、第1のU相巻線81aに直列接続される。V相巻線82は、第1のV相巻線82a及び第2のV相巻線82bを有する。第2のV相巻線82bは、第1のV相巻線82aに直列接続される。W相巻線83は、第1のW相巻線83a及び第2のW相巻線83bを有する。第2のW相巻線83bは、第1のW相巻線83aに直列接続される。
【0015】
図2に図示しないが、巻線8の端部は端子に電気的に接続される。具体的には、U相巻線81の一端は、リード線を介して端子U1に電気的に接続される。U相巻線81の他端は、リード線を介して端子U2に電気的に接続される。V相巻線82の一端は、リード線を介して端子V1に電気的に接続される。V相巻線82の他端は、リード線を介して端子V2に電気的に接続される。W相巻線83の一端は、リード線を介して端子W1に電気的に接続される。W相巻線83の他端は、リード線を介して端子W2に電気的に接続される。以下、端子U1、U2、V1、V2、W1、W2を区別して説明しない場合は、端子11と呼ぶ。
【0016】
なお、端子U1、V1、W1は、電源に電気的に接続される。例えば端子U1、V1、W1は、外部のインバータ(図示せず)からの三相交流電流を供給する電源線U、V、Wに接続される。なお、電気的な接続を確保できるものであれば、電気的接続方法は上記の例に限定されない。
【0017】
図3に示すように、結線切替装置9は、固定手段12及び結線プレート17を備える。
【0018】
固定手段12は、端子11と後述する第1の配線部材20との接続又は端子11と後述する第2の配線部材21との接続を保持するものである。固定手段12は絶縁性を有する。すなわち、固定手段12は樹脂等の絶縁体から形成された複数の部材から構成される。
【0019】
固定手段12は、基台13、円筒部14、棒状部材15a-f及びナット16を備える。基台13は、絶縁体から形成された板である。基台13は、補助表示部13aを有する。補助表示部13aは、基台13の一角に表示された記号である。具体的には、補助表示部13aは、基台13のうち奥行方向の奥側であって左右方向の右側の位置に設けられる。補助表示部13aとして、例えば星形を表示する。なお、奥行方向とは、基台13及び結線プレート17の短手方向をいい、左右方向とは、基台13及び結線プレート17の長手方向をいう。
【0020】
円筒部14は、その軸方向が基台13に対して垂直方向と平行になるように基台13の一方の面に固定される。円筒部14は、絶縁体から形成される。また、円筒部14は、6つ設けられる。そのうち3つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の手前側に固定される。他の3つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の奥側に固定される。
【0021】
棒状部材15a-fは、絶縁体から形成されたネジ棒である。棒状部材15a-fは、基台13に対して垂直方向に延びるように円筒部14にそれぞれ固定される。棒状部材15a、b、cは奥行方向の手前側に固定された円筒部14に固定され、棒状部材15d、e、fは奥行方向の奥側に固定された円筒部14に固定される。以下の説明において、棒状部材15a-fを区別して説明しない場合は、棒状部材15と呼ぶ。
【0022】
図4に示すように、固定手段12の棒状部材15には、端子11が接続される。具体的には、棒状部材15aに端子W1が接続され、棒状部材15bに端子V2が接続され、棒状部材15cに端子U2が接続される。また、棒状部材15dに端子V1が接続され、棒状部材15eに端子U1が接続され、棒状部材15fに端子W2が接続される。作業員が端子11を棒状部材15に接続する際、端子11をどの棒状部材15に接続すればよいか判別しやすいように、棒状部材15付近の基台13に端子11を示す記号を表示してもよい。例えば、端子W1が接続される棒状部材15a付近の基台に「W1」と表示してもよい。また、棒状部材15aが固定された円筒部14に「W1」と表示してもよい。
【0023】
ナット16は、6つ設けられ、棒状部材15にそれぞれ取り付けられる。ナット16を締め付けることにより結線プレート17を固定する。このように結線プレート17を固定することで、端子11と後述する第1の配線部材20との接続又は端子11と後述する第2の配線部材21との接続が保持される。
【0024】
図5に示すように、結線プレート17は、プレート部18、切欠部19、第1の配線部材20、第2の配線部材21及び結線表示部22を備える。図5(a)は結線プレート17の一方の面を示し、図5(b)は結線プレート17の他方の面を示す。
【0025】
プレート部18は絶縁体から形成された板である。つまり、プレート部18は絶縁性を有する。プレート部18には、棒状部材15が挿入される6つの被挿入穴18aが形成される。
【0026】
切欠部19は、固定手段12の基台13に対するプレート部18の取付方向を表示する方向表示部である。切欠部19は、プレート部18の一角に設けられる。具体的には、切欠部19は、図3に示すようにプレート部18の一方の面が基台13と対向しているとき、プレート部18の奥行方向の奥側であって左右方向の右側の位置に設けられる。なお、方向表示部として、プレート部18に記号を表示してもよい。
【0027】
図5(a)に示すように、第1の配線部材20は、導体から形成された3枚の板であり、プレート部18の一方の面に設けられる。第1の配線部材20は、ねじ等により固定され、プレート部18の表面に取り付けられる。第1の配線部材20は、端子U1と端子W2とを電気的に接続し、端子V1と端子U2とを電気的に接続し、端子W1と端子V2とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第1の配線部材20は、端子11に接続されたとき巻線8がΔ結線(デルタ結線)となるように配線されている。
【0028】
図5(b)に示すように、第2の配線部材21は、導体から形成されたL字の1枚の板であり、プレート部18の他方の面に設けられる。第2の配線部材21は、ねじ等により固定され、プレート部18の表面に取り付けられる。第2の配線部材21は、端子U2と端子V2と端子W2とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第2の配線部材21は、端子11に接続されたとき巻線8が1Y結線(シングルスター結線)となるように配線されている。したがって、第2の配線部材21が形成する配線パターンは、第1の配線部材20が形成する配線パターンと異なる。また、第1の配線部材20及び第2の配線部材21は、第1の配線部材20が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態と第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態とが異なるように配線されている。
【0029】
なお、第1の配線部材20及び第2の配線部材21には、被挿入穴18aを塞がないように複数の穴が形成されている。
【0030】
結線表示部22は、第1の配線部材20又は第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示する。巻線8の結線状態の種類とは、例えばΔ結線又は1Y結線等である。結線表示部22は、プレート部18の一方の面及び他方の面にそれぞれ記号で表示される。第1の配線部材20が端子11に接続されたときに巻線8がΔ結線されるため、プレート部18の一方の面に結線表示部22として「Δ」と表示する。第2の配線部材21が端子11に接続されたとき巻線8が1Y結線されるため、プレート部18の他方の面に結線表示部22として「1Y」と表示する。なお、結線表示部22として、Δ結線の回路図又は1Y結線の回路図を表示してもよい。
【0031】
次に、巻線8をΔ結線する場合における回転電機1の製造方法について説明する。
【0032】
まず、巻線8の端部に電気的に接続された端子11を所定の位置に接続する。具体的には、端子11を固定手段12の棒状部材15に接続する。図4に示すように、端子W1を棒状部材15aに接続し、端子V2を棒状部材15bに接続し、端子U2を棒状部材15cに接続する。また、端子V1を棒状部材15dに接続し、端子U1を棒状部材15eに接続し、端子W2を棒状部材15fに接続する。この工程が本開示における第1工程に相当する。
【0033】
次に、結線プレート17の第1の配線部材20を端子11に接続する。具体的には、まず、図3に示すように切欠部19が奥行方向の奥側であって左右方向の右側に位置するようにプレート部18を配置する。このとき、基台13の補助表示部13aの位置を手掛かりにしてもよい。つまり、切欠部19が補助表示部13aと対向するようにプレート部18を配置しても、上記と同様にプレート部18を配置することができる。このようにプレート部18を配置すると、結線プレート17の一方の面が基台13と対向する。次に、プレート部18の被挿入穴18aに棒状部材15が挿入されるように結線プレート17を基台13側に近づけ、第1の配線部材20と端子11とを接続する。このとき第1の配線部材20により、端子U1と端子W2とが電気的に接続され、端子V1と端子U2とが電気的に接続され、端子W1と端子V2とが電気的に接続されるため、図7に示すように巻線8がΔ結線される。この工程が本開示における第2工程に相当する。
【0034】
最後に、固定手段12により第1の配線部材20と端子11との接続を保持する。具体的には、図6に示すように棒状部材15にナット16を取り付けて、締め付ける。これにより、結線プレート17が固定される。
【0035】
なお、巻線8を1Y結線する場合は、第2工程において結線プレート17の第2の配線部材21を端子11に接続する。具体的には、まず、切欠部19が奥行方向の奥側であって左右方向の左側に位置するようにプレート部18を配置する。このようにプレート部18を配置すると、結線プレート17の他方の面が基台13と対向する。次に、プレート部18の被挿入穴18aに棒状部材15が挿入されるように結線プレート17を基台13側に近づけ、第2の配線部材21と端子11とを接続する。このとき第2の配線部材21により、端子U2と端子V2と端子W2とが電気的に接続されるため、図8に示すように巻線8が1Y結線される。その他の工程は、上述と同様である。
【0036】
次に、巻線8をΔ結線から1Y結線に切り替える方法について説明する。巻線8がΔ結線され、固定手段12により第1の配線部材20と端子11との接続が保持されている状態から説明する。
【0037】
まず、棒状部材15に取り付けられたナット16を緩め、ナット16を棒状部材15から取り外す。
【0038】
次に、結線プレート17を固定手段12から取り外す。具体的には、第1の配線部材20が端子11から離れるように結線プレート17を持ち上げ、被挿入穴18aから棒状部材15を抜く。
【0039】
次に、結線プレート17の一方の面と他方の面との位置を反転させ、結線プレート17の第2の配線部材21を端子11に接続する。具体的な動作は、第2工程と同様である。
【0040】
最後に、固定手段12により第2の配線部材21と端子11との接続を保持する。具体的には、棒状部材15にナット16を取り付けて、締め付ける。これにより、結線プレート17が固定される。
【0041】
次に、巻線8の各結線状態における回転電機1の回転速度及びトルクついて説明する。巻線8がΔ結線されたとき、相電流は線電流の1/√3 倍となり、相電圧は線間電圧と等しくなる。一方、巻線8が1Y結線されたとき、相電流は線電流と等しくなり、相電圧は線間電圧の1/√3 倍となる。
【0042】
巻線8にかかる電圧が大きくなると回転電機1の回転速度が大きくなる。そのため、回転電機1の回転速度を大きくしたい場合は、第1の配線部材20と端子11とを接続し、巻線8をΔ結線するとよい。また、巻線8に流れる電流が大きくなると回転電機1のトルクが大きくなる。そのため、回転電機1のトルクを大きくしたい場合は、第2の配線部材21と端子11とを接続し、巻線8を1Y結線するとよい。このように回転電機1から出力させたい回転速度又はトルクに応じて巻線8の結線状態を切り替えることができる。
【0043】
このような実施の形態1における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20がプレート部18の一方の面に設けられ、第2の配線部材21がプレート部18の他方の面に設けられる。このように、第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられるため、一方の面に複数の配線部材を設ける場合と比較して巻線8の結線状態を切り替える結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。言い換えると、プレート部18の一方の面に第1の配線部材20及び第2の配線部材21を設ける必要がないため、結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。
【0044】
さらに、実施の形態1における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20は、第1の配線部材20が端子11に接続されたとき巻線8がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材21は、第2の配線部材21が端子11に接続されたとき巻線8が1Y結線となるように配線される。そのため、回転電機1から出力させたい回転速度又はトルクに応じて1つの結線プレート17により巻線8をΔ結線と1Y結線とに容易に切り替えることができる。
【0045】
さらに、実施の形態1における回転電機1の結線切替装置9にあっては、端子11と第1の配線部材20との接続又は端子11と第2の配線部材21との接続を保持する固定手段12を備える。例えば、外部から力が加えられ結線切替装置9が移動したとしても、固定手段12により端子11と第1の配線部材20との接続又は端子11と第2の配線部材21との接続が切断されることが抑制される。
【0046】
さらに、実施の形態1における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20及び第2の配線部材21がプレート部18の表面に取り付けられる。第1の配線部材20及び第2の配線部材21をプレート部18の内部に配置するインサート成形と比較して、結線プレート17を安価に製造することができる。また、第1の配線部材20又は第2の配線部材21の表面に錆びが生じる又は破損する等により第1の配線部材20又は第2の配線部材21を交換する場合に、これらを容易に交換することができる。
【0047】
さらに、実施の形態1における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20又は第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示する結線表示部22を備える。結線表示部22により巻線8の結線状態の種類を作業員が容易に判別することができるため、第2工程において結線プレート17の第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続する際の作業効率が向上する。
【0048】
さらに、実施の形態1における回転電機1の結線切替装置9にあっては、固定手段12の基台13に対するプレート部18の取付方向を表示する切欠部19を備える。作業員が第2工程において結線プレート17の第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続する際、固定手段12の基台13に対するプレート部18の取付方向を判別しやすくなり、作業効率が向上する。さらに、作業員が結線プレート17を誤った位置に配置して誤配線することを抑制できる。
【0049】
また、このような実施の形態1における回転電機1にあっては、第1の配線部材20がプレート部18の一方の面に設けられ、第2の配線部材21がプレート部18の他方の面に設けられる。このように、第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられるため、一方の面に複数の配線部材を設ける場合と比較して巻線8の結線状態を切り替える結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。言い換えると、プレート部18の一方の面に第1の配線部材20及び第2の配線部材21を設ける必要がないため、結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。
【0050】
また、実施の形態1における回転電機1の製造方法にあっては、第2工程において、第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられた結線プレート17の第1の配線部材20及び第2の配線部材21のいずれか一方を端子11に接続する。第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられるため、結線プレート17を小型化することができる。上記のように結線プレート17の第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続することにより、結線プレート17が小型化された回転電機1を得ることができる。
【0051】
なお、結線切替装置9は、固定手段12及び結線プレート17を備える例について説明したが、結線切替装置9は、結線プレート17のみを備えていてもよい。つまり、結線プレート17を結線切替装置9としてもよい。
【0052】
固定手段12及びプレート部18が絶縁性を有する例について説明したが、それらの表面のうち、端子11、第1の配線部材20及び第2の配線部材21と接する一部が絶縁性を有していてもよい。また、固定手段12及びプレート部18は、その表面が絶縁性を有していれば、絶縁体で形成しなくてもよい。つまり、導体で形成した固定手段12及びプレート部18の表面を樹脂等の絶縁体で覆ってもよい。
【0053】
第1の配線部材20及び第2の配線部材21をプレート部18の内部に配置してもよい。第1の配線部材20及び第2の配線部材21が端子11と電気的に接続できるようにそれらの一部をプレート部18の表面に配置してもよい。
【0054】
結線表示部22及び方向表示部は、第1の配線部材20又は第2の配線部材21に設けてもよい。
【0055】
結線表示部22は、プレート部18の一方の面に第1の配線部材20が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示する例について説明した。プレート部18の一方の面に設けられた第1の配線部材20が端子11に接続されているとき、プレート部18の一方の面は基台13と対向している。そのため、プレート部18の一方の面にこのような結線表示部22を設けたとしても、作業員はその結線表示部22を視認しにくく、巻線8の結線状態の種類を判別しにくい。そこで、プレート部18の他方の面に第1の配線部材20が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示してもよい。このように結線表示部22を設けることで、作業員がその結線表示部22を視認しやすくなり、巻線8の結線状態の種類を判別しやすくなる。なお、プレート部18の他方の面に第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示する結線表示部22についても同様である。
【0056】
図9に示すように、予めプレート部18の被挿入穴18aに棒状部材15を挿入し、結線プレート17の一方の面が基台13と対向するように配置した後、端子11を棒状部材15に接続し、結線プレート17の第2の配線部材21と端子11とを接続してもよい。また、予めプレート部18の被挿入穴18aに棒状部材15を挿入し、結線プレート17の他方の面が基台13と対向するように配置した後、端子11を棒状部材15に接続し、結線プレート17の第1の配線部材20と端子11とを接続してもよい。
【0057】
なお、端子11が第1の配線部材20に接続されたとき巻線8がΔ結線となり、端子11が第2の配線部材21に接続されたとき巻線8が1Y結線となるように第1の配線部材20及び第2の配線部材21が配線されれば、第1の配線部材20及び第2の配線部材21の配線パターン又は第1の配線部材20及び第2の配線部材21の形状は実施の形態1に示した例に限定されない。例えば、図10に示すような第1の配線部材20及び第2の配線部材21の形状であってもよい。図10(a)は結線プレート17の一方の面を示し、図10(b)は結線プレート17の他方の面を示す。図10(a)に示す第1の配線部材20は、端子U1と端子W2とを電気的に接続し、端子V1と端子U2とを電気的に接続し、端子W1と端子V2とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第1の配線部材20は、端子11に接続されたとき巻線8がΔ結線となるように配線されている。図10(b)に示す第2の配線部材21は、端子U2と端子V2と端子W2とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第2の配線部材21は、端子11に接続されたとき巻線8が1Y結線となるように配線されている。このような結線プレート17の場合、図11に示すように、端子W2が棒状部材15aに接続され、端子V2が棒状部材15bに接続され、端子U2が棒状部材15cに接続される。また、端子U1が棒状部材15dに接続され、端子W1が棒状部材15eに接続され、端子V1が棒状部材15fに接続される。
【0058】
円筒部14に棒状部材15が固定される例について説明したが、図12に示すように、円筒部14に棒状部材15が挿入される凹部を形成し、結線プレート17の第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続した後に棒状部材15であるねじを取り付けてもよい。この場合、ナット16を取り付ける必要がない。
【0059】
実施の形態2.
実施の形態2では、固定手段12がガイド部23を有し、プレート部18が窓25を有する点で実施の形態1と相違する。以下に相違点について説明する。
【0060】
固定手段12は、端子11と第1の配線部材20とが又は端子11と第2の配線部材21とが接続されるようにプレート部18をガイドするガイド部23を有する。ガイド部23は、基台13に設けられ、基台13に対して垂直方向に延びるように固定される棒である。ガイド部23は、2つ設けられる。一方のガイド部23は、基台13の奥行方向の奥側であって左右方向の右側に固定され、他方のガイド部23はその対角に固定される。つまり、他方のガイド部23は、基台13の奥行方向の手前側であって左右方向の左側に固定される。
【0061】
プレート部18には、ガイド部23が挿入される被挿入穴24が4つ形成される。第1の配線部材20と端子11とが接続されるとき、2つの被挿入穴24にガイド部23が挿入され、第2の配線部材21と端子11とが接続されるとき、他の2つ被挿入穴24にガイド部23が挿入される。
【0062】
プレート部18は、プレート部18の一方の面側から他方の面側を視認でき、他方の面側から一方の面側を視認できる窓25を有する。窓25とは、具体的には、プレート部18の一部に形成された穴である。窓25は、奥行方向の中央に設けられる。
【0063】
このような実施の形態2における回転電機1の結線切替装置9にあっても、第1の配線部材20がプレート部18の一方の面に設けられ、第2の配線部材21がプレート部18の他方の面に設けられる。このように、第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられるため、一方の面に複数の配線部材を設ける場合と比較して巻線8の結線状態を切り替える結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。言い換えると、プレート部18の一方の面に第1の配線部材20及び第2の配線部材21を設ける必要がないため、結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。
【0064】
さらに、実施の形態2における回転電機1の結線切替装置9にあっては、プレート部18の一方の面側から他方の面側を視認できる窓25を有する。第2工程において結線プレート17の第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続する際、作業員がプレート部18の一方の面側から他方の面側にある棒状部材15の位置を確認しやすくなる。そのため、プレート部18の被挿入穴18aに棒状部材15を挿入しやすくなり、作業効率が向上する。なお、プレート部18の他方の面側から一方の面側を視認できる窓25についても上記と同様の効果を奏する。
【0065】
さらに、実施の形態2における回転電機1の結線切替装置9にあっては、端子11と第1の配線部材20とが又は端子11と第2の配線部材21とが接続されるようにプレート部18をガイドするガイド部23を有する。第2工程において結線プレート17の第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続する際、被挿入穴24にガイド部23を挿入すれば容易に第1の配線部材20又は第2の配線部材21を端子11に接続することができる。そのため、作業員の作業効率が向上する。
【0066】
なお、窓25が穴である例について説明したが、一方の面側から他方の面側を視認できれば窓25に透明又は半透明の樹脂等を充填してもよい。また、窓25がプレート部18の一部に形成される例について説明したが、プレート部18全体を透明又は半透明の樹脂等で形成し、プレート部18全体を窓25としてもよい。
【0067】
なお、図14に示すように、ガイド部23をネジ棒としてもよい。この場合、ナット16を2つ設け、ガイド部23にそれぞれ取り付けて結線プレート17を固定してもよい。このような構成であっても端子11と第1の配線部材20との接続又は端子11と第2の配線部材21との接続を保持することができる。また、このような構成によりナット16の数を削減できるため、ナット16を取り付ける手間を削減することができる。なお、このような構成では棒状部材15をネジ棒としなくてもよい。
【0068】
なお、ガイド部23が2つ設けられる例について説明したが、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0069】
なお、図15に示すように、ガイド部23としてL字状の部材を基台13の角に設けてもよい。具体的には、ガイド部23を2つ設け、一方のガイド部23を基台13の奥行方向の奥側であって左右方向の右側に固定し、他方のガイド部23をその対角である基台13の奥行方向の手前側であって左右方向の左側に固定してもよい。この場合、被挿入穴24を設ける必要がない。
【0070】
実施の形態3.
実施の形態1では、結線プレート17により巻線8をΔ結線と1Y結線とに切り替える例について説明した。実施の形態3では、結線プレート17により巻線8を1Y結線と2Y結線とに切り替える例について説明する。以下、実施の形態1との相違点について説明する。
【0071】
巻線8は、固定子コア7の円環に沿うように配置されたU相巻線81、V相巻線82及びW相巻線83を有する。U相巻線81は、第1のU相巻線81a及び第2のU相巻線81bを有する。V相巻線82は、第1のV相巻線82a及び第2のV相巻線82bを有する。W相巻線83は、第1のW相巻線83a及び第2のW相巻線83bを有する。
【0072】
巻線8の端部は、端子に電気的に接続される。具体的には、第1のU相巻線81aの一端は、リード線を介して端子U1に電気的に接続される。第1のU相巻線81aの他端は、リード線を介して端子U2に電気的に接続される。第2のU相巻線81bの一端は、リード線を介して端子U3に電気的に接続される。第2のU相巻線81bの他端は、リード線を介して端子U4に電気的に接続される。第1のV相巻線82aの一端は、リード線を介して端子V1に電気的に接続される。第1のV相巻線82aの他端は、リード線を介して端子V2に電気的に接続される。第2のV相巻線82bの一端は、リード線を介して端子V3に電気的に接続される。第2のV相巻線82bの他端は、リード線を介して端子V4に電気的に接続される。第1のW相巻線83aの一端は、リード線を介して端子W1に電気的に接続される。第1のW相巻線83aの他端は、リード線を介して端子W2に電気的に接続される。第2のW相巻線83bの一端は、リード線を介して端子W3に電気的に接続される。第2のW相巻線83bの他端は、リード線を介して端子W4に電気的に接続される。以下、端子U1、U2、U3、U4、V1、V2、V3、V4、W1、W2、W3、W4を区別して説明しない場合は、端子11と呼ぶ。
【0073】
なお、端子U1、V1、W1は、電源に電気的に接続される。例えば端子U1、V1、W1は、外部のインバータ(図示せず)からの三相交流電流を供給する電源線U、V、Wに接続される。なお、電気的な接続を確保できるものであれば、電気的接続方法は上記の例に限定されない。
【0074】
固定手段12は、基台13、円筒部14、棒状部材15a-l及びナット16を備える。図16に示すように、円筒部14は、12個設けられる。そのうち6つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の手前側に固定される。他の6つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の奥側に固定される。
【0075】
棒状部材15a-lは、基台13に対して垂直方向に延びるように円筒部14にそれぞれ固定される。棒状部材15a-lは奥行方向の手前側に固定された円筒部14に固定され、棒状部材15g-lは奥行方向の奥側に固定された円筒部14に固定される。以下の説明において、棒状部材15a-lを区別して説明しない場合は、棒状部材15と呼ぶ。
【0076】
図17に示すように、固定手段12の棒状部材15には、端子11が接続される。具体的には、棒状部材15aに端子W4が接続され、棒状部材15bに端子W1が接続され、棒状部材15cに端子V4が接続され、棒状部材15dに端子V1が接続され、棒状部材15eに端子U4が接続され、棒状部材15fに端子U1が接続される。また、棒状部材15gに端子W2が接続され、棒状部材15hに端子W3が接続され、棒状部材15iに端子V2が接続され、棒状部材15jに端子V3が接続され、棒状部材15kに端子U2が接続され、棒状部材15lに端子U3が接続される。
【0077】
ナット16は、12個設けられ、棒状部材15にそれぞれ取り付けられる。
【0078】
図18に示すように、結線プレート17は、プレート部18、切欠部19、第1の配線部材20、第2の配線部材21及び結線表示部22を備える。図18(a)は結線プレート17の一方の面を示し、図18(b)は結線プレート17の他方の面を示す。
【0079】
プレート部18には、棒状部材15が挿入される12個の被挿入穴18aが形成される。
【0080】
図18(a)に示すように、第1の配線部材20は、導体から形成された4枚の板であり、プレート部18の一方の面に設けられる。第1の配線部材20は、端子U2と端子U3とを電気的に接続し、端子V2と端子V3とを電気的に接続し、端子W2と端子V3とを電気的に接続し、端子U4と端子V4と端子W4とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第1の配線部材20は、端子11に接続されたとき巻線8が1Y結線となるように配線されている。
【0081】
図18(b)に示すように、第2の配線部材21は、導体から形成された4枚の板であり、プレート部18の他方の面に設けられる。第2の配線部材21は、端子U1と端子U3とを電気的に接続し、端子V1と端子V3とを電気的に接続し、端子W1と端子W3とを電気的に接続し、端子U2と端子U4と端子V2と端子V4と端子W2と端子W4とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第2の配線部材21は、端子11に接続されたとき巻線8が2Y結線(ダブルスター結線)となるように配線されている。したがって、第2の配線部材21が形成する配線パターンは、第1の配線部材20が形成する配線パターンと異なる。また、第1の配線部材20及び第2の配線部材21は、第1の配線部材20が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態と第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態とが異なるように配線されている。
【0082】
結線表示部22は、第1の配線部材20又は第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示する。プレート部18の一方の面に結線表示部22として「1Y」と表示し、プレート部18の他方の面に結線表示部22として「2Y」と表示する。
【0083】
第1の配線部材20と端子11とが接続されると、第1の配線部材20により端子U2と端子U3とが電気的に接続され、端子V2と端子V3とが電気的に接続され、端子W2と端子V3とが電気的に接続され、端子U4と端子V4と端子W4とが電気的に接続されるため、図19に示すように巻線8が1Y結線される。第2の配線部材21と端子11とが接続されると、第2の配線部材21により端子U1と端子U3とが電気的に接続され、端子V1と端子V3とが電気的に接続され、端子W1と端子W3とが電気的に接続され、端子U2と端子U4と端子V2と端子V4と端子W2と端子W4とが電気的に接続されるため、図20に示すように巻線8が2Y結線される。
【0084】
巻線8の各結線状態における回転電機1の回転速度及びトルクついて説明する。巻線8が1Y結線されたとき、巻線8が2Y結線された場合と比較して、第1のU相巻線81aに流れる電流は2倍となり、第1のU相巻線81aにかかる電圧は1/2倍となる。第2のU相巻線81b、第1のV相巻線82a、第2のV相巻線82b、第1のW相巻線83a及び第2のW相巻線83bについても同様である。
【0085】
巻線8にかかる電圧が大きくなると回転電機1の回転速度が大きくなる。そのため、回転電機1の回転速度を大きくしたい場合は、第2の配線部材21と端子11とを接続し、巻線8を2Y結線するとよい。また、巻線8に流れる電流が大きくなると回転電機1のトルクが大きくなる。そのため、回転電機1のトルクを大きくしたい場合は、第1の配線部材20と端子11とを接続し、巻線8を1Y結線するとよい。このように回転電機1から出力させたい回転速度又はトルクに応じて巻線8の結線状態を切り替えることができる。
【0086】
例えば、本実施の形態の結線切替装置9をエレベータ装置の巻上機の回転電機に適用する場合、エレベータ装置を点検するときに行われる非常止め試験においては、第1の配線部材20と端子11とを接続して巻線8を1Y結線する。エレベータ装置の通常運転においては巻線8の結線状態を切り替え、第2の配線部材21と端子11とを接続して巻線8を2Y結線する。結線切替装置9により、巻線8を1Y結線と2Y結線とに容易に切り替えることができる。
【0087】
このような実施の形態3における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20がプレート部18の一方の面に設けられ、第2の配線部材21がプレート部18の他方の面に設けられる。このように、第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられるため、一方の面に複数の配線部材を設ける場合と比較して巻線8の結線状態を切り替える結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。言い換えると、プレート部18の一方の面に第1の配線部材20及び第2の配線部材21を設ける必要がないため、結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。
【0088】
さらに、実施の形態3における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20は、第1の配線部材20が端子11に接続されたとき巻線8が1Y結線となるように配線され、第2の配線部材21は、第2の配線部材21が端子11に接続されたとき巻線8が2Y結線となるように配線される。そのため、回転電機1から出力させたい回転速度又はトルクに応じて1つの結線プレート17により巻線8を1Y結線と2Y結線とに容易に切り替えることができる。
【0089】
なお、端子11が第1の配線部材20に接続されたとき巻線8が1Y結線となり、端子11が第2の配線部材21に接続されたとき巻線8が2Y結線となるように第1の配線部材20及び第2の配線部材21が配線されれば、第1の配線部材20及び第2の配線部材21の配線パターン又は第1の配線部材20及び第2の配線部材21の形状は実施の形態3に示した例に限定されない。
【0090】
実施の形態4.
実施の形態1では、結線プレート17により巻線8をΔ結線と1Y結線とに切り替える例について説明した。実施の形態4では、結線プレート17により巻線8をΔ結線と2Y結線とに切り替える例について説明する。以下、実施の形態1との相違点について説明する。
【0091】
巻線8は、固定子コア7の円環に沿うように配置されたU相巻線81、V相巻線82及びW相巻線83を有する。U相巻線81は、第1のU相巻線81a及び第2のU相巻線81bを有する。V相巻線82は、第1のV相巻線82a及び第2のV相巻線82bを有する。W相巻線83は、第1のW相巻線83a及び第2のW相巻線83bを有する。
【0092】
巻線8の端部は、端子に電気的に接続される。具体的には、第1のU相巻線81aの一端は、リード線を介して端子U1に電気的に接続される。第1のU相巻線81aの他端は、リード線を介して端子U2に電気的に接続される。第2のU相巻線81bの一端は、リード線を介して端子U3に電気的に接続される。第2のU相巻線81bの他端は、リード線を介して端子U4に電気的に接続される。第1のV相巻線82aの一端は、リード線を介して端子V1に電気的に接続される。第1のV相巻線82aの他端は、リード線を介して端子V2に電気的に接続される。第2のV相巻線82bの一端は、リード線を介して端子V3に電気的に接続される。第2のV相巻線82bの他端は、リード線を介して端子V4に電気的に接続される。第1のW相巻線83aの一端は、リード線を介して端子W1に電気的に接続される。第1のW相巻線83aの他端は、リード線を介して端子W2に電気的に接続される。第2のW相巻線83bの一端は、リード線を介して端子W3に電気的に接続される。第2のW相巻線83bの他端は、リード線を介して端子W4に電気的に接続される。以下、端子U1、U2、U3、U4、V1、V2、V3、V4、W1、W2、W3、W4を区別して説明しない場合は、端子11と呼ぶ。
【0093】
なお、端子U1、V1、W1は、電源に電気的に接続される。例えば端子U1、V1、W1は、外部のインバータ(図示せず)からの三相交流電流を供給する電源線U、V、Wに接続される。なお、電気的な接続を確保できるものであれば、電気的接続方法は上記の例に限定されない。
【0094】
固定手段12は、基台13、円筒部14、棒状部材15a-r及びナット16を備える。図21に示すように、円筒部14は、18個設けられる。そのうち6つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の手前側に固定される。他の6つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の中央に設けられる。他の6つの円筒部14は、左右方向に一列に並べられ、奥行方向の奥側に設けられる。
【0095】
棒状部材15a-rは、基台13に対して垂直方向に延びるように円筒部14にそれぞれ固定される。棒状部材15a-fは奥行方向の手前側に固定された円筒部14に固定され、棒状部材15g-lは奥行方向の中央に固定された円筒部14に固定され、棒状部材15m-rは奥行方向の中央に固定された円筒部14に固定される。以下の説明において、棒状部材15a-rを区別して説明しない場合は、棒状部材15と呼ぶ。
【0096】
図22に示すように、固定手段12の棒状部材15には、端子11が接続される。具体的には、棒状部材15aに端子U2が接続され、棒状部材15cに端子V2が接続され、棒状部材15eに端子W2が接続される。また、棒状部材15gに端子U3が接続され、棒状部材15iに端子V3が接続され、棒状部材15kに端子W3が接続される。さらに、棒状部材15mに端子U1が接続され、棒状部材15nに端子U4が接続され、棒状部材15оに端子V1が接続され、棒状部材15pに端子V4が接続され、棒状部材15qに端子W1が接続され、棒状部材15rに端子W4が接続される。なお、棒状部材15b、d、f、h、j、lには端子11が接続されない。
【0097】
ナット16は、18個設けられ、棒状部材15にそれぞれ取り付けられる。
【0098】
図23に示すように、結線プレート17は、プレート部18、切欠部19、第1の配線部材20、第2の配線部材21及び結線表示部22を備える。図23(a)は結線プレート17の一方の面を示し、図23(b)は結線プレート17の他方の面を示す。
【0099】
プレート部18には、棒状部材15が挿入される18個の被挿入穴18aが形成される。
【0100】
図23(a)に示すように、第1の配線部材20は、導体から形成された6枚の板であり、プレート部18の一方の面に設けられる。第1の配線部材20は、端子U1と端子W4とを電気的に接続し、端子U2と端子U3とを電気的に接続し、端子U1と端子V1とを電気的に接続し、端子V2と端子V3とを電気的に接続し、端子V4と端子W1とを電気的に接続し、端子W2と端子W3とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第1の配線部材20は、端子11に接続されたとき巻線8がΔ結線となるように配線されている。
【0101】
図23(b)に示すように、第2の配線部材21は、導体から形成された5枚の板であり、プレート部18の他方の面に設けられる。第2の配線部材21は、端子U1と端子U3とを電気的に接続し、端子V1と端子V3とを電気的に接続し、端子W1と端子W3とを電気的に接続し、端子U2と端子V2と端子W2とを電気的に接続し、端子U4と端子V4と端子W4とを電気的に接続する配線パターンを形成している。第2の配線部材21は、端子11に接続されたとき巻線8が2Y結線となるように配線されている。したがって、第2の配線部材21が形成する配線パターンは、第1の配線部材20が形成する配線パターンと異なる。また、第1の配線部材20及び第2の配線部材21は、第1の配線部材20が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態と第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態とが異なるように配線されている。
【0102】
結線表示部22は、第1の配線部材20又は第2の配線部材21が端子11に接続されたときの巻線8の結線状態の種類を表示する。プレート部18の一方の面に結線表示部22として「Δ」と表示し、プレート部18の他方の面に結線表示部22として「2Y」と表示する。
【0103】
第1の配線部材20と端子11とが接続されると、第1の配線部材20により端子U1と端子W4とが電気的に接続され、端子U2と端子U3とが電気的に接続され、端子U1と端子V1とが電気的に接続され、端子V2と端子V3とが電気的に接続され、端子V4と端子W1とが電気的に接続され、端子W2と端子W3とが電気的に接続されるため、図24に示すように巻線8がΔ結線される。第2の配線部材21と端子11とが接続されると、端子U1と端子U3とが電気的に接続され、端子V1と端子V3とが電気的に接続され、端子W1と端子W3とが電気的に接続され、端子U2と端子V2と端子W2とが電気的に接続され、端子U4と端子V4と端子W4とが電気的に接続されるため、図25に示すように巻線8が2Y結線される。
【0104】
巻線8の各結線状態における回転電機1の回転速度及びトルクついて説明する。巻線8がΔ結線されたとき、巻線8が2Y結線された場合と比較して、第1のU相巻線81aに流れる電流は2/√3倍となり、第1のU相巻線81aにかかる電圧は√3/2倍となる。第2のU相巻線81b、第1のV相巻線82a、第2のV相巻線82b、第1のW相巻線83a及び第2のW相巻線83bについても同様である。
【0105】
巻線8にかかる電圧が大きくなると回転電機1の回転速度が大きくなる。そのため、回転電機1の回転速度を大きくしたい場合は、第2の配線部材21と端子11とを接続し、巻線8を2Y結線するとよい。また、巻線8に流れる電流が大きくなると回転電機1のトルクが大きくなる。そのため、回転電機1のトルクを大きくしたい場合は、第1の配線部材20と端子11とを接続し、巻線8をΔ結線するとよい。このように回転電機1から出力させたい回転速度又はトルクに応じて巻線8の結線状態を切り替えることができる。
【0106】
このような実施の形態4における回転電機1の結線切替装置9にあっても、第1の配線部材20がプレート部18の一方の面に設けられ、第2の配線部材21がプレート部18の他方の面に設けられる。このように、第1の配線部材20と第2の配線部材21とがプレート部18の異なる面に設けられるため、一方の面に複数の配線部材を設ける場合と比較して巻線8の結線状態を切り替える結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。言い換えると、プレート部18の一方の面に第1の配線部材20及び第2の配線部材21を設ける必要がないため、結線プレート17を小型化することができ、結線切替装置9を小型化することができる。
【0107】
さらに、実施の形態4における回転電機1の結線切替装置9にあっては、第1の配線部材20は、第1の配線部材20が端子11に接続されたとき巻線8がΔ結線となるように配線され、第2の配線部材21は、第2の配線部材21が端子11に接続されたとき巻線8が2Y結線となるように配線される。そのため、回転電機1から出力させたい回転速度又はトルクに応じて1つの結線プレート17により巻線8をΔ結線と2Y結線とに容易に切り替えることができる。
【0108】
なお、端子11が第1の配線部材20に接続されたとき巻線8がΔ結線となり、端子11が第2の配線部材21に接続されたとき巻線8が2Y結線となるように第1の配線部材20及び第2の配線部材21が配線されれば、第1の配線部材20及び第2の配線部材21の配線パターン及び第1の配線部材20及び第2の配線部材21の形状は実施の形態4に示した例に限定されない。
【0109】
なお、実施の形態1から4において、結線プレート17により巻線8をΔ結線と1Y結線とに切り替える例、1Y結線と2Y結線とに切り替える例及びΔ結線と2Y結線とに切り替える例について説明したが、結線プレート17により巻線8の他の結線状態を切り替えるものであってもよい。例えば、結線プレート17により巻線8の1Y結線と3Y(トリプルスター)結線とを切り替えてもよい。
【0110】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替える回転電機の結線切替装置であって、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線される回転電機の結線切替装置。
(付記2)
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が1Y結線となるように配線される付記1に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記3)
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が1Y結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が2Y結線となるように配線される付記1に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記4)
前記第1の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線がΔ結線となるように配線され、
前記第2の配線部材は、前記第2の配線部材が前記端子に接続されたとき前記巻線が2Y結線となるように配線される付記1に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記5)
前記端子と前記第1の配線部材との接続又は前記端子と前記第2の配線部材との接続を保持する固定手段と
をさらに備える付記1から4のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記6)
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記プレート部の表面に取り付けられる付記1から5のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記7)
前記第1の配線部材又は前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態の種類を表示する結線表示部と
をさらに備える付記1から6のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記8)
前記プレート部は、前記一方の面側から前記他方の面側を視認できる窓を有する付記1から7のいずれか一項に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記9)
前記固定手段に対する前記プレート部の取付方向を表示する方向表示部と
をさらに備える付記5に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記10)
前記固定手段は、前記端子と前記第1の配線部材とが又は前記端子と前記第2の配線部材とが接続されるように前記プレート部をガイドするガイド部を有する付記5又は9に記載の回転電機の結線切替装置。
(付記11)
巻線を有する固定子と、
前記巻線の端部に電気的に接続された端子と、
絶縁性を有するプレート部と、
前記プレート部の一方の面に設けられ、前記巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、
前記プレート部の他方の面に設けられ、前記端子と接続される第2の配線部材と
を備え、
前記第2の配線部材が形成する配線パターンは、前記第1の配線部材が形成する配線パターンと異なり、
前記第1の配線部材及び前記第2の配線部材は、前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と前記第2の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態とが異なるように配線される回転電機。
(付記12)
固定子の巻線の端部に電気的に接続された端子を所定の位置に接続する第1工程と、
プレート部の一方の面に第1の配線部材が設けられ、前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態が前記第1の配線部材が前記端子に接続されたときの前記巻線の結線状態と異なるように前記プレート部の他方の面に前記第1の配線部材と異なる配線パターンを形成する第2の配線部材が設けられた結線切替装置の前記第1の配線部材及び第2の配線部材のうちいずれか一方を前記端子に接続する第2工程と
を有する回転電機の製造方法。
【符号の説明】
【0111】
1 回転電機、6 固定子、8 巻線、9 結線切替装置、11 端子、12 固定手段、17 結線プレート、18 プレート部、20 第1の配線部材、21 第2の配線部材、22 結線表示部、23 ガイド部、25 窓
【要約】
【課題】結線切替装置9を小型化することができる回転電機の結線切替装置9、回転電機1及びその製造方法を得る。
【解決手段】回転電機の結線切替装置9は、回転電機の固定子の巻線の結線状態を切り替えるものである。結線切替装置9は、絶縁性を有するプレート部18と、プレート部18の一方の面に設けられ、巻線の端部に電気的に接続された端子と接続される第1の配線部材と、プレート部18の他方の面に設けられ、端子と接続される第2の配線部材21とを備える。第2の配線部材21が形成する配線パターンは、第1の配線部材が形成する配線パターンと異なる。第1の配線部材及び第2の配線部材21は、第1の配線部材が端子に接続されたときの巻線の結線状態と第2の配線部材21が端子に接続されたときの巻線の結線状態とが異なるように配線される。
【選択図】図3
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