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特許7364023シートベルトウェビングのアンカープレート及びアンカー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】シートベルトウェビングのアンカープレート及びアンカー装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/22 20060101AFI20231011BHJP
   B60R 22/26 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B60R22/22
B60R22/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022201262
(22)【出願日】2022-12-16
(62)【分割の表示】P 2019075746の分割
【原出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2023021397
(43)【公開日】2023-02-10
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2018232698
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】ティアンゴ パウロ アガピト
(72)【発明者】
【氏名】森崎 研太
(72)【発明者】
【氏名】湯木 翔太
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127031(JP,A)
【文献】特開2019-202561(JP,A)
【文献】特開昭50-013527(JP,A)
【文献】特開2018-144541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/22
B60R 22/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体又はシートに取り付けられる係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有したプレート本体と、
該プレート本体に取り付けられたバネ板と
を有するシートベルトウェビングのアンカープレートにおいて、
該バネ板は、開口の両側のサイド部に重なる1対の脚部と、該脚部の基端側同士を繋ぐ第2タイ部と、該第2タイ部から前記開口の途中まで延出するタング部と、該タング部に設けられたストッパ片とを有しており、
前記第2タイ部には爪片が設けられており、
前記プレート本体に、該爪片が差し込まれた爪片差込孔が設けられていることを特徴とするシートベルトウェビングのアンカープレート。
【請求項2】
前記第2タイ部は、前記プレート本体の基端に向って凸に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項3】
車体又はシートに取り付けられる係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有したプレート本体と、
該プレート本体に取り付けられたバネ板と
を有するシートベルトウェビングのアンカープレートにおいて、
該バネ板は、開口の両側のサイド部に重なる1対の脚部と、該脚部の基端側同士を繋ぐ第2タイ部と、該第2タイ部から前記開口の途中まで延出するタング部と、該タング部に設けられたストッパ片とを有しており、
前記脚部の長さは、前記タング部の前記延出方向長さよりも小さいことを特徴とするアンカープレート。
【請求項4】
車体又はシートに取り付けられる係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有したプレート本体と、
該プレート本体に取り付けられたバネ板と
を有するシートベルトウェビングのアンカープレートにおいて、
該バネ板は、開口の両側のサイド部に沿って延在するように重なる1対の脚部と、該脚部の基端側同士を繋ぐ第2タイ部と、該第2タイ部から前記開口の途中まで延出するタング部と、該タング部に設けられたストッパ片とを有しており、
前記一対の脚部は、その延在方向の先端部分が前記両側のサイド部にそれぞれ固定されるとともに、固定された部分よりも前記第2タイ部側において前記プレート本体の一方の板面から所定距離離隔するように立ち上がっていることを特徴とするアンカープレート。
【請求項5】
前記第2タイ部は、前記プレート本体の基端に向って凸に湾曲していることを特徴とする請求項4に記載のアンカープレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトウェビングを自動車等の車体に連結するためのアンカープレート及びアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートベルトウェビングを自動車車体に連結するアンカー装置が特許文献1に記載されている。このアンカー装置は、アンカープレートと、該アンカープレートに設けられた開口と、該プレート本体にリベットで留め付けられたバネ板よりなるストッパー等を有する。車体に固定されたボルトの頭部が該開口に挿入され、該ボルトのフランジと頭部との間で該開口の縁部が挟持される。ストッパーに設けられた係止片がボルト頭部に係合することにより、該ボルト頭部の退動が阻止され、ボルト頭部及びフランジによる該縁部の挟持状態が維持される。
【0003】
この特許文献1のアンカー装置にあっては、アンカープレートに、ボルトを通す第2開口と、シートベルトウェビングを通す第1開口との2個の開口を設ける必要があり、製作に手間がかかる。また、アンカープレートの長さが大きくなる。なお、特許文献1の図5~10には、U字形に曲成したストッパ片を備えたアンカー装置が記載されているが、このストッパ片はバネ板が複雑に折り曲げられた形状を有しており、バネ板の製作に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-144541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製作が容易なアンカープレートと、このアンカープレートを用いたアンカー装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアンカープレートは、車体又はシートに取り付けられる係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有したプレート本体と、該プレート本体に取り付けられたバネ板とを有するシートベルトウェビングのアンカープレートにおいて、該バネ板は、開口の両側のサイド部に重なる1対の脚部と、該脚部の基端側同士を繋ぐ第2タイ部と、該第2タイ部から前記開口の途中まで延出するタング部と、該タング部に設けられたストッパ片とを有しており、前記開口のうち、前記先端側がシートベルトウェビングの挿通部となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様では、前記バネ板は、前記脚部の先端側同士を繋ぐ第1タイ部を有しており、前記開口のうち、該第1タイ部よりもプレート本体先端側がシートベルトウェビングの挿通部となっている。
【0008】
本発明の一態様では、前記開口は、前記係止体が挿通される大穴部と、該大穴部に連なる細穴部とを有しており、前記タング部は、該第2タイ部から該大穴部側に延出しており、該タング部の延出方向先端側に前記ストッパ片が設けられており、該ストッパ片が前記係止体に係合可能となっている。
【0009】
本発明の一態様では、前記第2タイ部は、前記プレート本体の基端に沿っており、該第2タイ部に長孔等の孔が設けられており、該孔にプレート本体の基端が挿入されている。
【0010】
本発明の一態様では、前記タング部に、前記係止体の頂面の凹穴に係合する凸部が設けられている。
【0011】
本発明の一態様では、前記バネ板は、前記プレート本体の一方の面に配置されており、前記バネ板の脚部同士は、前記第2タイ部を介してのみ繋がっている。
【0012】
本発明の一態様では、前記第2タイ部には爪片が設けられており、前記プレート本体に、該爪片が差し込まれた爪片差込孔が設けられている。
【0013】
本発明の一態様では、前記第2タイ部は、前記プレート本体の基端に向って凸に湾曲している。
【0014】
本発明の一態様では、前記脚部の長さは、前記タング部の前記延出方向長さよりも小さい。
【0015】
本発明の一態様では、前記バネ板の前記脚部は、リベットによって前記プレート本体に固定されている。
【0016】
本発明のアンカー装置は、かかるアンカープレートと、車体又はシートに取り付けられる係止体とを有する。
【0017】
本発明の一態様では、前記係止体は、ボルト軸部と、該ボルト軸部の先端側のボルト頭部と、該ボルト頭部に対峙するフランジと、該ボルト頭部の頂面に設けられた凹部とを有し、該ボルト頭部とフランジとの間の溝部によってアンカープレートの前記開口の縁部が挟持され、該ボルト頭部の凹部に前記タング部の前記凸部が係合している。
【発明の効果】
【0018】
本発明のアンカープレートのプレート本体は、ボルトを通す開口とシートベルトウェビングを通す開口とが一続きとなっており、製作が容易であり、アンカープレートが低コストとなる。また、プレート本体の長さを小さくすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係るアンカー装置の斜視図である。
図2】アンカープレートとボルトとの係合途中におけるアンカー装置の斜視図である。
図3】アンカープレートとボルトとが係合したアンカー装置の斜視図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】アンカープレートの裏面の斜視図である。
図6】カバーとアンカー装置の斜視図である。
図7】カバーを備えたアンカー装置の斜視図である。
図8】カバーを備えたアンカー装置の斜視図である。
図9図8のカバーの斜視図である。
図10図9と反対側からのカバーの斜視図である。
図11】カバーの装着途中のアンカー装置の斜視図である。
図12】実施の形態に係るアンカー装置の斜視図である。
図13】アンカープレート及びプレート本体の斜視図である。
図14】アンカープレートとボルトとが係合したアンカー装置の斜視図である。
図15】カバーを備えたアンカー装置の斜視図である。
図16】カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1~5を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0021】
図1の通り、アンカー装置1は、自動車の車体に取り付けられる係止体としてのボルト2と、該ボルト2に係止されるアンカープレート3とを有する。アンカープレート3の開口15にシートベルトウェビングが通される。
【0022】
ボルト2は、ボルト軸部2aと、該ボルト軸部2aの先端のボルト頭部2bと、ボルト軸部2aの途中に設けられたフランジ2cと、ボルト頭部2bとフランジ2cとの間に形成された溝部2d(図4)とを有する。ボルト頭部2bの頂面には工具が係合する凹穴2eが設けられている。図示は省略するが、ボルト軸部2aのうちフランジ2cよりも後端側の外周面に雄ネジが設けられている。溝部2dはボルト頭部2bの周囲を周回している。ボルト頭部2bとフランジ2cとの間隔は、アンカープレート3のプレート本体10の厚みよりも若干大きい。
【0023】
アンカープレート3は、プレート本体10と、該プレート本体10に取り付けられたバネ板20とを有する。プレート本体10は、第1板面10aと第2板面10b(図5)とを有した金属板よりなる。プレート本体10は、先端10Tから基端(後端)10Eに向う前後方向の長さがそれと直交方向の幅よりも大きい。基端10Eは、プレート本体10から後方に突出する凸形状となっている。
【0024】
プレート本体10に上記開口15が設けられている。開口15は、プレート本体10の長手方向に延在しており、先端10T側がウェビング挿通部15wであり、基端10E側が細穴部15bである。ウェビング挿通部15wと細穴部15bとの間が大穴部15aである。大穴部15aは、ボルト頭部2bが通過しうる大きさとなっている。大穴部15aは、基端10Eに向って左右幅が徐々に小さくなっている。細穴部15bの幅はボルト頭部2b及びフランジ2cの直径よりも小さく、溝部2dにおけるボルト直径よりも若干大きい。
【0025】
ウェビング挿通部15wと大穴部10aとの境界部付近には、次に説明する第1サイド部11及び第2サイド部12から、互いに接近する方向に突出する張出部18が設けられている。
【0026】
プレート本体10は、図5に明示の通り、開口15の両側が第1サイド部11及び第2サイド部12となっており、基端10E側が下エンド部13となっており、先端10T側が上エンド部14となっている。
【0027】
バネ板20は、枠形状を有している。即ち、バネ板20は、第1板面10a側の第1サイド部11に沿う第1脚部21と、第2サイド部12に沿う第2脚部22と、第1及び第2脚部21,22の先端10T側同士を繋ぐ第1タイ部23と、脚部21,22の基端10E側同士を繋ぐ第2タイ部24と、該第2タイ部24から大穴部15a側に延出したタング部25と、該タング部25から切り起しにより設けられたストッパ片26と、第2タイ部24に設けられた長孔27等を有する。
【0028】
第1脚部21は第1サイド部11に沿って延在し、その延在方向の途中部分がリベット29によって第1サイド部11に固定されている。第2脚部22は第2サイド部12に沿って延在し、その延在方向の途中部分がリベット29によって第2サイド部12に固定されている。脚部21,22は、リベット29留めした部分よりも第2タイ部24側において、プレート本体10の第1板面10aから所定距離離隔するように立ち上がっている。
【0029】
第1タイ部23は、張出部18,18よりも先端10T側に位置している。第1タイ部23の長さは、張出部18,18間の距離よりも大きい。第1タイ部23は、脚部21,22から略直角に折り立てられ、開口15内に入り込んでいる。
【0030】
第2タイ部24は、脚部21,22から、プレート本体10の基端10E側に折り立てられている。長孔27は、脚部21,22を結ぶ方向に延在しており、該長孔27に基端10Eが嵌入されている。
【0031】
タング部25は、第2タイ部24から、プレート本体10の第1板面10aと略平行に先端10T側に延在している。タング部25の延在方向先端部は大穴部15aにまで達している。
【0032】
タング部25の板面と、プレート本体10の第1板面10aとは、ボルト頭部2bの厚み分だけ離隔している。タング部25には、ボルト頭部2bの凹穴2eに入り込む凸部25bが設けられている。
【0033】
ストッパ片26は、タング部25から切り起しにより形成される。ストッパ片26は、タング部25の先端部25aに連なり、該先端部25aから第2タイ部24に向って延出した舌片状である。ストッパ片26は、第2タイ部24側ほどタング部25の板面からプレート本体10側へ接近するように傾斜している。
【0034】
ボルト2は、ボルト軸部2aを車体又はシートの雌ネジ部材(図示略)にねじ込むことにより車体又はシートに固定される。
【0035】
車体又はシートに固定されたボルト2に対し、アンカープレート3が次のようにして係止される。なお、アンカープレート3のウェビング挿通部15w(第1タイ部23よりも先端10T側)に予めシートベルトウェビング(図示略)が挿通されている。
【0036】
図2の通り、開口15の大穴部15aをボルト頭部2bに外嵌させ、次いで、基端10Eがボルト2に接近する方向にアンカープレート10を移動させる。ボルト頭部2bはプレート本体10の第1板面10aに沿って摺動し、フランジ2cは第2板面10bに沿って摺動する。そして、ボルト頭部2bがストッパ片26のプレート本体10側の面に当接する。アンカープレート3をさらに移動させると、ボルト頭部2bがストッパ片26とプレート本体10との間に入り込む。
【0037】
アンカープレート3をさらに移動させると、図3及び図4の通り、ボルト頭部2bがストッパ片26を通り抜け、細穴部15bの基端10E側にまで移動する。この状態では、ストッパ片26がボルト頭部2bよりも大穴部15a側に位置し、ストッパ片26の先端がボルト頭部2bの側面に係合する。これにより、ボルト頭部2bの大穴部15a方向への退動が阻止され、アンカープレート10がボルト2に対し抜け止め不能に連結される。細穴部15bの左右両側縁と基端10E側の縁部とがボルト頭部2bとフランジ2cとによって挟持される。ボルト頭部2bの凹穴2eに対しタング部25の凸部25bが入り込み、アンカープレート10の第1板面10aに沿う方向への動きを拘束する。
【0038】
このアンカープレート3は、プレート本体10が1個の開口15を有したものであるため、製造が容易であると共に、プレート本体10の全長を小さくすることも可能である。また、バネ板20も全体としてほぼ平板に近い形状であり、製作が容易である。
【0039】
このアンカープレート3では、開口15内が第1タイ部23で仕切られてウェビング挿通部15wが区画されているので、アンカープレート3をボルト2に係止させる際にシートベルトウェビングが大穴部15aに入り込むことがなく、この係止作業を容易に行うことができる。また、第1タイ部23と上エンド部14との間でシートベルトウェビングを押えるように両者間の間隔を設定することができる。
【0040】
このアンカープレート3では、バネ板20の第2タイ部24の長孔27にプレート本体10の基端10Eが嵌入しているので、第2タイ部24側が板面10a,10bと垂直方向に動くことが阻止され、振動や異音が防止される。
【0041】
図示は省略するが、細穴部15bの内周面や縁部に、ゴム、合成樹脂などよりなるコーティングを施したり、カバーを装着してもよい。これにより、ボルト2とアンカープレート10とが直に当ることによる異音発生が防止ないし軽減される。
【0042】
本発明では、外力からバネ板を保護すると共に、アンカープレートとウェビングとの接続状態保護のため、図6,7の通り、カバー40を設けることが好ましい。
【0043】
このカバー40は、第1サイド部11及び第1脚部21に沿う第1サイドレール部41と、第2サイド部12及び第2脚部22に沿う第2サイドレール部42と、該サイドレール部41,42の基端側同士をつなぐボトム部43とを有した略U字形状のものである。各サイドレール部41,42には凹条44,45が設けられており、該凹条44に第1サイド部11及び第1脚部21が差し込まれ、凹条45に第2サイド部12及び第2脚部22が差し込まれる。
【0044】
図8~11に別のカバー50を示す。図9,10の通り、このカバー50は、第1辺51~第4辺54及びU字形状部55を有した枠形である。図11のように、第3辺53側からU字形状部55がタング部25の裏側に差し込まれ、第3辺53が基端10Eに係合され、図8の通りアンカー装置1に装着される。
【0045】
以下、図12~16を参照して第2の実施の形態に係るアンカー装置1Aについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一又は相当部材に同一符号を付して説明する。
【0046】
図14の通り、アンカー装置1Aは、自動車の車体に取り付けられる係止体としてのボルト2と、該ボルト2に係止されるアンカープレート3Aとを有する。アンカープレート3Aの開口15にシートベルトウェビングが通される。
【0047】
ボルト2は、第1の実施の形態と同様の構成を有する。
【0048】
アンカープレート3Aは、プレート本体10Aと、該プレート本体10Aに取り付けられたバネ板20Aとを有する。プレート本体10Aは、プレート本体10と略同一の構成となっているが、開口15に張出部18は設けられていない。また、基端10Eは、プレート本体10から後方に突出する凸形状となっていない。
【0049】
バネ板20Aは、第1タイ部23を有しておらず、また長孔27を有していない。即ち、バネ板20Aは、第1板面10a側の第1サイド部11に沿う第1脚部21と、第2サイド部12に沿う第2脚部22と、脚部21,22の基端10E側同士を繋ぐ第2タイ部24と、該第2タイ部24から大穴部15a側に延出したタング部25と、該タング部25から切り起しにより設けられたストッパ片26とを有する。
【0050】
第1脚部21は第1サイド部11に沿って延在し、その延在方向の先端部分がリベット29によって第1サイド部11に固定されている。第2脚部22は第2サイド部12に沿って延在し、その延在方向の先端部分がリベット29によって第2サイド部12に固定されている。脚部21,22は、リベット29留めした部分よりも第2タイ部24側において、プレート本体10Aの第1板面10aから所定距離離隔するように立ち上がっている。
【0051】
脚部21,22の延在方向の長さは、タング部25の延出方向長さよりも小さい。
【0052】
第2タイ部24は、プレート本体10Aの基端10Eに向って半円弧形に凸に湾曲している。
【0053】
第2タイ部24から1対の爪片24tが突設されており、各爪片24tがプレート本体10Aの爪片差込孔10jに差し込まれている。
【0054】
タング部25は、第2タイ部24から、プレート本体10Aの第1板面10aと略平行に先端10T側に延在している。タング部25の延在方向先端部は大穴部15aにまで達している。
【0055】
タング部25と脚部21,22の付け根部分との間には、第2タイ部24に食い込むように切り込み24kが設けられている。この切り込み24kの長さを変えることにより、タング部25の弾性特性が変わる。
【0056】
タング部25の板面と、プレート本体10Aの第1板面10aとは、ボルト頭部2bの厚み分だけ離隔している。
【0057】
ストッパ片26の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0058】
ボルト2は、ボルト軸部2aを車体又はシートの雌ネジ部材(図示略)にねじ込むことにより車体又はシートに固定される。
【0059】
車体又はシートに固定されたボルト2に対し、アンカープレート3Aが第1の実施の形態と同様にして図14のように係止される。
【0060】
この第2の実施の形態においても、図14の通り、ストッパ片26がボルト頭部2bよりも大穴部15a側に位置し、ストッパ片26の先端がボルト頭部2bの側面に係合する。これにより、ボルト頭部2bの大穴部15a方向への退動が阻止され、アンカープレート10Aがボルト2に対し抜け止め不能に連結される。細穴部15bの左右両側縁と基端10E側の縁部とがボルト頭部2bとフランジ2cとによって挟持される。
【0061】
このアンカープレート3Aは、プレート本体10Aが1個の開口15を有したものであるため、製造が容易であると共に、プレート本体10Aの全長を小さくすることも可能である。
【0062】
外力からバネ板を保護すると共に、アンカープレートとウェビングとの接続状態保護のため、図15,16の通り、カバー60を設けることが好ましい。
【0063】
図16に示す通り、このカバー60は、第1サイド部11及び第1脚部21に沿う第1サイドレール部61と、第2サイド部12及び第2脚部22に沿う第2サイドレール部62と、該サイドレール部61,62の基端側同士をつなぐボトム部63と、サイドレール部61,62の先端部にそれぞれフレキシブルヒンジ部64fを介して連なるトップ部64とを有した略枠形状のものである。各サイドレール部61,62にはタブ66が設けられており、第1サイド部11及び第2サイド部12に設けられたタブ差込孔67に各タブ66が差し込まれる。
【0064】
各サイドレール部61,62には、第1及び第2サイド部11,12の内周縁を回り込んで開口15の縁部に係止されるクリップ69が設けられている。
【0065】
フレキシブルヒンジ部64fは、サイドレール部61,62に対し屈曲可能となっている。トップ部64は、第1片64aと第2片64bとを有している。図15の通り、第1片64aと第2片64bとでプレート本体10Aの先端10Tを挟み込む。
【0066】
図15の通り、カバー60は、トップ部64と略平行なブリッジ部65を有している。ブリッジ部65はサイドレール部61,62間に架設されている。ブリッジ部65とトップ部64との間にウェビングが挿通される。
【0067】
サイドレール部61,62の基端10E側には、互いに接近方向に突出する突起状のサポート68が設けられている。サポート68が、半円形に湾曲した第2タイ部24の内側に差し込まれる。
【0068】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。例えば、上記実施の形態では係止体としてボルト2が用いられているが、ボルト以外の係止体が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A アンカー装置
2 ボルト
2e 凹部
3,3A アンカープレート
10,10A プレート本体
15 開口
20,20A バネ板
21,22 脚部
23 第1タイ部
24 第2タイ部
25 タング部
25b 凸部
26 ストッパ片
27 長孔
29 リベット
40,50,60 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16